転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「……ふふ、これは楽しみ」
「そう思っていただけて嬉しいですよ」
ワクワクしながら、画面を覗き込むシロコ。シャーレの当番でモルフォと一緒になったことを知り、モルフォから新たな風来のシレンのソフトを受け取っていたのだ。今回彼女がプレイするのは風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス。シャーレの当番を終えた後、余ってる一室に移動したシロコがプレイする様子をモルフォは見つめていた。
「そういえば、3と4は……?」
「風来のシレンって話自体は独立してるので別に何をやってもいいんですよね……ただまあ、3は……結構毛色が違うので……」
風来のシレン5は、子供時代を描いた64、大人時代の話の一つを描いた初代風来のシレンとは時系列が後になる。今作では砂漠の魔城と呼ばれる作品で邪神の復活を食い止めた風来人のシレンと相棒の人の言葉を話す語りイタチであるコッパは、旅の途中、リーバ八獣神と呼ばれる神々の主神である運命神リーバの塔、フォーチュンタワーに挑むジロきちという若者に出会うことになる。ジロきちは、不治の病にかかり、余命数ヶ月になってしまった少女、おユウを助けるため、彼女の運命を変えるためにフォーチュンタワーを登ろうとしていた。そのことを偶然にも知ったシレン達は、ジロきちを追って今作の拠点となるネコマネキ村へと辿り着く。
「これがフォーチュンタワー……三つの塔を巡ってダイスを集める必要があるってことだけど」
ネコマネキ村を拠点とし、運命の小道と呼ばれる序盤を通り、そこからフォーチュンタワーの過去・現在・未来の塔と呼ばれるそれぞれの塔を登っていくことになる。入口までたどり着くと、そこにはガイドのアルバイトをしているというパンダのような着ぐるみを着たような恰好をした少女、タオが現れる。彼女にフォーチュンタワーについての説明を受けると、仲間として雇わないかと売り込みをかけられることになる。
「……まあ、雇ってみようか……って、ん?なにこれ墓?え?ジロきち?」
タオを仲間にした後はアドバイス通り、過去の塔へと向かう。すると、そこでイベントが挟まり、なんとジロきちの墓という衝撃的な光景を目の当たりにしてしまう。そこに薬草を始めとする回復アイテムを投げると、なんとジロきちが蘇ってしまう。
「……生き返っちゃった」
ジロきちがそこで強制的に仲間になり、ジロきちを連れて塔を登っていくことになる。
「まあそれだけおユウを助けたいって情熱が凄いんだろうね」
「……敵もだけど、システムも結構変わってる?」
「64からだから確かに色々追加されているんだよね」
風来のシレン5は、前作である風来のシレン4を元にシステムの追加などを行っていうのが特徴だ。特に、武器や防具が成長するというシステムや、特定の組み合わせを装備することで共鳴という現象を起こし、更なる恩恵を受けることが可能となる点を始め、様々な要素が追加されている。
「……む、むぅ……これは、慣れが必要そう」
アイテムを見ればその種類も大きく様変わりしている。シリーズお馴染みのアイテムも多いが、お香と呼ばれる、フロア全体で爆発や炎攻撃を無効にしたり、アイテムの投擲や矢を確実に避けるようにしてくれるアイテム、さらにはまがいもの道具と呼ばれる、名前が似ているが全く効果がなかったり、別の効果になってたり、はたまたデメリット効果がついていたりするものもある。それだけでなく、シロコから見れば武器・盾・腕輪しかかからなかったはずの呪いという状態異常がアイテム全体にかかるようになり、呪われたアイテムは使えなくなってしまうようになってしまったのだ(装備については装備だけはできる)。それに加えて封印というシレンに対してかかっていた状態異常もアイテムが対象になっており、封印されたアイテムは使えないだけでなく、装備に至ってはその効果も無効になってしまうというデメリット効果を背負っている。その代わりに装備は自由に外せるのは呪いとの差別化にあたる部分だろうか。
「まあ、ゆっくり慣れていきましょう。まずは過去の塔ですからね」
ブーメランを投げて遠距離攻撃をしてくれるタオ、前方一マスを殴ってくれるがそこそこ火力が高いジロきちと協力しながら、シレンはどんどん過去の塔を登っていく。
「……よし、桃も熟してきたね」
「固い桃は防御アップ、普通の桃はちからと状態異常回復、柔らかい桃は踏ん張りがあるんで満腹度を合わせてどれを選ぶかも大事ですね」
食料も、おにぎりだけでなく桃が追加されている。桃は熟すことで固い→普通→柔らかいとなっていき、熟していく度に回復する満腹度がどんどん大きくなっていく。桃は壺の中に入れれば熟さなくなるが、外に出しておけば腐ってしまう危険性もあるため、そこの兼ね合いも大事になっていくだろう。そんなこんなで徐々にシレン5に慣れていきながら過去の塔を登りきると、赤いダイスの前に少年時代のシレンが待っているという奇妙な部屋に辿り着く。
「あれ、子供のシレン?」
「見る人によって姿が違うらしいから……多分他の人には別の姿に見えていそうですね。あ、ジロきちが過去のダイスを手に入れた」
ジロきちが過去のダイスを入手する。今作ではあくまでシレンはジロきちの手伝いとしてフォーチュンタワーを一緒に登っている身であり、風来人として考えればフォーチュンタワーの真実を確かめに登る、という目的で登っているといったところか。
「よし、このまま現在の塔に行こう」
アイテムの整理を拠点となるネコマネキ村で終えると、現在の塔へと向かう。フォーチュンタワーの入り口でジロきちと合流、さらにタオも雇い、三人で現在の塔へと向かっていく。ここからは装備を呪ってくるノロージョを始めとした嫌らしい敵も出てくるため、仲間に任せた方がいい敵は仲間に任せつつ、順調に探索を進めていく。
「ギャザーか……これ確か無駄に固いんだよね。ちょっとかなしばりで……ん!?」
その中で甲殻類のようなモンスター、ギャザーとも出会う。SFCの時の記憶を思い出したのか、とりあえず状態異常にしようとしたその時。なんとギャザーはその状態異常を僅かなダメージに変換してしまったのだ。
「……なんで?」
「あ、5のギャザーって状態異常とかが通用しなくなったんですよ。吹き飛ばしとかは確か通用した記憶はありますけど……ちなみにマゼルンも寝てる状態でアイテム投げると呑み込んでくれなくなったのでそこも気を付けてください」
「む、むぅ……なんか敵の強化が凄い……」
「まあ、一応こっちもこっちで便利なアイテムも増えてますし武器の成長システムで特化させたりお香をうまく使ったりするととんでもないことになったりもするので全部が全部ってわけではないんですけどね……」
「まあ、札を投げたらその周囲八マスにも状態異常が伝播するのは普通に強いと思うけど……」
今作には投げるアイテムとして札もある。札は様々な状態異常を投げて命中した敵と、その周囲八マスにいる敵に適用させるものであり、杖と合わせてプレイヤーの戦闘を優位に進めてくれるものでもある。とはいえ、この状態異常を無効にするギャザーやすいこむゾウ系のモンスターもいるのでSFCや64程状態異常を過信もできなくはなっているが。
「……今度は今のシレン、ってことは未来の塔に行ったら大人のシレンが見えるって事?」
「今のシレンが大人ですよ」
「あ、そっか。じゃあお爺ちゃんのシレンってことかな?」
現在の塔をクリアし、シレンと年齢もそっくりな子と話をしつつ、ジロきちが現在のダイスである緑のダイスを手に入れる。これでジロきちが持っているのは過去の赤と現在の緑となる。
「……でも、運命を変えるってどういう感じなんだろうね。過去を変えるとかもできるのかな」
「そこらへんは……どうなんでしょうね?」
そこについては物語が進めば追々わかるだろうと、敢えてすっとぼけるモルフォ。その様子を見て実際に進めて確かめてみろということかと理解し、シロコはさらに探索を続けていく。
「……よし、スーパー状態になった」
そんな中、シレンがスーパー状態と呼ばれるオーラを纏った姿になる。この姿は魔物を倒し続けるとなる姿であり、この姿になると攻撃力や防御力が上がり、なれれば便利なシステムでもある。
「……ん!?反射!?」
が、シロコはその恩恵を直接攻撃の反射というとんでもない結果で味わってしまう。シロコが攻撃していたのは、一つ目の赤いモンスター。フォーリーと呼ばれるそのモンスターは、ターン経過で色が変わっていき、赤の時に武器で殴ると無効化されてしまい、その分のダメージをシレンが受ける、さらに色によっては部屋全体に雷を落として無差別にモンスターを倒していき、自身のレベルを上げてしまうというとんでもない初見殺し能力を持っている。他にも多種多様な能力を持つモンスター達への対処を強いられながらも、過去、現在から持ち込んで充実させてきた装備や道具を駆使して、遂に未来の塔の攻略に成功する。未来の塔では老人となったシレンが現れ、おユウは亡くなるという運命は変えられないと告げられる。それでも行くかと言われ、迷いなく頷いたジロきちは蒼のダイスを手に取る。すると、三つのダイスに呼応するように先へ続く階段が出現。そこを登り、仙人の庵という休憩地点に辿り着く。
「ここは……休憩地点かな?」
「そうですね、倉庫とかありますからね。後、ここから装備にタグをつけられるのでつけた方がいいと思います」
「何かあるの?」
「タグをつけた装備はシレンが倒れてもお金があれば回収できるんで」
「ん、それは事故があった時の為に大事」
タグというシステムは、装備が紛失した際の保険でもある。それがここで解放されるため、冒険の安定性を大きく上げてくれるといっていい。言い換えてみればこの先はそれだけ難関が待っているということでもあるのだが。
「よし、準備オッケー……じゃあ、先へ行こう……ん?技?なにこれ」
「ああ、こっからは夜があるんですよ」
「夜?」
そしてシレン5には4から続く夜というシステムがあり、通常のダンジョンは昼、そして夜になるとダンジョンが大きく変わっていく。夜になると周囲が完全に真っ暗になってしまい、松明を武器の代わりに装備しないと周囲を照らすこともできないのだ。そして、松明で明かりを確保していないと夜の敵の高い攻撃力を軽減することができないという状況に陥るため、この松明は基本的に必須となっている。それだけでなく、夜に敵を倒すには技を使う必要があり、技を使って敵を倒すと昼よりも高い経験値を稼いだりすることができるようになる。加えて、夜のあるダンジョンではターン経過で昼と夜が交互に繰り返されることになる。
「……なるほどね。本当に色々変わってきてるね……」
夜のチュートリアルダンジョンも念のためにクリアし、いよいよフォーチュンタワーの本格登頂に挑むことにするシロコ。フォーチュンタワー秘境と呼ばれる地帯に入り、夜を潜り抜けながら運命の間に辿り着く。そこには運命神リーバの像があり、像から出現した中リーバはダイスを振りたければ自分に打ち勝てと言い、モンスターを召喚し、シレン達に襲い掛かる。
「これはボス戦……ならここでパワーアップ草やすばやさ草を使うべき。後はシャーガ系はかなしばりで止めて、ボス本体を殴っていく……そうだ。こいつもオヤブンみたいに面倒な能力があったら面倒だし封印の杖でも振ろう」
一気にバフをかけてごり押そうとする。体力が減ったらいやし草などを使い、巻物や札なども総動員しつつ、状態異常解除やモンスターの召喚を行うリーバの像を遂に撃破する。それによって、ジロきちはダイスを振る権利を得るのだが、ここでリーバが、ジロきちにおユウが死んだことを伝えてしまう。既に運命は変えられないと言い、ジロきちは絶望し項垂れてしまう。が、そこに旅の神クロンの追い風が吹く。風来人を祝福する追い風、そしてクロンの意志を受けたリーバは、シレンとクロンに免じ、時間を巻き戻しおユウの死の運命を書き換える権利を得る機会を与える。
「奇跡の塔……まだ終わってなかったんだね」
フォーチュンタワーから伸びた光、その先に存在する最後のダンジョン、奇跡の塔。まだまだ冒険が終わらないことを知り、シロコは楽しそうに口元に笑みを浮かべる。
「ん、まだまだ運命はこれから」
「まあ、未来なんていくらでも変えられるでしょうしね。さすがに巻き戻して改変するようなレベルは神様クラスじゃないと無理でしょうけど……ここがラスダンです、頑張っていきましょう」
「わかった。こっからはギタン砲もちょっと用意していこう」
パワーアップアイテムなども確保しつつ、奇跡の塔を進めていくシロコ。階層も上がり、レベルアップしている敵達も順調に倒していき、夜も攻略しながら歩みを進めていくと、すずめのお宿と呼ばれる施設に辿り着く。
「ここにも宿があるんだ」
「最後の休憩ゾーンですね」
宿泊施設や店で補給を行い、奇跡の塔の続きを登っていく。そして、頂上へと辿り着く。そこは雲の上に位置しており、そこに現れたのは、大リーバと呼ばれる像。頂上まで来たことを受け、ジロきちに過去・現在・未来、三つのダイスが合わさり生まれた奇跡のダイスが最大の目を出せばおユウを生き返らせることを約束する。しかし、死の運命を変えるには代わりに誰かがその死を背負わなければならないという衝撃の事実が判明。生と死のバランスを取る、それが宇宙のルールであり、誰かが生き返るならダイスを振った人物が死ななければならないというのだ。それを聞いたジロきちは、迷うことなくダイスを振ろうとする。
「……え、これどっちかが死んじゃうってこと……?」
「いや、ここからですよ」
だが、そこに待ったをかけたのはコッパだった。コッパはなんと、大リーバに勝負を挑んだのだ。ここでおユウが生き返り、ジロきちが死んでも彼女は報われないと。それを聞いたリーバは挑まれた勝負からは逃げないとそれを承諾。もしも勝つことができたのならばその等価交換の条件をも覆してやろうと約束し、シレンとジロきちはリーバとの最終決戦に入る。だが、
「ん!?」
開幕、なんと全ての装備を大リーバの力なのか外されてしまう。いきなり丸腰にされてしまったが、慌てずにすばやさ草を使って速度を倍にしながら体勢を立て直していく。その後も基本的に倍速を維持しながら、大リーバを状態異常にして状態異常解除で無駄行動を相手に強いらせられるようにしながらボコボコにしていく。
「……あれ、もう倒れた……?なんか、中リーバの方が強かった……」
「なりふり構わなきゃ基本的にボスはどうとでもなりますからねー。特に封印の杖を常にかけておくってのがやれてたのはかなりでかいです」
悲しいかな、お供を引き連れていた中リーバの方が強かったと言う評価を大リーバは受けてしまっていた。とはいえ、こうなってしまうのもしょうがないだろう。基本的な行動は大体変わらないのだから、中リーバに対してやっていた戦法の大体がこちらにも通用してしまう。体力こそ倍という差別点や強制装備外し、預言といった行動もあるものの、その運命を大きく変えることは残念ながらできなかったようだ。
「まあいいや、これで奇跡のダイスを振れば……」
大リーバの像が砕け散り、ダイスを振る権利をジロきちは遂に行使する。奇跡のダイスが振られていくのだが、ルールを捻じ曲げたとしても最大の目を出さなければ蘇生はなしだと念押しされる。しかし、ジロきちはなんと、最高の目を出してみせたのだ。それを祝福するように奇跡の塔の周囲に花火が打ち上がる中、大リーバは時空神の名においておユウの死の運命を覆す。
「ん、これでハッピーエンド」
「ですねぇ」
涙を流して喜ぶジロきちに、大リーバは村へと戻るための時空の通路を作り、そこにジロきちを導く。そしてシレンにもダイスを振らないのかと問いかける。
「あ、そっか。一応シレンもダイスは振れるんだね」
「ここまで登りましたからね」
死者を蘇らせるといった大それた願いもないだろうと大リーバは言い、小さいことでも願えばよいとシレンとコッパに伝えるのだが、コッパはそれを断る。あくまでジロきちとおユウのために来ただけであり、自分達は運なんかに頼らなくても平気だと。コッパの意見にシレンは頷くと、ダイスを振りたくなったら来るといいと大リーバは伝えるのだった。
「やっぱり振らないんだ」
「まあ、これがシレンとコッパですからね。こういうのが風来人ってことですよ」
「ん、わかる」
と、ここでコッパは、ジロきちの振ったダイスの目を操作していたのかと疑問を問いかける。が、それを聞いた大リーバはイカサマはしていないと否定。しかし、シレン達がいなくなった空間で、リーバは笑みを浮かべる。自らの命を投げ出してまで誰かの運命を変えようとする者には、時には運命ですら味方するだろうと。そう呟きながら、ダイスに声をかけるのだった。
「……ん、良い話だった」
「おユウもこれで復活しましたし、無事ハッピーエンドですね」
「こういうダイスがキヴォトスにもあったらなんか変わるのかな?」
「さあ、どうでしょう?そこまでして今どころか過去を変えたい人がどれだけいるかわからないですし……まあ、あったらあったで目指す人もいるかもしれませんね。私は頼ることはないと思いますが」
「ん、私もそう」
村に戻り、イチャつくジロきちとおユウ、そして村から旅立つシレンとコッパを見送りエンディングに入りながら談笑を始める。
「……あ、でもモルフォがアビドスの生徒になれるように運命を書き換えられるなら考えてもいいかも。毎日楽しそう」
「えー……ゲーム開発部からは離れたくないですね……」
「ん、知ってる。だから冗談」
もしキヴォトスにフォーチュンタワーがあったら。そんな妄想を広げるように二人は話を続けていくのだった。