転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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蒼森ミネとくるりんスカッシュ!

「……モルフォ、凄い音が鳴ってないかい?」

「タイム短縮のためには致し方ない犠牲です」

「イライラ棒とは……?」

「イライラ棒に体力を設ける方が悪いので……」

「成程。こういう強引な差し込み方もあるとは……中々奥深いじゃないか」

 

シャーレの一室。そこにはセイアとモルフォの姿があった。先日の大きな戦いも終わり、セイアもホストの座をナギサに譲ったままの状態ではあったものの遂に復帰、情勢がやっと落ち着いてきていた。そういったこともあり、休みの日を設けてシャーレを訪れていた。そこにはモルフォの姿もあり、晄輪大祭でモルフォも色々忙しい中で顔を少し合わせて話をした時以来の再会となっていた。

 

「……ふむ。しかし中々可愛らしいデザインをしているじゃないか。案外ミネとかも好きなんじゃないか?」

「ミネさんって救護騎士団の団長さんですよね」

「ああ。意外かい?ああ見えて中々可愛らしい趣味をしているんだ彼女は」

「そうですか?女の子なんですから可愛いものが好きなのは当然だと思うんですが」

 

モルフォとセイアがプレイしていたゲーム。その名前はくるりんスカッシュ! ゲームキューブで販売されたくるくるくるりんシリーズと呼ばれる、イライラ棒のような形式でステージを進んでいくアクションゲームの三作目である。このゲームでは渦巻き状の髪型にゴーグルをつけた青い鳥の主人公、クルリンがヘリリンと呼ばれる特殊なヘリコプターに乗ってステージを攻略していく、という内容になっている。

 

「モルフォもやっぱりそうなのかい?私は恰好いい系が好きなイメージがあったんだが」

「まあ格好いい方が当然好きですが、可愛い系も普通に好きですよ」

 

このゲームに出てくるキャラは主人公のクルリン、その家族は勿論だが、敵役であるイソガシマ教授を始め、作中に出てくる敵キャラも愛嬌のある見た目をしていることも多い。話の内容も、シリアスな内容というよりもほのぼのだったり時折ギャグが挟まれたりといった明るい内容となっているため、こういった可愛いキャラが好きな人にとっては取っつきやすい内容になっていると言えるだろう。

 

「……ふむ。ミネも結構気に入るかもしれんな……ついでにミネも引きずり込むのも悪くは……」

「じゃあやってもらいますか?こういうゲーム性なのでもしかしたら合わない可能性はありますが」

「何、大丈夫だろう。これぐらいできなきゃ救護なんて到底無理だろうし」

 

そんなこのゲームを一通り楽しんだセイアは、折角ならとナギサがゲームをプレイしている様子を観察しながらも、時折興味深そうにそわそわしながらナギサを見るフリをしながらゲーム画面の方を見ていたミネを絶対にこのゲームにハマらせてやろうと不敵な笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……あの……セイア様、これは……」

「君が望んでいたものだよ、ミネ」

「いや、あのえっと……」

 

セイアの所有するセーフハウスの一つ。そこに招かれたミネは困惑した様子を見せていた。ミネとセイア、それぞれサンクトゥス派の復帰したトップと救護騎士団の団長。それがセーフハウスで二人きりなど、一見密会にすら受け取られかねない程の組み合わせだ。しかし、セイアはミネの患者であった。そのことはトリニティ内では既に周知の事実であるため、この二人に関してはこうして出会うことを疑問に思う者はほとんどいない。だが、

 

「……セイア様。いきなり呼ばれて、これをやるといい。なんて問答無用で言われてもこちらは困惑するだけなのですが」

「君の口からその言葉が出るとは思わなかったよ」

 

さすがにいきなりゲームをやれと何も説明せずに告げられても困る。そう言いたげにミネは困った表情を浮かべる。とはいえ、セイアもわかっててやっており、特にミネの対応に逆に困る、といった様子は見せずにモルフォから貸してもらったコントローラーをミネに渡そうとする。

 

「それにその鈍器は……本当にゲーム機なんですか?」

「……君も同じような反応を言うんだね」

 

モルフォ、君は否定していたがこのデザインは言い逃れできないんじゃないか?などと呑気な事を考えながらも何とかコントローラーを受け取ってもらうことに成功するセイア。ミネも何だかんだ言いつつも、興味はあったため、一度コントローラーを手にしてからは、

 

「……まあ、彼女の好意を無碍にするわけにはいきませんし」

 

最後の抵抗をするかのようにそう呟き、くるりんスカッシュ!を開始する。くるりんスカッシュにおけるストーリーはクルリンとその一家が旅行に行ったのはいいが、兄弟たちが旅行に赴いた国に逸れてしまったため、それをコースをクリアしながら回収していくという内容になる。その道中、忙しくすることを目的としている謎の敵、イソガシマ教授とのどことなく緩い対立をすることになり、彼と戦いながら家族を見つけ出すのが大まかな流れだ。

 

「……!」

 

ガッ!と大きな音が鳴り、ミネの肩が跳ねる。その後ろでセイアがニヤニヤしている様子は見なくても視線だけでわかる。今一度気分を落ち着かせるようにヘリリンを広く安全なスペースへと移動させると、ふぅと溜息を吐く。

 

「派手にぶつけたようだね」

「イライラ棒って普通は棒は回転しない気がするんですが」

「それが動く。これはそういうゲームだろう?」

 

ヘリリンは、イライラ棒で普通に使われるような点をコースに沿って動かす、というものとはちょっと違う。ヘリリンは回転する棒のような形のヘリであり、回転するヘリリンの挙動にも気を付けながら動かすことになるのだ。そして、イライラ棒であるが故にヘリリンが壁に当たれば当然ダメージを受ける。自機が壁や敵に基本的に当たらないことを目指すゲーム性もあり、あまり騒がしくないステージギミックと静かなヘリリンの稼働音を除けば、BGMだけの割と静かな状態になるのだが、そこでダメージを受ければ予想以上に大きな音が出る。そのせいで、当たらないように気を付けてしまったのにあたってしまったというミスも相まって余計にプレイヤーへの驚きが強くなってしまう。

 

「ですが……こうやってすり抜けられれば確かに気持ちはいいですね」

「棒状の自機が時計回り、反時計回りに回転するということは、当然コースもそれに合わせて作られているということ。コースに合わせた動きができれば、こうして流れるように動くことができるものさ」

 

だが逆に言えば、スムーズに行こうとすればちゃんと決められた道筋が用意されており、ヘリリンの回転に合わせたコース取りができるようになっているということでもある。時計方向にグルグルと移動するような地形、バネを利用し反時計回りに回転するようになったヘリリンに合わせたコース、バネで回転を交互に切り替えながらくねくねした道を進んでいくコースなど、その種類は多種多様に渡るものの、共通してミスなく、そして早く行ければプレイヤーにとって気持ちのいいものとなっている。

 

「とはいえ一ステージ毎に気を使いますね……体力もありますし、途中で回復もできるのでダメージを受けたら即失敗というわけではありませんが」

「それにショップで追加分の体力も買えるから、クリアするだけならば案外難しいとは思わないな。それに、これぐらいは繊細にも入らないだろう?」

「まあ……普段の救護と比べれば……」

(救護とは……)

 

ミネの言葉に少し言いかけた言葉を脳裏に閉じ込めてやめることにする。医療騎士団の団長、救護の専門家が言っているのだ。大胆かつ繊細な作業が求められるのだろうと自分を納得させながら、セイアはゲーム画面の方に再び目を向ける。

 

「……しかし、意外とおしゃれも充実していますね」

「アイテムの殆どがレイアウトやスキン変更用だが、その分様々なニーズを満たしているといえるだろうね」

 

ステージを進める中で、ミネが操作するヘリリンのデザインは初期スキンである青いシンプルな棒にコクピットに当たる球形のパーツが中央に取り付けられたものから、可愛らしいものに変更されていた。こうして変更できるのはスキンだけでなく、ステージ攻略中、外側に存在する、体力ゲージやコクピット内部のクルリンの様子を確認できるワイプなどを覆う枠を変更するものものある。こういったものは、ステージ中にコインを集め、店で購入するのだ。

 

「……しかし、君の好みかい?」

「!?い、いえ……ただ、とりあえずこれはどういうアイテムなのか確かめようと思って買っただけで……とりあえず折角買ったからには使わないのももったいないかと」

「ふむ、まあ所詮ゲームなんだ、素直にやってもいいんじゃないかな?彼女もそれを望んでいる事だろう」

 

セイアの言葉もそれなりに聞きながら、本筋はステージ攻略だからとヘリリンを動かしていくミネ。そんな中、ミネはあるステージに入ったところでヘリリンの形が変わっていることに気付く。

 

「……これは?」

「ああ、ここからだったね」

 

ヘリリンは、ミネが選んだスキンではなく、もっと別の、明らかに特殊な能力が搭載されていそうな見た目のデザインへと変わっていた。それは、黄色いボディに赤い操縦席、そして両端に赤いグローブが取り付けられたデザインで、アクションヘリリンと呼ばれる特殊なヘリリンである。

 

くるりんスカッシュ!ではこの特殊なアクションヘリリンを使うことでアクションを行い、攻略するステージもある。一番最初のエリアであるスウィートアイランドでは、ヘリリンの両翼からパンチを放ち、敵を倒したり岩を破壊したりできるヘリボカーン。第二エリア、ナチュラルワールドでは水中に潜ることで地上の障害物を避けたりすることができる、両翼がオールになっているヘリバシャーン。第三エリア、スノースケープで使用される、自動で走るレーンに乗って動く、緑の火炎放射器が左右に取り付けられた火炎放射ヘリリン、ヘリボーボ。そして第四エリア、フューチャービジョンで使われる、プロペラのような赤い両翼のヘリリン、ヘリブルーン。このヘリブルーンはその場で高速回転することで竜巻を発生させ、それを飛ばして攻撃したりできる。

 

そして最終エリア、ワンダープラネット。ここでは、弾幕を放つことのできるヘリビビューンを使用する。

 

何の能力もないヘリリンと、アクションヘリリン。これらを使いこなすのも、このゲームでは大事な要素となる。しかし、このヘリボカーンはアクションヘリリンの中でも癖が強い挙動を取る。というのも、

 

「ひゃっ!?」

「ふむ、どうやら反動で壁にぶつかったようだね」

 

ヘリボカーンはパンチを当てて敵を攻撃できる。攻撃中、パンチの部分は無敵判定となり、そこに敵や壁が当たっても当然ダメージにはならない。しかし、パンチが何かに当たるとその反動で僅かに自機が移動してしまうのだ。そのため、移動したところが悪かったりすると、ギリギリ自機には当たらないが近くに壁などがある場合はそのままダメージを受けてしまうことにも繋がってしまう。

 

「く、癖が……」

「後先考えずにいるのもよくないということだ」

「そ、そのようですね……」

 

しかし、ヘリボカーンの挙動よりもミネにダメージを与えていたのは、不意に喰らってしまう自機へのダメージだろう。敵と交戦し、パンチを当て損ねてダメージを受けるならば仕方ないと割り切れるが、壁との激突は意識外の部分から来るのだ。思わずビクンと体を震わせてしまうのも無理はない。とはいえ、だ。

 

「……ふう、そろそろボス戦ですか」

 

このゲームはクリアするだけならば実はそこまで難易度が高いわけではない。そこからタイムアタックを始めたりしていくと一気に難易度が上がるのだが、そういうのを気にしなければ、サクサクと進められることも珍しくないのだ。そしてスウィートアイランドのボス戦ではケーキをモチーフとした回転するフィールドで障害物を避けながら、部屋の中央に陣取るイソガシマ教授に、彼を守るケーキタルトのような壁についているイチゴをパンチでぶつけるという内容になっている。

 

(さすがにここでボスとの戦い方がわからない、ということにはならないか)

 

一応倒し方については説明はされるが、それがなくとも視覚的にこうすれば倒せるというのがわかりやすい。そういったこともあり、ミネも瞬間的にそれを把握し、手際よくイチゴを叩き込んでいく。追い詰められると回転を切り替えたり、回転スピードをあげたりしてヘリリンを破壊しようとしてくるが、ダメージも受けつつ、それらを掻い潜ってイソガシマ教授を撃破する。

 

「ふう、まあこの程度ならばそこまで苦戦することもありませんね……しかし」

「どうしたんだい?」

「彼女はどれくらい上手なんですか?」

「……そうだな……」

 

少しだけ言うのを躊躇するセイア。それは、言うことが不都合というよりは、ミネのために言っていいのか?という心配から来るものであった。そんなセイアの様子に気付いたのだろう、ミネはふっと笑う。

 

「心配しなくても問題ありません。私がゲームが下手であるということは当然自覚しています。何を見せられても気にはしませんよ」

「……まあ、そういうならこちらでいいか……」

 

ミネにこのゲームを布教する時に、何かの参考になればとモルフォがセイアに撮影してもらった動画。このゲームにはお手本をやってくれるアイテムもあるのだが、あの手のアイテムはネットとかで上がっているようなアクションゲームにおけるスーパープレイ、と言う程細かいテクニックや大胆なショートカットを用いたものではないにしても、十分上級者のプレイなため、初心者には参考にならないことも多いのだ。

 

「……あの、セイア様。これは」

「何……こういうやり方もあると知るのは悪くないだろう?」

「いやまあ、それはそうなんですが」

 

モルフォもわざと初心者がやりやすいような形で余裕を持ったプレイをしている動画を撮影してたのだが、ミネが気にしないと言ったのだからと言わんばかりに、むしろその逆。お手本でもやってないような高速プレイを見せていく。

 

「えっ、そこいけるんですか!?」

「……ああここ、パンチの反動でブーストしていたのか……手持無沙汰になっていたから壁を殴ってたと思っていたが、改めて見るととんでもないことをやっているな……」

 

そこにあったのは、とにかくギリギリを攻めるモルフォのプレイスタイルだった。ミネがやっているときは余裕を持たせて壁とのスペースを注意しており、そのために回転の方向なども調整していた。だが、モルフォが手加減抜きでやっている動画では本当に最低限しかその調整をしておらず、ダメージを受けてでも強引にショートカットしてタイムを縮めていくことも珍しくない。ガリガリと壁を擦りながら走っていくせいでガリガリガリリンと化した通常ステージですらこれだ。アクションヘリリンを使うステージにいたってはパンチを壁に当てる、敵に当てるといった動きで発生した反動すらゴールへの距離を稼ぐことに利用しており、軽く見ているだけで次元の違いを見せつけられる気分になってしまっていた。

 

「……ところでHP回復ゾーンでとりあえず壁に擦りつけるのはなんなんです?」

「さあ?これこそ手持無沙汰なのではないかな?」

 

そんなこんなでモルフォのやり方を口直しに見て、そのとんでもない動きに思わず唖然となりながらも、ミネはナチュラルワールドへと向かう。このステージでは水をメインとしたギミックが多くあり、水門や水流といったギミックが登場する。とはいえ、基本が変わるわけではなく、そういったギミックにも慣れてしまえばまだまだ進めるのは苦ではない。それにこのエリアで使われるヘリバシャーンは戦闘を介さないため、障害物をよけることに全力を尽くせることを考えるとむしろヘリボカーンより扱いやすい機体であるといえるだろう。

 

「……いや障害物の機雷と機雷の間をなんで通り抜けているんですか?」

「失敗して被弾も何回かしているが、理論上こういうのもできるようだね」

「さすがに無理ですねこれは……」

 

ある程度慣れてきてもっと早くいけないか、なにか使えそうなものはないかとモルフォのお手本プレイをみたところで、本来ヘリバシャーンで水中を潜って回避しなければならないはずの障害物を隙間を縫って移動しているのだ。無論、成功率は完全に高いとは言い切れず、何回か被弾したりしているものの、その迷いなくすいすい動く様子は当然ミネより早い。

 

「……正直なところ、ミネも大分筋がいいとは思うが……」

「集中力はある方だと自負はしていますから」

 

とはいえ、動かし方に迷いがない、思い切りがいいという部分は学べた。確かに、思い返してみると被弾したりぶつけたりするときはどうも迷って位置取りをミスした結果ぶつけてしまうというケースも多い。ならばと時にはギリギリを攻めるように大胆に動いていく。それにより、ペースも上がっていく。被弾することもあるものの、それでもプレイは先程よりも安定していき、ナチュラルワールドをクリア。続けて雪国スノースケープへと入る。ここではピストンが新たなギミックとして登場している。通常ステージではこれぐらいだが、このエリアで使うヘリボーボを用いるステージでは、勝手に移動するレールに乗って移動するという内容になっていた。

 

「勝手に動く、というのは少し、違和感が……」

「まあ、ここまで自分で動かしていたからね。だが、時には流れに身を任せてみるのも悪くないんじゃないかな?」

「はあ」

 

火炎放射で敵を焼きながら、障害物を避けていく。ユニークなステージだが、自力で移動できないが故に調整が難しいというのもあってか、それを見越したように障害物もある程度の余裕を設けてくれており、やっていてどちらかというと爽快感や楽しさの方が強くなっていく。そんなこんなでスノースケープも無事にクリア。未来都市のようなエリア、フューチャービジョンでは鉄球を避けたり、竜巻を用いて炎を遮る、霧を晴らす、無限湧きする雑魚を食い止めるといった新たなアクションを求められていく。

 

「難易度もさらに難しくなっていますね……」

「さすがにギリギリになることも増えてきたようじゃないか」

「仕方ありません、ここからはハートを買って体力を増やしていきましょう」

 

ステージは難しくなったが、ここでアイテムを使い、体力を増やしたり途中の回復エリアから無限に復帰できるようにしたりと保険をかけていきながら複雑になったり狭くなっていくステージをクリアしていく。そして四回目となるイソガシマ教授との決戦も終え、全ての家族が戻った……と思われた矢先。続くステージとして宇宙、ワンダープラネットが明らかとなる。

 

「こ、今度は宇宙ですか」

「さすがに難易度も上がっているじゃないか。いけるかい?」

「……何とかしてみましょう」

 

ワンダープラネットでは回転する剣や道を塞ぐ隕石といったギミックに加え、引き続き登場する鉄球などで構成されている。しかしそれ以上に厳しいのは、やはり最終エリアなだけあって難易度の高いステージだろう。このエリアで使うアクションヘリリン、ヘリビビューンも、攻撃性能に関してはそれまでの四つと比べても数段は高いのもあってか、まるでそれを前提としたような大量の敵の襲撃もあり、遂にアイテムを使って体力を担保しなければまともにクリアすることも難しい状況に追い込まれてしまう。

 

「……ふう、やっと最後のステージ……ですよね?」

「あ、ああ……しかしいけるものだな……」

 

ワンダープラネットに入ってから激闘すること実に一時間。遂にミネはラスボス戦であるイソガシマ教授との一騎討ちに臨む。イソガシマ教授は本気を出してきており、機雷を投げる。その機雷をイソガシマ教授に当てて怯ませてダメージを与えるのが基本となる。

 

「ここまできたら手慣れたものじゃないか」

「……」

(さすがに集中している所であれこれ言うのは無粋か)

 

攻撃パターンはそれだけにとどまらない。ある程度ダメージを与えると、ステージ全体に障害物の隕石を出し、四方にアームを伸ばす、火炎放射で薙ぎ払おうとしてくるなどの攻撃パターンへと変わっていく。それすらも乗り越えると、攻撃を当てる度に巨大化して突進してくるイソガシマ教授との最終決戦に突入していく。

 

(これでは、避けようが……いや、腕が先にぶつかるせいで腕と腕の間に避けるスペースが生まれているのか)

「後、少しのはずです……!いや、少しであってください……!よし!!」

 

そして、遂にミネはイソガシマ教授を倒し、ゲームクリアへと辿り着く。やり切った達成感からか額の汗を拭うと、深呼吸をする。

 

「ふう……中々大変でしたが、確かに面白いものでした。セイア様はこういうのをやっていたんですね」

「まあ、そうなるね……しかしまあ、完全に麻痺していたが、おそらくミネも十分上手い部類のはずだと思うんだが……」

「そうでしょうか……さすがに霞んで見えてしまいますが……」

 

達成感に浸りながら呟くと、ミネは動画を探すセイアに視線を向ける。後ろで画面を覗き込んでいた彼女はいつの間にか隣に移動していたため、たまたまスマホの画面が視界に移る。そこに載っていた、もふもふした尻尾を伸ばす、両耳から赤い毛の房が生えた黄色い狐のキャラクターが目に入る。

 

「?セイア様、それは……モモフレンズですか?」

「む?」

「あ……いえ、すみません。偶然目に入ってしまって……」

「ああ……これはフォッコ、と言うものだよ。ふふ、知りたいかい?」

「ま、まあそれは……」

 

そのキャラをフォッコと呼んだセイアは、ニヤニヤと笑いながら、少し遠慮がちに視線を逸らすミネを見つめるのだった。

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