転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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生徒達と新たなる世界

 

「「―――先生!!」」

 

崩れ落ちたプレナパテスにシロコ*テラーともう一人のモルフォが駆け寄る。しかし、既に先生はこと切れて動かない。その様子を悲痛な面持ちで見つめる二人を見ながら、先生はプレナパテスのシッテムの箱を見る。そして、

 

「……シロコ。モルフォ。一緒に行こう」

「……先生……」

 

二人が先生を見る。先生は、強い決意を表情に浮かべながら、手を差し出す。

 

「私も、彼に託されたから。彼の生徒を……未来を。だから、皆で行こう。私も、そして君達は、生きなきゃならないんだ」

「……」

 

プレナパテスと、先生を交互に見ていく。しかし、やがて彼女もプレナパテスに送り出されることを決めたように立ち上がる。それを見て、安心したように笑顔を見せるもう一人のモルフォに近づいていったモルフォが、アリスから受け取ったライフルを差し出す。

 

「これ。多分あなたのでしょ」

「!わかったの……?」

「まあ、皆が使ってない銃種だったからね」

 

ライフルを渡されたもう一人のモルフォが少し驚いたような表情を浮かべる。この世界のモルフォはショットガンを使っていることもあり、もしかしたら気付かないのかもと思っていたのかもしれない。

 

「脱出するとしたら何が起こるかわからないしさ。必要でしょ?これ」

「……ありがとう。だけど……私はまだ、ここから出れないの……」

「……!」

「え、なんで!?」

『そうですよ!?もう一人のシロコ先輩のいた世界だと、同じアビドスの生徒だったのに……』

 

この銃をもう一人の自分に渡したのは、一緒に行こうという意思表示でもあった。だが、もう一人のモルフォは首を横に振ってしまう。その様子に、セリカとアヤネが真っ先に反応するものの、シロコ*テラーを始めとし、その意味を理解してしまった面々の表情は浮かないままだった。

 

「……今の私は、魂だけの存在。そんな私がここでこうして皆に見られているのは……ナラム・シンの玉座だから。でも……私も、先生に送り出されたから……」

「……そうだよ、モルフォ……モルフォも、一緒に……一緒じゃないと、嫌だよ……」

「……うん。私は……シロコ先輩達を、送りだせればもう……そう、思ってた。そう思って、ここまで来たけど……でも、やっぱり今は、嫌だって思うように、なっちゃった……だから。もう少し……先輩、もう少しだけ、待ってほしいの……」

 

シロコ*テラーがモルフォの両腕を掴む。行くなら一緒に、そういうことなのだろう。しかし、シロコ*テラーだってわかっているはずだ。プレナパテス亡き今、モルフォがこのナラム・シンの玉座の外には出れないということを。だからこそ。この世界の自分、そしてケイを見てから、シロコ*テラーに向き直る。

 

「大丈夫……絶対私はシロコ先輩の所に戻るから。絶対、絶対に……」

「……だけど……」

「いつも、最後には戻ってきたでしょ……?あの時だって、そう……姿は変わったけど、こうして一緒になれた。だからこれはきっと、必要なことなの。シロコ先輩にとっても……皆にとっても……」

 

シロコ*テラーを抱きしめ、目元に涙を浮かべながらモルフォは優しく語り掛ける。その辛そうな声音は、唯一見知った相手であるシロコ*テラーと一時的にでも離れなければならないことへの不安を感じられた。

 

「……だから、私が戻ってくるまでこの世界の私をお願いします……」

「……うん……うん……」

 

そして、名残惜しそうにシロコ*テラーから離れたモルフォは、羽を広げて宙に浮かび上がる。先生に向き直ったモルフォは、にこりと笑う。

 

「先生……こんなこと、許されないかもしれないけど……少し、自由にさせてもらっても、いいでしょうか?」

「必ず、帰ってくるんだよね」

「うん……絶対に、皆の所に帰りますから……だから、シロコ先輩、皆……ちょっとだけ、さようならだね……」

 

そう言い、モルフォの姿がナラム・シンの玉座から消えていく。その所在をヒマリが追おうとするも、どこに消えたのか全くわからず、通信の向こうからその旨が聞こえてくる。

 

「……またね……またね、か……」

 

そんなことを言ったのは、いつ以来だろうか。凄く、懐かしい気がする。でも、やっと。やっと大切な人が帰ってくるのを待つことができるのだと。それだけで、シロコ*テラーは嬉しかった。

 

「……どこに行っちゃったんだろう」

「わかんないけど……帰ってきたら、皆で一緒にゲーム、できるよね」

「はい!そうなったら……モルフォも双子ですね!」

「え?いや、それとはちょっと違う気がするけど……」

「そ、そうなると私だけ……?」

「ユズ、そういうことにはならないから」

 

消えていったモルフォを見上げながら、ゲーム開発部が話し合う。その隣まで歩いてきた美食研究部も、やっと肩の力を抜いた様子で天を見上げる。

 

「……帰ったら、あちらの先生のためにも弔いの美食を捧げたいものですね」

「精進落としでしたっけ」

「ええ……彼らの身に何があったのか、その全てを理解し得ることは私達では不可能でしょう。ですが、私達が彼のためにできることといえば、この箱舟を棺とすることではないでしょうか?」

「まあ、どうせこれは壊さないといけないものだけどね……」

「とにかく、しんみりした気分になるより皆で楽しく美味しくした方が、先生にとってはいいよね!」

「そうですね!地上に戻ったらお腹いっぱい食べましょう!」

 

美食研究会の言うこともまた正しいのだろう。死者を笑って送り出し、区切りをつけることは大事なことなのは間違いない。そう言う意味では、こういう行事や儀式は人間にとって大切なものかもしれない。

 

「とりあえず色々あったけど……あっちの先生も頑張ってたんだねぇ。もう一人のシロコちゃんが悲しまないようにするためにもこれから色々頑張らなくちゃ」

「……はい、そうですね。頑張りましょう……私達の力で」

 

じっとその場に立ち尽くし、消えたモルフォを見上げ続けるシロコ*テラーを見ながら、ホシノが言葉を零す。それに同意するように、ノノミがぐっとホシノの肩を握る手に力を込めながら頷く。

 

「……でも、これでやっと終わるのよね?全部……」

『……うん。後は、このアトラ・ハシースの箱舟を爆破させれば……』

「ん。もうこんな戦いは終わり。私達にできるのは……別時間軸の私のいた世界のような未来が訪れないようにすることだから」

 

気力も体力も尽きたように座り込むセリカを見ながら、アヤネとシロコも言う。そしてケイのホログラムが現れると共に、遂に作戦の最終段階に入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。大爆発を引き起こし、アビドス砂漠に落下したアトラ・ハシースの箱舟の残骸と、そこから距離を離れて着陸したウトナピシュティムの本船の姿があった。アトラ・ハシースの方は既にアリスとケイが所有しているため悪用される心配こそなかったが、先のエネルギーを奪い取られた件や、そもそも残す理由がないのもあり、落下位置がアビドス砂漠になるように調整された後に自爆シーケンスによって一瞬で破壊させられていた。そして、残ったウトナピシュティムの本船も解体されることが決まり、地上で待機していたエンジニア部とヴェリタスそして駆け付けたリオが立ち会うこととなっていた。

 

「……なんか、もったいないわね……ウトナピシュティムの本船自体は別に無害なわけだし残しておいてもとは思うんだけど……」

「演算装置の一部だけでも取り出してトリニティに置いといたらサーバーとして有益そうですね?」

「やめてくださいよこんなオーパーツをトリニティに置くなんて。まあ、だからといってミレニアムにあっても困りますが……」

「……こんな人の身に過ぎた力なんて残しておいても良いことはないし、無いものにして正解だよ。少なくとも今の時代じゃ早すぎ……いや、この場合は遅すぎるのかな」

 

爆薬を仕掛けたり、シミュレーションを行いながら準備が進められていく。その様子を見ながら、やれることがなくなった残りの面子は休息も兼ねて不法占拠したままのカイザーPMCの基地の食堂で休んでいた。解体をここで行うのは、万が一の事態が起こってここら一帯が吹き飛ぶようなことになっても生徒の心は誰も痛まないからである。

 

「準備が終わったわ」

「ありがとう、リオ。ケイもヒマリもお疲れ様。後は……」

「こいつをポチっとやれば全部が終わる。ついでだし先生が景気よくやってみるのはどうかな?良い締めになるだろう?」

 

生徒達がウトナピシュティムの本船を見守る中、準備を終えたリオ達が戻ってくる。そしてウタハから渡されたスイッチを見ながら、先生は苦笑する。

 

「あ、はは……でも、そうだね。折角だし……私がやらせてもらうよ」

 

これも、プレナパテスに対する供養の一種でもあるのだろう。ウタハから受け取ったスイッチを見ている中、ホシノ達は少し離れた所でじっとウトナピシュティムの本船を見つめるシロコ*テラーの姿を見ていた。

 

「あのシロコちゃん、大丈夫でしょうか……」

「モルフォちゃん、まだ帰ってきてないね……」

「時間がかかる、っていう風には言っていたけど、どこに行ってしまったんでしょうね……」

 

そこに、もう一人のモルフォの姿はない。先生は、彼女なら問題ないはずだと信じたからこそ、アトラ・ハシースの箱舟を爆発させたし、シロコ*テラーもそれを疑ってはいないのだろう。それでも、やはり思うところがないわけもなく、こうやって距離を取って一人で佇んでいるのだろう。

 

「やっぱり、声をかけてあげるべきじゃ……」

「んー……それはちょっと難しいかなぁ。時間を取ってあげた方がいいと思うけどねぇ」

「そういうものでしょうか……」

「あのシロコちゃんがそうかはわからないけどねぇ」

 

シロコ*テラーに声をかけてあげるべきか否か。対策委員会がそれについて悩んでいる傍ら、アカリに背負われていたフウカがやっと目を覚ます。

 

「……は!?あれ、ここ、箱舟じゃ……うっ、眩しい!?」

「あら、目を覚ましましたか、フウカさん」

「ハルナ……え、ここ外?」

「そうですよ、もう終わりました」

「フウカのおかげだよー!」

「偶然ではあったけど、車両を持ってきたことが大正解になるとは思わなかったわね……」

 

目を覚ましたフウカを見て、喜ぶハルナ達。フウカもずっと気絶していたため、プレナパテスとの戦いの顛末はまだ知らないようだが、とりあえず全部終わって後は後処理をするだけなのだというところは理解したらしい。安堵した様子で溜息を漏らす。

 

「ミレニアムに帰ったら……どうしようか……?」

「まずは……寝ようかな。正直色々整理はしたいし」

「お姉ちゃん、モルフォちゃんは怪我人だよ……」

「うん……まずは休もう?皆頑張ったわけだし……」

 

アリスとケイは先生の所におり、残った四人がぼーっとなりながら解体作業を進めるリオ達を見る。座り込んでそれを見学していたモルフォの両隣と後ろにコトリ、ヒビキ、マキが近づき、それぞれ座り込む。

 

「お疲れ様です、モルフォ」

「いやー、大変だったね!」

「正直人生で一番疲れたと思う」

「皆もお疲れ様」

 

後ろからマキに抱き着かれ、首や背中を伸ばされながら三人に対応していくモルフォ。そこに便乗するようにモモイとミドリ、ユズも混ざり始める中、遂にその時がやってくる。

 

「皆、それじゃいくよ!」

「音には気を付けて!」

 

ウタハとチヒロの合図を受け、全員の意識がウトナピシュティムの本船へと向けられる。そして先生がスイッチを押すと、ウトナピシュティムの本船が大爆発に呑まれていく。

 

「お、おお……」

 

その予想以上の衝撃と風圧に思わず先生も驚いたように声を上げる。確かにウトナピシュティムの本船はでかいため、これを破壊しようとしたらそれだけのものが必要になるのはわかっていたが、そこから生まれる威力も凄まじいものだ。

 

『バリアがビリビリ言っていますね……恐ろしい威力です……』

「あはは、全くだね……」

「……凄い威力だった」

「ええ、いい爆発音です。ごちそうさまでした」

 

自分達も爆薬のセットには関わっていたのもあり、ある程度予想はしていたが実際にそれを目の当たりにして呆れるハレ。それに対し、満足のいく音を聞けたとばかりに満足そうなコタマを見ていたリンが先生に視線を戻す。

 

「ウトナピシュティムの本船、破壊を確認しました」

「これでやっと帰れるねー……まあ、帰ったら帰ったでリン先輩をまず復帰させないといけないんだけど」

「そういえば不信任決議のこと、すっかり忘れていましたね……」

 

モモカとアユムも、ここでようやくD.U.地区の問題はまだ完全に解決していないことに気付いたようだ。とはいえ、今のリンにはキヴォトスを救うための作戦に尽力した実績もある。この実績を前にすれば他の連邦生徒会の役員達も頷かないわけにはいかないだろう。

 

「うへ~、こりゃ派手だねぇ」

「……っていうかアビドス砂漠にあんな船が埋まってたのにも驚きなんだけど……まだ他にやばいの埋まってたりしない?」

「ないと信じたいけどねぇ、そういうの出たらまたリオちゃんに教えた方がいいのかなぁ?」

「そうしてくれると助かるわ。今回はこういう事態になったからウトナピシュティムの本船について知ることができたし、こちらの武器として奪い取ることができたけど……」

 

こうしてやりたい放題使い倒した身で言うのもあれだが、そもそもの話、ウトナピシュティムの本船自体、カイザーがキヴォトスを征服するために見つけた最終兵器である。そしてミレニアムの廃墟でも色々なものが見つかっている以上、そういったものには敏感にならざるを得ない。

 

「そもそもビナーなんてものがいる場所ですからね……何があってもおかしくないというか」

「アビドスでやばいのが見つかったら私達の方で調査させていただきますよ。間違ってもカイザーや怪しい勢力に譲る、なんてことはしないようにお願いしますね」

「いやぁそれはしないよぉ」

「ん……そもそも、これ以上やばいのがあっても困るけど」

「……やばいの、か」

「……何か気になることでも?」

 

その話を聞いていたカヨコが何か引っかかるのか、ぽつりと言葉を漏らす。その様子を訝し気に見ていたアコの言葉には答えず、残骸となっていくウトナピシュティムの本船へと視線を戻す。

 

(まあ……あれだけ探して見つからないのならどこにもないでしょ)

 

スマホを取り出し、アビドス高校で待機しているであろうアル達に連絡を取る。さすがに今ばかりは帰ってゆっくり休みたい気分だ。おそらく、他の皆も同様だろう。

 

「……先生」

「シロコ。シロコはこれから、どうするの?アビドスに……」

 

と、先生の下にシロコ*テラーが近づいてくる。彼女に、これからの事を聞こうとした先生だったが、シロコ*テラーは首を横に振る。

 

「……ううん……私は、モルフォが帰ってくるのを待ちたい。それまでは……この世界を見たいと思うの。この世界に私達が来たのが……モルフォの望んだことなら、ここがどんな世界なのか、知りたいから……だから、それまでは……」

「行っておいで」

 

シロコ*テラーの背中を後押ししたのは、ホシノだった。彼女の言葉を聞いて、びくっと肩を震わせたシロコ*テラーだったが、申し訳なさそうにホシノの顔を見る。

 

「……いいの?」

「いいんじゃない?折角色んな所を見て回れる機会がシロコちゃんにはあるんだからね。いつモルフォちゃんが戻ってくるかはわからないけどさ、その時までゆっくり休みなよ。それくらいやっても、罰なんて当たらないよ」

「……うん、ありがとう……」

 

そう言うと、シロコ*テラーは皆に背を向けて歩き出す。その背をセリカとアヤネが追いかけようとしたものの、風が吹くと共に砂が舞い、視界を塞ぐ。その視界が晴れると、そこにはワームホールを作られたと思われる痕を残して、彼女は姿を消すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「……ふう」

「いひひ、先生も大変だねぇ」

「あ、はは……RABBIT小隊がいてくれて助かってるよ……」

「いやー、シャーレにいるのがこんなことで役に立つとは思わなかったよ。ま、これも臨時報酬としては悪くないし?」

 

疲労困憊、といった様子で先生は呟き、背もたれに寄りかかりながら、シャーレの一室に飾られるように保管されている黒いショットガンを見る。別時間軸のホシノが使用していたとされるショットガン。しかし、そのあまりにピーキーで強力すぎる性能は、普段の戦闘で使うわけにはいかなかった。そういった事情もあり、このまま持っていたとしても絶対に持て余すから預かってほしい、というホシノの要望を受け、先生が預かっているのだ。

 

「あれからもう……一週間か。なんだかあっという間だね……」

 

キヴォトス全土を揺るがした戦いから既に一週間が経過しており、生徒達はそれぞれの場所へと戻っていった。特にD.U.地区は大忙しであった。地区の復興は勿論の事、アトラ・ハシースの箱舟での一件で棚ぼた的に復活したサンクトゥムタワーも復旧に使われたのが虚妄のサンクトゥムのものと同じエネルギーであったためにそのまま運用、というわけにはいかず、本当にこのまま運用して大丈夫かどうか、詳細な検査をする必要があった。

 

「……」

 

この状況では他の学園の生徒達もシャーレの当番で呼ぶことはできない。それでも、この異常事態の後始末のせいもあってシャーレの仕事量に関してはこれまで以上の量となっており、これを先生だけで捌くのは不可能であった。そこで白羽の矢を立てられたのは、シャーレの中に現在拠点を構えているRABBIT小隊であった。RABBIT小隊としても、後々の事を考えると書類仕事も覚えなければならないことは重々承知であり、さらに臨時報酬も出してもらえる、さらには実績も重なると良いこと尽くめではあった。ただ一つ、問題があるとすれば。

 

「……うう、頭が痛くなってきた」

「ほ、ほら見てくださいサキ……朝見た時の半分になってますよ……」

「……ごめん、書類なんだけどまた追加が……」

「「あああああああ!!」」

「……うう……いつ終わるんだろ……」

「いひひ……やっば、これ終わらなかったら破滅しちゃいそう」

 

無限書類地獄が終わらないということだろうか。ミヤコとサキの発狂したような叫びが上がる。だが仕方のない事である。昨日の夕方頃に他の学園の様子をそれとなく聞いてみたら、セミナーにヘルプで連行されたモモイの悲痛な叫びがモモトークに綴られていたのでどこも似たような忙しさなのだろう。

 

「……サンクトゥムタワーの方はどうかな?」

『はい!まだ完全には調べ切れてはいませんが、一部機能に関しては安全性が認められたので部分的にですが復旧はできそうです!プラナちゃんと一緒に頑張りました!』

『……経過は順調です』

 

RABBIT小隊に聞こえないようにアロナに声をかける。シッテムの箱から出てきたアロナ、その隣に、黒いセーラー服に白髪の少女、A.R.O.N.A.が現れる。あの戦いの後、プレナパテスのシッテムの箱から彼女を移動させており、アロナと同じ読みをするA.R.O.N.Aのままでは先生が呼びづらいということ、そしてプレナパテスとなった先生の歩んできた軌跡を忘れないようにという思いを込めてプラナという新たな名がつけられていた。プラナも最初は戸惑ってはいたものの、状況を理解していくにつれてやがて現実を受け入れてきたようであった。

 

「そういえばプラナちゃん。あちらのモルフォさんの行方はわからないのでしょうか?箱舟からは脱出しているとは思うのですが……」

「……残念ながら。ですが……もしかしたら……いえ、忘れてください。モルフォさんは魂となっていますが、電子的な部分もあります。もしかしたら、電脳の海に繰り出す形で脱出したのかもしれません」

「成程……」

 

先生に報告をしてシッテムの箱の中に戻る二人。その話題がモルフォに変わると、プラナは自分の予想を口にしていく。しかし、彼女にはまだ、引っかかる部分があった。

 

(……シロコさんをこの世界に。モルフォさんの目的は、果たしてこれだけ……?)

「それにしても、別時間軸のモルフォさんって全然違いますね……あんな羽まで生やして、凄い歌を歌って……この世界だとゲームを作ってる以外はあんまり変な能力はないんですがね……まあ、その分もしかしたら変な巡り合わせをする人なのかもしれませんが……補習授業部のために出張しているときにケイさんが事件を起こした時はどうして重なったんだと私も思ったほどですし」

「……?ゲームですか?彼女はアイドルをしていないんですか?」

「えっ???」

 

自分の感じた引っかかりについて考え始めるプラナ。しかしその思考は、アロナの発言によって中断させられることになってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

積み重なった残骸。アトラ・ハシースの箱舟であったそれは、もう演算装置としては勿論、解析のしようもないほどの鉄屑と化していた。既に生徒達がいなくなったものの、曲がりなりにも世界を滅ぼしかけた遺物だというのに、カイザーが一切手を付けようとしていなかったのが価値を失っている証拠だろう。

 

「……う……こ、ここは……?」

 

その鉄屑の中から声が聞こえてくる。それは、小さな部屋のような場所。そこには、一つの棺が置かれており、それがゆっくりと開かれる。長い髪のその少女は、首に痛みを感じ、力が入らない体を頑張って起こす。ぽわっ、とその体を薄い、青い光のようなものが覆っていったかと思うとちょっとだけ、力が回復したような気がしてくる。棺の横にはコンパスが取り付けられたライフル、保存食などが入れられたリュックが置かれてあった。

 

「……もしかして、アビドス砂漠……?」

 

それらを持ち運びながら、どうにか崩れた鉄屑の中から脱出する。隙間が狭くて胸が苦しくなる場面こそあったものの、どうにか抜け出した彼女は、辺り一面に広がるアビドス砂漠を見渡すのだった。

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