転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「それにしても、凄い準備しますね?これだけたくさんの機材……どこに行くんですか?」
「ああ、アリウス自治区だよ」
その日、ミレニアムではトラックに色々な機材を積み込みエンジニア部と、それを手伝うモルフォとアリスの姿があった。
「アリウスですか?それって以前行った……」
「そうそう。アリウスの復興の方はシャーレでやっていたようなんだけど……」
「先生からミレニアムの力を借りたい、と言われましてね。それで機材などを持っていくことにしたんです。とはいえ私達がやるのは瓦礫の撤去とかそういう方面になると思いますが……」
アリスの疑問にヒビキとコトリが答えていく。その回答にふーんと納得しながら荷物を運んでいたが、ふとコトリが疑問そうに首を傾げる。
「でも、なんで今なんでしょうね?復興にも様々な形はありますが、瓦礫を撤去するとかそういうのは最初の方に一気にやった方がいいと思いますが」
「それはまぁ、アリウスが排他的だったからじゃない?先に向こうが尻尾出したとはいえミレニアムはアリウスから見れば殴ってきた相手なわけだし……まあそこらへんのヘイトとか全部ベアトリーチェが持っていったっぽいけど」
何故今更になって支援をしてきたのだろうか。モルフォも首を傾げるものの、それっぽい理由を考える。実際はシャーレの名前をミカが借りて事実上トリニティが支援していただけなのが実情で、定期的にミカやアリウススクワッドから話は聞いているものの実際に先生が現地で確認をしたのがつい最近というだけの話なのだが、ミレニアムの生徒である彼女達がそんなことを把握しているわけは当然ない。
「そういえば行くのってエンジニア部だけなんですか?ネル先輩に連絡してもいいような」
「健康状態とかそういうのを見たいというのもあってスミレも同行することになっている。で、ネルに関しては一応聞いてみたんだ。ミレニアムで一番アリウス自治区を知っているのは彼女だからね……まあ、戦いに行くわけじゃないならわざわざ警戒させる意味はないだろって断られたが」
「ありゃ、そうでしたか」
やれやれと肩を竦めるウタハ。だがネルの意見も尤もだろう、以前アリウス自治区にカチコミをかけた時は最前線でアリウス生達を相手に大暴れを演じたのだ。行けば警戒される可能性を考えるのもある意味当然といえるだろう。
「……なら君達が来るかい?」
「えっ」
「私達が、ですか?」
と、ここでウタハは何かを思い付いたようにモルフォ達に声をかける。それを聞き、アリスの中からケイの人格が出て困惑した様子で答える。
「私達はともかくモルフォも大暴れした側では……」
「そんな……私なんて先生を守ったりベアトリーチェに瓦礫ぶち込んだりアツコを助けたぐらいしか……」
「まあそれはそれとして、護衛もだし、それにゲーム開発部なら今のアリウスに面白いものを紹介できるんじゃないか?」
『「「……」」』
モルフォとケイが顔を見合わせる。そしてすぐに、
「それは面白そうですね」
「ええ、悪くないのでは?モモイ達にも手伝ってもらって何がいいか探してみるのもいいのではないでしょうか」
お互いにそれは良い案だと頷き合う。その様子を見ていたウタハは笑みを浮かべる。
「先生には私の方から言っておくから、皆と少し話してみるといい。半日ぐらいなら待てるからね……ああ、無理はしなくてもいいよ。急に言い出したことだからね」
「わかりました、でも頑張って皆で考えてみますよ」
モルフォはそうウタハに答えると、モモイ達にメッセージを送るのだった。
★
半日後、モルフォ達は数個のケースを持ってエンジニア部とスミレと合流していた。それを持って一行はトリニティに向かう。
「……ここからは徒歩か」
「ここはまだ車両も入れるんだけど……カタコンベのルート次第では車も入れないような細い道になっちゃうからね。あんまりお勧めできないかな」
「そうなんだ……」
「まあ、だからこそアリウスは続いていた、ともいえるんだけどね」
カタコンベの入り口で出迎えてくれたのはアツコとサオリ、そして数人のアリウス生達だった。ここで機材などを下ろしてそれぞれ持ち運んでいく。
「……それにしても重くない……?」
「そうでしょうか?」
「アリスちゃんは力があるからね……」
「……?なんか前来た時より地面が整備されているような……」
「ああ……」
ふと、荷物を背負ったり押したりして歩いていたユズがカタコンベの中を見てあることに気付く。以前まではアリウス生がトリニティやゲヘナの攻撃から逃れ、自らを守るために利用していたカタコンベだが、今はシャーレの援助を受けるため、カタコンベも開通している部分は移動がしやすいようにある程度の整備がされていた。
「行き来はしやすいように軽くだが整備はしておいたんだ。大体は整備も終わったはずだ」
カタコンベは定期的に構造が変わるという不思議のダンジョンのような特性を持っている。そのため、共通する部分を掃除しておけば構造が変わってもそれは反映されるという利点もあるのだが、逆を言えば手つかずの部分が出ることもある。その度に物資運搬のために整備を細かく続けていったのだろう。その成果は着実にだが出てきているようだ。
「でもモルフォ達も来てくれたんだ」
「うん、先生は?」
「自治区の方にいるよ。色々あって……やっとテストも終わったからね」
「テスト……ああ」
「……おそらくだがお前たちが考えているのとは違うと思うぞ……?私達でもあれはおかしかったと思う程だからな……」
テストと聞き、定期テストはアリウス生からしたら初めてだろうし大変だっただろうなとモルフォが呑気に考えていると、サオリがどこか遠い目をしてくることに気付く。
「んーとね……終末論って信じる?」
「週末?私は好きだよ」
「モモイ、それは一週間の終わりの方でしょ。アツコが言ってるのは……世界の終わりとかそういう?」
「そうそう」
サオリの様子にモルフォ達が首を傾げていると、アツコが説明を始める。まず、その前提条件として終末論について聞かされる。世界の終わりに関する話自体はモルフォも知っているが、自分の知識とアツコの言っていることが一致しているかはわからない。そのためアツコに続きを促す。
「そういえば前言ってた……」
「まあね、でももう話してもよくなったから……まあ、簡単に言うと七人のラッパ吹きの天使が世界を滅ぼすっていうお話」
(ヨハネの黙示禄……?)
ラッパ吹きというのは、黙示禄のラッパ吹きと呼ばれる七人の天使達を示す。ヨハネの黙示禄に登場する、災害の前触れを告げる存在なのだ。神の御前に立つ七人の天使達にラッパがそれぞれ与えられ、順々に吹かれると、それを合図としたようにあらゆる災害が地上に起こるという。
最初のラッパで血の混じった雹と火が地上に降り注いで地上の三分の一と木々の三分の一と、全ての青草が焼けてしまう。その後もラッパが吹かれる毎に海の生き物の三分の一が死滅する、水の三分の一が苦くなり多くの人が死ぬといった出来事が判明したり、太陽や月の三分の一が打たれると、正直最初の一回の時点で滅びかけのような気がするがドンドン世界をオーバーキルしていくかのような厄災が発生していくのだ。
(なんかもう世界がコロニーでも大量に落としてらっしゃる?ってなるような有様になるんだっけ……いやよく大丈夫だったな)
「あの紅い空の後、終末論……黙示禄に似たような話があったよねって話題になっちゃって。で、そこに先生がトリニティからテストを貰って、アリウスの皆にそれをやらせようとしたんだけど」
「……早くない?」
学校として復興させるならいずれテストを受けさせたい、という思いはわかる。わかるが、学校として大変な状態でやっと地に足が付き始めたSRTに定期テストなんて見せたら今はそんな余裕ありません!って一蹴されてまるで機能していない状況を考えれば、人数面こそ恵まれているとはいえ環境はやっと復興し始めたアリウスにいきなりテストなんてやらせるようなことではないと正直思ってしまう。まあ、そこは先生やトリニティの思惑も色々あるのだろうと流しながら、モルフォはアツコを見る。
「うーん、今思うと早すぎたかもね。皆、美味しいものを食べたり楽しく生きたりするために必要なことを学ぶのは幾らでもやるけど、何の意味があるかもわからない、役立つかどうかわかんないことを勉強して楽しいって思える人ばかりじゃないし」
「あー、わかるわかる。これ将来何の役に立つのっていうこととかいっぱいあるもんね」
モモイがうんうんと頷く。だが、アツコの言いたいことはなんとなくわかった。勉強をしたくない生徒達が現実逃避に黙示禄を話題に出してしまったのだ。無論、彼女達とて本心から黙示禄のことを話題に上げたわけではないだろう。それこそ勉強嫌いの学生なら一度は思うような、テストやりたくないから学校休みになれという願望。それが無駄に拡大解釈されて生まれた世界が滅んでしまえばいい、みたいな妄想。だがそれをアリウスでやってしまったのがよくなかった。
結果、アリウス生達の戯れ、現実逃避で話題に上がっていた黙示禄は定期テストと繋がる形で内容が捻じ曲がり、世界が終わればテストを受けなくて済むというとんでもない理屈へと昇華され、七人の天使が顕現したのだ。
「……あの天使達は手強かったな……」
「まあ、あれでも多分、本来の形じゃないから弱かったんだろうけどね……皆、こんなことするつもりじゃ……ってなってたし」
天使達と実際に戦ったであろうサオリも遠い目をしており、アツコも苦笑する。おそらくだが天使を呼ぶに至った生徒達も本気で呼ぶつもりはなかったのだろう。おそらくは天使が出る可能性すら考えていなかったに違いない。が、そんな気の迷い故か本来の天使達よりは弱く、なんとかアリウスの面々は先生の指揮の下倒すことに成功したようだ。
「……あれのせいで勉強を真面目にしないと天使が来てアリウスを壊しに来るなんて新しい噂が生まれちゃったけど……まあ、今は影響ないしいいか」
「いいのかなそれは……」
まあアツコが大丈夫と言えば大丈夫なのだろう。どのみちモルフォ達はアリウスのことなどあまり知らないのだしどうこう言うこともない。
「で、テストも終わってまたこんなことにならないように、これを機に環境を一気に変えようって感じ?ほら、病は気からって言うでしょ?」
「そ、そういうものかな……まあ、テストが終わったからパーッとってのはあるか」
「そういうこと」
そして、ここまで実質トリニティが主となって行っていたアリウスの復興にエンジニア部などが呼ばれたのは新しい流れを取り入れたいという意味もあってのことなのかもしれない。
「……ついたよ、アリウス自治区」
雑談を続けているうちにアリウス自治区に辿り着く。だが、そこはかつてモルフォ達が入り込んだ時と比べて様変わりしていた。瓦礫などはまだ残っている場所も多いが、無事そうな建物は修復された後が見えており、大きなテントなどが点在している。他にも、巨大な倉庫と思われる場所には数人のアリウス生達が見張りとして立っている様子が見える。
「凄く変わりましたね!」
「ベアトリーチェが統治していた時と比べて大分マシにはなったと思うよ」
「確かに生活感ある……」
ヒビキの言葉に頷く一行。そして機材などを運び込んだエンジニア部は、開けた場所に移動する。そこで台車などを使って運んできた巨大な箱の数々から機材やパーツなどを取り出していく。それらを組み立てて簡易的な重機を作り出していく。
「これって……随分小さいけど、ゴリアテ?」
「確か、カイザーが持ってたパワードスーツだったな」
「あんな大型じゃないさ。それに、小型のパワードスーツならミレニアムは既に存在しているんだ……というかこれ、リオが作ったままエリドゥに押し込んで忘れ去られていたアビ・エシュフのプロトタイプを全部貰ってきたわけだが」
「……まあ、性能を求めなければ小型のパワードスーツならば十分作れるでしょうね……って、プロトタイプ?」
アビ・エシュフNの事を思い出しながらケイは頷く。あれは初代アビ・エシュフという雛形こそあれど、実際にそれをメインとなって作り上げたのはエンジニア部だ。だが、そのアビ・エシュフにもプロトタイプがいたとは。
「これは戦闘に特化したもの、というよりは汎用性が高いタイプですね。あくまで基本フレームや素体といったところでしょうか。ただ、規格諸々を見るに量産を視野に入れていた痕跡はありますね」
「多分だけど……いずれはアビ・エシュフを一般配備して使わせる予定があったんじゃない?」
「そうなの?」
「結局トキに特化したカスタマイズをした一機のみがロールアウトしたことから汎用性より個人に合わせる方がいいと判断したんだろうね……まあ、同じ量産型を並べるならAMAS強化して並べた方がいいだろってなるのはそうなんだが……今だと千年の守護者ももうじき択に入るし。まあそんなわけで使おうとしたら力仕事の補佐とかにしか使えないわけなんだが……」
「ミレニアムでこういうことやるなら普通に重機やらロボットやら使いますからね」
素体であるプロトタイプを調整してトキに合わせた形に仕上げていく。その繰り返しで今のアビ・エシュフは生まれたのだろう。そういう意味ではトキの一機が完成した時点でお払い箱になっていたのだろう。
「ふむ……見たところ、健康状態に問題はなさそうですが。栄養状態も少し細身で気にはなりますが、動きとかを見るに運動もちゃんとやっているようです」
「身体を動かすってことに関してはアリウスならいくらでもやってるからな。戦闘訓練は日常的に行われていたが……しかし、栄養か。救護騎士団の団長……蒼森ミネだったか、彼女も気にしている様子ではあった。栄養食というのも外には色々あるものだな」
「トレーニング用の食事とかも沢山ありますし、プロテイン等であればお勧めを紹介できますが。後はトレーニング用の機材も」
「そ、そうか……」
ゲーム開発部も部品を運んだりしてエンジニア部を手伝っている中、スミレが視界に見えるアリウス生達の体つきを遠目から見ていく。それを見てサオリが答えると、スミレが食いついた様子で色々話始める。トレーニングそのものにはある程度関心を持っていたサオリもスミレの熱弁ぶりには思わずたじたじになってしまう。と、そんな中、そこに先生が現れる。先生はヒヨリやミサキ、そしてスバルやマイアを連れて近づいてくる。
「やあ皆、待ってたよ。急に頼んでごめんね」
「いや、気にしないでくれたまえ。私達としても戦闘以外でこれを使う機会がやっと出てきて色々楽しみなんだ」
「では説明しましょう!このパワードスーツは強度や出力の問題で戦闘にはとても使用できないものです!しかしその真価はアームを換装することで作業用の重機として―――」
「……ぜ、全然わからない」
「うわぁん!なんか凄い専門的なことばっかり言ってます!!」
早速と目を輝かせて説明を始めるコトリに思わず引き気味のアリウス生達。ウタハもやれやれと肩を竦める。
「コトリ、説明は一旦後にしようか。組み立ても終わったし作業を始めようじゃないか」
「あ……お久しぶりです、皆さん」
「マイア、久しぶりだね。元気だった?」
「あ、はい!えへへ……あの後、トランプとか色々持って帰ってみたら皆楽しそうにしてくれて……ゲームのこと、教えてくれてありがとうございました」
マイアはモルフォ達の姿を見つけて嬉しそうに駆け寄ってくる。その姿を少し意外そうに見ていたスバルだったが、同時にゲーム開発部の方を何をしてくれたんだと少し言いたげな視線を向ける。どうやらアリウスの勉強嫌いの一員にはマイアを通じて布教されたアナログゲームの影響もあったようだ。
「これ!色々持ってきたよ!」
「色々入れてるよ……トランプ、麻雀、バックギャモン、チェッカー、ルドー、マンカラ……」
モモイがマイアにダンボール箱を渡す。その中に入れたアナログゲームの数々をユズが伝えていく。マイアが目を輝かせ、ヒヨリが興味深そうにそれを見る中、作業が始まる。
「ケイちゃん、パワードスーツって実際に動かすとこんな感じなの?」
「アビ・エシュフとは違いますがね。まあ、似たようなものだと思っていただければ」
「パワードスーツなんて動かす機会なんかないから凄いワクワクするよね!」
「確かにこういう機会ないよね……」
「やってること自体はただの瓦礫撤去だけどね。建物の建造とかはいいんです?」
「それは別の人達に任せているから大丈夫だよ」
分からない所をコトリに説明して補佐してもらいながらパワードスーツを動かしていくモルフォ。その近くでは初めて操縦するパワードスーツにワクワクしながらも四苦八苦しているモモイ達の姿が見えていた。エンジニア部も別の作業に取り掛かる中、モルフォは瓦礫をどけると、その下から変なものが出てくる。
「なにこれ?」
「……鍋?……でかくない?」
「……凄いの出てきたね」
それは、巨大すぎる鍋であった。それを見たアツコも驚いたようにそれを見て、
「それは実際に使われなかったけど拷問に使うためにベアトリーチェが用意したものだよ」
「えぇ……」
「えっ、人を茹でようとしてたの?マジで?」
「でも未遂で済んだんですよね?」
「……面倒だし火傷とかやりすぎると動けなくなって戦力にならなくなるからね。後そもそも薪の無駄」
「……世知辛いなぁ……いやそもそも使うなって話なんだけど」
それがどういう道具なのか言う。本当に使われたことはないと聞いて安心したものの、このデカすぎる鍋をどう使うのか。デカすぎて使いようがないんじゃないかと思ったその時。
「……芋煮でもする?」
「これで!?」
「いや、調理器具どうするのモルフォちゃん!?というかなんで芋煮!?」
「まあ、芋は保存が効くからそこそこあるよ?でも……さすがにこれは鍋が大きすぎるんじゃないかな……」
「こいつを使って調理すればいいのでは?まあもっと綺麗にして調理に使っても問題ないようにしないと駄目だけど」
モルフォが思い出していたのは前世であった、ショベルカーをお玉代わりにして芋煮を作るイベントである。当然ショベルカーを使う程のサイズだ、目の前にある鍋以上に大きい。そこは重機と小型パワードスーツの差は出てくるだろうが。
「でも大きな料理はやっぱり見てるの楽しいよね」
「わかる」
「面白い話をしているようじゃないか!パワードスーツで芋煮とは!」
と、その話を聞きつけたウタハがワクワクした様子で近づいてくる。そして、あれやこれやと話が広がっていき、ウタハ達は予備で持ってきた新品のバックホーを取り付けたアームをケースから取り出すのだった。
★
衛生面にちゃんと配慮したバックホーで巨大な鍋を掻き回すモルフォ。アリウスを支援するにあたって、衛生面は特に注意するべきポイントだとミカ達も思っていたのか、消毒液を始めとした支援物資はそこそこ揃っていた。そのため、無事に調理に使えるようにしたアームで鍋を掻き混ぜていたが、それを興味深く見つめるアリウス生達の姿があった。
「うわわ……なんか凄いことになってます」
「……なんでこんなことになってるの?」
「さあ?でも、面白そうじゃない?」
ヒヨリとミサキが困惑しているのを尻目にアツコが面白そうに笑う。サオリとスバルは呆然とした様子を見せていた。
「あの子達は何をしているんですか……?」
「さあ……?」
「でも、美味しそうな匂いがします……」
「うん、あんな大きな鍋で鍋なんて楽しいよねきっと」
「ええ、力が入っていていい動かし方です」
先生やスミレもモルフォ達の様子を見守っていたが、やがて芋煮が完成したのか、
「……ふぅ。完成だー!」
「完成です!!」
「こんなバカみたいにでかい鍋なんて初めてだよ!」
「うわ……凄い」
「……どんな味なんだろこれ」
アームを鍋から上げて、モルフォは汗を拭う。そして完成した芋煮に、アリウス生達が次々と近づいていき、完成された料理を味わっていく。エンジニア部やゲーム開発部も一体どんな味になるのか、興味津々といった様子で口に運んでいく。そして、
「「「美味しい!」」」
(ちょっとノリでやろうとしたらできるようになっちゃったけど……現物もこんな味だったりするのかな?これなら一回行ってみても良かったかもしれない……ま、今更関係ないし別にいっか)
皆で舌鼓を打つ。なお後日、このことを風の噂で聞きつけた美食研究会がアリウス自治区に入れないか悪戦苦闘しつつ結局カタコンベを越えられなかったりするのだがそれはまた別の話。