転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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先生 救出

 

ゲーム開発部がD.U.地区を訪れた時には既に時刻は夜になっていた。だが問題はそれだけではない、D.U.地区全体が異常なまでに静まり返っていたのだ。

 

『……皆、聞いて。連邦生徒会がカイザーによって制圧されたわ』

「……はい?」

 

その様子に六人が困惑していると、ユウカから驚きの言葉が告げられる。連邦生徒会がカイザーに制圧されるとは一体何が起こったというのか。

 

『夕方頃、リン代行に対する不信任決議案が可決……彼女の権限を奪われたの。連邦生徒会長代行であった彼女の権限が全て停止されたということは、連邦生徒会は機能を停止したも同然よ』

『でも、問題はそこじゃない……まるで示し合わされたかのようにカイザーが攻めてきたって事。今回の一件でまともな会議にならなかったおかげで不満が爆発したんだろうけど、おそらくは予定調和じゃなかったはず。間違いなく連邦生徒会は混乱していたはずだから、カイザーに攻め込まれても当然対応なんて難しかったはずだよ。そして連邦生徒会を掌握したカイザーは、連邦生徒会の名で戒厳令を出したんだ』

「そ、それでこんなに静かなんだ……」

 

不気味なまでの静寂の空間を見渡しながら、チヒロの言葉を聞くモモイ。カイザーが連邦生徒会を掌握したも同然の状況となれば、そのお膝元でもあるD.U.地区は当然大きな影響を受けることになるだろう。それが早速、戒厳令という形で現れてしまったということか。

 

『それに伴って、完全にD.U.は外部から隔離されている。なんとか掻い潜ってこの情報をこっちは手に入れたけど、物理的にネットワークや通信網の断絶を行ってきている以上、私達のサポートもあまり期待しないでほしい。そもそもこの回線もサンクトゥムタワーに由来するそれとは独立した別の通信網だからね』

「わ、わかりました……こっちは何とかしてみます……」

 

電子戦をやるには、それを行うための戦場、ネットワークが必要となる。その足場そのものを崩されてしまえばミレニアムにいるヴェリタスからは手の打ちようがなくなってしまう。もうここからは戒厳令で交通が封鎖されるギリギリで潜り込めた自分達でどうにかするしかないと、ユズも覚悟を決めて返事を返す。

 

「ってなると、ヴァルキューレももう動けないと……ん?あれは……」

「どうしたの?モルフォちゃん……あっ、あの子達は」

 

ふと、その視界の隅を見覚えのある四人が通過する。遅れてミドリが気付き、二人が早歩きでそちらへ向かうと、慌ててユズ達も追いかける。

 

「なんか静かですね」

「深夜ならともかく、なんか変な感じだな」

「……不気味だね……」

「私達があっち行ってる間になんかあったのかな?書記長もいつの間にかいなくなってたし」

 

そこにいたのはRABBIT小隊の姿であった。彼女達もD.U.がおかしくなってから来たようで、その雰囲気に困惑しているようだ。

 

「「「「……」」」」

 

ふと、四人の動きが止まる。まだ背中しか見えていないためこちらの姿を視認していないようだが、モエ以外の三人が銃に手をかけたのと同時に、

 

「っ!!」

 

振り向くと同時に襲い掛かってくる。ミヤコとサキが突進しながらの銃撃。ミユが横に跳んで近くのごみ箱を遮蔽物にするように転がりながら狙いを定め、モエはすぐにバックアップを行うためにその場から一目散に走り始め距離を取り始める。戦闘を確認できる程度の距離を確保する算段なのだろう。

 

「……あなた達は」

 

しかし、彼女達が気付いたのに気付いていたモルフォ達も即座に行動に出ていた。一番厄介なスナイパーであるミユが遮蔽物から出ないようにミドリが弾を撃ち込み抑え、その間にモルフォがリーダーであるミヤコを抑えにかかる。ミヤコが持つサブマシンガンの弾丸をシールドで受け止めながら銃口をシールドバッシュで殴りつけ、彼女の両腕を上げさせて真横からハンマーを叩きつけようとする。しかし、ミヤコは咄嗟に銃を手放しそのまましゃがみ込んで回避すると、そのままモルフォへ跳びかかり、CQCを仕掛けようとしたところでやっと、その顔と制服に気付く。

 

「……ってお前、ミドリ?」

「いや、私姉の方なんだけど……っていうかあれ?確かミドリとモルフォがシャーレで会ったっていう……」

「気付いていなかったんですか。随分と血の気が多い人たちですね」

「……あんな所にいれば血の気だって多くなるさ……」

 

アリスがスーパーノヴァを盾にして攻撃を受け止め、その隙にサキの懐に踏み込んで銃を突きつけたモモイ。そこで彼女達がゲーム開発部だとようやく気付いたサキはここで戦闘の意志を放棄するのだが、それを見て思わず呆れるケイにはぼやくような物言いをしてしまう。

 

「……えーと、とりあえず大丈夫そうってことでいいの?」

「た、多分大丈夫だと……思う。私達は戦うつもりはないから……」

 

その様子を遠巻きに見ていたモエと、引き金に指をかけていたユズがお互いに戦う必要性がないのを確認。そこで漸くこの戦闘は終わり、丁度近くに子ウサギ公園があったこともあり、そこでベンチに座りながらお互いに情報交換などをしていく。

 

「……いや待て。今シャーレに入れないのか!?」

「これは由々しき問題ですね……カイザーグループは癒着に飽き足らず今の私達の本拠すら……!」

「えぇ……シャワー浴びたかったのになぁ。うわー、本当にネットワークが分断されてるよ。これじゃ侵入すらできない。というかそうか、だからカイザーPMCが街をうろついていて治安維持まがいのことやってたわけか……」

「……これからどうしよう」

 

その中でやはりRABBIT小隊にとって重要だったのはシャーレに入れないということだろう。現在、彼女達の活動拠点はシャーレなのだから、そこに入れないのは死活問題である。

 

「活動実績としっかりとした活動拠点確保のために動いている最中、あの基地を封鎖されるというのはまさにSRTへの宣戦布告といっていいでしょう……」

「じゃあ、ミヤコ達も協力してくれない?」

「……いいんじゃないか?ミレニアムと合同とはいえ先生を一緒に救出したとなれば箔も付くだろ」

「クロノスも言ってたし、実働部隊のゲーム開発部と一緒に活動したってなれば今後の連携もやりやすいだろうし?」

「いや、私達普段からこういう戦いやってるわけじゃなくていつもはゲーム作りやってるからね?今回はセミナーの依頼を受けたからこうして助けに来ただけで……そりゃC&Cと手合わせしたりとかしてるけど……」

「お言葉ですが、ゲーム開発を生業としている人達が攫われた先生を助けになんて普通来ませんよ」

「酷い言われようだ……」

「お前たちが実働部隊だと受け入れてくれないと色々な所が煽りを受けそうだな……」

 

で、あればシャーレに入るために、ついでにSRTの未来のためにゲーム開発部と協力するのは望むところである。モルフォとミヤコは頷き合うと、移動を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

カイザーによって掌握されてしまった、ヴァルキューレの分校の中にある施設、そこで三人の少女と共に小休憩を取っていた先生は、最近になって思い出したというセイアから伝えられた予知夢について思い出していた。

 

『夢を……夢を見たんだ。私がクズノハという百鬼夜行の預言者と出会った時に、最後の予知夢を。だが、私はその記憶を忘却していた。彼女曰く、予知を手放した影響らしい。それを今、思い出したんだ』

 

セイアはそう告げていた。それがきっかけとなり、リンに掛け合い、非常対策委員会の招集を決定したのだ。その時にセイアから伝えられた予知夢の内容。それは、

 

『……全ての色が抜け落ちた世界。そんな、モノクロの世界だった』

 

キヴォトスの終焉。セイアの言うことだ、当然先生は信じている。しかし、先生がそれを信じるもう一つの材料として、先生が最近になって時折見ている夢があった。それは、先生が何者かに殺されるという夢。そこにいた少女は、シッテムの箱に大きな銃弾の痕を撃ち込んでおり、先生にも銃口を向けていた。その少女は、ヘイローが黒く侵食されており、冷たい目をこちらに向けていた。だが、その姿は、砂狼シロコに似ている。先生はそんな風に感じていた。

 

『視界が不明瞭だったため、全容を見たわけじゃない。ただ一つ確かなのは、先生はそこで生を終えるということ……私がかつて見た、空が緋色に染まり、キヴォトスが終焉を迎える未来と関係しているのは確かだ』

 

お互いに同じ夢を見ている。そのことを受け、先生はモルフォも視たのかとその時に質問したことがある。しかしセイアは首を横に振り、彼女は関係ないと告げる。しかし、モルフォにも異変は起こっていた。

 

『いや、モルフォは知らないようだ。だが……私が予知夢を失う直前、それを垣間見た一瞬。私は彼女に別の姿を見出した。青い羽を持ち、制服も……本来のそれとはかけ離れているが、白いシャツに青いネクタイ……あれはどこかで見たような……』

 

それは、一瞬だけ見えた異なる彼女の姿。白いシャツに青いネクタイと言われても、このキヴォトスでは複数の学園が該当する。ミレニアムもジャケットを無くせばそうなるのだから、ある意味でキヴォトスではメジャーな格好といえるだろう。だからこそ、もう一つの情報として、彼女が履いているスカートの柄について質問する。

 

『スカートの柄?ああ、そういえば言ってなかったか……腕とかにばかり意識が向いていたよ。確か……チェック柄だったはずだ』

 

セイアから告げられたもう一つのヒント。それを聞いて、先生はある学園が思い浮かぶ。しかしありえない。モルフォはミレニアムの生徒なのだから。しかし、セイアの言っていることが嘘とは思えない。わからないものが多く生まれる中、先生は自分が辿り着いた、セイアの見たモルフォの正体を口にする。

 

(……モルフォが、アビドスの生徒だった?)

 

服装から考えればそう判断するのが妥当だろう。しかし、何があって、ゲーム開発部やミレニアムの生徒達と分かれてアビドスへ向かうというのか。そこが全くわからなかった。

 

「……ごほっ、ごほっ……」

「カンナ!」

「「局長!?」」

 

と、その思考を中断するように座り込んで休んでいたカンナが咳き込んでしまう。見れば彼女はかなりの怪我をしており、口からも血が流れており、何故小休憩を取る必要があるのか、その理由がそこにあった。そもそもここに囚われた先生を救い出したのが彼女であり、カンナは一人でここまで来たのだ。生活局のキリノ、そして彼女の同僚であるツインテールの少女、合歓垣フブキと合流したのはいいが、そこに他のヴァルキューレの姿は残念ながらない。戒厳令のせいで動けなくなっており、三人が独断専行を取ったという形になっている。

 

「……どうやら私はここまでみたいです」

「え……」

 

口に手を当てて咳き込んだカンナが掌を見ると、そこには血が。やはり、彼女も限界だったのだろう。とくれば、足手まといにならないようにするため、自分を切り捨てるようにと三人に伝える。

 

「この建物を出て少し進むと、D.U.外部に向かう高速鉄道駅に出ます。子ウサギ公園の近郊なので、先生もおそらくご存じかと……っと、そうでした。これを……」

「!これは、シッテムの箱……!」

 

そしてカンナが取り出したのは、シッテムの箱とスマホであった。押収されていた先生の私物として回収していたのだろう。先生にすぐに渡さなかったのは、シッテムの箱の力を彼女が知らなかったからだろう。それを見た先生がシッテムの箱を受け取ると、カンナは安堵したような表情を見せる。自分の意図を汲んでくれたと。

 

「……現在、カイザーは連邦生徒会を襲撃し、サンクトゥムタワーの行政制御権も奪取しています。このままでは、この都市はかつてない程の混乱に陥るでしょう……これが、現実だと妥協し、腐敗しきった警官の私にできる、せめてもの抵抗でした……先生の教えがなかったら、私はきっと、踏み出すこともできずに終わっていたでしょうから……ふふ、彼女達みたいな転機があったら……いや、私にはやろうと思えばいつでもできたはずなのに」

 

カンナが思い出したのは、先生とRABBIT小隊がヴァルキューレとカイザーの癒着を暴いた過去の出来事だ。あの時のカンナは、様々な苦悩に揺れ、板挟みになりながらも遂にはカイザーと手を組むと言う選択肢を取ってしまった。その挙句、癒着が明らかになった時にヴァルキューレは、いやその上層部である防衛室はカイザーと完全に手を切るという行動と共にカンナに責任を取らせる選択を取っていた。とはいえ、自分にも責任があると、これは受け止めるべき罰であるとカンナ自身それを受け入れていたのだ。同時に、償いをしたいと。そう思っていた矢先に今回の事件が起きたからこそ、カンナは命を懸けて先生を救ったのだ。

 

「そんなことはないと思うな。カンナだって、立派な警官だよ。ちゃんと自分の信念に従って、諦めずに行動しているからね……それに、これがあれば何とかなる」

「……?」

「せ、先生?」

「それ、大事なものなの?」

 

どこか諦めの言葉を口にするカンナにそう言うと、先生はすぐにシッテムの箱の電源を入れる。その様子をカンナは勿論、キリノもフブキも怪訝な表情で見ていたのだが。

 

『せ、先生!』

 

シッテムの箱を起動すると、すぐにアロナが泣きそうな顔で先生に飛びついてくる。D.U.地区が大変なことになり、加えてシッテムの箱の電源も切られたとなれば彼女も平常心ではとてもいられないのだろう。しかしすぐに、先生の無事を確認すると、

 

『先生、無事でよかったです!何をしましょうか!』

「アロナ。まずはこの状況を打開しよう。指揮を執るのと、近くにいる生徒達に連絡は取れないかな?」

『はい!通信網はシャットダウンしているようですが、このスーパーアロナならサンクトゥムタワーには劣りません!すぐに先生の救援を……!こ、これは!?』

「どうしたの?」

 

すぐに救援を要請しようとする。ここはカイザーの戦力が跋扈する施設となっており、先生の指揮があったとしても負傷しているカンナと安全局の二人だけではまだ分が悪い。不測の事態に備えて誰かと連絡が繋がれば、そう思った矢先であった。突然外で銃声や爆発音が響いてくる。

 

「え!?」

「……まさか、戦闘?いやでも、ヴァルキューレは戒厳令のせいで動けないはず……まさか、私達みたいに無視してきてくれた人たちが?」

「……だがこの銃声は……?」

 

外の戦闘の音を聞き、誰かが来たのかと驚く三人。カンナはその銃声からヴァルキューレに配備している銃ではないと気付いたが、それなら一体誰なのか。と、

 

「いたっ!ここにいたぞ!!」

「「「「!!」」」」

 

四人が隠れていた施設への扉が開かれ、数人のカイザーの兵士がなだれ込んでくる。その必死な様子から、外ではカイザーが不利な戦闘が繰り広げられているようだ。だからこそ、先に先生を仕留めようという魂胆なのだろう。

 

「先生!早く逃げ……ぐ……!」

「いや、応戦するよ!キリノ、フブキ!」

「やらせません!!」

「ちょっと出ていってよ!」

 

キリノが、わざと狙いを外して弾丸を撃ち兵士を仕留めていく。フブキも先生の指揮を受けて着実に数を減らしていくのだが、先生の居場所が明らかとなったからか兵士たちは次々となだれ込んでくる。先生はカンナに肩を貸しながら徐々に後退していくが、先生の指揮があったとしても中々物量差を押し返せず、徐々に不利になっていってしまう。だが、

 

「―――光になれ!!」

「「「!?」」」

 

兵士たちの背後から、先生に聞き覚えのある声と共に放たれた轟音が、まとめて兵士たちを吹き飛ばす。

 

「な、なんだ!?」

「くそっ、奇襲か!?」

「外の連中は何をやってぐあっ!!」

 

いち早く反応した二人の兵士が素早い狙撃によって倒れる。

 

「RABBIT2!ゲーム開発部が外の敵を食い止めている間にこのまま制圧します!」

「ああ!」

 

続けて、突入してきたのはなんとミヤコとサキであった。そこで初めて奥の方を見ると、アリスがスーパーノヴァを叩き込み、そのままケイに交代して外の方に出ていく姿と、遮蔽物を利用してミヤコとサキの援護をするミドリとミユの姿があった。外では絶えず、銃声や爆発音が響いているのを見るに、どうやらモモイ達が増援を食い止めているようだ。

 

「あれって、SRT!?」

「なんでここに……」

「あいつらは……」

 

アリスの奇襲によって混乱し、さらにミドリとミユによって反撃の出鼻も挫かれてしまったカイザーの兵士たちはそのまま立て直すこともできずに制圧されてしまう。遅れて外の銃声も止み、モルフォ達が施設の中に入ってくる。

 

「先生、大丈夫で―――うわっ!?そこの人、凄い怪我!?」

「ミレニアムの制服……?なんでミレニアムの生徒が……」

「とりあえず手当をしたほうがいいよ!凄い血!」

「ユズ、救急セット出して!」

「わ、わかった……!」

 

元は先生が怪我をしていた時用に持ち込んだものだったが、それが役に立ったようだ。手際よくカンナの手当てをしていくミドリとユズを見て、RABBIT小隊も思わず舌を巻く。

 

「随分と手際がいいですね」

「ああ……やっぱり本業がゲーム開発なんて嘘じゃないか?」

「これは色々あって応急手当を学んだほうがいいってなっただけだから……」

 

ミドリ達が思い出すのは調印式の時に大怪我をしたモルフォの姿。あの時、トキがモルフォの手当をしてくれたことで彼女は生還できたといってもよく、その影響もあって手当の必要性をミドリ達は痛感していたのだ。

 

「……そんなことが……」

 

ミドリとユズがカンナの手当を行い、モモイやサキが警戒を続けている間にモエから通信越しに何故彼女達がここにいるのかの説明を聞いていた先生は、納得したようにモルフォ達を見る。やがてカンナの手当が終わったところでモルフォとミヤコが近づいてくる。

 

「……RABBIT小隊、いやSRT。それにミレニアムの……よく、戦闘をしながらここまで来れたな……私もここまで来るのに苦労したが……」

「実際、厳しかったですよ。とはいえ、この後の事を考えるとここで戦力は一網打尽にしておかないと後ろから撃たれる可能性が高かったので交戦しました」

「モエがバックアップに入ってくれたおかげで自由に動けるようになりました。最初は先生を救出するだけ、可能ならケイがハッキングでデータをぶっこ抜いてどうしてカイザーがこんなことをやろうとしたのか調べるつもりだったけど……」

 

モエが戦況を分析し、リアルタイムで情報をゲーム開発部とRABBIT小隊に共有しつつ、RABBIT小隊が奇襲を仕掛け、その隙を突いて横からゲーム開発部が面の制圧力でカイザーを蹴散らしていく。特に、モエを仲介する形でモルフォとミヤコがそれぞれ互いの動向を共有しつつ、それぞれの指示で動けるのがかなり大きかったこと。そこにカンナが先生を救出しに来たことで、内部からも崩れ始めてしまったのだ。

 

「この感じだと偶然とはいえ挟み撃ちの形になったのも大きそうですね。ここはもうズタズタになっているでしょうし……今は一先ずは脱出を優先しましょう」

「うん、このままシャーレに行こう」

「シャーレに?確かに私達としてはシャーレに入れるようになるのはありがたいですが……」

 

この状況を打開するためには、まずカイザーが公布している戒厳令を解除する必要がある。そのためには行政制御権を取り戻す必要があるのだが、そのために必要な行政官であるリンは不信任決議案が議決された影響で行政権限を喪失している。それをどうにかしたくても、それをするためにまず戒厳令を解除しなければならないという堂々巡りの状態なのだ。そこで残された方法は、サンクトゥムタワーの行政制御権を掌握している場所である、シャーレの地下。そこにあるオーパーツ、クラフトチェンバーを使用する必要があるのだ。

 

「……でも、シャーレに入る方法はあるんですか?」

「うん、それが……リンもシャーレに幽閉されているようなんだ」

 

つまりカイザーは現在、シャーレを掌握しているということ。連邦生徒会を襲撃し、リンを拉致してシャーレに閉じ込めたことで、万が一リンが権限を取り戻して戒厳令を撤廃するという策も封じているのだろう。それらの情報を、可能な限り情報を収集し調べてきたアロナから伝えられた先生は、今の面々を改めて見返す。生活安全局、RABBIT小隊、そしてゲーム開発部。今用意できるだけの戦力としては上々だろう、この戦力で、シャーレを取り戻す。そう決意し、先生は彼女達と共にここを脱出し、シャーレを奪還するために動き出すのだった。

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