転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「いやぁ……これが
混沌の領域でご満悦そうな様子の地下生活者。彼の眼下では、生徒会の谷に鎮座する、一見雷鳴を纏った巨大なオブジェのようにも見える神、セトの姿があった。その様子を渋い顔で見ていたモルフォは、ふと疑問を口にする。
「……TRPGにおいて、ダイスは理由なく振ることはできないはず……一億回なんて。それだけじゃない、それだけ振るならセトが出る目なんて一回だけじゃないはず……なのに、出てきたのが一体だけ?」
「いいえ、一回ですとも。確かに小生は一億組のダイスを振りましたが、一回しか振っていません。なのでこれは、一回の判定なのです。なので小生は、一回分のダイスを振ったという結果が残るのです。よくあるでしょう?ダイスを複数個投げてその中で特定の目を出せばそれが選ばれる……それだけの話です」
地下生活者はモルフォの疑問を聞いて嘲笑う。その言葉を聞いてモルフォは驚くも、すぐに考え込むような表情になる。
「……だとしても、それは本来特定の範囲内の出目が複数出た場合の話……特定の出目となれば、それが重複すれば相応の結果が出てもおかしくないはず……だとすればあのセトは、既に舞台裏で何体ものセトがぶつかり合い、戦った末に勝ち残った一体ってこと?別時間軸に本来現れるはずであったセト同士の本気の殺し合いを制したところをダイスでこの世界に導かれた……まずい」
「……成程、勝ち残ったセト。ククク……その通り。このセトはセト同士で殺し合った末に現れた、全次元の中で最強のセト!ホルスとオシリスへの憎悪を燃やす、憤怒の塊!まさしく、セトの憤怒!これぞ、先生達を葬るのにふさわしい!!」
眼下に存在するセト、もといセトの憤怒は、表面上は無傷に見える。だが、その内側の装甲は傷つきまくっており、焦げている。それはセト同士の激しいバトルロイヤルを制した証。確かにこのセトが万全の状態であればあらゆる次元の中で最強のセトとして君臨していたことだろう。キヴォトスどころかこの世界なんてそれこそ一瞬で燃やし尽くせるスペックはあっただろう。
(……地下生活者は一回のダイスで振ったといった。だけど、一億組の出目が存在して、その中から目を選ぶという行為は、結果として一億通りの目を出すという行為になる。これは、いうなれば一億回振り直しをしただけで、何回も振り直すのは面倒だからダイスを纏めて一回で振っただけ、に過ぎない……その分のしわ寄せは確実に盤面に出ている。セトに気付く皆を始めとして……でも、ある意味言葉がうまい、ともいえるのかな。この場合は)
得意げな地下生活者の様子を見ながら、モルフォは冷静に分析を続けていた。地下生活者に言わせればキャンペーンは終わりに近づいているであろうこの状況。モルフォも、ここからが正念場だと、思考を回転させていく。
(地下生活者は自らの発言で、現実に与えるしわ寄せを一気に排除した。だけどそれは……こちらのある意味最大の難関を自ら取り除いてくれたといっていい。見えるはずなのに、見えないもの……そこに、最大のしわ寄せが現れた。地下生活者は、権利を自ら手放した。それだけのペナルティを得て、ようやくこの一つや二つでは済まされないファンブルの数々を相殺し、盤面への影響を最小限に抑えたともいえる……この一連の出来事そのものを破綻させずに続行させる最善の一手なのかもしれない……お互いにとって。成程―――ある意味、強制介入、か)
地下生活者は気付いていない。このゲームの対戦相手は先生一人ではないこと。
地下生活者は気付いていない。その対戦相手にいとも簡単に勝つことができた方法があったことを。
地下生活者は気付いていない。自分の言葉でその方法を手放してしまい、その対戦相手の自由を保障していることに。それだけの代価を払って、やっとこのペナルティを相殺していることに。
「イヒヒ……ようやくきました。ここからが!」
(……やっと、保証された。布石は打った。手札は揃えた。ヒントも見えた。ここからだ。ここからが……)
(「
★
「ぐ……何が……」
天から落ちた雷。何発も落ちたその雷は戦力を集中させていたカイザーの軍勢を瞬く間に蹴散らしていく。いくらカイザーがかき集めた武力といえど、天変地異の前では完全に無力と言わんばかり。建物に落ちた雷によって建物が吹き飛び、地面に転がされたプレジデントが砂嵐の中、倒れていく部下たちを見る。
「今日は……砂嵐は来ないはずだ……」
「そ、そのはずです……それに、何で雷がこんなところに、こんな集中して……!?とにかくプレジデント、地下の格納庫に……さすがにそこまで入ればこの異変も」
「……そうだな。まずはこれが収まらなければ話にならん」
プレジデントの言葉に同意するようにジェネラルが呟き、ここから退こうと進言する。人の手ではありえない現象に右往左往する部下たちを前に、プレジデントもジェネラルの言葉に頷いて次の行動を選択しようとしたその時だった。
「た、たた大変です!!」
「何事だ!?」
まだ無事だった部下が慌てた様子で近づいてくる。プレジデントが体を起こしながら話を聞こうとすると、部下のオートマタが混乱が解けていないながらも慌てて説明を始める。
「シャーレです!アビドスの方角から先生達がこちらに……攻撃を仕掛けて―――!?」
オートマタの説明が爆発によって遮られる。放り込まれた爆弾が次々と爆発を引き起こし、雷の中にいる兵士たちが次々と吹き飛んでいく。
「ぬうう……おのれシャーレめ……!この混乱に乗じて叩きにくるとは……」
「プレジデント、こちらに!お前達、プレジデントを地下へお連れしろ!戦える奴は戦え!!」
プレジデントを数体のオートマタに任せ、ジェネラルは指揮を執り戦闘を開始する。次々と放り込まれる爆弾の爆発音が鳴る中、アヤネやモエ、カヨコが使えそうな車両の中に潜り込んで動かそうとする。
「……うわっ!機器がイカれてる!」
「こっちもです……おそらくさっきの落雷です」
「カヨコ、足が使えないって事?」
「そういうことになるね……落雷程度で壊れるとは思ってなかったけど……それだけあの落雷はやばいってことか……」
しかし、そこで突きつけられたのは乗り物が使えないという非情な現実であった。あの雷のせいで機械が完全に破壊されてしまったのだろう。これでは移動もできない。
「どうしたら……」
「とりあえず、ここまで来たからにはカイザーを潰しておくしかないだろう。セトと戦う時に後ろから撃たれても困るしな」
「それはそうですけど……」
砂嵐のせいでまともに狙撃ができないため、スナイパー組とユメが護衛につく形でアヤネ、モエ、カヨコが車両を確保しようとするのだがうまくいかないものだ。
「……や、やっぱり盗みはよくないんじゃ」
「そんなこと言ってる場合じゃない。セトをどうにかするためなら多少は目を瞑ってもらう」
「仕方ない、今はカイザーをどうにかしよう。皆!」
アカネやムツキが爆弾を投げ込み、シロコが手榴弾を投擲、ユズがグレネードを撃ち込んで場を荒らす。そこに残る面々が突入し、混乱の収まらないカイザーの兵士たちを次々と処理していく。
「RABBIT2、視界が不明瞭です、気を付けていきますよ」
「視界不良での戦闘は慣れている!」
ミヤコとサキがフォーメーションを組み、確実に敵を処理していく。その横では味方に当てないように注意しながらノノミがミニガンを、モモイがアサルトライフルを連射して蹴散らしていた。爆弾や三人の攻撃をどうにかして回避し反撃に転じようとしても、
「させません!!」
ハルカが眼前に立ちはだかり、弾丸を受け止めて反撃のショットガンで仕留めていく。そうやってカイザーの兵士たちを少しずつ処理していく。その様子をシッテムの箱を使い見ていた先生はあることに気付く、
「これは……」
『先生、どうやらこの施設には地下が存在するようです。そちらなら車両も……』
「地下……よし、ホシノ、ネル、ヒナ、聞こえる?地上は皆に任せて、地下に向かってくれないかな」
「あいよ。中の連中潰して乗れるものがあるか探せばいいんだな?」
「わかったよ~」
アロナから補足されたことで先生はネル、ホシノ、ヒナの三人に地下へ向かってもらうことにする。地上はカイザーが戦力をかき集めていたのもあって多くの兵士がいたこともあり、雷によって大半が蹴散らされたとはいえまだまだ数は残っていた。
(……それにしても、これがセトの力なのか……なんて力なんだ)
雷の勢いも落ち着いてきたことで兵士たちも徐々に混乱が落ち着き、戦闘に随時復帰してくる。それでも先生が的確な指示を出して兵士たちを処理していくのだが、こうやって皆で協力して戦っているとどうしてもセトの落とした雷鳴との格差を感じさせられる。
「……プラナ、セトについて何か知ってる?」
『……すみません。私の世界でもセトは現れていないんです……なので情報は』
「そっか……ありがとう」
これから自分達が戦いに行く相手の強大さをひしひしと感じ、冷や汗を流す。プラナも知らない未知の相手にどこまで戦えるのか。そんなことを考えていると、連絡が先生の下に届いてくる。
『先生、地下の方は何とかなったぞ』
「そっか、乗り物とか……」
『ごめーん、何にもなかったよ。数人避難していたぐらいかな?プレジデントも伸びてたけど……まあいいや』
『使えそうな乗り物はどうやらなさそうね……』
地下の方に移動した三人から聞こえてきたのはあまりいい報告ではなかった。それだけ、一気に戦力を集中させて無理矢理シェマタを奪い取ろうとでも画策していたのか。既に使えそうなものは全て地上に上げてしまっていたようだ。
「……これで、終わりです」
そして地上の方でも戦闘が終わりを迎えていた。ミヤコが鉛玉をぶち込み、兵士を倒す。その後、砂嵐の中に放置して埋まってしまうのはさすがにまずいということで全員で気絶したオートマタ達を拘束したりしながら地下の中に転がしていくのだが、それをやっている間も先生達は頭を悩ませていた。
「何か方法はないんでしょうか?」
「……最悪徒歩で向かうしか」
「さすがに嫌だなぁ……」
「いつ到着するかわかりませんよ……砂嵐のせいでただでさえ移動時間が長引くのに」
アヤネ達も頭を抱えてしまう。その様子を見て、アル達もどうしたものかと顔を見合わせるが、ここでユメが妙案を思い付いたと言わんばかりに手を叩く。
「そうだ!皆乗れる大きなトラックはあるんだし、それを引っ張ったり押したりすればまとめて移動できない?」
「すみません、できない事言わないでくれませんか?」
「ひぃん……」
「さすがに無理だと思いますけど……」
え、この人こんな感じなの?と困惑しながらアヤネがユメに返答する。それができれば確かにいいのだが、そのための方法が何もなければただの空想に過ぎない。
「……?これって」
と、その時だった。先生の下に通信が入る。その通信相手がケイであることに気付き、先生が出る。
「ケイ、大丈夫?」
『はい、今そちらに向かっています』
『途中で砂嵐と落雷が酷くなったせいで砂漠への土地勘などがないエンジニア部がアビドスに入れずにいたのですが。元々、あれで手を引くとは思えないカイザー用に輸送してもらっていましたが、こうなった以上直接引き取る必要があったので、先生には悪いのですが別行動を取らせていただきました』
通信を引き継いだのはトキ。しかし、声をよくよく聞いてみれば車とは違う機械の稼働音のようなものが聞こえる。と、その正体が近づいてくるにつれて表の方でも少しざわつきはじめる。
「おい待て、何か来るぞ!?」
「……人に誰か乗っている?」
「ね、ねえお姉ちゃん、あれって」
「た、多分……」
「あれ?なんか知ってるの?」
「……えっと、予想が正しければですけど、あれって……」
「到着しました」
先生達も砂嵐が吹き荒れる外に出てくる。そこには、二機のパワードスーツに抱えられていたアスナとセリカの姿があった。そして、パワードスーツを着用していたのは、
「トキと……ケイ!?まさかそれって……」
「ええ、アビ・エシュフです」
「……先日、エリドゥをケセドが襲撃した際に私がアビ・エシュフで迎撃したのをきっかけに、やはりもう一機製造しそれぞれにチューンした方がいいのではという形になったようで。とはいえ使うことはないと思ってはいたんですがね……」
「……しかし服を着たまま着れるようになっているのはなるほど、悪くはないですね」
「元々それができるだけの余裕はあったんですがね……トキがこだわってただけで……」
なんと、トキとケイであった。二人はそれぞれ、アビ・エシュフに乗り込んでいたが、トキはさすがにこの状況でアビ・エシュフ用のインナースーツに着替えるわけにはいかなかったのかメイド服のままであった。ケイもミレニアムのジャケットを脱いでシャツだけで乗り込んでいる様子だ。そして、ケイが乗り込んでいる機体はレーザー砲の部分にスーパーノヴァが取り付けられており、それと対になる形でさらに一丁のレールガンが搭載されている。そして、脚部に関しては砂に沈まないようにボードのようなものが装着されているのが見える。
「……ミレニアムが高性能なパワードスーツを開発していたとは聞いていたけれど……」
「んだよ、知ってたのか」
「……一応ね」
「うへ……なんかもう一機増えてる……」
地上に戻ってきたネル達も二機のアビ・エシュフを見る。確かに戦力としてはいいのだが、今必要なものはどちらかというと、乗り物の方である。
「……これ積んでたトラックかなんか持ってくりゃよかったんじゃねえか?あの雷のせいで使える乗り物なんてないぞ」
「リオ会長が試作中の輸送船の試験も兼ねて輸送してきたんですよ。砂嵐に中に突っ込むと墜落するのであそこが限界です」
「凄いわよねぇミレニアムって……飛行船はあったけどあんな速く空を飛ぶ乗り物なんてそれこそウトナピシュティムぐらいだったし……」
「……あっ、いいこと思いついたー!!これこれ!」
アビ・エシュフが来た事自体は喜ばしいことではあるものの、これだけでは問題は解決しない。そんなことを考えていると、トキのアビ・エシュフのレーザー砲の部分に座り込んでいたアスナが立ち上がり、近くに落ちていた太いワイヤーを手に取る。
「んあ?ワイヤーなんてどうするんだ」
「これで二人が引っ張ればいいんだよ!ほら、あそこのトラックとか凄いでかいし、皆乗れない?」
「……確かに、アビ・エシュフで牽引すれば……二機ありますし、移動は安定するはずです」
アスナの提案に、皆一瞬驚くもすぐに考え直す。ゲーム開発部やC&C、対策委員会はアビ・エシュフの性能を知っている。トラックの一台や二台を牽引することぐらいわけはない。
「……このトラックを引っ張ってくれるってこと!?」
「随分な力技……まあ、移動できるならなんでもいいけど」
「……」
希望が見え始め、ほっとするアヤネ。と、ふと視線を感じてユメの方を見ると、ユメはアヤネを見て、満面の笑みを浮かべていた。
「ほらね!なんとかなったでしょ?」
「ええ、そうですね!……って、全部結果論じゃないですか!?」
「ひぃん……」
「……ホシノ先輩が苦労していた理由がよーくわかりますよこれは……」
「うう……こっちのアヤネちゃんも辛辣だよぉ……モルフォちゃん……」
ユメがアヤネに厳しい言葉を返される。その様子を見ていると、世界が違っても大体似たような役回りをモルフォはやっていたのだろうかとミドリ達が想像する中、外に出ていた生徒達が次々と乗り込んでくる。
「先生、準備が終わりました」
「よし、出発しよう」
最後にアカネが乗り込み、トラックとアビ・エシュフをワイヤーで繋がれ準備が終わったことを告げる。
『では、発進します』
『速度を調整します』
トキとケイの声が聞こえてくる。バイザーを下ろして目を防護し、千年の守護者を頭部に乗せてそのアイカメラと同期させることで、安定した視界を得た二人によってトラックが動き始める。
「あっ、動いたよ!」
「……これでセトを倒したら、モルフォちゃんを助けられるのかな……」
「……でも、ボスを倒せば話が動くのは定石だから。信じよう」
セトの下に向かうまでの束の間の休息を取り始める生徒達。表面上ガーゼやら包帯やらを外し、その下にあるすっかり回復した肌を見せるネルやホシノ。殴り合った怪我といってもそれは表面上のものでしかなく、時間さえ経てば軽く治る程度。それ故に先程の戦闘も特に支障はなかった。
(……だけど、なんで私達が来たタイミングで雷が止んだんだろう……戦ってるところを狙い撃てばこちらも対応は難しかったはずなのに)
そして、落ち着ける時間ができたからこそ、先生も地下生活者が示したであろうセトの不可思議な行動に引っかかるものを感じていた。地下生活者が先生を、そして生徒達を倒したいというのなら先程の戦闘なんて格好の狙いどころのはずだ。混乱しているとはいえカイザーと戦ってる中で雷を落とされれば、こちらだって負傷者が何人か出てきたとしてもおかしくはないのだ。なのに地下生活者は先程の戦闘は何もしてこなかった。
(私達をセトと対面させて、そこで始末させるつもりなのだろうか……でも、何で?途中で私達を襲って少しでも消耗させた方がいいはずなのに……)
まるで、自分達とセトが直接対決するシチュエーションを望んでいるかのように。だが、先生にはその理由がわからない。それだけセトの力を信じているのか。実際、あの雷の威力や被害を見ればそう考えるのもわかるが、確実な勝利を目指すなら途中で仕掛けたっていいはずだ。それこそ、カイザーと戦ってるときを狙い撃ってもいいし、この移動中に攻撃してもいいはずだ。今、このトラック自体は機動力がないに等しいのだから、牽引されているのを含めても狙いやすいはずだ。
(まさか、別の目的が……?)
先生は冷や汗を浮かべながら、シッテムの箱を握る手に力を込める。この状況だって地下生活者からは見えているはず、一体何を考えているのか。先生の険しい表情は崩れないのだった。
★
「―――な、ナグサ先輩!」
「?どうしたの?」
百花繚乱の詰所。今も眠りながら、「クズノハ」と寝言のように呟いているアヤメの傍に座っていたナグサの下に、レンゲが慌てた様子で駆け寄ってくる。
「何事よ、レンゲ……?」
「あ、き、キキョウ!?いや、客が……」
「客?こんな時間に一体誰が―――」
「そ、そそそれが、シロコと百合園セイアって人が」
「百合園セイア!?」
うるさいと言わんばかりに呆れた様子のキキョウも顔を出す。だが、レンゲが口にした言葉にキキョウも驚いてしまう。ナグサも、セイアの名前はクズノハのこともあって聞いていたのだろう。キキョウほどではないが驚きの表情を浮かべていた。そして、何故セイアがシロコ*テラーと一緒にいるのかもわからず、困惑した表情になりながら部屋から出ていく。
「……どうしたの?それに、百合園セイアってトリニティの……」
そして二人を待たせているシロコ*テラーとセイアの下にナグサが赴く。ナグサの顔を見たセイアはシロコ*テラーが頷いたのを見て、彼女がナグサなのだと理解する。
「やあ、君に会いたかったよ御陵ナグサ」
「え?」
「モルフォが行方不明になった」
「え?」
会いたかったと突然セイアに言われ、さらにシロコ*テラーからモルフォが行方不明になったと聞かされ困惑してしまう。モルフォが行方不明になったことと自分に会いに来た事。さらにセイアとシロコ*テラーが一緒にいることすらナグサには訳がわからないのだ。だが、今は詳しく説明している暇はない。
「だからナグサ、一緒にクズノハに会いに来てもらう」
「私の予感では雪のある場所に手掛かりがあると思うんだ。すぐに来てもらうよ」
「いやっ、ちょっ……待って、アヤメもクズノハ……様のことなんか言ってるし何が」
「成程、どうやらアヤメにも啓示が来ていたということか。ふふ、どうやら私の直感は合っているらしい、さあ行こうじゃないか!」
「待って!なんであなたがアヤメのことを知ってるの!?」
「ん、そんなことどうでもいい」
「どうでもよくない!」
今も困惑するナグサに、二人は言葉を畳みかけていき、すぐに行動を促すのだった。