転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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アロプラと鏡のマジョリティア

 

「……成程、A.R.O.N.A.……いえプラナが、ですか」

「ふむ、モルフォの違いについて、ですか……」

 

シャーレの仕事もやっと一段落した頃。先生はミレニアムを訪れていた。訪れた用事が終わった後、折角来たのもあり、あの事件の後ミレニアムの様子を確認するべく、一通りの部活動を巡ったりしていた。そして、最後にゲーム開発部に訪れたのは今回来訪した用事とは異なるが、プラナが気になることがあったため、その疑問を解消するためである。

 

『はい。この世界の夢見モルフォと、私達の世界のモルフォさん。この二人は、何故このように力の使い方に差異があるのか……様々な要因が考えられるのですが、しかしこれは……』

 

ホログラムと共に出現したのはいいものの、先生とアロナ以外に認識されていないプラナは困惑した様子で呟く。確かに、彼女としてもSONG OF DIVAを覚醒させたモルフォと、ゲームやらアニメやらの娯楽に全力を出しているこの世界のモルフォの違いは気になっている。しかし、だからといってそれを詳細に調べたいというわけではなかったのだが。

 

「うん。別時間軸のモルフォは、反転しているわけじゃなかったらしいんだ。それに、色彩が来る前からあの力を使っているらしいから、そこが気になったらしくて」

「といっても違い……ねぇ」

 

モルフォとケイは互いに顔を見合わせる。プラナもといA.R.O.N.A.の存在自体はあの作戦に参加した全員が知っているが、その姿を実際に確認したのはゲーム開発部ではモルフォとケイだけだ。他にはリオ、ヒマリ、ユウカなどもいるが、そちらはそちらでまだ忙しそうにしているため、一先ずこの二人に話を聞くことにしていた。

 

ちなみに、ゲーム開発部の他の面々は先生がゲーム開発部に来ることを把握していなかったようで急な来訪を前に、たまたま切れていたお菓子などを補充するべく外に飛び出していき、ユズは大事な話の気配を察して三人についていってしまったためこの場にはいない。

 

「そんなことを言われても、聞いただけでも前提条件が違いすぎてまるで参考になりませんが」

 

そもそも所属している学園が違うのだから考察自体難しいのではないだろうか。先日の一件以降、ゲーム開発部の部室に一機常駐するようになった千年の守護者の頭部を撫でながらケイが溜息を吐く。この千年の守護者は普段は怪我などをさせないように爪の先端にカバーが取り付けられており、普段から置いといても問題ないようにされているのがわかる。

 

「他に違いはないんですか?」

『違い……まず主だったのは戦い方でしょうか。モルフォさんは基本的に後方で待機していて、必要ならば狙撃役として戦闘に参加していました。しかし、基本的に彼女が戦闘に参加することはなく……というよりも、シロコさん達四人が主に戦闘に参加させたがらなかったというべきでしょうか。基本的にはアヤネさんと共に後方で活動していました』

「……もうポジションから別物じゃないですか。いやまぁ彼女の銃でライフルが出てきた時点で察してましたが……殴る銃じゃありませんし」

『……殴る銃とは……?』

 

プラナの声は先生とアロナ以外には当然聞こえない。そのため、プラナからモルフォとケイに言葉を伝える手段としては、シッテムの箱に文字を入力して表示させるというやり方を取っている。

 

『銃は普通、緊急時を除いて鈍器として使用するのは推奨されないと思いますが。ちなみに戦闘力、という点では間違いなくこの世界の夢見モルフォの方が上です』

「……下手するとスーパーノヴァに匹敵するようなライフルを撃っているのに……?」

 

プラナの冷静なツッコミ。とはいえ、これに関してはもう一人のモルフォが戦う姿は今や二人しか知らないことであり、モルフォ達ではあまり詳しく踏み込んだことを言えない。

 

『そもそもあれ自体対策委員会が彼女の護身用にミレニアムに注文して造らせたものなので』

『えっ、そんなお金あったんですか』

「過保護すぎない?」

 

まさかのレールガンライフル制作秘話にアロナが驚きの声を上げる。さすがにアロナまではチャットに参加していないため、プラナと先生しか彼女の言葉を知ることはできないが、もし彼女の言葉をモルフォとケイも聞いていたら同じような感想だと首を縦に振っていたことだろう。

 

『……色々ありましたから。私はその時、シッテムの箱が機能を停止していたため実際に目撃したわけではありませんが……それに、モルフォさんの能力はゲマトリアも狙っていましたから。特にベアトリーチェと呼ばれるゲマトリアに』

「……」

 

プラナのその発言は、チャットには載せられず、先生とアロナだけに聞かされており、その言葉を聞いた先生の表情が険しくなる。どの世界でもベアトリーチェは変わらないということか。ベアトリーチェの凶行も記憶に新しい今、残るゲマトリアがマエストロに配慮して手を出さないでいることを祈るばかりである。しかし、別時間軸のモルフォはそういうわけにはいかなかったのだろう。

 

(……ゲマトリアはもう壊滅したと黒服が言っていた。あくまで黒服から聞いていたことだけだから実際は何とも言えないけれど……でも、ベアトリーチェがいない今なら……)

「うーん、まあそれは置いといて……もう一人の私との違い、か……」

『後はネットでアイドル活動をして稼いでいましたね。この世界のアビドスの借金を確認させていただきましたが、かなり違います』

「そんなに」

「モルフォは歌って得意なんですか?」

「いや?カラオケすら碌にいったことない人間だよ?」

 

いや向こうの世界の私に何があったらアイドル活動をするんだ、いやそれ完全にあのゲームのモルフォじゃないですかヤダーと言いたくなるが、プラナの前であのゲームの事を語るのは色々とまずいということはさすがにすぐにわかったのでその言葉を呑み込んでおく。

 

「いやー、ちょっとあっちの私アクティブだったんだね。ゲームやアニメ鑑賞ばっかりやってる私にはとても遠い世界だよ」

「確かにそうですね。モルフォが歌う姿はいまいちイメージできません。いや歌っている所は見ているんですが……」

「あはは……それでさ。折角だしプラナにこの世界のモルフォの事を知ってもらおうと思って。もし、何かいいのがあったら……あ、無理そうなら今すぐじゃなくてもいいんだけど……」

「ああ、そういうことなら……これとかどうです?鏡のマジョリティアって言うんですけど」

『……鏡のマジョリティア?』

 

USBを取り出し、それをパソコンに挿す。その後、先生にそれをシッテムの箱へと移してもらうと、シッテムの箱の中にいるプラナとアロナの前に一つのソフトが現れる。

 

「まあ、最初は結構戸惑うでしょうけど、慣れてくると結構味がするゲームだと思いますよ。ああ、あと先生、それとなんですが―――」

 

シッテムの箱の中でそれを興味深そうに見つめるアロナと、首を傾げて見るプラナ。二人にやってみなよと伝え、先生はモルフォ、ケイとゲーム開発部の活動についての話をしていく。そこに買い物を終えて戻ってきたモモイ達も合流し、騒がしくなっていく中、パソコンを置いて準備を終えたアロナとプラナはゲームを起動しようとしていた。

 

「モルフォさんのゲームをやるのは初めてですね!」

「先輩はやったことないのですか?」

「ええ、まあ……こういう体ですからね……先生がやっているところは見ていたのですが、その時は見ているだけで満足しちゃっていましたし」

「成程」

 

鏡のマジョリティア。それはカードゲームを題材としたフリーゲームだ。早速とプラナが起動すると、主人公の部屋から話が始まる。主人公の両目の下に一本ずつ線のような跡が入った少年、タイガ(キャラ表記自体はTAIGA)は朝、起きると母親から謎のボードのようなものを左腕に取り付けられる。母曰くマジョリティア(魔女の布陣)と呼ばれるそれを取り付けられたタイガが困惑したような表情を浮かべてしまう。

 

「……何故、普段からつけている物なのにこの少年は困惑を?」

「さあ、よくわかりませんね」

 

話を進めればわかるかと、ストーリーを進めていく。友人と思われる少年少女達、スペクタ、モッキー、ゴリダと出会い、他愛ない話をしていると、いきなりマジョリティアを始めようとゴリダが切り出す。

 

「あの、こちらはマジョリティアがどういうものか一切わかっていないのですが」

「いやまぁ、ロード画面にカードとか出てるので多分カードゲームなんだろうなってことはわかるんですが……まあ、とりあえずチュートリアルですよチュートリアル。説明が……」

『そうだ、ルール説明は必要か?』

「ほら!早速出てきましたね!」

「……何故か台詞が震えてるのが気になりますが、まあルール説明は聞いておかなければ何もできません」

 

早速マジョリティアと呼ばれるカードゲームの場面に入り、ゴリダからルール説明を聞こうとするプラナ達。が、

 

『って、冗談はよせって!俺なんかよりお前の方がずっと詳しいっての!』

「……あの」

「えっと、ルール説明は?」

『……………「シャッフル」……この「マジョリティア」というゲームの用語だろうか?』

 

なんとゴリダはここでルール説明を打ち切るという暴挙に出る。その後、シャッフルというゴリダが口にした言葉に対して出されたメッセージを見て、二人は何となくこのゲームの内容に気付く。

 

「……先輩。これはもしや」

「多分、そういうことですよねこれ……」

 

ゲーム中に出てきた用語を、タイガは記憶していく、記憶したマジョリティアの用語は一覧となって画面右に並べられ、そこにはメモと称してそのワードがどういう意味かなどを記していけるようになっている。例えばシャッフルであれば、メモとして「デッキを切る」と書くことができる、という感じだ。これを繰り返していき、ゲームのルールをプレイヤー自身の手で覚えていく。それがこの鏡のマジョリティアのゲーム内容の一部なのだ。

 

「ボタン……ああ、これは相手の動きを真似すれば―――」

 

【愛の魔女(333) MP:55

<ビッグバン:依依恋恋>

・オリジンが最初にサモンしたソウルが、オブリビされずに4回のエンドフェイズを迎えること。】

 

「「???????」」

 

急に専門用語の洪水を浴びせられ、二人が固まる。ゴリダがボタンを押すといいながらマジョリティアを操作し、繰り出した愛の魔女に記された専門用語のオンパレード。カードゲームは遊戯王のアニメを先生と一緒に鑑賞していたし、シャッフルについても普通にわかっていたのでまぁ何とかなるでしょう、なんて高を括っていたのにこの有様である。こんなのエンドフェイズぐらいしかわかりませんよ!と思わずアロナも嘆きたくなるレベルだ。

 

『俺のアバターは……「愛の魔女」!お前の「雷の魔女」を倒すためのタクティクスペラを編み出したんだぜ!』

「また色々増えてきましたね……」

「え、えっと……これ、大丈夫ですか?」

「……さっぱりわかりませんが、まあ……見よう見まねでやっていきましょう……」

 

ワードについてはさっぱりわからない。しかし、とりあえずゴリダの真似をするように操作し、自分のアバターを繰り出す。そこに現れたのは鏡の魔女。その鏡の魔女はとんでもないレアカードらしく、それを見てゴリダ達が驚愕する一幕こそあったものの、正直二人にはそんなことを気にする余裕はない。さも当然のように初期手札を引くゴリダに合わせるようにデッキからカードを引き、そこに書かれた更なる専門用語を前に首を傾げていく。その後もどんどん専門用語は飛び出してくる。

 

「コニコ……ピエン……ヘイストアタック……コレクト……スペラフェイズ……マナパワー……デスマナ……エンチャント……ロングスペラ……」

「ぷ、プラナちゃん!?大丈夫ですか!?」

 

ぶつぶつと呟きながら専門用語を復唱していく。情報量の暴力を、ゴリダが実際にプレイしている内容を合わせて頑張って分析していくが、それでも現状ではどうしてもわからないところが出てきてしまうようだ。

 

『よし、俺のキャストフェイズ!ここで俺はチーツクでマナパワーを半分デスマナして3枚コレクトすることで、場にジェムが4枚揃うことになる!』

「いやもうちょっと……もうちょっと手心を……!というかこの血で作られた宝石、結構頭おかしいこと書いていませんか!?」

 

見た感じ、ジェムというのがカードを使うために必要なものだということや、場に四枚までジェムをおけることはわかった。が、それはつまりだ。この血で作られた宝石はたった一枚でそれを埋めてしまうということ。一ターンに一枚しかジェムは置けないらしいことを考えると無法なスペックである。これらの要素が強すぎて、ゴリダが相棒であるソウル、霊体の壁を呼び出したことなど全く気にもならなくなってしまっていた。

 

「……とりあえず、カードを引いて。ジェムを置いて……」

「ルビーが置かれましたね。これってもしかして色に対応したカードしか出せないんでしょうか?多分右上がコストですね!」

「おそらく。血で作られた宝石は灰色だったのに使えたことを考えると、あの色の場合はなんでもいいのでしょう。とりあえず、出せそうなカードはこのぎしんあんきっずだけですので……」

 

そして帰ってきたこちらのターン。ゴリダに倣ってターンを進めていき、唯一出せそうなカード、ぎしんあんきっずをサモンする。すると、急にゴリダが敗北を確信してしまう。

 

「「?????」」

 

その後、バトルへの誘導や、霊体の壁でぎしんあんきっずのアタックは防げない、などの発言から相手のソウルを飛び越えて殴れるのだと理解し、そのままぎしんあんきっずを相手プレイヤーのアバター、愛の魔女にぶつける。すると、ゴリダはいきなり霊体の壁をフィールドから除去し、ゲームが終了してしまう。

 

「えっと、これはどういう……?」

「……なんとなくですが、わかりました。このぎしんあんきっずのテキストはこうなっています」

 

【ぎしんあんきっず 赤

<ムッカ> (1/1)

・レジリエンス

・このカードがタッチに成功した場合、ライアーは自分の場に存在するソウルを1枚選んでオブリビする。】

 

いまいちピンとこないプラナだったが、今の処理を見て、なんとなーく気付いたアロナがLISTというメニューに存在する、これまでお互いに使用したカードのテキストを確認できるページを開き、そこにいるぎしんあんきっずのカードを出す。

 

「ムッカとかレジリエンスとか、謎の数字とかはまだよくわかりませんが、これを要約すると……」

 

【ぎしんあんきっず コスト:ルビー1

<ムッカ> (1/1)

・レジリエンス

・このカードが直接攻撃に成功した場合、相手は自分の場に存在するモンスターを1枚選んで墓地に送る。】

 

「こういう形に書き換えられるわけです。おそらくはこういう形で、よくあるカードゲームでありがちな処理やワードをいかにもな専門用語として置き換えているのでそれを解読していくのがこのゲームの醍醐味なんですよ!」

『「このまま優勝だろ」と自信満々のデッキでフリフリして、コンコンした相手に冷静にワカラセされるこの感覚……ッ!!』

「あの、ここの意味は」

「ちょっと何言ってるかわかりませんね」

『ワカラセじゃなくてビートですよ?』

「どっちでもわかりませんよ!」

 

ちょっとだけ掴んだ、と思いきやそれを置いてけぼりにしないでくれと抗議の声を上げるアロナ。そんなこんなで激動の一日が終わろうとした頃。就寝前に、タイガからのメッセージが届く。

 

「……あれ?タイガって。それに目の下のラインもこちらにはありませんね」

「主人公の名前表記はTAIGAとなっていましたが、それと関係あるのでしょうか」

 

タイガから告げられたのは、TAIGAはアンドロイドでありコピーであるという事実。タイガにはやるべきことがあって町から行方を眩ませており、その間の影武者として、タイガのコピーとして主人公は生み出されたのだ。しかし、コピーされたといってもマジョリティアに関する記憶や、本来のアバターである雷の魔女は渡せなかったようだ。だが、代わりに父のデッキとアバターである鏡の魔女を託したことで、TAIGAのアバターが鏡の魔女になったようだ。そして、

 

「!ノートですか……」

「これでルールなどが整理できますね!」

 

マジョリティア分析ノートを与えられる。ここに用語を当てはめていき、ノートを完成させると共にルールや用語の意味を把握していくことが可能となる。ある意味で、このノートを完成させることが最終目的となるのだろう。

 

「……ふむ、このノートに書かれている内容が合っていればスキルが手に入るのですね」

「スキルが増えていけばどんどん楽になりそうですね」

 

マジョリティア分析ノートを完成させれば、様々なスキルが手に入る。それは、今いるフェイズが何なのかわかる、という内容から始まり、処理などを自動でやってくれるなど、ゲームの円滑な進行に役立つものが沢山ある。それもあって、特にノートの完成は急務となるのだ。

 

「……デュエルとは?」

「なんか、私の知ってるデュエルとは別ですよねこれ、きっと……」

 

話が進むにつれ、操作、処理ミスが五回までしか許されないデュエルや、敗北すると時間が巻き戻りもう一度再戦が行われるという謎機能の存在が明らかになるなど、様々な要素が明らかになってくる中、相手も相手で巻き戻し前提の初見殺しギミックも出てくる。それらを時間を繰り返しながら攻略していき、そして遂に、このゲームの肝と言うべきサイドデッキの存在が触れられる、

 

「えっ、ここからさらにデッキ編集と積み込みも入るんですか」

「ここから先はさらに戦略も考えていかないといけないようですね……」

 

ここからはデッキ構築も考えていかないといけないようだ。しかし、主人公の強さの秘訣がデッキの積み込みなのはいかがなものか、そもそもこっちにも血で作られた宝石(チーツク)を使わせろ、デッキパワーがちょっと低すぎるなどの意見も出てくるが、ゲーム自体は中々に面白いのは間違いない。段々と強力なライバルだの悪の組織だのが出てきてきな臭くなっていくよくあるカードゲーム的なストーリーも展開されつつ、あの手この手で殺しにかかってくる強敵たちを前に、アロナとプラナは無限の巻き戻しと積み込みと用語解読で奮闘を続けていくことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ああ、どうしてこうなったのか……」

 

雪が積もり始めたミレニアム。なお、今はまだ雪が積もる季節ではない。エンジニア部が天候操作マシンなるものを開発したのはいいが案の定失敗した結果、雪が降る天候になってしまったのだ。無論、これも一時的なものではあるのだが、ちょっと前まで大雪が降っていて大変だったものだ。先生は雪が降り始めたのを見て、鉄道が止まる前に急いでシャーレへと戻っていった。先生がいなくなって少ししてから一時的に鉄道やモノレールが止まったので、先生の判断は大正解だと言えるだろう。が、モルフォとしてはそこは割とどうでもよく、どちらかというと寮に干している洗濯物の方が気になっていた。

 

(しかし……やっぱり寒いなぁ。厚着さえすれば耐えれるって考えると夏よりはマシって意見もあるけどどっちもどっち……)

 

空を見上げると、大分落ち着いてきたとはいえまだ雪は弱いが降っている。部室に冬用のコートがあってよかったとモルフォも安心しながら自分の着ているコートを見る。これは、モルフォのものではなくアリスのものだ。マフラーも是非使ってほしいと言われ、青いマフラーを巻いて寮に急いでいるモルフォだったが。

 

「……あれ?あんたは……」

「……あ……」

 

寮まで後十分ぐらいか。そんな距離まで辿り着いたところで、そこに建てられた建物の壁に寄りかかったまま座り込んでいる、肩や頭に雪を被っているシロコ*テラーの姿を見つけるのだった。

 

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