転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「……なんか最近さ、荒んできてるよね私達」
「急にどうしたのお姉ちゃん。なんか悟り出して」
「モモイが突拍子もないのはいつものことです。どうせくだらない思い付きですよ」
「く、くだらなくないやい!」
モルフォとユズがバチバチに格闘ゲームで対戦している光景を見ながら、唐突に呟いたモモイにミドリとケイが冷たい視線を向けるも、さすがに待ってと言わんばかりに立ち上がる。
「私達はゲームと言えばとりあえず対戦するもの、そうじゃないゲームも大体ソロばっかりじゃん?ここは方向性を変えて皆で協力するゲームをやろうよ!皆で協力してモンスターを倒すとかさ!」
「結局戦ってるのはいいの?」
「仲間と戦わなければいいよ!」
「では、またミネクラをやりましょう!」
モモイの発言を受けてアリスも立ち上がる。一方、対戦を終えたユズとモルフォも後ろを振り向き、モモイとアリスの話に参加していく。
「ミネクラも面白いけど、今から呼んで人数集まるかな?」
「C&Cは任務でいないはずだけど」
「エンジニア部も無人でしたが」
「ヴェリタスは寝てたね。皆徹夜してたっぽいし」
「セミナー……は忙しそうですし……」
うーんと頭を抱える六人。別にこの六人でミネクラをやってもいいのだが、どうせやるならもっと大人数でやりたい。とすると、この面子だけでできるゲームを別にやるべきか。それなら別にスマブラとかでも全然いいのだが、折角の流れだ。協力要素の強いゲームをやる方がいいだろう。となると、あれがいいかと思い、そのゲームの名前を口にする。
「んー、モンハンでいいか」
「「「「「モンハン?」」」」」
モンハン。その名前を聞いた五人は揃って首を傾げてしまうのだった。
★
モンスターハンターXX。モンスターハンターシリーズの作品の一つであり、主人公はハンターとなって様々な武器を使い、モンスターを狩猟していくというのが基本コンセプトとなっている。武器は大剣や双剣に始まり、チャージアックスやランス、遠距離攻撃を見れば弓やボウガンなどを取りそろえている。加えて、XX、そしてその元となったXでは狩猟スタイルや狩技という要素が追加されている。
狩技というのはハンターが使える技であり、それはそれぞれの武器に対応した必殺技だったり、緊急回避を行ったり、はたまたこれがボウガンであれば一気に全ての弾をリロードしたりといった様々な種類が揃っているのだ。
「これは……凄く楽しそう!」
「とりあえず皆使いたい奴を適当に選んでいこうっか」
モルフォとしては村クエストと呼ばれるソロ限定のクエストをクリアしてストーリーを終え、エンディングを見て一通り慣れてからマルチに飛び込んでもらいたいと思っていたが、今回は自分以外全員初心者でやるようなものだ。身内でのプレイなら別にいいかと、集会所と呼ばれる最大四人まで参加できるクエストを受注できる施設に向かっていく。
「皆武器の方は選んだ?」
「色々あって迷うんだけど……とりあえず決めた!」
「私も!」
「私も……このブシドーっていうの試してみようかな」
「アリスも決めました!」
「私もです」
ひとまず三人組に分かれ、途中で組み合わせを変えながら集会所クエをやっていくことにする。それぞれ思い思いの組み合わせをした武器とスタイルを手に、いざパーティ決めを開始する。
「じゃあ適当にやっていこうっか」
最初の組み合わせは、モルフォ、モモイ、アリスとミドリ、ユズ、ケイというパーティ。モルフォが使用するのは狩猟笛という音色を奏でることで様々なバフや回復を行う、サポートに秀でた武器。それに、レンキンスタイルと呼ばれるマカ錬金カマを用いてクエスト中に特殊なアイテムを錬金したり、三つの狩技を扱える上にそれをSP狩技としても強化できるスタイルでまさにサポートに特化したスタイルとなっている。
一方モモイが選んだのは大剣と呼ばれる巨大な剣を使う、機動力に難こそあれど一撃の火力に優れた武器であった。それと組み合わせたのは、エリアルスタイルと呼ばれる空中戦を得意とするスタイル。機動力を確保するという面では大剣との相性が良いといえるだろう。
アリスはブレイヴスタイルと呼ばれる、攻撃を当てることでブレイヴゲージを溜め、ブレイヴ状態になることで様々な恩恵を受けられるスタイルをヘビィボウガンと組み合わせて使っている。ヘビィボウガンは様々な種類の弾を撃つことができる遠距離武器であり、ヘビィボウガンの場合はボルテージショットと呼ばれる強力なしゃがみ状態での連続発射が可能となっている。単純にブレイヴという響きに引かれたのもあるが。
「装備とかっていい感じの見た目のあったりする?」
「うーん、今回皆女性でやってるし……そうなるとロアルドロスとウルクススじゃないかな。ガンナーならテツカブラもいいけど……」
このゲームの特徴の一つに、防具や武器にそれぞれ見た目があることが挙げられるだろう。特に、ウルクススシリーズを始めとした装備はデザインもよく、人気も高い。
「途中からモンスターの属性とか見ながら防具は選ぶことになるから、一通り全属性の防具を揃えておいてもいいかもね」
それだけでなく、モンスターや防具には弱点・耐性属性が設定されている。武器にも属性が付与されていることもあり、モンスターにそれぞれ対応した装備、道具を調整して効率よくモンスターを何度も狩っていき、素材を集め、その素材を使って防具や武器を新造したり強化していく。このやってることは一見単純で、しかしそれぞれのモンスターの特徴も相まって飽きないゲーム、それがモンスターハンターなのだ。
「では、ウルクススを倒しにいきましょう!」
「ちなみにモルフォお勧めの装備はありますか?」
「……見た目ならネルスキュラシリーズかな……まだ先だけど」
ウルクススとは、巨大な白い兎のモンスターだ。滑走によって移動し、巨大な雪玉を転がしたり鋭い爪で攻撃したりと獰猛な生態をしている。
「うわわ、この速度……厄介かも」
「まずは攻撃を見切るところから……」
「弾は無駄にできませんからね……」
ウルクススとの戦いだが、モルフォ達の方は順調に進んでいた。狩猟笛を使って演奏し、バフなどを絶やさないようにしながら、モンスターの頭部を狙っていき、スタンを狙っていく。丁度スタンが取れてウルクススが転がったところをアリスがボルテージショット、モモイもエリアルスタイルを駆使してウルクススを踏みつけ、空中からチャージ攻撃を叩きつけるという方法で一気にダメージを蓄積させていく。アリスの攻撃によってさらにウルクススが転倒し、その上に乗るという、乗りシステムが発動し、それに成功してウルクススをさらに行動不能へ追い込むと一気に仕留めにかかっていく。だが、対するユズ達は初見の敵ということもあり、そこそこ苦戦していた。
「……でも、見えた」
最初はウルクススの行動パターンを見ていたユズだったが、その攻撃に回避の前転を合わせるとそのまま太刀を抜刀し、一気に斬りつける。これは、ブシドースタイルと呼ばれる、相手の攻撃に合わせて回避を挟むことでジャスト回避が発動し、その後ハンターはダッシュ行動を行う。このジャスト回避から発動される一連の行動が錬気ゲージと呼ばれるゲージが大きく溜まっていき、満タンにすることで武器の斬れ味が暫く鋭くなり、パワーアップする。
「そこです!全弾装填からの一斉掃射です!」
ケイはライトボウガンと呼ばれる、ヘビィボウガンを使用するアリスのそれと比べればサイズが小さいボウガンを使用している。そのスタイルはストライカースタイル。ストライカースタイルは三つの狩技を使用できるという長所があり、特にボウガン系は全弾装填といった強力な狩技があるため、狩技を複数使えるこのスタイルは相性がいいと言えるだろう。しかし、ゲーム開始時に使える狩技はそう多くはない。それでも、使える全ての種類の弾を装填できるという全弾装填はかなり強力であり、ゲームが進めば進むほどその真価を発揮すると言えるだろう。
「……こう比べると結構私って地味……?」
そしてミドリはというと、操虫棍と呼ばれる、猟虫と呼ばれる虫を、操虫棍から打ち出した印に向かって放ち、エキスを採取。そのエキスを採取することでバフを得たり回復させることができる武器を使用していた。それだけでなく、空中に跳びあがって攻撃するといったアクロバティックな動きが最大の特徴なのだが、ミドリの使うスタイルはギルドスタイル。ギルドスタイルの最大の特徴は、特徴がないのが特徴、ということだろう。
「いや、ギルドスタイルって一番クセがないスタイルだから……他のスタイルだと使えなくなってる攻撃とか動作がこのスタイルにはないのは利点だよ」
「た、確かに……?」
ウルクススを無事に討伐し、採取クエなども途中に挟みながら素材を集めていく。そして一時間ぐらいだろうか。遂に六人は、ウルクスス一式装備を完成させていた。
「こ、これ可愛い……!」
「うん、もこもこしてる……」
「こういう兎なら全然ありなんだけどなぁ」
そして完成したウルクスス装備は、水色と白を基調とした。白いうさ耳のような帽子が特徴となる可愛らしい衣服となっていた。寒さに強いことを伺わせるそのデザインに違わず、氷属性に対する耐性が高く、対ウルクススを始めとし、氷属性の攻撃を使用するモンスター相手に強く出られる装備となっている。
「この調子で、一通り属性に強い装備を揃えていこうか」
「ってなるとどれをやればいいの?」
「炎はイャンクック、雷はゲリョスだから今作っておきたいのはこの辺りかな……」
「じゃあ次はイャンクックに……ってなんでモルフォ脱いでるの!?」
「だってイャンクックは炎吐くし……ウルクスス装備なんてしたらきついよ」
早速この新品の装備でイャンクックに……と思った矢先、属性の問題でまた元の装備に戻されてしまう。しかし残念ながら、このイャンクックにはそれをするだけの強さがある。
「こ、このモンスター、強い……!?」
「う、動きが素早いし炎も強いしで厄介です……!」
イャンクックは怪鳥とも呼ばれる大型モンスターであり、一見すると巨大な鳥のような風貌をしている。桃色の外殻を持ち、大きな嘴と扇状に開く大きな耳が特徴なモンスターだ。だがその動きはかなり素早い。ウルクススの場合氷上を滑っている時こそ素早いものの、見た目相応の愚鈍さもあったのだが、イャンクックに関してはかなり素早く、小回りも得意なモンスター。加えて火力もそこそこに高く、その強さを前にすればプレイヤーは嫌でもモンスターに対する立ち回りを意識させられるために先生とまで名付けられるほどだ。
「うわーん!HPが0になってしまいましたー!」
「ぼ、防御力が低すぎます……」
「回復薬がどんどん消えていくよー……」
「やっばぁ……思ったより強いなぁこれ!?」
そんなイャンクック先生を前にガンナーであるが故に防御力が他の四人の半分しかないアリス、ケイの体力が尽きて倒れてしまう。モンスターハンターシリーズではクエストに参加しているハンター達の体力が尽きてしまうと、一回につき三分の一、報酬金が減少してしまう。それを三回繰り返すと報酬がゼロになってしまい、クエストが失敗になってしまうのだ。
「落ち着いてやっていこう。体力が減ったら無理に攻め込まずに回復と回避に専念していこう」
「困ったら余裕がある人にヘイトを擦り付けていこう。最悪別のエリアに移動して、そっちで態勢を立て直してもいいし」
ユズも最初は胸を借りるかのように何回か被弾を貰っていたものの、今では慣れたようにジャスト回避からの抜刀で攻め始めていた。モルフォとユズのアドバイスも受けながら、モモイとミドリも何回か死にかけながら、どうにか討伐に成功する。
「やったー!」
「か、勝てた……」
「つ、疲れましたね……」
「ええ、しかしウルクススと全然難易度が違いますね……相性のいい装備はないんですか?」
「イャンクックに相性がいい防具はイャンクックかな……でも次からは今回のクエストの経験を活かしてもっと簡単に倒せるようになるはずだよ」
「確かに、二回目以降は楽に倒せそうだね!」
そんなこんなでイャンクックも攻略し、火属性に強いイャンクック装備も作っていく。その後も、キークエストと呼ばれるクエストを中心にこなしていく六人。クエストは星によって難易度などが指定されており、集会所のクエストは星1のキークエストを全てこなし、それによって出現する星2の緊急クエストをクリアすることによって他の星2のクエストが解放されるようになる、という仕組みになっているからだ。だが、
「こ、こいつ……!」
「死んだふりしてたのこのモンスター!?」
残るキークエストのモンスターも一癖も二癖もある。毒を操り、アイテムを奪い、体力が少なくなると死んだフリをするゲリョスに剥ぎ取りをしようと近づいたケイが吹き飛ばされたり、
「ロアルドロス……なんか可愛くない?それに倒しやすいし」
「スポンジみたいですね!」
「確かにねー」
巨大な長いスポンジから顔を出したかのような姿をしているロアルドロスの、倒しやすさも相まって癒しとなってたり、
「イカつい顔をしています!鬼のようです!」
「ロアルドロスやウルクススは楽な相手でゲリョスやイャンクックは嫌らしい所もあったけど、このモンスターは楽しいね」
テツカブラと呼ばれる鋭い牙が特徴的な蛙型のモンスターを相手に楽しく狩りながら、ウルクススの氷、イャンクックの火、そして雷耐性のあるゲリョス装備の三つを揃え、緊急クエストであるドドブランゴの討伐に入る。
「こ、これがドドブランゴ……」
ドドブランゴというのは白い毛並みを持つ牙獣だ。大きく発達した上腕、口外まで伸びた鋭い牙。そしてコブのように突き出た頭部が特徴であるステップのような小刻みな動きを見せ、さらに飛び込み攻撃も含め、俊敏性と攻撃力を両立させた厄介なモンスターとなっている。無論、それだけでなく取り巻きの小型のドドブランゴとも言うべきモンスター、ブランゴ達の存在も厄介である。
「くっそー、動きが速いよ……!」
「イャンクックから火属性の武器を作ってよかったですね。雪山にいるなら火属性は弱点でしょうし」
だが、こちらにも秘密兵器がある。火属性の武器をイャンクックの素材から作っており、それを担いで戦闘に臨んでいた。モルフォ達のパーティは被弾こそ多いもののモルフォのサポートによって安定した狩りを、対してユズ達のパーティはユズが最前線でヘイトを集めながらドドブランゴと立ち回り、他二人の被弾を減らしながらユズのサポートをするように戦っていく。特に、ドドブランゴの牙をへし折ってからは一気に戦況が楽になっていく。
「あ、牙が折れたら取り巻きがいなくなった……」
「ドドブランゴの誇りが折れちゃった……」
ドドブランゴにとって牙は権威の証。それが折られたことで取り巻き達は見向きもしなくなっていく。取り巻き達が戦闘に参加しなくなったことで六人はさらに戦闘がしやすくなり、遂にドドブランゴの狩猟に成功する。
「よーし!ドドブランゴを狩ったぞー!」
「これで新しい狩技も解放されるし……パーティも組み直そうっか」
「はい!まずは狩技を……って、こ、これは!?」
「どうしたの?アリスちゃん」
「見てください!新たな狩技……スーパーノヴァです!!」
こうして次のクエストに臨むことにするのだが、その前に緊急クエストをクリアしたことで新たな狩技が解禁される。その中には各種武器の専用狩技も当然存在しており、ヘビィボウガンの狩技には偶然にもアリスの愛銃であるスーパーノヴァと同じ名前のものがあったのだ。その技の内容は、発射した弾が大爆発を引き起こし、それに相手を呑み込ませるというもの。相手の部位を破壊できたりしなければ怯んだりしないという欠点こそあるものの、相手の動きを読んで確実に当てられれば大きくダメージを稼げるという強力な技でもある。
「よーし、それじゃあ次のクエストにいこう!」
モモイの声に従うように、六人はパーティを組み直す。今度はモルフォ、モモイ、ミドリとユズ、アリス、ケイでパーティを組んで星2のクエストをやっていくことになる。星2のキークエストには星1の頃よりも強力なモンスターが多くなっており、砂に潜み、釣り出す必要があるハプルポッカ。巨大な蛇のような姿をしており、空気の振動で音を鳴らし、ハンターを苦しめるガララアジャラ。イャンクックと似ているが、禍々しい暗い紫色の配色をしており、毒も操るなどイャンクックよりも凶悪と化したイャンガルルガ。ハンターを眠り状態に変え、苦しませるフクロウのようなモンスター、ホロロホルルに陸の女王リオレイア。そして、
「何回も狩ったらさすがに慣れてくるね」
「動きは速いけど、予備動作とかもちゃんとしてるから戦いやすくていいモンスターだよねナルガクルガ」
「戦って楽しいのもいいけど……やっぱりこれだよこれ!この防具!ちょっと見てすぐに使おうって思ったんだ!」
モモイが嬉しそうにナルガ一式に身を包んだ格好を披露する。それは、上半身が鎖帷子の上から胸当てを付けたような格好となっており、肩や両腕など、ハンターとして必要な部分は守られているもののお腹などは露出しているのが見える。さらに膝も内側は露出しており、モンスターハンターシリーズの防具の中では露出が大きい部類に入る。そのセクシーなデザインも相まって当然のように人気は高い。
「確かにいいよねナルガ装備……こういう恰好はウケが絶対いいよ」
「この装備もいいですけど……アリスはウルクスス装備の方が好きですね……」
「私も同感です」
「……す、スキルと耐性で選びたいって言いにくい雰囲気……!」
「私もそっち派だから……」
とはいえ、最初にウルクスス一式を見ていることもあってか、アリスとケイの好みはウルクスス装備に軍配が上がったようだ。そのため、モモイとミドリがナルガ装備、アリスとケイがウルクスス装備、モルフォとユズは最終的にスキルと耐性重視で防具をとっかえひっかえしてるみたいな状態になっていた。
「よーし、このまま緊急クエストのライゼクスだ!」
「……ライゼクスはその装備だと……いや、いいや。とりあえずいこうか」
そして、星3に向けての緊急クエスト、ライゼクスの狩猟へと向かうことになるのだが。この時、モモイとミドリは雷耐性がほぼ死んでいるナルガ装備のせいで地獄を見ることになる。その後も一気に敵の強さも増していき、セルレギオスやリオ夫妻、ディノバルドといった強敵を相手に阿鼻叫喚になったり白熱したりしながら、ハンターライフを楽しんでいく。そんな中、モルフォが時間を確認するように窓の外を見ると、
(……?)
一瞬だけ空がぼやけて、オレンジ色の夕暮れ時から赤く染まったような気がしたのだった。