転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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勘解由小路ユカリとポーカー

 

ユカリとゲーム開発部の特訓は夕方になるまで続いていた。彼女の戦う継承戦に合わせて一対一の形で相手を変えつつ戦っていたのだが、

 

「み、皆さん強いですね……はぁ、はぁ……」

「まあこれでもC&Cにぼこぼこにされてるし……」

「しーあんどしー……成程、それが皆さんの強さの秘訣なんですね……」

「後は少々の場数……?」

 

やがて体力が尽きて地面に転がり、息を荒くするユカリ。しかし、その顔は凄く満足げな様子を見せていた。

 

「……ユカリ殿、動きが凄くよくなってきています!」

「あ、ありがとうございますイズナさん……ふ、ふふ……身共はえり~とですから……これぐらいではへこたれ……」

「え、えっと、あまり無理して動かない方が……」

 

そしてこの場には、ゲーム開発部だけでなく、忍術研究部の姿もあった。途中で偶然この光景を見つけた忍術研究部が話を聞き、それならばとイズナが協力、ツクヨとミチルが見学をしていた。

 

「……くぅ……」

 

ゆっくりと体を起こすユカリ。呼吸を落ち着かせながら、自身の愛銃を杖にして立ち上がる。

 

(……それにしても、凄い方々です。モルフォさん……)

 

そして、モルフォ達ゲーム開発部を見る。モルフォはその手数と小技の豊富さを活かして、次へと繋げる戦い方をしてくる。極力リスクを排除しつつも、狙いどころでは大胆に仕掛けてくる。その全てが、一手が二手、二手が四手に選択肢が繋がっていくような高度な戦略の構築へと繋がっていく。今日だけで何度かユカリもモルフォと手合わせをしたが、その度に様々な戦い方で弄ばれていた。

 

(モモイさん……)

 

モモイの戦い方はアサルトライフルの豊富な装填数を利用して弾丸をばら撒いて相手の逃げ道を塞ぐことをメインとした戦い方だ。着実に逃げ道を潰し、弾丸を叩き込んでダメージを与えてくる。それも中々嫌らしい逃げ道の塞ぎ方をしてくるせいで、ならばと反射神経と直感に身を任せて抜け出そうとしたが最後、まるでそれを待っていたかのようにカモにされた。本人曰く「直感がアスナ先輩より甘いおかげで何とかなった……あの人の場合当てるのめっちゃ苦労するんだよね……」とのこと。

 

(ミドリさん……)

 

ミドリは銃種が同じライフルということもあり、手合わせというよりは銃の使い方をお互いに見合うような感じになっていた。ただ、とにかくミドリは狙って撃つのが早い。彼女曰く「カリン先輩のやり方を見て教えてもらって自分に合わせた」らしい。狙撃は勿論だが、戦闘中でも的確に狙ってくるその速さ、何より銃口を見て狙いを読もうとしても何故か読みがずらされるその調整力はユカリも思わず息を吞むほどだ。

 

(ユズさん……)

 

ユズの戦い方はグレネードを使用する都合上、弾の装填に時間がかかるがために一発一発を大事にする戦い方だ。集団戦であればそのデメリットを補って余りあるほどに戦い方が広がるのだが、実はソロでもある程度戦える……というより、C&Cと立ち回る時は割と嫌らしい所に爆撃されるのを警戒して一人が突出してユズを狩りにくるパターンも最近は増えてきたのだ。そのため、ユカリの攻撃を回避しつつ、着実に一手ずつ詰ませにくるという中々に精神的に追い込まれる戦い方にやられてしまった。(まるで将棋ですわ……)と思わず呟くほどの詰まされ具合であった。

 

(アリスさん……)

 

アリスはスーパーノヴァによる高火力による一撃が持ち味だ。それ故に威力に警戒しつつ、射線に入らないように気を付けながら立ち回っていたのだが、途中でいきなり戦術が切り替わり、ガトリングによる面の制圧をしてきたのだ。かと思えば単発の火力で攻めてきたりとそのトリッキーさに振り回された挙句、振り抜かれたスーパーノヴァで空に打ち上げられて敗北してしまった。

 

(……身共もまだまだですわね)

 

そうした連戦でヘロヘロになった状態でイズナと手合わせすることになったが、体力が尽きかけていたせいでまともな勝負にはならなかった。そして現在に至るというわけだ。

 

「ユカリ、立てる?」

「あ、はい……ありがとうございます……あっ」

「ほらしっかり」

 

モルフォに手を引かれて立ち上がるも、足がふらつき倒れそうになる。モルフォの胸に飛び込むような形になってしまうも、そこからモルフォがユカリに肩を貸す。

 

「百花繚乱まで送ろうか?」

「それならイズナにお任せください!確か百花繚乱は……」

「あ、えっと……」

「……あー。今結構バタバタしてるでしょ?百花繚乱」

 

ここまでユカリを消耗させたのは自分達だ。なら帰り道ぐらいは送ってあげるべきだろうとモルフォがユカリに言うと、道案内をイズナが買って出る。が、ユカリは少し答えづらそうな雰囲気を見せてしまう。それを見たミチルが溜息を吐く。

 

「モルフォ達って……宿とか取ってるの?」

「はい!百鬼夜行の宿は和の雰囲気があって綺麗だと聞きました!」

「ついでに宿の内装とかも資料に撮れたらなと思いまして」

「ふーん……じゃあ数日はいるんだ。っていうかまぁ、そりゃそっか。燈籠祭で来てるわけだし」

「……」

「どうかしたの?ユカリ」

「え!?あ、いえ、何でもありませんわ!み、身共もそろそろ帰らないと……きゃっ」

 

ユカリは慌ててその場から離れようとするも、また倒れそうになってしまう。しかし、すぐに反応したイズナがユカリの体を支える。

 

「あうう……申し訳ありません……」

「気にしないでください!」

「……今、百花繚乱ってバタバタしてて戻りづらいんじゃない?折角だしモルフォ達と一緒に宿に泊まったら?」

「え!?」

 

そんなユカリを見て飛び出してきたミチルの言葉に、驚いたような表情を浮かべるユカリ。と、その直後にモモイとアリスが嬉しそうにユカリに顔を近づけていく。

 

「それいいんじゃない!?きっとすごく楽しいよ!」

「百花繚乱の話とか聞いてみたいです!是非、一緒に行きませんか!」

「……」

 

モモイ達に見つめられ、少し照れながら視線を逸らすユカリ。しかしすぐに、

 

「……はい!では身共もご一緒しますわ!」

 

そう言い、笑顔を浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲーム開発部が選んだ宿は値段的にはお安めだが、雰囲気がかなり良かった。そして何よりも良いのは、

 

「温泉だー!」

「温かい……」

「これが百鬼夜行の温泉ですわ!」

「皆で温泉に入るのは気持ちいいです!」

「……」

 

ちゃんと温泉があることだ。温泉に浸かるゲーム開発部とシロコ*テラー、ユカリ。そして、折角ならとイズナと少し遠慮していたがイズナに引っ張られて一緒にやってきたツクヨという中々の大所帯。残念ながらミチルは少し用事があるから今夜は無理と言い、この場にはいない。そんな中、入浴した湯船には運がいいことに今はまだ他の客は誰もおらず、その気配も感じない。そういったこともあってか自然と彼女達の会話は騒がしくなっていく。

 

「なんか……頑張って百鬼夜行まで来た甲斐があった気がする……」

「うん……楽しい祭りでしたね……」

「まだ始まってませんよ?」

 

既にぼーっとなりかけているユズの隣で遠くを呟くモルフォ。その呟きを聞いて呆れたような視線をケイが向けてくる。

 

「……あまりモルフォがボケることはないので珍しいですね……」

「あー確かに?モルフォってこう……静と動だと静のツッコミだよね」

「静ってなんですか。むしろ動のツッコミってどういうものなんですか」

「これ」

「……?……!!モモイ!!」

 

モモイに指を差され、一瞬意味が分からず首を傾げていたケイ。しかしすぐに意味を理解し、声を張り上げながらモモイを湯船に沈めていく。

 

「もご、もご」

「ケイちゃん!お姉ちゃんが変な事言ったのは事実だけど沈めるのはまずいって!」

「おお!これは水遁の修行ですか!?ツクヨ殿!イズナ達もこの機会に―――」

「ま、まずいよそれは……ここは公共の場だし……」

「……そう、きっとこれがレンゲ先輩の言っていた青春……!確かに素晴らしいものですわー!!」

 

それを皮切りにイズナ達もより声量を張り上げてワイワイと盛り上がり始め、バシャバシャと水音を立て始める。その光景を見ていたモルフォはふぅ、と溜息を吐いて立ち上がり、モモイを沈めていたケイの所に行くと。

 

「……とりあえず、その辺にしておきなって」

「痛!?うわっぷ!?」

 

そのまま無防備なケイの額にデコピンを入れる。それによってモモイを押し込んでいた手の力が抜け、モモイが勢いよく水上に顔を突き上げたことでバランスを崩したケイが後ろに倒れ、水柱が立つ。

 

「……まるでキキョウ先輩みたいですわ……」

 

モモイの復帰もあったとはいえ、一発で鎮められたケイを見て、思わず固まってしまうユカリ。イズナとツクヨもその光景を見て口を噤んでしまい、ミドリとユズは呆れた様子でモモイとケイを見つめていた。だが、そこでモルフォは一度溜息を吐いてから笑みを浮かべると。

 

「温泉から出たら皆で遊ぼう!」

「「おおー!!」」

「……はあ、どこでも変わりませんね。まあ、らしいといえばらしいですが」

『楽しみです!』

「何持ってきたかな……」

 

本命は温泉から出た後だと宣言、それに即座に反応しモモイ達が声をあげていく。その様子を見ていると、自然とユカリ達もわくわくしてくる。そんな、モルフォ達の様子を見て、シロコ*テラーは微笑むのだった。と、

 

「……?」

 

彼女の視線が全く別の方向へ向けられる。何か、視線のようなものを感じた。しかし、そこに目を向けても何もいない。

 

「……何もなければいいけど……」

「?どうしたの?」

「……いや、何でもない。ちょっとのぼせちゃったから先上がるね。風に当たってくるから暫く戻らないかも」

「そっか。皆、シロコ先輩が参加するのを待っているからね」

「……ん」

 

だが、何かがあってからは遅い、そう思い、立ち上がるシロコ*テラーは少しだけ申し訳なさそうに手を振って湯船から上がっていくのだった。

 

(……アビドスに近づかなければ、あの化け物に襲われる心配がないから大丈夫だと思っていたけど……そうだ。怪異は百鬼夜行で生まれていた……さすがに関係があるとは思えないけど……念のために警戒はしておいた方がいいか……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え、どうしたのユカリちゃん!?その袋―――」

「宿の売店で売っていた駄菓子を買ってきましたの!皆で食べましょう!」

「へー、これってあの定番駄菓子の……うわこんなフレーバー知らないんだけど?」

「コンポタ、明太、たこやきは鉄板だよね」

「とんかつソースとかやきとり味とかも中々興味深いですね!ユカリ殿、これもらってもいいでしょうか!」

「もちろんですわ!……ですがやきとり味ですか……」

 

その後、モルフォ達が泊まる大部屋ではモルフォ達がトランプを手に、あーでもない、こーでもないと何で遊ぶか話し合っている様子があったが、宿の売店で売られていた大量の駄菓子を買ってきたユカリが戻ってきたため、まずは駄菓子を堪能していく。

 

「皆さんは何を話していたんですの?」

「んー、何で遊ぶか?定番はポーカーかババ抜きだよねーって」

「大富豪は?」

「ローカルルールの調整が面倒なのと人数多すぎるからちょっと……」

「アリス思いつきました!トランプを二つ使って大富豪をしましょう!これで手札が二倍です!」

「それはそれで面白そうだけどバランスが崩壊しそうだからやるとしても帰ってからテストプレイでね……」

 

人数は八人。この人数でやるとしたらババ抜きがポーカーだろう。いっそババ抜きで最弱でも決めてもいいんじゃないかとすらモルフォが考え始めたが、ババ抜きで殆ど手札が揃わない泥仕合が繰り広げられるパターンが一番面倒だと考えると、やはりポーカーが丁度いいだろうと頷く。

 

「というわけでポーカーにしようか」

「ポーカーですか?」

「えっと……役を作るゲームだよね?」

「なんか花札に似てるげえむでしたわね」

「まあ役を作るって意味では似てる?似てるのかな?」

 

ポーカーのルールは簡単だ。参加するプレイヤーは五枚のカードを持ち、そのカードの組み合わせでペア、スリーカード、フルハウスといった役を作り、その強さを競い合う。ただそれだけのシンプルな内容だが、そこに一人一回、手札の好きなカードを捨てて山札からその枚数分引き直すという入れ替えルールが入ることで一気に戦略性と運要素が増してくる。どの役を狙ってカードを残すのか、どれだけ運に頼るか、その点でも考えられる要素は意外と増えてくる。

 

「とはいえ、トランプの数はジョーカーを二枚全部入れても54……初手で40枚抜けて残りが14になるから、全員どんどん捨てると一周する前に山がなくなる。だから今回は、捨てたカードは次の人が引く前に山札に戻してシャッフルしていく形にしよう」

 

そして、大人数でやるが故の特殊ルールとして捨て札を用いた山札回復ルールを採用し、ワクワクした様子のユカリやイズナ、アリスを筆頭にカードを次々と受け取っていく。

 

「そういえば誰が最初にカード交換する?」

「それはモルフォちゃんが配ったしモルフォちゃんからでいいんじゃない?」

「じゃあ次からはビリの人が山を切って、その人が最初に交換する感じでいいかな?」

「……ふむふむ……」

 

ポーカーは百花繚乱にいるとあまり馴染みがないのか、カードの扱いに慣れた手つきで交換するモルフォの動きを見るユカリ。その横ではイズナとツクヨが役の早見表を見て、どういう役がポーカーにあるのか調べ始めていた。そしてゲーム開発部が交換を終え、ユカリが交換する番になるのだが。

 

「え、えっと……あれ?これは……」

(あの反応……もしかして、良い手かな?)

「えーと、ここは……これを交換すれば……」

 

早見表を見て、できそうな役に気付いたのか、強気の一枚交換をするユカリ。これは殆ど完成しているのかとユズが息を呑むと、引いてきた一枚を見て固まってしまう。

 

「……あれって」

『欲張りましたねあれは。おそらく狙っていたのは……』

 

そしてイズナとツクヨも交換が終わり、全員で同時に手札を出す。

 

「ワンペア」

「ツーペアだよ!」

「……え、皆できてるの!?私役なし……」

「ワンペア……」

「ジョーカーを入れたスリーカードです!」

「……や、役無しですわ……」

「イズナはワンペアです!」

「私はツーペア……」

 

モルフォ、ユズ、イズナは同じ数字が二枚存在するワンペア。モモイとツクヨはワンペアが二組存在する組み合わせ、ツーペア。同じ数字のカードが三枚で成り立つスリーカードを手にしたのがアリスとケイ。また、ジョーカーはワイルドカードであり、好きな数字、スートとして扱える。それを使うことでワンペアをスリーカードに昇華させているのだ。そして、役を作れなかったのはミドリとユカリ。ミドリは手札で一番数字が大きかったであろうJを一枚だけキープして手札を総入れ替えして足掻いたようだが運に見放され。そしてユカリは五枚のカードの数字によって階段を作る役、ストレートを狙っていたようで、手札の四枚が階段を成立させていた。が、ストレートは五枚揃って成立する役の為、残念ながら四枚ではどう足掻いてもブタである。

 

「こ、この場合どうなるの?」

「役が同じなら数字の大きさで競うんだけど……この場合、二人ともブタだから……手札で大きな数字が何なのかで勝敗が決まるかな」

「……ってなると私11なんだけど」

「え、えっと……身共は4ってことに……?」

「……いや、ユカリ、これ……Kだから13だよ」

「……あっ」

「うわー!!」

 

階段を作れなかった時点で完全に外れの一枚としか認識していなかったそのカード。だが、それがビリを回避する改心の一手になっていたようだ。それにより、自分の敗北を悟ったミドリが頭を抱えて床に転がる。

 

「くっ……ミドリがやられた……!でもミドリはゲーム開発部ポーカー部門で最弱……!」

「ぐぬぬ……お姉ちゃんはツーペアをちゃんと作ってるから文句が言えない……!!」

「勝負は時の運だからへーきへーき。こう言って調子乗ってるモモイは次ブタだよ。大体そのパターンが来てもおかしくない」

「本当に来そうだからやめてよー!」

「ふ、ふふ……」

「えへへ……」

 

畳の上で寝転がりながら体を揺らすミドリの背中をポンポンと叩きながらモルフォが苦笑する。そんな様子を見て、ユカリやツクヨもつい笑ってしまう。

 

「……皆さん、ありがとうございます。皆さんと出会えたおかげで身共、今凄く楽しいです!」

「そりゃそうだよ!だって一緒にゲームやってるんだよ?楽しくて当たり前じゃん!」

「はい!ユカリもアリス達のパーティですから!パーティで何かをするというのはとても楽しいんです!」

「……でも、ちょっと気分が晴れてそうでよかったな。ユカリ、結構切羽詰まってる感じがあったから」

「!……気付いてました?」

 

ユカリの言葉に盛り上がるモモイとアリスだったが、そんな中、ユズが零した言葉にユカリも罰が悪そうな表情を浮かべる。

 

「うん、ゲーム開発部も……廃部になりかけたことがあって。一度はもう駄目だってなった時もあったけど……でも、皆で頑張って廃部を乗り越えてきたから。ただ、今日戦ってる時にふと、あの時の切羽詰まってるのを無理して明るくして乗り越えようとしてる感じがちょっとしてたから……」

「なんと!?ゲーム開発部が廃部になりかけていたんですか!?こんなに凄く強いのに!?」

「つ、強さとゲーム開発は関係ないんじゃない……?」

「……やっぱり、皆さんは凄いですわね。百鬼夜行にいただけじゃ覚えられないであろういろんなことを今日だけで色々教えてもらった気がします。やっぱり身共はえりーとと言っても、所詮は井の中の蛙でしかなかった……」

 

ゲーム開発部の過去のエピソードを聞いて、驚いたような表情を浮かべるイズナとツクヨ。一方ユカリはどこか納得したような表情を浮かべる。

 

「ユカリは明日も特訓するんでしょ?」

「え?あ、はい……やっぱり、今の身共ではまだまだナグサ先輩には届かない……だから、もっと強くなりますわ!」

「イズナも付き合います!イズナ達が修めた忍術をユカリ殿も覚えればもっと強くなれるはずです!」

「に、忍術はともかく……足の動かし方とかはいいのかも……?」

「特訓は大事です!ゲームでも、レベル上げの期間を設けるのはボス戦の攻略に重要な要素となっていますから!」

「燈籠祭もまだもうちょっと先だし、余裕はまだあるよね。折角だしユカリに付き合おうよ!友達のためにさ!」

 

そして、明日の事で盛り上がるユカリたち。その様子を見ながら、窓の外を見たモルフォは、

 

(シロコ先輩、風に当たってくると言っていたけど……どこまで行ったんだろ?)

 

そう心の中で呟いてからまた視線をトランプの山札へと戻す。そんな、彼女達の姿を遠くから見ていた小さな影は、不満そうに、

 

「……ちっ」

 

舌打ちをして宿に背を向けるのだった。

 

 

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