転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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宇沢レイサ達と魔法少女ヘヴィキャリバー

 

「これにて診察は終了です。もう大丈夫ですよ」

「ありがとうございます、ミネさん」

 

この日、モルフォはトリニティを訪れていた。その目的は救護騎士団、もっといえば蒼森ミネであった。モルフォの身体は既に完全に回復してはいるものの、ヘイローを壊す爆弾という未知の兵器を唯一食らった存在ということもあり、健康面の被害を考慮して定期健診に来ることになっていたのだ。しかし、その心配もやっと晴れたということもあり、ミネも安心した様子で笑みを浮かべる。

 

「後、セイア様からこれを預かっています」

「これは……モモトークの。ありがとうございます」

 

検診が終わり、Yシャツの上からジャケットを着こんでいると、ミネから一枚の紙を手渡される。そこにはセイアのモモトークのアカウントが書かれていた。それを受け取り、ミネに礼を言うと、ミネの方も苦笑を返す。

 

「いえ、お礼を言うのはこちらの方です。セイア様が助かったのも、そしてセイア様が長い間眠っていた時の事も。あなたがいなければきっと、今のあの人はいなかったでしょうから」

「えっと、できることをやっただけですよ。それに、セイアさんを助けることができたのは私の力だけじゃない、皆の力を合わせたからです。それに、ミネさんがセイアさんをずっと看ていてくれたからこそ、セイアさんは無事に目を覚ますことができたんですから、むしろこっちの方がお礼を言わないといけない立場ですよ。友達を助けてくれてありがとうございました」

「……ふふ、そうですか」

 

セイアを助けられたのは皆の力のおかげだと言うモルフォにミネも笑顔を浮かべる。その後、モルフォの体調についての話などをある程度してから、モルフォは解放されることになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……む、これは……」

 

帰り道。今日は他に用事があるというわけでもなかったため、折角だしと春葉原にあるアニメ関係のショップに足を運んでいた。当然キヴォトスにだってアニメは色々あるし、主にゲームを嗜んでいるとはいえ、そういったものも触れないわけではない。そんな中、モルフォの目を一際引いたのは、

 

「魔法少女ヘヴィキャリバー特集?」

 

魔法少女ヘヴィキャリバーなるアニメであった、魔法少女ヘヴィキャリバーとは所謂ご長寿アニメである。その話は全体まではわからないが、確か五十話近くでもまだ中盤というとんでもないアニメだった記憶がある。主人公は魔法の国からやってきたスタナグと呼ばれるマスコットとマジカルナショナルガードとしての契約を結び、テルミットホワイトに変身し、相棒のテルミットピンクと共に、暗黒の星に住まうエラと彼女が従える悪の騎士団と戦うというのが大まかなあらすじとなっている。

 

「……いやいや、やっぱとんでもない量があるんだけど……」

 

名前だけはちらほら聞いており、そういえば魔法少女系のアニメとか全く見なくなったな……とぼんやり考えていたのもあって、この機会に手を出してみるのも悪くないと一瞬思ってはいたのだが。映画に外伝とかなりの量がある。他の十年以上続くシリーズとどっちを回るのが負担が少ないのか……と思わず考えてしまうレベルだ。とはいえ、作品の評価そのものは高いはずなので、いずれ見てみるのも悪くはないだろう。

 

「……って、魔法少女物なのにこういうキャラもいるのか……まあ、敵役なら男がいてもおかしくは……」

「あれ?モルフォ?」

「ん?」

 

ステッカーを手に取ってへぇ~と感心したように声を漏らしていると、モルフォに声がかけられる。後ろを振り向くと、そこには布や機械のパーツなどを買ったのだろう、袋をぶら下げているエンジニア部の三人の姿があった。

 

「やあ、モルフォも買い物かい?」

「いえ、トリニティに検診に行った帰りでちょっと見て行こうと思って」

「魔法少女ヘヴィキャリバー……コスプレの鉄板だね」

「あー、まあ魔法少女だしそりゃそうか」

「モルフォも見ているんですか?」

「いや、名前は聞いたことあるけど……」

 

ここでエンジニア部の三人と会うとは思わず、少し驚いたが、こういうこともたまによくあるだろうと納得する。ヒビキがモルフォの手に持っているステッカーに気付いたのを見て、確かにヒビキならチェックもしているかと思い至る。と、モルフォにこのアニメを知っているのかを聞いたコトリが、モルフォの返事を聞いた途端にモルフォの手を握り、

 

「ではモルフォに魔法少女ヘヴィキャリバーについて説明しましょう!この作品は少しおっちょこちょいな主人公の女の子がある日、エラの襲撃を受けて死に瀕した時に魔法の国からやってきたマスコット、スタナグちゃんと出会うことで運命の歯車が動き始めるんです!怖くて体が震えても正義感に溢れたホワイトはマジカルナショナルガードとしての契約を結んで魔法少女になり、彼女に助けられてピンクも魔法少女になることでヘヴィキャリバーズが結成されます!そして二人は世界を救うためエラと暗黒の騎士団との長い戦いを開始することになるのですが」

「すまないが私は向こうでちょっと休憩してくるよ」

「そういえば新作グッズ出てたっけ……うーん、この衣装もいい……」

 

これは長くなることを確信したウタハとヒビキがモルフォに後を任せて離れてしまう。一方コトリの方はまだ止まる様子がない。

 

「ではここでテルミットピンクについて説明しましょう!テルミットピンクはホワイトの心強い相棒なんですよね!元々一人で周囲から浮いていて友達もいない少女だったんですが、エラの襲撃の時、自分を助けてくれたホワイトに憧れてマジカルナショナルガードとして契約をすることになったんです!そして魔法少女史上最高の仲良しコンビとなり、愛と友情、そして火力で自信を取り戻し、明るいキャラクターへと変わっていくんですよね「ちなみにテルミットピンクは名前の通りハートのジュエルやピンクのドレスがメインのデザインだったのですが、それとは異なる特殊変身、つまり所謂決戦フォームというものがありまして!これを使えるようになった話ではシルバープレートとの決戦で危機に陥ってしまったんです!そこでホワイトと共に力を合わせた際に新たな能力に目覚めたんですが、それでもシルバープレートを倒すことは叶わずそのまま二人は倒れてしまって」いや誰ですか!?」

 

ここで話を途中から引き継いで饒舌に語り始める存在にようやくコトリが気付く。その声に色々売り物を見ていたヒビキも手を止めてこちらを見ると、薄紫と薄桃色の二色の髪の灰色を基調としたトリニティの制服を着た少女が目をキラキラと輝かせながら話に割って入っていた光景が目に入った。

 

「えーと、どちら様?」

「……はっ!?すみません、自己紹介がまだでしたね!私はトリニティ自警団のエース!宇沢レイサです!!」

「トリニティ自警団……?」

「トリニティに存在する非公認治安維持組織ですね。まあ実際はそういう組織が存在しているというより、ふんわりとそういう集団があるという感じですが」

「要するにそういう人たちがいるからとりあえず自警団っていう括りでまとめてるって感じか……」

 

ビシッと決めポーズを見せる少女、宇沢レイサ。随分と賑やかな少女が来たなと思ったがそういえばここで売っていたのはヘヴィキャリバーの商品だ。コトリにもついていくこの知識といい、おそらく彼女はヘヴィキャリバーの大ファンなのだろう。

 

「えっと、そんな人がなんでここに?」

「もちろん、ヘヴィキャリバーの限定グッズを買いにですよ!」

「あ、限定だったのか……」

「モルフォは知らずに来たんですか?」

「いや本当に目についたからって感じで……でもキャラデザとかは結構好きだよ。話が長くて中々見るハードルを越えられないけど……」

「まあ、気持ちはわかる」

「むむ、そうですか!であれば……ここは好きなキャラが出てくるシリーズから入るのがいいでしょう!!」

 

それを聞いたレイサがすぐに目の色を変えてモルフォの腕を掴む。あっこの子人を沼に沈めようとしてる!とモルフォが悟りながらコトリとヒビキを見ると、二人とも何かを期待するような視線を向けてくる。それを見て、この二人も大小の差はあれど普通にファンだな?ということに気付く。

 

「いや二人もかい」

「ヘヴィキャリバーの衣装は鉄板コスプレだからね、当然チェックしてるし、色んな人に見てもらいたいアニメではある」

「ふふ、モルフォもアニメを知ってもらえばもっと色々解説できますからね……さすがにネタバレとかに配慮して色々控えめにしていたんですが」

「私自身はネタバレされたらされたでその上でこれかぁ!って楽しむタイプだから気にしないけども……まあ他人に勧めるとしたらネタバレはしにくいよね」

「その通りです!」

「さあ、それでは参りましょう!」

 

いつの間にか馴染んでるレイサとコトリに左右から腕を組まれ、モルフォは店内へと連行されていく。その様子を見ながら、購入するグッズを適当に吟味してからヒビキも後を追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「成程!モルフォさんの推しはこのブラックパンツァーなんですね!!」

「……まあ、あの中だと一番目立ってたし……」

「ブラックパンツァーが出てたのって四期だっけ?」

「そうですね、シリーズの中でも重めのストーリーが展開されていましたね!容赦ない話が多くて時間帯を間違えたんじゃないかと思った記憶があります!」

「あー、わかりますね……」

 

一時間後。店から大量のグッズを買い込んで出てきたレイサと、幾つかのグッズを購入して出てきたヒビキとコトリ、そして見た目で気に入ったキーホルダーなどをいくつか購入してきたモルフォで近くのカフェに移動していた。ちなみにウタハは絡むと大変な事になる気配を察したのか、個人的に気になる店があるからそちらに行くとだけモモトークでヒビキとコトリに告げて消えてしまった。

 

「重いってどういう感じ?」

「そうですね……まあモルフォはネタバレを気にしないタイプなので言っちゃいますか。ブラックパンツァーとはゴルゴタという組織で、彼らによって改造された少年が変身する姿ですね。本来の名前はシャドーサンシャインであり、ゴルゴタは彼を組織の後継者にしようとしたのですが、魔法少女であるテルミットパープルとの戦いによって正気を取り戻し、その後はゴルゴタと敵対するブラックパンツァーとして変身するようになった、という背景があります」

「ちなみにこのテルミットパープルというのはシャドーサンシャインとの戦いで敗北し、スタナグちゃんとかと同様に魔法の国からやってきて契約してくれていたパートナーを失ってしまったんですよね。シャドーサンシャインもその時のショックで正気を取り戻したのですが、一方のテルミットパープルもそのショックで心が折れ、完全に塞ぎ込んでしまうんです。ホワイトとピンクに日常で厳しくも頼りがいのあるお姉さんとして接してくれていた彼女の正体だと判明した時はネットが阿鼻叫喚でした!」

「なんか凄いことになってきたぞ?」

 

思った以上に聞いたことあるぞこのブラックパンツァー!でも普通に話は面白そうだから畜生!と思いつつその内チェックすることを決定しながら、モルフォは二人に話を促していく。

 

「このテルミットパープルというのが実はテルミットピンクの決戦フォームと似た格好をしており、テルミットピンクが特殊な条件下でしか変身できないのに対してパープルは通常変身でこれというレベルの高さを演出しているのですが、そのテルミットパープル自身、実は姉がさらにその先代の魔法少女であり、シャドーサンシャインが生まれる前のゴルゴタと戦っていたのですが使徒ビルコニアとの戦いで敗北、そのままゴルゴタに連れ去られて封印されてしまうという悲しい目に遭ってしまいました。テルミットパープルが戦う理由も姉を救うためだったのですが……そんな彼女の事情をブラックパンツァーは知ってしまったために彼女を戦いから遠ざけるためにゴルゴタとの戦いを本編外の別の町でやっていたんですね!ですが、エラとホワイト達との戦いが一段落ついたのと、かつて封印していた魔法少女を洗脳し、ダークテルミットとして使役することができるようになったことでホワイト達も洗脳し、ブラックパンツァーを倒すためにホワイト達の町にやってきた……というのが四期の話となっています!ちなみにダークテルミットに洗脳した博士はパープルの父親だったりします!」

「やっば普通に面白そうなんだけど……いやまってそのパープルって人不幸の合体事故おこしてない?」

 

ブラックパンツァーとついでに一緒に購入していたテルミットパープルのキーホルダーを見ながらそう呟くモルフォ。ブラックパンツァー周りの重いニチアサ感は大層お気に召したらしい。

 

「ちなみにこのブラックパンツァーも最終回ではマジカルナショナルガードとして契約し、シリーズ唯一の男版魔法少女、テルミットブラックへと変身します!ここでピンクやパープルといった仲間達からパワーを受けて決戦フォームとなったホワイトと放つテルミット・グレネード・スクリューの演出も素晴らしく……まさにブラックパンツァーはもう一人の主人公といった感じですね!それもあって外伝シリーズ、魔法戦士ブラックナイトRXも作られるなど圧倒的な人気となっています!ちなみに正式名称はREVIVAL EXTREMEだそうですよ!」

「おおっと?」

「さらに魔法戦士シリーズの方もそこからシリーズ化していきまして、こちらは毎作毎に主人公が変わっていきますね。二作目三作目は刑事ドラマの側面も入れられるなど意欲作なのでモルフォにはもしかしたら肌に合わないかもしれませんが、四作目の魔法戦士ドラゴンナイツあたりなら気に入るのではないでしょうか?こちらは赤の魔法戦士と青の魔法戦士のダブル主人公ものとなっています。中々重めですがモルフォなら十分楽しめるのではないでしょうか!」

 

聞いてるだけで中々に楽しめる内容ばかりでとても興味が湧いてくる。正直敬遠しがちではあったが、まずはブラックパンツァーの話から見てみるのも悪くない。スマホで配信サイトを開いてタイトルをお気に入りに入れながら、レイサを見つめる。

 

「でもレイサ、凄い好きなんだねこの作品」

「はい!もちろんです!!……あ、もしかしてその、迷惑でしたか……?結構その、べらべら喋って……」

「ああ気にしないで。むしろ夢中で話してる人の話って熱意とかあって凄く楽しいし。コトリが色々話してくれるのも面白いしね」

「ふふん!モルフォの役に立っているなら何よりです!レイサ、そこまで気にする必要はありませんよ!モルフォは全部受け入れてくれますから!」

「そ、そうですか?」

「ま、友達だからね……あんまりやばいこと言ってるならともかく基本的に止める理由はないよ」

「ミレニアムなら別に騒がしいのは普通だしね」

「……」

 

そう答えながら水を飲むモルフォ。その様子を少し驚いたように見ていたレイサだったが、次第に頬を赤く染めながら嬉しそうに体をくねくねし始める。

 

「そ、そうですか……えへへ、あ、ありがとうございますモルフォさん……コトリさんもヒビキさんも……」

「ああ、後はこれとかどういうキャラなの?」

 

そう言いながらモルフォが取り出したのは、金髪に青を基調とした服を着た儚げな雰囲気を見せる魔法少女であった。

 

「これはテルミットブルーですね!五期で登場するキャラでして、異世界の魔法少女です!異世界で起こったアクシデントでホワイト達の世界に来てしまい、ホワイト達と共に異世界から来た敵達と戦いながらブルーが一人の魔法少女として滅びに仲間達と立ち向かうために成長する話となっています!ちなみにカンフーや拳法を使います!」

「あれ、ホワイトが主人公じゃ……」

「そうなんですが、この時期までくるとホワイトとピンクってもう歴戦の戦士なんですよね……なので、主人公はホワイト、っていうのはそのままなんですがどちらかというと先輩として後進を育てたり導いたり、みたいな役回りも多くなってくるんです。人間ドラマとかそういうのも新規キャラの方に割かれるようになってくるのもこのあたりからで、ネットではホワイトが暴力装置になってきてる、みたいな意見もあったりします。後輩魔法少女に頭冷やそうねってハイライトオフで言い始めるシーンとかやばいですよ」

 

ブルーもブルーでかなり個性的なことになっているらしい。しかしまぁ、よくもまあこれだけのご長寿アニメを作れるものだと感心するばかりである。

 

「ちなみに敵幹部もやばかったりするの?」

「五期の敵だとブルーの上司を怪物にしたりとか、ブルーの知り合いのお姉さんが洗脳されてその時に出産した娘を急成長させて敵幹部にしたり……」

「ねえ、やっぱり時間帯間違えてない?希望ある?」

「あるんです!どれだけ苦しくても最後には必ず勝つ!それが魔法少女ですから!」

 

力強く力説するレイサ。まあ、ハッピーエンドで終わっているからこういう要素も許されるのだろう。間違っても主人公が死亡してから時間が巻き戻って全部なかったことになるとか、戦いには勝ったけど主人公は短命で近い未来燃え尽きるとか、永遠の寿命を持つ存在になって仲間と離れて生き続けるとか、そんなことはないのだ。

 

「ちなみにモルフォ、コスプレするなら何がいい?」

「ブラックで……」

「そう?ブルーも何となく似合いそうな気がするけど」

「露出多いの嫌だなぁ」

「エラとかはハードル高そうだもんね」

「モルフォにエラも悪くない気がするんですよね……」

「コトリが着たら考えてあげるよ」

「まあ皆さんと一緒にやるなら……?」

「ちなみに私はいつかテルミットピンクのコスプレをしたいです!」

「いいよねテルミットピンク……」

 

続けて話はコスプレについての話になっていく。エラのコスプレというのはハイレグレオタードを着用するかなりの覚悟を強いられる恰好であり、とてもモルフォにそこまでの覚悟は発揮できなかった。

 

「ウタハ先輩の分も作っておこう……エラとか着てくれるかな」

「さすがに断るでしょ」

「でもエラの恰好が似合う人と言えば……」

「中々いないんじゃないかな」

「皆でお願いしたら意外と着てくれる人がいそうなものですけどね……」

「杏山カズサ……誘ってみるのも、あり……?」

 

頼み倒せば着てくれる人、そんなにいるだろうか?とぼんやり考えてリオの姿が浮かんできたが、さすがにリオにこんな格好をさせたら暫くエリドゥに引き籠るなんてことになりかねない。コスプレは羞恥心に勝てる範囲でやるのがいいとモルフォは納得しながら、ウタハが戻ってくるまでヘヴィキャリバー談義に付き合うのだった。




※イベントで言及されてないところは完全にパロディネタ全開で書いています
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