転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「……トキ?」
「なんでしょうか」
「えっと……何をしているのかしら」
一日が終わり、セーフハウスへと戻ってきたリオ。そこには既に戻ってきておいたトキの姿がいた。おそらくは様々な家事などをしていたのだろう、夕食を終えるとトキはBDを再生しようとしていた。
「モルフォから面白いアニメを借りました。登場人物の名前さえ気にしなければと言ってましたが」
「え、ええと……?」
どうやら暇な時間に見るためのアニメをモルフォから借りてきたようだ。だが、名前を気にするなとはどういうことなのか。単純に考えれば、登場人物の名前と現実にいる人の名前が一致しているパターンだが。
「……」
トキが準備を進めている所を見ながら、息抜きには丁度いいかと考えソファに座り込む。そして準備が終わると、映像が再生されていく。
(これは……)
学校、青空、そして部活をする少女達の声。そんな、ありふれた学校の日常を屋上から見下ろす、薄紫色の髪に赤い目の少女。そしてタイトルのSSSS.GRIDMANが画面に表示される。
「……グリッドマン?」
場面が変わり青い目の少年、響裕太が目を覚ます。彼が目を覚ましたことに気付いた少女、宝多六花が裕太が急に倒れたことを心配していた中、裕太は自分が記憶喪失であることに気付く。と、裕太の事を呼ぶ謎の声に導かれてボロボロの組み立てられた古いパソコンの前に立つ。
『私はハイパーエージェント、グリッドマン』
そこは、六花の家が経営するカフェも兼ねたジャンクショップであり、売り物の古いパソコンの画面に水色と白を基調とした装甲に身を包んだ人物が映る。その人物は自らをグリッドマンと名乗り裕太を呼ぶ。
『思い出してくれ、君の使命を』
そして町の外に出た裕太は霧が濃く、さらに遠くには怪獣のような影があることに気付く。が、それに気付いているのは裕太だけのようで、六花は霧も怪獣も気付いてないようであった。
「……?これはどういうことでしょうか?しかし、響……そういうことですか」
「異常に気付いているのは裕太一人だけ……それも、グリッドマンなる何かの影響なのかしら」
翌日。裕太は友人、内海将と登校する。彼らは都立ツツジ台高等学校に通う一年生で六花とも同じクラス。昼。色々ありすぎてお昼を用意できなかったという裕太に新条アカネがスペシャルドッグなるパンを渡す。
「……アカネ?」
そんな時。教室の中でバレーボールで遊んでいた問川が投げたボールが不幸にもスペシャルドッグを潰してしまう。静まり返る教室、問川は申し訳なさそうにしていたが、裕太が気にしない様子を見せるとすぐにパンが潰れただけと笑う。裕太がアカネの様子を見ると、アカネは何も気にしていないように笑っていた。
「「……?」」
その後、一人の少女がフィギュアのようなものにカッターを突き立て何かを削り出すようなシーンが入る。そして、完成した怪獣のようなフィギュアを前に、異形の存在がそのデザインを褒めると、
『インスタンス・アブリアクション』
そう呟く。直後、気炎万丈怪獣グールギラスが街に現れ暴れ始める。
「これは……」
「怪獣……?」
グールギガスは火球を放ち、町を破壊する。一つは学校へ向かい、不幸にも問川に直撃してしまう。そんなことを知らない裕太はグリッドマンに呼ばれ、六花の家に置かれていた古いパソコン、ジャンクの前に立つ。直後、ジャンクに吸い込まれてグリッドマンと一つになり、グールギガスに立ち向かう。だがグリッドマンがダメージを負い、追い詰められていく。そんな中、グールギガスの首元が弱いという弱点に気付いた二人がそれをジャンクを通して裕太に情報を伝える。
『聞こえる……』
『聞こえる……六花と内海の』
『言葉が!』
グリッドマンはグールギガスの首を引き千切る。サイバーチックな電線のような断面図を露わとした怪獣に必殺のグリッドビームを放ち撃破。直後、ジャンクから飛び出した裕太にグリッドマンは告げる。
『全ては始まったばかりだ』
翌日、三人は唖然となっていた。昨日破壊されたはずの学校は一夜が経過して元通りになっていたのだ。
「町が……?」
「色々気になる話ね……それに、グリッドマンとは一体何なのか……」
怪獣等について皆忘れており、問川達もずっと前に死んでしまったことになっていた。おかしい日常に違和感を覚える三人。そんな中、裕太はアカネに誘われ屋上で昼食をとる。裕太達が話していた怪獣についてアカネが聞くも、裕太は誤魔化す。
アカネは裕太たち三人が記憶を失っていないこと、昨日現れた怪獣を倒した存在がグリッドマンであることを既に把握したうえで詳細を聞こうとしていた。しかし裕太に誤魔化されたアカネは一旦諦めて教室に戻ろうとするのだが、歩きスマホをしていた担任とぶつかってしまう。
『お……俺はサムライキャリバー』
その後、六花の店にサムライキャリバーと名乗る青年が現れる。彼はジャンクを組み直してグリッドマンを最適化する。
そんな中、アカネは新たな怪獣を生み出す。人にぶつかっておいて謝罪もしない担任を殺そうと思ったと、軽すぎる動機と共に怪獣をアレクシスが実体化させる。因果応報怪獣デバダダンはビームを放ち、担任を殺そうとする。それを前に、グリッドマンからプライマルアクセプターと呼ばれるアイテムを受け取った裕太は戦いに向かう。
『アクセスフラッシュ!!』
赤を基調とした姿となってデバダダンの前に立つ。素早い動きでデバダダンと戦う中、殺されかけていた担任は九死に一生を得て逃げ出す。デバダダンはグリッドビームを反射して有利になり追い詰めるが、ここでサムライキャリバーが救援に向かう。
『アクセスコード、グリッドマンキャリバー!』
キャリバーがジャンクの中に吸い込まれ、電撃大斬剣グリッドマンキャリバーとなる。グリッドマンはキャリバーと力を合わせ、グリッドキャリバーエンドによってデバダダンを両断する。勝利の余韻を感じ、友人たちの無事を確かめたりする六花達。それに対し、怪獣がやられ憤るアカネ。ここで、怪獣を生み出すアカネとアレクシスと、対抗する裕太達グリッドマン同盟の構図が確立されるのだった。
「人が武器に……」
「それにしても普段は人なのにそれが武器や巨人になる……あの怪獣も元はただのフィギュアか何かだったのにそれを巨大化するとなると、あの時を思い出すわね」
その後、グリッドマンを倒すべく生み出された少年のような姿をした怪獣、アンチはグリッドマンの技や武器をコピーし、一度は撃破する。グリッドマンを撃破したことにアカネは喜び、彼をホテルのバイキングに連れていくなど上機嫌であった。一方グリッドマンだけでなく裕太が死んだことに六花も内海もすっかり落ち込んでいた。
「……そういえば彼女の名前はアカネだったわね。今更だけど」
「別人です」
裕太の死に対し、二人の仲は徐々に悪くなる。小さなことが気になり始めて喧嘩になりかけ、遂には内海が耐えかねて店を出ていこうとしたその時。そこに三人のスーツに身を包んだ男たちが現れる。ツインテールの小柄な少女のようにも見える少年、ボラー。藍色の髪で物静か、だがどこか気だるげなように見える青年、ヴィット。マスクで口元を隠した男性、マックス。マックスのアドバイスを受け、六花が電話をかけると、なんとそれは裕太に繋がり、彼の無事が判明する。
「潜伏してたって……」
「キャリバーは随分と……あれですね」
グリッドマン達はアンチに奇襲するべく潜んでいたと言うと、ボラーに戻れと言われてキャリバーがジャンクから出てくる。そしてリベンジのため再び町の中で巨大化したグリッドマンの前にアンチも現れる。再び不利に陥るグリッドマンだったが、マックスがバトルトラクトマックスと呼ばれる装輪装甲車となってグリッドマンを援護する。さらにグリッドマンと合体して巨大な腕部を形成、剛力合体超人マックスグリッドマンとなり、アンチとのパワー勝負を制する。アンチは時間切れで少年の姿に戻って倒れる。そして戻ってきた裕太を喜んで迎える内海達。そこでグリッドマンは、キャリバーを含めた四人を新世紀中学生と呼び、自分達の戦いを支える仲間だと紹介。
一方、敗北したアンチにアカネは手にしていた弁当を投げつけるのだった。
「うわ」
普通に負けた責任を取らせるのなら全然見ていられたが、食べ物を投げつけるという行為に対しては、アニメという前提があってもつい嫌悪感を感じてしまう。その後も、アカネはあの手この手でグリッドマンを倒そうと目論む。だが、グリッドマンを倒すという使命から勝手に動き回るアンチの暴走、そしてグリッドマンとアシストウェポンの連携もあってうまくいかないことが多くなっていく。特にグリッドマンがアシストウェポンと合体した姿が厄介だった。
ボラーが変身したドリルタンク、バスターボラーと合体して胴体に追加装甲を纏った武装合体超人バスターグリッドマン。
ヴィットが変身した戦闘機、スカイヴィッターと合体し、脚部とコクピットにスカイヴィッタ―を装備した大空合体超人スカイグリッドマン。
そこにマックスグリッドマンも含めた三つの形態を使ってグリッドマンは戦っていく。
「……これ、合体している部分を見るに……?」
三つの合体形態がそれぞれ装着されている部分が被ってないことにリオは気付く。その意味が判明するのはもう少し先の話になるのだが。そんな中、アカネはアンチに裕太の正体がグリッドマンだと伝え、直接殺してもらおうとするのだが、裕太は少女と出会い。自ら怪獣と名乗った少女は裕太をデートに連れ出す。電車に乗り、ツツジ台の外へと出た二人。町の外には何もないと語る少女の言葉に疑問を覚えていたが、段々霧で外が見えなくなり、眠くなっていく。だが、少女が聞かせた音楽で目を覚ました裕太にガスのせいで眠っていたのだと語ると、この町の真実を知らせる。
「……余計な仕事が増える、と言ってましたね」
この事実が明らかとなる前の回で、裕太達はツツジ台の外に校外学習に出ていた。しかし、その時アカネは余計な仕事が増えると言っており、もしそれが何もない外に一時的に校外学習のためのエリアを作るためのものであるとすれば。
『なんでこの町だけに怪獣が現れてると思う?』
『え?なんか知ってるの?』
『今までこの町に現れた怪獣は全部一人の人間から生まれたの』
『一人の人間から……?』
『そう、一人ぼっちの人間の心から……それが新条アカネ』
アカネの真実が知らされる。アカネは町を壊し、怪獣の手によって直しているのだと。全ては気に入らない部分を直すため。この町は世界の全部となっており、怪獣を作っている内にアカネ自身の心が、そしてこの町自体が怪獣のようになったのだという。
「……この町しか存在しない狭い世界の神様、ですか」
(自らを神、或いはそれに匹敵する存在……それ故の傲慢)
殺されたのはアカネが気に入らない人達。世界と人々を作ったアカネは創造神と言っても差支えがないだろう。だが彼女は歪んでいると指摘する裕太。少女はアカネは歪み切っていると言い、その心を利用されたという。なお、少女はアカネから生まれた怪獣ではなく、ツツジ台が生まれる前からこの世界に住んでいた存在だと補足する。
そして、話を終えた裕太はやるべきことが少し見えたといい、何故助けてくれたのかという裕太に少女は、自分の先代が君にお世話になったと告げる。
「……君?」
「裕太とグリッドマンは別人のはずですが……?」
その後、裕太をアンチが強襲。だが、マックスとキャリバーが応戦、裕太を殺せばグリッドマンは現れないことと裕太は人間だと言うと、アンチは悔しそうに撤退するのだった。
「本当にグリッドマンにしか興味なさそうですね」
「それよりも、この世界が箱庭という事実の方が驚いたのだけれど……」
そのことを仲間達にも伝えた裕太だったが、帰宅するとなんと家の中にアカネがいた。アカネは裕太を連れて夕食に向かうと、アカネの軽すぎる殺害への引き金について指摘する。
(……殺意の引き金が軽すぎる)
しかしアカネはどうでもよさそうな様子。さらにアレクシスまでもが現れる。まさに宇宙人といったような姿をしている彼が怪獣を作り出しているのだと語るアカネ。直後、アンチが持ち込んだ幽愁暗恨怪獣ヂリバーが現れてしまう。それを前にグリッドマンはスカイグリッドマンとなり、上空で交戦。同じように飛行能力を得たアンチはヂリバーと共に応戦するがそれを無事に撃破。が、その戦闘によって更なる事実が明らかとなる。
「あれは……町……いや、基盤?」
「空の上に天井がある……」
なんと、上空には宇宙ではなく、もう一つの町が逆さまに映っていた。基盤のようにも見える黄緑色の不可思議な模様をした建物に六花達が困惑する中、アレクシスは本当の人間であるアカネにしか怪獣は作れない、アンチを始末すると言う。そしてアンチはアレクシスによって大怪我を負いながらどうにか逃げ出す。
「……アンチは敵とはいえ、憎めないキャラだったんですが」
「……創造主の意に反したことをした結果、ということでしょうね。あまりにも残酷だけれど……」
世界の真実、アカネの事、そしてアカネと共にいる存在、アレクシス。それらの情報から怪獣を倒すだけではいけないことに気付いていく裕太達。
学園祭が近づく中、アカネを説得しようとする。アカネはグールギラスを改造し機械化させた捲土重来怪獣メカグールギラスを作り上げてグリッドマンへと宣戦布告。メカグールギラスを学園祭にぶつけるのをやめてほしい、せめて別の日にしてほしいと裕太達が頼むもアカネは聞くつもりはない。そんな中、六花はアカネにかつてグールギガスの攻撃で問川達を殺したことを聞くと、調整する必要があったのだとあっけらかんと言う。そして、
『神様と仲良くするのは嫌?私が何をしても六花は私の事を嫌いになれないよ。私が六花をそう設定したんだから。ここに住む人は皆私の事を好きになるようになっている。だから私と六花は友達なんだよ』
六花は説得できなかったことに落ち込みながら裕太達の所に戻るも裕太の言葉に立ち直る。そして学園祭当日。高校に現れたのは、怪獣ではなくグリッドマンであった。
「……成程。先に脅威として現れれば……」
グリッドマンの登場によって人々は逃げ始める。それにより人への被害がなくなれば翌日には無機物は修復される。アカネ達もメカグールギガスを出すのだが、グリッドマン達もある秘策を用意していた。過去に全員で出動した際はジャンクのスペックが足りず、フリーズを起こしていたのだが、今回は出撃する際のスケールを絞ることで全員での出撃を可能とし、全てのアシストウェポンと合体することで超合体超人フルパワーグリッドマンとなる。
「……成程、合体ですか」
「確かに合理的ね……それに、一機一機を別々に動かしていたことでア……新条からすれば全員で合体できるとは思わなかったところで秘匿性が高かったのも納得がいくわね。だからこそこの奥の手が輝く……」
「多分そういうものではないと思いますが……サプライズ○○理論というやつですね」
完全にロボットじゃんと言われる程のメカメカしいデザインとなったフルパワーグリッドマンはその圧倒的なパワーと防御力でメカグールギラスを叩きのめすと、全身を金色に輝かせキャリバーを振り下ろすグリッドフルパワーフィニッシュで両断、戦いに勝利し文化祭は無事に行われることになる。だが、今回の敗北はこの戦いに並々ならぬ思いを注いでいたアカネの心に亀裂を入れるのには十分な衝撃を生み出してしまうのだった。
「これは壮絶ですね……」
「随分と滅多打ちにされたものね」
その後、怪獣の力によって裕太達は夢の中に閉じ込められる。そこから無事に脱出し、夢の中でのアカネとの会話からより、アレクシスから彼女を助け出さなければと思い立った裕太達は直接アカネの家に乗り込む。だがアカネの家の扉を開けると、そこはコンピューターワールドと呼ばれる基盤のような模様だらけの風景が広がっていた。
見つけられなかったアカネは学校にも通わなくなり、怪獣も出なくなった。一時は平和な時間が来たことで、裕太達は様々な事を考えていた。
フルパワーグリッドマンになれることで自分達は元は一つであったが敗北し、おそらくはアレクシスによって五つに分けられたであろうということ。
アカネは神様の世界の住人だったが、そこから逃げ出してきたのではないか。
この町はアカネにとって住みやすい環境であり、彼女は安らぎを求めていたのではないか。
様々な事を考える中、平和だった日々は唐突に終わり、新たな怪獣が現れる。が、明らかに手抜きとしか言いようがない程のっぺりとしたデザインでフルパワーグリッドマンにあっさりと倒されてしまい動かなくなる。その後に出現したアンチも瞬殺するも、トドメを刺さずにフルパワーグリッドマンは消える。
その後、ボラーから何故アンチにトドメを刺さなかったのかと問われると、キャリバーがグリッドマンの代わりに答える。
『あいつがただの怪獣ではないからだ』
『どういうこと?』
『あいつは人間を学習し、人間に近づきすぎた。今はもう心をもった生き物だ』
『グリッドマンは生き物の命は奪えない』
怪獣はアカネの悪意のようなものであり生き物として活動していない。だが、アンチはグリッドマンを憎むように作られたことで、怪獣である以上に生き物になってしまったとグリッドマンは分析する。それを体現するかのように、雨の中で呆然となっていたアカネと再会したアンチは彼女に傘を差しだす。それを見て、アカネはアンチは怪獣じゃないと呟く。
『君は私を探してたでしょ?怪獣はね、人に都合を合わせたりしないよ。いるだけで人の日常を奪ってくれる。それが怪獣』
既に創造主の手の内から離れ、己の意思と感情に目覚めたアンチを見て、怪獣としては失敗作だと呟くアカネ。そして夜、倒した怪獣から中の人と呼ばれた別の怪獣が現れると町を直していた霧の中の管理怪獣を全滅させてしまう。
さらにその怪獣は動きが読み取れないせいでフルパワーグリッドマンは翻弄され、アシストウェポンを引き剥がされ、丸裸にされてしまう。万事休すと思われたその時、窮地を救ったのはなんとアンチであった。
「アンチがグリッドマンを……」
『俺に与えられた命の意味を……俺は探す。俺は……お前を倒すために、お前を倒すために生きている!お前を倒すために、俺はお前と共に戦う!!』
戦いの中でアンチは遂にもう一人のグリッドマンと言うべき存在、グリッドナイトとなる。アカネから生まれたからこそ怪獣の動きを読み、遂に怪獣を撃破する。その後、戦いを終え戻ってきた裕太達の下にアカネが現れると、
『私も……グリッドマンと話してみたかったな』
アカネの呟きと共に裕太が倒されてしまう。アカネの手には血まみれのカッターナイフが握られており、裕太は刺された箇所から血が流れていく。
「これは……」
「……変身前を狙うのは大分アウトでは……?」
「そ、そこなのかしら……」
さらにアカネはこうするしかなかったと言いながらジャンクを破壊。裕太はすぐに病院へと担ぎ込まれ一命を取り止めるも目を覚まさない。町は直らなくなり、空にはコンピューターワールドの景色が広がる中、怪獣というインフラが消えた町は終わりを迎えつつあった。
そんな中、アレクシスに次の怪獣の相談を持ち掛けられたアカネは、グリッドマンは倒したから次は必要ないと伝える。が、アンチが次のグリッドマンになってしまったとアレクシスが言うも、アカネはもう作れないと言うと、
『有り物で済ませるか……』
そうアレクシスは呟き、過去に町で暴れていた怪獣たちを復活させる。だが新世紀中学生は戦えず、グリッドナイトが一人で戦うことになる。そんな中、裕太がいる時にだけジャンクが動いている事を思い出したキャリバー達はジャンクを直せば裕太も目覚めると推理。ジャンクを修理したことで遂に裕太も目覚める。そして裕太は真実を明かす。
『内海、ごめん……俺、記憶喪失じゃなかったんだ。元々記憶なんてなかったんだと思う』
『え……?どういうこと?』
『俺が、裕太に宿ったグリッドマンなんだ』
「裕太がグリッドマンそのもの……!?」
「そういえば、以前怪獣と名乗っていた少女が言っていた君って……」
なんと、本来の裕太はずっと眠っていたのだ。グリッドマンが宿り、響裕太として振る舞っていたがため、記憶は最初からなかったのを記憶喪失と思い込んでいたのが真実だった。そして復活した裕太は新世紀中学生と共にフルパワーグリッドマンとなり、グリッドナイトの救援に駆け付ける。
「フルパワーグリッドマンとグリッドナイトの共闘……」
キャリバーをグリッドナイトに託し、怪獣の群れを蹴散らす。そんな中、別行動をとっていた六花は遂にアカネを発見。裕太を刺さなければならない程に追い詰められたアカネは町の人の所に帰ればいい、関係ないと言うも、関係なくはない、友達だと思っていると言い返す六花。だが、
『だからそれは、私が六花をそう設定しただけだって……友達だって思い込んでるだけなんだよ!』
『私はアカネの友達……私はそれ以外に生まれた意味なんていらないんだよ。アカネは私の事、どう思ってるの』
『それは……』
六花の言葉にアカネは黙ってしまう。六花との思い出を思い返し、振り向こうとしたその時。アレクシスが現れると、アカネ自身を巨大な怪獣へと変えてしまう。
「……新条にとってAIやプログラムと思われた存在、そう思うこともその挙動も、彼女からすればただの想定された処理……そう考えると、彼女達は科学的な存在だったりするのかしら」
「どうなんでしょうね。空のあの景色とかを見るに凄くサイバー感はありますが……それに神様と言っていますがそれが現実の世界の人が意識をダイブしてこの世界を作ったと考えると色々納得はいきます」
「隔離され怪獣という存在で賄ってたインフラ、町の外がない、というより作ってない世界……そう考察できるところは色々あるわね」
怪獣達を倒したグリッドマン達。全員の力を集めてアレクシスを倒すために、グリッドマンは内海と六花を迎えに行き、アンチは怪獣となったアカネを助けようとする。グリッドナイトとアカネを怪獣化して生まれた自縄自縛怪獣ゼッガーの戦いを見ながら、アレクシスは戯れに六花と話をしていた。
『友達ねぇ……フッハハハハ!いいんじゃないかな?アカネ君の怪獣から生まれた贋造物。偽りの人間、レプリコンポイド。君達はアカネ君のために生まれた作り物に過ぎない。自分を人間だと思っている作り物、その作り物と友達の神様。悲しいよねぇ』
『悲しいかどうかは私達が決める』
『友達としてどう思うかい?この世界の、いやこの狭い町の神様の成れの果てを』
『あなたがアカネをあんな風に』
『彼女は元よりああなんだ。何も変わらない、それが良い所だ』
『だったら、私達がアカネを変える』
『今からかい?好きにしたまえ』
そして彼女の下にスカイヴィッターと共に裕太が現れ、六花を連れていく。内海とも合流する中、アンチは戦いの末にアカネを遂に救い出すが、これを待っていたと言わんばかりにアレクシスはアンチを刺し貫いて始末しアカネを取り込んで巨大化してしまう。
そして、ジャンクの前に全員が集まると、アプセプターが新世紀中学生全員に装着される。五人は一つとなり、戦闘コード、GRIDMANというワードと共にその装甲が砕け、その下に存在する本当の姿、電光超人グリッドマンが現れる。
「これが本当のグリッドマン……」
「凄くシンプルなデザインなのね……」
戦いの末、アレクシスを撃破するが、無限の再生能力で復活されてしまう。不死身故に虚無感を抱く彼は、アカネのような情動でその心を満たそうとしていたと戦いの中で言う。アカネが自分を求め、何もないこの世界で怪獣を使ってアカネは理想の町を作った。だがイレギュラーや生まれた命をコントロールできなかった彼女は怪獣で破壊した。その繰り返しの果てでアレクシスは心を満たそうとしていたのだという。だがアカネは役割を終えてしまったため、興味を失ったアレクシスはこの世界から去ろうとするが、グリッドマンがそれを許さない。
『限りある命の君では、無限の命を持つ私には勝てないよ?』
『そんなものは命ではない!』
『では、いつかくる終わりをここで君にあげよう、グリッドマン』
『グリッドビーム!』
アレクシスの巨大なビームが押し勝ち、グリッドマンを吹き飛ばす。と、その胸部から小さな光の粒のようなものが地面に落ちた瞬間。傷ついていたコンピューターワールドが修復されていく。
『そうか……私の力は……倒すためだけの力ではなく、私の本当の力は……!』
『……?』
『グリッドフィクサービーム!!』
それを思い出したグリッドマンの胸から光が放たれる。それは世界を、心を修復し、救うための力。フィクサービームを浴びたアレクシスの中で、アカネは皆との言葉や過去の出来事を思い返し、遂に彼女の心は修復され現実へと立ち向かうことを決める。それと共に、アレクシスの体も崩壊を始める。
『ま、まさか……アカネ君の心を治したというのか!?』
『それだけではない!人間が持つ可能性の力を、私は、私達は信じる!!』
『そんな力などぉ!!』
『これが、限りある命の力だぁぁぁ!』
フィクサービームの中の中、グリッドマンとアレクシスが同時に拳を振り上げる。だが、その拳はアレクシスに突き刺さる。
『これが……限りある命の……力、か……!!』
アレクシスが敗北と共に封印され、この世界が修復されていく。アカネや怪獣の手で成り立ってた世界は変わり、本当の意味で一つの世界となったことで遂に戦いは終わりを迎えるのだった。
「……ついつい流れでそのまま見ていたけど、改めて考えると修復できる力がある、というのは唐突じゃないかしら」
「そうでしょうか?ずっと胸部は装甲がついてて使えなかったけど実は……ってのは面白いと思いますが」
戦いが終わり、六花はアカネと最後の話をしていた。現実へ戻るアカネへ最後の言葉とプレゼントを贈る中、戦いが終わった後の余韻に浸りながらもリオとトキは先程のグリッドマンの放ったフィクサービームについて話し合っていた。
元々、このアニメには電光超人グリッドマンと呼ばれる特撮作品が前作として存在し、アレクシスとの決戦で見せたグリッドマン本来の姿は、そちらで得た姿なのだ。グリッドマンは本来、実態を持たないハイパーエージェントであり、前作である少年が描いたCGと合体し、電光超人グリッドマンとなる。この時、戦いの舞台となったのがコンピューターワールドで、魔王カーンデジファーとその協力者の少年の手によって送り込まれた怪獣と戦っていくことになる、その際、現実世界に及ぼされる異常や悪影響、壊れたコンピューターワールドを修復されるために使われたのがこのフィクサービームなのだ。
『それじゃあ、皆元気で』
そして、グリッドマンが新世紀中学生と共に帰還し、本当の裕太が、そしてアンチが目を覚ます。そんなアンチの目の前には彼を救った怪獣の少女がおり、彼女の背後にはアノシラスと呼ばれる巨大な亀のような怪獣が佇む。さらに場面が変わると、現実の空間で目を覚ます一人の少女が映し出されてSSSS.GRIDMANの物語は終わるのだった。
「……短かったけど面白いアニメだったわね」
「はい。独特の空気感とかそういうのもありましたが、楽しめました」
「……それにしても神、ね」
「……?どうかしました?」
アニメを見終わった後、リオが零した言葉にトキが首を傾げる。リオは何でもないわと返すと、
(創造主が作った物がその予想を越える、か……そしてあの合体は……状況に応じて特化した合体形態になれるのはとても合理的かもしれないわね……)
少しだけ、楽しそうに表情をにやけさせる。なお数日の間、トキがアカネを見る度に新条アカネの事が脳裏をちらつくことになるのだがそれはまた別の話。