転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
ケセドが存在する領域。そこへネル達が大きなトレーラーに乗って向かっていた。それは鋼鉄大陸に向かう途中、先生達がベースキャンプとして使用していた氷海の上を通過した際にゲーム開発部が氷海に向かうために使用していたものを回収していたもので、今回、地上を移動するための脚としてネル達C&Cが乗っていた。しかし、今四人はトレーラーの中の格納庫に移動しており、そこで初めて乗ることになるType.Sに三者三様の反応を見せていた。
「それにしても、いつの間に便利なもの作ってやがる……」
「あー!リーダー羨ましがってる!」
「羨ましくねえよ!?」
「でも、初めて乗って移動した時、凄く楽しそうな顔をしていましたよね」
「してねえ!!」
もうすぐケセドの存在する工場へ突入しようとする四人。その周囲には大量の千年の守護者とAMASを引き連れていた。戦艦に積み込まれ、持ち込まれたこの大量の兵達は、そのままケセドの攻略作戦に投入していた。
「それにリーダー、新しい銃も凄いワクワクしてたし」
「してねえよ!ただ……まあ、色々できそうだなって考えてただけだ!ウタハ達が余計なものつけてねえだけで全然違うからな!!」
『それは心外だね』
ネルはケイ達が作り出した、エネルギー弾を放つ二丁のサブマシンガンを見ていた。チェーンで接続されているその銃は、一見すれば以前からネルが使っていた銃と似ている。だが、銃身部分が元のより少し大きくなっており、そこにはネルも中々に気に入ったある隠し機能がある。きっと、ケセドとの戦いではこれも役に立つことだろう。
「私の銃も跳弾しやすいようになってるんだっけ?そういうのできるんだね!」
「エネルギー弾の跳弾ってあんまりイメージできませんけど……」
「そう考えると私とアカネの銃は割とスタンダードなのか?」
「まあ私の場合はこちらの方が本体かと」
アカネがシールドを見せる。カリンも新たな自分のスナイパーライフルを見ながら、シンプルに火力のある武器が貰えるのはありがたいとも考えていた。以前、ケセドと戦った時は、ケセド自体が復活するというまさかの展開になってしまったのはあるものの、シンプルに火力と兵力不足のせいで苦戦していたのだ。その片方を解決できたのは非常に大きいといえるだろう。そして、残った兵力不足についても、ある手段で解決していた。それが、格納庫に積み込まれた大量の機械兵達だ。
「……しかし」
「……これ、船に積み込んでる奴全部じゃねえか?使い潰す気か?」
『ケセドのエリアさえ制圧できれば工場設備をそのまま使えるわ。ビナーの例から言って、あくまで消えるのは預言者だけだから工場そのものは問題なく利用できるはずよ。ホド、ケテルの例から言ってもほぼ間違いないわ』
『なので、折角皆が持ってきてくれたAMASと千年の守護者をここで纏めてぶち込みます。非戦闘型と改造中で動かせないもの以外は全部投入しますよ』
「だったらあの変な四脚のも入れればいいのに」
『あれは……駄目よ……それに変なのじゃないわ……今エンジニア部と擦り合わせが終わって改修が始まるところなのに……』
頭数だけなら、以前ケセドと戦った時に参戦した正義実現委員会の面々よりも上回っている。それだけでなく武装面も合わせれば、今の方が戦力の質が高いといえるだろう。
「……つーかあたしらが最後かよ」
「まあ、私達が一番準備や移動にどうしても時間がかかってしまいますし……」
ネルがぼやく。既に他の二部隊の戦闘は終わっており、輸送船がそれぞれを回収しに向かっているところだろう。だが、アカネが言うようにネル達に関してはAMAS達の兼ね合いでどうしても時間がかかってしまっていた。そして、その必要があることを前回のケセドとの戦いで知っていたネルとしてもそれ以上は何か言うことはせず、頭を掻きながらレーダーの方を見る。と、
「「「「!」」」」
トレーラーの中に警報が鳴り響く。敵襲の合図だと気付いた直後、外の映像が格納庫の中に現れる。そこには、ケセドが生産したと思われる無数のレイバー達がこちらに向かってくる様子があった。
「お?なんか前と違うな?」
『どうやら鋼鉄大陸ではレイバーを基本的な生産品にしているようですね』
『確かに性能に関してはそれが適しているわね。レイバーそのものは機能的には優れているわ』
『……褒めてる場合ですか?』
『事実を言ったまでよ。AMASと千年の守護者を出して戦闘を開始するわ』
レイバーが近づいている今、これ以上はトレーラーを維持する必要はない。格納庫が開かれ、こちらも戦力を出してレイバーとの軍団戦を開始する。数分後、衝突した二つの陣営は激しく撃ち合い、エネルギー弾や実弾が飛び交う戦場、Type.Sに乗って飛び出したネル達はレイバーを避けるように移動し始める。
『うわー、圧巻……』
『あの時はこういう戦力は大体ミレニアムとエリドゥに回していたからできませんでしたからね』
クリフォトから中継でレイバーとAMAS達の戦闘を見ていたブリッジのメンバーは、その激しさに様々な反応を見せていた。唖然となりながらそれを見ているコユキやマキ、こちらの戦術がちゃんとハマっていることに安堵するユウカやノア、冷静にC&Cのルートをチェックするヒマリやチヒロ、AMAS達の被害状況を確認するリオといった感じに、これまでの預言者との戦いでは一番忙しいものになっていた。
『……とはいえ、時間をかければ先に負けるのはこっちでしょうね。兵力は向こうが無尽蔵なのだから』
『……生産ラインを抑えられてるのは厄介ですね』
「ま、こっちだって時間かける気はねえよ」
AMASがエネルギー弾を乱射し、千年の守護者が鋭い爪や射撃武器を利用してレイバーを倒していく。レイバーの方も負けじと頑丈そうな個体を盾にするように前に出し、後ろから砲撃を行ってくる。やがて、ヒマリとチヒロがルートを算出したのか、それがネル達に送られる。それを確認して先生が四人に次の指示を出す。
『皆、そのままケセドの所に行って、直接叩こう!』
「あいよ!」
『前回のケセドとの戦いのデータから判断するのであれば、ケセドの最大の武器はその生産性による兵力の補充にありますからね。前回も最終的にその兵力に押し切られそうになりましたが……』
「うるせえな、あの時のようなヘマはしねえよ」
『ええ、今は武装面で大きく変わっているわ。欲を言えばAMASや千年の守護者の一部を利用してあれを作りたかったところだけど……』
『ケセド相手に単騎の質を過剰に上げても仕方ありませんからね。少人数で戦う必要があったケテルとは事情が異なります。とはいえ、トキに関してはちょっと皆さんとは前提が違うところもあるのですが』
激しい銃撃戦の最中、ネル達がケセドの工場の中を移動していく。すると、その目の前にゴリアテの群れが立ちはだかる。
「あれは……!」
「温存していたようですね、どうします?」
「無理矢理突破しても後ろから撃たれんだろ?ここで潰した方がいいんじゃねえか?」
『そうだね。アカネ、派手にやってもらっていいかな?』
「!はい、わかりました!」
ケセドがいる部屋までもうすぐだ。つまり、このゴリアテ達が最後の関門ということになる。ここでゴリアテを倒さなければ、ケセドとの戦いで確実に乱入してくるだろう。かといって、ここで時間をかければ追加生産が行われることになる。ならば、時間をそこまでかけないようにするため、ここで先生はアカネの武装を使う指示を出す。
「では……!」
嬉々とした顔でアカネがシールドを目の前に突き立てる。直後、シールドが左右に展開し、その中に収納されていた大量の小型ミサイルが次々と射出されていく。それらはゴリアテの群れに次々と襲い掛かっていくと、ゴリアテも迎撃するように射撃を開始する。だがアカネはここでシールドに収納されていた弾薬を全て処理する勢いで放っていたため、多数のミサイルはそのままゴリアテに着弾、ゴリアテが大爆発に呑まれ次々と吹き飛んでいく。
「派手に吹っ飛んだな……」
「ふふ……やっぱり普段使いしちゃ駄目ですか?」
『これは駄目に決まってるでしょ!?』
「生き残りがいんぞ!」
だが、その爆発の中でも生き残りが存在しているようで、それらをネル達が撃破していく。エネルギー弾がどんどんぶち込まれ、ゴリアテの装甲が簡単に破壊されていく。
「はっ、こいつはいいな!」
実弾よりも通りがいいこの火力にはネルもご満悦のようだ。アスナやカリンも、新たな銃の威力を確かめるようにゴリアテを潰していく。
「よしっ、これで全滅だよ!」
『レイバーと交戦しているAMASの方も徐々に劣勢になってきているわ』
「時間はあんまり残ってなさそうだな。行くぞ!」
ゴリアテを全滅させ、ケセドのいる部屋へと飛び込む。そこには、部屋の中央に巨大な白い球体が存在している。これはケセドの本体であるコアを守る外殻となっており、まずはこの外殻を開かせて中にあるコアを露出させなければならない。
『カリン!』
「ああ!」
先生の指示が飛び、カリンがケセドの装甲に向かってエネルギー弾を放つ。それはケセドの装甲へと突き刺さり、表面を融解させていく。だが、ケセドの装甲を貫通させることはできず、ケセドの装甲には痛々しい痕が残る結果となった。
「……これでも駄目か」
「っ!何か来る!」
アスナが声を上げると共に、地面から次々とレイバーが出現してくる。ゴリアテも一機、二機とレイバーよりもペースはずっと遅いが少しずつ追加され、ケセドを守り侵入者を迎撃しようとする。
「はっ、的が増えていいことだ!」
「どんどん吹き飛ばしますよ!」
ネル達が次々とレイバーやゴリアテを破壊していき、合間合間を見ながらケセドにダメージを与えていく。だがケセドの方も必死だ。ゴリアテは最初の数機で打ち止めにして、その分レイバーの量産を優先しているのか出現する機体数は増えてきている。おそらくケセドは生産した傍から鋼鉄大陸を用いた疑似ワープで次々と送り込んでいるのだろう。
「さすがに数が多くなってきたな……!」
「そこだー!」
アスナが一体のレイバーにエネルギー弾をぶつける。放たれた弾丸がレイバーにぶつかるとそのまま跳ねて別のレイバーに当たっていき、その繰り返しでたった一発の弾丸で数体のレイバーが倒れていく。
「へー、これ面白い!」
これに気を良くしたのか、次々と跳弾を利用してレイバーを薙ぎ倒していく。その様子を見てネルも負けじと両手に握るサブマシンガンのある機能を解放する。
「はっ、こっちも拝ませてやるよ!ありがたく思いな!」
サブマシンガンに取り付けられた弾丸の発射とは違うトリガーを押すと、サブマシンガンの銃身にブレードパーツが内部から出現、装着される。遠距離だけでなく近接戦闘にも対応できるように調整された新機能を手に、ネルがレイバーの中に飛び込んでいく。
「オラオラオラオラァ!!」
レイバーの群れに飛び込んだネルがブレードを振るうと、レイバーが簡単に両断される。レイバー程度ならば簡単に切り裂けるように調整された特殊なブレードの切れ味はバッチリのようだ。上機嫌そうに口笛を吹きながら強固なはずの盾役のレイバーすら切り裂き、飛び込んだネルへ向かってレイバー達が弾丸を放つ。しかし、ネルは素早く回避して弾丸を後ろのレイバーへとぶつけて同士討ちへと繋げる。
「おっと、こちらから目を離してもいいんですか?」
守りを一気にこじ開け蹂躙を開始するネルにターゲットが移ってしまったレイバー達。だが、その隙を他の面々が見逃すはずもなく、アカネが手持ちの爆弾を次々と投げ込んでレイバー達を吹き飛ばしていく。アスナも生き残りを逃さないと言わんばかりに弾を跳ねさせていき、ネルが動きやすい環境を作っていく。
「さあ、次はどいつだ!?」
目の前の敵を斬り、振り向き様に切り捨て、少し離れた所にいる敵を撃ちながら走り、すれ違いざまに切り裂く。まさに一騎当千の暴れようを見せるネルにケセドも最も警戒しないといけない相手と判断したのか、ネルの周囲にレイバーが次々と現れていく。それらを見まわしたネルは、この時を待っていたと言わんばかりに口元に不敵な笑みを浮かべると、
「カリン!!」
「!」
カリンの名を呼ぶ。その直後、レイバーを集中させたことで何も守るものがないケセドの融解した装甲に向かって、カリンが再度の、フルチャージによって火力を最大まで引き上げたスナイパーライフルの一撃が突き刺さる。
「―――見えました!!」
「リーダー!多分あの中にある!」
ケセドの装甲では二発目は耐えられなかったのか、装甲に大きな穴が開く。その奥にはケセドのコアである球体が存在する。あからさまにコアだが、ここに情報コアまで保存されているかどうかまでは現状ではわからない。だが、アスナの声を聞いたネルは周囲のレイバーを切り捨てるように一回転してからジャンプ。空中で回転して勢いを付けながらケセドのコアを切り裂く。
「!あれは……」
『情報コアだ!アカネ、お願い!』
「はい!」
切り裂かれたコア。それによって内部が露出し、そこにはケセドの情報コアが保管されていた。それを確認した先生がアカネに確保するように言うと、アカネはアンカーガンを取り出して情報コアに突き刺し、引っこ抜く。
「ケセドの情報コア、確保しました!」
『こちらでも確認したわ。ケセドのエリアの占領を開始するけれど……既に出ているレイバーはそのままよ』
情報コアを引き抜かれたケセドの身体はもう抜け殻だ。その体が大地と一体化して消えていく中、残されたレイバーは主を失いながらも侵入者を撃退しようと襲い掛かってくる。体当たりしてきた一体を蹴り飛ばしながら、ネルは新たなバッテリーをリロードすると、
「なら、後は雑魚処理だな」
そう言い、不敵な笑みを浮かべるのだった。
★
「そ、そんな……」
「ビナーちゃんだけじゃなくて、ホドちゃん、ケテルちゃん、ケセドちゃんまで……」
「ぐ、ぐぬぬ……!!」
予言者達が次々と倒されていく様子は、当然アイン達も確認していた。アインは一気に三体の預言者が倒され、その情報コアが抜かれてしまったという事実に卒倒しそうになっており、ソフも苦々しげな表情を浮かべ、オウルに至っては既に二度の不覚を取っているのもあってか悔しそうに体を震わせていた。
「ていうか、何さあれは!?あのまま輸送船を落としてしまえば、後はこっちが簡単に勝てたはずなのに……!」
「ミレニアムサイエンススクール……いえ、確かにリオ達が来ている以上、唯一来れる可能性があるとすれば確かにあそこだけなのは理解できます。とはいえ、それが成す術ないのが鋼鉄昇華のはずなのに……おのれケイ……!」
「……残りの皆は大丈夫なの?」
悔しがるオウルと元から白い肌をさらに白くして今にも倒れそうなアインを見つつ、ソフは残る守護者達はミレニアムと戦って大丈夫なのかと疑問を浮かべる。
「……一応、単体の戦闘力という意味ではケテル達と比べても高いです。ただ、ケテル達の場合は鋼鉄大陸のバックアップを受けて優位に戦闘を進めていたため、現状で言うなら総合的な戦闘力にそこまで大きな差はないはずですが……」
残る守護者、ゲブラ、コクマー、ティファレト、イェソド。マルクトであれば今のミレニアム相手でも負けることはないだろうが、それ以外は既に一度敗北を喫している。それも、今の強化装備を得る前の先生達を相手にだ。フィールドという意味では以前よりも預言者側に有利になっているが、ゲブラやコクマーは直接鋼鉄大陸内を戦場にしているわけではない。この二体はネツァクのサポートを実質受け入れられないも同然であり、この後の再戦もかなり苦しい戦いになるのは間違いない。
「とはいえ、向こうもリソースを大きく消耗しているはず……」
「そ、そうですよね……ケセドちゃんが頑張ってくれたので無名の守護者達はほとんど全滅しているはず、です……何故か千年の守護者と呼ばれて、いますけど……」
が、苦しい戦いになるのはミレニアムだって同様のはずだ。何より、ケセドの働きが一番大きい。これで向こうは兵力を一気に失ったのだ。これは後に必ず響くはずだと。だが、ここでソフがあることに気付く。
「……ん?これは……」
「どうしました?」
「ケセドの工場が……再稼働してる!?」
「は?いや、まさかあ、あいつら……!!」
占領したケセドのエリア。その中にある工場が戦闘による損傷を修復されていくと同時に再稼働していたのだ。慌ててアインがネツァクに協力してもらい、何を作っているのか確認する。
「守護者を新造しています……後、武器と思われるパーツのようなものを……!」
「はぁ!?」
「ま、まさかあいつら……!!このためにケセド達を相手に物量戦を!?」
ケセドのエリア上空までクリフォトが移動しており、クリフォトから降りてきたリオやヒマリ、ケイらの手によって工場が再稼働させられていた。近くには輸送船もあり、合流してきたゲーム開発部やトキ、エイミらもネル達と共に警戒を進めており、その間に復旧させられた工場から消耗した戦力と、その後に使うと思われる追加武装のためのパーツを作っていたのだ。
「ぐ、ぐぬぬ……これどうするんですか!?」
「ケセドちゃん達にも、もっと警戒するように言えば……後は」
「後は?何かあるの?」
「……先生達の話で、ちょっと、気になるところが……」
「気になる?あ……」
「そういえば……」
向こうは預言者を倒していけばいくほどに状況が有利になっていくのだ。ミレニアムを警戒をするようにと伝えることもだが、それ以外の策を考える必要も出てきたのかもしれない。そんな中、アインはあることを思い出す。それが何なのか、ソフは一瞬思いつかなかったが、オウルと共に思い出す。盗聴した彼女たちの会話、その中に気になる言葉があったのを。
「「「ダアト……」」」