転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
酷い目覚めだった。理由は明白。あのアニメだった。モルフォの能力は、人の心を揺さぶってくる。その特性が最悪な形でホシノの心を揺さぶっていた。
不動遊星の生き様。それを取り巻く周りの人々の想い、背景。絆を培ったはずの大事な相手との離別、確執、そして犠牲になった人たち。多くを犠牲にした遊星は、それでも戦おうとする。敵となったかつての友を相手に。
「……なんであんなに前を向けるんだろう」
創作だからと言うのは簡単だ。しかし、そこで生きている彼らにとっては紛れもない現実で、必死に足掻いている。
「絆、か」
遊星を支えるものであり、原動力。辛く、悲しくても、傷ついても、それを胸に、痛みを背負って再び立ち上がる。その姿を見ていると、何となくだが、勇気をもらえる気がした。まるで、もう一人の自分を見ているかのような、そんな気がして。
「……ユメ先輩……」
時計を見る。今日は休みだが、あの状態で休みを過ごすことなんてできないということで、続きを見るため皆で学校に集まることになっていたことを思い出した。
★
「ホシノ先輩、遅いですよ!」
ホシノが教室に入ると、既に四人が集まっていた。
「ごめんねセリカちゃん、ちょっと来るのが億劫になっちゃってさあ」
「まあ……しょうがない……でも、ここで中断すると後味悪すぎて嫌だ」
「どう転ぶにしても最後までは見届けたいですよね……明日ベッドから出れるかな……」
ホシノの言葉に納得したように頷くシロコ。ホシノの言葉は他の四人も同じように感じていたし、さらに酷くなるのではないかという思いも正直あった。が、ここで終わらせたくはないという思いも確かにあった。
「では、続きを見ていきましょうか……」
怒りに燃える遊星にルドガー達は宿命の相手が待つと言い残す。日没という時間制限までに全てのダークシグナーを倒すことになり、龍亞と龍可が死闘の末、ダークシグナーを撃破する。続けてクロウが新たなダークシグナーになったボマーと故郷の人々を消された憎しみと怒りをぶつけあう闇のデュエルを開始する。そこに合流した遊星、そしてクロウとボマーは、彼の使う地縛神には、ボマーの故郷の人々の魂が囚われていたということに気付く。
「ボマーの故郷を滅ぼしたのはゴドウィンではなく、ダークシグナー……その故郷の人達は地縛神の生贄に……」
「復讐で戦ってたのに、実はその復讐した相手の側で戦っていて、自分の切り札は犠牲になった人たちの魂で……」
「こんなのってないわよ……」
だが、地縛神を倒せば囚われた魂は解放されるという希望がもたらされる。クロウが地縛神を撃破すると、人々が解放される。が、既に死亡していたボマーは、遊星とクロウに後を託して消滅してしまう。
「……次は遊星と鬼柳」
「明らかにやばいってわかりきってるじゃないこれ……ここ終わったら休憩しましょ!一気見で消化する密度じゃないって!」
セリカの提案に異議を唱える人は誰もいなかった。そして始まる因縁のデュエルで、遂に過去の真相が明らかとなる。
デュエルギャングを全て潰し、サテライト統一という偉業を果たしたチーム・サティスファクション。それによって燃え尽きた遊星達は次なる目標を探していた。が、鬼柳だけはまだ拘っており、それを体現するかのように残党狩りの日々を続けていた。遊星達もそれに付き合っていた。が、対象が小さな子供にまで及んだことが決め手となり、クロウとジャックは鬼柳の下から去ってしまう。
遊星だけは鬼柳と共にいた。だが鬼柳は、チーム・サティスファクションの最後の敵はセキュリティだと告げて、真のサテライト制覇のため、皆を呼び戻してほしいと伝える。だが遊星は怒気を含ませた声を上げる。
『わからないのか鬼柳!?これが自殺行為だってことが!?』
『怖気づいたのかよ?遊星』
『鬼柳……もう、俺はついていけない……』
【もう付き合ってられません!】
その時。ホシノの脳裏に声が蘇る。
『やるなら一人でやってくれ……』
【やるなら先輩一人でやってください!】
また、蘇る。
『俺は、チームを……お前から、去る……』
【もう付き合ってられません!生徒会は終わりです!】
止まらない鬼柳に、遂に遊星も彼の下から離れてしまう。それは、彼の身を案じての事。一人なら、戦おうとはしないだろうという考えだった。時間さえ置けば。その言葉に、行動に、意図に。自分の過去の行動そのものを取ったその姿に、完全にホシノの頭は真っ白になってしまっていた。
『だが……奴は弾けた』
そして鬼柳は一人で動いてしまい、それを知った三人は、彼を助けようと集まる。鬼柳は三人を見て笑みを浮かべる。これがチーム・サティスファクションのラストデュエルだと。
が、遊星達はディスクを捨て、鬼柳を逃がすために来たのだと告げる。仲間が戦ってくれない事実に絶望し、膝をつく鬼柳。が、そこでセキュリティからの攻撃が始まってしまい、四人は散り散りになってしまう。
『このサテライトから、どこへ逃げようってんだ……こうなったら、俺一人でも戦ってやる!』
それでも、鬼柳は戦った。セキュリティに大怪我を負わせ、トドメを刺そうとする。だが、遊星がとびかかり、二人は大通りへと転がっていく。
『離せ!遊星!セキュリティをぶっ潰すんだ!遊星!』
そこに二人も合流、廃墟に身を隠し、遊星は身代わりになって自首しようとする。しかし、セキュリティは既にジャックたちを捕えており、リーダー以外に容疑はかけられていないと鬼柳だけを捕えてしまう。遊星の肩を叩きながら、もう二度と会えないぞと笑う男。車に乗せられる鬼柳は、その姿を。遊星がセキュリティに自分を売ったかのような姿を見てしまい、怨嗟の声を上げる。
『遊星!?裏切ったのか!?俺を!?売ったのか!?遊星ぇ!』
違うと声を上げる遊星。しかし鬼柳には届かず、彼は連れていかれる。誤解を解こうとする遊星とクロウに鬼柳は、どうして一緒に戦ってくれなかったのかと。どうしてセキュリティの軍門に下ったのかと、その行為自体が、チーム・サティスファクションを売ったのだと叫ぶ。
さらに鬼柳は語る。セキュリティに歯向かった末路を。看守たちから暴行を受け続ける日々。デッキを奪われ、生きる意志を失った鬼柳は復讐のため、ダークシグナーになったと。
「「「「「……」」」」」
鬼柳は切り札である地縛神を召喚、遊星を攻撃しようとする。そこでアイキャッチが入ったところで一旦映像が止まる。
「……どうすんのこれ……」
「ホシノ先輩、顔本当にやばいですけど大丈夫ですか?」
天井を見上げるセリカ。そこから視線を横へ向けると、ホシノは目から光が消えた状態で項垂れており、その隣ではノノミも顔に手を当てた状態で机に突っ伏していた。
「ノノミ先輩もやばいけど」
「……ノノミの場合はアキのデュエルがまだ残ってるから……」
「「ああ……」」
この後に来るのは、弟を殺した相手であるアキとミスティのデュエルだ。ホシノもそうだが、同じ苗字故か人一倍感情移入しているノノミもまた、アキの業の深さを改めて思い出し、絶望していた。
「私、何でこんなの借りてきちゃったんでしょうか……」
「もう嫌だよ……」
一人にしたら、手遅れになって、慌てて助けようとしてもその手は届かず。そんな共通点に気付いてしまい、テンションがさらに下がっていく。いや、なまじ手自体は届いてたのにすり抜けていった遊星の方が状況が酷い。それでここまで持ち直してることの方が凄い。
「……ん、休憩は終わり」
「「えっ」」
「こんな気持ちで止まってたって今夜まともに寝れる気がしない。ノノミもホシノ先輩も、辛くても最後まで見届けるしかない」
「それはそうですけど……」
こんな地獄、さっさと終わらせようと。その意見にノノミも顔を上げる。ホシノは無反応だったが、シロコが続きを流し始めると、希望に縋るかのように視線が映像へと向けられる。
『俺は逃げない、俺はこの地縛神を倒すことで、お前の恐怖と向き合う!』
スターダスト・ドラゴンを呼び、攻防が続く。地上が割れ、鬼柳がクラッシュしそうになったのを見て手を差し伸べる遊星。あの時、一人で犠牲になることで救えると思い上がっていた、間違っていたと語る。だが違う、仲間を救えるのは仲間の結束。その思いだと。その遊星の思いに、シグナーの痣が共鳴し、一つになる。鬼柳を助けるために。
直後、遊星は絆の力でスターダスト・ドラゴンをセイヴァー・スター・ドラゴンへと進化させる。その力によって地縛神を撃破し、遂に鬼柳に勝利する。
『しっかりしろ鬼柳!俺は友を見捨てない!今度こそお前を救い出す!』
決着がつき、苦しむ鬼柳を抱える遊星。抱えられた鬼柳の目には光が戻っていた。だが鬼柳は、申し訳なさそうに、目を潤ませながら語り始める。
『俺はダークシグナーになった時、もう一つ願いを言った……あの時叶わなかったチーム・サティスファクションのラストデュエルをやりたいと』
『鬼柳……』
『憎み切れなかった、お前を……かっこ悪いよな……こんなんじゃ、満足できねえぜ……』
最期の言葉を告げ、友の腕の中で消滅する鬼柳。ダークシグナーとなった友の、復讐と同等、それ以上の願い。それを知った遊星は、拳を震わせながら、ダークシグナーを倒すことを改めて誓い、涙を流しながら鬼柳の名を叫ぶのだった。
「……は、はは……やっぱり、救いなんてないんだね……いや、最期の言葉を聞けただけマシ、なのかな……」
「ホシノ先輩……」
今まで聞いたことがないような、ホシノの暗い呟きに、四人が肩を震わせる。そんな中ノノミだけがはっとしたような表情を見せる。ホシノの状態に、心当たりを見出してしまったのだ。だが、セリカとアヤネは無言で次の話に進めようとしたのを見て、慌ててノノミが止めようとする。
「せ、セリカちゃん!?アヤネちゃん!?さ、さすがに今は時間を……!」
「わかってますよ!だけど、ここで終わりにしたら、私休み明けに学校に来れる気力ないですよ!?」
「……ここまで来てさらに底があると思います?仲間を失い、恩人を失い、喧嘩別れになってしまったかけがえのない人を失って……これ以上どう遊星を責めると?それに……心が死にそうなのは皆一緒なんです……アニメだからって、こんなどんどん人が死んで、大切な人が死んでいく様子なんて見せられて、平気でいられるわけがないんです!」
二人の懇願を聞いたホシノは、四人の顔を見る。全員、顔色が悪いが、特に酷い顔をしているであろう自分を心配していた。全員が同じ悲しみと喪失感を抱いているという事実が、少しありがたいと感じた。どんなに辛い時でも、だからこそ、絆を大事にする、それはこういうことなのかもしれないと。
「……わかったよ。続き、見よっか」
始まるルドガーと遊星のデュエル。ルドガーは、自分にもシグナーの痣があったが今は腕ごと失ったこと。モーメントの研究をする中でその危険性に気付いた遊星の父、不動博士を蹴落として研究を引継ぎゼロリバースを引き起こしたことを明かす。
そして遂に遊星は自責の念を叫ぶ。父の研究がなければ、ゼロリバースが起こらず、クロウやジャック、他の皆の両親は死なず、彼等にも幸せな日々があったのだと。だというのに、何も言わず笑いかけてくれている。仲間だと認めてくれていると。俺はどうやって償えばいいのかと。
『答えてみろルドガー!!』
『それがお前の心の闇か……』
ルドガーは苦虫を噛み潰したような顔を見せる。これ以上底がないとは何だったのか。更なる追い打ちが遊星を襲っているじゃないか。その場にいた面々が言葉を失う中、クロウの声が響く。
『それは俺が答えるぜ遊星!』
『クロウ……?』
クロウは、そのことを抱えて生きていたことに気付いてあげられなかったことを遊星に謝る。だが、自分の人生が遊星達のせいだとは全く思っていない、そんなことに責任を負う必要はないのだと言う。もし、自分に運命があるのだとしたらそれは、遊星、ジャック、かけがえのない仲間たちと出会ったことなのだと。その言葉を聞いた遊星は、クロウ達、仲間たちが自分の心を照らしていることを思い出し、闘志を取り戻すと、遂にルドガーに勝利する。
(……仲間、か)
自責の念で追い込まれ、悲しみに潰れそうになる遊星にかけられた、クロウの言葉。仲間の思い、それによって希望を取り戻す遊星の姿にさらにどん底に落とされていたホシノの意識が段々浮上してくる。ここまで来たら頼むから幸せになってくれ。心がくじけそうになってもその度に仲間たちと共に前を見続ける姿に、そう応援しつつ、ジャックのデュエルが終わり、アキとミスティの因縁のデュエルが始まっていく。
生きていたディヴァインの手によって魔女へと変貌するアキと、弟を殺した怒りと恨みを燃やすミスティ。しかし、本当に弟を殺したのはディヴァインだと遊星の策略によって判明したことでミスティと地縛神によってディヴァインは喰われてしまう。
「……汚い大人がやられた、って言えば清々するけど、正直これは……」
「……因果応報、ということ、なんでしょうね……ただ、アキさんが殺したわけじゃないってわかって、よかったです」
「こんなことでほっとできたって全く嬉しくないわよ!?他がえげつなさすぎる!」
アキはデュエルに勝利し、遂に全てのダークシグナーは倒されるのだが、冥界の王は復活してしまう。
冥界の王を迎える儀式として、遊星、ジャック、クロウの前に立ちはだかるダークシグナーとなったレクス・ゴドウィン。兄、ルドガーから預かったシグナーの痣を引き継ぎ、二つのシグナーの痣を持ったレクスは、ダークシグナーになった時の事を思い出す。兄になるため、ダークシグナーとなったレクスは、五千年の運命を断ち切るために、兄が耐えられなかった、運命に預けてしまったもの。神になるため、二つの神をこの身に担うことを決意する。冥界の王によって世界を破壊し、赤き竜によって世界を再生することを。
「と、とんでもないことになっちゃったけど……」
「で、でもこの三人が負けるわけが……」
レクスは地縛神を呼び出し、追い詰めてくる。そんな中、クロウはかつてサテライトで伝説と呼ばれたDホイーラー、いやかつてのレクスの話をする。
『どんなに辛くても、俺達は風を切り、前を向いて走る!それを、教えてくれたのは伝説のDホイーラーだ!』
『だが、彼は何もなし得なかった』
『違う!不可能とわかっていても、現状を打ち破ろうとするあの人の……かつてのお前の想いに、俺達は心打たれたんだ!!ゴドウィン、お前がどう思おうと、このスピリットは俺や遊星、ジャック、サテライトの皆に受け継がれてんだ!絶望なんかしてたまっかよ!』
「現状を打ち破る……」
絶望的な、終わりへ向かうだけの環境。そこに光を差したのは、間違いなく彼だった。どう思っていようと、サテライトから消えた男は後へ続く者達の希望となった。絶望の中で、足掻き抜いた男の戦いは、無駄にならなかったのだと。
『所詮想いだけでは届かない。絆を断ち切ってやる!』
『届かせる!想いを!』
レクスが地縛神の効果によって遊星を葬り去ろうとすると、なんとクロウはその身代わりになる。
『遊星には傷つけさせねえ!こいつは俺達仲間の絆を引っ張っていく存在だ!遊星だからこそ、俺達の絆は固まった!だから、俺がどれだけ傷つこうと、遊星がいる限り絆は断ち切られることはねえ!』
『クロウ……』
『お前……』
『ならば望み通りにしてやろう!』
クロウの身が地縛神の攻撃に焼かれ、吹き飛んでいく。だが最後の足掻きでクロウはDホイールと共に空を飛び、レクスのモンスターを破壊、そのまま落下してクラッシュしてしまう。その様子を一瞥し、レクスはどこか自嘲するかのように笑う。
『何が伝説のDホイーラーだ、何が絆だ』
『まだ、絆は……断ち切られてねえ……ぜ……』
Dホイールのスクリーンに、残したカードが映っているのを見て、安心したように倒れるクロウ。続けて、レクスはジャックへ語りかける。
『人は本来孤独なのだ!他人を頼り、甘え、責任を分散させる!そんな絆などで運命に勝つことはできない!』
『確かにそうだ。俺は孤独だった』
ジャックは確かにかつてはそうだったと認める。だが今は違う。絆、仲間、そしてキングの座、全てを捨てて、ちっぽけなたった一つのもの、愛を得たからこそここにいると、孤独ではないと叫ぶ。どんなに否定しようと、絆から逃げることができないと、それを理解させたのは一人の女の愛だと。
『ゴドウィン!人はそう簡単に孤独になれんのだ!』
『皆が皆、そのように生温い結論に縋りつく!だから我が神に到達するしかなかったのだ!』
だが、ジャックの熱い言葉もレクスは不敵な笑みを浮かべ一蹴する。
『貴様、言ったな?どれほどのものを捨てようと人は孤独になれないと。だがそれは違う。人は簡単に孤独になれる。それは死だ、人は死を前にしたとき、自分には仲間など、絆などなかったなどと気付かされる。当たり前の事だ。死へ旅立つのは己一人なのだからな』
「ごふっ」
思わずホシノが咳き込む中、ジャックもまた、地縛神に襲われる。絶望はせず、満身創痍になりながらもクロウと共に遊星へ託す。遊星もまた、希望があるから、その希望を仲間たちの絆が支えるから諦めはしないと声を張り上げる。そして、ジャックとクロウの残した力を使い、遂にレクスの強固な牙城を切り崩す。
『ゴドウィン!この絆がある限り、俺達は孤独じゃない!絶望など訪れはしない!お前にもわかっているはずだ!』
『何を言う!完全なる孤独、完璧な絶望、我はその果てに辿り着いたのだ!人を超えた存在、神にならねば世界をリセットすることなどできぬと!』
『だったらお前は兄、ルドガーも忘れたというのか!?』
『何!?』
遊星はレクスへ語る。かつて運命に抗い、伝説を作ったこと。それは、兄、ルドガーの意志を引き継ごうという思いだったのではないかと。レクスは兄を忘れられていないと。人には忘れることのできないものがある。誰にも、断ち切れないものが、それぞれの心の中に。今は亡き家族の姿を思い浮かべながら、遊星は語る。お前の心にルドガーがいると、ルドガーと一緒に運命に抗おうとしていること、それが絆なのだと。
この因縁に決着をつけるため。赤き竜は遊星に再び、セイヴァー・スター・ドラゴンを呼び出す力を与え、遊星は遂にこの戦いに決着をつける。赤き竜と一体となった遊星は、冥界の王へと突撃。そこで遊星は、レクスとルドガーと出会う。回り道をしてしまったと兄に笑いかけるレクスにルドガーは笑みを返すと、二人は遊星へ振り向く。
『この運命に立ち向かう手段。それは人間の、仲間の絆。ずっと、私の中にあったものなのに……』
レクスは、憑き物が落ちたような表情で語る。他のダークシグナー達を見て、直に蘇る彼らを頼むと伝え、レクスとルドガー、やっと同じ方向を見て歩くことができた二人は、兄弟の絆で因縁に決着をつけるために光の中へ歩き出す。迷いも曇りもない、晴れ渡った表情で。そして冥界の王が消え、死んだ人々も生き返っていく。
時間が過ぎ、ダークシグナーだった者達は記憶を失い、元の生活に戻っていく。そして遊星、ジャック、クロウの三人はサテライトからシティを見ていた。そこにあったのは、サテライトとシティを繋ぐ、巨大な橋。かつてあった差別は消え、本来のネオ童実野シティとなった世界で、新たな未来へ向かい、遊星達は笑顔で走り出すのだった。
「「「「「……はあああああああああ……」」」」」
やっと終わった。ダークシグナー編を乗り越えた安心感を分かち合うかのように五人は大きなため息を漏らす。疲れた様子で五人が椅子にもたれかかる中、ふとホシノが口を開く。
「……これはさ、ちゃんと皆生き返ってたけど。もし、鬼柳やマーサ、ラリーが生き返らなかったら……遊星はどうなってたのかな」
「……それは」
「……多分、ずっと辛いままでは、あったんでしょうね……だけど、仲間たちがいるから、前は向けた気がします」
「……そういうものかな……」
「ん、多分そういうもの。もしもだけど……もし、この中で誰かがいなくなってしまったとしても……絆があれば、残っているならまた前を向ける。私達だってきっとできるはず」
ホシノの疲れたような言葉に、そう言いながらぐっとサムズアップするシロコ。ぼーっとした顔で他の三人の顔を見ると、疲れながらも一緒にこの辛さを乗り越えた喜びと達成感を分かち合うかのような後輩達の顔が目に入ってくる。
「……ホシノ先輩。ホシノ先輩の心の中には……絆があると思いますよ」
そして、ノノミからかけられた言葉。気分を落ち着かせるように目を閉じて、一人の少女を思い出す。自分の中でそれは、楔のようになっていたのかもしれない。だが、それもまた、絆であり、未来へ進むために必要なものなのかもしれない。そして絆は、すぐ近くにも。過去を乗り越え絆と希望を掴んだ彼の姿に、少しだけあやかろうと。それがきっと、今の自分や後輩達に必要な事なのだろうと。それが、私にとっての絆、なのかもしれない。そして、一緒に、アビドスという運命に抗っていた絆は、ちゃんとあったはずなのだと。そう考え、驚くほど軽くなった心からの笑顔を浮かべるのだった。
遊戯王5D's回だけで予想以上に話数が増えてしまったので5D's回が終わるまで毎日投降の形を取ります……こんなんじゃ満足できねえぜ……
誤字報告について
『遊星には傷つけさせねえ!こいつは俺達仲間の絆を引っ張っていく存在だ!遊星だからこそ、俺達の絆は固まった!だから、俺がどれだけ傷つこうと、遊星がいる限り絆は断ち切られることはねえ!』
この部分、確かに発言としては遊星「は」の方が正しいのですが作中の発音が完全に遊星「には」となっているのでこれは誤字ではないのです……これも紅蓮の悪魔の仕業でございます