転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「ユウカ先輩、書類お願いします」
「ええ、わかったわ。いつも悪いわね」
「いえ?別にこれが私の仕事ですし」
セミナー室を訪れ、書類をユウカに提出する。書類を受け取ったユウカはそれを一読し、おかしな部分がないことを確認してから頷き、受領する。
「そんなことはないわよ。モルフォがゲーム開発部に入ったおかげでこっちから書類とか色々催促する必要もなくなったんだからね……」
春先の、部員僅か三人、書類仕事は殆どやらない、実績もTSCを出したのみ、ミレニアムサイエンススクールの中ではむしろ問題児の部類とよくよく考えてみると部活に関する制度が甘かったのを加味してもよく残っていたものだ。当時の自分には悪いがユウカ自身逆に感心すら覚えるレベルである。そこから部員が六(名目上は五)人に増えたり運営や活動その他諸々において健全化したのは間違いなくモルフォの影響も大きいとユウカは思っていた。
「後はコユキの事もだし……はぁ、本当にモルフォがうちの生徒でよかったわ」
「どうしたんですかユウカ先輩?疲れてるんですか?」
モルフォを抱き寄せてその頭を撫でながら呟くユウカに、何か大変な事でもあったのかと考えるモルフォ。と、そんな二人の様子を見ていたのだろう、面白そうにノアが笑う。
「ふふ、別にユウカちゃんは疲れてるわけじゃありませんよ。ただモルフォちゃんに感謝してるのは本当のことですし」
「そうですか?体調悪くしたとかそういうのじゃないならいいんですが……」
「ところでユウカちゃん、あれについてはいいんですか?」
「……あっ、そうだったわ」
ノアへの返事を聞いた瞬間に抱きしめる力が強くなっていたユウカだったが、そのノアの言葉で思い出したのだろう、モルフォを解放すると、傍らに置いていた書類を手に取る。
「はい、これ。晄輪大祭の書類なんだけど」
「晄輪大祭?」
晄輪大祭。所謂キヴォトス全体の学園が参加する体育祭である。今回の晄輪大祭はミレニアムが主催となって開催することが決まったようなのだ。
「既にチヒロ先輩やウタハ先輩、他はスミレには話を通してあるんだけど……ミレニアムらしい競技や設備をってことでゲーム開発部にも協力してもらいたいと思ってるの」
「私は構いませんよ。今はそこまで忙しい時期でもありませんし……まあ、後でユズや皆にも聞いてみます」
「そうしてくれると助かるわ。一応前回の晄輪大祭のスケジュールやプログラムもこれには載ってるから参考までに目を通しておいてね」
どうやらモルフォに渡された書類はモノクロのコピーのようだ。後で皆で読むことにするとして、ユウカから受け取った書類を懐にしまい、セミナー室を後にするのだった。
★
「……うーむ」
「どうしました?」
ヴェリタスの部室で書類とにらめっこしながら、ハレが溜息を吐く。その様子に気付いたコタマがヘッドフォンを外して声をかけると、ハレがその書類をコタマへと見せる。
「晄輪大祭?ああ、そういえばもうそんな時期でしたっけ。いやぁ前回が懐かしいですね」
「……すっかり忘れてたけどね私」
「まあ、ハレは二年生ですからね。高校生で最初で最後の晄輪大祭なわけですからそりゃあ知らずにいてもおかしくはないと思いますよ。中三だと関係ない人は本当に関係ありませんから。しかしこうなるのを見るとなんで二年毎なのかはいまいち理解に苦しみますね……三年毎にすればいいのに」
それは、チヒロが受け取った晄輪大祭に関する書類であった。今抱えている案件が終わったら部室で改めて話をしようと思い、先に書類だけ置いてコタマ達に目を通してもらおうという考えで置いてあるものだ。
「まあ、色々機材とかの準備とかするのは別にいいんだけど……運動か……」
「……まあ、きついですよね……私達には」
「私達が主催になる上に学園同士での戦いになるわけだから……ユウカは絶対優勝に燃えるだろうし……それを求められても私達はきついんだけどね……全部の競技にC&Cが出ればいいのに」
「それがまかり通ると他の学園も含めてバランス調整がおかしくなるので駄目ですね。気持ちはわかりますが……」
「全ての競技にネル先輩やゲヘナの風紀委員長、トリニティの正義実現委員会委員長が出てくる地獄絵図……」
「これは実況解説のクロノスもヒエッヒエですよ」
晄輪大祭に対するモチベはいまいち高くない。というかなんで引き受けたの?とすら思うが、これにはミレニアムはどれくらいの技術力を保有しているのかを大々的に見せる良い機会になるということで引き受けたという背景がある。もっと言えば、エリドゥを始めいくらなんでもこれは見せちゃダメだろうという極秘技術を隠すために周りに誤解させるためのものでもあったりする。
「……そういえばマキは読んでるんですかこれ?」
「多分読んでないと思う。私と一緒で知らないだろうし……多分ゲーム開発部にいるだろうし渡してくる?」
「後で副部長が来たら話をするでしょうし、一回目を通させた方がいいと思いますよ。私は二年前を知ってるのでまあ、後で軽く目を通しておけば大丈夫でしょうし」
「……じゃあ、持っていこうか。ついでに遊んでくる」
「あんまり遅くならないようにしてくださいね」
二人の話が終わり、コタマはヘッドフォンを付け直して何かをし始める。どこの音を拾っているかについては問わないのがマナーだ。そしてハレは書類を手にゲーム開発部へと向かうのだった。
★
「晄輪大祭?へー、そんなのそういえばあったっけ?」
「言われて思い出したよ。そういえば二年前あったね」
「私達には全く関係ないことだったから……」
「それって楽しいイベントなんですか?」
「まあ……キヴォトス中の学園の生徒が集まるから盛り上がるのは確かだと……思う」
「それは楽しみです!」
妖怪MAX片手にゲーム開発部をハレが訪れたのと、モルフォがセミナーから戻ってきたのは同時であった。そして晄輪大祭についての話もそこそこにしつつ、マキ達が何のゲームをやっていたのかを聞いてみることにする。テレビに接続されたそれはモルフォの能力で生まれたゲームキューブの画面を映しているあたり、これもそういうゲームなのだろう。
「そういえばマキ達は何やってたの」
「えっとねー、ロックマンエグゼってゲーム」
ロックマンエグゼ。それはインターネット技術が発展した世界を舞台とした物語であり、人間はネットナビと呼ばれる疑似人格プログラムと、彼らが入る端末であるPETを所有し、日々を過ごしている。そんな中、主人公である光熱斗とそのナビであるロックマン.EXEはWWWと呼ばれるネット犯罪者集団が引き起こす様々な事件に巻き込まれていくことになるのだ。
「……ふーん、AIを操作してやるゲームね……まあ、興味はあるかも」
「折角だしハレ先輩もやってみたらどうですか?」
「そう?じゃあやってみようかな」
「どうぞ、丁度今はストーンマンを倒して眠った後なので区切りもいいところですし」
モルフォに誘われ、折角ならとハレがコントローラーをケイから受け取る。話としては中盤に差し掛かったところであり、ケイがストーンマンというWWWのネットナビを撃破した後に熱斗が部屋に戻って眠り、話に区切りがついたところだったため、操作する人が変わるのにちょうどいいタイミングであったといえる。
「……なんか最初から凄いことなってない?」
目を覚ました熱斗は土曜日だが学校がある日ということで急いで学校へ行こうとする。しかし、そこで母のはる香から水が出ないと言われ、喉をカラカラにした状態で登校することになってしまう。しかし、学校で聞かされたのは、熱斗が住む秋原町どころか、秋原町が存在するデンサンシティ全体で水が出なくなっているというまさかの事態。
「なんか一気に事件のレベルが上がったね……」
「そうなの?」
「さっきまではメトロ止めたり、家がちょっと火事になったりした程度であんまり大したことなかったんだけどさ……」
「火事は大したことあるんだよなぁ……」
そんな状態で学校などまともにできるわけもなく、臨時休校に。それを受け、熱斗とロックマンは水道局へ向かい、原因を調べることになる。
「……えっと、これからどうすればいいの?」
「あ、そういえばハレ先輩知らないんだっけ……」
「実は熱斗の父親は凄い科学者らしいんです!なのでそのライセンスを借りる必要があるんですよ!」
「成程、ライセンスが必要とか言ってたけどそういう感じなのね」
ここで熱斗の父親である祐一朗は凄腕の科学者であるという事実を知ったハレは、早速父のライセンスを拝借することにする。父が不在の研究室に入り、白衣から父のライセンスを手に入れて水道局へ。その後、一通り水道局を見学し、局員からもう少しすれば復旧するよと言われるも、何かおかしいと感じた熱斗達は人がいなくなる深夜まで待ち、再び水道局へ。そこで水道局にプラグインと呼ばれる、ナビを電脳空間へ送り込む行為によってロックマンを送り込む。
「……そういえば、どうやって戦うの?」
「あ、これはですね……」
そして、探索する道中、ウイルスとの戦闘が開始される。ロックマンエグゼの戦闘では6×3の18マスの中の自キャラが動ける9マスの中で操作し、動かしていきながら敵の攻撃を避け、こちらの攻撃を当てて殲滅していくというアクション要素を取り入れている。ロックマンには二段階式のチャージショットという武器があるが、これだけでは武器としては不十分。そこで使われるのがバトルチップである。
「……成程、同じチップか同じコードか、そのどっちかか……しかし、結構チップ強いんだね?パラディンソードにポイズンアヌビスに……コードがバラバラなのは気になるけど」
「……このゲームのチップガチャ、リセマラできることに気付いちゃって……」
「昨日、大量にチップ稼いでガチャで強化しようって皆で調子乗って稼いだら……」
「なのでまあ、申し訳程度に強いチップをぶち込んでコードをバラバラにする形で誤魔化してるんです。さすがに適正のフォルダではないってことはわかったので」
だがここでハレが使おうとしているフォルダにも問題があった。それは明らかにチップ間のパワーが違うのだ。ある程度コードを整えて同時に複数選べられるようにしているものもあるのだが、そういったチップはダッシュアタックやガッツマンなど、威力が控えめのものも多いのに対し、パラディンソードやポイズンアヌビスといった明らかに攻撃力が三倍以上は高いチップも紛れている。敵ウイルスの攻撃力も中々に高いが、ポイズンアヌビスを置けば簡単に毒殺できるし、パラディンソードの頼れる火力で叩ききれるしで戦闘はそこまで苦労することはない。そんなこんなでダンジョンをクリアし、水が出るようになったということで熱斗達は秋原町に戻るのだが。
「……水が紫色なんだけど?」
「うわぁ、明らかにやばい排水みたいな色してる」
「いやこれ飲もうとしてない?いやいややばいって」
「うげぇ……飲み物飲んでる時に見せてほしくないよ」
そこには紫の水が。そして水不足に苦しむ町の大人たちが次々と明らかにヤバイその水を飲み、次々と倒れていってしまう。その様子に苦言を呈しながら妖怪MAXを飲み干したハレは、今度こそ事件を解決するために物語を進めていき、遂に水道局の電脳の再攻略を開始。ボスであるアイスマンを倒して事件を解決するのだった。
「でもこのブルースってやつイケすかないね……」
「いずれはこいつとも戦うんだろうね……まあ、負けることはなさそうだけど」
まだボスとは一体しか戦ってないためなんとも言えないが、どちらかというとボスよりもウイルス戦の方がきつい、そんな印象がある。今後、やばいナビが出てきたら話は変わってくるが今のままならば問題ないだろうと、一年生達が見守る中、ハレは続きをやっていく。
「今度は誕生日プレゼントを買いにか……水道局と違って大分平和だね」
「……そうですね」
含みのありそうなモルフォの呟きに、これは何かあるなとゲーマーの勘が囁く。そして案の定、クラスメイトの桜井メイルと共にクラスメイトの誕生日プレゼントを買いにいった熱斗はそこで再びWWWの事件に巻き込まれることになり―――
「いやこれはダメでしょ」
「大怪我確定で入院ものだよ!」
「車が激突して跡形もなく……」
この世界では信号機も完全制御されており、車は自動運転となっている。そのため、それをWWWに狂わされた結果、車同士が激突する大事故が発生してしまう。おそらくはそういう詳細な事故描写をやるわけにはいかなかった可能性もあるが車同士が激突、大爆発と共に車が消滅すると言う絵面は逆にやばそうにしか見えない。そんなこんなで次のボスであるカラードマンを倒し、今度は父が働く科学省の地下で行われるパーティに一緒に参加することになる。だがここで、ハレは今作最強のボスの一角と相対することになる。
「なんかこいつおかしい!WWWより強い!!」
「この鮫強いですね……」
「な、何かこれまでと明らかに難易度が違います!」
「突進の無敵エッグ……」
「後本体がどこにいるかわからないのが一番きつそう」
その名はシャークマン。鮫をモチーフとしたネットナビで、バトルする時はデコイとなるヒレ二つと共に出現するナビだ。このナビはまず本体に攻撃を当てないとダメージを与えられない、デコイは完全無敵、本体も突進している間は無敵なせいでタイミング次第ではデコイかどうかも判別できないという、今作でも屈指の強敵となっているのだ。
「ハレ先輩、プログラムアドバンスですよ!」
「え、ぷ、プログラムアドバンス?」
「特定のチップを指定された順番でスロットインすることで、プログラムアドバンスという強力なチップに変換されるんです!」
「確か順番は……ダッシュアタック、メットガード、ガッツマンだったかな?」
「えーと、ダッシュアタック、メットガード、ガッツマン……お?ガッツシュート……500!?え!?こんな火力出ていいの?五倍だけど?」
「そうだよ!ハレ先輩、まだ私達にはこれがある!」
「よし、いけガッツシュート!」
直前にロックマンのメイン武器であるバスターを使ってデコイの二機を判別し、本体を割り出したうえでガッツシュートを発動する。画面が暗転し、ガッツマンが出現、ロックマンを掴んで横一列に放り投げ、命中した敵に大ダメージを与える強烈な一撃が、
「……は?」
シャークマンを傷つけることなくその突進攻撃でロックマンをデリートしてしまった。そのことにハレは呆然となってしまう。
「これは……丁度突進攻撃に入って無敵になってたんですね……」
「タイミングが悪かったですね……」
「……今度はシャークマンになんか負けない……!」
プルプルと震えながらも、再度シャークマンに挑戦。相変わらず苦戦はし続けるものの、どうにかシャークマンを倒しきったハレは、やっと本筋へと戻り、水道局の電脳で出会ったブルースというナビのオペレーターである炎山ともツンツンした感じの会話をしつつも、パーティに出席。そこに現れたWWWのオペレーターが停電を引き起こす。このパーティ会場は地下の水中の中にあり、酸素が供給されなくなったことで全員が窒息の危機に陥ってしまう。それを解決するため、熱斗は発電所の電脳へロックマンを送り込むのだが。
「このダンジョンきつい!」
「うわ……サイバー電池を二回使うと充電するのきっつ……」
「リセットしますか?」
「……最悪それも考えようかな……往復して電池を回復しながら、ってのが本来のやり方なんだろうけどね……さすがにこれはねえ」
「後地味にPETのバッテリー切れで充電の為にボタン連打するのも……一回一回は大したものじゃないけどさ」
この発電所の電脳はエグゼ1の中でも特に難しいギミックとなっている。その理由は、サイバー電池と呼ばれるアイテムを、正解の箇所にはめ込んで電源を点けることで道が出現するという内容にあるのだが、問題はこのサイバー電池、そのままの状態では二回しか使えず、一回電池切れになったらまた充電し直さないといけないのだ。そしてここでは凶悪な電気属性のウイルスも出現するため、往復することでそういったウイルスとも戦うことになるのだ。最初の方は律儀に付き合っていたハレだったが、電池がどんどん増えていくにつれて匙を投げたのかリセットを繰り返して強引にクリアする方針に切り替えていた。
「よし、これでやっとボスだ……」
「エレキマン……うーん無敵?」
「じゃあイベントが入りそうだね」
「じゃあ適当に攻撃していこうか」
ボスのエレキマンは当初は無敵なのだが、その理由が発電所の電力全てがエレキマンに注がれており、それによって異常なまでの回復力を得ているからだと判明。同時にそれが停電の理由だと判明したことで熱斗は発電所の電流を全身に浴びながらも電源を落とすという強硬策を敢行。それによってエレキマンの無敵を解除するのだが、
「いやこれで無傷はおかしい」
「小学生なら入院するぐらいの怪我してもおかしくないよね」
「このゲームの人間は頑丈だね……」
(実際身体能力があれなのは否定できないからなぁ……)
感電してても悲鳴を上げて苦しんだのはその一瞬だけですぐにケロっとし出す熱斗には皆ドン引きであった。が、モルフォは続編のエグゼ3で戦車の機関銃斉射をその場でステップして避けるというお前人間じゃねえ!って言いたくなるような描写を知っているため、そんな超人ならこれぐらい耐えても不思議じゃないよなぁと改めて思っていた。
「……うわ、このブルースと炎山酷くない?」
そしてエレキマンを倒したのはいいものの、今度はエレキマンを追ってきたブルースと戦闘になる。このままエレキマンから情報を抜き取ればWWWのサーバーの在処がわかったはずだと言い、ロックマン達を敵と認定して襲い掛かるブルース。ブルースはソードを操り、シールドで攻撃を防ぐ厄介な技を持ってはいるのだが……
(……弱い……)
「シャークマンの方が強くないこれ?」
「いやシャークマンが強すぎるだけだよお姉ちゃん」
「マサさんをオフィシャルにした方が強いんじゃ」
「それ以上は言ってはいけません」
「と、ともかくガッツシュートで終わりです!ハレ先輩!」
「オッケー、決めちゃうよ」
さすがにシャークマンの方が強かった。いやこの場合はシャークマンが本筋に関係ないからこそ強すぎると言うべきかもしれない。ともかく、ブルースは哀れにもガッツマンに打ち倒されてしまう。戦闘の内容はともかくとしてイベント的にはその一戦を経てブルースにも心境の変化があったようで、多少はロックマン達への態度が軟化した様子を見せつつも今回の戦いは終わることになる。
「それにしても、随分と人間そっくりだよねこのネットナビって」
「あー、言われてみれば?」
「まあ姿は全然違うけど……」
エレキマン、ブルースとの戦いが終わると話はWWWの本拠地へ続くサーバーを探すというシナリオへ突入する。お使いイベントをこなしていきながらも、落ち着いてきたタイミングでハレはずっと抱いていたことを口にする。
「まあAIの姿はある意味自由だからね。どっちかっていうと人間の方が何かやばいけど……」
「ゲームの都合と言ってしまえばそれまでだけどこの世界の人間には何かあってもおかしくなさそう……」
実際この世界は呪いとかそういうのもあったりするし、エグゼでは後の作品で身体的な意味でやばいことをやり始める人間が度々登場したり、さらには未来の出来事である流星のロックマンに登場するキャラであるソロのように肉眼で電波を視認したり自力で電波変換したりする人間もいるのである意味人間の方がやばい、という意見は合っているのかもしれない。
「……うーむ、ドリームウイルス……終末戦争……」
多少時間はかかり、背景が変わらないせいで今回のシナリオで入ることになるウラインターネットの場所に迷ったりしつつもWWWのサーバーを守るボンバーマンを撃破し、遂にアドレスを入手。それを父に渡し、WWWの本拠に熱斗も向かうことが決まったところで一睡することになり、翌日。ここまでのシナリオで究極のプログラムを集めていたWWWのボスであるワイリーは遂にドリームウイルスを完成。それを用いて終末戦争を引き起こし、世界を治めようとする。それを止めるため熱斗とロックマンはWWWが使用していた隠された地下メトロを使って本拠地に乗り込んでいく。
「ここがラスダンですね!」
「こういう時はボスとかもいそうですが……」
本拠地を、これまで出会ってきた人やナビたちと協力して攻略していく熱斗達。ラスダンはこれまで攻略してきたダンジョンのギミックをもう一度やっていく内容となっていたのだが、そうなれば当然、
「またサイバー電池か……」
発電所のサイバー電池も再来するというわけだ。苦虫を噛み潰したような表情でエナドリを飲み干しながらハレはまたサイバー電池に挑んでいく。そして発電所ゾーンもクリア目前、といったところでWWWの残っていたナビであるマジックマンが出現。マジックマンはウイルスを召喚してロックマンを追い詰めてくるという中々に厄介な戦法を取ってはいるはずなのだが、リセマラによって手に入れたチップ以外にも、普段のウイルス戦で手に入れた強力チップを突っ込んで水準を上げていたのもあり、全く相手にはならなかった、のだが。マジックマンに勝利したのも束の間、マジックマンはドリームウイルスのデータでパワーアップし、一瞬の隙を突いてロックマンを撃破。ロックマンはデリートを待つ身となってしまう。
「うわっ……面倒なことを」
「ろ、ロックマンが死んでしまいます!」
「落ち着いてくださいアリス、さすがにここでデリートなんてことには……」
そこにブルースが現れ、マジックマンを仕留めるものの、時すでに遅し。が、炎山が熱斗に祐一朗から受け取ったというsaito.batを渡す。そこで祐一朗から明かされたのは、熱斗には双子の兄、彩斗がおり、H・B・Dと呼ばれる心臓の難病で死んでしまったこと。その際に熱斗とDNA構造が一緒であることに目をつけ、そのDNAを元にロックマンを作り出したこと。だが、ロックマンと熱斗のシンクロ率が高くなりすぎたことでロックマンの受けた悪影響が熱斗に及ぶ危険性を考慮し、そのDNA構造を一部だけ変更しているということ。このsaito.batを使えばその変更を無くし、ロックマンは本来の姿を取り戻すということを。
「……いや待って?」
「ま、マッドサイエンティスト……」
「死んだ人間をネットナビに?いやいやいや……」
「えーと、つまりロックマンは熱斗のお兄さんってことで、これまでシャークマンに何回もデリートされてたロックマンは……」
「シャークマンは忘れて」
彩斗が生きた証を残したい、という理由でロックマンを生み出したことに関しては理由は理解できる。理解できるがいくらなんでもこれはないだろう。ざわつくハレ達を尻目に、フルシンクロ状態に持ち込めば熱斗の状態をロックマンの方に反映させることで復活させることができるかもしれない、という祐一朗の言葉に、熱斗は覚悟を決めてsaito.batを組み込む。そして、熱斗の声が届き、遂にロックマンは復活。全ての真実を知った熱斗にロックマンは今まで黙っていたことを謝るも、熱斗はそれを気にせず、二人は改めて自分達の友情を確かめ合い、今度こそWWWの野望を食い止めることを決意する。
「……いいイベントだね」
「うん、主に父親についてツッコミどころはあるけどいいイベントだと思う」
「いやまあ……AIを作るのにここまでのことはできない。まあロックマンを作った時は大分狂気に塗れてそうだけど」
「他のゲームだと大切な人が死んでストッパーに誰もなることができず、なまじ才能だけはあったから突き進めてしまった悪役マッドサイエンティスト一直線ですよねこれ……」
「本人が心の底から善人なのと功績がありすぎるから相対的に許されているタイプであってこの話もこうならなきゃ墓まで持っていってそうですからね……」
saito.batの影響でパワーアップしたロックマンと共に、熱斗は遂にワイリーと対峙。ドリームウイルスとの最終決戦に臨むことになる。ドリームウイルスはドリームオーラと呼ばれる100以上のダメージを一度に与えないと割れないバリアを持っており、さらにドリームビット系と呼ばれる四属性のビットを召喚して苛烈な攻撃をしてくる強力なボス……なのだが。残念ながらそのHPはたったの1000しかなく、パラディンソードやらダイナウェーブの連打やらで速攻でHPを刈り取られてしまう。
「……まあ、ボスについては何も言わないよ」
擁護するとすればマジックマンからの連戦にならざるを得ないが故の調整なのだろう。いずれにせよ、ドリームウイルスを倒した熱斗とロックマンは他の皆と共に、爆発するWWW本拠地から脱出。世界は救われ、エンディングを迎えることになる。
「まあ、そうだね……いい意味でツッコミどころが多くて見てて楽しいゲームだったね。戦闘も戦略性とかあるし、フォルダとチップ構成も作り方次第では幅が出そうだし。ウイルスとかナビ戦だったらともかく、対人戦とかやったら一気に複雑になりそうで楽しそうだね」
ゲームとしては短めだが、それ故にさっくりできて楽しいゲームだったとハレは感じていた。エグゼ1だけの話だが、戦闘後はHPが全快する仕様のおかげで、その前提で敵の攻撃力もインフレを起こしているのを考慮してもある程度被弾を恐れずに戦闘できるのはハレにとってはありがたかった。そこから、チップを入手したりすることを考えれば被弾なしで戦う必要があるため、難易度も上がるというのも面白い。
「しかしネットナビか……こういうAIがいるのも面白そうだよね」
「確かに、いたら便利そうだよねー」
続けてハレのネットナビに対する言葉に同意するようにマキも頷く。その様子を見ながら、今のケイがある意味それに近い状態なのかなとモルフォもぼんやりと考え始めるのだった。