転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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総会と顛末

 

「ありがとう、助かったよ。だけど、ネル達がどうしてここに……?」

 

戦闘が終了し、先生達を食い止めようとしていた戦力は全て蹴散らされていた。その後、これ以上巻き込まれないように途中で見つけた人目につかない安全そうな建物にハイランダーの生徒達を待機させ、総会に向かう先生達にネル達も加わる形で一緒に移動することになったのだが、その中で先生はどうしてネル達がここにいるのか気になり質問する。

 

「ああ……つってもどこから説明するべきか……おい先生、朝霧スオウって奴知ってるか?多分奴もアビドスに来ているはずだ。さっきの連中の中にはいなかったけどな」

「!?どうしてスオウさんのことを……?」

「んあ?知ってんのか。なら話が―――」

「あいつ、ノノミ先輩を攫ったのよ!そのせいでノノミ先輩はネフティスの人質にされていて……」

「「「「「……」」」」」

 

とりあえずミレニアムで何があったのかを話そうとするが、その直後にセリカの放った言葉に五人の表情がスン……と静まり返ってしまう。

 

「え?え?な、何?」

「……あの、どうかしたんですか?」

「……あ、ああ……なんていうか……スオウってやつはなりふり構わないとんでもない奴だなって……」

「朝霧スオウ。奴はモルフォを攫いました。現在モルフォは居場所すら見つかっていません」

「「え!?」」

 

なんとなく頭を痛めているかのようにも見えるネル達。本当に何があったのかとミヤコが質問すると、トキが不満そうな表情でスオウがやらかした行動を明らかにする。セリカとアヤネが絶句し、他の面々も目を見開く。だが、そんな中でいまいち腑に落ちない、といった様子でモエが口を開く。

 

「うーん、まぁ誘拐は確かにあれだけどさ?それで潜入までやっちゃうこと?いやまぁスオウが関わってる案件は結構やばいから最終的に動いて正解だったかもだけど、ここまで拗れたこっちと違ってぶっちゃけモルフォの方は直接乗り込んで助けた方が早そうだけど」

「はい、総会の事を知ったのは潜入した後でした。ただ……モルフォの反応が消えたのがアビドス砂漠なんです」

「んん?なんか雲行き怪しくなってきたね?」

 

アビドスで行方不明になったモルフォ。これがただの誘拐だったら直接助けに行けば終わりだ。C&Cでもいいし、ゲーム開発部が乗り込んでメッタメタにやってしまえばいい。しかし、完全に行方を眩ませてしまった以上、彼女を探すところから始める必要があったのだ。それも、行方がわからなくなった場所がアビドス砂漠。さすがにそんなことはしないだろうとは思いつつも、嫌でも警戒せざるを得ない。

 

「んで、ちょっと調べてたんだよ。一回正面から行ったらハイランダーにシラ切られたからな、だったら潜入してなんでわざわざこんなことしたのか調べて、ある程度情報集まって必要になったら先生にも手伝ってもらおうと思ってたんだが……シャーレが吹っ飛んだだろ?」

「あー……」

「……アスナ先輩、やたらメッセージを送っていたけど」

「うん!先生なら大丈夫だって思ってたから送ってたんだけど、全然反応ないからさー」

「ご、ごめんね……」

 

そんな中で起こったシャーレの爆破と、それに伴う先生への連絡不可能な状況。その状況に追い込まれてしまったせいでミレニアムの方でも先生に頼れず自力で動かざるを得なくなってしまっていたようだ。

 

「ですが、私達もただ指を咥えていたわけではありません。ハイランダーの方で今回の総会と、総会が終わったらすぐにアビドスで線路を工事するという情報を聞きつけ、その人員として入る数人には眠っていただき成り代わりました」

「そう、モルフォちゃんが消えたアビドスでハイランダーが何かをしていて、しかも誘拐した張本人の朝霧スオウが関わっている……明らかに怪しいと思いませんか?」

「た、確かに……!!」

 

C&Cの説明にハッとなった様子で頷くハルカ。しかし、その話を聞いていたアヤネの表情はあまり浮かない。

 

「確かに、点と点が繋がってはいますが……だとしたら何故モルフォちゃんは攫われたのでしょうか?ノノミ先輩の場合は私達への脅しなのでわかりますが……今回の総会に際して、モルフォちゃんを攫うメリットが一切ありません」

「ええ、そればかりか完全に藪蛇……こうしてミレニアムがこの総会に関与してくる事態に発展しています」

「だからこそ、スオウを捕まえる必要がある。誰もわからないなら本人に吐かせるしかない」

「確かに、それが一番か」

 

アヤネだけでなくミヤコも同様の疑問を持っていたようだ。とはいえ、そこはカリン達も理解していたからこそ零した言葉に、サキも納得したように頷く。

 

「それで……トキ、ゲーム開発部の皆は大丈夫なの?モルフォがいなくなって心配しているんじゃ……」

「ええ。皆さん心配していますよ。なので確実にスオウを追い詰めるためにゲーム開発部の皆さんにも潜入してもらっています。とはいえ、その調整のために昨日一日ほどセミナーは色々手回しをして手が空いていませんでしたが」

「……だからホシノ先輩がミレニアムにシェマタの事を伝えようとしても連絡が取れなかったんですね……」

 

おそらく総会の事を知ったのはシャーレが爆破された後だったのだろう。セミナーだけでなくリオらも忙しそうにしていたし、ネルも潜入中であれば連絡が取りようがない。成程、だからアビドスからの連絡が届かなかったのかとアヤネとセリカが納得していると、

 

「……?シェマタ?」

 

突然零されたシェマタというワードに今度はC&Cの方が首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは……?」

「ここは旧庁舎の中の部屋ですね。ここならば人目からは逃れられます」

 

四人のヘルメット団に連れられ、ホシノ達は旧庁舎の中に入り込んでいた。掃除が行き届いてない物置と化した部屋の中で身を隠し、周囲が安全であることを確認すると共に四人の少女達がヘルメットを外す。

 

「!?あなた達、確かミレニアムの……」

 

そこにいたのは、モモイ、ミドリ、ユズ、ケイの四人。持っていた武器や全く敵意を見せずここまで案内されたことから予想はしていたが、実際にその姿を見てアルが驚いたような表情を浮かべる。

 

「実は……」

 

そして、C&Cが先生達にしたのと同じことをケイが説明していく。そして、

 

「私達はこの騒動を利用してスオウを捕まえ、モルフォの居場所を吐かせようと考えています」

「そのために私募ファンドに雇われてるヘルメット団の中に紛れ込ませてもらいました……」

 

ケイとユズの話を聞き、なんでミレニアムの生徒達がここにいるのか理解するホシノ達。しかし同時に、並行して行われていたもう一つの事件を知り、シロコは思わず天を仰ぐ。

 

「……うへ~、ノノミちゃんだけじゃなくてモルフォちゃんも攫っちゃうのはちょっとおイタが過ぎるんじゃないのかなぁ……?そんなことしたらもう一人のシロコちゃんも黙って……そうだ。もう一人のシロコちゃんはどうしたの?」

「えっと……顔色変えて探しに行くってどこかに行ったっきりで……」

「多分、攫ったのがスオウだってことも知らないと思います……スマホも部屋に置きっぱなしだったのか吹き飛んで連絡取れませんし」

「おおう……」

 

モルフォが攫われたのならばシロコ*テラーだって黙ってはいないはずだ。彼女もアビドスに来てくれれば戦力的にはかなりプラスになると思うのだが、どうやらそうは上手くいかないようだ。

 

「それで、これからどうするの?」

「ん……ホシノ先輩、この子達がいるなら今ならミレニアムにも連絡が……」

「あ……確かにそうだね」

 

総会が始まるまでまだある程度時間が残っている。その間、ここで待機するのかそれとも何かすることがあるのか。考え始めたところでシロコの提案を受けてホシノがスマホを手に取る。すると、

 

『―――もしもし』

 

できれば出発前に出てほしかった相手が今度はしっかりと出てくるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

総会の会場。プレジデントがどんと座って構え、その周囲を護衛と思われるカイザーPMCの兵達がスオウと共に控えていた。スオウの近くにはノノミの姿もあり、身動きが取れない。そこから離れたところに座らされているのは私募ファンドとネフティスの代表たち。

 

「……」

 

扉が勢いよく開かれ、その場にいた全員の視線がそちらへと向けられる。そこにはホシノ達四人の姿があった。

 

「!ホシノ先輩!シロコちゃん!」

「ノノミ……よかった、無事そうで」

「時間、もうすぐだよね……で、何でカイザーがここにいるのかな」

 

部屋の中に入りつつ、ノノミの無事を確認する。まだスオウに捕らえられたままだが、目に見えて大きな怪我をしている様子は見えない。続けて、部屋の中でふんぞり返っているプレジデントを見る。途中でジェネラルを倒してきたのもあってある程度は予想していたが、やはりカイザーも噛んでいたらしい。

 

「それは私が私募ファンドの代表だからだ。何か問題でも?」

「いいや?つまり私募ファンドの債権はカイザーに返ってきたってことでいい?」

「その認識で問題ない」

 

自分が代表であると宣言するプレジデントの言葉を聞いて納得するホシノ達。そしてプレジデントが時計を見ると、時計の針が正午を差す。

 

「さて、時間になったが……答えを聞こうじゃないか。アビドス生徒会」

「「……」」

 

プレジデントがホシノを見る。その場にいた全員の視線がホシノへ向けられ、ノノミと執事が不安そうな表情を見せる。この状況でホシノがシェマタを手放せば、それはカイザーのものとなる。だが、権利を主張すればカイザーはすぐに実力行使に出るだろう。ノノミを人質にされた状況でそんな答えを取れるのか。だが、ホシノは突然首をわざとらしく傾げながらプレジデントを見る。

 

「……ねえ、総会が始まってるんだよね?」

「そうだが?まさか、時間を稼げば先生が来ると本気で思っているのかね?」

「いやぁ……おじさんが聞きたいのはなんで無関係の人達がこんなにいるのかなって」

「……何?」

 

そして告げられたホシノの突然の言葉に、プレジデントも意味がわからず聞き返してしまう。プレジデントは手順を経て私募ファンドを吸収、実質的に債権を回収したのだ。そのため私募ファンドから引き継いで出席する権利はある。先程のホシノとの問答もそれを示しており、当然彼女だって理解しているはずだ。

 

(……こいつだけではない。一人だけならばともかく、四人全員が間違っていないかのように振る舞っているのはおかしい)

 

だというのに、ホシノだけではなくシロコ、アル、カヨコの三人もホシノの言葉にまるで違和感を感じていない。これはさすがに異常だ。何か、何かがこの質問に隠されている。まずはそれを探らないといけない。猛烈に嫌な予感を感じながら、プレジデントは続きを促し始める。

 

「……何を言っている?世迷言ならば……」

「うーん、そのままの意味なんだけど。いやネフティスはわかるよ?砂漠横断鉄道の権利についても今日は話さないといけないからね。まあそれは総会が終わった後の交渉になりそうだけど」

「え?」

 

ホシノの次なる言葉にプレジデントだけでなく執事も困惑してしまう。困惑の色は当然それ以外にも伝播していく。最初からこの部屋にいた全員が事態を理解できないでいる中、

 

「……そもそも、なんで無関係になっているんだ?まさか……」

 

一人の獣人の男がその意味に気付きスマホを取り出す。そしてあるデータを確認したところで、その獣人は驚いたようにスマホを手放してしまう。スマホが地面に落ちた音に四人以外の全員の視線が向けられる。一体何に気付いたというのか。獣人は、震える声である事実を口にする。

 

「債権が……」

「……債権が?」

「債権が、消えてる……」

「……何……!?」

 

獣人の口にした衝撃の事実に、他の面々も慌ててスマホやタブレットを取り出す。プレジデントもタブレットを傍に控えさせていたオートマタから受け取ると、それを確認する。

 

「バカな!!アビドスの借金が消えている!?」

 

そこには、アビドスのカイザーへの借金が全て返済されていることを示す記録が表記されていた。

 

「さて、やっと理解したようね?この総会は債権を持つ人しか出席できないのよ?さっきも言った通りその後の予定が詰まってるの。ネフティス以外は退席願おうかしら!」

「っ……何をした!?それに……退席するのなら貴様たちとて―――」

 

思わず怒気を含ませながらプレジデントがアルの得意げな声に向かって吠える。スオウの目が徐々に細められていく中、カヨコが自分達の債権の画面を表示させる。

 

「私達、便利屋68はアビドス高等学校の債権を持っている。満足?」

「な……」

「あれは……確かに我々も債権を全て買い占めれたわけではありませんが、まさかそれが便利屋68に……」

「と、いうことは……この総会はアビドス生徒会と便利屋68だけが出席するものになるのか?」

 

ざわめく私募ファンドたちだが、徐々に状況は呑み込めてくる。アビドスは何らかの方法を使い、借金を返済したのだ。それによって債権によって生まれていた繋がりは全て断ち切られてしまい、私募ファンドとカイザーは思い切り梯子を外される結果となる。だが、ありえない。ありえないとプレジデントは首を横に振る。

 

「どうやってそれだけの金を捻出した……!?お前たちにそんな暇はなかったはずだ!!」

「……ウトナピシュティムの本船」

「何……?」

 

下手をすれば掴みかからんという勢いでホシノに食って掛かるプレジデント。しかし、カヨコがぽつりと、かつてカイザーが探していた宇宙船の名を口にする。

 

「ウトナピシュティムの本船をミレニアムに破壊してもらった後、もし似たようなやばいのがあったらまた壊してもらうっていう約束をしていてねぇ?」

「な、なんだと……まさか!?」

「うん。列車砲シェマタの破壊を依頼したんだよね。で、そのためにこっちで色々準備する必要があってねぇ~……リオちゃんと話をして、七億ぐらいミレニアムから前借したんだよねぇ……」

「ん、即金で半分出せるぐらい稼げるカジノは偉大」

「それは言わなくていいんだよシロコちゃん」

「な、な……前借、だと……では!?」

『―――ええ、そうよ』

 

遂にプレジデントも全てを理解する。そして、全てを答え合わせするかのようにホログラムが現れる。そこに映っていたのは、セミナー会長、調月リオ。気持ち少しだけやつれているように見えるが、紛れもない本人の姿がそこにはあった。

 

『アビドス高等学校、債権を購入した便利屋68……そして新たな債権者となったミレニアム……この三つで総会は執り行わせてもらうわ。といっても、ミレニアムとしてはこの問題について語ることは何もないのだけれど』

「便利屋68としても何の異議もないわ」

「き、ききき……貴様ら……!!」

 

つまりはこうだ。ゲーム開発部と合流した際にリオに取り次いでもらい、シェマタの事を知ったセミナーの協力を経てアビドスは新たな一手を打ったのだ。それは、ミレニアムから借金をし、その金で今ある債権を全て返済すること。それによって私募ファンドとネフティスの債権を全て返済して総会参加の権利を失わせた上に、ミレニアムに対して借金をした形になったことで、ミレニアムはアビドスに対して新たな債権を発行することになったのだ。これにより、邪魔者を一掃したうえでミレニアムと便利屋68だけが大手を振って総会に参加することが可能となる。

 

「じゃあ総会は終わり。次は砂漠横断鉄道の権利だけど」

「!スオウ!十六夜ノノミを―――!?」

 

砂漠横断鉄道の権利。それを聞いて、プレジデントの脳裏に逆転の手段が思い浮かぶ。そうだ、まだ十六夜ノノミという人質はこちらにあるのだ。すぐにスオウに指示を出そうとしたその時。窓ガラスをぶち抜いて中に飛び込んできた小さな影が、ホシノを睨みつけながらノノミを手元へ引き寄せようとするスオウの目の前に迫る。

 

「―――よう。会いたかったぜ、朝霧スオウ……!!」

「っ!?なんでここに……があっ!!」

 

そこにいたのは、なんとネルであった。窓ガラスをぶち破ってスオウの目の前に着地したネルは、そのままスオウの顎を頭突きで打ち上げる。それによって怯んだ瞬間に両手のサブマシンガンを繋ぐチェーンでスオウの首を絞めながら左右の銃口を腹部へと向け、一斉に弾丸を叩き込む。

 

「ぐああああああああ!?」

「なっ……ええい、なんでもいい!こいつらを潰せ!!」

 

完璧な不意打ちによって抵抗する暇すら与えられずに沈黙するスオウ。さらにスオウがネルによって黙らされている間にノノミの傍に降り立ったアスナがノノミを抱えると同時、プレジデントが用意していた兵達に指示を出し、生徒達を攻撃してくる。だが、開いた窓ガラスから次々とアカネ、カリン、トキが入り込んでくると同時に戦闘を開始。ノノミを抱えたアスナがホシノ達の元まで移動してくると、

 

「はいノノミちゃん!バッチリ助けたよ!」

「うへへ、ありがとうねぇアスナちゃん。いやぁネルちゃんもやっぱり強いねぇ」

「あはは、不意打ち完璧だったもんね!」

「はっ、真正面からやっても結果はおんなじだったけどな!」

 

ネルは気絶させたスオウをその場に転がすと、室内は激しい銃撃戦になる。私募ファンドの代表たちが頭を抱えるようにその場にうつ伏せになっていく中、外からも足音と銃撃音が聞こえてくる。

 

「!?外でも銃撃戦だと!?くそっ、先生か!!」

 

プレジデントが忌々しそうに吐き捨てる。実際、総会の会場の外では先生によって指揮されたムツキ達とRABBIT小隊、そこに合流したゲーム開発部が会場に入り込もうとしてくる連中を食い止めていた。そして、二つの戦場が静かになる。

 

「……ぐ……貴様ら……これで終わったと思うな……アビドスめ、我がカイザーの総力を挙げてやる……全ての戦力をこのアビドスに集結させて―――がっ」

「……あ、うるさいから黙らせちゃったけど言わせといた方が良かったのかな」

「別にいいんじゃない?どうせ大したこと言わなさそうだし」

 

負け惜しみを口にするプレジデント。しかし、頭部にシロコが弾丸を叩き込んだことで彼も沈黙してしまう。

 

「……それにしても助かったよネルちゃん。他の皆もねー……いやーまさかこうなるとは思わなかったよ」

「ついでだついで。それよりもあたしらの方はスオウ……待て!奴はどこだ!」

 

ホシノにひらひらと手を振りながらスオウが倒れている場所を見る。しかし、そこにはスオウが既にいなくなっていた。と、

 

「!リーダー、多分上!!」

「屋上……まさか、ヘリか!?」

「とりあえず眼帯ちゃんを自由にすると何するかわかんないから捕まえた方がよさそうだね?話は後でもいいでしょ?ネフティスのお偉いさん?」

「は、はい……彼女を追いかけてください……」

 

アスナが天井を指差したことで砂漠横断鉄道については一旦後回しにしてホシノ達は急いで屋上へと向かおうとする。その時、スオウは息を切らしながら屋上へ続く扉に手をかけていた。

 

「くそっ……まさか、こうなるなんて……だが、カードは……私の手元にある。これさえあれば、これさえあればシェマタを……!私が―――」

 

そして、扉を開き屋上に足を踏み入れる。そこには、プレジデントがここに来るのに使用したヘリが置いてある。急いでヘリに駆け寄ろうとしたその瞬間。ヘリの扉が開き、一人の少女が見慣れないライフル銃をこちらに向けてくる。

 

「……は?」

 

だが、それ以上にスオウは目の前の人物の顔を見て固まってしまっていた。浅葱色の長髪に黄色い目のその少女は、出会ったことは確かにない。だが、見たことはある。存在も知っている。だがその人物は、存在しないはずの―――

 

「……がはっ!?」

 

次の瞬間。昨夜見たのと同じ、いやそれ以上の大きさの光がスオウの腹部に突き刺さる。そしてホシノ達が屋上まで出てきたのと、スオウが吹き飛び、壁が粉砕される勢いで叩きつけられて意識が刈り取られたのは同時であった。

 

「え!?」

「ちょ、ちょっとどうなってるのよ!?」

「っ、誰だ!?」

 

吹き飛んだスオウと、スオウを仕留めた人物に混乱するアル。ネルとトキがスオウを仕留めた張本人に向かって銃を構えたその時。ネルの隣でホシノが信じられないものを見たかのように両手から銃と盾を落としてしまう。

 

「……ホシノ?」

「嘘、なんで……なんでここに……でも、そんなわけ……」

「……久しぶりだね、ホシノちゃん、ノノミちゃん、シロコちゃん」

「……私の事を、知ってる?誰……?」

「ま、まさか……でも、ありえない……」

 

ホシノだけではない。ノノミも顔を蒼白にしながら、僅かに目を潤ませながらこちらを見てくる目の前の少女を見ていた。ただ一人、名前を呼ばれながらも困惑しながら少女とホシノとノノミの顔を交互に見ていたシロコ。そんな中、ホシノがぽつりと、存在しないはずの少女の名を口にするのだった。

 

「……ユメ先輩……?」

 

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