転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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明星ヒマリと遊戯王OCG

 

「迎えに来たよ」

「……えっと?」

 

食堂で朝食を食べ終え、ゆっくりしていたモルフォの下に、桃髪の少女が現れる。ここにゲーム開発部の面々はいない。その理由は徹夜してゲームをやっていたことで寝落ちしているだけである。

 

「昨日、部長と話をして、直接話すことになったでしょ?」

「あー、じゃああなたが和泉元エイミさん?」

 

特異現象捜査部の和泉元エイミ。昨日、モルフォが相談したヒマリが所属している部活のメンバーで、ヒマリの後輩なのだろう。

 

「うん、後1年だから別にさん付けじゃなくてもいいよ」

「そっか、よろしくエイミ」

 

平静を装いながらエイミと話をしていくが、やはり目を引くのはその容姿だろう。一応水着……なのだろうか?ジッパーの着いている水着を着た上からミレニアムの制服をかなり着崩しており、スカートもかなり短めで肌色の面積がかなり大きい。果たして抵抗はないのだろうか、などと考えてしまう。とはいえ数分もしたら慣れた。精神は体に引っ張られるというが、こういうことなのだろう。それにもっと馬鹿な恰好はゲームとかを探せば普通にあるだろうし。

 

ちなみに、モルフォが着用しているのは上半身こそミレニアムの制服だが下半身は長ズボンである。スカートを履くことへの抵抗感からこのスタイルを選んでいる。

 

「行ける?」

「うん、大丈夫」

 

食器を下げて、荷物を背負うと、エイミと共にミレニアムの校舎を出ようとする。どうやら外にあるセーフハウスへ向かうようだが、そこで、

 

「あれ?モルフォちゃんと……エイミちゃん?」

「珍しい組み合わせですね?特異現象捜査部の方とモルフォが一緒だなんて」

「おはよう、二人とも」

「おはよう」

 

たまたまここで会って駄弁っていたのだろう、コトリとマキと会う。エンジニア部とヴェリタスであればハードやソフトの関係でそれなりの繋がりはあるのだろうが、エイミとマキの間に繋がりはあってもモルフォと繋がりはないはずだ。

 

「ヒマリさんにちょっと相談をしてて」

「今からモルフォを連れていくの」

「ああ、部長の……外は割と危ないから気を付けてよ?」

「わかってるよ、なーに、相手が飛車角金銀桂馬香車落ちのネル先輩以上じゃなければ何とか……」

「それ歩しか残ってませんよ―――!?」

 

四人の話は途中で中断させられる。校門前で突然起こった爆発。四人が顔を見合わせてから様子を確認しにいくと、そこにはヘルメットを被った女子生徒達の集団が暴れていた。

 

「うわっ、ヘルメット団じゃん!なんでこんなとこにいるの!?」

「C&Cは?」

「今日どころか最近は任務で全員いませんよ!学校に戻ってくるのも稀です!」

「他の人たちは?」

「まだ来なさそう」

「面倒な事になっちゃったな……」

「これも例のあれのせいかな?ユウカ先輩めっちゃ難航してるなぁ」

 

先日連邦生徒会に直談判しに行ったユウカもまだ戻ってこれていない。つまり治安の悪化はどんどん加速しているということだ。その影響なのだろう、よもやヘルメット団がミレニアム本校にまで攻めてくるとは。

 

「どうする?」

「まあ……その内騒ぎを聞きつけた他の人が来るだろうし?それまで相手しておこうか?今の時期に校舎壊されるのは洒落にならない」

「だね」

 

エイミ、マキ、コトリがそれぞれショットガン、マシンガン、ガトリング砲を構える。そしてモルフォがシールドとショットガンハンマーを構え、

 

「そぉい!」

「うがぁ!?」

「なんだこいつ!?ミレニアムの生徒か!?」

「くそっ、C&Cがいないし治安も悪いし、今なら色々金目のもの分捕れると思ったのに―――うごっ!?」

 

ヘルメット団へと突っ込んでいく。まずは一人をハンマーで吹き飛ばし、続けざまにもう一人も吹き飛ばすと、ヘルメット団も慌てたようにモルフォに銃口を向けてくる。弾丸を盾で受け止めつつ、ちらと背後に視線を向けたモルフォは銃弾が止んだ隙を狙って少し横に移動。開いた射線からエイミがヘルメット団を仕留めていく。

 

「こ、こいつやるぞ!?」

「囲め!」

「マキ、足止め!」

「オッケー!」

 

まずはタンク役を止めようとヘルメット団がモルフォを囲み始める。しかし、モルフォが素早く後方に下がり、ヘルメット団の接近を防ぐかのようにマキがマシンガンを足元へと撃ち込む。それによって足を止めざるを得ないヘルメット団に、

 

「コトリ!薙ぎ払って!」

「任せてください!」

 

モルフォが素早く指示を出す。コトリも待っていたと言わんばかりにヘルメット団にガトリング砲を撃ち込み続ける。次々と弾丸が命中し、ヘルメット団のメンバー達は意識を失っていく。

 

「てっ、撤退ー!!」

 

これ以上はまずいと察したのだろう、慌てて撤退準備を始めるヘルメット団。コトリもその様子を見て銃撃を止めると、意識のあるヘルメット団が気絶した面々を担いで逃げ出していく。

 

「ふー、なんとかなった」

「うん……っていうかモルフォがこんな強いとは思わなかったよ。ネル先輩にしごかれてたらしいけど」

「タンクしかできないからねー、多少は視野を広くしないと全く役に立たないじゃん?」

「そんなことはないと思いますけどね」

「うん、モルフォの指示と動きがよかった」

 

急場のパーティだったが、参加した面々の評判は上々だったようだ。元々ネルの猛攻を凌ぐために嫌でも視野を広くして周りを見るようにならざるを得ないというところはあったが、ゲームも言ってみれば画面越しに一歩距離を取って指示とかコマンドを入れるようなものだ。ゲームと現実は違う、というのは大前提としてもこうしてみると戦闘に通ずるところはあるのかもしれな……いやさすがにないな……とモルフォは考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「待っていましたよ、モルフォ」

 

ヘルメット団を追い返し、コトリ達と別れてエイミと共にセーフハウスにやってきたモルフォを、ホログラムではない本物のヒマリが出迎える。部屋の中はかなり暖かく、エイミがその温度調整に少し不満そうな表情を見せる。

 

「今日はよろしくお願いします、ヒマリ先輩」

「ええ。それでは……あなたの夢の話の前に、あなたが夢の中で接触した人物、百合園セイアさんについて話した方がいいでしょうね」

 

椅子に腰かけ、机を挟んだモルフォは頷く。モルフォの能力について説明するにあたり、夢の世界の来訪者、セイアの事を語った方が分かりやすいのと、夢の中に現れた人物の詳細を知ればモルフォも安心するとヒマリは判断したのだろう。

 

「今は情勢もあってトリニティの近況は詳しくわかっているわけではありません。それだけでなくエデン条約でピリついていますからね。ですので最新の情報ではない、という点は了承してもらいたいのですが……彼女は一年ほど前から入院して学校を休学しているようです」

「……一年前?」

 

一年前。いつ頃から彼女は起きることができていないのかはわからないが、彼女も彼女でかなり苦労していたようだ。しかし、何故今になって彼女は自分の夢の中に現れたのだろうか。

 

「彼女が未来を視ることができる……というのは情報としては知っていました。しかし、それが急にあなたの夢に現れたこととあなたの能力のことを考えるならば……考えられるのは、あなたの夢の力が強まった、という可能性でしょうか」

「夢の力……ですか?」

「そう。おそらくあなたは自覚はなくとも色々なものをその能力で作っていたはずです。おそらくその経験と練度が、こうして反映されて彼女の夢と繋がった……それが、私の考える結論です」

 

そんな制作スキル上げていったら特殊なスキルが解放されたみたいな話あるのか……と思わず驚いてしまうモルフォ。今頃マリスという地球防衛軍6に出てくるクソAI相手にイラついてそうなセイアの姿を思い出しながら、モルフォはヒマリの目を改めて見る。

 

「それで……セイアさんが目を覚ます方法は?」

「情報が足りなさすぎますね。こちらから起こすことができるのか。それとも彼女の体に何かがあったのか。そこが分からない限りは……いずれにせよ、彼女はティーパーティーの一員。私やあなたがトリニティの人間だったらもっとわかることもあったのでしょうが」

「……とりあえず今の問題が終わってからって感じですか」

 

頑張れユウカ先輩。内心エールを送りながら、モルフォの言葉に頷くヒマリの次の言葉を待つ。

 

「さて……ところでもう一つ、確認したいことがあるのですよ」

「何でしょう?」

「あなたが知る異世界のゲームとやら……どのようなものがあるのか、是非とも見せていただきたいのです」

「やりたかったんだ部長……」

「ふふ、当然興味はありますよ」

 

次にヒマリが要求してきたのは、実際にモルフォが作ってきたゲームをやりたいというものだった。今持ち合わせているものを考えたモルフォは、来るときに一緒に持ち出してきた鞄の中からデッキケースを取り出す。

 

「……ゲーム機とかは家に置きっぱなしでして。なので今あるものは……遊戯王とかどうでしょう」

「……ふむ?」

 

一見すると、過去にモモイとミドリとやったラッシュデュエルに似ているが、こちらはそのラッシュデュエルの元となった遊戯王OCGである。ルールがより複雑になっているため初心者には正直勧めにくいのだが、相手が超天才なんたらのヒマリなら行けるのでは?という考えからこれを出すことにした。

 

「これがルールブックです」

「ありがとうございます」

 

パラパラ、とルールブックを読み込んでいくヒマリ。そして一通りルールブックを読み終えると、

 

「大体わかりました。それでは対戦してみましょうか」

「ええ、では簡単なデッキの説明を……」

 

いくつか用意した割と簡単に動いてくれるデッキを使い、ヒマリと何回か、途中でルールを理解し始めたエイミも交えつつ対戦を重ねていく。今回用意したデッキは、動き方が簡単で分かりやすい双天、相剣、エクソシスターの三つのデッキだ。

 

「なるほど……確かにルートが固定されがちなのは良いポイントですね。他にも色々あるようですが、確かに初心者には丁度いい」

 

相剣デッキを使うヒマリは、デッキに決められた動きで二体のシンクロモンスターを生み出す。さらに手札が上振れていたのか三体目のシンクロモンスターまで飛び出してくる。対するモルフォも、双天デッキをどうにか駆使してヒマリの盤面を返すも、ヒマリはきちんと再展開するためのリソースを温存していたようで、突破の為にボロボロになっていた双天デッキではそれを返しきれずに敗北してしまう。

 

「ぐ……ま、負けました……」

「おー」

「ふふ、当然です……おっと、これを組んだのはモルフォでしたか」

 

デッキ自体はモルフォが用意したものだが、ちゃんとデッキパワーに配慮した構築になっている、とは使っていてヒマリも感じたようだ。ラッシュデュエルとは異なり、一ターンに一枚しかドローできないものの、フィールドは三枚から五枚に増加、さらに効果も複雑化したことで手札とフィールドだけでなく墓地と除外ゾーンもリソースになるため、そういったものによっては十分逆転も視野に入る。しかし物足りない。この遊戯王の神髄は、まだまだ先にあるのではないか。そう、ヒマリは感じ取っていた。ここまで色々な効果があるのだ。それらを組み合わせれば、もっと複雑なデッキだってあるはずだと。

 

「大体わかってきました。ふふ、これは随分奥深いゲームですね……これ以外にもデッキはありますか?もっと複雑なものとか……」

「ありますけど……このゲーム複雑なデッキ程強いみたいなところがあるので……というより、そこまでいくとデッキパワー云々の問題じゃなくなってくるんですよね……天盃みたいな特殊なデッキを除くと基本先行取ったもん勝ちみたいなところあるので」

「構いませんよ」

「では……一旦回してみるので、参考までに」

 

もっと複雑なデッキはないのか、というチョイスにモルフォが取り出したのは、三つのデッキが収められたそれとは違う、別のデッキケース。そこから出てきた、明らかに気合が入っているような絵柄のスリーブに収められたそのデッキを、彼女は回し始める。

 

「手札の救いの架け橋を捨ててイムセティの効果を発動、チェーンして救いの架け橋の効果を発動してデッキから―――イムセティとハーピでヴァンパイアをエクシーズ召喚して効果でデッキから4枚を墓地へ送ってレイノハートを特殊召喚し―――」

 

一人回しなら無言でやるが、今回はヒマリ達に理解してもらうため、ちゃんと口に出しながら回していく。既にエイミは若干理解を放棄し始めているが、ヒマリは食い気味にそれを見つめているため、モルフォもどんどん回していく。

 

「―――最後にシラユキとデモンスミスを素材にリトルナイトを出して、エンドフェイズにリダンを帰還させて終わりです。これがホルスティアラメンツですね」

「……呪文の詠唱?」

 

一通り回した後にエイミの率直な感想が静かに響く。正直エイミには何を言っているのかさっぱりわからない。とりあえず場に6体のモンスターが出て伏せカードがあって、墓地にもなんかある。それぐらいしかわからない……というかさっきと複雑さが違いすぎるのだ。途中からルールを理解したエイミも混ざってデュエルしていたが、このデッキは出さなくて正解、とエイミはモルフォの判断に納得していた。というか相手を潰すことしか考えていない。

 

「……成程。理解しました」

「えっ、本当にそうですか?」

「ふふ、私を誰だと思っているのですか?私は天才―――」

「でもエイミがさすがについてこれてないので今日は止めませんか……?一応他にも超重セフィラとかもありますけど……」

「……セフィラ?」

 

ふと、モルフォの回していたホルスティアラメンツデッキの中身を見ていたヒマリの手が止まる。セフィラに食いつきがいいならと、メタビ寄りだったので先ほどまでは出していなかったデッキを取り出す。

 

「セフィラは色々あって複雑だし私の肌に合わないのであんまり使わないんですよね……シンクロが割と関わってくるし。もしセフィラに関心があるなら時械神もどうです?モチーフは一緒ですよ」

「……ふむ。どういうモチーフなのか聞いても?」

「といっても私もうろ覚えなのでそこは。生命の樹があって、十個のセフィラにそれぞれの時械神が対応している……っていう形だったはずですね。名前のモチーフは別なんですけど」

「ではその時械神は十体いると?」

「隠されたダアトを含めて11体ですね。確かセフィラが1つ隠されてるんでしたっけ……すみませんそこはちょっとわからないです」

「……失礼。それを見せてもらってもいいですか?」

 

モルフォの言葉にヒマリは考え込んでしまう。何か気になるのだろうか。もしかするとこの世界にもセフィラの神話とかそういうのはあるのかもしれない。だとしたらこの機会にいつか調べてみるのもありだなー、等と考えながら、時戒神デッキを受け取って中身を確認し始めるヒマリを見るのだった。




感想にてセイアが襲われたタイミングについての指摘が多かったので触れさせてもらいます。以下原作のネタバレを含むので注意してください。














原作においてミカが「去年襲撃された」という発言をしているため、少なくともセイアは二年生の頃にアズサに襲撃されたことになります(ティーパーティーのホストになっていた状態で襲われたことになるので二年生になっているのは確定)

その時期がいつのことなのか、までは明言されていませんし今作でも何月頃に襲われたかを明言しません(それで何らかの不具合がどこかで起こっても困るので)が、今作でその時期を一年前とした理由としては、

●原作でセイアとミネが失踪しているのに捜索などが行われず、しかも周囲もそのことに慣れてしまっている点

●ティーパーティーが何者かに暗殺されたという事件でトリニティ内の警戒は間違いなく高まるはずであり、ミカとアリウスも身動きが取りにくくなってしまうため、鎮まるのを待つ必要があったであろう点

●(対外的にはセイアは入院しているはずなので)サンクトゥス派から代理のホストを出さないといけないのに本編ではナギサがホストとなって実権を握っている(つまり他の派閥を抑え込んでエデン条約を推し進めている)ことが可能なまでに手回しなどが進んでいる点(だとしてもホストはナギサの状態のままにするとしてもなんでサンクトゥス派は代理を出していなかったのだろうか……?)

●現在の本編の時系列がプロローグ直前であり、対策委員会編後に桜花爛漫が入ることを考えると現在の季節は春であると仮定。もし襲撃事件が半年前といった状態だと、近く訪れる年末年始といったタイミングでセイア襲撃の件を思い出し、記憶に強く残してしまう可能性があり、そうなると原作のエデン条約編のような状況にはなりにくくなってしまうと考えられた点(そのため、冬のタイミングではある程度風化している必要がある)

これらの点から、大体一年前なのではないか、という風に今作では解釈させていただきました。

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