転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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解答(アンサー)

 

「……この人がクズノハ?」

「ここに辿り着いた……?私達がここに来ることがわかっていたのかい?」

「うむ。あの者がしきりに呼んでおった。こことは異なる空間よりやってきた砂狼シロコ……お主と百合園セイアをな」

「え……?」

「……私は?」

「おんしは……多分必要だったんじゃろう。こやつらだけでここまでは来れぬじゃろうからな」

 

クズノハの前に立つ三人。クズノハはセイアの問いに頷きながらシロコ*テラーを見る。

 

「なんで、私を……それに、呼んだのって……まさかモルフォなの?」

「その正体は自らの目で確かめてみよ。じゃがここに何故其方達が導かれたか……」

 

シロコ*テラーが驚いたようにクズノハを見る。クズノハはシロコ*テラーに笑いかけるが、そんな彼女に今度はセイアが口を開く。

 

「そうだ。私は直感的に導かれるようにミレニアムに向かった。そこでモルフォが攫われた可能性が高いであろう失踪をしたことを把握した。だが……その後だ。私は、すぐにモルフォを探す方法として貴女に辿り着いた」

「それがおかしいと?」

「今ならわかる。絶対におかしい。だってそうじゃないか……貴女の下に向かわなければならないということは、モルフォはキヴォトスのどこを探してもいないということだ。かつて彼女が私を助けに来てくれた時も、私の心はキヴォトスに無かったのだから」

 

セイアが指摘したのは、その不自然さだ。モルフォが攫われたのであれば、まず探すのは近くだ。そこから段々距離が物理的に広がっていく。そう、攫われたのならばキヴォトスのどこかにいると判断するのが当たり前だ。だというのに、シロコ*テラーに出会ったセイアはすぐにクズノハに会いにいくという方法を導き出した。それ自体がありえないのだ。

 

何せ、モルフォを助けるためにクズノハに会いに行く、というのはこのままでは彼女を見つけられない、行くことができない所に向かう必要があるということだからだ。それこそ、かつてベアトリーチェによってセイアがキヴォトスから追放されそうになったあの時のように。

 

「何故、繋がった?何故、貴女に会いに行くと決め、そして百鬼夜行に向かおうとしたのか……」

「……そして、私は二人を黄昏の寺院へと連れてきた。そういえば、おかしい……普段ならあまりにも荒唐無稽すぎるって考えたっておかしくないのに……あの時の私は、アヤメがあなたの名前を呼んだことやユカリ達の事もあったからって全く疑わずに二人を連れてきた」

「そう。それは全て、彼女の手によるもの。厳密には、今の彼女がいる現実と非現実の合間に存在する空間がもたらす力。それによって其方達の思考は導かれた。段階的に自らに繋がるように。まあ一番最初にモルフォの異変に気付いたのは七稜アヤメじゃがな」

「……モルフォからの、SOS……」

「……なんでアヤメが?」

「それよりもモルフォのことだ。今は彼女を助けることの方が先だよ」

 

セイアがはっきりとそれを口にしたことで、ナグサもその異質さを確信をもって自覚する。シロコ*テラーも、クズノハは口にはしていないがここまでの三人の行動はその全てが彼女に繋がっていることを理解し目を見開く。

 

「……私とシロコを引き合わせ、シロコの力で百鬼夜行に向かう。そこでナグサと合流し、ナグサの案内で黄昏の寺院へと辿り着いた。そしてここで真実を知り……私達はモルフォの下に向かう、と……」

「でも、モルフォはどこにいるの!?あなたの力で向かえるの!?」

「いいや、行くのは其方の力じゃよ」

「私の……?でも、場所が……」

「其方は知っているはずじゃ。なんせ、其方はほぼ似通ったその場所からこちらのキヴォトスに来たのじゃからな」

「……ナラム・シンの玉座……ッ!!」

 

流れと情報を整理するようにぶつぶつと呟くセイア。その言葉を聞きながら、シロコ*テラーはクズノハに食って掛かる勢いで声を荒げる。しかしクズノハは宥めるように更なるヒントをシロコ*テラーへと告げたことで、遂にシロコ*テラーはその場所に辿り着く。

 

「そうか……それなら、確かに納得がいく……!」

「ナラム・シンの玉座って?」

「……ナラム・シンの玉座は現実と非現実の入り交ざった空間。そっか……モルフォがいるのは、混沌の領域!!そこにモルフォは誰かに閉じ込められて、そこから私達の思考に強制介入して、少しずつ私達を真実に近づけさせた……!前、私の世界のモルフォから一回だけ、世界の裏側みたいなところがあって、混沌の領域っていう空間があるって聞いたことある……!」

 

全てが繋がっていく。シロコ*テラーが両手を前に広げ、意識を集中させていく。クズノハがいるキヴォトスとは異なるこの不可思議な空間。ここにいるからこそ、シロコ*テラーは混沌の領域へ繋がるワームホールを開きやすくなる。

 

「……?あれ、腕……」

「どうしたんだい?」

「あ、いや……右腕が、戻ってる……?」

 

シロコ*テラーがワームホールを開こうとしている様子を見ていたナグサだったが、ふと右腕の感覚の変化に気付く。ナグサが右腕に巻かれていた包帯を外すと、その下から白い人の腕が露わとなる。

 

「元々、其方は失ったものを取り戻す資格があったんじゃろう。ただ、それを受け取る場所にいなかった……それだけじゃよ」

「……そっか」

 

取り戻した自分の右腕をどこか愛おしそうに見つめ、左手の指でなぞる。そして軽く開いては握ってを繰り返すと、ナグサは微笑む。

 

「アヤメと向き合って……覚悟を決めたから。だからこの腕も……だとしたら、あの子が頑張ったおかげで私も救われたんだね……アヤメの事について謎がさらに増えたけど……」

「―――開いた!!」

 

シロコ*テラーの声が響く。ワームホールが開かれ、その先に捻じ曲がった空間が広がっていく。

 

「早く行くといい。今、現世では大きな異変が起こっておる。これまではかの未熟な大人の成り損ないに悟られずに済んでいたが……さすがにもう一人の己を無理矢理目覚めさせ、一人の死を回避させんとしたのは誤魔化しきれんかったようじゃ」

「「!!」」

「……よくわからないけど急いだほうがよさそうだね」

 

クズノハが警戒するように声をあげる。ナグサとシロコ*テラーはそれぞれ百蓮とアサルトライフルを持つと、先行する形でワームホールの中へと飛び込んでいく。そしてセイアはクズノハを一目見ると、

 

「ありがとう。貴女のおかげで今回も何とかなるかもしれない」

「礼には及ばぬよ。それに……未来を切り拓くのは其方達じゃ」

「……ふっ、そうだね」

 

短く会話を交わしてワームホールへと飛び込む。直後、閉じていくワームホールを見届けながらクズノハは、

 

「さあ……ここからが正念場じゃよ」

 

そう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お前、何をしている」

 

地下生活者が後ろを振り向く。怒りを滲ませた表情がそこにいたモルフォを見抜く。

 

「……何も」

「嘘を吐くな!あのモルペウスはなんだ!?何故二人目のモルペウスがオシリスといる!?こんなこと……把握していないぞ!!いや、それだけじゃない!!何故だ、何故セトが止まる!!」

 

地下生活者の背後に広がる映像。そこに映る、先生達と対峙するセトはもう一人のモルフォの出現を合図としたかのように攻撃の手を止めており、慌ててユメに駆け寄るホシノと驚きもう一人のモルフォを見上げ呆然とするユメを見ながらどこか警戒するかのような素振りを見せていた。

 

「……動け!動くのです!!何故動かないんだ!!ホルスとオシリスがいるのだぞ!!」

「……さあね……でも、新しい神様が出たらそりゃあ混乱するのも当たり前じゃない?そんなこともわかんないの?」

「!!」

 

何故、何故と頭を抱え喚く地下生活者にモルフォが吐き捨てる。その様子に地下生活者が固まるが、モルフォはざまあみろと言わんばかりに、煽るかのような笑みを浮かべていく。

 

(ホルスとオシリス、セトはエジプト神話……でも、モルペウスはオルフェウスとかと同じギリシア神話の神様だったはず……セトからすれば他の神話の神様。となれば、詳細の分からないモルペウスをセトは警戒して一旦様子を見る……ただ闇雲に襲うという筋書きよりもこちらの方が……流れとしては辻褄が合う)

「この……お前が小細工をしていることは小生にもわかっている!吐け!!吐くんだ!!」

「……だったら、私以外の人に聞いたら?ほら……さっきあんたが先生や皆に話をしたように……もっとここの事、皆に見せりゃいいじゃん……ねえ、この混沌の領域をさ……!!」

 

そして。地下生活者もはっきりと、ダイスの振られる音を聞いた。

 

「今の音……貴様、ダイスを……ダイスを持っていたのか!?だがありえない!ありえない!!小生は認めていないぞ!お前の参加を……このゲームのプレイヤーは小生だ!小生がプレイヤーでゲームマスターだ!!」

「……クリティカル。セトの憤怒が出現したことにより生じた次元の亀裂、歪み……それは、世界と世界の境界を歪め……セトの力を受けた雲にこの混沌の領域を映し出す!!」

 

間髪入れず、モルフォがダイスによって生んだ結果を発言する。ダイスの目は絶対。混沌の領域は、可能性の言葉を忠実に再現していく。混沌の領域に青白い光が灯っていき、不可思議な景色が、今の生徒会の谷とシンクロしていく。ただ一つ違うのは、こちらの空に向こうの生徒会の谷の、セトと対峙する先生達の姿が映し出されており、対して先生達の方も空の雲に混沌の領域の風景が映し出されているということか。

 

「先生、空が!!」

「!?あれって……あっ!?あそこにもモルフォちゃんがいる!?髪は短いけど……」

「モルフォ……!!」

 

先生達の視線も思わず上へと向けられる。先生しか見えていなかった地下生活者の姿と、その後ろで転がる傷だらけのモルフォ。その姿を見て、ネルやトキを筆頭に僅かながら意識を取り戻したゲーム開発部とC&Cが怒りを浮かべていく。

 

「これ以上好き勝手されてたまるか!!どいつもこいつも……これは小生のキャンペーンだ!!お前たちは大人しくセトに焼かれてしまえばいいものを……小生は嫌なのです……勝利を目前としながら梯子を外され、ぬか喜びをさせられることが!!最早モルペウスは必要ない!消えろおおおおお!!」

「!モルフォ―――!?」

 

対策委員会、RABBIT小隊、便利屋68、僅かながら意識を取り戻した面々とまだ立てる生徒達。全員の視線がモルフォに向かって足を振り上げる地下生活者に向けられる。避けろと言いたくても、モルフォがあのような姿になっているということは身動きが取れないようになっているということはすぐに理解させられてしまう。このまま、モルフォは再び地下生活者に暴力を振るわれる……かと思われた次の瞬間。

 

「立ち上がるんだ、モルフォ!!」

 

一人の少女の声と共に数発の銃弾が放たれる。それはモルフォの拘束だけを破壊し、モルフォの全身に自由を取り戻す。直後、

 

「ごはぁ!?」

 

モルフォは後ろ手について逆立ちで体を持ち上げるとそのまま地下生活者の顎を蹴り上げる。そのまま逆立ちしたまま体を回転させて回し蹴りを叩き込むことで地下生活者を吹き飛ばす。

 

「がはぁっ!?」

「やった!!」

「えっ……えっ?」

 

ガッツポーズを取るトキやネルらに混ざり、困惑の表情を浮かべるユメ。そして後ろに転がっていたそれを拾いながら立ち上がったモルフォが背後に一瞬だけ視線を向ける。そこには、

 

「……待ってましたよ。セイアさん。シロコ先輩……ナグサさんも来てくれてありがとうございます」

 

セイア、シロコ*テラー、ナグサの三人の姿があった。そして、セイアとシロコ*テラーの手にはハンドガンが握られており、そこから放たれた弾丸がモルフォの拘束を破壊したのだ。

 

「え!?なんであの三人がここに」

「せ、セイア!?それにナグサも!?なんであんなところに?!」

「シロコちゃんが、も、もう一人!?それにあの姿は……」

「ユメ先輩。あそこにいるのが私達の世界のシロコ先輩ですよ……いやなんであの私も先輩なんて呼んでるの……?っていうかセイアさんとナグサさん……?しかも腕……」

 

シロコ*テラーだけでなく、何故セイアとナグサまで一緒なのか。ユメだけでなく他の皆も困惑が深まっていく。だが、そんなことを気にする余裕がない、吹き飛ばされた地下生活者が痛みに苦しみ頭を掻き回しながら発狂したような声を発する。

 

「何故だ、何故だあああああ!何故お前が参加している!!それにこいつらはなんだ!!小生はここにお前たちを入れる許可を出した覚えなど―――」

「無理矢理押し入った。それだけだけど」

「……随分な奴。私は全く状況わかってないんだけど、あれは倒しちゃっていいやつ?」

「別にいいんじゃないかい?モルフォを攫ってこんなところに引き籠っているんだ。そりゃあ潰したって誰も悲しまないさ」

「説明し―――ひっ!?」

「うるさい。このまま殺してもいいよね?」

 

地下生活者を睨みつけるセイアとシロコ*テラー。そして不敵な笑みを浮かべるナグサ。地下生活者は先程のモルフォの攻撃、そして足元に打ち込まれたシロコ*テラーからの弾丸を前に三人から後ずさり尻もちをつく。だが三人、特にセイアとシロコ*テラーの怒りは相当なものだ。今にも地下生活者をぶちのめしそうな怒りを見せる二人に対してモルフォが腕を伸ばして制すると、

 

「ダメですよ。こいつは……まず同じ舞台で倒す必要がありますから。それで……説明ね……何言ってんの?お前じゃん。私をゲームマスターにしたのは」

「な、何を言って」

「この空間にいる奴がゲームマスターになり、ダイスを振るプレイヤーとなって判定を行うようなTRPG……それを定着させたのはお前だ」

「は……」

 

それは、モルフォが言った言葉。地下生活者はうまくいかない展開に耐え兼ね、それを強引に誘導するためにダイスを用いたやり方を採用した。地下生活者自身はモルフォが失言をしたと思っており、それを採用することでモルフォの発言のせいで大変な事になるという結果を見せることで溜飲を下げたつもりだったのだろう。だが、実際は違う。この空間におり、ダイスを振れる人物は全てプレイヤーになる。その条件に自分を含ませることで混沌の領域の中からモルフォも地下生活者に抵抗することが可能になったのだ。

 

「そ、そんな……だが、ダイスは!?」

「当然持ってるよ」

 

モルフォが手に持つダイス。それは、以前トキがコユキから押し付けられたものをさらに押し付けられて受け取ったものであった。まさかこんな状況で使うことになるとは思わなかったが、このダイスは目も自由に弄れるイカサマダイスだ。クリティカルも出し放題である。しかも地下生活者はセトを呼び出す際に自らダイスでイカサマをすることを問題ないとしている。ここでダイスによるイカサマを咎めればセトを呼び出したという結果すら白紙に戻る可能性も存在しているのだ。

 

「シロコ先輩なら私の事を探してくれるとはわかっていたから、混沌の領域にどう繋げるか考えていた……そこでクズノハさんのことを思い出した。後はセイアさんからシロコ先輩、そしてアヤメを含めた百花繚乱の誰かとアイデアロールや目星を成功させて裏でここまで来てもらった……お前がアビドスに夢中になってる裏で、こっちは別でダイスを振っていた……それだけのこと」

「イカサマだ!イカサマとしか思えない!こんな出目―――」

「ダイスでイカサマをすることを是としたのはそっちだけど?一回の判定に一億組のダイスをリロールしたのをそのまま通したんだからそりゃこうなるに決まってんでしょ」

 

そしてモルフォから突きつけられた答えに、地下生活者が狼狽える。だが、それだけではまだ説明できないこともある。

 

「な、ならあのモルペウスはなんだ!!何故……」

「ユメさんが持ってる銃」

「は……?」

「あれはあっちの私のライフル。それを見てピンと来たよ。あっちの私はプレナパテスから離れた後、ユメさんに宿ったんだって。だからあっちの私の銃をユメさんがそのまま持ってるんだってね」

「そ、そうだったんだ……知らなかった」

(まあ私の能力知ってるもんね私だから)

「でもそこであんたがユメさんを直接殺しに来た。だから、眠ってた私をダイスで叩き起こして治療してもらった。後ついでに私を使ってセトに動きを止めてもらった。そりゃ警戒もするでしょ」

 

さらっと飛び出してきた事実の数々に地下生活者は固まる。固まったかと思うと、わなわなと拳を震わせていく。

 

「こんなの、こんなの通るものか!!もういい……もういいだろうセト!!様子見は終わりだ!!もう十分警戒したはずだ!だがお前は判断した!!そいつらは敵!!警戒するに値しない存在だと!!もう一度、もう一度全て滅ぼせ!!」

 

自分にうまくいかない展開にブチギレ、ダイスを地面に投げつけながらセトに命令を下す地下生活者。直後、眼下でセトが再び動きを見せ始める。

 

「っ!よくわからないけどあの化け物は動かすわけには……」

「遅い!!」

 

シロコ*テラーがダイスを撃ち抜き破壊する。しかし、既に目は出ている。そして目が出て、モルフォが事前に成り立たせた可能性と激突し、よりセトにとって自然となる地下生活者の可能性が採用される。再び動き出すセト、このままでは皆がやられてしまう。と、その時だった。

 

「A.R.O.N.A.!!このままじゃ……シッテムの箱の力で、この十人をどうにかできない!?」

『え?シッテムの箱の力でって……』

「!モルフォ、ダイスだ!よくわからないが気付かせるんだ!!」

「!ダイスロール!!」

 

もう一人のモルフォが慌てた様子でプラナにいう。それにプラナが困惑していると、混沌の領域の方からセイアが何かを感づいたのかモルフォにダイスを振れという。当然のようにデジタルの目がクリティカルを出したモルフォのダイスが、プラナとアロナの閃き判定に成功する。

 

「クリティカル」

『―――そういうことですか!』

『成程、わかりましたよプラナちゃん!!私達二人ならば、このシッテムの箱に更なる力を!!』

『先生!これがシッテムの箱の更なる力です!!受け取ってください!』

 

ネル、トキ、ケイ(アリス)、ホシノ、アル、ヒナ、アヤネ、モエ、ミヤコ、ユメ(モルフォ)。十人の体を光のようなものが覆っていく。直後、十人は全身に力が満ちていく感覚を感じ取る。

 

「こ、これは……」

『制約を解除しました。先生……私と先輩、二人の力で力を解き放った今のシッテムの箱による指揮―――それこそがペレツ・ウザ!!これならば、セトの憤怒とも戦えるはずです!』

「バカな……こんなの、こんなのチートだ!チートだ!!ふざけるな、ふざけるなあああああ!!こんなもの、小生に見せるなあああ!!」

 

セトが戦闘態勢に入ったことで空に浮かんでいた景色が消え、先生達はセトの憤怒を見上げる。最初の一撃でダウンしていた生徒達も少しずつ立ち上がり始める中、制約解除の力によってパワーアップした十人の生徒達を中心に、先生は指揮を開始する。

 

「ユメ先輩、私達もいきましょう。この銃は……そのためのものです」

「でも、もうバッテリーが……!」

「それなら大丈夫です。そこにあるじゃないですか」

 

もう一人のモルフォがセトを指差す。ユメがまたしても困惑していたが、すぐに銃を見て気付く。ほとんど空っぽだったはずのバッテリーが、何故か満タンになっていることに。

 

「え……バッテリーがマックスになってる!?なんで……まさか、セトの雷を吸収した!?」

「ええ、そうです。これなら……セトを相手に常にフルパワーで戦えます。ユメ先輩……シロコ先輩も、そしてこの世界の皆も戦ってるんです。対策委員会だけじゃない……」

 

もう一人のモルフォが周囲を見渡す。対策委員会。ヒナ。ゲーム開発部……

 

「……?」

 

C&C、RABBIT小隊、便利屋68。それらを見渡し、一瞬フリーズしたように首を傾げていたが、強引にそれを呑み込むと、

 

「とにかく皆いるんです!ここからは全力全開フルスロットルッ!ぶちかましてやりましょうッ!!」

 

もう一人のモルフォがユメに笑いかけ、セトを見上げる。そのための力。セトを倒すために作り、誰にも伝えていない名を刻んだ銃。

 

 

 

 

 

―――それに込められた真の名はA(Anti)S(SET)M(Magnetic)R(Rifle)。それは神殺しの銃として作られた、別時間軸のモルフォが作らせた武器であった。

 

 

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