転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
銃声が鳴り響く。それをシールドで受け止めながらモルフォは追撃を警戒する。直後、予想した通りにネルがサブマシンガンから実弾を乱射しながら突っ込んでくる。弾を受け止め、ネルの跳び蹴りをタイミングを合わせて弾き返すも、そのままネルは空中で一回転しながら弾を撃ちこんでくる。モルフォはそれを横っ飛びに避けると同時に、
「ミドリ!」
「取った!」
「甘いんだよ!!」
ミドリがライフルの弾を撃ちこんでくる。しかしネルはそれを両手のサブマシンガンを繋ぐ鎖で受け止めて防ぎながら、着地しつつ奥のミドリを攻撃する。慌ててミドリがその場から退こうとしたその時、その肩にどこかから飛んできたライフル弾が突き刺さる。
「痛っ!?」
「……頭を狙ってたんだけどな」
『うわわわわ!?』
『や、やばい……!』
『うわーん!これまでよりガンガン攻めてくるせいで全く攻撃できません!!スーパーノヴァが盾にしか使えません!!』
ミドリが肩の痛みに呻きながら物陰に隠れる。直後、奥の建物の中から銃口だけを出していたカリンが感心したように呟いた直後、別の所で戦ってたモモイ達の悲鳴が響いていく。
「……カリン!今何分ぐらい経った?」
「……五分」
「へぇ」
この日、エリドゥの一角でゲーム開発部はハンデを捨てたC&Cにボコボコにされていた。絶対に被弾してはいけない、弾もゴム弾を使用していたせいで嫌でも威力と速度を抑えられていたこれまでとは異なり、行動不能になるまでなら被弾しても許される、弾も本来の弾を使ってもいいという本気状態のC&Cに防戦一方になっていた。だが、そんな本気のC&Cが相手でもゲーム開発部は今の時点で五分保っており、多少被弾はしつつもまだまだ余裕があるように見えた。
「面白れぇ……もっとやれるよな!お前ら!!」
「カリン先輩が建物からこっちを狙撃している……なら!!」
ネルがモルフォに襲い掛かる。カリンが援護射撃を入れ、モルフォがそれを身を捩って避けるとそこを狙ってネルが再び弾を撃ってくる。シールドで受け止めながら物陰の方に後退していくモルフォ。そこはミドリが逃げ込んだ場所だが、ネルは敢えて誘いに乗り、モルフォを追いかける。その背後ではカリンがスナイパーライフルを構え、ネルがモルフォ達の策を食い破り物陰から追い立てるのを待っていた、その時だった。
「アリス!!」
『はい!!』
「……なっ!?」
「ミドリ!カリン先輩が出た!!」
カリンが入り陣取っていた建物の下の階層が別の場所で戦っていたアリスのスーパーノヴァの最大チャージによってぶち抜かれ崩れていく。不安定になり崩れていく建物の屋根からカリンは慌てて外へと飛び出したその時。物陰から飛び出したミドリがカリンを狙う。
「やらせるか―――ちぃっ!?」
モルフォ達の狙いがカリンだと気付き、ネルがカバーしに入ろうとするがその目の前にモルフォが立ちはだかり、足をシールドで受け止める。
「そこだー痛っ!?」
「ぐっ!?」
カリンの右手に弾が突き刺さる。しかし、ミドリもカリンが放った弾丸を額に受け、そのまま後ろに倒れてしまい、そのまま意識を失ってしまう。
「ミドリ!?」
「カリン!」
「っ……右手をやられた。戦闘自体はできるが……精密な狙撃は無理だ」
「……もう下がってろ、戦闘ならともかく組み手で狙撃手が利き手やられた時点で半分負けたようなもんだろ」
モルフォから距離を取ったネルがカリンを見る。カリンが右手を軽く握っては開いてを繰り返していたが、先ほどのミドリの攻撃のせいで痺れてしまったようだ。戦闘そのものは続行できるものの、狙撃手としてはやられたのは事実。ネルの言葉に無理をする必要もないかと肩を竦めると気絶したミドリを抱えてその場から離れていく。と、
『アリスを撃墜しました。カリン先輩を不意打ちで仕留めたのは良かったですが、そのせいで盾役が消えたのは痛手でしたね』
『トキちゃんもユズちゃん達の攻撃を食らって結構ボロボロですが……』
『倒れていないので負けじゃありません。ついでにモモイとユズ、残機で復活したケイも仕留めておきま……うっ!?』
『あはは、すっごく無理してるー!ほら足が小鹿みたい!!』
『い、今脇腹は……あう』
二手に分かれて戦闘していたアリス達のグループの方が全滅したという報告が入る。どうやらモルフォの合図で、盾に使いながらもチャージしていたスーパーノヴァをアリスが攻撃に回したタイミングを利用してトキが特攻をかけ、一気に制圧したようだ。その代わりトキもトキで満身創痍な様子であり、一人で三人と深手を負った一人を相手どるのはモルフォも不可能と判断して降参するようにその場に座り込む。
「……今更だけどもうちょっと基準決めた方が良かったろこれ」
「今まではネル先輩達は一発の被弾で終わってましたからね。今回のトキみたいに無理して突っ込んでまとめて制圧がまかり通るのは……いやまぁ場合によっては多少被弾してでも強引には理に適ってるとは思うんですが」
「それ自体は別に否定はしないけどな……ま、あのバカみたいになるまでやるのも違うわな。まあそれはそれとして……やっぱ思った通り、手加減なんか必要ないな?」
これ以上戦う気がないモルフォの様子を見て毒気が抜かれたネルも頭を掻きながらぼやいていたが、次第にゲーム開発部の戦いぶりを思い出したのか口元を釣り上げる。
「こっちは毎回きついんですがね。それにネル先輩達も随分ギア上がってる気がするんすけど……やっぱり弾の違いですか?」
「別にそんだけじゃねえよ。強くなってるのがお前らだけだと思うなよ?」
「それは……っと。とりあえず、皆の怪我でも見ますか……」
「だな」
そして、話をしながら倒れた皆の手当てに向かうことにする。その途中でモルフォは、戦闘ではないのだからある程度ルールは必要だよね、と改めて考えるのだった。
★
倒れたゲーム開発部の面々の手当てを終えて部室に運び、そのまま寝かせる。ひとまず皆が起きるまでどうするか考えていたが、これでは皆で遊ぶこともできない。そんなことを悩んでいると、絆創膏や包帯を巻いたトキの姿が目に入る。
「大丈夫?トキ」
「この程度、何の支障もありま……っ」
「無理しないの」
「……わかりました、休みます」
「トキ、お前なぁ……」
「まあまあ、素直でいいじゃないですか」
モルフォに聞かれ、問題ないとアピールするように両腕を上げるが、痛みに思わず顔を顰めてしまい、右腕を押さえてしまう。モルフォが心配そうに顔を覗き込み、素直に休むと口にしたトキに思わず呆れるネル。
「じゃあ皆が起きるまでどうするのー?」
「どうするって……なんか不完全燃焼なんだよな。結局あたしは誰も倒してねえし。なんかこう……爽快感があって気持ちいい奴とかないのかよ?」
「うーん……ゲームは皆起きてから……いやでもトキの腕のことを考えたらあまり酷使できないし……じゃあさっくり見れる奴いきますか」
そう言うと、BDを一枚取り出す。それを入れると、アニメが流れ始める。
「これは?」
「マジンカイザーSKL……まあ、見ればわかりますよ」
マジンカイザーSKL。それはマジンガーZをリメイクしたOVA作品、マジンカイザーから始まるマジンカイザーシリーズの最新作にあたる作品である。しかし、それまでの作品との繋がりは存在せず、主役ロボのデザインや主要なキャラなど、ほぼ全てが本作オリジナルの設定となっているのが特徴だ。
作中世界の日本近海、重力カーテンで包まれた奇械島では八稜郭、キバ軍、ガラン軍の三勢力が割拠しており、互いに争っている。そんな中、この島に設置されていた重力炉が重力崩壊を起こしかけている事を知らせるファイナルアラートがきっかけとなり、国際機関WSOは重力炉を止めるため、スカルフォースを奇械島に派遣。先んじて突入したデスカプリース隊に続き、グレンファルコン隊が荒れ狂う暴風雨の中、奇械島へ突入しようとしていた。
『海動と真上の部隊だろ。てめえ、奴らを知ってんのか?あの二人はまともじゃない……死神、疫病神、戦場で髑髏を拾う者、地獄への水先案内人。それらが傭兵時代に付けられた奴らのあだ名だ。その意味は敵に対してだけじゃないらしい……作戦は成功させるが、生きて戻るのはいつも二人だけ、組んだチームは必ず全滅だってよ』
グレンファルコン隊の隊員の不穏な会話を、赤髪の女性、スカーレット・ヒビキがぴしゃりと打ち切り、喝を入れる。そして、隊員たちの不穏な会話を聞き、不安がっていた技術士官の女性、由木翼をスカーレットが緊張をほぐすように話しかけると、奇械島を覆う重力カーテンに突入する。直後、島で行われている戦闘の流れ弾がグレンファルコン隊を襲い、翼以外の全員が全滅してしまう。
「いきなり全滅したけど?」
「おいおい……いきなりフルスロットルじゃねえか」
「さっくりって……」
「こっからですよ?」
翼は乗っていたカーゴシップの中からレディファルコンとよばれる飛行ユニットで辛くも脱出。しかし、レディファルコンから降りた彼女の目の前で広がっていたのはキバ軍とガラン軍の大混戦。
「おぉ……」
殺し殺されの大混戦。その中でキバ軍のロボットに狙われた彼女を救ったのは、マジンカイザーSKL……作中ではカイザーと呼ばれる禍々しく巨大な漆黒のロボット。悪魔のような風貌で巨大な牙斬刀を持つ魔神を見た翼は意識を失ってしまう。
「最初は重いのかと警戒しちゃいましたが……なんかそういうわけじゃなさそうですね」
「ああ……少し安心した」
「どっちかっていうととにかくバトルバトル!な感じ?」
「まあ大体アスナ先輩の言う通りですね」
「ふむ……」
その後、スカルフォースが奇械島に向かうことになった経緯の説明が終わると、八稜郭、キバ軍、ガラン軍の戦闘シーンに入る。八稜郭は女性型ロボットを使って本拠地を守っており、キバ軍は怪物のような見た目のロボットを操っており、ガラン軍は兵士のような姿のロボットを使っていた。そこに現れたカイザーは海動と真上が操縦を切り替えながら戦うという特殊な操縦システムで動いており、海動が動かしている時は牙斬刀を用いた戦闘を、真上が動かしている時は胸部のブレストリガーを分離させ二丁拳銃で戦う。
「……イカすじゃねえか」
「あー、部長絶対こういうの好きだよね」
二人が乗る機体、カイザーのスピーディで、かつスタイリッシュな戦い方にネルも段々笑みが零れてくる。ブレストリガーを軽やかに扱い、敵を次々と撃ち抜いていき、しかも弾のリロードすら流れる動きでこなしていく。戦闘はキバ軍の統領、キバのパワーに秀でており、クローラー部で高い機動力を確保している爆劉鬼とガラン軍の統領、ガランが乗るガイストテレスが顔を見せ合うかのように同じ戦場に現れると、本拠地を留守にするリスクを考慮してどちらも去っていく。
その後、キバ軍が手に入れた女たちを侍らせる光景にカリン達のキバ達への好感度が下がる一幕があったものの、キバ軍は再び八稜郭に攻め込もうとする。一方、翼は女性だけの集団である八稜郭に保護されており、そのリーダーであるアイラ達と事態の解決のための協力を取り付ける。そして、遂にキバ軍と八稜郭の決戦が始まる。八稜郭が徐々に不利になる中、地面がひび割れカイザーが出現。髑髏型のパイルダー、スカルパイルダーがパイルダーオンすることでカイザーが目覚め、挨拶代わりに両腕を射出、トルネードクラッシャーパンチでロボット達を薙ぎ倒すと、八稜郭のロボットを下がらせるように真上が翼に言う。だが八稜郭はカイザーの力を信用しておらず、戦場に残ったばっかりに敵味方関係なく破壊の限りを尽くすカイザーの暴力に巻き込まれてしまう。
「うおおおお!」
海動の荒々しくも大胆な戦い方、真上の高速戦闘、まさに戦闘での格好良さを突き詰めたようなカイザーの無双シーンに色々な感想が吹き飛んでしまう。そして、一気にキバ軍を全滅させたカイザーを前にしたキバは寧ろわくわくした様子で刀を抜くと、真上も刀は任せると言い、コントロールを海動へと渡す。
『戦うことでしか生きている実感を掴めないもの同士!』
『仲良く殺し合うのも悪くねぇ!!』
『ごたごた抜かすんじゃねえ!!』
激しい得物のぶつかり合いをカイザーが制すと、キバはクローラー部から降りると肉弾戦を仕掛けてくる。しかしそれすらカイザーが制すと、牙は奥の手の触手でカイザーを捕縛し一時は有利に立つも、カイザーは拳を射出して牙斬刀を触手を切りながら回収する。
『なんだと!?』
『神に会うては神を斬り!』
『悪魔に会うてはその悪魔をも撃つ!』
『戦いたいから戦い!』
『潰したいから潰す!』
『『俺達に大義名分など無いのさ!貰ったぁ!』』
そして、一気に爆劉鬼を両断、キバを葬ってしまう。地獄で待ってるぜと言いながら爆発に呑まれるキバ。だが、炎の中で真上たちは呟くのだった。
『地獄で待っていても無駄だ』
『『俺達が地獄だ』』
その呟きと、キバ軍を一夜にして壊滅させたカイザーの姿に八稜郭は驚愕するところで一話が終わる。
「……かっけぇな」
「部長それしか言ってなくない?」
「うるせぇな……恰好いいからいいじゃねえかよ」
「まあ格好いいですからねマジンカイザーSKLもこの人たちも」
「でも、そこまで重めな感じはしないでちょっと安心しましたね」
「ああ……キバとかいう奴が出てたから、な……」
「ちなみにこの人達善人側ですからね。公務員みたいなものですし」
「うっそだろ」
「ネル先輩みたいですね」
「あぁ!?」
続く第二話。キバ軍が倒れ、残る勢力は八稜郭とガラン軍のみ。キバ軍の残党勢力を皆殺しにした後、キバ軍の砦の遠隔制御装置を停止させた翼は八稜郭に向かう。八稜郭がガラン軍の総攻撃を受け、それを見た翼はあるものを取りに行く。そんな中、翼と別れた海動達はガラン軍の本拠地に向かい、スカルパイルダーで強襲。さすがに敵の守りも厚く、中々近づけないスカルパイルダー。ならばとなんと海動はスカルパイルダーを飛び降りて本拠地に入り込むと次々と敵兵を薙ぎ倒していく。圧倒的な実力で兵士たちを薙ぎ倒し、ガラン軍の統領であるガランの前に辿り着いた海動はガランと激しい一騎打ちを演じる。互角に渡り合う二人だったが、スカルパイルダーを見たガランは海動にここで死なれるとカイザーと戦えないことを残念がり、ロボットに乗れと言い刃を収めてしまう。それを受け、海動達もカイザーに乗り、ガラン軍のロボット達を一掃していく。そして遂に現れたガランの駆るガイストテレス。だが、ここで真上の様子がおかしくなる。
『運命……か』
ガランと決着を付けようとする海動だったが、真上の自分にやらせろという発言を聞き、真上に操縦権を渡したままにする海動。だがガイストテレスとの戦闘は性能差は勿論だったが、ガランが口にした運命という言葉に真上は心を掻き回されて暴走してしまう。
『貴様も我らと同じエルプスユンデ!』
『黙れぇ!!』
『おい真上!?どうした!?』
「……エルプスユンデ?」
ブレストリガーを乱射しながら突っ込んでいくカイザー。明らかに自分を見失った真上は海動の声も届かず暴れまくる。が。そんな戦い方でガイストテレスに勝てるわけがなく、追い詰められてしまう。
『他愛もない』
『煩い!俺は俺だ!俺の好きなように生き、俺の好きなように死ぬ!うおぉぉぉ!』
ブレストリガーの残る弾を撃ち尽くすと、銃を二つ合わせて斧へと変形させるとそれでガイストテレスへと斬りかかる。
『俺のこの生命は、俺以外の何者の物でも無い!』
だが、破れかぶれの攻撃はまるで通用しない。海動に操縦を替われと叫ばれながらもまるで言うことを聞かず再び攻撃を仕掛ける。が、またしても返り討ちに遭ってしまい、このままでは本当にまずいと判断した海動は自分の席から飛び出し、真上をぶん殴って気絶させる。が、ガイストテレスはカイザーを投げ飛ばすと、スカルパイルダーを貫こうとする。が、寸でのところでコクピットの中で身体をあちこちにぶつけて頭から血を出しながらも何とか意識を保っていた海動がカイザーを動かし、スカルパイルダーへの攻撃をカイザーの右目へと誘導。九死に一生を得るも、ガイストテレスによって遥か崖下へと落とされてしまう。
『バッカ野郎……てめえがキレちまったおかげで……俺達が……地獄だ』
そして、海動も意識を失ってしまう。その少し前のシーンで翼が海の中に沈んだカーゴの中から謎の人型ロボットを発掘したシーンと気になるところを多く見せて第二話が終了する。
「おいおい、真上はどうしたんだ?急におかしくなりやがって」
「エルプスユンデだっけ?なんなの?」
「私も気になりますね。なんか真上のトラウマになっていそうな存在なようですが」
「なんかそういうコンプレックスみたいな感じなんでしょう多分」
一応エルプスユンデというのはこの世界における人造人間のことなのだが、マジンカイザーSKL本編では全くそのことに触れられない。なので基本的にOVA作中においては真上にとって嫌なポイントぐらいでしかない。そして始まった第三話、八稜郭とガラン軍の戦闘に、海の中から引っ張り上げた女性の悪魔型の機体、ウイングルを引っさげた翼が駆けつける。直後、島に異変が起こる。八稜郭は結界によって何とか耐えるもガラン軍は島を襲う巨大な衝撃によって壊滅してしまう。
『重力炉が……!?』
その原因が、重力炉の暴走にあることが判明。そんな中、真上は無数の自分に生き続けろと諭され、海動に殴られて目を覚ます。
『戻ったみてぇだな……』
『あぁ……思い出したんだ……大切なことを……俺は証明しなければならない、自分の存在意義を……』
重力炉の暴走による環境の変化は島の外にも起こっており、巨大な津波や暴風雨などが世界中を襲っていた。そんな中、復活した真上と海動はカイザーと共に地上に舞い戻る。貫かれた右目を赤く光らせ、カイザーはより禍々しい闘志を灯し、ガイストテレスとの再戦に臨む。自分を取り戻した真上はガイストテレスと互角に渡り合うが、その戦いは唐突に終わりを迎える。
「これって……」
「あいつ、生きていたのか……」
ガランの側近であるヒミコがカイザーとの戦いの後、生きていたキバによって殺されてしまう。それを知り動揺したガランはその隙を突かれコクピットをブレストリガーの刃で貫かれ殺されてしまう。最後の抵抗としてガイストテレスを自爆させるもカイザーは無傷。が、あっけない終わりを気にしている暇はなかった。キバがアイアンカイザーと呼ばれるガラン城にあったという、ヒミコ達も使うことを躊躇していた機体を起動してしまう。
「もう一体のカイザー……」
「こっちも悪そうだねー」
アイアンカイザーとの決戦、一見互角に渡り合うように見えつつも、刃を交えていた海動は苦し気な表情を浮かべていた。今のままでは勝機は見えないと感じており、少しずつ追い詰められていく。そんな中、アイアンカイザーの動力は重力炉と同じだという情報を知った翼は、カイザーの真の力を解放するため、ウイングルの翼を射出する。カイザーは牙斬刀を足場にハイジャンプを行い、射出した翼と合体。それにより、カイザーの操縦システムが変化、二人同時に操縦することが可能となり、それだけでなくロックされていた武装が解禁される。
『アイアントルネード!!』
『ルストストリーム!!』
「……ちゃんと技を……」
「ウイングルと合体してから言う感じですかね……」
「アビ・エシュフにはそういうのありませんからね……アリスとケイの方は武器をそのまま装着しているので名前があるのですが……」
二体のカイザーの口から強風が吹き荒れ激突する。さらに翼を得たことで空を飛び、激しい空中戦を演じるカイザー。重力炉もメルトダウンを起こし、地中深くへと沈む中、エネルギーパルスを弾丸にしたブレストリガーを使い、アイアンカイザーとの激しい銃撃戦を演じる真上。
『スマッシャーパンチ!!』
『トルネードクラッシャー!!』
互いにロケットパンチをぶつけ合う。スマッシャーパンチを破ったトルネードクラッシャーがキバのパイルダーを掴もうとするがキバはパイルダーオフすることでそれを回避。それを見た海動もノリで分離しパイルダー同士のドッグファイトを行う。そんな中、翼から重力炉を止める方法がアイアンカイザーを重力炉にぶつけ、対消滅させることだと判明。二人はそれを成し遂げるため、アイアンカイザーを地中へと叩き落とす。
『トールハンマーブレイカー!!』
アイアンカイザーの攻撃を、牙斬刀に雷を落とした一撃で破り、アイアンカイザーを倒すとその体を掴み、重力炉へと突っ込んでいく。
『てめえら、死ぬ気か!』
『今更何言ってやがる死にぞこないが!てめえが死ぬか、俺達が先にくたばるか!こういう賭けも、たまには面白れぇ!!』
『仲良く釜茹で地獄としゃれ込もう!』
アイアンカイザーを重力炉に叩きつける。もう身動きが取れないアイアンカイザーの中で、キバが呟く。
『決着をあの世に持ち越そうってつもりか?』
『あの世もこの世もねぇ……てめえはもう、地獄にいるんだ!』
そして牙斬刀を突き刺してアイアンカイザーを重力炉に固定する。あまりに狂った姿に、キバも思わず笑みを零しながら叫ぶ。だが、それに対して真上は笑顔を浮かべると、
『てめえら、本当の馬鹿だぁ!』
『ふっ……インフェルノブラスター!!』
胸部のブレストリガーから巨大な炎の光線を放つ。それはアイアンカイザーと重力炉を呑み込み、一際巨大な爆発が起こり、八稜郭以外の全てが消し飛んでしまう。だが、重力炉の異常は完全に収束し、世界に平和が取り戻す。カイザーは戻らない、しかし、翼は魔神はまだ役目を終えていないというお告げを聞き、エンディングへと入っていくのだった。
「……凄い面白かったな……最後二人がいなくなっちまったのはいただけねえけど」
「そうでしょうか。これぐらい振り切ってる方が魅力があると思いますが」
「別に振り切ってるぐらい覚悟してるのはいいんだよ、それはそれでだ」
「わかる……せめて全部終わらせて旅に出るぐらいの爽やかさがあるのが……まあ、これはこれである意味お似合いの終わり方といえばそうだが……」
「あはは……まあ、作品の雰囲気としては合って……あれ?」
そしてエンディングが終わると、謎のバイクが翼の乗る機体から降下される。
『グッドラック!地獄からの遣いさん!』
『うおおおおお!遣いじゃねえ!!』
『『俺達が!地獄だ!!』』
直後、SKL-RRと呼ばれるバイクが骸骨馬形態に変化、可変翼によってカイザーを乗せたまま飛行する。そして、海動と真上の声と共にカットインが入り、マジンカイザーSKLの話は終わるのだった。
「……やっぱ死なねえよなこいつら」
「地獄ですからね」
「まあ、地獄か……」
「地獄ですね……」
「同感です」
「地獄って面白いね?」
モルフォの言った通り、戦闘がメインでストーリー自体はあっさりしており、キャラも真上が途中怪しい部分を一瞬見せてはいたものの自力で勝手に立ち直り、海動の方は終始安定していて基本的に全員が良い意味でさっぱりしているのもあってただただ楽しく見れるアニメであった。特にカイザーの戦闘シーンの格好良さはやはり惚れ惚れするし、カイザー以外のロボットの戦闘シーンも豊富であり、ネル達も満足してくれたようだ。と、
「う……」
寝ていたモモイ達のうめき声を聞き、彼女達が意識を取り戻し始める所を見て、話を止めてモルフォは彼女達の様子を確認しに行くのだった。