転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
弾が次々とプレナパテスへと撃ち込まれていく。しかし、その弾丸がプレナパテスに効いているという様子は見えない。それだけ、纏っているエネルギーの密度と勢いが高すぎるのだろう。現に、プレナパテスの上空に生まれつつあるエネルギーの球体は段々大きくなっている。
「た、弾が途中で止まっちゃうんだけど……!」
「こっちはありったけを撃っているんですが……」
「ちょっとこれは予想外ですね……」
セリカとノノミがあまりの手応えのなさに冷や汗を流しながら漏らした呟きに同意するようにアカリが頷く。プレナパテスは行動こそ起こしていないが、エネルギーを溜めるだけで充分対抗できるからこそ、そちらに全力を注いでいる、といった様子だろう。
「ならば爆弾はどうでしょうか!」
「いっけー!」
「まとめて喰らいなさい!!」
「ユズも合わせて!」
「わ、わかった!」
ならばとハルナ、イズミ、ジュンコが大量の手榴弾を投げ込んでいく。それに合わせ、ユズがグレネードを叩き込み、大爆発がプレナパテスを襲うのだが、煙はエネルギーの余波によって一瞬でかき消され、その奥から無傷のプレナパテスが現れる。
「こ、これも駄目なの……?」
「ミドリ、弱点とかないの!?」
「お姉ちゃん……そんなのがあったらとっくに狙い撃ってる!」
「……参ったね……こりゃお手上げだよ」
「ん……火力が必要」
「……なら、アリスの出番です!!」
爆発でも駄目、これを越える火力となればこちらの手立ては一つ。それはアリスのスーパーノヴァだけだ。シロコとホシノがアリスに目を向けると、アリスのスーパーノヴァは既にチャージを開始しており、もう少しでフルチャージに届こうとしていた。
「エネルギー……フルチャージ!!いきます……プレナパテスよ、光になれ!!」
スーパーノヴァから放たれた巨大な一撃が、プレナパテスを穿つ。そのエネルギーは、プレナパテスの纏うエネルギーを突き破り、肩の装束を吹き飛ばす。その下から包帯でグルグル巻きにされた骨と皮だけのような肉体が露わとなるが、即座にエネルギーが突き破った穴を修復していき、元通りになってしまう。
「そ、そんな……!」
「一瞬、通用したと思ったのに……」
「これ以上の火力をどうすれば……」
「……あのショットガン」
「「!」」
スーパーノヴァ程の威力を叩き出せる武器が他にあるのか。アリスですら僅かにしか効力を発揮できない状況でモルフォが思い出したのは、シロコ*テラーが使用していた黒いショットガンだ。あれの威力は、ホシノでなければ引き出せないと、シロコ*テラーが呟いていたことをシロコと先生も思い出す。
「ん、別時間軸の私を捕まえて、あのショットガンを出させる。それをホシノ先輩が使えばもっと威力が出るはず」
「待って?あれそんな代物なの?」
「一応、そういうことは言ってた……あれはホシノ先輩以外が使ってもあの程度の威力しか出ないって」
「……どうなるのか全く想像できないんだけど」
プレナパテスに弾を撃ち込み続けながら、思わず真顔になりシロコに聞き返すホシノ。その表情は、あの程度であの威力なの?とすら言いたげでもあった。だが、その意図を理解した先生がモルフォに指示を出し、モルフォはプレナパテスから目を離さないように走り、プレナパテスに手を伸ばしたまま完全に固まってしまったシロコ*テラーの下へと近づいていく。そして黒いショットガンを手に取ると、ぞわっとした何かを感じ取る。しかし、今はそれどころではないと、
「ホシノさん!これを!!」
「オッケー!」
黒いショットガンをホシノに投げ渡す。それを受け取ったホシノが改めて銃身を見ると、本当にただの色違いにしか見えない。手にも、ずっと持っていたかのように馴染んでいる。シロコ*テラーの話も加味すると、やはりこの銃は別時間軸の自分が使っていたものとみて間違いないようだ。どういう経緯でこんな代物が出来上がったかについては色々と気にはなるが。
「……モル……フォ……?なんで……?」
「……さあ。ただ……こんな大それたことをしてまで、シロコを救いたいって思ってた私の意志を無視するのは……夢見が悪いってだけだし。それに……ここで命散らして、はいさよならなんてさ、このキヴォトスで許しちゃいけないでしょ……いや、どこでも許されないけどさ」
もう力を体に入れることすらできないのだろう。シロコ*テラーを担ぎ、運んでいく。プレナパテスが攻撃することのない状態なおかげで助かったと思いながら、素早く距離を離していく。その様子を見届け、万が一が起こっても大丈夫なところまで二人が離れたのを確認し、ホシノが黒い愛銃を向ける。
「皆、気を付けて!ホシノ!」
「うん、いくよ―――うわっ!?」
そしてホシノが引き金を引いた次の瞬間。巨大な発射音と共に銃口から赤黒い炎を纏った光弾が放たれ、それがプレナパテスに命中。その装飾を吹き飛ばしていき、集まっていくエネルギーの球体に大きな風穴が開かれ、球体が霧散するように消滅してしまう。
「「「……は?」」」
そのあまりの威力に、おそらくそれを知っているであろうシロコ*テラー以外の全員が固まってしまう。こんなの、スーパーノヴァすら真っ青な威力である。と、ホシノが急に膝をついてしまう。
「ホシノ先輩!?」
「うわっとと……あ、これやばいかも。なんか凄い疲れる……」
「もしかしてこれ、なんか変な力使ってるんじゃ……」
かつてホシノは、黒服からキヴォトス最高級の神秘と評されたことがある。本人としては凄い脱力感に見舞われる、以上には何も言えないが、この異常な威力の対価として考えられるのはそれではないか、とも考えていた。ホシノの神秘について、固有のもの、という風に黒服が表現していたことを考えると、シロコ*テラーが十分に力を使えない理由にもなりはする。が、そこまで考えてすぐに、これは後何発撃てるのかと考え始める。
「……この消耗なら後一発は撃てそうかな。さすがに三発目はもう無理だと思うけど……」
「そんな……」
「で、でも!もうエネルギーは……」
『いえ、まだです!霧散したエネルギーが再び集まっています!くっ……今の一撃でエネルギーが散ったことで集め直しになったのは僥倖ですが、これでは……』
「なら……フルチャージ!!光よ!!」
さらに、プレナパテスの下に再びエネルギーが集まり始める。再び生成されていくエネルギー球を前に、アリスがスーパーノヴァのフルチャージをプレナパテスへと叩き込むが、こちらでは威力が不十分なようでエネルギーの壁を突破してプレナパテスにダメージを与えることはできても、エネルギー球を破壊することはできないようだ。
「ダメです!通用しません!」
「ど、どうするのさ先生!」
「弱点はあるのに、私達じゃ威力が足りないよ!」
絶えず弾を撃ち込み続けてはいるものの、これでは全く意味を成さない。やはり、あれをどうにかできるのはホシノが持つこの黒いショットガンだけ。
『先生、無事ですか!?』
「っ、リンちゃん!こっちは大丈夫!だけどプレナパテスがエネルギーを……」
『こちらでも観測しています!よく聞いてください、先生!あのエネルギーをどうにかする方法があります!』
「本当!?」
と、そこで通信が回復。どうやらプレナパテスのエネルギー球を一度破壊したことによる影響が現れたようだ。そして、エネルギーをどうにかする方法もわかったと。
『簡単な話ですよ。あのエネルギーの行き先を別の所に向かわせればいいんです』
『元々、このエネルギーは虚妄のサンクトゥムに供給されていたものでもある。つまり、エネルギー自体を一ヶ所に送っていけばいいのよ』
「でも、送る先なんてどこに……」
『サンクトゥムタワーだよ!今は壊れちゃってるけど、エネルギーをそっちに送り込んで修理するの!』
『状態の共存の悪用ですね。大分強引ですが……まあ、これだけの演算装置があるのです、多少の無茶はまかり通るでしょう』
ヒマリとリオの説明を引き継ぎ、モモカがこの世界に元々存在するサンクトゥムタワーの存在を上げる。虚妄のサンクトゥムは、サンクトゥムタワーと似通った、部分的に同一といっていい性質がある。そしてエネルギーそのものは所詮ただのエネルギーだ。ならば、こちらに使えない道理はない。
「そうか、そうすれば……でも、そんなの可能なの?エネルギーはケイでもプレナパテスから取り戻せなかったのに……」
『でもそれは、プレナパテスが集めていたから。そこから散ったエネルギーは集め直すまでは使えないんだよ』
『通信が回復した時に、それに気付いたんです』
『正直こんなエネルギー、どこに突っ込めばよいのかというと困りますが……まあ、連邦生徒会に不法投棄しておけばいいでしょう』
『え、えっとその言い方は……』
カヨコ、ハナコ、アコの言葉に思わずアユムがツッコむ。連邦生徒会のサンクトゥムタワーはそんなゴミ箱ではないのだが、この状況ではそこ以外に適した場所がないのも事実。
『アユムさん。連邦生徒会にも穴はあるんですよ』
『え、穴……?』
「……つまり、もう一度あれをどうにかすればいいってことだねー」
『ホシノ先輩、大丈夫ですか……?』
「正直、この一発で決着つけないとまずいかもね。でもま、これ以外ないならやってみるしかないんじゃない?」
ホシノが手に握る黒いショットガンを握りしめながら言う。実際、それしかないのだろう。だが、先ほどのホシノの発言からするに、撃てるのは後一回だけ。それでこのエネルギーを完全に処理しなくてはいけないのだ。
『じゃあ。エネルギーを霧散させたら、その後はプレナパテスに攻撃を続けて!プレナパテスが攻撃を受けている間は、エネルギーの集まりが悪くなっているんだ。少しでも時間を稼げば……!』
「わかった。ホシノ、頼めるかい?」
「いつでもいいよ~、それじゃあ……皆、いくよ!」
ホシノが皆の顔を見て、全員が頷いたのを見てから、先生の指示を受けてエネルギー球をもう一度撃ち抜く。燃える光弾がエネルギー球を粉砕し、エネルギーが霧散すると共に、
『エネルギーを回収します!!』
『皆、頑張って!』
オペレーター陣がそのエネルギーを余すことなく回収していこうとする。二発撃った代償で完全に腰を抜かしたように後ろへ倒れ込むホシノをノノミが支え、彼女に盾を突き立ててもらうと、背中をノノミに寄りかからせながら、ホシノも何とか自身のショットガンを盾に取り付けて固定し、既に先生の指示で攻撃を始めている皆に加わり、プレナパテスを攻撃し始める。
「ホシノ先輩、大丈夫ですか!?」
「うへ、まあさすがに三発目を撃たなきゃ大丈夫大丈夫~」
先生の声と共にモルフォ以外の全員が弾を撃ち始める。モルフォも、この状況で四の五の言ってられる状況ではないとショットガンを構え、深呼吸をして狙いをつけると、一息に引き金を引く。そして、カチッ、という音だけが鳴る。
「……あれ?」
思わず銃身を触ってみると、気付く。銃身に凸凹がついているのを。それは間違いなく、シロコ*テラーとの戦闘中に生じたものだ。そのせいで弾が通らなくなってしまい、射撃しようにもできないという、とんでもない事態に陥ってしまったのだ。
「……どうしたら……!」
「……モルフォ……」
銃を使えず、悔しそうにするモルフォを見ていたシロコ*テラーがプレナパテスを見る。プレナパテスが集めているあのエネルギー。あれがあれば、プレナパテスは色彩に導かれるようにこの世界を滅ぼすのだろう。シロコ*テラーはそう考えていた。だが、そうなった時。この世界の先生や対策委員会、モルフォ。そして、堕ちる所まで落ちた自分のために魂だけとなってきてくれたモルフォの事が脳裏に浮かんだシロコ*テラーは、あることを決意し、ワームホールの中から一丁のコンパスが取り付けられたライフルを取り出す。
「……これを使って」
「……これは」
そのライフルには、バッテリーのようなものが取り付けられており、レールガンのようにも見えた。いや、レールガンのライフルなのだろう。アビドスの校章を記した銃身から視線をグリップの方に移すと、製造元を示すかのように小さくミレニアムの校章が刻まれているのがわかる。刻まれている文字から判断するに銃の名前はASMRだろうか。
(……これが、この銃の名前なの?)
「……こんなこと、今更言っても虫が良すぎるのはわかってる。だけど……もう、嫌なの……これで……先生を……」
「……このライフルは―――いや、待って?」
『アリス!これ以上の連続稼働はスーパーノヴァがオーバーヒートします!』
「だけど!今はこれしかありません!」
『く……サンクトゥムタワーの修復とエネルギー操作に演算装置がフル稼働しているせいでこちらまで手が回りません……ああ!!』
シロコ*テラーから渡されたライフル。それを見ていたモルフォの耳にケイの悲痛な声と爆発音が聞こえてくる。見れば、スーパーノヴァのバッテリーが爆発を起こしており、アリスも丸腰の状態になってしまっていたのだ。
「アリス!これを!!」
「えっ、あの、この銃は!」
その様子を見て、即座にライフルを投げ渡す。それを受け取ったアリスが驚きながらそのライフルを見る。
「シロコから渡されたライフル!それもレールガンっぽいから、アリスの方が使いこなせるはず!!それに、ライフルなら使った経験あるでしょ!」
「―――いえ、やってみせます。この銃からは……モルフォがアリスならやってくれると信じて託してくれた思いを感じますから!いきます!!」
ライフルの銃口をプレナパテスへと向ける。そして、エネルギーをチャージしていくと、電力が銃身を満たしていくのがアリスには分かる。
「……?この銃、接続しなくても外部からも電力を供給できる……?ならば!」
その途中でライフルの特性に気付いたアリスがさらに電力を高めていく。一時的に己のパワーさえ込めた必殺の一撃が、プレナパテス、ではなく小さく出来上がり始めたエネルギー球へと向けられる。
「これがフルパワーです!光に―――なれ!!」
そして放たれた一撃が、再びエネルギー球を打ち破る。その様子を見て、このライフルはここまで威力が出たのかとシロコ*テラーが驚きを露わとする中、
『―――取りました!全てのエネルギーを、奪い取りました!!』
「よし!!」
ケイから勝利の報告が響く。プレナパテスは完全に沈黙し、奪われようとしていたエネルギーは消えた。それを知り、その場にいた全員が、勝利に喜び合う。
「見ていますかフウカさん、こういう時にこそ勝利の美酒、もとい美食を……あら。まだ寝ていますか……ふふ」
「凄いよアリスちゃん!」
「ホシノ先輩、大丈夫?」
「シロコちゃんほどじゃないから大丈夫だよ~、セリカちゃん背負って~」
「いや……全然大丈夫じゃないですよね?」
「ふふ、ホシノ先輩はちゃーんと私が背負っていきますから大丈夫ですよ~」
「……後は」
先生がプレナパテスを見る。プレナパテスは沈黙したままだったが、先生を見て頷く。それを見て、何かを伝えたいのだと気付き、先生は歩み寄っていく。他の生徒達が慌てた様子で先生に声をかけるが、先生は皆を手で制すると、プレナパテスに歩いていく。そしてプレナパテスの目の前に立った先生を、プレナパテスがぎこちない動きで顔を動かし確認する。
「プレナパテス。あなたは……」
プレナパテスから掠れた音が聞こえてくる。プレナパテスは、何かを喋ろうとしている。それだけでは何を言っているかはわからない。しかし突如、
「―――シロコは、悪くないよ。勿論……モルフォもね……」
「……え……」
掠れた声ではあった。だが、それは間違いなく、プレナパテスから発せられた声だった。その声を聞いたシロコ*テラーが驚いたように顔を上げてプレナパテスを見る。今まで、色彩に操られていたはずの彼から出てきた、彼本人の言葉。そして、
「自分の生を悔やんだり……責めないで……」
「……先……」
「幸せになりたいと願う気持ちを……否定しないで」
「……先生……」
「生きることを諦めて、苦しみから解き放たれた……だなんて、悲しいことを言わないで……苦しむために生まれてきた、なんて……思わないで。そんなことは絶対にないのだから……どんな生徒も、そう思う必要なんて無いのだから」
「……う……」
それは、プレナパテスとなった先生の嘘偽りない本心。色彩の嚮導者となっても尚、ずっと彼はシロコ*テラーとモルフォの事を案じていたのだろう。向こう側で何があったかはわからない。だが、全てはこの言葉を伝えるためにここまで足掻いてきたのだと、先生は感じ取っていた。
「子供の……世界が、苦しみで溢れているのなら……子供が、絶望と、悲しみの、淵でその生を終わらせたいと……願うのなら……そんな、願いがこの世界のどこかにまだ、存在するというのなら……それは……その、世界の責任者のせいであって、子供が抱えるものじゃ……ないんだ……世界の、責任を負う者が、抱えるべきだよ……」
掠れた声が、さらに掠れていく。プレナパテスの喉も、既に限界を越えているのだろう。それでも口を開いていく。これだけは、絶対に伝えるという強い意思と共に。その場にいた全員が口を閉じ、シロコ*テラーのすすり泣く声だけが響くその空間で、言葉を紡ぎ続ける。
「例え、罪を犯したとしても、赦されないことをしたとしても……生徒が責任を負う世界なんて、あってはならないんだよ……いつ、いかなる時であっても……子供と共に、生きていく大人が背負うべき事、だから……だから、責任は、私が負うよ……もう、君達は……いいんだ……こんなことを、しなくても……」
そして、プレナパテスから光が溢れる。その光は、もう一人のモルフォへと変わっていく。
「!モルフォ……!!」
「……先生……」
プレナパテスから解き放たれたモルフォを見て、シロコ*テラーが少しだけ安堵した様子を見せる。他の面々も、もう一人のモルフォが無事に解放されて安堵する中、もう一人のモルフォが口を開く。
「……今、先生はやっと、色彩と、無名の司祭から解放されたの」
『無名の司祭ですって……?』
「……先生を色彩の嚮導者に仕立て上げて、自分達の操り人形にしていたのが無名の司祭という存在……無名の司祭達は表に出ず、先生をプレナパテスへと仕立て上げて世界を滅ぼさせようとした。あれは……その無名の司祭たちの最後の抵抗……凄いね、この世界は。この世界なら……この世界の私がいる世界なら、きっと……」
何故、プレナパテスが世界を滅ぼそうとしていたのか。その理由を語るもう一人のモルフォ。やっと、この瞬間が来たのだと、そう、嬉しそうに、だが最後の方の言葉は誰にも聞こえないぐらい小さく呟くと、プレナパテスを見る。プレナパテスは先生に、撃ち抜かれ、穴の開いたシッテムの箱と自らの大人のカードを差し出す、そのシッテムの箱にはA.R.O.N.Aが入っているはずだ。それを差し出したということは、つまり。
「―――生徒達を、よろしくお願いします」
その言葉を聞いた先生は、迷うことなくそのシッテムの箱と大人のカードを手に取る。A.R.O.N.A.。彼女もまた、プレナパテスの、いや、別の時間軸の自分の生徒なのだ。だからこそ、彼の為にも応えてみせる。その強い決意と共に、先生はプレナパテスの手を握りしめ、プレナパテスは満足したように崩れ落ちる。その姿を見届けたもう一人のモルフォは、悲し気に、視線を逸らし虚空を見つめるのだった。