転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「……?」
百鬼夜行にある百花繚乱の詰所。一人以外誰もいないその部屋で、アヤメは何か不穏な気配のようなものを感じて目を覚ます。
「ふぁ……一体、何が――――?」
目を擦りながら体を起こすアヤメ。と、その視線の先にノイズを纏った一人の少女が浮かんでいた。
「……は!?」
慌てて起き上がり、距離を取る。だが、そのノイズだらけの少女の姿が一瞬露わとなる。
「え、モルフォ……!?」
一瞬、見えた少女はまさしくモルフォだった。咄嗟にアヤメが手を伸ばすが、モルフォはすぐに消えてしまう。これまでとは全く違う消え方。アヤメは冷や汗を浮かべながら、手を伸ばしたままの体勢で固まっていた。
「何かが、モルフォの身に起こってる……?でも、何が……それに、どうしたら……」
明らかにあれは異常だ。だが、ここにいる自分にどうしろというのか。目を覚ませばいいのか、いや目を覚ましたところで何もできないだろう。あんな消え方をするということは、現実に何かがあった……のかもしれないが夢か何かの方で影響があったとしか思えない。
「……だとすると……クズノハ?でもあいつ……」
と、すれば心当たりは一人だけ。しかし、クズノハは自分が会おうとしても会えなかった人物だ。そんな人物に頼るなど……そう思ったが、
「……いや、確かナグサが百蓮を使えるようになったんだっけ……だとすると、はぁ……」
ナグサのことを思い出す。そしてほんの少しだけ悩むと、
「ま、いいか。私のもうあってないようなプライドと一緒にいてくれた友達なら……まあ、友達だよね……これで何もなかったら、私は本気であんたを恨むけど」
そう呟くのだった。
★
「……これって」
ミレニアムの学生寮。そこでは半壊した寮があり、崩れた部屋の中に入って頑張って大事な私物を回収しようとしたり、瓦礫を撤去しようとしてる生徒達の姿があった。そこに急いで駆けつけたゲーム開発部は、実際にその惨状を見て驚いていた。
「確かにモルフォの部屋が跡形もなく吹き飛んでいます……」
「モルフォちゃん……そ、そうだ!シロコさんは?シロコさんは……」
「……あれ?ゲーム開発部の皆じゃん。どうしてここに?」
『彼女は……確か一年生の』
ケイがモルフォの部屋があった場所に向かう。半壊して影も形もなくなっていたが、瓦礫の下に焼け焦げた彼女の作ったゲーム機のメモリが出てくる。ケイと彼女に駆け寄り見守る、そんな五人の姿に気付いたのか、色々な機械をキャリーバッグに詰め込んで出てきた生徒が近づいてくる。彼女に声をかけられ、モモイが丁度いい所に来てくれたとモルフォについて質問し始める。
「ねえねえ、モルフォ見てない?今日まだ部室に来てないから心配でさ」
「そういえば昨日から見てないかも。あの子の部屋も吹き飛んだし、別の所に泊まってるんじゃない?……そういえば居候の子も見てないな」
「そ、そう!シロコさんも見てないの?」
「あー、私昨日の夕方ぐらいに見たよ?ドレス着てた子だよね?」
しかしモルフォはやはり昨日から誰も見ていないようだ。ではモルフォと一緒に暮らしていたはずのシロコ*テラーはどうだというのか。まさか彼女まで行方を眩ませているのか、とも思ったが彼女の姿は昨日の時点で確認できたようだ。
「ど、どこにいるかわかる?」
「えっと……モルフォがどこにいるかどうか聞いてきたんだけど、知らないって答えたらさ。血相を変えて凄い顔になっちゃって。なんかめっちゃ呼吸が荒くなってたから大丈夫?って聞いたらモルフォを探さなきゃって言ってどこかに行っちゃって」
「そっか……大丈夫かな?」
「うーん、動けてたし大丈夫じゃない?じゃあ私まだやることあるからね」
ならばシロコ*テラーに聞けば何かわかるかもしれない、そう思ったのも束の間、彼女の行方もわからなくなってしまっていた。連絡を取ろうとスマホに連絡を入れてみるが、そこには繋がらない。
「……もしかしてだけどシロコさん、スマホモルフォちゃんの部屋に置きっぱなしにして爆発で吹き飛んだとか」
「え、そんなことある?」
「……度々忘れることあるってモルフォは言ってたよ。そもそもスマホいらない生活に慣れちゃってたみたいで……」
「「「ああ……」」」
またしても手掛かりがなくなってしまったゲーム開発部。どうしたものかと悩んでいると、マキから連絡が入る。
『あっ、皆今どこにいるの?』
「マキ?今は寮の前だけど……」
『そっか、モルフォちゃんが行方知れずになっちゃったってコユキちゃんから聞いてさ。調べてたんだけど……そっちは何かわかった?』
「いや、何も……」
マキは皆が寮にいるという話を聞いて、モルフォの事を聞いてみるも空振りになってしまう。だが、マキの方で手に入れた情報はこの状況を大きく動かすものであった。
『モルフォちゃんなんだけど……誰かに攫われちゃったみたいなの』
「え!?」
『と、とりあえず話がしたいからすぐに来て!』
モルフォが誰かに攫われた。その話を聞いてモモイ達は顔を見合わせると、その場から走り始めるのだった。
★
学園に戻ってきたゲーム開発部。そのままヴェリタスの部室に向かうと、マキが五人を出迎える。そして部室の中には、チヒロを除いた三人のヴェリタスのメンバーがおり、コタマやハレは忙しそうにキーボードを動かしていた。
「先輩、皆連れてきたよー!」
モモイ達の姿を見て手を止めたハレとコタマが振り向く。
「皆さん、よく来てくれましたね」
「先輩、モルフォが攫われたって……」
「これを見てください」
コタマがパソコンにある映像を出す。それは、街中にある監視カメラの映像であったが、無人の町の中を一人の少女が何かを背負って走っている様子があった。
「これは……?」
「何かを背負っていますが……まさか、これがモルフォだと?」
「!じゃあこの人が犯人……」
「いえ、そう断定するのは早すぎます。これでは何が背負われているかはまだわかりません」
金髪に眼帯を付けたその少女が背負っているのは黒いケースのような荷物。だが、この映像だけではその少女がモルフォを攫ったとは断定できない。ここまでは確かにそうですね、とコタマは同意するように呟くと、
「これを見て」
今度はハレが別の映像を見せる。それは、ミレニアムの駅の改札を通過する少女の姿。しかし、ここで映像を切り替えると、サーモグラフィ画像が出てくる。
「!!これって」
「そう、あの荷物の中には人間が入ってる。そしてこの体格とかを比べてみると……」
そこには、はっきりと少女に背負われている黒いケースの中に別の少女が入っている証拠が映し出されていた。その体格を、モルフォのデータと重ね合わせると、そのデータ一致率は99.8%、即ちほぼ同一人物という結果が現れる。
「モルフォちゃん!!」
「ええ、この人物がモルフォを攫ったのは確実です。何のために誘拐したのかは全く分かりませんが」
「すぐに助けに行きましょう!!」
「そしてこの女を潰します」
「ケイ、流石に物騒!?」
「ちょ、ちょっと待ってください。彼女がどこにいるかはまだわかってないんですよ」
犯人が分かったのならばここでじっとしているわけにはいかない。部室を飛び出そうとするゲーム開発部をコタマは慌てて引き留める。
「いいですか……はっきり言います。彼女の姿は見失ってしまいました。現在どこにいるのかはわかりません」
「なんで!?」
「ヴェリタスの力なら、監視カメラなどを辿って行方を追えそうなものですが」
「ええ、そうですね。追えますとも……ちゃんと監視カメラといった機材が機能しているのならですが」
『「「「「?」」」」』
モルフォは現在どこにいるのかわからない。そんなことはないだろうとケイが指摘するが、コタマはまたしても首を横に振る。そしてキヴォトスの地図を見せる。そこにはモルフォを攫った誘拐犯と、モルフォの移動した道筋が表示されていた。
「このように、モルフォの反応は途中で完全にロストしています。映像としてはアビドス砂漠に入ったあたりで追える監視カメラがなくなったので、それ以降はGPSの反応を追ってみたのですが……」
「GPSに気付いたということですか?」
「おそらくは……」
モルフォは砂漠に連れていかれた。だが、そこでモルフォの反応が突然消滅してしまったのだ。この奇妙な現象と、追跡不可能となった現状に、ヴェリタスは完全に手詰まりになってしまっていた。
「じゃあアビドス砂漠に行くの?」
「そうするしかないだろうけど……私達は無理。前回よりも深い所に行く以上私達じゃ途中で体力が尽きて遭難とかするかもしれない。ここはC&Cに行ってもらうしかないし……まあ、そもそもそこに本当にいるのかどうかすらわからないけど。普通に考えてわざわざそこに連れていく意味がない」
「ええ……まずは彼女について調べた方がいいでしょうね。もしかしたら彼女の所属している学園にも掛け合う必要がありますし……」
「副部長と部長にも連絡する?」
「ええ、そうしましょうか。他にも色々……まあ、皆さんは一旦待っていてください。ここは私達の仕事なので」
これからどう動くか。モルフォを追いかけるのは現実的ではないと判断し、まずはモルフォを攫った少女について調べ始めることにするコタマ達。その様子を見ながらも、不安そうにアリスが口を開く。
「あ、あの。もしモルフォが砂漠に一人でいるとしたら……大丈夫なんでしょうか」
「そ、そうだよ。もし砂漠に捨てられたりしたら……」
だが、砂漠でモルフォが消えたという発言を聞いて、アリスは不安を口にする。モルフォは大丈夫なのかと。だが、ヴェリタスの三人もさすがにそこまで心配するようなことにはなっていないだろうとその理由を口にしていく。
「さすがにそれはないと思うけど……」
「他の学園の生徒を誘拐したばかりか砂漠に放置して……なんて洒落にならないからね」
「その挙句取り返しのつかないことになったら彼女自身もですが、彼女の通っている学園も責任問題になりますからね。そもそも百歩譲ってそういう目的でモルフォを攫うならもっと別の方法があると思いますし……だから。多分追跡から逃れるために一旦アビドス砂漠を経由しただけだというのが正しいと思います」
「あの、アビドス高校の皆さんに連絡して協力とか……」
「本当にモルフォがアビドスに連れ去らわれたままならそうする必要もありますがね。まずは彼女の所属学園にアプローチする方が正確だと思いますよ」
そう言うと、再び調べ物を再開するヴェリタス。その様子を見ながら。ゲーム開発部は部室を出ていく。
「ねえお姉ちゃん、先生にも調べてもらった方がよくない?」
「うーん……でも先生でもわからないんじゃない?多分ヴェリタスが一番調べてるだろうし……ユウカも気にしてるだろうしとりあえずユウカに教えてあげた方が……」
「チヒロ先輩にも共有される以上、セミナーに連絡されるのも時間の問題でしょうが、まあ早くて困ることはないでしょうね」
そしてゲーム開発部は次の目的地としてセミナーに向かうのだった。
★
「……」
ピクリ、と指先が動く。モルフォがゆっくりと目を開くと、そこには異質な空間が広がっていた。そして目の前にはこちらに背を向けたままの一人の人物。
「ヒヒ……さあ、準備は整ってきました」
その人物、地下生活者は暗闇で楽しそうに呟く。地下生活者の眼下では四角の枠のようなものが浮かび上がっており、そこには別の場所の光景が映し出されていた。それは、アビドスで繰り広げられている、対策委員会とノゾミとヒカリが率いるハイランダーの生徒達の小競り合いの光景であった。
「ハイランダーに発見させるように介入し、再び存在が掘り起こされたアビドス砂漠横断鉄道の権利書。それに伴い、ある超兵器の存在が明らかとなったことでネフティスと私募ファンドは動きを見せることになります。そして動き出すのは……くくく」
(……何を言っているんだ?)
状況がよくわからない。地下生活者が何を言っているのか、モルフォには何もわからない。だが、一文字でも多くの情報を得るため、息を殺しながら彼の発言を待つ。
「これでカイザーの売り払った債権はネフティスとネフティスへの出資者である私募ファンドに渡りました。これによりアビドスの借金返済先はカイザーからネフティスに移動します。しかし彼等には狙いがありました」
ぶつぶつと独り言のように呟く地下生活者。おそらくは状況を冷静に分析する一環なのだろう。それは、この空間に長くいすぎたせいで独り言を口にする癖が染み付いているだけなのだが、それを知らないモルフォからすれば彼のこの独り言癖はありがたいものといえた。
「それこそがこの横断鉄道の権利書。これは二年前、梔子ユメが失踪する直前に結び、この情報を後輩である小鳥遊ホシノに共有する前に死亡。結果、契約書だけがハイランダーに残っており、それを見つけさせた。それによって、ネフティスと私募ファンドによる超兵器、列車砲シェマタ確保計画は始動することになるのです」
(……ユメ、確か……)
アトラ・ハシースでの戦いでシロコ*テラーやホシノが口にした名前だったはずだ。この世界では既に故人となっている人物。その人物が生前に残した契約を使ってこの男は何をしようとしているのだろうか。
「さて、ここからが肝心です。彼女の心はモルペウスの干渉を受け、かつてあった傷跡はほぼ埋まってしまっている。故にこれを切り崩すのは並大抵の事ではありません。まずは彼女を孤立させる必要がある……さて」
地下生活者が後ろを振り向き、意識を取り戻したモルフォの顔を見る。モルフォが表情を険しくするが、地下生活者はそんなことは気にする素振りを見せずニヤニヤと笑う。
「どうやら目覚めたようですね、モルペウス」
「……お前は誰だ」
「小生は地下生活者。ゲマトリアの一員です」
「ゲマトリア……!!」
自己紹介をした地下生活者にさらに警戒心を跳ね上げる。
「おっと、抵抗をしようとしても無駄ですよ、モルペウス。ここは混沌の領域……小生の城とも言うべき場所なのです。この空間に閉じ込められたあなたは出ることは不可能だと考えていただきたい……まあ、今のあなたでは身動き一つ取れないでしょうが……仮に動け、小生をどうにかしたところで、あなたは永遠にここの住人になるのは避けられません」
「……!」
まさか、壊滅したはずのゲマトリアに狙われるとは。だが、それではあまりにもおかしい。モルフォが知る限り、地下生活者というゲマトリアは知らない。それに、他のゲマトリア、黒服はマエストロの手前、そして先生等に配慮して生徒達に干渉しないという選択を取っていたはずだ。だがこの地下生活者はその決まりを無視してこのような暴挙に出ていることになる。
「お前は……あのマエストロってやつとは違うの?」
「マエストロ?ああ、あの木偶ですか。当然です。もうゲマトリアは存在していません。解散しましたから。なので小生が唯一にして真のゲマトリアなのです」
それに対する地下生活者の解答はシンプルなもの。今やゲマトリアというものは存在せず、新たなゲマトリアを生み出したのがこの男だということだ。これで自己紹介が終わったところで、地下生活者は倒れるモルフォの頭を掴んで持ち上げると、顔を近づける。
「さて……モルペウス。あなたをここへ連れてきた理由は、その権能を小生のために使ってもらいたいからなのですよ」
「……?」
「モルペウス、その力は不確かな夢という可能性を現実に定着させるというもの……モルペウスという神秘がより、大きなものとなれば本来存在しない概念すら定着し得る。この混沌の領域であればそれも容易に可能なのですよ……故にモルペウスという便利ユニットは先生にはもったいないのです。小生ならばその権能を誰よりも一番うまく使うことができる……!」
狂気のような笑みを浮かべながらモルフォに迫る地下生活者。その言葉を静かに聞いていたモルフォは、ふんと鼻を鳴らす。
「バーカ」
「!!このクソガキがぁ!」
シンプルな罵倒。だがそれが地下生活者の逆鱗に触れたのか、地下生活者は勢いよくモルフォの頭を掴んで地面へと叩きつけると、その背中を何回も踏み続ける。その攻撃を腹に力を込めて耐えるモルフォに何発も踏みつけを叩き込む地下生活者。
「……ふん、調子に乗るからこうなるのですよ……」
次第に疲れたのかモルフォをその場に転がす地下生活者。モルフォは背中に走った鈍い痛みに顔を顰めながらも地下生活者を睨みつける。
「まあいいです。ここからは目を覚ましたあなたにも見学してもらおうではありませんか。小生の鮮やかな手並みによって小生が崇高に辿り着き、この世界が終焉へと向かう様をね……それを可能とするのが、この混沌の領域!次元や時間、実在の有無が確定しない特殊な空間……誰も知ることはできないのですからね!」
疲労の色こそ浮かべながらも、そんなモルフォの視線を涼しい顔で嘲笑いながら、地下生活者は地面に浮かべていた四角の枠を空中へと浮かびあがらせる。そこには、地下生活者が見ていたアビドスの映像が今も映っており、モルフォもそれを鑑賞することになるのだった。
★
夕方。セミナー室には多くの人の姿があった。セミナーからはリオ、ユウカ、ノア、コユキ。そしてゲーム開発部、ヴェリタス、C&C、そしてヒマリ。彼女達の目の前でスクリーンに映し出されていたのは、眼帯を付けた一人の金髪の少女であった。
「―――朝霧スオウ。ハイランダー鉄道学園の生徒」
「あー!こいつだ!!」
「ハイランダーにモルフォが……いきましょう!!」
「ちょっと待て」
スオウ。そう呼ばれた少女の姿を見て、モモイが立ち上がって指差す。間違いない、監視カメラに映っていた少女だ。
「……ハイランダーの生徒が、モルフォちゃんを攫った……?」
「……何故?」
誘拐犯の正体が分かり、ハイランダーに今すぐ乗り込まんとするモモイ達をネルが止める。その様子を見ながら、アカネとカリンが訳がわからないといった様子で首を傾げる。
「……やっぱりそうなるよね」
「ええ……ハイランダーとミレニアムの間に確執らしいものはなにもない。当然、モルフォとハイランダーの間にもね。何か聞いていたりするのかしら?」
「いえ、全く。むしろハイランダーの一部の生徒とは交流もあって仲も良いぐらいです」
アカネとカリンの反応にそりゃそうだと言わんばかりに肩を竦めるチヒロ。リオがケイに何か心当たりがあるかと聞くも、ケイも首を横に振る始末。しかし、スオウがモルフォを攫ったことには確実に理由があるはずだ。
「それで、ハイランダーはこの事についてなんて言っていたんですか?」
「……それが」
ケイの質問に対し、ユウカが目を逸らしてしまう。一体どうしたのかとその場にいた全員がユウカを見る。ユウカはこのまま言葉通りに伝えていいのかとも一瞬悩んでしまうも、言葉を取り繕う必要はないだろうと考えて素直にその内容を口にする。
「そんな生徒の事は知らないし、確認したが朝霧スオウはそのようなことをしていないと言っている。こちらとしても彼女がそんな馬鹿な事をすることは到底思えない。言いがかりはよしてほしい、と……」
「……成程」
ユウカの発言に静まり返るセミナー室。そんな中、静かに立ち上がったトキは扉の方に歩いていく。
「おいトキ、お前どこに行くつもりだ」
「?決まってるじゃないですか」
愛銃と扉に手をかけながらトキは皆の方を振り向く。そしてうっすらと笑みを浮かべながら宣言する。
「ハイランダーを潰しにいきます。そしてモルフォを助ければ全部解決ですよね」
「ちょっと待ってちょうだい!?」
「やめろ馬鹿!!」
直後、リオの悲鳴と本当に出かねないトキに飛びかかるネルの姿にセミナー室は小さな混乱を起こすのだった。