転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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先生と百花繚乱

 

「……実は、百花繚乱は解散の危機に瀕しているんです」

「えっ」

 

お昼を一緒に食べている中で、唐突にユカリが口を開く、ここは百鬼夜行に存在する大きな駅の近くにあるファミレスチェーン店。百鬼夜行に来てまでチェーン店なのもどうかとは思いつつも、この大人数で囲んで食べれる店、となると残念ながらモルフォ達の頭ではここしか思い浮かばなかった。

 

「えっ、待ってそれってどういうこと?」

「活動を再開したんじゃなかったの?」

「いえ、あれは身共が勝手にやっているだけです。今も百花繚乱は活動停止の状態で解散令も出ていますわ」

「そ、そんなことになっていたんですか!?」

「ど、どうして……」

 

突然のユカリのカミングアウトにざわつく面々。モモイとミドリが驚いたように聞くと、驚きの事実がユカリの口から飛び出してくる。イズナとツクヨが唖然となる中、ユカリは肩を竦めながら百花繚乱についての説明を始める。

 

「百花繚乱から、アヤメ委員長とナグサ副委員長が失踪してしまい、活動停止になっていたことはおそらくお二人も知っていると思いますが……」

「活動停止になっていたのはそんな理由が……」

「理由のほうは、初めて聞いた……」

「……」

「えーと、それで?」

 

そういえば百花繚乱が活動停止になった時の事は大っぴらには言ってなかったなと思い出す。それについて大っぴらにアピールしてしまえば、魑魅一座らを元気づけるようなことになってしまう。それ故に、百花繚乱が何故活動停止したのかを知る人物はそこまで多くなかったのだろう。それでも、活動停止になっていることは少しずつだが広まっていき、理由も知っている人は知っている、といった感じに現状は落ち着いているのだろうが。

 

「そんな中、先日ナグサ先輩が帰ってきたんです。これで百花繚乱は復活する……そう思ったのですが、ナグサ先輩は百花繚乱に解散令を出してしまい……それを受けて他の百花繚乱の仲間たちは次々と辞めていってしまい……今や残っているのは身共、レンゲ先輩、キキョウ先輩、そしてナグサ先輩だけで……」

「な、なんかエラいことになってる……!」

 

そして、ユカリから伝えられた百花繚乱の現状にモルフォ達もただ驚くことしかできない。つまり、ユカリは活動を停止されている状況で個人で活動をしていたということ。そして、その理由が強くなりたい、継承戦を制するということだったのだろう。

 

「しかし、希望はあります。身共がナグサ先輩に継承戦を挑み、それに勝利することで身共がナグサ先輩の持つ委員長の座を手に入れる。それにより解散令を撤廃するのです」

「そんなことができるの?」

「ええ、継承戦は同じ百花繚乱で立場ある生徒と、百花繚乱の外部の人物を立会人として行われる由緒正しき決闘。継承戦の敗者はその立場を勝者へと明け渡すのです」

 

そして明かされる継承戦の真実。ユカリは百花繚乱を取り戻すためにここまで必死になっているのだろう。と、ここまで話を聞いていたミドリが、水を差すようで悪いがといった様子で手を上げる。

 

「……えっと。一つ思ったんだけど、今ある百花繚乱をそのまま解散した後、新しく百花繚乱を立ち上げるっていうのは駄目なの?」

「それは……百花繚乱にはクズノハ様の代から続く伝統がありますし……それに、百花繚乱が解散した後に新たな百花繚乱の立ち上げを陰陽部が認めてくださるかというと」

「SRTみたいにはいかないかぁ……」

 

ミドリの提案は過去にSRTが使った再起の手法。しかし、学園自体が存在しなくなっていたSRTとは違い、百花繚乱の場合は母体となる百鬼夜行が存在している。その状態で、一回百花繚乱の解散を受け入れます、では百花繚乱を新たに作ります、なんて言われれば当然陰陽部からすればふざけるなと言われるのがオチだろう。受け入れられるわけがない。

 

(陰陽部からすればふざけんなよボケが、としかならないわけか……)

「それに……仮に立ち上げができたところで、それができるまで何日かかるかもわかりませんし、そうなれば身共は……」

「「「ん?」」」

「あっ、いえ!」

 

だが、ユカリにとってはそれ以外の理由もあるようだ。だが、それについて触れかけたところでそれに気付いて慌てて手を振って誤魔化そうとする。

 

「と、とにかく!身共は力が必要なのです!百花繚乱というかつて身共が憧れた、皆がいるあの場所を守るためには……そう、もっと力を……!」

「いやユカリちゃん、その台詞は駄目なやつ!」

「……ふふふ……」

 

そんなユカリの言葉を慌てて止めるミドリ。完全に力を求めて闇落ちしようとする人物の前フリにしか見えない。そんなミドリの様子が面白かったのか、思わず笑い始めるユカリの顔を、アリスがじっと見つめる。

 

「……え、えっと、アリスさん?」

「……ユカリは迷っています」

「え、それは……」

「修行する人物は迷いを持つんです。ですが、その迷いや後悔を振り切ることで一皮剥けて、次の段階へと至るんです!」

「……アリスさん……」

『いや、それはゲームやアニメの話―――』

「モモイやミドリもユズも迷っていました。ゲーム開発部はゲームを作り、皆で一緒に遊んで楽しむ場所なのになんでいつの間にか戦闘部隊みたいな扱いになってるんだろうと。でも、アリス達はその迷いを吹っ切ったんです!ゲーム開発も、戦闘も、どっちもこなす。どっちかではありません、その両方がアリス達の姿なんです!だからどちらも選ぶ、それが勇者とその仲間達です!」

「その迷いは多分色々違う!!」

(いや多分それ皆諦めただけ―――)

「……!」

「それに、ここまできたらアリス達も最後まで付き合います!ユカリは仲間で、友達ですから!」

「アリスさん……皆さん……!!」

 

そして、アリスの言葉を聞いたユカリが、じっとアリスの顔を見つめる。そして、意を決したような表情を浮かべると、

 

「はい!午後もお願いしますわ!」

 

そう言い、笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ?イズナとツクヨ?それにゲーム開発部の皆も?」

「え?先生?」

 

ファミレスを後にして、再び特訓場所へと戻ろうとした一行。しかし、その道中で偶然にも先生と会うことになる。

 

「この方は?」

「シャーレの先生だよ」

「シャーレ……あのシャーレの先生ですか!?身共は百花繚乱紛争調停委員会所属の勘解由小路ユカリと申しますわ!まさかシャーレの先生と会えるなんて……」

「よろしくね、ユカリ」

「はい!」

 

その後、先生から話を聞くことになる。先生が百花繚乱に来たのは、今回の燈籠祭についてシズコらに誘われただけではなく、陰陽部の方に花鳥風月部からと思われる嫌がらせの贈り物が来たという話を受け、念のためにと祭りを見回ってほしい、と言われたのだ。

 

「花鳥風月部?」

「花鳥風月部……本当に存在していたんですのね」

「ユカリは知ってるの?」

「あ、いえ……名前だけですわ。そもそも存在するかどうかもわからない、とまで言われてましたし……ただ、百物語(かいだん)を生み出して風流を成そうとしていたらしい集団だと」

 

先生と会ったことで場所を変えて、話をすることにした一行。そこで花鳥風月部について、ユカリからも知っていることを聞かされる。とはいえ、彼女とて知っていることはそこまで多くないようだ。

 

「百物語?」

「ええ……魑魅魍魎を操る、とは聞いたことがあるのですが……如何せんどういう存在なのかは……」

「ニヤから聞いた話だと……」

 

陰陽部から先生が知った話では、百鬼夜行が今の連合になる前、猛威を振るったという魑魅魍魎の集団らしい。その活動は、今の連合の形を認めない極悪非道の部活だの、怪書を操り、人々を惑わす魑魅魍魎だのといった噂が残る程度なのだという。それ故に、ニヤもあくまで花鳥風月部の名を騙る警告文であり、ただの悪ふざけではないかと思っているとのこと。

 

「嫌がらせ……じゃあ、魑魅一座とかが?」

「それまではわからないけど……ただの嫌がらせで済むならそれでいいと思うんだ。何事もないわけだしね。それに……今まで影も形もなかった昔の部活動だからね……もし存在しているなら、ニヤ達が何かしら動向は把握していてもおかしくない気がするんだ」

 

先生もニヤ達と同じような考えらしく、ユカリからもそもそも存在しているのかどうかという点も含めてやはり嫌がらせの類という認識のようだ。

 

「それで、モルフォ達はどうして百鬼夜行に?」

「ウミカに祭りに来ないかと誘われたんです。それで皆で一緒に……先生、百鬼夜行に来たならシロコ先輩を見てませんか?」

「え?シロコも来ているの?ごめん、見ていないんだけど……」

 

そして先生が来た理由についての話が落ち着いてきたところで、今度はモルフォ達が来た理由を問いかける。しかし、先生はその話の中でシロコが一緒に来ていると聞き、驚いたような表情を浮かべる。

 

「そうですか……」

「シロコなら一人でも大丈夫だと思うけど……確か連絡手段ないんだよね?」

「はい……完全に忘れてました」

「わかった。もし会ったら連絡するよ」

 

モルフォの言葉を耳にした先生は快く頷く。先生も、燈籠祭が終わるまでは百鬼夜行に滞在するはずだ。ならば、その間にどこかで出会う機会もあるかもしれない。その時はモルフォ達に伝えることを約束する。

 

「それで……イズナ達は一緒だけど、ミチルはどうしたの?」

「それが……ちょっと別件でいなくなると」

「一年生同士の方が気安く話し合えるんじゃないかって……」

 

ミチルは朝、一回は顔を出したのだ。しかし、シロコ*テラーの姿が見えないのを、彼女も一年生同士の集まりに空気を呼んで消えたのだと解釈したのか、ミチルも少し席を外すことにしたようだ。とはいえ、彼女なりに何かやることを見つけているようであったが。

 

「それで今、イズナ達はユカリ殿と特訓をしているんです!」

「特訓?」

「あ、は、はい!」

 

そしてユカリから百花繚乱の現状を聞いた先生は、成程と頷く。

 

「それでユカリは強くなろうとしているんだね。それで……ナグサはどこに?」

「わかりませんわ!」

「ええ……?」

 

ユカリの自信満々に放たれた言葉に先生も思わずずるっと崩れ落ちてしまう。実際わからないのだからしょうがないといえばしょうがないのだが、これでは継承戦をする以前の問題ではないか。

 

「えっと、今も残ってる百花繚乱の人でナグサの居場所を知ってる人はいるの?」

「レンゲ先輩はどこかへ行ってしまいましたし……キキョウ先輩ならもしかしたら知ってるのかもしれませんわ。ただ、手掛かりはそれぐらいですけど……でも、キキョウ先輩には継承戦の立会人をお願いするつもりですから……明日会いに行こうと思っていますの!そのためにも今日でできるだけの事はやるつもりですわ!で、なければ忍術研究部とゲーム開発部の皆さんに顔向けできません!」

 

だが、何にもアテがない、というわけではないらしい。一応はユカリなりにナグサを探し出すアテがあり、その上で出来得る準備をしようということなのだろう。で、あれば。ユカリのためにも先生としてできることをやるべきだろう。そう考えると、

 

「わかった。そういうことなら私の方でキキョウに会ってみるよ」

「本当ですか!?ありがとうございますわ!」

 

ユカリのためにも先生は百花繚乱に向かうことを決めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それで、シャーレの先生が百花繚乱に?」

「うん。ナグサの居場所を知らないかな?」

 

その後、先生はモルフォ達と分かれて百花繚乱の本部へと赴いていた。その居場所が分からなかったため、一度百夜堂へ向かい、シズコから百花繚乱の本部の場所を教えてもらったのだ。そこには、猫の耳と二本の尻尾を持つ黒髪の少女、キキョウが一人でいた。

 

「―――結論から言うと、私もナグサ先輩の居場所は知らない。レンゲも……まあ、電話はできるだろうけど、多分あなたが望む答えは得られない」

 

先生からユカリの事、そしてナグサの事を聞いたキキョウはそう返す。その上で、

 

「シャーレの先生、あなたがユカリに何を言われたかはわからないけど……もう百花繚乱は終わったの。その継承戦についても私は手伝う気はない。レンゲもきっとね」

 

先生に対し、もう百花繚乱は終わりなのだと強調し、遠回しに関わらないでほしいと告げるキキョウ。しかし先生は、じっとキキョウを見る。

 

「……何?」

「キキョウは、それでいいの?」

「……それでいいって」

「うん。百花繚乱が終わってもいいって本当に思ってるのかなって。ユカリは百花繚乱の事が大事だから、頑張ってる。でも、ユカリにとって百花繚乱って皆がいての百花繚乱だと思うんだ。キキョウは……百花繚乱が終わってもいいって思ってるのかなって」

「……なんでそこまでするの。シャーレの先生だから?」

「違うよ」

 

少し、むっとした表情で先生を睨みつけるキキョウ。シャーレとして、百鬼夜行の治安維持組織を存続させようとしているのかと。だが、先生はそれは違うと首を横に振る。

 

「生徒達がやりたいと思っていることを大事にしたいんだ。百花繚乱は、ユカリだけじゃない、キキョウにとっても大事な居場所なんだなって、こうして話してみてわかったからね。だから、私もできることがしたいんだ」

「……なんで私にとって大事な場所だって?そりゃあ、二年はいた場所だから思い入れがないとは言わないけど」

「だってこの部屋、凄く綺麗に片付いているでしょ?隅々まで掃除や整理が行き届いている」

「……これがただ、畳む準備をしているだけだとしたら?」

「それはないって信じるよ」

「……はぁ」

 

そして、先生の熱意に突き動かされるように、キキョウも気まずそうに頬を掻く。そしてキキョウはゆっくりと立ち上がると、

 

「……まあ、ユカリの熱意はわかった。でも―――さっきも言ったけど、私達じゃどうしようもない。仮に私やレンゲ、他の百花繚乱の人達が解散を取り消してくれって陰陽部に直談判したところでナグサ先輩の解散令を取り消すことはできない。そういう意味ではユカリは最短で百花繚乱を救う選択をしていると言える……ただ」

 

そう言い、壁に立てかけられた、袋に仕舞われた一丁の銃の前に立つと、その銃に触れる。

 

「彼女がナグサ先輩に勝つことはできない。特訓したといっても、所詮付け焼刃。その程度でナグサ先輩が負けるぐらい弱いのなら、ナグサ先輩はとっくに委員長の座を引きずり降ろされてる。はっきり言うよ。ナグサ先輩は元委員長が姿を消した後、百花繚乱で最強となったから委員長の座を引き継げていた」

「でも、やってみなきゃわからないよね?」

「……先生はナグサ先輩の実力を知らないからそう言えるの」

 

はぁ、と溜息を吐く。希望的観測を幾らでも持つのは自由だ。しかし、世の中には無理なことだってちゃんとあるのだ。そこだけははき違えないでほしいと。

 

「確かに、キキョウの言っていることは間違ってないかもしれない。むしろ正しいのかもね。だけど……正しい選択肢だと犠牲が出てしまうのなら……愚かでちょっと先すら見えないような選択肢だとしても、それが皆を救う選択肢なら、信じてみる価値はあるんじゃないかな?」

「……ナグサ先輩の居場所ははっきりとはわからない。だけど可能性があるとしたら、焼き鳥の屋台」

「……焼き鳥?」

 

そして、先生の言葉に心が揺れ動いたのか、遂にキキョウはナグサに繋がる手がかりを口にする。しかし、焼き鳥と聞いて、それが彼女とどう繋がるのか一瞬分からず、先生の方が戸惑ってしまう。

 

「ナグサ先輩は焼き鳥がとにかく好きだから。だから焼き鳥の屋台を巡っていれば出会えるかもしれない。私からナグサ先輩について言えるのはこれだけ」

「ありがとう、キキョウ。後は私に任せて―――」

「まだ不十分。さっきも言ったけど、ユカリが本当にナグサ先輩に届き得るという保証がほしい。そもそも、私達を飛び越えていきなりトップに継承戦、なんて筋が通らないでしょ?」

 

ナグサについてはこれが限界だ。しかし、まだキキョウは納得がいっていなかった。それは、彼女の中に根付いた、ユカリではナグサには勝てないという現実。だからこそ、彼女は欲しいのだ。絶対に勝てない相手にユカリが勝つことでそれを証明するための根拠を。それがあって、キキョウは漸く納得することができるのだと。

 

「……つまり、キキョウとユカリで継承戦を行うって事?」

「そういうこと。まあ、今回は私が確かめたい、っていう思惑の方が強いからあくまで非公式として扱うし、諸々の手順はすっ飛ばさせてもらうけど……」

「わかった。それじゃあ今すぐ行こうか」

「え?今?」

 

キキョウのやりたいことを理解した先生は、彼女をユカリ達の下へ連れて行こうとする。キキョウは少し考え込んでいたが、愛銃を手に取ると、

 

「……わかったわ。シャーレの先生がそこまで言うのなら、少しだけ期待はしてあげる……まあ、あの娘次第だけど……」

 

そう言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!!」

 

イライラした様子で食事を口にする。灰色の長髪が特徴的な、黒い和服を着た少女。しかし生傷でもあるのか、身体や顔には絆創膏や包帯を巻いており、一見痛々しそうにも見えるその少女は、人が寄り付かないような建物の屋根の上で、ペットボトルのお茶を喉に流し込んで溜息を吐くと、

 

「どうして手前の百物語がぐちゃぐちゃになってるんですか!」

 

そう声をあげながら屋根の上を転がる。うがーっ、と悲鳴をあげる彼女の視線は、屋根の上からならギリギリ見える先にある、周囲を森林で囲まれたような広場。そこでミレニアム、百鬼夜行の他の生徒らと混ざって楽しそうに戦うユカリの姿があった。

 

「勘解由小路ユカリ……あいつの絶望が手前の百物語を完成させる最後のピースになるはずだったのに……役者がこうも勝手に動くなんて聞いていませんよ!!」

 

ガンガンと屋根を叩きながら、少女は血涙でも出てくるんじゃないかと言わんばかりに目に力を入れてユカリたちを睨みつける。

 

「……うう、コクリコ様のためにも、必ず成功させなければならないのに……」

「随分、苦戦してるじゃないか」

「!?手前は!?」

 

そんなことをやっていたからこそ、気付かなかった。いつの間にか後ろに立っていた、黒髪から白蛇が生えた、黒い和服に身を包んだ少女の存在を。

 

「……ふぅん、成程……勘解由小路を使おうと。でも失敗したと」

「!?ま、まだ―――」

「いや、もう無理さ。シュロ、お前の怪談はもう終わり。既に破綻した話を幾ら取り繕おうと、できあがるのは駄作だけさ」

「……土生アザミィ……!!」

 

シュロと呼ばれた灰髪の少女がアザミと呼んだもう一人の少女を睨みつける。その視線を軽く受け流しながら、アザミは不敵に笑うのだった。

 

「此度の百物語を織るは箭吹シュロ、あなたじゃない。私さね。さっさと舞台から降りな」

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