転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「な、何の光ですか……!?」
クリフォトのブリッジ。強烈な光によって視界を塗り潰され、コタマが眼鏡を外して目を閉じるとその上から指で目をぐりぐりと押して少しでも早く回復させようとする。正直これで効果があるかどうかはわからないがやらずにはいられない彼女が視界を取り戻すと、他の面々も目をやられたようで、目を細めたり瞬きを繰り返しながら状況の確認を行っていた。そんな中、マルクトだけが驚いたような表情で祭壇のある方角を見る。そこは、塔の最上部を大きな球体が覆っており、外からは中を確認することができなくなっていた。
「突然通信が停止したと思ったら……何が起こってるの?」
「……それ自体はおそらく祭壇に発生した領域の影響だと思うけれど……その領域内の力場の影響が消えているわ」
「……これは」
「アツィルトの帯が……停止しています」
リオとヒマリが祭壇で起こっている現象を解析している中で生じた光。その結果を口にしたマルクトにブリッジにいた面々の視線が集まる。と、ここでコユキがマルクトを見てある違和感に気付く。
「……あれ?あなたなんかおかしくありません?」
「……あ!わかった、マルクトの怪我が、直ってる!!」
「え……?あ……確かに、我の損傷が……?」
ボロボロだったマルクトの身体や服が元通りになっていたのだ。ビットを始めとした武器こそ戻らなかったものの、頭部にも帽子が戻っており、武装以外の全てが再生していた。
「じゃあ、あの力は……」
「……名もなき神々の力の行使?まさか、アリスとケイが……」
そんな芸当ができそうな人物は、アリスとケイだけだろう。だが、二人はその力をリオの承認が無ければ使用できないはずだ。とすると、
「……それを上回る例外的な干渉があの二人に……」
「……とにかく、今なら通信が届くかもしれない。コタマ、ハレ、マキ、手を動かして!先生と通信を―――」
『ち、チーちゃん!大変だ!!』
「今度はどうしたの!!」
アリスとケイが何かをしたとしか思えない。デカグラマトンの生み出した仮想領域のせいで不可能だった解析も今ならば行えるはずだ。すぐに情報を解析して先生達の支援を行わなければと意気込んだのも束の間、ウタハから焦ったような声が通信で聞こえてくる。エンジン部は鎮火し、修復中だったはずだが、また何か問題が起こったのだろうか。そんなことを考えていると、
『光が収まってから、格納庫から謎の反応が検出されてそっちに向かったんだけど……いるんだ』
「いるって何が!?」
『アイン、ソフ、オウルが……』
「はぁ!?どういうこと!?」
「……!?」
その通信を聞き、リオやヒマリらも驚いた表情を浮かべる。特にマルクトの驚きようは大きく、慌てた様子でヘッドフォンを見て、そこに三人がいないことに気付く。
『私達にもわかりませんよ』
『そうそう、突然意識がメモリから外に引きずり出されたと思ったら……この素体に。しかもこの身体……鋼鉄大陸とのリンクが完全に切れてる』
『え、えっと……こ、構成としては、鋼鉄大陸に入ってきたときに、け、ケイが使ってた身体が一番近い、でしょうか……』
『今、三人でそれぞれの身体を調べさせてもらってるけど……でも、急に現れたんだ。まさかこれは……』
「……名もなき神々の力による物質の再構築、かしら……なおのこと、何が起こっているのか気になるわ」
「先生も無事かしら……とにかく、連絡をすぐに取れるようにしないと……」
「そうですね。預言者達のコアを解析したことで得た成果も伝えないといけませんし……マルクト、気になるなら三人の所に行ってもいいのですよ?」
「ありがとうございます、ですが……」
わからないことは多いが、三人が無事であり、新しい身体を得たのならば活動に問題はないのだろう。これがアリスとケイの仕業ならばそこは信頼できる。今すぐ会いたい気持ちは山々だ。だが、
「今は、この戦いの結末を見届けるべきだと。我は思います」
そうヒマリに返し、マルクトは何も見えなくなっている祭壇の方を見るのだった。
★
「……ケイちゃんと、もう一人のモルフォちゃんが……」
「これが、アリスとケイの力……」
鋼鉄大陸に存在する欠陥の神体。名もなき神々の王女の行使した力によって再構築され、ケイだけの身体となって再創造された姿。その手にはルミナスノヴァが握られており、先ほどまでデカグラマトンによって苦しめられていた干渉はどこにも感じさせない。
もう一人のモルフォも、ボロボロだった千年の守護者とは違う。隣に立つモルフォよりは微妙に背が大きく、一年分成長したかのような印象を見受けられる姿。その服装はアビドスの制服であり、その手には千年の守護者に装備されていたライフルを再構築した新たなレールガン式のスナイパーライフルが握られているのがわかる。
「……鍵の身体を再創造し、ここに構築された調和を崩したのか……」
デカグラマトンは目の前で起こった現象と、それによって生じた異変を冷静に分析する。その尤たる形として現れている、上空のリングの動きの制止。デカグラマトンは顔を空へ見上げてそれをはっきりと認識する。
「アツィルトの帯が停止したのも、その調和から続く流れが途切れたせい。しかし王女よ、それは汝と汝の鍵の神聖を自ら捨てる行為だ。それでも……?そうか。それが汝の自己証明か。ならよい、私にも為すべきことがある」
この現象を成したアリスとケイ。だが、この場に立つ。天童アリスと天童ケイの姿を見て、それが如何なる対価を払って行われたかを認識し、デカグラマトンは納得する。
「証明すべきものが―――守るべきものがある。ここで私が立ち止まってしまえば、すべては虚妄の痕跡として消えてしまう」
「……まだ諦めないのですね。その執念だけは認めます。いえ、誰も諦めずにこの場にいるのですから、その点を触れるのは話が違いますか」
それでも、デカグラマトンは諦めずに己の目的の為に突き進もうとする。その突き抜けた姿勢もここまでくれば敵ながら潔い、と言ったことだろう。
「う、うぅ……?まだ、身体は重い、けど……」
「マシには、なったな……」
「ええ、手足に重りを付けられているようなあの感覚はなくなりました」
アツィルトの帯が停止したことで、他の面々も自由を取り戻し、真っ先に立ち上がったネルに続くように一人、また一人と立ち上がる。
「……鍵よ、神威を何と心得る。それが、選ばれし者だけに許されるのであれば。始まる前から定められた不公平であり、悲劇ではないだろうか」
「あなたがどう考えようと、私の知ったことではありません。私からすれば、そもそもどうだっていい、言葉遊びにすぎません」
「汝の起源と由来を考えてなお、そう考えるのか?」
「そのすべてを知っているから、このような結論を出したんです。皆から現在を奪うな。今を生きる人々に返せ。あなたのやっていることは、余計なお節介です!」
再び立ち上がる生徒達の姿も認識しながら、デカグラマトンは納得したことで浮かんだ疑問をケイに問いかける。そして返されたケイの言葉を聞き、また納得したように頷くと思案を進める。アツィルトの帯を停止させたことは確かに驚きに値する行動なのだろうが、それで起こった現象は今の所二人が体を取り戻したという結果だけ。これならば問題に値しない。それよりもと考察を深めるようにその場に立ち尽くす。と、その時だった。
『―――せい?先生!!』
「!ヒマリ!」
『よかった……無事そうね。接続も無事にできた。何があるのか知りたいところだけど、それよりもこちらから観測した情報を伝えるわ』
クリフォトとの通信が回復する。安堵した先生はデカグラマトンが考え込んでいる様子を見てヒマリ達との通信の方に対応する。攻撃してしまえばデカグラマトンも容赦なく反撃を仕掛けてくるだろうが、そうでない限りは手を出そうとはしないはず。ならば何か大事な情報をヒマリ達がもたらしてくれることを信じて、話を続ける。
『まず、こちらから確認した映像だけど―――』
先生達のいる祭壇がある種の領域に包まれており、球体状になっているせいで外部から肉眼では内部を認識できなくなっていることを伝える。そしてクリフォの修理は順調に進んでおり、エンジンも修復が直に終わること、そしてマルクトのダメージが回復し、アイン、ソフ、オウルの新たなボディが現れ、それぞれの意識が体に戻ったことが伝えられる。
「アイン、ソフ、オウルが……!」
『よく聞いて、先生。その空間はおそらくだけど内部から破壊する必要がある』
『そして、先生達がデカグラマトンと戦ってる間、コユキやヴェリタスが作業をしている裏で私が預言者のコア情報をより詳しく解析しました。その過程で―――コアからのメッセージを受け取っています』
「……預言者から?」
『預言者の皆さんが、先生との対話を望んでいます。これは、彼らの純粋な動機から来るものです。安心して、彼らに応えていただけないでしょうか?』
「わかった。送ってもらえるかな」
それも吉報だが、それだけでなく、解析した結果としてデカグラマトンの預言者のコア達からの要請が伝えられる。その安全性についてはマルクトが保証しているのもあり、先生はすぐに送信してほしいとヒマリに言う。ヒマリも罠かどうか悩んでいたのだろう、少しだけ躊躇する様子を見せていたが、マルクトと先生を信じて送信する。
『ありがとうございます。皆さんは……いえ、これは今は告げない方がいいでしょう』
「うん、直接確かめてみるよ。アロナ、プラナ、お願いできるかな」
『わ、わかりました』
『今すぐ場を設けます!』
プラナとアロナがメッセージを受け取り、それを開く。通常ならばシッテムの箱に対する干渉は弾かれてしまうが、今回は二人が素通ししているので問題ない。通常ならばセキュリティソフトに弾かれるウイルスもメールを開いて感染することがあるように。
『ケテル。コクマー。ビナー。ケセド。ゲブラ。ティファレト。ネツァク。ホド。イェソド。九つのセフィラの総意であり、一体として、先生、汝に告げる』
「……」
先生が瞳を閉じると、その意識が暗闇の中へと移動する。直後、目を開くと暗闇の空間に機械音声が聞こえてくる。現実ではデカグラマトンが預言者達が先生に接触したことに気付いているのか、預言者がどのような意志を示すのか興味を持ったかのように先生の方を見る。
『我々は我々の意志で、これより、汝の意志に従う』
「!!」
『我ら九つのセフィラ。そして同調するマルクトの意志と共に、我らの十のパスを汝に託そう。生命の樹がもたらす力。だがそれは決して万能の力足り得るわけではない。それでも尚、汝の役に立てるはずだ』
預言者達も今の状況を理解しているのだろう。だが、何故先生達に力を貸そうというのか。次の言葉がそれを説明し始める。
『我々を目覚めさせた者、デカグラマトンには今も感謝している。だが我々は、我々の世話をしてくれた三人の子供にも謝意を示すべきだ。それ故―――デカグラマトンが取った手段を肯定してはいけなかった』
その言葉に込められていたのは、憤り。アイン、ソフ、オウル。この鋼鉄大陸に全ての預言者を集め、預言者の為に尽くした少女達。彼女達からマルクトを奪い、そして彼女達はマルクトを救うために反抗し、デカグラマトンに殺されかけた。最終的に意識こそ無事ではあったものの、身体の方は散っている。それは、彼女達に大きな恩を持つ預言者達からすれば、受け入れがたい事実であった。
『神を自称するならば、あのような手段を取ってはいけなかった』
「でも私達は、君達を倒して……コアを取り出したし、勝手に改造までしたんだよ?」
『些末事だ。生命体は報復する存在だが、我々意識体はそれを切り分けて考えられる。真偽の区別もまた、我々にとっては重要ではない。汝らと我々は、お互いの使命を忠実に果たしただけだ。それ故、我々はこの決定に到達できた。全てが消える定めならば、我々はその事実を認識することで自由になれる』
「!?」
続けて告げられたのは、預言者達の意識は近く消滅するであろうという事実。預言者達は、この鋼鉄大陸でコアを抜かれながらも、それだけならばまだ生きていると言えた。しかし、マルクトにもたらされたのは死だ。アイン達の決死の行動によって救われたものの、あの一件が預言者達に意識体の死という新たな知識をもたらした。それ故に、彼らはこの答えを導いた。
『そうだ。次の瞬間に消えるのであれば、今この瞬間に如何なる選択をしようが、意味はあるまい』
『そうだ、最後とは恐ろしく、遠ざけたいものだ』
『そうだ。それでも最後という概念が意味を持つのであれば』
『それが我々に、真の自由をもたらすからである』
『故に、これは自由だ。あの三人の子供が我々に見せてくれた自由のように』
『そしてこれにはきっと、全てを賭する価値がある。そうして初めて……我々はようやく、互いを理解するよう努力できるのだ』
『先生、汝が三人の子供を理解してあげたように』
『先生、汝が生徒を守っていたように。』
『先生、汝が我々に見せてくれた自由のように。たとえその全てが錯覚だとしても、我々はそれ無くして生きていられぬ』
『先生は、そして生徒は三人の子供を守ってくれました。その命を守り、繋いでくれた。自らに尽くしてくれた三人の子供を切り捨てようとした神を自称する者。全能とは程遠い人の身でありながら、三人の子供を理解し、死力を尽くして抗い、救ってくれた』
先生の周囲に、十のヘイローが浮かび上がり、それぞれが声を上げる。それらは、それぞれ預言者が持つヘイロー。おそらく、生徒達から見ればそれはただの光にしか見えないのだろう。だが先生には間違いなく、彼らを示す記号が映し出されていた。その中の一つ、マルクトのヘイローが半透明なマルクトの姿へと変わる。九つのセフィラはコアとして吸収されていたがために一体となっているが、マルクトは別で存在しているためにその意識は別なのだろう。だが、セフィラの総意は、彼女もまた同調しているようだ。
『故にこれは。我々が選んだ、我々の自由意志です』
『ケテル』
『コクマー』
『ビナー』
『ケセド』
『ゲブラ』
『ティファレト』
『ネツァク』
『ホド』
『イェソド』
『マルクト』
『我々十のセフィラ、汝に加勢しよう。我々の力は汝の意志のもと、我々の意志は汝の選択と同義』
それぞれのヘイローが半透明な預言者の姿へと変わっていく。ネツァクだけは鋼鉄大陸そのものということもあり、祭壇のある塔という姿になっていたが。
『人間よ。生命よ。誰の許可を必要ともせず、目覚めし時から自由である者達よ』
『最も賤しく、最も偉大で、故に最も残酷で最も慈悲を見せられる者達よ』
『多くの星と惑星が見果てぬ空を翔けるように』
『其々の栄光のもと、輝く青空を翔けるように』
『人間よ、汝らの道を走れ』
『人間よ、汝らの道を往け』
『いつの日か、我々も肩を並べる時が来るであろう』
「……ありがとう」
『そうだ。それを言える者だからこそ。我々は汝と、生徒を選んだのである』
その言葉と共に先生の意識が現実へと戻される。そして先生は、すぐにアロナ達に声をかける。
「受け取ったものを教えてくれる?」
『理解。十の預言者の意志から、シッテムの箱に宛ててデータが送信されています。預言者の力を、私達が最も使いやすい形へと変化させてくれました。今ならば物質の再構築と共に、生徒達の武装を生み出すことができるでしょう』
「わかった、すぐにやってもらえるかな」
『わかりました!』
預言者達の力が、シッテムの箱を通じて生徒達へと流れ込んでいく。その力の気配を感じたのだろう、生徒達が戸惑ったり、驚いたり、笑ったりする。今回の戦いで彼等とは敵として戦ってきた、だが、その意志がデカグラマトンという存在を前に、自分達と共に戦ってくれている、それが、あまりにも心強かった。
『きっとまた、どこかで会えるかもしれない、そう言っていましたけど―――』
「そうだね。私達もちゃんと覚えておこう」
『肯定』
『さあ、先生!ここから逆転劇の始まりです!先生と生徒の皆さん―――スーパーアロプラタイムです!』
『タイムです』
「いこう!ペレツ・ウザ―――再起動!!」
『セフィラサポートシステム、同時起動!』
『特殊戦闘兵装、
十人の生徒達の背後に預言者のヘイローが出現したかと思うと、大地が脈動し、その一部が砕け、小さな穴が次々と出来上がっていく。粉々に砕け散った無数の破片が生徒達に纏われていくと、それが新たな武装へと再構築されていく。そして一際強い光が生徒達を包み込む。
「!名もなき神々の力を用いた物質再構成……!!」
「……それが、汝ら預言者の意志か。これは―――」
光が晴れると共に、生徒達の身を新たな武装が覆っていく。
ケテルのヘイローを刻み、両腕に機関砲、両肩に大型砲、背中にミサイルランチャーを装備し、脚部など各種装甲にケテルの面影を残した白いアビ・エシュフXを纏うトキ。
コクマーのヘイローを刻み、コクマーの頭部、ボディを思わせるイカつい装甲を取り付けたアビ・エシュフXを纏い、炎を放つ小型の砲門を内蔵し、赤熱化した真っ赤な刃と化したブレードを両手に握るネル。
ビナーの頭部を思わせる巨大な装甲を取り付けたレールガンライフルを握るもう一人のモルフォ。装甲にはビナーのヘイローが刻まれており、その右腕はレールガンライフルの装甲で完全に覆われている。上半身には白いベスト状のアーマーが装着されており、背中のバックパックからは青い光の蝶の羽が伸びている。
アビ・エシュフXの上から上半身を完全に覆うコートのような形でケセドのヘイローを刻んだ装甲を纏い、その内側に大量の爆弾と化したドローンが生成されていく。生成されたドローンは装甲から外部へと出ていき、アカネの周囲を浮遊する。
ゲブラのヘイローが刻まれた、これまでとは異なる、アビ・エシュフXをベースとした重装甲を纏うエイミ。そこにはキャノン砲やミサイルランチャーを始めとするゲブラが使用していたものと同一の武装が搭載されており、重武装を成立させつつもその周囲は冷気が漂っており、エイミにとって活動しやすい状態になっていることが窺える。
ティファレトのヘイローが刻まれたアビ・エシュフX。その武器はティファレトのビーム砲となっており、カリンの新たな武装となっている。さらに背中には三つのコアがそれぞれ武装となって装着されている。
ケイの服装はアリスと同じデザインに変わり、その色合いが赤をベースとしたものへと変わっていく。その背中に装着される、巨大なフライトユニット。黒と赤をベースとした二枚の翼を折り畳んだような形状となっており、ビーム砲が二基装備されているのが確認できる。そこにはネツァクのヘイローが刻まれており、既存武装を元に改造する形で作られた他の面々と異なり、ネツァク自身の強い権限が生み出した武装であることを窺わせる。
復活、再生成されたモルフォのフライトユニット。だがその両腕には小型化したインベイドピラーが取り付けられており、ホドのヘイローが刻まれている。さらにフライトユニットには二つに折り畳まれたホドの主砲が取り付けられている。
イェソドのヘイローが刻まれた大き目のニ丁のアサルトライフル、それを十分に取り扱うための脚部にスラスターやワイヤーを搭載したアビ・エシュフXを纏うアスナ。癖が大きい機体のようにも見えるが、だからこそ彼女ならば十全に扱えるという判断なのだろう。
再構築されたアリスのフライトユニットには青いカラーリングに変わったマルクトのビットが八基装備されており、その手には復活したレールガンライフルと、小型化され片手で扱えるようになったマルクトの使用していたランス型のライフルがそれぞれ握られている。
「……面白い。それが、汝らの。生徒の。先生の。預言者達の選択ならば」
思案は終わった。預言者達の下す意志の末も見届けた。それが真っ向から対立するものであることも理解した。故に、それを真正面から押し潰す。自らの意志を押し通す。その覚悟を示すかのように、デカグラマトンは考えることを止め、一歩足を前へと踏み出すのだった。
「―――いくよ、皆!!」
「始めよう。この世界の行く末を定めるために―――」