転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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見てしまった人がもしかしたらいる人は思いますが、昨日の午後に予約投稿を間違って最新話で投稿しちゃった話は大分先の話になります。今は特に関係ないものですのでご了承ください




Defeat

占領も進み、順調に基地が構築されていく中、リオ達は基地の近くに何らかの施設があることに気付く。そのため一行は、この施設の正体を確かめるべく調査を行おうとしていたのだが。

 

「「「……」」」

 

一行の目の前に広がっていたのは無数の培養液に浸されたポッド。どこかの研究所のような風景だが、その異質な様子に言葉を失っていた。

 

「ここは一体……」

『何か入ってる……人?みたいなものが……』

「……あの子達に似ている気がしますね」

 

そして、その培養ポッドの中にはアイン達に似た造形をした人形のようなものが入っていた。ほとんどが腕や足が紛失していたり、或いは長さなどが人として見たらおかしくなっていたり。まるで人を模した人形の出来損ないが大量に保管されているかのような状態になっていた。

 

「まるで標本を見ているかのようですね……気持ち悪い」

「……これにはDEFECTEDと……文字通りの意味なら欠陥品となりますが……これは」

「……なんか、アリスとケイに似ている気がします……」

 

言いようのいない生理的な嫌悪感のようなものに襲われる。こういう風景はゲームでは時折見るものだが、現実に見せられるとまるで違う。そんな中、モルフォ達はある培養ポッドを見つける。その中で目を閉じた状態で入っていた人形は、アリス達にどこか似ていた。一見すれば不自然なところは全く見えない。見た目だけならアイン達と同様、完璧な出来栄えのようにも見える。しかし、欠陥品ということは中に何か問題があったのだろうか。

 

「……欠陥品……いえ、おそらくだけど欠陥あり、という意味なのかと思うけれど……」

「欠陥あり、ですか……じゃあ、動かないんですか?」

「……成程。調べてみる価値はありますね」

 

この人形は何かが足りないからこその欠陥品ではなく、稼働した上で問題が起こるからこそ欠陥があると表記されているのではないか。そう分析するリオだったが、もう一人の自分をちらと見た後にふと思いついたことをヒマリに聞くモルフォ。その意図を理解し、ヒマリはその人形の入った培養ポッドを調べ始める。

 

「……ほうほう。まだ分析を始めたばかりですがいくつかわかったことがあります。まず、稼働には問題ありません。何かしらの意識回路を移植すれば、すぐにでも動ける状態になるでしょう」

「欠陥ありと烙印を押された割には状態は良好ということかしら」

「ええ。問題はこの素体のセキュリティですね……これは、古代方式のプロテクトで守られています。残念ながらここから一つ持ち出してもう一人のモルフォの身体にする……というには少々問題が多いです」

『えっ、私のなの!?』

「私なら未知の技術ではないので時間をかければ突破できますが……モルフォの場合はセキュリティを完全に無力化して安全に使えるようになってからにするべきでしょうね」

 

他人事のように見ていたが、これが自分の身体に使えないかと画策している事を知り驚くもう一人のモルフォ。確かにこんな球体の身体よりは自由に手足が動けるようになる方がいいとは思うが、この驚きぶりを見るに今の身体も案外気に入っていたのかもしれない。

 

「目を覚ますことができただけでも十分って感じ……?」

「……ふと思ったけど、これモルフォと顔つきが違うのが……」

「……そこはどうしようもないのでは?」

 

ユズの呟きにトキも半分同意しつつ呆れたように返した、その時だった。施設の外から次々と爆発音が聞こえてくる。

 

「何!?」

「基地を構築している千年の守護者とAMASがやられた!?」

「っ、とにかく確認しに行きましょう!もしかしたら預言者が襲撃を―――!」

 

基地にはそこそこの数を残してきたのだ。それが一気にやれるなど、預言者の襲来以外予想できない。だが、一体誰が襲撃して来たのか。それを確かめるべく先生達が基地の方へと戻るとそこには、壊滅した基地と壁の上に立つ一人の女性、マルクトの姿があった。

 

「あれは……!?」

「初めて見る個体だけど、あの特徴はデカグラマトン……まさか、あれがマルクト?」

「周囲を見てください!何かが浮いています!」

「熱反応を検知しました……おそらくあれを用いた攻撃でAMAS達を全滅させたのでしょう……」

「まるでファンネルみたいです……!!」

 

マルクトを警戒した様子で見つめるリオ達。そんなマルクトの周囲にはビットのようなものが浮いており、それがマルクトの背に戻っていく。そしてマルクトは自身の名を呼んだリオを見ると、

 

「やはり、我々について最も詳しいのはあなたですか。星を追う者……調月リオ」

「!?」

「明星ヒマリ、和泉元エイミ、飛鳥馬トキ、夢見モルフォ、名もなき神々の鍵……そして先生」

 

それぞれの名を呼び、視線を向ける。そしてマルクトはその場から飛び降りて地上に立つと、先生を見る。

 

「君が……マルクト?」

「こういう時は……お初にお目にかかります……と、挨拶するのですよね?皆さん、初めまして。アイン、ソフ、オウルからのご挨拶を。我は御旗の下で創造されし一つの意志。世界の果てに到達せし王国の巡礼者。マルクトと申します。それでは―――おやすみなさい」

「っ、先生!!」

 

直後、マルクトの背中から射出されたビットが素早く飛び回る。瞬時に危機を察したトキとケイがアビ・エシュフを構えるが、

 

「「きゃああああ!?」」

「トキ!?ケイ!?」

 

それぞれのビットから放たれたビームがトキとケイを攻撃する。まるでアビ・エシュフを解体するかのように精密に放たれた攻撃を前にケイのアビ・エシュフが大破されていき、トキのアビ・エシュフもまた小さくない損傷を受け、吹き飛ばされてしまう。

 

「ケイ!!」

 

こちらの最大武装であるアビ・エシュフ。だが、マルクトの火力の前ではまるで太刀打ちできない。マルクトは脅威足り得ない武器を壊すことよりもケイを倒すことを優先し、火力を集中していくと、咄嗟にモルフォが間に入ってシールドを構える。次々とビームが命中し、既にティファレト戦で歪み、イェソドとの戦いで投擲したことで軽くひしゃげていたシールドにひびが入っていく。そして遂に砕け散り、モルフォはケイと共に吹き飛ばされてしまう。

 

「くっ!?」

「モルフォ!?」

 

一瞬の間にトキとケイが無力化され、モルフォもシールドを破壊されてしまう。そこまできて漸く残りの面々が銃を構えるが、マルクトは一瞬だけ周囲を見るとビットをそれぞれの生徒の眼前へと差し向け動きを無理矢理止める。万事休す、そう思われたところで、ここでなんと先生が走り出しマルクトの前に立つ。

 

「先生!?何をやって……」

「先生……!」

 

ケイとモルフォを庇うように立つ先生にマルクトは安心したような表情を見せる。

 

「思っていた通りの方で安心しました。自分を犠牲にする代わり、生徒には手を出すな、と?」

「……」

「大丈夫です。その必要はありません……困惑されていますね。ええ、わかります。ですが、これだけは明確にお伝えます」

 

こちらの考えを見透かしているかのような様子を見せるマルクトに先生は困惑してしまう。だがマルクトは先生に対して敵意を見せておらず、静かに告げる。

 

「我々は、誰の命も奪うつもりはありません。先程も、あくまで武装を解除させ、適度な衝撃を与えるだけに留めました。こうして生徒達を撃っていないのも同様の理由……既に勝敗は決しました」

 

これは警告だ。ここで大人しく引きさがるならこれ以上は攻撃しない。だが、まだ戦うというのなら殺しこそしないが容赦なく攻撃するというマルクトの。

 

「全てが終わり、転換の時が訪れれば、やがて皆さんも理解するでしょう。我々が、皆さんのすべての罪と苦痛を、取り払おうとしているのだということを」

「……それは、どうやって?」

「煤けた箇所に触れれば、煤が付きます。であれば、そもそも焼け跡に近づかなければいいだけのこと……ああ、我々はあなた達の同意を求めているわけではありません。すべてはそうなると宣言するために、我はこの場に来たのですから」

 

マルクトは語り掛ける。どこか、心地よく聞こえてくる声に先生は一瞬揺らぎかける。だが、すぐに正気を取り戻すと、マルクトの顔を見る。マルクトは先生の仕草を気にすることなく、言葉を続ける。

 

「―――時は来ました。皆さんの巡礼の終わりを、喜んでお見送りします」

 

そう言い、マルクトは飛ぶ。その手に握られていたのは、ランスのようにも見える武器。それを先生達へと向けた直後、激しい閃光が視界を覆う。それが、マルクトの手持ち武器から放たれた巨大な光学攻撃であることを察知したのは、その時だった。

 

『う、く……!出し惜しみはしません!』

『苦戦……出力不足です。エネルギーの流れが不利に働いています。ですが、引きさがるわけにいきません』

 

シッテムの箱が輝き、アロナとプラナがマルクトの放った光学エネルギーを受け止める。しかし、二人とシッテムの箱の力であっても分が悪いようで、徐々に押し切られそうになってしまう。

 

「く……二人とも……」

「リオ会長!早く許可を出してください!!」

「っ、承認するわ!名もなき神々の力の行使を許可する!!」

「はああああ!!」

 

徐々にシッテムの箱の出力が弱まり、マルクトの攻撃が届きそうになる。だが、そこに割って入ったのは、なんとケイだった。

 

「ケイ!!」

「ケイ!?下がって!」

「問題ありません!ここは名もなき神々の力で満ちています!!この場において、力の扱いに最も長けているのは私です……その力を使えば!!」

 

大破したアビ・エシュフを脱ぎ捨てたケイが先生の横に立ち、両手を前に突き出す。名もなき神々の力の力場がバリアとなって先生達を守る。だが、段々ケイの腕から煙が上がり始める。

 

「う、く……」

「ケイ!?」

「ケイ、大丈夫ですか!?」

「……やはりこの身体で名もなき神々の力を行使するのは負担が大きいですか……!アリス、最悪の場合は後は頼みますよ……!」

「!?は、はい!!」

 

ケイは自分の身体に少し悔しそうに表情を歪ませながらアリスにある指示をすると、襲い掛かるビームの奥にいるであろうマルクトの表情を予想し笑みを浮かべる。

 

「それに……あのマルクトとかいう自称予言者も、戸惑っているはずです」

「……後数秒、ですか。それにこれに耐えれるなら全力でもいけますか」

 

だがマルクトは一瞬驚きこそしたものの、すぐにどうしてこうなったのかに思い至って納得すると、さらにビームの出力を跳ね上げる。それによって光の輝きが強くなり、ケイの両手にかかる力が増して一瞬後ろに弾かれそうになってしまう。

 

「ケイちゃん!?」

「くぅ!?まだ出力があがるっていうんですか!?ええい、マルクトは化け物ですか!?」

「ケイ……!」

「……アリスも、ケイを支えます!!」

 

だが、その背中を支えたのはアリスだった。アリスはケイの背中に手を置いて支えると、バリアがさらに強固になって再構築されていく。それだけではない、アリスだけでなくモルフォ達もケイの身体を押し、マルクトの攻撃に耐える。

 

「皆……!」

「確かに、この力はケイとアリスしか使えないかもしれないけどさ……私達だってゲーム開発部なんだから!」

「そうだよ……!皆で、なんとかしよう!」

「頑張るから……!」

「ケイ!!」

「……はい!!はああああ!!」

 

モルフォ達の気合と共にケイが声を張り上げる。直後、ビームの勢いが完全に弱まると共に大爆発が起こり、爆煙が一帯を包む。先生達に勝ちきれなかったマルクトは、もう預言者達を誤魔化しきれない、すぐに戻ってきてほしいと口々に言うアイン達の言葉を聞きながら撤退していく。

 

「……マルクトが、撤退する?」

「皆さん、無事ですか!?」

「私達は……でも、ケイが!!」

『ケイちゃん……!』

 

だが、被害は大きかった。アリス達が抱えるケイの瞳は開かれたまま色を失っており、ヘイローも消えている。その両腕は煙が上がっているどころか表面の人工皮膚が焼け爛れたように剥がれ落ち、その下にある機械が露出していた。

 

「……ケイは今どこ?」

「……ここですよ。私は大丈夫です、そこは心配しないでください」

『……あ、普通に出てこれちゃうんだ……そ、そういう流れじゃないんだこれ……』

「当たり前じゃないですか……こうして戦闘に出る以上、何らかの要因でこちらの身体やそっちの人格プログラムが攻撃された時のための緊急避難用プログラムは既に構築済みです。言っておきますがあなたのいるその機体にも搭載されていますよ」

 

だが、ケイは無事であった。彼女はアリスの中に人格を移動させており、もう一人のモルフォの驚いたような声に対し、疲れたように呟く。

 

「しかし、これではケイの身体が……」

「治せないんですか?」

「……残念ですが……」

「……いいかしら」

 

残されたケイの身体を治せないかヒマリが見るが、状態はかなり深刻なようだ。だからこそ、ケイはアリスの身体の方に避難してきたのだろう。ヒマリが首を横に振る中、壊滅した前線基地を見ていたリオが口を開く。

 

「前線基地が壊滅してしまったわ。占領した電子的な部分はそのままだけど……こうなるとまた作っても襲撃される可能性がある。リスクがあるのは変わらないけれど、輸送船の方に戻った方がいいかもしれないわ」

「アビ・エシュフの修理もしなければいけませんからね……しかし、修理したとしても……」

 

リオの言葉に同意しつつも、トキは苦い顔を浮かべる。トキが使用している方は修理すればまだ運用が可能だが、ケイの方はルミナスノヴァを含めたいくつかのパーツこそ無事だったり修理すれば使えるだろうが、元の形に今すぐ復旧というのは難しい。このままでは、無理に直すよりもトキの機体の予備パーツとして運用する方が好ましいだろう。

 

「ケイちゃんが無事なのは安心したけど、身体どうしよう……ミレニアムに戻らないと直せないよね?」

「……ですがそんな時間はありませんし……なら、あれを使うしかありませんね」

「あれ?」

『それって、もしかして……』

 

尤も、直ったところで今のケイでは使うための身体がないのだが。アリスの身体を拝借して使うことはできるが、物理的に頭数が減ってしまうのはこの状況では痛い。何か、ケイの人格を入れるボディはないのかと考えたケイはある候補に思い当たる。それは、あの培養ポッドに入っていた、アリスに似た身体だ。

 

「……確かに、あのボディは使おうと思えば使えるけれど……稼働には問題がないというだけでどんな欠陥があるかまではわかっていないわ」

「……それに、一応デカグラマトン側が作った素体だよね?」

「やはり、リスクが……失敗した場合、あなたの人格ももしかしたら……」

 

だが、リオとエイミは難色を示す。使おうと思えば確かに使えるが欠陥があるために好ましくない。ヒマリも、新しい体をあの施設から拝借することにはあまり賛成できる立場ではない。だがケイは溜息を吐くと、

 

「……はっきり言います。今のままではマルクトに勝つことは不可能です。それは皆わかってるはずです」

「「「……」」」

 

マルクトの実力を目の当たりにしたリオ達もこれには黙り込んでしまう。ケイは畳みかけるように、

 

「私もリスクは当然承知しています。ですが、今必要なのは鋼鉄大陸や奴らに関する情報です。あの素体は鋼鉄大陸の素材で作られている……うまくいけば、何かの手がかりを掴むこともできるかもしれません」

「でもケイ、もし失敗したら……」

 

これは必要なことだと強調していく。だがその様子を見ていた先生が、危険な真似を自らしようとしているケイに声をかけると、ケイはまた溜息を吐く。そして、

 

「どうせ、何もしなければキヴォトスはこのまま鋼鉄昇華されて終わるだけです。それに私は、死ぬためにこんなことをするんじゃないんです。皆で生きるために。それに……意識を別の媒体に移す。なんてことはミレニアムにとってはもう慣れたことですし、私なんて何回も移動しているんです。成功率そのものは、決して分が悪いものではない……違いますか?」

「「……」」

 

先生、そしてリオとヒマリはその言葉に黙り込む。そしてリオとヒマリは互いに顔を見合わせると、

 

「……わかったわ。やってみましょう」

「あら……あなたがそんな変数を増やしかねない行為を容認するとは」

「普段、余裕のある時であればこんな方法は容認しないわ。あの素体を利用するとしても、解析してこちらで新たな素体として作り直すという方法に留めるべきだけれど……今の私達には時間がないのも事実ではあるわ」

「実際、これがうまくいけばケイの言う通り、大きなリターンを得ることができます」

 

ケイの言いたいことにも理解を示す。普段ならばともかく、今は時間的な余裕もない。それにたった今、自分達はマルクトに蹂躙されたばかりだ。マルクトの方に何らかの原因があったのか、それともこれ以上酷い目に遭わされたくなければ戦いの手を止めるなり鋼鉄大陸から出て行けというメッセージでもあったのか。そこまでは判別がつかないが、いずれにせよマルクトに勝ち、鋼鉄昇華を止めるにはもっとデカグラマトン側の情報が必要なのもまた事実だ。

 

「……やれることはやるべきです。そうでしょう?時間もそんなにかかりません、心配なら追加の補助記憶装置を繋げることで万が一意識を移動できなかった場合の保険にもなります」

 

それでも相手が相手なので完全とは言えませんが、と内心呟きながら、今度はモルフォ達を見る。モルフォも、ケイの覚悟を見て頷くと、彼女の判断を後押しするように口を開く。

 

「……ケイ」

「はい」

「必ず成功するならやろう」

「当然ですよ。今のままで不十分なら―――」

「勇気で補えばいいのです!それが勇者です!!」

『いきなり出ないでくれませんか?締まらないじゃないですか!!……こうなるから同じ体なのは……!!』

 

だが最後の台詞をアリスに取られてしまい、ケイは不満そうな声をアリスの中で漏らしながら、締まらなさに再三となる溜息を漏らす。だが、皆の言葉を聞いた先生は、できる限りの事を考えてやろうとしているのだと理解し、ケイの決断を尊重するように微笑むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

培養ポッドの中にあった素体が目を覚ます。白い肌と白い長髪、目の色は最初は無色だったが次第に赤い光を灯していく。そして彼女の頭上にケイのヘイローが出現したのを確認し、先生は胸を撫で下ろす。培養ポッドの中の培養液がどこかへと排出されてロックが解除され、ポッドが開かれる。

 

「ケイ……?」

「大丈夫ですか?アリス達の事がわかりますか?」

『……大丈夫そうな気はするんだけど……』

「……ええ、意識の方は問題ありません……会話と五感も正常なようですね」

 

ポッドの中から歩いて出てきたケイは、新たな自分の体をどこか不思議そうに見ていた。やはりエンジニア部製とデカグラマトン製では色々話が違ってくるのだろう。服装もマルクトらが来ていた様式に近いものとなっていた。これはこれで皆の服とは浮いている気がして、アリスとおそろいで用意していたはずの自分の防寒着を見るのだが、こちらはマルクトとの戦いで腕や膝、腹部などが焼け焦げて消失してしまっており着れない状態になってしまっていた。

 

「調子が悪い所はあるかしら?」

「今の所は」

「でも、なんでアリスにそっくりの身体なんて作ってたの?」

『……名もなき神々の力を使うためのデカグラマトンのエンジニアとして、アリスちゃんを模して作ったから、とか……?』

 

自分の身体の様子を確かめるケイをリオとヒマリも共にチェックしていく中、モモイが零した疑問にもう一人のモルフォが仮説を提唱する。それを聞いたリオは作業を行いながら頷くと、

 

「その可能性はあるわね……ただ、鋼鉄大陸が生まれたであろう時期を考えたら、どういう意図で作られたかは調べる余地があるけれど……」

「不敬な理由ではないことを期待しますよ……」

「まあ、それはそれとして。何か分かったことはありますか?」

 

ケイが動く上で問題ない事を確認し終えたヒマリがケイに聞く。それを受けてケイはふっと笑みを浮かべると、

 

「ええ、おかげで色々話せることができました。ですが……いつまでもここに、というわけにはいきませんね。基地はないので、輸送船に戻りましょう。まだあちらの方が安全ですし、多少の設備もあるので」

 

そう告げるのだった。

 

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