転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
シシーを救出したところでその日の視聴を止めたモルフォ達。話数にして前半部分を見終わったこともあり、セーフハウスの寝心地を確かめることも兼ねてゲーム開発部とエンジニア部は一睡、そして翌日に続きを視聴することにしていたのだが。そこに新たな訪問者が現れる。
「あれ?ヒマリ先輩、どうしたんですか?」
「ふふ、ゲーム開発部のセーフハウスを見に来ちゃいました」
「随分でかいね」
「一応全員入れるようにとはなってたからね。コトリ達も泊まってたけど」
それは特異現象捜査部の二人だった。ヒマリはセーフハウスの外観を見ていたが、モルフォに室内に入れられる。
「エンジニア部の皆さんもご一緒ですか。何をしていたんでしょうか?」
「アニメを見ていました」
「ふーん、どういうの?」
「えーと……パワードスーツもの?」
このまま中に入れば間違いなく途中からの視聴になるため、アムドライバーの前半部分の大まかなあらすじを二人に伝えながらリビングの方に案内する。
「あれ、ヒマリじゃないか。君も来たのかい?」
「ええ、一度見てみたいと思いまして。それに……ふふ、楽しい催しもやっているようですし」
「……おー、広い」
「エイミ、なんか飲む?」
「うん」
部屋の内装を楽しそうに見渡していくヒマリ。そんな中、少し暑そうに手でパタパタと扇ぐエイミを見て、部屋の中に置かれていた冷凍庫の中から凍り付いたペットボトルを取り出す。凍ったペットボトルを受け取り、それを体に当てて涼むエイミ。
「ありがと……」
「モルフォ、続きを見ていきましょう!」
ラグナのシシーへの入れ込みはかなりのものであり、元々ファンだったのもあるが実際に会ったこともあってかなり惚れこみ始めていたようだ。そんな中、シシーから入手したZEAMのピースは三分割されたデータであり、これでは解析できないとジョイは苦言を呈する。危険に備えて信頼できる三人に渡したというそのデータ、次のデータを持っている工作員はムーロンという場所にいるという。残る二つのピースを入手し、ザルディの持つデータと合わせることでZEAMが発動するのだ。それでもと手に入れたデータを解析していると、ザルディ宛のメッセージも添付されていることに気付く。
『約束通り、力はあなたに委ねられる』
『……約束通り?』
ニルギースがその言葉に疑問の呟きを漏らす中、シシーは町に戻って知り合いに別れを告げたいという。当然皆に反対されるも、シシーは彼女に惚れているラグナの弱みに付け込み一緒に出発してしまう。それを偶然目撃したセラも慌ててボードに乗って追いかけることになる。
「こ、この子随分と自由だね……」
「まあまあ、これぐらい自由な方が可愛げがあるじゃないですか」
孤児院に辿り着いたシシーが孤児院の人達に分かれの挨拶をしていると、ZEAMのデータを渡した人がくれたという二つのバイザーを発見することになる。ボード型のライトバイザーファーブニルと、黒いバイク型のライトバイザーフェンリル。それらを手に仲間達と合流しようとするラグナ達だったが、ロシェット達が強襲。ジェナス達も駆けつけ、戦闘が開始される。
「……ふむ、確かにこういう乗り物がパワードスーツになるというのは面白いアイデアですね。特にあのトラックのようなものも変形するんでしょうか」
「ランドバイザーですね。まあほぼロボットみたいな感じですが変形します」
「……暑そうだね……いやでも着る時は中裸みたいだしそうでもない?」
「インナースーツの上に着てるからそういうわけじゃないんじゃないかな……」
バイザーの合体シーンを面白そうに見ていたのも束の間。戦えず逃げるセラとシシーを追い、エーリックが立ちはだかる。兄をニルギースに殺され、その復讐のためPAの命を奪おうと燃える彼。だが、二人を殺そうとした時、一発の銃弾が貫く。
「あっ……」
震えるセラ、その手にはエーリックが直前にシシーの抵抗によって落とした銃が握られており、咄嗟にエーリックを撃ち殺してしまったのだ。正当防衛としか言いようのない状況ではあったが、彼が殺されたところを目の当たりにしたロシェットは狂気に染まり、まだ冷静さが残っているKKに連れられ撤退することになる。
『体勢を立て直そう、ロシェ!ここはまずい!』
『エーリックがやられたんだよぉおおおお!うあああああああ!!』
戦いは終わった。しかし、セラには人を殺してしまった事実で自室で塞ぎ込んでしまう。
「……あの……」
「……いきなり重くなってません?」
「……こう、モブや脇役はともかくそこそこ出番あるネームドで死人が出るとはね……ダークやパフを見るに大事に扱う作品かと」
「私達いきなりこれ見せられるんですか?」
「あ、はは……いや、でもこれ結構きつくない?」
「……きついよね」
「はい……」
塞ぎ込むセラへの対応でジェナスとラグナも不仲になってしまう。その頃、エーリックを失ったロシェットも狂いだし、敵も味方も戦争という大きな流れにいよいよ巻き込まれていくことになる。そんな中、度重なるKKとロシェットの失態を受けこれまでも度々襲ってきたディグラーズと手を組んだキャシー。ディグラーズもJA製のネオジャケットに乗り換え、新型の黒いトパズの群れを引き連れてPAへ襲い掛かる。ジェナスもまたファーニブルを巨大なアーマーへと変形させて合体し戦闘へ突入するもラグナとは対立したままでは連携もうまくいかず苦戦を強いられる。
そして、戦うことができずにいたセラであったが、兄の写真を見て過去の記憶を振り返る。その中で強くなるという兄との約束を思い出したセラは、遂に戦線に復帰。ジェナスとラグナを危機から救うも、トパズの群れに追い詰められ死が彼女の脳裏をよぎり始める。
『皆……死んだ……私も……死ぬの……?』
セラの危機を前に二人は更なる合体を行う。フェンリルが二分割されたことで片方がジェナスの脚部と胸部に装着される。これまで脚部となっていたパーツは背中のブースターとなり、ダブルブレードも両肩に移動し、巨大なアームが腕に装着される。ファーニブルとフェンリルが合体したネオクロスバイザーザイフリート。
さらに分離したフローターバイクは過剰パーツとなり、ラグナはそれに搭乗して戦場を駆け回りながらビームライフルで攻撃をしていた。だが、その真価はフローター部分をさらにザイフリートに合体させることでビームライフルの出力を跳ね上げての砲撃が可能になるという点でもある。それによって、遂にディグラーズを退ける。
「凄いです!あの一撃!」
「二人の力を合わせての必殺兵器……こんな奥の手が」
「喧嘩していて全然聞けてなかったわけだけど……まぁ仕方ないよね。でもスカっとするね」
ユズの言葉に皆がうんうんと頷く中、ジェナスとラグナも和解しセラも前を向けるようになってめでたしめでたし……とはいかず、その日の夜。部屋の中で完全には傷が癒えきっておらず慟哭するセラの姿が見えるのだった。
「万事オッケー、とはいかないけどなんとかなったのかな?」
「多分……?」
その後、ジェナスはニルギースとシャシャと共にザルディと再会することになるが、その道中でニルギースはジェナスに自身の過去を話し始める。
彼とは兄を通じて仲が良く、もう一人の兄とも言うべき人間であった。アムドライバーが誕生したことで二人は忙しくなり、中々会うこともできなくなった中、突然兄が帰ってくる。兄はアムテクノロジーの開発者の一人であったが、それ故に真実を知る者として暗殺されてしまう。彼から真実を伝えられ追手から逃げ出したニルギースの前に、同じく逃げていたザルディが現れ、アムドライバーは道化だと言って去ってしまう。それから復讐を決意したニルギースはシャシャと出会う。彼女の人を殺して復讐することは辛いという言葉にニルギースも惑うようになり、ピープルにアムドライバーの真実を明かすことが復讐になると考えたことがジノベゼとの接触に繋がったのだという。
「殺すことはいけないと言われたのにエーリックの兄を殺しちゃったからあんなことになっちゃったんだよね……」
「それで弟の方も死んじゃって……セラが。なんかやりきれないね」
その後、ジノベゼにも裏切られ今に至ると語るニルギース。だが、ZEAMの情報を分けていることを何故教えてくれなかったのか、そもそもザルディはZEAMを手に入れてどうしたいのか、その時自分達をどうするのかなど聞こうとしていたニルギースは、それらについては聞かず、再会したザルディに告げる。
『ピースを手に入れた時。それをどうするか……私達が、私とジェナスがこのバトルをどう終わらせるか決める』
ZEAMの使い方は自分たちで決めると。ザルディは良いだろうと頷くと、ピースの半分は自分が持っていることを再度念押しして去っていくのだった。その後、シシーとデートと言う名の物資調達の任務に出たラグナは彼女と仲を深めていく。だが再度のロシェットとKKの襲撃が行われる。ジョイたちはトレーラーで離脱しようとするものの、PAの相手をKKに任せたロシェットは戦闘要員のいないトレーラーを追い詰めていく。最終的にラグナ達も駆けつけ、難を逃れたと思われたその時。ロシェットの放ったレーザーがシシーを貫いてしまう。
『てめえええええ!!』
『やりすぎだぞ!?』
『あはははははは!!』
我を忘れてライフルを乱射するラグナ。しかし、そんな状態で放たれた弾がロシェットを捉えられるわけもなく、狂気の笑みを浮かべるロシェットを回収したKKが冷や汗を流し声を荒げながら離脱してしまう。
「……」
遂に味方からの死者が出てしまい、一気に視聴者たちのテンションはお通夜状態となる。シシーが死に、ラグナが落ち込んでしまったことですっかり静かになったトレーラーの中。ラグナはロシェットへの復讐を決意し飛び出してしまったことで彼を追いかけたジェナスとの喧嘩になってしまう。復讐か、PAとしての使命か。そのぶつかり合いは、ディグラーズの襲撃で中断させられ、ジェナス達はラグナを置いて皆の下に戻ることになる。ラグナは復讐に行こうとするが、輸送機を確保するため別行動をとっていたニルギースに気絶させられて連れ戻されてしまう。その後、戦いが終わった後も迷いを見せるラグナは輸送機で移動する最中もシシーの写真を見つめるのだった。
その後、ウィルコット派のナンバー2であるシムカの指令を受け、新たなバイザーを受け取ることを条件にPAはケーナという町に向かう。そんな中、戦う理由を見失って別行動を取ったラグナは、偶然新型バイザーを町に運ぼうとしていたところを襲われた連邦のアムドライバー達を発見する。負傷した彼らに手当をしていたラグナは、ふとシシーの幻聴を聞く。
『ラグっちは優しすぎるんだよね』
『し、シシー……』
『アムドライバーとして戦い続けることが苦しくなった?』
『ち、違う……俺は……俺は……』
『ラグっちは戦い続けなければならない。アムドライバーとして』
『……俺は守るべきものを失った。だから……』
『あるでしょ?守るものなら』
『何なんだよシシー……何なんだよ!!』
『わかってるはずだよ、ラグっちは』
シシーの幻聴に膝をつくラグナ。だが、悲しそうにしつつも顔を上げたラグナは遂に迷いを振り切ると、JAに奪われていたバイザーを取り戻して戦線復帰。
『俺にもさ、まだ守るべきものがあったことに気が付いてよ……受け取れ、ニューバイザーだ!』
そのまま、ジェナスに巨大なネオボードバイザーリンドヴルム・タイプS「ソードダンサー」を渡す。巨大な大剣を始めとする近接戦闘用の装備を取り揃えた最強バイザーの一角を担うソードダンサーと合体したジェナスに対し、ラグナもまた射撃戦に特化した高性能バイザー、ネオボードバイザーリンドヴルム・タイプG「ガンシンガー」を纏う。ビームライフルにビームキャノンなど、ソードダンサーに劣らぬ実力でJAを一掃し、ラグナの完全復活を示すのだった。
「ラグナが復活しました!」
「……ええ、良かったですね」
「それよりも新しいバイザーも中々恰好いいじゃないか……」
「ボード系のバイザーだと集大成って感じがしますね」
「ラグナのバイザーも恰好いいよね……あのライフルとか」
(確かバイザーそのものはこれで打ち止めなんだよね……一応バグにバイザーつけるとかそっち方面でのパワーアップはあるけどここからの強化はバイザーよりジャケットに行っちゃうから。一応バイザーをネオバイザーに改装するパターンはあるけど)
ムーロンの町に到着したPA。ピープルの支持を得ているPAと協調路線を取っているとアピールしたいのか、シムカに手厚く歓迎される。当然良いことばかりではなく、スパイによってキャシーにZEAMというキーワードを知られてしまう。シーンとセラが別行動をしていたパフらの協力で二つ目のピースを入手すると、分かれた後に何があったのかをパフたちも知ることになり、パフは悲しみを背負うセラを慰めていた。
そして新たなピースのデータを使ったことでジェナスの新たなジャケット、ゼアムジャケットが誕生する。ゼアムの強力な力を手に入れた彼らはウィルコットの指示を受け、彼が避暑地としても利用するエルバという村に向かう。そこでウィルコットと出会った彼らはエルバの地下にあるバグシーンの生産工場にジェナス達を案内する。
「……バグシーンの生産工場……!?」
「……説明はありましたが、やっぱり人の手で……」
もうすぐムーロンが陥落する、その前に逃亡の手助けをしてほしいと語るウィルコット。それから真実をメディアに明かすことでこの戦いは終わると語る。降参すればいいだろうと言うラグナ達にそれでは命の保証はない、味方すらも信じられないと言う彼に、ラグナは自分で蒔いた種じゃないかと糾弾する。それを聞いたウィルコットは俯きながら語り始める。
『……かつてこの世界は人と人との戦いで満ちていた。私はその愚かな戦いを止めたかったんだ……バグシーンという共通の敵が現れて、初めて人は一つに団結することができた』
『じゃあアムドライバーは……』
『一つにまとまった人類の気持ちを再びバラバラにしないために、ヒーローが必要だったんだ……世界を平和にするためにはこの方法しかなかった……!』
『でも、結局戦いが……』
『それは私の望んだことではない……』
世界平和のためのマッチポンプ。ザルディも語っていたが、ニルギースの言うようにその裏では多くの血が流れていた。罪に耐えきれず逃がしてほしいと語り土下座をするウィルコットにセラが平手打ちを放つ。大人の癖に自分でしてきたことの責任も取れないのかと糾弾されたウィルコットは涙を流し、自分の娘も戦死したと告げる。そこで漸く彼は過ちに気付いたのだという。だがそこにシムカとJAもなだれ込む。最終的に工場は自爆装置で吹き飛ぶが、消滅した工場跡を見てジェナス達は呟く。議長はもう遅すぎたのだと。そして、バグシーンの生産工場という情報はJAによって最悪の形で公開されピープル達の不安を煽るように使われてしまうのだった。
「……やりきれないね」
「最初の志こそ立派だったのかもしれませんが……ね」
平和を望むその想いは本物だったのだろう。しかし、踏み外した道はもう戻れないところまできていた。その後、彼らはムーロンに戻るがJAが大群で襲撃。大規模な戦闘を前に、PAはパフ達とも合流し、取り残されたピープルを逃がすために奮戦することになる。最終的にウィルコットが最後の最後で命をかけてでもやらなければならない使命を思い出し、人々を守るために自らの命と引き換えにムーロンの地下にあるミサイルを起爆させてまとめて吹き飛ばし、JAのバグシーンを殲滅させるのだった。
「……遅すぎたね……本当に色々」
「本当にね……」
ZEAMの最後のピースを探すジェナス達。しかし、先回りしたキャシーにピースを奪われてしまう。ディグラーズを始めとして徐々に物語から退場する人も増える中、シムカはザルディからZEAMの事を伝えられる。さらにシムカはキャシーと結託し、ジノベゼを殺してキャシーがJAを乗っ取る形で両陣営は手を取り合い、やっと戦争は終戦を迎えることになる。が、
「ピープル目線だとこれで解決したようには見えるけど……」
「実際はZEAMの取り合いになっちゃっただけだね……」
「ZEAMが更なる火種に……」
ZEAMを巡る戦いの中で高まる、ザルディが権力者になるのではないかという不安。そんな中、ザルディはジェナスとニルギースに会い、ゼアムジャケットを勝手に作ったことを指摘。これからは大人のやることでありピースを渡すことを要求するが、ジェナス達はそれを拒否。その後、ジェナス達は見たこともないアムジャケットを纏い、超常の力を発揮する謎のアムドライバー相手に追い詰められる。だがその正体は、ザルディであった。
『ザルディさん……!?』
『ピースを渡せないというのなら……力づくで奪うまでだ』
ZEAMを手にした者は文字通り神となり、この世の全てを裁くという。完全に変わり果てた彼の言葉にPAは完全に袂を別つ。最終的に一瞬の隙を突いてジェナスがゼアムジャケットの力を解放し、どうにかザルディを倒すものの、ザルディは姿を消してしまう。だが、完全に落ち着く間もなくキャシー、シムカの連合軍がPAへと襲い掛かる。
圧倒的な物量で攻めるシムカ達。混戦になることを予想し、シーンは改良されたネオエッジバイザーに乗り、激しい接近戦をこなす。その中でキャシーに呼ばれたシーンはZEAMを取り戻し、キャシーは俺が止めるといい、ジェナスに後を託してキャシーと会う。だがキャシーは説得には応じず、そればかりか最初からシーンが欲しかったのだと言い放つ。その言葉を聞いてしまい、激高したロシェットはレーザーソードを引き抜きシーンを突き刺そうとする。だが、その時シーンは銃を抜いたキャシーを止めようとして取っ組み合いになっていたせいでロシェットの行動に気付くことはできず、KKが止めようとするも虚しく、刃は不幸にも二人を貫いてしまう。致命傷を受けたシーンは、最終的にシーンを追いかけてきたジェナスとセラに看取られる形で息絶えてしまうのだった。
「え、嘘……?」
「なんでシーンが……いやめっちゃいい兄貴分だったじゃん!?」
キャシーが死亡したためシムカは撤退を指示。結果、PAが戦いには勝利するもシーンの死は彼らに大きな影響をもたらす。シーンの死を悲しむあまり、セラはシーンを死なせたのは一人でキャシーの下に向かうことを許可したジェナスのせいだと糾弾してしまう。即座にパフに平手打ちをされ諭されるものの、その言葉はジェナスを復讐へと駆り立ててしまう。
「あわわ……」
「ラグナもだったけど、遂にジェナスまで……」
シーンの墓に向かったジェナス。そこには彼が最後に使用していたエッジバイザーの巨大な二本のエッジが墓石代わりに突き立てられており、そこに落ちていたエッジの破片をジェナスは握りしめる。そこに墓参りに現れたロシェット。彼からZEAMのデータを渡すと言われた先で、ジェナスはバグシーンたちに襲われてしまう。その行為にブチギレ、バグシーンを切り捨てていくジェナスを前にロシェットは逃亡。だがロシェットを追い詰めると、彼のバイザーを破壊し、ヘルメットを斬り捨て、丸腰のロシェットを殺そうとする。だがその手をラグナが止める。
『けどこいつだけは!こいつだけはぁ!!お前はセラから、俺からシーンを奪った!シーンを殺したお前を、俺は絶対に許さない!!』
『よせジェナ!!こいつはシシーと、シーンと、キャシーまでも死に追いやった!けどな!こいつを殺しても誰も帰ってこねえんだ!!』
『そんなの関係ない!俺はこいつを!こいつをぉ!』
『ジェナ!!』
『やめて、殺さないで……!』
必死に命乞いをするロシェット。ジェナスを止めようとするラグナ。そこに、セラが割って入りそんなことをしてもシーンは喜ばないと言う。ジェナスにも人殺しの罪を背負ってほしくないと言い、人を殺した者にとっては生きていく方が死ぬより辛いのだと言われたことでジェナスも吐き捨てるようにロシェットに消えろという。ジェナスもやっと止まってくれた……そうモモイ達が安堵したその時だった。
『……ふっ』
『てめえええ!!』
ロシェットが一瞬ジェナスの方を振り向くと、バカにするかのような笑みを浮かべていた。何も反省すらしていない、もう救いようのないその姿に完全に怒りの沸点を越えたジェナスはラグナを振り切り、今度こそロシェットを殺そうとする。だが、そこに割って入ったのはKK。ロシェットを庇うKK諸共と言わんばかりに構わず刃を振り降ろそうとしたその時。ジェナスの懐から零れたシーンのエッジの破片に映った、狂気に塗れた醜い己の顔を見て、遂にジェナスは止まることになる。
『こ……こいつは、誰だ……』
剣を手放し座り込むジェナス。それを見たロシェットはKKに今の内に武器をと言われるが、KKも遂に我慢の限界に達したのかロシェットを殴り飛ばす。KKから殴られ呆然となりながら倒れるロシェットを見ながら、KKは言う。
『……殺すなら殺してくれていい。だがセラの言う通り、こいつには死ぬよりも生きていく方が辛いんだ……許してくれなくていい、憎んでくれていい……だが一つだけ約束する……二度とアムジャケットは着ない……』
KKはロシェットの持っているZEAMのピースをラグナに渡し、アムジャケットを捨てて消える。だが、その場に残されたジェナスは人を本気で殺そうとしたという事実にショックを受け自己嫌悪に陥るのだった。
「……今更だけどさ、シシーが死んだ辺りからスロットルかかり始めてない?」
「まあこれは終盤もいいところではあるけど……」
ここまでの話を見て、ぽつりとモモイが呟く。それにユズも補足するように付け加えるとうんうんと周りも頷き始める。
「なんていうか……狂気ってやばいですね」
「最初は侵略者と戦うヒーローものやってましたなんてもう信じられませんねこれは……」
「全くです」
「むしろ最初どうなってたのか逆に気になるんだけど」
コトリの発言にケイも同意するように頷く。そんな中、ここまでの話を聞いてエイミが零した言葉にヒマリも頷く。
「ここからどうなるんだろ……」
その後、落ち込むジェナスをシャシャはデートに誘い、ジェナスは自分を取り戻していく。そこにザルディが強襲。さらにシムカがザルディを葬ろうと現れるが、ザルディはシムカをZEAMの力で消滅させてしまう。そしてPAすらも圧倒するが、ジェナスとのゼアムのぶつかり合いで痛み分けになる形で一時は撤退する。
が、再度の襲撃ではザルディに軍配が上がり、ザルディは遂に完全なZEAM、フルゼアムを獲得する。それによってジャケットはより禍々しいものに変化。両肩には不気味な目が胎動したかのような姿となり、世界中のアムエネルギーを吸収する。それはアムエネルギーで動いていた全ての機器も、バグシーンも、当然アムジャケットも機能を停止してしまうということ。
「……神、ですか……」
「力を得た人間というのはこうも傲慢になれる、ということでしょうね。いつの時代も……創作は勿論現実でも」
アムジャケットを使えないPAに戦う力はもうない。そんな中、ザルディは世界中に神の出現を宣告する。が、エネルギーが途絶えたことで様々な問題が発生したことで、不満を持つピープル達が立ち上がり抗議を開始する。それを見たザルディは腕を砲門に変形すると、膨大なアムエネルギーを発射。各地で抗議していた人たちを町諸共消し去ってしまう。こんなものが神であるものかと怒るPAは、ある希望を見つける。なんとジェナスのアムジャケットだけが稼働することが判明したのだ。バイザーや他のジャケットの残っている僅かなエネルギーを抽出することでZEAMのテクノロジーで生み出されたジェナスのアムジャケットは動かせるようにできる上に、ザルディの長距離射撃もインターバルがあることがわかり、その間にザルディを攻撃する最後の作戦を開始する。
他のアムドライバー達も辛うじて使えるように調整された武器を手にし、ジェナスはもう一振りの剣としてシーンの遺したエッジの一振りを手にし最後の戦場へと向かう。道中のバグシーンとの戦いで皆はジェナスを先へ行かせるために一人、また一人と消えていく。遂にジェナスは一人だけとなり、ニルギースの犠牲によってザルディが持つフルゼアムのデータを手にしたジェナスもまたフルゼアムに至りザルディとの決戦を開始する。
「これがジェナスのフルゼアム……」
「凄いです……」
フルゼアムへと至ったジェナスの背中からは白い光の翼が出現、激しい空中戦が行われる。神の力を手にしたジェナスに共に生きようと誘いをかけるザルディ。一度は負け、意識が沈みかけるもシーンの言葉を思い出したジェナスは誘いを断る。神になろうとは思わない、ピープルの未来を守る、散っていった仲間達が望んだ未来のためにと言い、再度激突する。そして戦いの末に奇跡は起こる。
『やっちゃるぜぇええええ!!』
ジェナスの咆哮と共に二つのフルゼアムが輝く。直後、世界中に光が降り注ぎ消えたアムエネルギーが復活。引き換えにフルゼアムジャケットが崩壊。大地も砕け、落下したジェナスは岩壁に剣を突き立て、もう片方の手でザルディを掴む。落ちれば助からない状況でザルディは無理に自分を助けようとすればお前も死ぬぞと警告する。だが、
『もう、誰も死なせない……』
『私は敵ではないのか』
『敵も味方もない……俺はもう誰も死なせたくないんだ……俺はもうあなたと戦ったりしない……この力は、戦いの為だけにあるんじゃないんだ……』
『……ふっ、だからお前は甘いと言うのだ……』
『ガン・ザルディ!?』
最終的にザルディは自ら手を離す道を選ぶ。落下しながら、涙を浮かばせつつザルディは考えていた。
『甘いから理想が描ける……かつて私もそうだったように……だが、どこかで道が分かれた……間違っていたというのか……ジェナス、もっと早くお前に会っていれば、或いは……』
その言葉を最後に落下し溶岩の中に消えるザルディ。ジェナスも手の力が抜け、落ちそうになる。だが、その手をラグナが握る。それだけではない、ラグナの後ろにはセラ達の姿もあったのだ。そして、ジョイたちの下に帰還するジェナス。そして、全世界に、世界を救ったPAの雄姿が報道され、戦いを終わらせたジェナスは両親が待つ家へと帰るところでGet Ride!アムドライバーの物語は終わるのだった。
「お、終わったんだね……」
「……凄い楽しかったけど、途中から重いよ!?」
「だがメカに関しては素晴らしかったじゃないか。とはいえ最後までバイザーが見たかったのはあるんだが……」
「アリスはジェナスのフルゼアムが格好いいと思いました!」
「光の翼ですね」
視聴を終え、疲れた様子で脱力する面々。アムドライバーを夢中になって見たことでその話の内容は勿論だが、ジャケットやバイザーを始めとするメカについても惹かれる部分は多かったようだ。
「……神の力、ですか」
モルフォと彼女に凍ったペットボトルを渡されながら話をするエイミの二人の様子を見ながら、ヒマリも常温のお茶を喉に流しながら考え込む。これはアニメ、創作だ。だからこそゼアムの力はアムテクノロジーの行きついた先であり、あくまでそれを神の力と比喩しているに過ぎない。だが、ヒマリはついつい考えてしまうのだった。
以前、活動報告に書いたモルフォ達のプロフィールについて、対策委員会編第三章が終了したことに合わせて一部内容を更新しておきました。
今後もメインストーリー終了後、その内容次第で更新したりしなかったりします。