転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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残った者達と駆け付けた者達

 

「……な、なんだあれは……!?」

「戦闘……?いやなにこれ」

 

夜明け頃。アビドス高等学校に近づくヘリがあった。それに搭乗していた四人の生徒達は大量の爆発で吹き飛び穴だらけになった無残な校庭を目の当たりにしていた。

 

「皆、何かあったのかもしれない……あそこなら」

「ええ、あそこなら着陸できるはずです」

 

だが、搭乗者たちはすぐに切り替えて、ヘリを着陸できるスペースにヘリを付ける。すると、校舎の中からアヤネとセリカが慌てて出てくる。

 

「アヤネちゃん、あのヘリ……」

「……うん、シャーレのヘリ……じゃあ……!」

 

二人の顔に期待の色が浮かぶと同時、ヘリの扉が開く。そして中から出てきたのは、

 

「「先生!!」」

「アヤネ!セリカ!」

 

なんと先生であった。先生が無事に来てくれたことに、二人はやっと安心したように胸を撫で下ろす。だが、この場に現れたのは先生だけではない。先生の後ろから、四人の少女達が降りてくる。

 

「?後ろの方達は―――」

「RABBIT小隊!?なんで四人がここに?っていうかサキちゃん、その体……」

「ああ……気にするな。ガス爆発に呑まれただけだ……ちょっとした火傷だし、まあその内治るだろ」

 

なんと、先生と一緒にやってきたのはRABBIT小隊の四人だった。だが、何故彼女達が先生と一緒にいるのか。アヤネとセリカが困惑していると、校舎の中からさらにムツキとハルカが現れる。

 

「ねえねえ、どうしたのー?」

「あ……先生……!?」

「ムツキ!ハルカ!なんでここに?」

「なんでって……まあ色々?というか先生無事だったんだね?」

「うん、RABBIT小隊のおかげでね。でも……あれ?ホシノとシロコとノノミは?それに二人がいるってことは……アルとカヨコは?」

「……うーん、どっから説明した方がいいかな?」

 

便利屋68の面々がいることに先生は困惑するも、すぐにある疑問に気付く。ホシノ達やアル達がいないのはどういうことなのかと。ムツキは少し困ったようにアヤネと顔を見合わせていると、ミヤコが口を開く。

 

「……先生、なんか色々バタバタしてるようですし、お互いわからないことも多いみたいなので、中で話をした方がいいのではないでしょうか?サキ、火傷の具合はどうですか?」

「まあ、一応大丈夫と言えば大丈夫だが、火傷した部分が少しヒリヒリしてはいるな」

「!そうだね……サキも休ませた方がいいだろうし、皆もそれでいい?」

「あ、はい!」

 

そこまで大きな怪我ではないが、ガス爆発の喰らい方が悪かったのだろう、そのせいでサキは皮膚の表面を火傷するような形になっていた。とはいえ本人は割と平気そうで、どちらかというと中で話をするための方便であり、それを理解したアヤネ達もすぐに五人を連れて校内へ入っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことが……」

 

自身が行方不明となっている間に起こった出来事を聞き、申し訳なさそうな表情を見せる先生。シャーレが爆発した後、スマートフォンもその時に壊れてしまい、シッテムの箱も最初の爆発を防いだ影響で電源が一時落ちてしまっており、連絡を取ることができなかった。だがその間に事態は大きく動いてしまっており、ノノミは攫われ、既にホシノとシロコ、アルとカヨコの四人は総会に出発してしまっていた。不幸中の幸いは、四人は少なくとも戦闘を回避して総会までたどり着けそうということか。

 

「……いや待て、あの校庭はなんだったんだ?」

「派手にやってたみたいだけど、別にドンパチするような流れじゃなくない?」

「……あ、それは……その」

「カモフラージュ?」

 

となると、かなり平和的に話し合いは進んだように見える。とても、校庭がボコボコになるようなことにはならないのに、どうしてあんなことになったのかとモエが疑問をぶつける。するとハルカが気まずそうに口を開き始め、それを見かねたムツキが説明を始める。

 

「カモフラージュ……?」

「要するにアルちゃん達が怪しまれないようにするための手土産みたいな?だから爆弾で校庭を吹き飛ばして、私達もちょっとボロボロにして、なんか頭数四人ズタボロで倒れてます!みたいな写真撮ってもらえば……便利屋68は対策委員会を全員ぶちのめしてやってきました!っていう証拠が出来上がっちゃう的な?」

「……効果あるのか?それ……」

「まあ、アヤネちゃん達は全面的に出してるから多分?」

 

写真の方はともかく、債権を持っているなら便利屋68は立場としては私募ファンド側になるのだろう。総会の出席者なだけでなく、邪魔者の対策委員会を予め始末したとあれば、とても彼女達を蔑ろにするわけにもいかないだろう。ともかく、四人の方もこれでより盤石になったと言えるだろう。そして先生達が校庭に起こった異変について把握したところで、今度はアヤネ達の方が先生に質問を始める。

 

「えっと、こちらからも聞いていいでしょうか?先生はシャーレが爆発した後、一体何を……?」

「ああ、今回の総会についてシャーレで調べていたんだ。そしたら……」

「シャーレでいきなり爆発が起こったんです」

 

シャーレで最初の爆発が起こった時。シャーレの中で過ごしていたRABBIT小隊は即座に行動を開始していた。夜にシャーレにいる時は半分ぐらいくつろいでいるような彼女達だが、一応の名目は夜の警備を請け負う代わりにシャーレを拠点に使用してもよいという契約を結んでいるのだ。こういう事態に真っ先に対応するのは当然彼女達だ。

 

「爆破の音や振動から、先生がいるフロアだとすぐに気付き、先生の救出を行うことにしました」

「そしたらガスの臭いが酷いのなんの。ありゃガス漏れなりなんなりが起こってたね」

「で、先生を助けたのはいいんだがな……先生をオフィスから出した後、ひとまずガス漏れを抑えようとしたんだが……二回目の爆発に巻き込まれてな。それでこの様ってわけさ」

 

異変にすぐに気付き、迅速な先生の救出を行ったRABBIT小隊。彼女達の手によって先生は見事に救出され、難を逃れたのだ。その後、異変を止めようとサキが対応をしようとしたのだが、第二の爆発が発生。それにサキが巻き込まれてしまったのだ。

 

「そのせいでシャーレ旧庁舎の耐久性にも影響が出てきたと判断し……一先ずガス爆発への対処は諦めて現場からの離脱を優先しました、その後、完全に爆発が収まり、安全が確保できたタイミングでヘリを拝借し、先生をこちらへ連れてきたんです」

「へー……いやそれなら昨日の間に連絡は取れたんじゃないの?」

 

その結果、脱出の方を優先しシャーレから脱出した五人。それから少し時間を置いてヘリを使い、アビドスに到着したのがこの時間帯であった。だが、それならばなぜ昨日の内に来れなかったのかというムツキの疑問の尤もな話だ。だが、その疑問にはミヤコが答える。

 

「私達が止めました。あのガス爆発、先生のいるフロアだけがピンポイントで狙われるのはどうも不自然です。ガス爆発が起こるとしたらもっと居住区とかそこらへんになる可能性が高いので……そこで私達は、今回のシャーレ爆破は何者かの計画性のある犯行だと考えました。先生の事情も知っていましたが、一日ならば余裕があると判断し、昨日一日は先生を狙う存在……主に私募ファンドとネフティスについて探りを入れ、調査を行っていました。その結果……」

 

ミヤコは思い出す。昨日、シャーレが爆破された後に旧庁舎をヴァルキューレの生徒達が封鎖、捜査を行っているのを尻目に、先生をモエとミユに任せてサキと共に調査を行っていたのだ。とはいえ、捜査は難航。何の手がかりも手に入らなかったのだ。

 

「……ある情報を受け取りました」

「情報?」

 

シャーレ爆破の真犯人は地下生活者だ。彼は強制介入という超常の力でこの爆破を引き起こしているため、常識的な調査を行っているミヤコ達では真実に辿り着くことは不可能ではあった。だが、真実に辿り着くことはできなくても、調べれば関連する形で怪しい存在に至ることはできる。そしてその情報を手渡してくれたのは、

 

『……怪しいのはカイザーだ』

『!ユキノ先輩……?』

 

調査が手詰まりになってしまい、これからどうするのか四人で話をしている所に現れたユキノであった。彼女からカイザーを調べろという助言を受けて調べたところ、先生から教えてもらった私募ファンドとネフティス、総会に関連するこの一連の流れの中にカイザーを総括する存在、プレジデントが関わってくることが明らかになったのだ。

 

「FOX小隊の皆も……折角なら一緒に来てくれてもよかったのにな」

「先輩達にも先輩達の事情があるのでしょう。手を貸してくれただけでもありがたいことです。おかげでカイザーの関与に気付けましたから」

「じゃあ、シャーレを爆破させたのってカイザーなの!?」

「まあ、そこはヴァルキューレが調べるとは思いますが……カイザーはシャーレから先生を攫った実績があるので。今更ガス爆発を装って先生を事故死させようとするのもあり得ない話ではないのでしょう」

 

その結果、先生達はある最悪のシナリオに辿り着いていた。発端はカイザーがアビドスの債権を売り払ったこと。だが、それをカイザーはわざとネフティスに買い占めさせたのだ。そしてアビドスから砂漠横断鉄道の権利を取り上げ、ネフティスだけのものに戻した上で、カイザーはネフティスと改めてその契約を行う。それによってカイザーはシェマタという新たな超兵器の使用権を得る。これこそがカイザーの企みなのだろうと。

 

「……けど、カイザーがそんな素直にネフティスと一緒に……なんてなる?そもそもネフティス自体が総取りしようとしてるのに」

「うん……裏で繋がってるから互いに協力的だと思っていたんだけど、この感じだと……」

 

だが、アヤネ達の話を聞いたことで、事態はもっと酷くなっていることを先生とRABBIT小隊は認識せざるを得なくなっていた。

 

「ネフティスがシェマタを独占しようとしているのであれば、当然いつかはバレます。いえ、むしろサンクトゥムタワーやウトナピシュティムの本船の確保に失敗したカイザーが、シェマタの扱いを他の企業に委ねるという選択は取りにくいはず……そうなると」

「おっとぉ?三つ巴かと思ってたら四つ巴になってきた感じ?」

 

私募ファンドはネフティスと協力しようとしているかもしれないが、ネフティスが裏切ることが確定した以上、私募ファンドもネフティスに対抗することになるだろう。そんな二勢力にカイザーもシェマタの独占を狙おうとしている以上、これも第三勢力と含めてもいいだろう。そしてノノミを助け、シェマタを企業の手に渡さまいとする対策委員会。そしてこの場にいる者達は誰も把握していないが外野から個人の思惑を進める地下生活者も含め、四つ巴どころか実際は五つ巴なのだが。それだけ多くの勢力が各々の目的で動き回っているのだ。

 

「ちょっといろんな思惑がありすぎてぐちゃぐちゃしてきたんだけど……なんでこう、矢印色々伸びてんのよ……!素直に総会だけの話で終わらせてくれないの……?」

「そんな単純な問題で済ませたかったですね本当にね……」

「……それで先生、どうするんだ?」

 

情報がやっと出揃ったところで、その場にいた全員が先生を見る。先生は少し考えていたが、

 

「私達も総会に行ってホシノ達に合流しよう」

「うーん、でもそれ思いっきり攻撃されない?」

 

ここは自分達も総会に行こうと言い出す。四人はカイザーの事を知らない、この状態で総会に出席した場合、カイザーに足を掬われる可能性だってあるのだ。しかし、ムツキの言うことも尤もだ。だが、

 

「いえ、問題ありません」

「これでも荒事は慣れているからな。先生が指揮するなら、一点突破するだけならばどうにかなるだろう」

「人数も揃ってるし、いけるんじゃない?」

「が、頑張るね……」

 

RABBIT小隊がこの程度障害にもならないと力強く返事を返す。そんな四人の姿を見て先生も頷くと、

 

「行こう、私達もホシノ達の所にね」

 

そう、はっきりと宣言するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠々と往来を歩いていた便利屋68と覆面水着団。交戦する必要もなく、悠々と敵の包囲網を突破して総会へ向かえばいいということもあり、人目のない所でコンビニで購入した朝食を取りながら四人は作戦を練り直していた。

 

「じゃあ、総会の会場に着いたらおじさんが出席するとして……」

「ノノミを助けるのは私達の役目、ってわけね。それとも私も出席した方がいいのかしら?」

「いや、社長は出席しなくていいんじゃない?アビドスと繋がってる時点で皆警戒するだろうし」

「……というか先に潜入してノノミを助けちゃえばいいんじゃ」

 

総会にホシノが出席するのは決定事項。残りはノノミの救出を目論む。しかし、どのタイミングでノノミを助けに行くかが論点となっていた。それに対してシロコは折角総会の会場に先んじて辿り着けるのだから総会が始まる前に潜入してノノミを助ければいいのではないかという意見を出していた。

 

「まあ、それができるなら確かにそれでもいいんだけど……ノノミが攫われた場所、わかってるの?」

「ん……それを調べるためにも早く潜入して調べる」

「私もそれでいいと思うけど……カヨコは違うの?」

「総会が始まれば……多分だけどネフティスはノノミを会場に連れていくと思う」

「え、そうなの?」

 

アルもその意見に賛同する中、カヨコは総会が始まるまで待った方がいいのかもしれないという意見を出す。シロコとアルが驚いたようにカヨコを見ていたが、ホシノは合点がいったように頷く。

 

「成程ね、確かにノノミちゃんをすぐ傍に置いておけばこっちを牽制できるもんね」

「ネフティスは私募ファンドも裏切る可能性が高い……その状態でノノミを別にしておいたら私募ファンドがノノミを狙う可能性もある。ネフティスからすればこんな扱いをする以上色々あるかもしれないけど、それでも令嬢なのは変わらないからね。離すのはあまりにリスクが高すぎるから近くにおいておくしかない」

「成程……そういうことね……」

「ん……理解した」

 

カヨコの説明にアルとシロコも感心したように頷く。ネフティスは対策委員会を思い通りに動かすために、ノノミを人質に取った。しかし、その弊害が徐々に出てきているのだ。

 

「……?待って、皆ちょっとこっちに」

 

と、ここでホシノが遠目に誰かがいることに気付いたのか、全員を路地裏に押し込む。そして自身も入って顔を出すと、そこには多くのオートマタが武器を持って歩いていた。

 

「あれは……カイザー!?なんでカイザーがここにいるのよ!?」

「なんかちょっと強そうな奴もいるねぇ……元PMCの理事みたいなお偉いさんかな?」

「多分ね、軍事部門の実戦に強い奴かも」

 

それがカイザーのオートマタだと気付き、驚きの表情を浮かべるアル。そしてそれを率いるのは、彼女達は知らない人物、ジェネラルであった。

 

「……成程ねぇ、カイザーがアビドスの債権を売り払ったのはシェマタをネフティスから奪い取りたいからだったんだね」

「面倒な事になったね。時間までに到着できるからゆっくりしてもいいとは思ってたけど、カイザーがいるとなると話が変わってくる……カイザーなら平気でネフティスも私募ファンドも切り捨てるだろうし」

「そうなるとノノミの無事もわからないんじゃ……」

「それもあるけど、私募ファンドとネフティス以上に総会が終わった後の行動が予測がつかない……連邦生徒会を制圧したりとかやってくるし……」

「……うーん、そうなると……アルちゃんとカヨコちゃんには悪いけど、ここでカイザーは潰すしかないか」

 

ネフティスと私募ファンドにシェマタを渡すのも問題ではあるが、それ以上に問題なのはカイザーだ。これまでのカイザーの負の実績を考えれば、絶対に奴らにシェマタを渡すわけにはいかない。そして、カイザーの戦力をフリーにするわけにもいかないのだ。となれば、ただ雇われただけの他の傭兵たちはともかく、ここでジェネラル達は後々のためにも潰しておく必要性がある。と、ホシノの隣でシロコが覆面を外してしまう

 

「……」

「シロコちゃん?」

「ん、カイザーを襲う。そしてそうなったらもう覆面を付けている意味はない」

「いやまぁ、そうだけどさ……アルちゃん達はこれでいいの?」

「あら、別に構わないわよ?カイザーにまた喧嘩を売って暴れまわり、堂々と総会に行くってのも随分と荒々しくていいじゃない。正直ここまで、ちょっと静かでお上品すぎたって思ってたのよ」

「……やれやれ。ま、カイザーをここで叩いておくのは一理あるかもね。ただ、ここでカイザーを叩いたら当然正体がばれる。そうなれば後ろから他の奴らが来るけど」

「関係ないわ!私達が負けるわけないでしょ!!」

 

アルも待ってましたと言わんばかりにどこかウキウキした様子で笑う。これよこれ、こうやって派手にやるのがアウトローなのよと言わんばかりにエンジンがかかり始めたアルを見て、カヨコも呆れたように肩を竦める。ホシノも苦笑しながら覆面を外すと、

 

「よーし、それじゃあ総会前にお掃除しちゃおっか。今日はおじさん……タンクは廃業でいっちゃうよ~」

「ん、私はホシノ先輩のやりたいように任せる。そこについていく」

「あら、ハルカがいないからって気にする必要はないわよ?こんな奴らに今更苦戦するほど、私達は柔じゃないわ!!」

「……ここからは時間との戦い。カイザーを全滅させて、そのまま総会の会場まで移動する……いくよ」

 

四人はカイザーへ向かって襲い掛かるのだった。

 

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