転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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パジャマパーティとUNO(前編)

 

「……つ、疲れたぁ……」

「でも、これで後はぁ……」

「……ただいま。調子はどう?」

「お帰りなさい、モルフォ。まあ……順調ですよ、ええ……」

 

ゲーム開発部の部室。窓の外に見える空は真っ暗闇に染まっていた。そんな中、部室のドアを開けてモルフォが疲れた様子で入ってくる。そこには、精魂尽きた様子で倒れているゲーム開発部の面々の姿があった。その中で唯一立っていたケイも疲れを隠せないといった様子でモルフォを見つめる。

 

「そっか……このままなら納期には間に合いそうだね……はぁ」

「ミレニアムEXPO……でしたっけ。モルフォも大変ですね」

 

ミレニアムEXPO。それは近々迫るイベントであり、そのためにそれぞれの部活動や組織の面々は忙しく動いていた。ゲーム開発部もまた、ミレニアムEXPOに出展するためのゲームを作るために動いていた。とはいえ、出展するものでわざわざRPGみたいな長時間拘束するようなゲームは作れない。そこで、1プレイ時間が少なく済むゲームを作ろうということが決まり、そのために動いていたのだ。

 

「色々足運んだりしてね……さすがに連日動きっぱなしは疲れる」

「お疲れ様です……私も手伝えたらいいんですが」

「まあしょうがないよ……一応ケイの事はまだ公にできないし……まあ、こっちはもう終わりだよ。で、ゲームの方は……」

 

ソファに座り込み、疲労からくる溜息を吐く。モルフォの視線の先で倒れて呻くモモイとアリス、寝落ちしたのか意識を失っているミドリとユズ。とりあえず経過だけケイに聞いて、今日はこのまま寝落ちしようと考えるモルフォにケイが現在の進捗を伝える。

 

「一応ゲーム自体は完成しました……とはいえ、テストプレイをやったのはユズでしたし……その、正直常人には進め難い難易度で」

「……それは高難度で搭載しようか……難易度ってベリーハードの上何がいいかなぁ……」

「い、インセとかトマトとか……」

「……どうしたのモモイ」

 

ユズがプレイしたとなれば、進行不可バグでも起こらなければまずクリアできるだろう。しかも難易度もユズに合わせたのであればどれほどのプレイヤーがクリアできるというのか。

 

「いや……なんか面白そうな難易度とかあったらいいなって……」

「……あんまり難易度増やすのもあれだからそこはやめておこう……難易度で歯応えを調整するんじゃなくて別の要素とかで……ステージ増やすとかそういうので……というか今回のメインターゲットトリニティ生だし……明日からでいいや……とりあえず寝よう……」

「さんせー……」

「アリスも疲れました……」

 

ともかく、そこらへんはまた明日の自分がどうにかしてくれるだろう。そう考えてモルフォは目を閉じる。どうやらモルフォ自身かなり疲労が溜まっていたのか意識がどんどん遠のいていく。丁度モモイがモルフォに頭を乗せにきたりアリスが寄りかかってきたりと丁度いい重みが余計に眠気を加速していく中、一瞬意識が飛んだと思った次の瞬間にモルフォの意識を覚醒させたのは、

 

「皆さん起きてくださーい!!」

「お……おぉ……?」

 

コユキの叫び声であった。ぼーっとなりながらも意識を浮上させていたモルフォだったが、直こえたミシミシという何かを締め付ける音に慌ててモモイの頭を引っぺがしながら起き上がると、

 

「ぎゃあああああ!!」

「何しに来たんですか!?こんな時間に!!」

 

そこには頭をケイに締め付けられるコユキの姿があった。とりあえず意識を覚醒させるためにココアの缶を開いて一気飲みすると、同じように騒ぎで起きて眠気覚ましにエナドリを飲み始めるケイ以外のゲーム開発部の様子を見ながらコユキとケイに駆け寄り、二人を仲裁する。

 

「ケイもそこまで。コユキの要件を聞いてからに……」

「パジャマパーティです」

「へーパジャマパーティ……パジャマパーティー?というかトキ?」

「こんばんは、モルフォ。ぐっすり寝ている所を起こすのは正直憚られましたがコユキが先走りました」

 

だがそんなモルフォを止めたのはコユキと一緒に遊びに来たであろうトキだった。どうやらコユキが何かやらかすのに気付いて気配を消していたようだ。

 

「……まあ、それはいいや。で?そのパジャマパーティのために私達を起こしたってことでいいの?そりゃまた急というか」

「コユキがストレスが溜まってパジャマパーティをやりたいと言い始めたんです」

「ああ、セミナーも忙しかったみたいだし……」

「コユキのモチベーションは全部終わらせてのこれでしたから。ただそれにしてもあれは……ないです」

「まあ、あんな目覚ましはねぇ……」

「いえ、そうではなく……」

 

ここでトキが困惑したように視線を逸らしてしまう。一体コユキは何をしたのだろうか。

 

「もうまともな用途で使われなくなった反省部屋ってあるじゃないですか」

「……そういえばあそこ、コユキが使っている部屋だっけ……」

「そこに籠ってムシクイーンのパック開封やってた挙句、人形たちを使って妙な遊びをしていたところを見た時の衝撃は暫くは忘れられないでしょうね。しかもこんな変なサイコロまで使って」

「何をやっていたのさコユキは……って十面ダイスじゃん。いやこれデジタルで出目が出る奴?」

「イカサマし放題のサイコロみたいですね。ちなみに百面モードもあるようですが。モルフォにあげますよ」

「いやコユキのでしょ……」

「持ってても使い道ないからいいともらいました。ちなみに私も使いません。それと、パック開封の方は先生に送りつけようとしたみたいですよ」

「ええ……コユキ……ケイ、そこまでにしてあげて」

 

トキが見つけた時の壊れようを聞いて、さすがにモルフォも不憫だと感じたのだろう。とりあえず受け取った元コユキの私物を雑にポケットの中に突っ込むと今も頭を締め付けるケイを止めてコユキを解放させる。

 

「コユキも普通に起こしてくれればこんな痛い目に遭わずにすぐに話に入れたのに……」

「ふぐうううう……」

 

頭を抑えて痛そうに顔を顰めながらモルフォに顔を埋めるコユキを撫でるモルフォ。そして少し落ち着いてきたところで改めて聞く。

 

「で?パジャマパーティだって?私達こんな有様だけど」

 

残念ながら仕事終わりにそのままぶっ倒れたも同然のゲーム開発部は全員が寝巻ではなく制服のままでもある。それでもいいのかと聞くと、どうやらコユキとしては不服なようで、

 

「ダメに決まってるじゃないですか!パジャマを用意しなきゃパジャマパーティじゃありませんから!」

「寝間着って置いてたりしないんですか?」

 

ゲーム開発部にもパジャマを指定していた。やるならせめて前日に言ってほしかったなぁとぼやくモモイの言葉に同意しながらも質問してきたトキにケイが答える。

 

「……まあ、ここで寝泊まりも普通にするので当然あるにはありますよ。寝落ちしたりすることも多いですが、ちゃんと余裕があればそこは徹底させていますし」

「え?そうだったんですか?モルフォが寝てる時とか皆制服だったじゃないですか」

「モルフォちゃんが部室で夜を越す場合って基本的に徹夜とかするから……」

「……じゃあ私が寮から寝間着を取ってくればいいわけか……」

 

ミレニアムには寮ではなく部室などがほぼ家と化している面々も多い。そういった面々のために学園内には普通にシャワールームだってあるし、個人で予め寝間着を持ち込んでいる人も多い。ただそれ以上にミレニアムの制服が色々と都合がよすぎたのでそちらを着続けている人も多いだけなのだ。そういった中では部室に寝間着を置いてないモルフォはある意味少数派と言えるかもしれない。

 

「それなら大丈夫です!モルフォのパジャマは既に用意しています!ミドリが買っていました!」

「え?」

「これ……モルフォちゃんが次泊まったら皆で一緒に使おうと思って買ってたんだ。今まで忘れてたけど」

 

ここでミドリがモルフォに部屋の隅に置かれたまま放置されていたビニール袋を手に取る。その中から緑色のパジャマを取り出したミドリ。それから一着をさらに取り出してモルフォにそれを差し出す。それは橙色のパジャマとなっていた。

 

「買ってたんだ……いつの間に」

「当然皆の分もあるよ」

 

モモイには桃色、アリスには青色、ユズには赤色、ケイには赤のパジャマを手渡す。その用意の良さにコユキが目を輝かせ、ふむとトキが頷く。

 

「では部屋で待ってますのでー!!」

「部屋って反省部屋に行けって?」

「あ、なんかいい感じのパーティーゲーム持ってきてくださいねー!」

「目的はそれか……まあ予想はしてたけど……」

 

そして部室を出ていくコユキ。その様子を見ていたモルフォ達だったが、

 

「……とりあえずシャワー浴びて……それから適当なの見つけてこよう……」

 

モルフォの呟きに残りの面々も頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いや、広いんだけど反省部屋!?」

「……この部屋で何を反省するんだろう……」

 

コユキに呼ばれるがまま反省部屋に入るゲーム開発部。だが、そこに広がっていたのは人一人で使うには広すぎる空間と、快適に生活できるだけの設備であった。コユキが問題なく外を出歩くようになってから増えたものも当然あるのだろうが、明らかに以前からあったであろうものだけでも十分すぎるものがある。

 

「にははは、皆さん待っていましたよー!」

「ああ、やってきたよコユキ……どうしたのその恰好」

「あ、これですか?ユウカ先輩が以前くれたんですよー、結構可愛いでしょ」

「うん、可愛いと思う!」

 

コユキの着ているパジャマは、上下が一体となっている、二枚の耳が生えた兎をモチーフとしたかのような黄色い着ぐるみのようなパジャマであった。ユウカが買ってきたのだというこれを着たいがために今回のパジャマパーティを計画したのだろうか。

 

「ちなみにー、他の人も呼んでいますよー!」

「……他?」

「おっと、ゲーム開発部の皆さんは既に来ていたようですね!」

「コトリ?」

「ふふ、どうやら落ち着いたのはどこも一緒のようだね」

「皆キチゲを発散したいんだよきっと。こういう時のために人を駄目にするベッドを作りたかったんだけどね……まだそこまで手が回ってない。ああ……ウトナピシュティムから発想を得た母艦もまだまだ途中なのに」

「外装もまだだから展示すら間に合わない……」

 

そして呼んだのはなんとゲーム開発部だけではなかったらしい。パジャマを着てきたトキが部屋に入り、続けてそこに現れたのは何とエンジニア部の三人であった。彼女達も寝間着で来ていたのはコユキの指定通りらしい。

 

「待ってコユキ、どれだけ呼んだの?」

「えーと……ゲーム開発部とエンジニア部とヴェリタスとトキと……」

「そこは何故C&Cと言わないのか……」

「まあ、コユキは以前はやらかしてC&Cに捕まったりしていたからね……」

「ネル先輩はコユキを怖がらせていたようですからね。コユキからの好感度は著しく低いです」

「十割自業自得ですよね」

 

とりあえず色々な所に誘いをかけたようだ。エンジニア部の到着を皮切りにチヒロを除くヴェリタスの面々が入ってくる。

 

「お待たせー!」

「おや、チーちゃんは?」

「メンテナンスとか色々やっていますね……まあ、コユキからマキにこの誘いが来て嫌な予感がすると言っていたのでその内来るんじゃないでしょうか」

「……同じことを考えている人がいて驚いたわ」

「おや、ユウカとノアも誘われてたのかい?」

「誘われたというか、コユキが色々口走っていたからね……何かやらかさないか心配で見にきたのよ」

 

そして最後にやってきたのはまだこんな夜の時間まで作業をしているチヒロ……ではなく、なんとユウカとノアであった。といってもユウカはコユキがやらかさないか心配で来たようだが。

 

「ふふ、それに面白そうでしたし」

「まあ、こうなるのならゲーム開発部も呼ばれそうだしそこまで心配しなくてもよかったんじゃないか?」

「そうは言うけど……ゲーム開発部だって忙しかったでしょ?モルフォやケイちゃんだって休みたいかもしれないって考えたら来ないわけにはいかないでしょ」

「実際休んでましたからね。そこを叩き起こされましたが」

「コユキ!!」

「いやこれはちょっと事情がありましてぇ……ね!モルフォ!!」

 

休んでいる所を起こそうとしたという発言に怒りの表情を浮かべるユウカ。思わずコユキがモルフォの背中に隠れてしまい、その様子を見て溜息を吐くと同時にモルフォも呆れてしまう。

 

「まあまあ、その辺にしておきましょう?今日は私達もゆっくり英気を養いに来ているんですから」

「……はぁ、それもそうね……」

 

こいつは……と言いながら後ろに隠れるコユキを前に引きずり出して寝そべる彼女の頭を弱めにぐりぐりしながらもモルフォは持ってきた箱からあるカードゲームを取り出す。

 

「これは?」

「UNOだよ」

 

UNOとはカードゲームの一つであり、前世では皆で遊べるゲームとして特に有名なものでもある。

 

「なんかトランプみたいだね」

「ふむ……確かに色は四色。ですが、数字は0から9までですね」

「それに謎のマークのカードに……あ、これは見てわかりますよ。四色全部のカードってやつですね」

「これはいかにもカードを二枚引かせようっていう奴では?」

 

モルフォがカードを広げていると右からマキが、左からトキが、後ろからコトリが、そして前からコユキが興味深そうに体を密着させながら覗き込んでくる。

 

「これこれ、楽しかったよね!」

「一回妨害吐き出し始めると酷いことになってましたね……まあ、あれが楽しいといえば楽しいですが」

「そっから泥仕合が始まって捨て札またシャッフルし始めたあたりが楽しいよね」

「甘んじてカードを纏めて引き受けてから一気出しで地獄を作り始めるのいいよね」

 

UNOは、赤、黄、青、緑の四色に分かれていて、0から9の数字が描かれているカードと、ストップマークが書かれたカード、捻じれた矢印のカード、そして+2と書かれたカードに加え、四色が記されたカードと、四色に+4が書かれたカードに分かれている。1から9が各色二枚、0が一枚ずつあり、これら76枚のカードは数字カードと呼ばれている。それ以外のカードとしては、+2はドロー2、矢印はリバース、ストップマークはスキップと呼ばれ、各色2枚ずつ。そして四色マークだけのカードはワイルド、四色に+4と書かれているカードはワイルドドロー4と呼ばれ、この二つは四枚ずつ存在し、これら合計32枚をひっくるめて記号カードと呼ばれている。

 

「ほうほう、どういうゲームなのかな?」

「結構シンプルそうですが」

「それはですね……」

 

そしてUNOのルールは、まずゲーム開始時に七枚を全てのプレイヤーに配る。残りのカードは山札となり、山札の一番上のカードを表向きに場に出し、順番にカードを出し合って手札を全て捨てたプレイヤーが勝者となる。だが、出すカードはある法則に従わなければならず、それは場にあるカードと同じ色、もしくは同じマークか数字のカードでなければならない。ただしワイルドカードとワイルドドロー4は例外的に場のカードに関わらず自由に出すことができる。

 

そしてリバースが出た場合、プレイ順が反対になる。つまり、もし時計回りに進行していた場合、その順番が反時計回りになるのだ。そしてスキップが出れば、次のプレイヤーの手番を飛ばすことができる。そしてドロー2を出せば次のプレイヤーが2枚カードを引き、そのプレイヤーの手番はスキップされる。ワイルドは出した際に色を指定することで、場の色を指定した色に変えることができる。

 

ワイルドドロー4は少々特殊で、手札に出せるカードがこのカードだけだった場合にのみ出すことができる。この時、他に出せるカードがあってもないフリをして出すことができるのだが、この時次のプレイヤーにチャレンジと呼ばれる行動をされ、手札を確認されることでワイルドドロー4を本来出せない状態であることを見破られると、ペナルティとして4枚引かなければならず、改めて出せるカードを出し直す必要がある。逆に、ワイルドドロー4しか出せない状態で出したのにチャレンジをされた時には、チャレンジしたプレイヤーがワイルドドローの4枚に加え、追加で2枚、合計6枚引かなければならない上にその順番もスキップされてしまうのだ。

 

……だが、モルフォ達がやっているルールではワイルドドロー4のチャレンジ及び使用条件は完全に無いものとしている上に、同じ数字とマークのカードは重ねて出せるという同時出しルール、ドロー2及びワイルドドロー4にはドローするプレイヤーがドローカードを新たに重ねることで次のプレイヤーにドローの権利を押し付けることができるというローカルルールを採用している。

 

「今いるのは16人だから……四人一組にしてやって、その勝者で決勝戦をやる形にしよう」

「ふむ……チーちゃんはまだ来ていないが、まあしょうがないか。チーちゃんはまた来てから後で巻き込むとしよう」

「でもどうやって組み合わせ決めるの?」

「あっ、それなら!」

 

16人で同時UNOをやってもまともな試合にはならないだろう。無論理論上はできるのだが、UNOは負け抜けのゲームではないことや今日はUNOだけやるというわけではないだろうということを考えるとある程度組み合わせをばらして複数試合をやる方が丁度いいはずだ。とはいえ問題はその組み合わせをどうするかだが。ここでコユキが持ってきたのは、くじ引きの箱であった。

 

「この部屋……なんでもあるなぁ」

「ゲーム開発部程じゃないですけどね」

「ではアリスが一番に引きます!」

「……ノアとは当たりたくないね……」

「ふふ、それはどういう意味でしょうか?」

「……いや、別に深い意味とかはなくて……私が最初に引くね」

(まあ、ハレの言ってることもわからなくはないけど……)

 

箱にそれぞれの色のカードを四枚ずつ放り込んでいく。そしてある程度箱を振ってから、ハレが誤魔化すように引く。それから次々と他の皆もカードを引いていき、組み合わせが決定する。

 

「では、始めますよー!今日は私も勝てる気がします!!」

 

そして決まった組み合わせは、モルフォ、コトリ、コタマ、ユウカ。モモイ、トキ、ヒビキ、アリス。ケイ、コユキ、ハレ、ノア。ミドリ、ユズ、ウタハ、マキ。四グループに分かれ、それぞれUNOを始めるのだった。

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