転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「……これって」
シャーレに当番として訪れたヒナ。シャーレの当番としての仕事も終わり、密かな楽しみをするためにその部屋へと訪れていた。そこは、ゲームなどが置いてある部屋で、まだ一部の人しか知らないが、キヴォトスの外にあるゲームもある。その中から物色していたのだが、気になるタイトルを彼女は見つけていた。
「スーパードンキーコング2……?」
スーパードンキーコング2ディクシー&ディディー。SFC用のソフトであり、スーパードンキーコングの続編でもある。スーパードンキーコングではドンキーコングとディディーコングを操作してステージをクリアしていたが、今作ではそのドンキーコングが捕まってしまう。そのため、ディディーコングはガールフレンドである、金髪のポニーテールと桃色のベレー帽とベストが特徴的な小柄なゴリラの女の子、ディクシーコングと共にドンキーを救うために旅に出ることになるのだ。
「あ、興味あります?」
「!え、ええ……多分だけど、タイトル的にこれは前やったものの続編なのかしら?」
「そういえば、初代をやっていましたね。そうですね、一応話としては続編にあたります」
まあ、このシリーズは前後の話を知らなくても問題ありませんけどね、と付け加えたのは同じく当番であったモルフォだった。
「……そういえば話自体はかなり単純だったわね」
クレムリン軍団が大切なものを奪ったから殴り込みに行こう!大体これだけで通じる単純明快なストーリーも魅力の一つである。シナリオよりもアクション要素に重点が置かれているゲームだが、操作性に関しては前作よりも改善されており、その上でアクション要素についてはより洗練されているのだ。
「やってみませんか?前作を楽しんだのならきっと今作も楽しめると思いますよ」
「……ええ。やってみようかしら」
前作の面白さを思い出して頷いたヒナ。その様子を受けて、モルフォもソフトを本体へと差し込んでゲームを起動する。
「……なんか前作より暗めね」
「あー、そういえば雰囲気自体は前作よりは暗いですね。まあ、そこまでホラー演出とかがあるっていうわけではありませんけど」
タイトル画面はディディーとディクシーが宝を前にしているみたいな構図となっていて、背景もどこか薄暗いものになっている。そしてワールドマップも緑の空に深緑色の海、さらにおどろおどろしくも険しいBGMと、前作とは雰囲気が大きく変わっている。今回挑む舞台はクレムリン軍団の本拠地であるクレムリン島。最初のワールドである海賊船「バッドクルール」の攻略を始めることになる。
「……今回はディディーから始まるのね。でも敵も……ちょっと違う?」
「あー、そうですね。続投している敵も一部いますが、結構様変わりしていますね」
1から引き続き登場している敵としてはジンガーなどが存在している。が、それ以外は基本的には一新されているといっていい。前作では雑魚敵として登場しているビーバーのような敵、ノーティも今作ではネズミのような敵、ニークに差し替えられていたり、厄介な敵として刃物を振り下ろしてくるカットラスやコングたちが近づくとそれに反応して出現し追いかけてくる、樽の中に入ったワニの敵、クロバーといった多数の敵が存在している。とはいえ最初は大した敵もいるわけではなく、基本アクションのローリングや踏みつけで蹴散らしながら、DKバレルをディディーが持ち上げる。そしてバレルを投げつけて破壊することで中に閉じ込められていたディクシーが解放される。
「あ、ディクシーには特殊なアクションがあるんですよ」
「そうなの?」
「ジャンプしている途中でダッシュボタンを押すと……」
「!成程、ゆっくり降下してくれるのね。これは便利ね……それにドンキーの時よりも移動スピードが速い……」
「移動面に関してはディディーの方が速いですね」
2では機動力に優れたディディー、そしてパラシュートと呼ばれるゆっくり降下するアクションを使えるディクシーを駆使してステージを攻略していくことになる。だが、ディクシー自体も機動力はそれなりにあるため、全体的に操作面においてはストレスになりにくいコンビであるといえるだろう。
「後は……チームアップですね」
「チームアップ?」
チームアップもまた2から追加された重要なアクションだ。内容自体は単純で相方を背負って投げる、というだけなのだが、それによって上の足場に飛び乗ったり、遠くに相方を投げてアイテムを回収するといった芸当が可能になるのだ。そしてステージにおける収集物にも大きな変化が加えられており、
「このBという樽は?」
「ボーナスバレルですね。ボーナスステージへ行くことができます。今回はクリアしないといけませんよ」
前作ではボーナスステージは入るだけでクリアしなくてもよかったのだが、今回からはそうはいかない。ボーナスステージはボーナスバレルに入ることで行くこともあれば、隠された入り口から入る場合もある。はたまた、大砲の弾を運び、それを大砲に入れて使用可能にした後にその中に入り、ボーナスステージへと打ち上げてもらうケースもある。そしてボーナスステージではステージ内にある星を集める、コインを見つける、全ての敵を倒すなど、様々なシチュエーション、条件でボーナスをこなすことになるのだ。これによって手に入るクレムコインは、後にある場所で使うことになるのだ。
「成程……随分変わっているのね。とすると……動物も何か変わってたりするのかしら」
「ええ、ランビはダッシュができるようになりました」
そして変更点が加えられたのはアニマルフレンドも同様だ。前作から続投されたエンガードやランビにはダッシュボタンを押して溜めることでダッシュを行えるようになっている。そして、このダッシュを使うことで壁を破壊し、ボーナスステージへと行くという方法を要求される場面もある。
「……壁の前に意味ありげにバナナがあったから使ってみたけど、本当にあるのねこういうの……これは今回は大変そうね……」
「むしろボーナスの意地悪さに関しては前作よりマシになってると思いますけどね……多分。あっ、DKコインがありますね」
さらにステージを進めていくと、DKコインと呼ばれる大きめのコインを発見する。このコインは各ステージに一つずつ存在しており、これを集めるのもまた、このゲームにおける収集要素の一つとなる。
「……このアニマルフレンドは?」
「ああ、ラトリーですね」
巨大な海賊船のステージを攻略していく。そんな中、ボスの手前のステージでヒナは今作から登場する新たなアニマルフレンド、ヘビのラトリーが登場する。ラトリーは緑色のヘビが尻尾をバネのように巻いているという姿をしており、それにディディー達が乗ると、小刻みに跳んで移動するという独特の移動方法を行う。このアニマルフレンドは溜めることで大ジャンプが可能となり、それによって高い所にあるボーナスバレルに入ったり、上の足場に飛び乗ったりするのだ。
「ふむ……このラトリーは他より癖が強いわね」
「その分足が強いのでジンガーを踏めるのは利点なんですがね。まあ、これにも慣れていきましょう」
まだまだワールド1。ここら辺はアニマルフレンドのチュートリアルも兼ねているのだ。ラトリーにもすぐに慣れ、そしてまだボーナスやDKコインも取り逃さず、安定してゴールへ向かう。2のゴールは、ジャンプして踏むことでゴール判定が発生するのだが、一定以上の高さから踏みつけることでゴールの上の方で回っているルーレットに応じたアイテムがもらえるようになっている。後半ではこのルーレットでDKコインを手に入れるステージも出てくるため、ここも慣れておく必要があるだろう。そして、このルーレットを行うと、ゴール演出も特殊なものになる。ディディーであればラップを歌い、ディクシーであればギターを取り出して激しい演奏をし始めるのだ。
「……ここは溶岩のステージ?」
「ええ、溶岩は落ちたら一発でミスですね」
第二ワールドはマグマの洞窟「クロコドーム」。そこでは溶岩がステージ中や背景に登場しており、溶岩に落下すれば一発で即死となってしまう。そのため、溶岩を避けつつ溶岩に浮かぶワニの足場やジャンプ台を乗り継いでいくのだ。そしてステージを進んでいくと、ヒナはここでも新たなアニマルフレンドと遭遇する。それは、クモのようなアニマルフレンド、スクイッターであった。
「これは……クモ?どんな特性があるのかしら」
「スクイッターは踏めない代わりにクモの巣で攻撃できますね。後は足場を作ってそれを乗り継いでいくこともできます」
スクイッターの特殊アクションを指示するようなコインガイドならぬバナナガイドに従い、特殊アクションを試してみる。射出するクモの巣はある程度上下方向にも修正できるため、痒い所に手が届きやすい。そんなスクイッターを活用するチュートリアルも兼ねたステージを越えたところで、謎のステージに気付く。そこは、クラッバの見張り小屋という、このゲームに登場するある意味重要なステージだ。ステージに入ると、クラッバらしき巨大な棍棒を持つ緑色の巨体がおり、彼に15枚のクレムコインを手渡すことで、ロストワールドと呼ばれる特殊なワールドにあるステージを攻略することができるのだ。
「ロストワールドというのは?」
「俗にいう高難度ステージですね。最初のワールド以外の全てのワールドに一つずつ今のクラッバの見張り小屋があって、そこからロストワールドのステージを一つずつ挑戦することができるんです」
「と、すると今はまだコインが足りないから次のステージで集める必要があるわね」
どういうものか試しに見てみようと思ったのだろう、先に別のステージを攻略してクレムコインを15枚以上集めると、それをクラッバに支払ってロストワールドへ移動する。そこにはタイヤジャングルというステージがあり、その中に入ってみると、そこにはジャングルが広がっていた。
「確かにジャングルね。だけどこれは……タイヤが転がっている?」
ステージの中はタイヤが転がっており、そのタイヤを乗り継いでいくステージとなっていく。タイヤは弾性があり、横からぶつかると弾かれてしまう。それによって落下したり、またタイヤの乗り継ぎに失敗するとそのまま下のトゲにぶつかったりしてダメージを受けてしまう。初めてとなるギミックに苦戦しつつも、どうにかしてボーナスに辿り着く。だが、
「……DKコイン?」
「あ、ロストワールドのボーナスは全てDKコインが手に入るんです」
「そういうことね……」
ロストワールドを越え、赤い熱湯のような水中を水に変換して進むステージや熱気球を乗り継いで進むステージをクリアし、スコークス鉱山へと辿り着く。そこで、新たなアニマルフレンド、オウムのスコークスと出会う。前作ではサーチライトを持っているだけの地味な役回りだったが、今作では口から卵を吐いて攻撃するという攻撃手段を持っている。この攻撃手段を駆使してステージを突破すると、炎を吐き出す剣のボス、グリーバーも倒してワールド3へと向かう。そこは船の墓場「クレムクエイ」。これまでと比べると難易度も一段階上がり一筋縄ではいかなくなるワールドである。
「む……」
このステージでは沼地のステージが複数あり、今後のワールドでも出てくることがある。そのいずれもが手強いステージとなっており、ここからヒナも何回か沼に落下して残機を失ったりダメージを受けたりする場面が増えていく。
「クリアしたのはいいけど……ボーナスを見逃してるわね……」
「やり直しますか?」
「いえ、今はクリアの方を目指すわ」
当然ボーナスも逃す場面が多くなる。これまでボーナスバレルや入り口が素直な部分も多かったのだが、ここからはちょっと捻った部分も多い。だが、取り逃した分は今は置いておくことにして先に進む。暗闇の水中ステージや新たな沼地を乗り越えていき、ヒナが辿り着いたのは「しずむナンパ船」。水中にいるコング達を狙う狂暴な紫の魚のような敵、スナップジョーから逃れるようにして進むステージである。
「あっ……あっ」
このステージでは徐々に水位が上がっていくため、ディディー達は上へ、上へと移動していくことになる。しかし、途中で操作を間違えて水中に落下。直後、スナップジョーの噛みつきを喰らってディディーがダウンしてしまう。しかし、ディクシーは水中から上がることができずにスナップジョーの餌食になってしまう。
「……このステージ、難しいわね」
「そうなんですよね……初見だと結構躓くと思います。単純にスナップジョーが怖いですし」
「そうなの?」
「まあ最初にプレイした時は結構ビビってましたね」
「ちょっとやってみてもらってもいいかしら」
二、三回程失敗したところでヒナはモルフォに変わってもらう。徐々に進めてはいるものの、最終的に落水するか水に追いつかれてスナップジョーに齧られているあたり、攻略法自体が間違っているのかもしれない。ここは大人しくお手本を見せてもらおうと考え、見学しているモルフォにコントローラーを渡す。そしてコントローラーを受け取ったモルフォはダッシュとローリングで空中に飛び出してからの空中ジャンプを多用しながらすいすいと進んでいく。
(……ゲームが上手なのはわかっていたけど、こうして見せられると本当に別物ね)
単純に初見プレイのヒナと経験者のモルフォの差はあるのだろうが、こうして上手なプレイングを見せられると簡単にも見える。
「……おっと」
「あ」
と、ここで足を滑らせたのかモルフォはディディーを水の中に落下させてしまう。しかも水面の上昇スピードと地形のせいで足場に戻ってもそのままいけるか無事にいけるかわからない。と、ここでモルフォはとっさの判断でスナップジョーを回避して水中で交代。そのまま水中から出たかと思うと敵にぶつかってしまい、被弾してしまう。
「ぶつかっ……え?」
瞬間、ヒナの口から困惑の声が漏れる。というのも、ディクシーに交代し、そのディクシーが被弾したと同時に残されたディディーがいきなり高く空へと飛び上がってしまう。
「……何?今の……?」
「咄嗟にやりましたけどできるものですね、こういうの」
「……できていいのかしら……明らかに本来の挙動じゃない気がするのだけど」
「まあ、普通のプレイではまず起こらない現象なので……今回は事故で条件満たしちゃいましたが……」
通称、犠牲フライだのバントホームランだのと呼ばれるRTAなどで使われるテクニック。水中でコングを交代し、その後一定時間の間に水中から出て敵にわざとぶつかった後、ジャンプボタンを押しっぱなしにすることでコングを高く飛ばすというものだ。方法自体はそこまで複雑ではないのだが、スナップジョーを避けながら、という条件が加わると途端に難しくなる。モルフォ自身よくこの土壇場で成功させたものだと内心感動すら覚えていた。
「……と、こんな感じで……」
「ごめんなさい、何の参考にもならないわ」
「……まあ、はい。今のは普通は狙ってやるものじゃないので……」
そしてしずむナンパ船をクリアしたモルフォだったが、今のプレイが明らかに本来存在しない挙動をしていることは一発でわかる。ヒナも首を横に振ってしまうがそれも当然のことだろう。モルフォだって初見プレイでこんなことは正直やってほしくはない。
「と、とにかくこんなこともやろうと思えばできますよねってことで……」
「え、ええ……」
そして次のステージ、タルを乗り継いでいく、BGMが良いステージでもあるとげとげタルめいろを突破し、ワールド3のボスも撃破することに成功する。そしてワールド4、蜂蜜パーク「クレムランド」へと向かうことになるのだが、ここまでぶっ続けでプレイしていたこともあり、少し休憩に入ることにする。
「……そういえば、ずっと聞こうと思っていたことがあるのだけど」
「はい?」
「ええ、アコからもう一人のあなたについて聞いたのだけど……どうして二人の能力は違っているのかしら?」
「……うーん……」
休憩に入った二人だったが、ここでヒナがずっと気になっていたことをモルフォに質問する。ヒナも、別次元のモルフォの話を聞き、疑問に思っていたのだろう。所属する学園が違うことはともかくとして、何故能力が違うのか。
「まあぶっちゃけるとわからない、としか言いようがありませんが……敢えて考えるなら……それを必要としていた、とか?」
「必要と……」
「まあ、ただの予想でしかありませんけどね」
少なくともミレニアムで生活していてあの能力が必要となる局面は来ないだろう。強いて言うなら調印式の時ぐらいだが、それなら自己再生とか、そんな感じの能力になっているはずだ。そもそもそこまでできる便利なものなのか?と聞かれれば首を傾げざるを得ないが。
「それに、別の世界の事情なんて私達にはわかりませんよ。この世界の私はこういう能力になっちゃった、ただそれだけの話です。とにかくこれを楽しむことにしましょうよ。そろそろ再開しますか?」
「……そうね。おそらく次のワールドが今日は最後かしら?」
「ですね。でも難しくなっていますよ」
「ふふ、望むところよ」
色々と考えてしまうことはあるが、ひとまずゲームを楽しく遊べるならばそれでいい。その言葉については同意見だと、ヒナは頷いて次のステージを楽しみにしながらさらに難易度を増すステージへと挑むのだった。