転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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奥空アヤネ達とプリクラ

 

「……そ、そんなことがあったんだ……」

 

シロコ*テラーとの奇妙な同居が開始されたモルフォ。不幸な事故によって封印されていたゲームを解放してしまったシロコ*テラーはあの後、シアン、GV死亡のBADENDのままでは居た堪れないと、もう操作できない彼女に代わり、条件を満たしている別データを使って頑張ってトゥルーエンドをモルフォが見せていた。正直こちらもこちらであれなのだが、バッドエンドよりはマシだという理論だし、これより良いならとシロコ*テラーも納得したことでモルフォはそちらのエンディングを見せていた。

 

トゥルーエンドでは殺されたシアンの肉体が消滅し、モルフォと一体化してGVに電子体として宿り、彼を蘇生する。蘇生されたGVは野望を果たさんとするアシモフを殺害し、チームシープスの前から姿を消してしまうという終わり方をする。モルフォ自体は完全消滅するというこれはこれでシロコ*テラーは泣き出す結果になってしまったが、それでもモルフォが一体化したシアンとGVが生き残るというBADENDよりはマシな結果だったようで、今では少し落ち着いてきている。その後、続編はもっと酷くなると強く念押しして爪以降の話は封印してもらったのだが、あのゲームの衝撃はかなりのものだったようでそれから数日は、モルフォが家にいる間は常に近くにおり、寝る時にモルフォを抱き枕にしないと安心して寝れない始末であった。

 

とはいえ、今では落ち着いてきており、家にいる間はゆったりしているぐらいには精神的に楽になっているように見える。日中はふらっと外に出たり、家で気を付けながらゲームをしたり、だがモルフォ以外の知ってる人と会うのはちょっと……みたいな毎日を送っている。

 

「……猫か何か?」

「えっ」

「いや、そういう意味じゃなくてなんかこう……習性が」

 

あれこれ思ったより猫なのでは?そんなことを考えつつもつい言葉が口に出てしまい、セリカが驚いたような表情を向ける。さすがにガンヴォルトをプレイしたことまでは言っていないし言えもしないが。

 

「まあ、その……元気そうでよかったわ。私達も色々気になってたし」

「会えたらいいんだけど……それは無理なんだよね?」

「無理というか、シロコ先輩本人がまだ会いたくない感じというか……多分私とも偶然会ってなかったら会う気もなかっただろうし」

 

あの後、ホシノやノノミから聞いた話によると、シロコは衰弱していたところを雪の日に二人に保護されたらしい。身体的なコンディションはともかく、精神的にセンチになっていたシロコ*テラーにとってみれば偶然にもその時と同じシチュエーションだったのだろう。それ故に保護されるという一連の流れまで彼女は受け入れてしまい―――シロコ*テラーのあれこれをモルフォがホシノやリオ、先生と固めてしまったために、勝手に消えては彼女達に迷惑をかけてしまうことを考えてしまってか消えるに消えれずにいた。

 

「……今更だけどモルフォちゃんがシロコ先輩の事シロコ先輩って呼ぶのなんか新鮮ね」

「た、確かに……」

「まあ、向こうの私はそう呼んでたみたいだし……それに、同じ名前だし……」

「「あ、はは……」」

 

そんな中、モルフォのシロコ*テラーへの呼び方に二人は苦笑してしまう。モルフォとしてはこうせざるを得なかったのだろうが、アヤネとセリカも、もし二人のシロコが並んだらシロコ*テラーの方はどう呼ぶべきか考えざるを得なくなる。そして少し考えて、モルフォのようにはいかなかったのか揃って首を傾げてしまうのだった。

 

「でも、やっぱり直接聞けてよかったわ。会えたのは偶然だったけど……」

「そういえば二人はなんで春葉原に?」

「まあ、一緒に買い物かな……後は、あわよくばもう一人のシロコ先輩に会えたりするかもって……」

「シロコ先輩、他の見知った人に会わせる顔がまだないのか春葉原にはまず近寄らないから……」

 

そんな三人が春葉原でこうして出会ったのもただの偶然である。しかし、偶然モルフォと出会えたとはいえ、彼女から聞けたシロコ*テラーの近況については聞けて嬉しかったものの、まだまだ自分達が力になれるというわけでもないようだ。

 

「……やっぱり、もう一人のモルフォちゃんと再会できないと駄目なのかしら」

「だと思うけど……どこに行っちゃったんだろう」

「……もう一人の私かぁ……必ず帰ってくるって言ってたならシロコ先輩を置いていくとは思えないけど、いや本当何してるんだろう。魂だけの状態だからそう簡単に戻れないんだろうけど……」

 

うーん、と悩む。もう一人の自分の所在が未だ不明なのも気になっている所だ。先生も調べているようだが、そこについては影も形もない。

 

「あんなことできるまでになっちゃってるし、なんか変なことに巻き込まれてないといいけど……」

 

謡精と化してしまった彼女の力。それこそゲマトリアのような連中がその価値を見出してもおかしくないだろう。彼女が無事でいることを心配していると、その雰囲気が伝わってしまったのか、アヤネが話題を切り替えるように少し慌てた様子で口を開く。

 

「そ、そうだ!モルフォちゃんって歌も上手だったよね?」

「え?あー、そういえば歌ってたんだっけ?私聞いてないんだけど……そんなに上手だったの?」

「う、うん……あの時はそれどころじゃなかったけど、でも凄い上手いとは思ってたんだ」

「あー、うーむ……」

 

アヤネが次の話題に出したのは、もう一人の自分の歌であった。あの時はモルフォ自身、歌の上手さになんか意識なんて向かず、パワーアップしたシロコ*テラーをどんな手段を用いてでも攻略するのに必死だったが、実際にオペレーターとしてブリッジにいたアヤネからすればその歌はとても綺麗なものだったのだろう。

 

「へー、じゃあモルフォちゃんもやっぱり歌うの?」

「歌わないです……カラオケもいかないです……」

「え、そうなの?」

「だって持ち歌誰も知らないし……I miss youとか命題:>(コマンドプロンプト)とかHATENAが持ち歌って言われてもねぇ……」

「それは初めて聞いたわ……」

「多分モルフォちゃんの力で出力されたゲームとかアニメの曲なんだろうね……」

 

キミの記憶とかならホシノさんには通じるか……とぼんやり考えながらも、この世界のカラオケでできそうな歌のレパートリーは残念ながら著しく少ない。(未来へのフリューゲルとか思いっきり絶唱したいなぁ)なんてぼんやり考えながらも、シロコ*テラーが零していた言葉をそういえばと思い出す。

 

「なんか向こうの私、バーチャルアイドルやってるとか言ってたっけ」

「アイドル!?」

「そっちのノノミ先輩本当にやっちゃったの!?」

 

まさかのカミングアウトに驚く二人。モルフォとしては残念ながらある意味納得してしまったのが悔しいが、もう一人の自分のアイドルとしての実力としてはかなりのものだったようだ。

 

「まあここにいる私には無縁の世界だよ」

「歌よりゲームって感じだもんね……」

「そういうこと。だから歌を求められてもどうしようもないかな……あー、そうだ」

 

と、ここでモルフォはスマホを取り出す。そしてカメラを起動させようとして、それよりもあれを使おうかと閃く。

 

「どうしたの?」

「いやまぁ、シロコ先輩にも二人の元気な姿見せた方がいいかと思って写真でも撮ろうかと思ったんだけど」

「いいじゃない、それくらいなら全然付き合うわよ?」

「うん、折角だし……ゲーセン行こうか!確かああいうのあった気がするし」

「「え?」」

 

そしてモルフォは二人を伴い、ゲームセンターへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これって……」

「プリクラよね」

「そうだよ?」

 

プリクラ。正式名称をプリント倶楽部と呼ばれるそれは、このキヴォトスではプリントクランなる名称で呼ばれている。その使い方はいたって簡単で写真を撮影し、その写真に様々な編集を施して加工していこうというものである。女子達に人気のそれは、当然このキヴォトスでもシェアを広げており、またプリクラ一つとってもメーカーによって編集に独自性があったりするなど、そのバリエーションも豊富である。

 

「モルフォちゃん詳しいの?」

「いや全く」

「え、知らないの!?なんか自信満々で案内してくるから知ってるものかと……」

「プリクラ初心者なんだよねぇ」

 

なお、モルフォ自身は全くプリクラと縁のない生活を送っていた。元より写真よりゲーム、みたいな毎日を送っていたのだ。記念写真を撮ろうとか、そういうシチュエーションであれば喜んでやるが、そういう写真を撮る場合はフォトフレームなどを使わず、モルフォはシンプルな写真を好んでいる。それに、ゲーム開発部でゲーセンに遊びに行った時にプリクラに目を向けることはほとんどなく、速攻でアーケードゲームに行くのだから、尚の事だ。

 

「そ、そうだったんだ……なんか意外」

「別に私だって知らないものはたくさんあるよ。これは何となくは知っているけども……」

「でも、こういうのも新鮮でいいよね。私達も普段やることはないし……」

「まあ、それもそうね……」

 

アビドスにこういったものはないのだろうか。それとも単純にやる機会に恵まれなかったのだろうか。おそらくは後者なのだろうが……

 

「まあこういうのは試しにだよ。やってみよう、セリカちゃん、モルフォちゃん」

 

プリクラを見て、ちょっとワクワクしたような雰囲気を見せながらアヤネが二人の手を引いて中に入っていく。

 

「あ、アヤネ?」

「アヤネちゃん、もしかして楽しみだったりする?」

「え?あはは……そ、そうかな?うん、でも楽しみなんだよね……セリカちゃんとモルフォちゃん、二人と一緒にプリクラって。もしかしたらさ、向こうだとこんな事もやってたりしたのかなって考えるとちょっと」

「アヤネちゃん、ちょっとしんみりさせるのやめよう!?」

「向こうは向こうだから……!こっちはこっち、そこは割り切っていかないと……うーん、よし!こういう感じで撮影しよう!」

 

プリクラの撮影スペースに入り込んだ三人だったが、アヤネの言葉で再びしんみりしてきてしまう。その現状を変えるべく、モルフォは手を叩いて二人の注目を集めると、ジャケットを脱いで首元にヘッドフォンをかけるような形にする。

 

「いや、何脱いでるの!?」

「あー、違う違う。普段と違う恰好になればこういう感じの雰囲気も新鮮な感じで上書きされるでしょ?」

「……確かに?」

「じゃあ、そういう形でやる?」

 

モルフォの提案を受け、なんか普段と違う感じを二人とも模索し始める。モルフォもジャケットを脱いだだけではパンチが弱いと考えていたのか、数分程三人は考えていたが。

 

「……どう?変な感じとかする?」

「いやいや、全然そんなことないよ!」

「二人とも似合ってると思うわ!」

「セリカちゃんも可愛いよ!」

「様になってるねー。やっぱり元々綺麗だから何やっても似合うんだろうね」

「あはは、モルフォちゃんもだよ」

 

やがて結論を出したのか三人の格好は変わっていた。ヘッドフォンを外し、アヤネとジャケットと制服を交換したモルフォ。モルフォからもらったミレニアムのジャケットを着て、眼鏡を外したアヤネ。髪を下ろして制服を脱ぎ、Yシャツだけとなった状態でモルフォからヘッドフォンを受け取り身に着けたセリカというあべこべな姿になった三人は硬貨を投入してプリクラを起動させる。

 

「えっと、もう既に色々弄っているけど……」

「写真自体は普通に撮影すればいいんだっけ?」

「モルフォちゃんがこういうのでわかってないのって、なんか珍しいね……うん、その通りだよ」

「プリクラの知識って写真撮って編集するぐらいしかないから……変顔とかってする?」

「そういうのいいから!」

「ま、真面目に撮ろう!」

 

ちょっとだけ魔が差したモルフォの言葉を慌ててセリカとアヤネが止める。そして三人とも笑顔で写真撮影をする。

 

「なんか、写真写りがいい?」

「レンズとか照明とか、やっぱり普段のよりいいのかな?明るい気がする」

「おー、なんか目がはっきりしてる?気がする」

「で、落書きとかできるんだよね?」

「そうそう」

 

プリクラは、撮影した写真にペンなどで落書きをしたり、モーションを加えたりして写真を編集、もといデコレーションしていく。ペンで台詞を書き込んだり、人の顔に落書きしたり。モーションで星やハートを加え入れるなど、その種類と組み合わせは多岐に渡る。

 

「……って、時間制限あるじゃない!?」

「本当だ……何書こう……なんかこう、お決まりのやつがあったりしないの?」

「えーと、なんだろうねこういうもののお決まりって……やっぱり動物の耳を生やすとか?」

「成程?」

「あっ、セリカちゃん!?」

 

モルフォの呟きを聞き、セリカはアヤネの頭部に猫の耳を書き込み始める。それを見て、少し気恥しそうにセリカの顔を見るアヤネに、セリカも少しだけ恥ずかしそうな顔になってしまう。

 

「セリカも恥ずかしいならなんで書いたの……」

「いや、なんかその……こういうのもいいかなって」

「……セリカちゃん……モルフォちゃんも書く?」

「うーん?まあ……プリクラだしいいか……」

「じゃあ書いちゃうね」

 

モルフォに確認を取り、モルフォも別にプリクラだからと受け入れるように頷くと、アヤネがモルフォの頭部に猫の耳を書き込んでいく。その後はハートやら星やら音符やらのデコをどんどん貼り付けていき、三人の写る写真をどんどん鮮やかに彩っていく。

 

「……って、一枚に随分時間かけすぎてない?」

「あ、そうかこれ複数編集できるんだっけ……」

「じゃあそろそろ次行こうか」

 

最初の一枚に時間をかけすぎてしまい、慌てて二枚目に。とはいえ、一枚目で案を出し尽くした感じがあったのかアヤネとセリカの手が止まる中、モルフォはこれがプリクラというものかと慣れ始めたのか、二枚目に対して黄色のペンを握ると、全員の目に黄色の十字を書き込んでいく。俗にいうしいたけ目という、ゲームやアニメなどで出てくるような、キラキラしたような状態のキャラを表現する時に使われる奴だ。

 

「な、何か目がすっごいキラキラしてる……」

「た、確かに……なんか派手な感じがするね……」

 

そしてその周辺に星のエフェクトを入れ込んだり、ペンでダイヤを書き込んだりしてさらにキラキラ感を演出していく。それを見たことでセリカとアヤネもアイデア力が復活したのか、服の方を上から模様を入れるなどしてバリエーションを豊かにするだの、それっぽい台詞を喋らせるなど、ワイワイと楽しみながら弄っていたのだが。

 

「……あ、もう時間切れだ」

「あー、なんか早いわね……でも、楽しかった!」

「うん、私も。この写真は大事にするね」

 

無情にも時間切れが訪れてしまい、三人はプリクラを終えて印刷された写真を分け合っていた。プリクラで編集を終えた写真はまとめて、何セットかに分かれる形で一枚に印刷される。なので複数人でハサミでカットするなりして分け合うことになるのだ。

 

「……よいしょっと。セリカは大丈夫?」

「ん?ああ、平気平気」

 

そして交換していたものも元通りに戻していく。とはいえ、付け直すだけで済むモルフォとアヤネはともかく、ツインテールを下ろしていたセリカは少々難しいのではないか。そう思っていたものの、彼女からすれば髪を縛り直すのは呼吸をするようなものなのだろう。仕上がりをチェックするためにトイレで鏡を見ていたが、手の動き自体は鏡があろうとなかろうと関係なく、手慣れた動きで元のツインテールへと戻していた。

 

「……でも、これ先輩達に見せたら色々弄られそうよね……」

「ホシノ先輩とノノミ先輩は結構良い反応しそうだね……」

「じゃあ皆でやってみたらいいんじゃない?全員でやれば茶化すも何もないだろうし」

「「あー確かに……?」」

 

そして冷静になってから写真を見てみると、とても他人に見せるものではないなと思い至る二人。しかし、モルフォの共犯者になれば何も言えなくなる理論を聞いて、そういえばそうかも……とも納得する。危なくなったら先輩達を巻き込んでしまえばいいかと結論が下される中、モルフォは自分の分の写真を見て、あることに気付き顔に手を当てながら落ち込む。

 

「モルフォちゃん、どうしたの?」

「もしかして、なんか失敗してた?」

「いや……私達が仲良くしてるところとかシロコ先輩に見せたら喜ぶかなってプリクラする前は思ってたんだけどさ……その……」

 

どうしたのかと二人が心配した様子でモルフォを見る。一方モルフォはこれは完全にやらかしたなぁといった様子であった。それは写真自体が悪いというわけではない。むしろ今日の三人の出会いによって成り立った作品ともいえるし、三人の友情が表現された一枚でもあった。ただ。

 

「……これをシロコ先輩に見せるのって……今は色々まずいのでは」

「「……た、確かに……!」」

 

全部失ったシロコ*テラーにこの世界の三人が仲良くプリクラしている姿を見せつけるのはかなりの劇薬なのではないだろうかという、今更気付いたモルフォの言葉に、アヤネとセリカも同意せざるを得ない。

 

結局、もっと時間を置いて、仮に渡すとしてもシロコ*テラーがこの世界の対策委員会の面々と再び会えるだけの状態になってからにしようということで三人は話を纏めるのだった。

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