転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「モルフォちゃーん?起きてるー?」
ユメがドアをノックする。アビドスの一角にあるこの建物はユメ、シロコ*テラー、もう一人のモルフォの三人が一緒に住んでいる場所だ。三人で暮らし始めてそう長い時間が経ったわけではないが、別時間軸の世界から来た、同じ学園の唯一の面々だ。モルフォも復活してやっと落ち着けたということもあり、その雰囲気も良いものではあった。しかし今日は少しだけその様相が変わっていた。
「モルフォちゃーん……あれ?」
ノックをしても反応がなかったため、ゆっくりと扉を開き、もう一人のモルフォの部屋に入るユメ。そこには、鏡の前で髪を薄紫色に染めていたモルフォの姿があった。
「も、モルフォちゃん!?その髪、ど、どうしたの!?」
「……あ、ユメ先輩。これは……ちょっと髪染めた方がわかりやすいかと」
「わ、わかりやすい?ど、どうしちゃったの!?似合う……じゃなくて、元からあんな可愛いのに……な、なんかいけないこととかしようと!?」
「ち、違いますよー!その……実は」
丁度髪を染め終えたモルフォの姿を見て驚いたように駆け寄るユメ。決して今のモルフォの姿が似合っていないというわけではないし、むしろどちらかと言うとアリではあるが。
「……勘違いされるんです」
「勘違い?」
「……この世界の私に……」
「……あ、あー……」
物悲しげに両手の指を合わせながら呟くモルフォにユメは口元を引くつかせながら納得する。シロコ*テラーぐらいはっきりと姿が変わっているなら見る側も間違えないのだろうが、ここにいるもう一人のモルフォはこの世界のモルフォよりもちょっと成長してはいるがシロコ*テラーほどの劇的な成長ではない。髪型こそロングヘアという違いはあるものの、髪型程度ではなんかイメチェンした?というかお洒落始めたんだね!で済まされてしまい、中々別人判定を貰うことがない。
「……色々ありました」
『まさかここで会うとは奇遇ですわね。実は先日、アリウスに向かおうとしたのですが辿り着くことができず……そこで行ったというパワードスーツを用いた芋煮というものについて是非―――』
『え、何それ……というかそれ別人ですよ!?』
『……ああ、あなたはあの船にいた……え?身体あったんですか?』
『ま、まあ……はい。色々ありまして……』
以前会った美食研究会には間違えられた挙句、この世界の自分は何をやったんだと困惑するような全く知らないことを聞かれたり。
『あなたは!!確かゲーム開発部の!髪伸ばしたんですか!?』
『え?えーと確か宇沢レイサちゃん……だよね』
『その通りです!トリニティ自警団のエース、宇沢レイサとはこの私のこと!それよりも髪を伸ばしたということは―――いよいよやる気ですか!?あのオレンジの髪が似合う魔法少女、テルミット―――』
『全然わからないけど私その魔法少女は知らないの!』
偶然会ったレイサから何故かコスプレについて語られたり。
『モルフォさん?髪伸ばしたんですのね?』
『えっと、多分その人は―――』
『お似合いですわ!普段のモルフォさんも中々格好いいですが、今のモルフォさんも―――』
『私その人の空似なんだけど……』
ユカリに思いっきり勘違いされたり。アビドスやミレニアムにいる人から見間違われることはないが、それ以外の学園の人からはまず初見だと勘違いされる。美食研究部のように別世界の同一人物だと知っている人ならその後の説明もスムーズなのだが。
「だから……いっそわかりやすいように髪を染めようかなって……それに、ずっと興味あったんです。髪を染めるってどういう感じなのかなって。だから、一日で簡単に落とせる染料を買って試しているんです」
「そっか……でもよかった。モルフォちゃんが不良になったらどうしようかと……」
「わ、私に不良なんて無理ですよ!?」
髪の色を変えることについて、何か悪い事があるわけでもなくてよかったと安堵するユメ。その心配がなくなったからだろうか、薄紫色に髪を染め、赤い目をこちらに向けて首を傾げるモルフォの様子を見て安心しながら頬を緩ませる。
「よーし!折角だしこの格好でお出かけしようよ!」
「いいですね!どこに行きましょうか?春葉原とか?」
「うんうん、いいね!じゃあ、シロコちゃんも呼ばないと!」
「?呼んだ?」
「うん、モルフォちゃんがお洒落したからさ、折角だから三人でお出かけしようって」
ユメに呼ばれ、リビングの方でだらけていたシロコ*テラーが近づいてくる。モルフォがお洒落と聞き、どことなく懐かしい気持ちにもなってくる。おそらくこの世界のモルフォがお洒落に無頓着すぎるだけではあるが。
「でもモルフォのお洒落か……ふふ、一体どんな―――」
少しワクワクした様子で部屋の中を覗いてみるシロコ。そこにいた、髪を薄紫色に染めたモルフォの姿を見た瞬間、彼女の動きが固まってしまう。
「ねえねえ、可愛いでしょ?」
「え、えっと……に、似合ってるよ……?」
薄紫色の髪。そして赤い目。雰囲気とかはさすがに違うが、その要素はかなりの既視感がある。それを思い出したシロコ*テラーは少し表情を悪くしながらそそくさと部屋から出て行こうとする。
「え!?シロコちゃんどうしたの!?」
「ちょ、ちょっと色々思い出しちゃって……お、お出かけは二人で行って?私はえっと、今日はちょっとライディングの気分だったから……それじゃ行ってくるから……」
ユメが困惑している中、シロコ*テラーはそう言い残して出て行く。その様子に二人が困惑していて顔を見合わせていたが、シロコ*テラーが家を出て行ってしまった後、二人は出発の準備を始めるのだった。
★
「……何をしてるの?」
「ひゃい!?」
「あ、モルフォ」
茂みに隠れてある建物を観察している二人の少女。それを春葉原に遊びに来ていたモルフォとケイとミドリが見つけると、片方の浅葱色の髪の少女の方がいきなり跳ね上がり、もう一人の薄紫色の髪の少女が後ろを振り向いて赤い目をこちらに向ける。
「うーん、まあちょっとね」
「ちょっとって……あれパチンコ屋さんでは?」
「アツコとヒヨリさんはなんでこんなことを……」
「……んー、まあ、ちょっとね……」
その二人、何故アツコとヒヨリがここにいるのか。何故パチンコ屋から隠れているのか。たまたま春葉原に遊びに来ていた三人にはまるでわからない。アツコはゆっくりと立ち上がって服に着いた葉っぱを払うと、少し困ったような表情で三人を見る。
「捕まえてやろうかなって」
「捕まえる?」
「前々から考えていたんだけどね。パチンコ屋に入り浸ってるうちの生徒を捕まえてやろうって」
「そんなことやってるの……?コユキちゃんみたいなことする子ってどこにもいるんだね」
(あんまり言ってはいけないことですがアリウスだから、というのも正直ありそうですが)
ちょっとだけ悩んでいたが、モルフォ達ならば別にいいかと何故こんなこそこそしているのかを語るアツコ。ヒヨリも首を縦に振って頷く中、モルフォは他の二人がいないことに気付く。
「そっか……大変そうだね?そういえば、ミサキさんとサオリは?」
「二人は別の所で見張ってるかな」
「も、もうちょっとしたら一回集まろうってことになってるんです……」
「ギャンブルは一度ハマると根深いからなぁ」
「皆があの時色々持ってきてくれたおかげもあって大分マシになってるけどね」
アリウス生がパチンコにハマっている。それだけ聞くとあり得る範疇では確かにあるが問題はなんとも根深いようだ。これでも先月モルフォ達がアリウスに行った時と比べればだいぶ改善はしているらしい。
「ま、まあその……あの時は楽しむものなんて、何もありませんでしたからね……だからこういうのに手を出す人も出てきちゃって。だからそれ以外にあるのなら……」
「ギャンブルにはギャンブルの魅力があると聞きますが、それについてはどう思いますか?」
「…………」
「ヒヨリ、目逸らさない」
「あれはもう救えぬ者じゃ……」
「なんてこと言うんですかぁ!?」
ギャンブル中毒者に対する無慈悲すぎる宣告に思わず声を上げるヒヨリ。隣でアツコが軽く笑っている様子を見つつ、三人は顔を見合わせる。
「どうします?」
「そもそもギャンブル中毒者への対策って何があるの?」
「依存性と中毒性が高いからね」
「いっそエンジニア部に作ってもらいます?絶対に当たる代わりに金を使わないスロットでも」
「あれ外れもちゃんとあるから中毒性高いだけで必ず当たる台とかすぐ飽きられそうなんだよねぇ」
「我が儘な生き物ですね本当に……」
「うーん……これはちょっと救いようがないかも」
「アツコがそんなこと言っちゃ駄目ですよぉ!?」
パチンカスとなり果てた悲しきアリカスをどうにかできないか話していくが、段々遠い目をし始めるアツコの両肩に手を置いて慌ててヒヨリが声を上げる。モルフォ達としてもどうにかしてあげたいとは思うが根本的な解決法など存在しないだろう。
「一回とんでもない負け方させてもうやらないって感じには?」
「そんなんで止まるなら最初からパチンコやらないでしょ」
「確率を始めとした勉強でもやらせてあげたらどうです?」
「あー、リスクヘッジとかそういうのをやらせて負けを減らすか負けても被害軽微に抑える方法?」
「でもコユキちゃんみたいに確率よりも大穴ってこられたら?」
「……やっぱり救えない生き物では?」
「いやケイちゃんまで言わないで!?」
どうして話せば話すほどにこんなことに……とモルフォも段々遠い目になり始める。そんな中、
「……それにしても、ギャンブルで擦った金があれば何食分おかずが一品増えるんでしょうね……」
「「「……」」」
「え?あ、あのどうし―――」
「「「「それだ!!」」」」
「ええ!?」
若干現実逃避寄りに呟かれたヒヨリの食欲全開の発言を聞いた四人がこれだー!!と言わんばかりに声を上げる。まだアリウスの生徒達に訴えやすい食欲という解決策を全面的に押していく。これならどうにかなるかもしれないと光明が見え始める。
「じゃあこの方向性で先生にも協力してもらうのがいいんじゃない?」
「うん、そうさせてもらおうかな……って、あ」
「どうかした?」
「……話してたら待ち合わせ時間過ぎちゃってた」
「急いだほうがいいんじゃない?」
「うーん、そうする」
「私達も着いていくよ。なんか遅くなったの私達が原因でもあるし」
「それもそうですね」
「でも、アリウスも大変だね……」
「まあね。うーん、まだ出てこないし、一回戻るか」
色々と話し合っていたせいで既に時間は待ち合わせ時刻を過ぎていたことに気付くアツコ。二人を待たせているんだろうなと考えつつ、待ち合わせ場所へ移動することにしたのだった。
★
心配はないだろうが、アツコについていったモルフォ達。しかしそこには、
「……なにこれ?」
「わからない……」
数人のアリウス生達に囲まれている二人の生徒。その二人を微妙そうな顔で見ているサオリとミサキ。時折顔を見合わせて、やっぱり違うのでは?と言いたげに首を傾げていたその視線の先には、
「ヒヨリ先輩じゃないの?」
「ひぃん、ち、違うよぉ」
「でも髪の色同じだしライフル持ってるじゃん!」
「服も白いし、私達に黙って洋服屋さんに抜け駆けしたんだ!」
「ひぃん!」
何故かユメの姿があった。どうやらヒヨリと勘違いしているようでその光景を見たヒヨリが頭を抱えてしまう。
「うわぁん!私が偽物に乗っ取られていますー!」
「いや本物」
「というかバレないものなの……?黙ってるならともかく」
「……多分原因は隣の人物ではないでしょうか」
どうしてこんなことに……と思いながらその様子を見ていたが、おそらくその勘違いの原因と思われる人物がユメの隣にいた。
「……ううん?」
そこにいる、凄く申し訳なさそうな表情を浮かべていた薄紫色の髪に赤い目の少女。四人は思わず視線をアツコに向けてしまい、アツコは不満そうな表情を浮かべる。
「誰あれ?」
「アビドスの制服ですよねあれ……」
「でもあんな髪の子なんて……」
「……私じゃよ」
「「「えっ」」」
「なんで髪染めてるんだあいつ……」
少しよく見ると、それがもう一人のモルフォであることがわかり、モルフォは首を傾げる。髪を染めること自体は別にいいのだが、どうしてこんなに紛らわしい色を選択したのか。無論、紛らわしさに関してはユメもその要因に一役買っていそうなところではあるが。
「……で?サッちゃんは気付いてるんでしょ?」
「うわっ!?あ、アツコ!?それに…………ひ、ヒヨリ?」
「なんで私は確証持ってくれないんですかあ!?」
「本当にすまない……」
「ミサキは、ミサキは気付いていますよね!?」
「……あっちが偽物なんだろうなってのは……」
「別に偽物ではないんですよ、アリウスの生徒達が勘違いしちゃってるだけで」
このままでは埒が明かないのでとりあえずサオリとヒヨリに声をかける。二人は本物のアツコとヒヨリを見て驚いていたが、同時にちゃんと本物と別人の判断ができていたようで安心したように胸を撫で下ろす。
「なんでこんなことに?」
「ああ、店から出てきたところを見つけたんだが……そこであの二人が現れてな。そしたら皆がアツコとヒヨリだと言っていて……向こうの人物はユメだと言っているんだが、もう片方が歯切れが悪くてな」
「私、なんでさ。名前名乗れば一発じゃん」
「え!?な、なんで私が……って、なんで名乗らないってその……名乗ると誤解されて逆効果になることが多くて……どう自己紹介をすればいいのか……」
「も、モルフォちゃん!?なんでここに!?」
「今気付いたんだね」
ユメ達もモルフォ達に気付いたようだ。そしてもう一人のモルフォが名乗らないのはこの世界の自分と勘違いされることがおそらく多かったからのようである。尤も黙っていたら黙っていたでアツコと勘違いされる悲しき事態に発展してしまったため、中々うまくはいかないようだ。
「はー、そういう……」
「うう、こうなるなんて」
「……そもそもの話なんだが、何でモルフォが二人いるんだ?」
「ああ……そういえばサオリ達には言ってなかったっけ」
「……まあ、確かにこれなら勘違いする人は勘違いしますよね」
正直なところモルフォとしてはどうしようもできないことだ。本人の編み出した対策として髪を染めたりみたいなのは悪くはない。悪くはないのだが、今回はまさに交通事故のようなものだろう。別にサオリ達も気分を悪くしたわけではないし、とりあえず仕切り直すようにモルフォが手を叩くのだった。
「ま、まあまあ。とりあえずこうして会ったわけだし……少し話でもしていかない?」
★
サオリ達と一緒にいたアリウスの生徒達は自治区の方に帰っていき、サオリ達四人とユメ達二人、モルフォ達三人で近くにあった公園に移動し、それぞれなんでここにいたのか話す。その後、もう一人のモルフォやユメの事についてアツコ達は説明を聞いていたが、やがて納得したように頷く。
「なるほどな」
「あの時にね……」
「色彩、か……」
一方のユメの方もどこか複雑そうな表情を浮かべていた。彼女の目の前にいるアリウススクワッド。アリウス分校は彼女達の世界でも調印式の襲撃を行っており、それに巻き込まれたモルフォは大怪我を負うことになった。加えて巻き込まれた他の一年生も大怪我を負っていたため、別人だとわかっていてもどうしても思うところはあったようだ。
「……」
「ユメさん?」
「あ、ううん!大丈夫だよ大丈夫!」
そんなユメの様子を見て首を傾げるモルフォ達、ユメは一旦深呼吸をして気分を落ち着けさせる。あれは別の世界の話だ。しかも誰がやったのかはわからない。その責を彼女達に求めるのはあまりにも酷だろう。
「……でも、アリウスもここだと皆楽しそうですね」
「楽しい、ね……まあ、あの時よりは間違いなくマシだろうけども……」
「これはこれで色々大変だが、な……」
もう一人のモルフォの言葉を聞き、ミサキも顔を顰めながら頷く。サオリも同意するように頷いていたが、これはこれで大変というものだ。
「そういえばアビドスでの生活は大丈夫ですか?体の方は?」
「あ、それなら大丈夫だよ、ケイちゃん。全然健康だから」
ここでふと、もう一人のモルフォの身体の事について確認するケイ。一応ケイがアリスと共に力を行使して作り出した部分はあるため、そこら辺はやはり気になっているのだろう。
「またこうして笑い合えるとは思わなかったな……アビドスだけじゃない、ミヤコちゃん達や便利屋の皆もいるし、人も戻り始めてきていたし……って言っても私知らない人がほとんどなんだけど」
「あはは……」
だがそれを聞いたもう一人のモルフォは両腕を振り回して大丈夫といった様子を見せる。ケイはじっと見ていたが、大丈夫と判断して視線を外す。
「でも……うん!決めた!」
「決めた?」
「そう!アビドスもさ、アリウスの皆とも仲良くしよう!モルフォちゃん!」
「ユメ先輩……ええ、そうですね」
そんな中、ユメがぐっと手を握りしめる。そして決意と共に繰り出した言葉を聞き、皆がユメに目を向ける。
「私達とも仲良く、か?だが……遠いだろう?」
「別にシャーレで会ったりしたら普通に挨拶とかするし一緒に仕事したりするけどね」
「それ以外でもだよ。こうして話すこともだけど、一緒に居るってことが大事なの。学園の垣根を越えて……」
「じゃあ、ど、どうするんですか?」
「いや、アビドスの方でも確か色々仕事は見繕えるはずだ。むしろ人手が必要なものもそこそこあったはず」
ユメの言うことはわかるし、アビドス方面は実のところ、アリウスから見ても仕事自体はそこそこ豊富な所だ。SRT学園がそちらの方に置かれる前は様々な要因で元の場所にいられなくなったり出て行った不良だったりヘルメット団だったりがそこそこおり、元からそこに住んでいる人の頭数だけなら実はあったのだ。当然人自体がいるならそれを対象にした仕事や依頼もあるわけで。とはいえ今はSRTやハイランダーの干渉やまとも寄りの企業などが参入し始めていることもあり、そういった後ろめたい依頼なども減りつつあり、徐々にだが正常化が行われているのだ。
「じゃあ……!」
「そうだな……今すぐに、とは言わないがいつかは、な」
「やったねモルフォちゃん!後はモルフォちゃんも歌をまた歌ってみない?」
「歌?」
「そう!モルフォちゃんの歌って凄いんだよ?歌ってみたみたいな動画とかもやってたんだから!」
「へー」
「……私はゲーム開発部なので歌はそこまでだから」
そして、次にユメはモルフォの歌について触れる。アツコ達が意外そうな目で二人のモルフォを見ていたが、もう一人のモルフォはくすりと笑うと、
「それも、いいかも。今度はアバターとか作ってバーチャルアイドルとか?元の世界だとアバター作ってなかったし……まあ生身だからチセさんとかとも一緒に……っと、これは関係なかったね」
「なんか凄い気になるワードが」
「気にしない気にしない……うん。私も頑張ってみるよ。折角、得ることができた身体だもん」
「ま、それでいいんじゃない?どうせ地に足つけてがむしゃらに生きてくしかないんだし」
前向きにユメの提案を受け入れる。その様子を見て、分かれてからは彼女の様子を見ていなかったがユメ共々問題はなさそうだ。モルフォだとばれなければいくらでも配信をやっていてもいいとは思うが。
(あれアビドスの生徒って今八人だから割とバレやすいのでは?まあ、別にいっか……)
「……この先、この世界がどうなっていくのかなんてわからないけど……」
「ん?」
「これまで色々あったから。だからきっと、この先も何かが起こり続けるとは思う」
「あってほしくないけどね」
「私もそう思う。けど……あなたなら、きっと大丈夫だと思うな」
「……」
そんな中、告げられたもう一人の自分のその言葉。この先も何かが起こり続けるという言葉が一瞬引っかかったが、今年だけでこんな有様ならまだ何か起こるのもまぁあり得るかとすぐに納得してしまうのだった。