転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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美甘ネル達とマリオパーティ3

「うがあああああ!!」

 

ゲーム開発部の部室からネルの悲鳴が上がる。その様子は画面内で有り金を全て溶かされている光景に向けられていた。

 

「ギャンブル失敗しましたねぇ」

「おかしいだろこいつ!ギャンブルやらせるにしても所持金全部賭けさせるんじゃねえ!!」

「まあヘイホーなんてそんなもんです」

 

ネル達がプレイしていたゲームはマリオパーティ3。以前ゲーム開発部とC&Cでマリオパーティ2をやったことはあるが、3はその次回作となる。前作から様々な変更点や改善点、追加要素があり、ゲームとしても一気に幅が広がった名作だ。

 

「くそ、何なんだこのルーレットはよぉ……!」

「ネル先輩……運がクソですね!」

「ああ!?」

「アリス……本当の事を言ってはいけませんよ」

「こ、こいつら……!!」

「二人ともやめなさい」

 

一緒にプレイしていたアリスとケイの煽りに青筋を浮かばせながら震えるネル。たまらずモルフォがアリスとケイを窘める。

 

「それに屑運を言い出したら二人もどっこいどっこい……」

「うっ」

「……」

 

丁度さっきまでサイコロで低い数字ばっかり出てきてまともに進めずにいたケイや、そもそもアリスもギャンブルで有り金を全て溶かした側である。残念ながらこの場でネルの運に口を出せる人物は誰もいない。

 

「まあ私も蜃気楼のスター引きまくってるからお相子なんだけどね。いやぁこんなことあるんだ……」

「そっちはそっちである意味凄いよな……全部本物ならモルフォがトップになってただろうし……」

 

四人が遊んでいるマップの名前はジリジリさばくと言う灼熱の砂漠である。ここは昼と夜をそれぞれ再現したスペースで分かれており、さらにここでは通常のスターに加えて蜃気楼のスターも出現するという特殊なギミックが存在している。蜃気楼のスターに遭遇すると、その蜃気楼は消えてしまい、スターを入手できなくなってしまうのだ。そのため、最初に本物のスターを引き当てるか、蜃気楼を暴いた後に本物のスターを手に入れる必要があるのだが、モルフォはいち早くスターに辿り着くことができても蜃気楼を引いてしまい、本物のスターを他の人に取られる、という光景が二、三度目撃されるという事態になっていた。

 

「とはいえゲームなんてこんなもんですよ。それに運はその内揺り戻しが来るんです……ほら!今回は本物ですよ!!」

「やりましたね、モルフォ!」

「ここまでくると対戦相手とはいえ素直に祝福したくなりますね」

「まあ……よかったな……って待て。お前コイン大量にあっから今のままだと……」

「ネル先輩がビリになります!!」

「言うんじゃねえ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ……ま、負けた……なんであいつらあんな強いんだよ畜生……」

 

数日後。ネルにしては珍しく肩を落としながらシャーレに向かって歩みを進めていた。リアルファイトなら今だに負けなしのネルでも、ゲームに限ってはこと勝率はよくない。ゲーム開発部やC&C内ではもちろん、最近ではゲーム開発部に時折入り浸る他の後輩にも負けることも多い。ネルの名誉のために言うのであれば決してゲームの腕が下というわけではなく、単にミレニアム生徒のゲームの腕前のレベルが一年生を中心に高めなだけなのだ。よく負ける印象があるモモイでさえ数はこなしているので普通に中の上以上はあるし要素さえ噛み合えば普通に格上相手にキリングをこなすのだ。

 

「……くそ、これじゃ駄目だ。どっかで鍛えねえと……今度こそ運が悪かろうがあいつらに勝ってやる……そのために特訓だ……まずはゲームに勝てるようにならねえと……」

 

そう言いながらシャーレに向かうネルは、今日はシャーレの当番ではない。その目的は単純、ホシノを相手にゲームの腕を上げるためだ。幸いホシノの腕前自体はネルと互角ぐらい、相手としては過不足ないレベルである。ゲーム機自体は事情を知っている先生の所にもあるし、ソフトはモルフォに訳を話していて既に借りてきている。ホシノ相手にマリオパーティ3を練習して強くなる、そして今度こそ一年たちをギッタンギッタンにしてやると思いながらシャーレの扉を開けると。

 

「……え、美甘……ネル……?」

「……あれ?先生じゃない?なんでネルちゃんが……?」

「……んあ?なんでお前らが……」

 

そこにいたのは、なんとミカとヒナであった。オフィスに座りながらヒナはぼーっとしており、ミカは手鏡を取り出していて、突然のネルの来客に二人とも驚いている様子であった。

 

「なんでって、私達は当番で来ただけなんだけど……」

「あんまりシャーレの活動にこういうの持ち込むのはどうかなー?って思ってるんだけどさ、先生が融通を利かせて私とヒナちゃんを当番に入れたんだよねー、調印式で色々あったけど一応一緒にシャーレの当番をやれるぐらいには関係は収まってますよみたいな?」

「それぶっちゃけていいのかよ」

「ネルちゃーん、先生~遊びに来た……うへ?なんか凄い面子になってない?」

「ホシノ!?」

「あれ?ホシノちゃんまで?いや本当にどうしたの?」

 

さらにネルの後ろからホシノがひょっこりと顔を出したのを見てヒナがさらに驚いたような顔を見せる。ミカはいよいよ困惑を強めていると、

 

「いや、こいつらがシャーレの当番らしいんだよ」

「あー、そういう?とんでもない偶然だけど」

「仕込みだぞ」

「仕込みかー……政治は大変だねぇ。私達はちょっと遊ぶために部屋を借りに来ただけだから気にしなくていいよ~」

「遊ぶためにミレニアムに連れてくのは色々面倒くさいからな……」

 

簡単にネルが二人の事情をホシノに伝え、ホシノがネルとここを訪れた理由を口にする。それによってミカとヒナも事情を知ることになる。しかし、

 

「……えっと、何でシャーレに?というか遊ぶだけでミレニアムまで行く必要あるの?」

「あー……どうする?」

「んー……まあこの二人ならいいんじゃない?モルフォちゃんの事聞いてるし……」

 

そもそもこの二人は例の話を先生から聞いてるのかどうかという点が気になってくる。しかし、モルペウスについての話は現場にいて二人とも聞いていたのだ、それなら問題ないと判断したホシノの言葉を聞き、

 

「あー、まあ……いいか……一応知らねえ仲じゃねえし……」

 

ネルも悩みつつも、最終的には話すことに同意したように頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……キヴォトスの外のゲーム、とは先生から聞いてはいたけどそういう真実があったのね」

「まあ、あの子が不思議な力を持ってるのは色々聞いちゃってたからね……今となっては不思議じゃないっていうか?まあナギちゃんとかはセイアちゃんの力の影響かな?とか思ってるみたいだけど……あれミネちゃんどう思ってるんだろこれ」

 

その後、モルフォの形にしてきたゲームの事も説明しつつ部屋を移動する四人。ちなみにヒナとミカも同行してきたのは単純にやることがなくなったからだ。というのも、先生はシャーレでの仕事が早めに終わったことや連邦生徒会に呼び出しを受けたのもあってそちらに向かっているのだ。ミカとヒナについては一応先生には一報を入れた上で一緒の部屋に上がり込んでいた。

 

(この二人もちゃっかりやってたのは意外だったが……まあ、実力はどうせ大したもんじゃないだろ)

 

64の奇怪なコントローラーの形状を興味深そうに見ている三人を見ながら、これは勝ったなと内心ほくそ笑むネル。多少やっていたところでどうせ触りとか暇つぶしとかその程度のものだろう。ミカなんて見るからにゲームと無縁そうなお嬢様だし、ヒナに至っては普段の風紀委員長業務に加えてエデン条約関係で動いていたのだ。ゲームをやる時間すらまともに取れないだろう。それよりもホシノがどれくらいやるかどうかが未知数なのが気になるぐらいかと考えていたのだが。

 

「……がああああ!!また負けた!!」

「ネルちゃんまた負けちゃったねえ……」

「てめえは2対2だから勝っただけじゃねえかよ畜生……!」

 

が、いざ蓋を開けてみればこの様であった。なんとヒナが独走状態。二位にミカが入り、三位がホシノ、そして四位がまさかのネルという状態。しかもヒナだけがスターを三個持っているし毎ターン行われるミニゲームもほぼ勝つという無敵状態であった。

 

「なんでこんなに強いんだよ……!」

「……時間が取れないから積んでいるだけで普通にゲームはやるって前言ったような気がするのだけど……」

「でも意外だよねー、一番ゲームやってそうなネルちゃんがビリなんて」

「言うなああああ!!」

「うへ、うへ……さっきからハプニングばっかで全然コイン溜まんないよー」

「ホシノちゃんは普通にドンマイ……」

「……畜生、畜生……まだ、まだだ……」

 

四人が遊んでいるステージはひえひえレイクという、マリオパーティ3でも初心者向けのステージだ。ステージギミックとしては凍った湖と雪玉によるハプニングイベントが存在しており、ハプニングマスや道中に存在する巨大な雪だるまを利用することで雪玉がコースに投げられ、その雪玉によって強制移動させられたり、或いはジャンプすることでそれを避けたりすることができる。また、湖に張られた氷に関してはその上に二人以上乗っていると氷が割れ、スタートマス付近まで移動させられてしまうというギミックが存在している。なお、この氷の湖には坂が存在しており、確率で越えられず、その場で移動が止められてしまうという仕様もあるため、そのせいで二人以上が氷の上に乗ってしまい、まとめて追いやられることもあるのだ。

 

「……へ、へへ……こいつさえあれば……」

 

ニヤニヤと悪い笑みを浮かべるネル。ネルが操作するマリオがアイテムマスに止まり、そこでアイテムを手に入れるミニゲームをクリアして手に入れたのは紫色のベル。それを見つつ、やっとハプニングマス地帯をある程度通って北東の方までたどり着いたホシノは、スターを手に入れるにはさらに一周しないといけないのが面倒だなと考えながらピーチの歩みを進めていく。

 

(……次で高い目を出さないとミカに取られてもおかしくないわね……期待したいところだけど)

 

次のスターの位置と一番近いキャラは自分ではあるものの、ミカ曰くなんか愛嬌があって可愛いしちょっと気に入ったと言って選択したドンキーも近いと把握したヒナは冷静に考えながらデイジーの歩みを進めていく。今回は四人とも全員同じ青のマスに止まったようで、四人対戦のミニゲームが始まる。またヒナの独壇場になるかと思われたが、今回のミニゲームはおっこちパラソルという名前のゲーム。これはコインミニゲームと言われる、ゲーム中に手に入れたコインがそのまま本人の取得コインになるというゲームである。

 

「ふーん、今回はコインさえ手に入れればいいのかな?」

「そんな感じだろ……まあ、これなら確実に稼げそうだな」

「丁度よかったかなこれは?」

「どう動くのが正解なのかしら……」

 

パラソルを開閉しながら落下と浮遊を繰り返し、ハンマーブロスという亀のようなキャラが投げるコインを集めていくシンプルなゲーム性。しかし、ハンマーブロスが投げるのはコインだけではなくハンマーも混ざっており、それに触れると一定時間操作不能、コインに触れても回収できなくなり落下してしまうというペナルティが発生してしまう。そういった部分にも気を付けながらコインを集めていく。最終的にコツをいち早く掴んだヒナが一番稼ぐ形でゲームが終了したが、

 

「まあこんだけ取れりゃ充分だろ……よし、50いったな……」

「?」

「そろそろアイテムも使った方がいいのかなぁ、三個あってもって感じだし」

「あー、三個あるともう使えないんだっけ?」

「のろいキノコ、さかさまキノコとかどこで使えばいいんだろうねぇ……」

「ホシノちゃんなんでアイテム袋なんて引いたの……?」

「さあ……?でもミカちゃんも何か引いてたし……なんかいい感じのアイテムありそうだったし」

「私まだ一個も使ってないけどね?」

 

コインの枚数にしめしめと笑みを浮かべるネル。一体ネルが何を企んでいるのか分からず訝し気な表情をヒナが浮かべている横でホシノとミカは手持ちのアイテムについて話していた。今作ではアイテムショップの店員がキノピオとミニクッパで分かれており、どちらが出るかはアイテムショップを訪れるまで分からなくなっている。基本的にキノピオはプレイヤーの行動を助けるものが多く、ミニクッパの場合は相手の妨害をしたり、使い方次第で自分の行動を助けることにも使えるトリッキーなアイテムが多い。そして両者に共通するものとしてアイテム袋というものがあり、これはそれぞれが売っているアイテムを持てるだけ、ランダムに選んでもらえるというものだ。最初にミカがキノピオを、ホシノがミニクッパのアイテム袋をチャレンジしたせいで一時期コイン難に陥ったものだが。

 

「さーて、まずはテレベルを使ってテレサを呼んで……」

「……ん?50コインって……」

「!?ま、待ちなさいネル、あなたまさか―――」

「そんだけスターがあるんだから一個ぐらい貰ってもいいだろ、50コイン使ってんだからよ」

「よくない!?」

 

テレベルはテレサを呼ぶアイテムだ。そして呼び出されたテレサは5コインで相手のコインを、50コインで相手のスターを一個奪ってくる。その力で50コインを消費したネルは、なんとトップのヒナからスターを奪い取ってしまう。

 

「な、な、な……」

「うわーえげつない……」

「まあ、トップだとタコ殴りにされるゲームだからな……それに色々文句言いたくなるのはまぁわからなくもねえけど……でも下の順位なら最高だな!!」

「酷いなぁ……あっ、そういえばここテレサのいる所だっけ……その前にこれどうしようかなぁ……最大三マスまで移動するアイテムってどう使えば……」

 

逆に移動するさかさまキノコに移動マスを最大三マスまでにするのろいキノコ。どこで使うんだと思いながらマップをぼんやり見ていたホシノだったが、ヒナの操作するデイジーに目が向かう。

 

「……ミカちゃんはまだスター0ってことは……これを……」

「ちょっと待って!?」

「あっ、ラッキー」

 

迷わずのろいキノコをデイジーに使い、最大移動数を一気に減らす。これでヒナはこのターンでスターを入手できなくなり、そのチャンスはミカに降りかかることになる。

 

「な、なんてことを……」

「で、テレサ……50コイン、か……」

「……え?」

 

ちらと自分の所持コインを見てから、もう一度テレサのメニューに目を向ける。ホシノが何を企んでいるのかに気付いたヒナが縋るような視線と共に声を絞り出そうとした時には既に、

 

「ちょっとホシノ……」

「あっごめんもう貰っちゃった」

「ホシノ!?」

「まだトップだからセーフセーフ」

 

ヒナの残り二個あったスターは残り一個へと減らされてしまい、ホシノの懐へと入れられていた。トップにいたはずなのに両脚をホシノとネルにそれぞれ引きずり降ろされたヒナは呆然となりながら目の前の光景を見るしかない。

 

「の割にはサイコロの目終わってんな」

「うーん、いやこれありじゃない?キノコの使い方わかってきたかも」

「じゃあ次は私の番だね、ここは確実にスターを手に入れて逆転しちゃうよー、ここでこのスーパーキノコは使うべきだよね!」

 

無言のままターンを終えたヒナに代わり、サイコロを三回振れるようになるスーパーキノコを使用したミカが遂にスターをゲット。全員がスターを一個ずつ入手し、コインの枚数勝負になるというデッドヒートに突入していく。

 

「うへ、やるねぇミカちゃん」

「いやぁまだまだ勝負はわかんないよ?」

「それにターン数もあんま残ってねえしな。この後でスターを手に入れた奴が勝てそうだが……とりあえずミニゲームか……」

「……負けない……ミニゲームは負けない……!」

 

とはいえ、ミニゲームの勝率は今の所ヒナが一番だ。コイン勝負になったのならここでコインを稼ぎ直せばいい。隣で不穏な気配を漲らせるヒナの威圧感を感じたのだろう、さすがにやりすぎたか?と思わずネルも冷や汗を流しながらミニゲームに臨むが。

 

「ぐおおおお……か、勝てねえええ……!」

「……これでアイテムが買える。確かスターに一気に移動できるアイテムもあったはずよね……」

「……お前もうそこまでコイン溜めてたのかよ……!」

「うーん、スター遠いなぁ……」

「くっそ……どうにかならねえのかこれ……」

「うーん、なるかなぁ……?まあ頑張ろうかー」

 

スターの位置に一瞬で移動できるまほうのランプ。それを手に入れるにはキノピオのアイテムショップを引く必要があるものの、それさえ引ければヒナはその次のターンで確実にスターを手に入れられるのだ。

 

ただしそれは、それらを買えるだけのコインがあればという話なのだが。

 

「えーと……おっ、のろいキノコでも思ったけどやっぱり自分に使えるんだね。さかさまキノコを自分に使ってと……これで逆に進むから……」

「……は?」

「えーと、やっぱり狙うなら一位だよね……」

「お願い……!」

「いやだってさすがにこれは……こうするしかないでしょ」

「ホシノ……!!」

 

さかさまキノコを使っての逆走によるテレサの再使用。今度はスターを取れるだけのコインはないため、ヒナのコインを搾り取る。連打による抵抗で頑張って耐えるも、それでもそこそこのコインを取られてしまい、ヒナのプランは一気に白紙に戻されてしまう。

 

「うわーお、怖い怖い……」

「しかもこれ、まだもう一回あるんだよな……」

 

プルプルと震えながらマスを進めるヒナ。と、ここでマスに止まると謎のブロックが突然出現する。

 

「「「「?」」」」

 

それを四人が訝しんでいると、デイジーがそれを叩く。と、そのブロックの中からスターが現れ、それがデイジーのものとなり、ヒナの所有するスターが二個になる。

 

「……はあああああ!?」

「ええ……こんなのあり?」

「……ふっ」

 

イベントが起こらないコインが上下するだけのマスに止まるとたまに発生するランダムブロック。中からはコインかスターが手に入るのだが、なんとヒナはここでスターを引き当てたのだ。これでホシノからコインを奪われた分の負債は一気にチャラになったといっていい。圧倒的な一位に再浮上したヒナはほっとしたように笑みを浮かべ直す。

 

「くそぉ!こうなったらもう一個スターを手に入れて並ぶしかねえ!」

「うへー、とりあえずこれ以上貰われると本当にまずいからコインはもらうねぇ」

「もう残りのターンと距離から見て手に入れることはできないでしょうしコインはいらないわね……とりあえず抵抗だけはするけど……」

「余裕だね……あっ、ネルちゃんと同じマスに……うん?決闘?あー成程、コイン全部賭けられるんだね。じゃあ……全部賭けちゃおうっか」

「はっ……これで勝てばあたしも一気に上位だぜ!まずはお前を蹴落としてやる!」

 

そんな中、ネルとミカが同じマスに止まったことでバトルミニゲームが開始。その内容はとんでけクッパハンマーという、クッパのようなハンマーを投げる角度を調整しながら連打で勢いよく回転させて投げ飛ばすというゲームだ。その距離を競うものとなっており、二人はとにかく必死に連打しながら角度をそれらしく調整していく。

 

(もうちょっと上げるか?いや多分これでいいはずだ……)

(あれ?投げる時ってこれぐらいでいいんだっけ?上すぎない?)

 

回転する速度に関しては連打するしかないから別にいいのだが、角度はギリギリまで調整していく。そして、勢いよく二人がクッパハンマーを投げ、それが宙に投げ出されると四人はそれを無言で見つめていくことになる。結果、勝ったのは、

 

「よっしゃあああああ!!」

「ええ、何この僅差!?」

 

僅差でネルであった。結果、ミカが賭けた金額が全てネルの懐に入っていく。それによりミカがビリに転落してしまう。しかしその後は最終ターンを終えるまでスターの数に変動は起こらず、最後の結果発表へと入っていく。

 

「でもスターの数でヒナちゃんの勝ちになっちゃうよね」

「いや、まだだ。ボーナススターってのがあるからそれを手に入れればまだ可能性はあんだよ」

「へー、ところでこのミニゲームスターってさ」

「……まあ、私よね」

「はあああああ!?」

「いやまあミニゲームの勝ち数としては妥当だよね?」

 

最後の勝敗はボーナススターに託される。しかし、当然のようにミニゲームで一番勝ったプレイヤーに送られるミニゲームスターはヒナが手に入れることになり、なんとその数は三個。絶望的かと思われた矢先、ゲーム中にそれぞれのプレイヤーが最大で持っていたコインの数が一番多いプレイヤーに送られるコインスターがなんと、ホシノに与えられることとなる。

 

「あれ?おじさんそんなコイン持ってたっけ?」

「二回目と三回目のテレサで一気に稼いだからじゃねえか?」

「あー、確かに?」

「でも、これでも二個かぁ……」

「三個目はハプニングスター……いやーそこまで踏んだ記憶ないよ」

 

どうやらホシノはテレサ連打でヒナからくすねたコインで条件を満たしていたようだった。その後、最後のボーナススターであるハプニングスターの存在が明らかとなる。これはハプニングマスに止まった数が一番多いプレイヤーに与えられるのだが、

 

「……待って。確かハプニングマスに一番止まってたのは……」

「あっ、おじさんだー」

「……お?ってことは、スターの数は……」

「三個だね、そしてコインスターってことはコインの数は……」

「……待って、嘘よね」

 

ハプニング続きで波乱万丈だったホシノにそれが寄贈される。結果、ホシノの持つスターはヒナと同じ三個。そしてそこに、大量のコインが加われば、一位になったのは―――

 

「いぇーい、おじさんの逆転勝利だね」

「ボーナススターで逆転っていけるもんだな……」

 

なんとホシノであった。まさかの逆転勝利にホシノ自身驚きで実感が湧かない様子だったが、対するヒナの顔はすっかり落ち込んでしまっていた。

 

「……私が一位だったはずなのに……」

「モルフォが言ってたがパーティゲームは足の引っ張り合いってのはまぁその通りだったな……」

「ヒナちゃん本来なら圧倒的だったのに二人に思いっきり蹴落とされてたからね……」

 

強いてヒナの敗因を挙げるなら、このゲームで強すぎたこと。この一点に尽きるだろう。常にトップに居続けたせいでホシノやネルに狙われ、妨害アイテムのないミカにすらスターを出し抜かれるという事態まで発生していたのだ。ある意味ヒナに対する包囲網が実を結んだといえるだろう。

 

「……ま、まあ……とりあえず気分転換にテレビでも見ようか?」

「そ、そうだね」

 

とはいえ、さすがにこの踏んだり蹴ったりはこのゲームの仕様上仕方ないと理解しつつも申し訳ないと思ったのかホシノとミカがテレビのチャンネルを切り替え始める。すると、クロノスの中継映像が飛び込んできた。

 

「あれ?ここどこだっけ?」

「確か近くの……子ウサギ公園って出てるね。なんかヴァルキューレと誰かが戦ってるけど?あ、ヴァルキューレがやられた」

「ほー、立て籠もりか?元気な奴らだな」

『見えますでしょうか!子ウサギ公園に立て籠もり、突入したヴァルキューレをいとも簡単に蹴散らした少女達の姿!彼女達は現在廃校となっているSRT特殊学園に所属していた生徒であり……あっ、ただいま入ってきた情報によると、子ウサギ公園前にシャーレの先生が現れました!もしやこれはシャーレの先生の手腕が……ぬわーっ!!』

 

中継はカメラ毎爆破させられてしまい、途絶えてしまう。しかし、連邦生徒会に向かっていたはずの先生は問題が起こったからか、どうやら子ウサギ公園の救援に駆け付けていたようだ。

 

「はー、元SRT特殊学園ねぇ……たった四人であんなことやるたあ度胸あんな」

「立て籠もってあれだけやってるならやっぱりやるんだろうねぇ」

「まあ先生が行ったなら大丈……ん?」

 

ネルとホシノが世間話をするように今見た映像について話していると、ミカが突然立ち上がり、銃を手に取るヒナの様子に気付く。

 

「ちょっとちょっとヒナちゃん?どこ行くの?」

「先生の所に」

「え?いや別に大丈夫じゃない?」

「大丈夫よ。たかが四人、すぐに終わらせてくるわ」

 

そう言い残して出ていくヒナ。不穏な笑みを浮かべている気がしたが、おそらくそれは気のせいではないはずだ。三人は顔を見合わせると慌てて立ち上がり、ヒナがやりすぎないように追いかけるのだった。

 

その後、子ウサギ公園から四人の絶望の悲鳴が上がったのは言うまでもない。

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