転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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夢見モルフォと百夜ノ春ノ桜花祭(前編)

 

「……桜花祭?あー、そんな時期だったっけ?もう」

「今年は色々あったからねー、連邦生徒会長が失踪して治安が悪くなったりもしてたし」

「アビドスでエラい目に遭ったり……」

「その件はお疲れさまでした……おや?これで私ラストですねぇ!」

「え!?やっば、コトリ次で勝ち抜けじゃん!」

「一位は逃しちゃったか……」

 

食堂でたまたま集まり、ババ抜きをしていたモルフォ、モモイ、ミドリ、マキ、コトリの五人。ババ抜きをしている中で、ふと食堂に貼られたチラシが目に入り、話題はその内容になっていた。

 

「百鬼夜行でやってるお祭りだよね?いろんな屋台があって面白そうだよね」

「実は今回、桜花祭ではホログラムの花火を採用してまして……それをヒビキが作ったんですよ!今ヒビキが最終調整をしているところですね!」

「ホログラムの花火かー、普通の花火と違ってどんな感じに演出されるか興味あるね。それに、百鬼夜行の景色と合わせたら凄く綺麗だろうし!……ちぇっ、揃わなかったか……」

 

百鬼夜行。正式名称、百鬼夜行連合学院と呼ばれるその学園では毎年、春に百夜ノ春ノ桜花祭という祭りが開催される。規模も大きく、いろんな屋台が出るということもあり、開催時期が近付くとこうやって他の学園にもチラシが貼られることも多い。

 

「お祭りかぁ、ぱーっと遊びたいよねぱーっと」

「……ぐっ……!?」

「お姉ちゃん、ジョーカー持ってるのバレバレだよ」

「も、ももも持ってないし!?そうだ!皆でお祭り遊びに行こうよ!」

「ミドリ、それを持っていてくれてありがとう。私上がります」

「えっ、それだったのモルフォちゃん!?……だったらババ引いておけばよかった」

「ミドリ!?」

 

コトリが一抜けし、モルフォも上がり、段々人数が少なくなっていく。追い詰められていったモモイは話題を変えようと、桜花祭に遊びに行かないかと提案する。

 

「面白そうですけど、ミレニアムプライスも段々近づいてきてるんですよねえ」

「エンジニア部は大変そうだね」

「私達は関係ないかなぁ。ミレニアムプライスの受賞作品とか見てるとあんまり縁がないし」

「まあずっと先だし?とりあえずそこまでに色々煮詰めれば大丈夫だよ!」

 

ミレニアムプライス。それはミレニアム中の部活動が各々の成果物を競い合っていく、ミレニアムで最大級の品評コンテストである。とはいえ、ここにいるゲーム開発部、エンジニア部、ヴェリタスの中で関係あるところがどこかと言われるとエンジニア部だけだろう。ヴェリタスはそもそも非公認の部活動であり、ゲーム開発部も例年のノミネートを見るにこちらに出したところで受賞は難しいだろう。それなら別のちゃんとしたゲーム用のイベントに出してそちらで成果を勝ち取る方が現実的だ。

 

「よし、これで私は上がりだね」

「残りはモモイとマキかぁ」

「くぅ……ここまで手が揃わないなんて……!」

「なんで皆ジョーカー引かないのさぁ!」

「顔がね……」

 

そんなこんなでババ抜きはモモイとマキの一騎打ちになっていた。だが、モモイの顔をじっと観察していたマキは見事ジョーカーを回避してみせて、モモイがビリになってしまう。

 

「うわー!負けたー!!」

「あっぶなー、ビリは回避できてよかった」

「まあ、勝負は時の運とも言うし、次があるよ」

 

負けたショックで机に突っ伏すモモイを慰めながら、ペアが揃って捨てられたトランプを纏め始める。

 

「で、桜花祭はどうする?私は行こうかなって思ってるんだけど、皆は?」

「私は暇だからいいよー、百鬼夜行の街並みとか景色も見てみたいし!」

「私も行こうかな?和風のデザインの参考になるかも……お祭りも楽しみたいしね」

「当然、行くに決まってるよ!」

「コトリは?」

「行ってみたいところですが……まあ、大丈夫でしょう!」

「よーし、それじゃそういうことで!」

 

そして、皆で桜花祭に行くという約束を取り付け、一行は解散するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが百鬼夜行かー」

「さすが桜花祭、盛り上がってるねー」

 

数日後。百鬼夜行に辿り着いたモルフォたち。他にこの場に降り立ったのはモモイ、ミドリ、コトリ、マキの四人。他にユズやヒビキも誘ったのだが、どちらもその日は用事が入ってしまっており、残念ながら予定が合わなかった。特にヒビキは自分が作った花火の出来を確かめたかったがそれができなくなってしまったため、コトリに代わりに撮ってきてほしいと頼んでいた。

 

「おお、ザ・和風って感じ!」

「あの建物とかデザインいいよね、今度さ、ああいうアセット買わない?」

「アセットか……いいかもね。いいデザインのアセットはそのまま使えるし」

 

百鬼夜行の中にはモルフォたちのように他の学区から祭に来ている生徒も多い。屋台も色々と出てきており、美味しそうな食べ物を売っている店だけでなく、くじ引きや射的など、遊べる屋台も立ち並んでいた。

 

「まずはどこに行く?」

「そうだなぁ」

「とりあえず見て回りましょう!面白い店を見つけたらそこで遊ぶのはどうでしょうか!」

「それがよさそうかな?」

 

駄弁りながら街中へと繰り出していく。屋台には焼きそばやタコ焼きを始め、お祭りの定番といった食べ物が並んでおり、いくつか購入してその味や雰囲気を楽しんでいると、

 

「あれは……射的か」

「モルフォ、射的できるの?」

「待って?」

 

射的屋があった。早速やろうかと誘ったモルフォだったが、モモイからの指摘に思わずツッコむ。しかし、モルフォは本当に銃が撃てるのか?という疑問は他の四人も同じだったのか、大丈夫なのかと言いたげな表情を浮かべていた。

 

「え?皆そう思ってる?」

「いやまあ……モルフォちゃん撃つところ見たことないし」

「ショットガンハンマーを作ってもらってるところからもわかる通り思いっきり近接タンクですからねモルフォ」

「うんうん」

「ゲーセンとかにある銃で照準合わせるタイプのFPSも普通にやるんだよなぁ」

 

前世の感性で人に撃ちたくないなぁと思ってるだけでゲームの中で撃ったり、こういうイベントに関してはむしろ普通に引き金を引くタイプである。しかしここまで勘違いされているのはモルフォも納得がいかない。

 

「よーし、私だって普通に射撃ができる所を見せてあげるよ」

「弾は五発……何個落ちるかな?」

「三個とか?」

「うーん……実は本当に、ってことがあるかもしれないから四?」

「私は三です!」

「じゃあ……ここは大穴で二個!」

「人で賭け事しないで!?」

「はっはっはっ、元気だなお嬢ちゃん達!ほらよ、弾五発だ、大事に使いな!」

 

店長にお金を払い、コルク弾を五発受け取りながら、勝手に賭けを始めるモモイ達に文句を言う。しかしすぐにコルクを詰めて銃で景品に狙いをつける。集中力を高めながら、両目は開いたままにしつつ片目に意識を向ける。昔、どっかの漫画で読んだ狙撃のテクニックを参考に何かそれっぽい仕草で、引き金を引く。すると、小さなお菓子の箱にコルクの弾が命中して倒れる。

 

「おぉ!やるねぇお嬢ちゃん!」

「結構簡単に当たっちゃった?」

「これ、もしかして小物を狙っていく作戦じゃ……」

「も、モルフォ!大物狙おう大物!」

 

弾がしっかり箱の中心を捉えたところを見て、モモイが焦り始める。しかしモルフォは最初から大型を狙うつもりはない。何故なら大きい物、即ち価値が高いものは重くて倒れないか、そもそも倒れないようになっているのだ。だから最初から、狙うのは持ってかれても痛まない小さなお菓子の箱のみである。

 

「うわー!三個目いったー!?」

「よ、四個目!?」

「まさか、これは―――」

「……よし。パーフェクト!」

「やるねぇお嬢ちゃん!ほれ、全部持っていきな!今日は大赤字だぜ!」

「いぇい」

 

落とした五つのお菓子の箱を袋に入れてもらい、受け取るモルフォ。ドヤ顔を見せるモルフォの表情を見て触発されたのか、今度はモモイが射的に入る。

 

「賭けは負けたけど、だったら射的で勝ってみせる!大物!プライステーションを落とすよ!」

「無理ゲーすぎる……」

「無理かどうかは私が決める!いくよー!」

 

やめとけやめとけと周りが声をかける時間もなく、モモイはコルクを射的の一番の目玉であるゲーム機、プライステーションのボックスに命中させる。が、中身が重すぎたのかコルクが当たっても全く動かない。

 

「ま、まだ四発残ってるんだから!」

「乗るな!戻れモモイ!」

「私は大物を取ってみせるんだ―――!」

 

制止の声も虚しく、モモイは全てのコルク弾を吐き出し、崩れ落ちた。当然、コルク弾程度でゲーム機が落ちるわけもなく。

 

「残念だったねお嬢ちゃん。こいつは重いから中々落ちんよ」

「う、うぅ……」

「ほらお姉ちゃん、次行くよ」

「妹が冷たい!」

「……シガレット食べる?」

「……食べる」

 

口にモルフォが手に入れたお菓子の中からシガレットを咥えさせられ、モモイはミドリに引きずられていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……わ、割れちゃった!?」

「くぅ……まさか一番値段が高い奴を当てるなんて……!これを画鋲でやるのは人力では難易度が高すぎますよ……!」

「うう、ここほっそい……!」

「慎重に、慎重に……」

「……あ、終わった」

 

シガレットの影響か復活したモモイを引き連れ、途中で焼きカステラなどを買いながら一行が次に立ち寄ったのは、型抜き屋であった。全員で型抜きを始め、画鋲で頑張って型を抜こうとするのだが、一番最初に脱落したのはモモイ。次に一番値段が高く、難しい型を引いてしまったコトリが敢え無く撃沈し、モルフォも力加減を間違えて真っ二つに割ってしまう。

 

「これもなんだかんだで美味しいよね。型抜きのこの……この……何?飴でもクッキーでもなくて、えっと……」

「では説明しましょう!これは正式名称は「型抜き菓子」と言います。尤も、「カタヌキ」や「ヌキ」とも呼ばれてますね。基本的に精糖を主として作られていまして、ラムネやぶどうといった味付けもされており、食べることにも力を入れています!かつては鼈甲飴を使った抜飴が源流なのですが、熱いうちに加工や整形をしないといけないこと、他にも高温多湿に弱いところもあり、今使われている形になりました!」

「「へー」」

 

パリパリと砕けたカタヌキを食べながら、コトリの解説を聞く二人。特に疑問を抱かず型抜きをやっていたが、この型抜きにも歴史があるようだ。

 

「……あっ」

「やばっ」

 

コトリの解説に意識を向けていると、ミドリとマキのやらかしたというような声が漏れる。三人がそちらに目を向けると、二人ともカタヌキを割ってしまっていた。だが二人とも半分以上は抜きを進めていたようで、少し残念そうにカタヌキを食べ始める。

 

「全員失敗かぁ」

「まあ型抜きなんてこんなもんだよね」

「なんだかんだで楽しめたね。次はどこ行く?」

「ちょっと休憩しない?少し疲れちゃったよ」

 

賞金は手に入らなかったが、ある意味こういうのも型抜きの醍醐味と言えるだろう。とはいえ、集中してやっていたのもあって少し精神的に疲れてきてしまった一行はどこかで休むことにする。

 

「と、すると……」

「百鬼夜行には百夜堂という伝統的な喫茶店がありますよ」

「じゃあそこ行こうよ!美味しそうなものいっぱいありそう!」

「お姉ちゃんったら……まあ、いいんじゃない?」

「じゃあそこで決まりだね!」

 

次の目的地も決まり、移動を始めたその時だった。背後から何かが走ってくる音が聞こえてきたかと思うと、

 

「うわあああ!あっ、危ないです―――っ!」

「……へ!?」

 

突然背後から少女の慌てた声が聞こえてくる。その声に振り向くと、そこには狐耳を生やした少女がこちらに向かって突っ込んでくる様子があり、気付けばモルフォの眼前に迫っていた。

 

「も、モルフォ―――」

「ぎゃんっ!?」

 

そしてその少女は、反射的にモルフォが広げたシールドに顔から正面衝突してしまい、そのままずり落ちるようにその場に倒れてしまう。

 

「「「「「……」」」」」

「ご、ごべんなざい……お、お怪我はあびばせんでしたか……?」

 

突然の光景に五人が何を言ったらいいのかわからず戸惑っている中、少女は鼻をぶつけたのか涙目になって押さえながら謝罪を口にする。

 

「えーと、大丈夫?」

「怪我とかない?」

「鼻を打った時の手当ては……」

「す、すみません!お気持ちはありがたいのですが、忍とは耐え忍ぶ者!この程度の痛み、なんともありません!私は雇い主の下に戻らなければならないので、これで!」

「いやでも……君名前は?」

「久田イズナと申します!それでは!」

「私達は……あっ」

 

慌てた様子でその場から立ち去る彼女。とはいえシールドと正面衝突させてしまった手前、何もせずというのは忍びないしと思ったのだが、少女はイズナと名乗って消えてしまった。

 

「行っちゃった」

「なんか格好といい俊敏な動きといい本当に忍者みたいな感じだったね」

「美少女忍者物……案外いけそうじゃない?」

「まあ……ジャンルとしてはありだとは思うけど」

「忍者ですか……忍術を科学で再現とかも面白そうですね」

 

まあ、あれだけ元気に動けるなら問題ないだろうと結論付け、五人は再び百夜堂を目指すことにする。そしてそこに辿り着くと、

 

「……あれ?君達は……」

「「「……先生!?」」」

 

店の前でシャーレの先生と再会することになるのだった。




イベントについてはやったりやらなかったりします

桜花爛漫については祭なのでやることにしました
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