転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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混沌の領域と強制介入

タンコブを頭部に作られたうえで無理矢理席に座らされ、不貞腐れるトキ。その様子を見てほっと胸を撫で下ろすリオ。あのままであれば本当に突撃しかねず、そうなればスオウの事は有耶無耶にされてしまい、モルフォ以前の問題になるところであった。

 

「……で?これからどうすんだ?」

「……ふむ。では、とりあえずハイランダーのメインサーバーをハッキングしちゃいますか」

「あ、いいね部長!そっからダイヤとか乱しちゃう?」

「こら!こっちから害を与えちゃダメでしょ!!」

 

一先ず軌道修正を計ろうとするネルに同意するように、ヒマリがハイランダーから情報を抜いてやろうと提案する。それを受けてさらに酷い事をしてやろうと言うマキにチヒロが怒りの言葉をぶつけると、マキはびくっと体を震わせてしまう。

 

「……まだハイランダーそのものが悪いと決まったわけじゃない。本当にハイランダーは何も知らなくて、このスオウってやつの単独犯の可能性もあるわけだからね」

「そうね……」

「で、このスオウってのは何者なの?わざわざ生徒を誘拐するなんてただ者とは思えないんだけど」

 

そして、今すぐにハイランダーが悪と断定するわけにはいかないと念押しするチヒロ。と、ここでアスナが手を上げて、そもそもこの疑惑の人物はハイランダーではどういう存在なのかと疑問の声を上げる。それを聞いたコタマが眼鏡を掛け直すとスオウについて説明を始める。

 

「朝霧スオウ。彼女はハイランダー鉄道学園全体を運営する理事会直属の、ハイランダー管理室に所属する生徒で管理監督官だそうです」

「……理事会?生徒会とは違うの?」

「……そうですね、ハイランダーは少々特殊なので、そこについても説明した方がよさそうですね」

 

だが、スオウについての所属などを聞いたモモイ達はいまいち馴染がないのか首を傾げてしまう。確かにミレニアムでは理事会と言われてもいまいちピンとは来ないだろう。ノアは一度咳ばらいを入れると、モモイ達にわかりやすいように説明を始める。

 

「まずある程度知っている人もいるかもしれませんが、改めて説明するとハイランダーというのは……」

 

ハイランダー鉄道学園。それはこのキヴォトス内における鉄道の管理及び、それに関する教育を行う学園である。その性質上、キヴォトス全土が活動圏となっており、土地としての自治区が存在しないという珍しい性質を持っているが、ハイランダーの場合は学園の管理している路線そのものが自治区としての役割を果たしている。そして、鉄道の管理を行うという性質上、路線管理の他にも鉄道関連の工事などを請け負ったりもする。そして業務上各地の外部組織と提携する事も多い。

 

また、学園内では路線単位で派閥が分かれていたり部署が形成されていたりしており、各々がそれぞれ独自に路線を運営しているという。が、それらを統括する生徒会組織も当然存在しており、それがCCC (CentralControlCenter)である。そして、そのCCCとはお互いに監視し合い、はたまた牽制すらし合う関係にあるのが、スオウが所属しているハイランダー監理室というわけだ。

 

「……つまり、セミナーとヴェリタスみたいな関係性ですか?なんかもう最近は全く不仲なんてもんじゃないですけど」

「まあ、それはどこぞの誰かさんが随分まともになったからでしょうね」

 

話を聞き終え、ミレニアムにある組織で言えばこういうことかとコユキが指摘する。とはいえ、今のヴェリタスは反セミナーとはすっかり程遠い存在になってしまっているが。ヒマリがにやにやとリオを笑いながら言うが、リオは首を傾げてしまうと、

 

「セミナーとヴェリタスが連携を取らなければならない事態が多発した影響ね。本来のヴェリタスの設立理念としては不本意ではあるでしょうけれど、現状を考慮すれば好ましい状態と言えるわ」

「……」

「まあ、どちらもあり得る……それだけのことでしょ」

 

不満そうな表情を浮かべてしまうヒマリとさも当然のように答えるリオ。その両方に呆れながらチヒロが答えていると、ノアの説明を聞いて考えていたネルが理解したように頷く。

 

「……となると、鍵になるのはその監査室ってわけか」

「……生徒会と対立している組織ならば、共有していない情報も当然存在していてもおかしくないな」

「じゃあ潜入するってこと?」

「いえ、まずはヴェリタスにすぐに調べてもらうわ。必要ならコユキも使ってちょうだい」

「えっ」

 

ネルの発言にカリンも同意するように頷く。だが、まだC&Cの出番はもう少し先のようだ。

 

「まあ……コユキなら抜く方は問題ないからだいぶ楽にはなるけど」

「えっ、一応私セミナーですよね?ヴェリタスと一緒にハッキングとかバレたら滅茶苦茶面倒臭い事になるじゃないですか」

「だから私達がいるんだよ……」

「そうだよコユキちゃん!それにこれはモルフォちゃんを助けるために必要なことなんだよ!」

「空振りならそれはそれでハイランダーの無実が証明されるだけ。調べるだけで進展するのは確か」

「……まあ。モルフォのためなら」

 

ミドリの言葉に少し気恥ずかしそうに視線を逸らしながら協力を受けるコユキ。これでハイランダーのセキュリティをこじ開けて情報を抜くのは最早問題ないだろう。後処理さえどうにかしてばれないようにしてしまえばハイランダーとミレニアムの致命的な対立も起こらずに済む。

 

「……今更だけど私達かなりとんでもないグレーゾーンを突っ走ってるわ……」

「既に誘拐やらかしてるあっちが悪い!!」

「それはそうなんだけどね……」

「……あの!この事を先生には伝えないんですか?」

 

最初に起こす行動が決まったところで、アリスが先生にこの事を伝えないのかと提案する。それを聞いたリオは一度モモイを見ると、モモイは一瞬ビクッと肩を震わせる。

 

「先生には後で連絡するわ。ただ、今は情報をできる限りこちらで集めて、それを先生に伝えた上で今後の動き方や方針を決めるつもりよ」

「何もわからない状態で先生にモルフォを助けてくれって言われても、先生じゃ動きようがないからね。結局私達は今見える情報と手札で動くしかないんだから、その情報を増やす必要があるわけ」

 

先生には伝えるし協力も申し入れる。だが、それは今ではない。まずミレニアムでできる限りの調査をした上で協力を仰ごう。その言葉にモモイも少し顔色を悪くしながらブンブンと首を縦に振るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アヤメ、最近百鬼夜行で流行ってる音楽があってね……」

 

現実の百花繚乱の詰所。眠るアヤメの傍にナグサが座り、スマホを操作し始める。そして流れるのは和とロックを混ぜたような、そんな音楽だ。ナグサやキキョウには全く反応しないが、ユカリが時折スマホゲーをしたり、レンゲが遊びの話をしたりしている時、その声や音楽を聞いたアヤメが反応することにナグサは気付いたのだ。

 

「アヤメ、いつも大変だったもんね。休みたかったし、遊びたかったよね……ごめんね、気付かなくて」

 

うんうんと頷きながら音楽をナグサも聞き入る。こうして静かに聞いていると、確かにいい曲だ。アヤメはこういうのもの好きなのかな、なんて考えながらアヤメをナグサが見ていると、

 

「―――」

「……!?アヤメ!?」

 

アヤメの口が動いた、そんな気がした。ナグサが慌ててアヤメの顔を覗き込むと、アヤメは寝たまま、何かを言おうとしていた。

 

「……く……ず……の……は……あ……え?クズノハ会え?どういうことなの……?アヤメ、何を言ってるの……?」

 

アヤメの唇の動きを見て、それがクズノハと呟いていることに気付く。だが、何でクズノハなのか。アヤメは何のメッセージを伝えようとしているのか、ナグサには何もわからず困惑したように頭を抱えることしかできない。

 

なお、アヤメの方はアヤメの方で起きようとしたら体が全く起きようとしてくれないせいで結局眠るしかないという、そんな都合のいいことはないか……とある意味悟ったかのような状態に陥っているのだが、ナグサがそれを知ることなどないのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

混沌の領域。そこから地下生活者が見ていたのはアビドス……ではなくシャーレのオフィスであった。徹夜して先生は、必死に何かを調べているその様子を地下生活者は見ていた。

 

「―――さて、動き出しましたね」

「……」

「ハイランダーとアビドスの小競り合い。その翌日にハイランダーを伴ったセイント・ネフティスは出資者である私募ファンドと共にアビドスを訪れ、交渉を始めました。砂漠横断鉄道の使用権、その起源は明後日に迫っており……アビドスは生徒会の役目を対策委員会に移行してはいますが、契約書類上求められる組織はアビドス生徒会。よって副生徒会長であるホシノは唯一出席可能な人間として明後日の正午に行われる総会に出席する必要が出てきました。まあ、既に日が変わったので一応明日の正午ではあるのですが」

 

ここまでに起こった出来事を端的にまとめていく。これから、彼がキャンペーンと称するこの世界の出来事に対して介入を行うために。

 

「先生はやはり訝しんだようですね。砂漠横断鉄道なんて今更ネフティスが固執するようなものではない。私募ファンドもネフティスに出資しているとはいえ、共同でアビドスの債権を買う理由がない。カイザーとて何もなければそのまま普通にリスクヘッジをするだけ……ですが、ここで列車砲シェマタという存在が出てくるわけです」

 

地下生活者が別の額縁を出現させる。そこにはどこか、別の場所に存在する谷のような光景があり、そこには巨大な列車砲が存在していた。

 

「列車砲シェマタ。かつて雷帝が当時のアビドス生徒会と共に建造した、当時どころか今のキヴォトスの基準で考えても超兵器とも言うべき代物。当時は稼働すらままならず、結果としてただの置物となっていました……ですが、今は違う」

 

不敵な笑みを浮かべながら地下生活者は両手を広げる。それは、シェマタの凄さに感激しているのではない。シェマタという便利アイテムを見つけてラッキー、とでも言いたげな歓喜の声であった。

 

「先生はこのシェマタを手に入れようとする私募ファンドとネフティスの思惑を防ぐため、アビドスを守るために動くことになるのです。こんなものをわざわざ欲しがる以上、先生の視点では碌な事に使われないのは明白ですからね……さて、モルペウスよ」

 

先生の行動を観察しながらそう結論付けると、地下生活者は突然モルフォの方を振り向く。地下生活者が振り向き始めたのを見て一気に表情を険しくしながら、モルフォは地下生活者を無言で睨みつける。

 

「慈悲深い小生が最後のチャンスをあげましょう」

 

だが、モルフォの鋭い目つきを地下生活者は上位者の余裕だと言わんばかりに流す。実際、彼の目には何もできないモルフォが悔しそうにこちらを見ていることしかできない、そんな風にしか見えないのだろう。

 

「……チャンス……?」

「ええ、そうです。今、シャーレにいる先生ですが……小生の手でいつでも殺すことができます」

「っ」

「……ふふ、信じられないといった顔ですね。ですが可能です。あなたとて自覚はあるはずですよ。どうやってこの混沌の領域に連れてこられたか」

 

地下生活者の言葉にモルフォは息を呑む。モルフォを気絶させた金髪の少女。地下生活者がスオウと呼んだその少女は、まるで地下生活者の意のままに動くかのようにアビドスに赴き、そこで私募ファンド、ネフティスの手先となってアビドスと対峙していた。おそらくは彼女こそが地下生活者がある意味実体を持たせ現実に関わらせるアバターということなのだろう。そして、彼女によってモルフォはこの空間に運び込まれた。でれば、地下生活者がスオウを操っているように、現実にも何らかの干渉を及ぼせるということなのだろう。

 

「理解したようですね。小生による強制介入が、どれほど強力なものなのか」

「……」

「では改めて問いましょう。夢見モルフォ……あなたが持つモルペウスの力を小生に渡しなさい。これが最後の通告ですよ」

 

それをモルフォに理解させた上で、地下生活者は要求を突きつける。地下生活者の言うことを聞き、従う手駒になれ。その力を、地下生活者の望むように使えと。そうすれば先生は助けてやる。そう言っている……のだろう。だが、

 

(……嘘だな)

 

地下生活者を見据えながら、モルフォは冷静にその言葉の裏を、地下生活者の真意を読み取ろうと試みていた。そんなモルフォを揺さぶろうとするかのように、地下生活者はさらに言葉を続けていく。

 

「悩んでいますか?ですが御安心なさい。決断は一瞬です。あなたが言葉を口にし、この混沌の空間の主である小生がそれを定義する。そうすることでそう紡がれた可能性が生まれ、この空間に共存するのです。あなたはただ、渡すと言うだけでいい。それだけで全てが丸く収まるのです。モルペウスの力ならばそれが可能となるのです」

 

渡せと要求してくる地下生活者。だがモルフォは一瞬目を閉じて溜息を吐くと、

 

「……渡さない」

「……何?」

 

そう、はっきりと告げる。モルフォから拒絶の声を告げられた地下生活者の表情に小さな怒りの色が浮かび上がる。その様子を見ておっ、反応があったと言わんばかりに、モルフォはさらにはっきりと、大きく宣言する。

 

「お前みたいな小悪党に渡すものなんてないってこと。少なくとも、先生の邪魔……いや、先生への直接、間接的……それだけじゃない、先生にあらゆる干渉を起こしかねない行動その全てを禁止する……それぐらい確約させてから約束してもらおうか!」

 

それは、地下生活者が明言していなかった先生への処遇。いかにもモルフォが地下生活者に同調すれば先生が助かる、そう思わせておいて実際は宣言も何もしていないから先生をどうするかは自由。モルフォが後から色々言ったところで、「小生は何も言っていないのに勝手に誤解したそちらが悪い」そう言い張るつもりだったのだ。だが、モルフォにそれを見破られて拒否されてしまう。しかもなんだこの条件は。先生に干渉を起こしかねない行動など無限に渡る。それこそなんでもこじつければそれは先生に影響出るからやれませんよ?なんて言われる始末だ。そのことに気付き、同時に馬鹿にされたことに激高した地下生活者は足を勢いよく振り上げると、

 

「おのれええええ!!こちらが下手に出ていればああああ!!」

「ぐっ!?」

 

モルフォの顔面にそれを突き刺す。ガードすることもできないモルフォは鼻血の流れ始める感触と蹴られた痛みに顔を顰めながら地下生活者を見る。

 

「ふん……まあ、そこまで頑なだというのならば仕方ありません。では見るがいい……あなたの選択のせいで先生が悲痛な末路を迎える所を!」

 

地下生活者が両手を上げた、次の瞬間。轟音が鳴り響き、シャーレのオフィスが大爆発に包まれる。

 

「!!先生!?」

 

窓ガラスが爆発の勢いで吹き飛んでいく。地下生活者の表示させた額縁に映っているのは炎と煙だけだ。オフィスが吹き飛ぶレベルの大爆発に巻き込まれた今、キヴォトスの住人であればまだしも、先生であれば即死は免れない。

 

「何、ちょっとガス爆発を起こして先生を殺すように介入しただけですよ。ですが……」

 

だが、爆発の中で何かが揺れたのを確認して地下生活者は眉を顰める。その視線の先は煙で詳しく見えないが、人影が見えた。煙の中で視界もまともに機能してないのだろう。だが、なんとか出口を見つけたのか頭上に小さな光源を浮かべてオフィスの出口へ向かおうとする。それを見てモルフォは一瞬安堵するも、地下生活者が気付かないわけがないと即座に険しい表情になる。

 

「……あれは……!!」

「成程、強制介入返し……先生が持つシッテムの箱と称されるオーパーツにも強制介入を可能とする力があります。それが小生のものと同一のものなのか、それとも異なるのか……そこは気になるところですが置いておきましょう。確かに一撃目は逃れた、と」

 

その小さな明かりを頭部に浮かべる人物を前に、地下生活者は感心した様子を見せるもそれだけだ。追い込んだ鼠が思ったよりは骨があった。嬉しい誤算、まさにその程度だ。地下生活者が余裕の反応を見せている間にも煙に隠された人影がオフィスの出口へと走り出す。

 

「おっと、逃げるつもりですか?先生……確かに、ガス管のない場所に出てしまえば小生の介入によって生じたガス爆発からは逃れることはできるでしょう。ですが」

 

だが、この程度で自分の力から逃れられると思ったら大間違いだと言わんばかりに地下生活者は先生の無駄な抵抗を嘲笑う。そして地下生活者が指を鳴らした次の瞬間。シャーレのオフィスに更なる大爆発が起こり、人影が呑み込まれて吹き飛んでしまう。

 

「…………」

「イヒヒヒヒ!!これで先生は死んだ!小生の考えたシナリオを覆す鬼札は最早存在しない!!これでこのキャンペーンは小生が制したも同然!!」

 

その人影の被り物が爆発の衝撃で吹き飛び、その体もオフィスの外へと吹き飛んでいく。その様子を唖然となりながら見ることしかできないモルフォ。先程生意気な態度を取ったモルフォの意気消沈した様子がさぞや愉悦を感じるのだろう、先生を葬ったことに勝利の確信を抱きながら、地下生活者は高らかに笑う。

 

「……あれは……そんな、爆発で身体がちぎ……?……………………!……先生……先生が、本当に死んでしまうなんて……!!」

 

ぎゅっと、右手を硬く握りしめるモルフォ。歯ぎしりするほどに強く歯を噛みしめ悔しそうに表情を歪めるモルフォを見て溜飲が下がった地下生活者は、さらに気分を良くしたのか己の計画の一端を語り始める。

 

「―――さて。話をしようではありませんか……それは、明日の出来事です」

「……明日……?」

「先生という邪魔者がいなくなったことで、小生は好きに事象を操作できる。好きに登場人物を動かせる。好きにこの世界を動かせる……この混沌の領域から神の手を介入する小生はまさに頂に位置する存在と言ってもいいでしょう。ではそんな小生が起こすものとは何か?ヒヒ……いざ自由度が上がりすぎてしまえば逆に何をするのか迷ってしまいますが……そうですね」

 

選択肢が豊富すぎるのも迷いものだなと言わんばかりにモルフォの顔をちらちらと見ながら告げる地下生活者。ここは折角だ、モルフォの反応を見てどういうルートを辿るか決めてやろう。ニヤニヤと不快な笑みを隠すことなく、地下生活者は嬉々として告げるのだった。

 

「例えば―――こんなシチュエーションを用意してみるのはどうでしょうかね?」




Q.強制介入ってなんだよ!?
A.グロ版第三章にて説明された地下生活者の能力です、以下強制介入について、その影響と考察、そして原作対策委員会編第三章及びデカグラマトン編第三章のネタバレになります。長いのとネタバレが嫌な方はご注意を






グロ版において、プラナが地下生活者のことを説明している文を和訳した際、「その能力はこの世界の裏側に隠れてこの世界を強制的に操作する、一種の強制介入。」という文章になっています。そのため、世界の操作、即ち事象や人の精神を含めて操作するのが地下生活者の能力である可能性が高いと考えてよいでしょう。つまり地下生活者が全部悪い。

特に人の精神にどの程度干渉しているかどうか?事象を含めた強制的な操作って人の行動とかはどれくらい融通が利くのか?という点においてですが、仮に原作対策委員会編第三章の行動や言動をそのキャラの本性や内面と仮定し、過去のメインストーリーに反映した場合、ユメ関連で暴走するなら原作第二章でカイザー理事にユメについて煽られた時にホシノが暴れずに我慢できたのは何故なのか?という矛盾点が早速生じるわけです。第三章をデフォルトにしちゃうならここでぷっつんしてカイザーの基地を壊滅させて別ルート行っちゃいますからね。最終編のクロコに自分を重ねたところも割と危ないのでは?ともなるわけですし、そもそも最終編ではちゃんと普通に後輩達の声を聞いて止まって一緒に行動したり待ったりしていましたからね。じゃあ第三章でだけそれができなくなった理由は何故なのか?という当然の疑問が出てくるわけです(無論当時と今では状況が違う、というのはありますが……少なくとも原作において意識不明で入院していて先生がいない総会前はともかく、先生が合流した総会終了後においては特に最終編を踏まえると待てないのは何故?という行動の歪みが生じるわけです)。

他にも、スオウがシェマタを動かしてアビドスの校舎を吹き飛ばすと宣言した時も、ゲヘナがシェマタを巡る問題に介入することに対してまともな説明もせず、今アビドスを攻撃しようと動いているシェマタを放置し、ホシノの足止めをしようとするヒナ。彼女もまた、この時の言動を基本としてしまうのなら第二章やエデン条約編みたいな動きができるのか?という点も疑問が生じてしまいます。

というのもこの場面、ホシノがシェマタを壊すために先に列車に乗って移動して峡谷を抜けた(本編中では読み取りにくいですがあらすじの方ではホシノが列車に乗ったことが記載されている)後も先生達はまだ生徒会の谷に残ったままになっています。しかも生徒会の谷から分岐駅に戻り、そこから目的地である大オアシス駅に向かうルートは一つしかないことがアヤネとノノミに明言されているため、駅で二人が戦闘している間に先生達が通過しているなら間違いなくニアミスするはずですがそのシーンはありません。

そのため、少なくとも駅で二人が戦っている間はまだ追いつけていないどころかホシノの後ろにいることがほぼ確定となっていますが、オアシス駅に向かうルートも一つしかないのに先生達はどのタイミングでホシノとヒナを追い抜けたんでしょうね……距離と時間はわからないにしろ二人の戦闘シーンを見るにホシノはさっさと戦闘を切り上げて列車に乗り込んでいることを考えると、距離が縮まっているとは考えにくいわけで……列車内での戦闘に関しては走行中なので当然縮まりませんし。考えられるのは列車を壊された後、徒歩で移動せざるを得なくなった間に後輩達が追い抜いたと考える方が戦闘時間的に自然な気がしますが……いや本当によくスオウがシェマタ撃つ前に間に合いましたね……。ヒナには何が見えていたんだ……

結果的に間に合ったことはさておき、先生から連絡を受けた時に全部知っていると言っておきながら、先生と後輩達に止めることを任せっきりにするのは、全部知ってるにしては行動としていいのかとなる(そもそもシェマタがどこかに特攻するような兵器ならまだしも列車「砲」なので射程内に収まってる一帯全てが危険区域であり、止めるならば本来は一分一秒の勝負になる。なんならこの状態のスオウを放置して本当にアビドスを吹っ飛ばしてしまったら、いくらアビドスが既に寂れた小さな自治区だとしても、雷帝の遺産を使われて一つの学園を吹っ飛ばしたという事実自体ゲヘナにとっても大事になる)ので、この状況で一番シェマタに近づいているはずの人物であるホシノを止め、先生達が追いついてスオウを止める可能性を、雷帝の遺産の危険性を十二分に理解した上で賭けるのは余計にアビドスを危険に晒す行為でしかなく、それだけ先生達を信じていたとしても仮にも雷帝を知っているうえにゲヘナの風紀委員長として組織のトップを務めている身としてどうなのか?ということになってしまいます。

さらにはホシノにシェマタを壊してはいけない理由を説明する際に出てきた言葉が「あの列車砲を一人で破壊するのは無理よ。ほかの方法を探して。」と、先生がヒナに協力を依頼していることや起動しているシェマタを壊したら周囲がまとめて吹っ飛んで危険だから壊すなという理由が一切伝わらない発言しかしておらず、この後もすぐに会話を打ち切って力尽くで止める、と言って戦闘に入ってるので、ホシノ視点だと本当に戦闘前に事情も何も説明もされていないんですよね(一応この時、ホシノもホシノで力でどうにかすると返してはいるのですが、これはシェマタを一人で壊せないという発言に対する返答であり、そもそもホシノ視点だとここで足止めされてる間にスオウがいつシェマタを撃つかわからないので会話している時間すら本当なら惜しい)。

ホシノを止めるにしても結局一人に壊させなければいいだけであり、シャーレに協力を依頼されている以上ゲヘナも無関係ではいられないことやゲヘナの責任問題でもあることを言えば、ホシノが描いてた、自分一人で責任を取って後輩達に迷惑をかけないようにするというプランは机上の空論でしかなかったことが判明して終わるだけの話だったわけで……むしろ過去のメインストーリーなどで描写されている空崎ヒナという人物像に則るのなら、余計に拗れて面倒臭くなる選択肢を嫌うわけなので(ヒナ自身が力で叩き潰す方が楽に終わるならそっちを優先する傾向があるゲヘナ気質だということを加味しても)これくらいの判断はむしろできてない方がおかしくなってしまいます。

例えばヒナは第二章でちゃんと風紀委員会と対策委員会の小競り合いを止めて、カイザーの事を伝えたり、エデン条約編で色々先生に話をしてくれたり調印式で先生の生存を最優先にするために即座に調印式の会場から連れ出す好判断をした(先生も負傷したがこれ自体はどちらかというとアリスクが上手だったと考えるべきで、ツルギもヒナの判断を支持していたので判断自体はおそらく間違ってないはず)わけで……そんなキャラがやれるような行動ではありませんし、少なくとも先生にやったように必要な範囲の説明はちゃんとするはずです。

なので、第三章のあれこれを踏まえて過去のストーリーなどに反映させてしまうと、正直な所ホシノなんか目じゃないレベルでヒナは特に滅茶苦茶になってしまうんですよね……少なくとも第二章で仲裁をしに来たのにヒナからはまともなことを話してもらえずにシロコが殴りかかってしまい、ヒナが後輩たちをぼこぼこにして強引に解決しようとしたらそこに駆けつけたホシノがヒナと戦うことになる展開になってしまうぐらいは話が変わるでしょう。そうなったらカイザーについての情報ももらえないのでその後不幸にもカイザーの基地に不法侵入してしまう流れも全カットになるか、そもそも流れ自体大幅に変わってしまいそうです。

そのため、第三章は登場する人物ほぼ全員が地下生活者の滅茶苦茶な強制介入によって大小の差はあれど精神的に、思考的に、行動も事象を操作する形でそちらに誘導される形で地下生活者に都合のいいように歪められている(特に中国版PVで毎晩悪夢を見せられて精神を第三章開始時点ですり減らしまくっていたことが判明し、著しく干渉を受けていたホシノや、普段と比べて発言の不親切さを筆頭に明らかに行動が歪められきっており、明らかにやらなくてもいい戦いをしたり今言わなくてもいいであろうあれこれを言い、最後こそ地下生活者が背中を押したもののホシノ反転への引き金を事実上引かされたも同然のヒナが顕著であり、次点でおそらくスオウ、そして先生が入院していることを自分で言ってるのに先生を待とうという選択を打ち出したアヤネがその影響を強く受けている可能性あり?)対戦相手と名指しされていた先生(とアロプラ)だけがその影響を受けずに振る舞える状態になっている。そう考えると色々説明がついてくるわけですね。

つまりは全部地下生活者の能力の使い方が全部悪いというわけです。全部が全部の描写が、というわけではないと思いますが、地下生活者が背後に存在している第三章内の描写は第三章内で、それ以外のあれこれはそれ以外でと切り分けておかないと主にキャラの言動やそう考えるに至ったロジックの不自然さを含め、色々と変なことになってしまいますのでそこは読んだり見たりするうえで気を付けていただければなと思います。





話は戻って、この強制介入能力についてデカグラマトン編第三章において、落下する先生に対するプラナ、アロナの台詞として、

プラナ「はい。今は私たちがいます。心配は不要です。シッテムの箱、只今より先生の緊急保護のため―――」
アロナ「強制介入を開始します!」

という台詞が存在していることから、「強制介入」という能力はそういう言いまわしというよりシッテムの箱が持つ一つの能力として解釈できます(この時は後の描写やオウルの台詞などから落下速度を遅くしようとしていた……のでしょうか?)

なので、作中で先生が地下生活者の妨害に対抗できていた原理は強制介入に強制介入をぶつけた結果なのではないか?という風に考えたのが本編となります。
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