転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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天童アリスとエンジニア部

 

「おはよう、皆ー、アリスはどんな感じー?」

「あ、モルフォ!バッチリだよ!ね、アリス!」

 

セミナー室を後にし、ゲーム開発部に向かったモルフォ。部室に入ると、そこにはアリスが学生証を目をキラキラさせながら掲げている姿があった。

 

「見てくださいモルフォ!アリスは重要アイテムを手に入れました!」

「あー、それ……ヴェリタスに作らせた学籍の?」

「うん……これは内緒に」

「リオ会長に言ったらそれ削除されたから学生証使えないよ」

「なんでそんなことするの!?」

 

しかしその学生証は、ヴェリタスが偽造したものだ。故にリオがアリスの偽造された学籍を削除してしまった以上は何の使い道もない。しかしそれでは困るとモモイがモルフォに迫る。

 

「これじゃアリスが部員にならないじゃん!」

「いや、だからリオ会長の方で正式な転入手続きを取るって……」

「え?」

「……お姉ちゃん……」

 

モモイの背中にミドリの視線が突き刺さる。アリスも話の流れを理解しきっていない様子だったが、それでも自分の持つ学生証が使えなくなったことは理解したのだろう、不安そうな表情でモモイを見る。

 

「モモイ、アリスはこのアイテムを使えないのですか?」

「う……そ、そうみたい……で、でも!新しい学生証が発行されるってことでいいんだよね!?」

「そういうことになるんじゃない?どれくらいで来るかはわからないけど……お?」

 

と、モルフォのモモトークにリオから連絡が入る。学生証の発行ができたから受け取りに来てほしいことと、アリスの事を知る面々、即ちゲーム開発部の三人も共に連れてくるようにとの指示を受け、それを四人に説明して移動を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……話は聞いていると思うけれど。天童アリスのことで……ところでユウカとノアも一緒なのは?」

「……えっと、道中で会いまして……」

「リオ会長にアリスちゃんのことで呼ばれてるって言ったら、なんか怪しいって……」

「ちょっとモモイ!私が聞きたいのは、彼女の学生証が偽物っていう……」

 

セミナー室へと移動したモルフォ達。しかしそこにはユウカとノアの姿もあった。セミナー室へと向かう途中で二人と出会い、当然初めて見る生徒であるアリスの事について突っ込まれた結果、ヴェリタスに学籍を偽造してもらいましたとはとても言えず、アリスの転入についてリオ会長から話があるからと短く話を終えようとしていたのだが、

 

『アリスの大事なアイテムである学生証が偽物だったので、本物の学生証を託されに行きます!』

 

とアリスが発言したことで状況が一変。どういうことかとモモイに詰め寄るユウカに、リオに聞けばいいとノアが進言したことでさらに二人増えて七人でリオの下を訪れることになったのだ。リオはまさかこの二人が合流してくるとは思わなかったようで顔には出さないが少し戸惑うように視線を泳がせていた。

 

「はあ……ヴェリタスが偽造した学籍は抹消したわ。それによって今、天童アリスが所持している学生証は無効。その代わり、正式な手順で彼女をミレニアムサイエンススクールの生徒として転入を認める。それにあたって正式な学生証を受け取りに来てほしいと私が呼んだのよ」

「……あ、あの三人……!!」

 

ユウカの顔に青筋が浮かぶ。チヒロも電話越しにかなり怒りを見せていたわね、等と他人事のようにリオが考えていると。

 

「えっと……一つ確認したいのですが。このアリスちゃんは……何故ミレニアムに学籍を偽造してまで転入を?」

「そこについては当事者の方が詳しいと思うけれど……」

「わ、私がヴェリタスに頼んで……えっと、アリスに部員になってもらえば部員問題は解決できると……」

「モモイ!!」

「ひぃー!ごめんなさいー!」

 

部活動のためだけにアリスをどこからか拉致してきてミレニアムの学生にしようとしたのかとユウカが青筋を浮かべながら本気の怒声を上げる。モモイもこれには涙目で謝るしかない。

 

「も、モモイを傷つけたら駄目です!アリス、許しません!」

「アリスちゃん?モモイちゃんはいけないことをしちゃったんですよ。だから、怒られちゃってるんです」

「そ、そうなんですか?」

(この子……幼すぎる?善悪の区別もつかないぐらいに……?)

 

慌ててモモイを庇おうとするアリスにノアが優しく言い聞かせる。同時に、アリスの情緒について違和感を覚えたようだ。このままでは話が進まないと、姉のために助け舟を出そうとミドリが経緯を話し始める。

 

「実は、その……私達、先生と廃墟に行ってきたんです。そこでアリスちゃんを見つけて……何も知らない様子だったし、そこに置いていくわけにもいかないので連れて帰ることにしたんですけど、そしたらお姉ちゃんがアリスに部員になってもらおうって言いだして……」

「は、廃墟!?あそこは危険って言われてる場所でしょ!?」

「……何も覚えていない……成程。一夜しか経っていないからまだ彼女は……」

 

モモイ達が先生同伴とはいえ廃墟に行っていたという事実を聞いて唖然となるユウカ。一方ノアは、アリスの事を考えていた。

 

「とにかく……私達は彼女の事を知らなすぎるわ。だから、転入を認める代わりに条件を提示する」

 

ここで全員の視線がリオへと向けられる。

 

「それに関してだけど、まず発見された場所が廃墟ということ、そして、彼女がロボットであることは既に知っているわ」

「「え?」」

「だからこそ、彼女の体について、エンジニア部に見てもらうこと。同じ理由で精神……所謂ソフトの部分もヴェリタスに調べてもらうこと。それが条件よ……彼女の身に何かが起こった場合、人間と同じように……病院に行く、なんて対応は取れないわ。わかるでしょう?」

 

突然告げられたアリスはロボットという情報に再びユウカとノアがゲーム開発部を見る。最後の方は少し考えながら口に出したリオの言葉に、冷や汗を流しながら頷くしかないゲーム開発部たち。いまいち話についてこれずにいるアリスがモルフォの裾を引っ張りながら疑問そうな表情を向ける。

 

「モルフォ、モモイ達は何を話しているんですか?」

「アリスのための話、かなぁ……でも多分大丈夫だよ」

「念のためネルと一緒に彼女の検査はしてもらうわ……それと、検査が終わって問題がなければそのまま、あなた達の要望通り、ゲーム開発部の部員として認めるわ」

「ほ、本当ですか!?」

「やったよ、ミドリ、ユズ、モルフォ!」

「うん……!」

「いいんですか。会長!?」

 

何を言われるかとびくびくしていたが、検査だけでアリスを許してくれるなら万々歳だ。喜び合う三人。しかしユウカは不安そうにリオの顔を見る。

 

「彼女の面倒を誰かが見なきゃいけないわ。廃墟から連れ帰ってきたのがゲーム開発部で、アリスが最も近い人間としてあなた達を認識しているのなら距離を離すのは得策ではないでしょう」

「そ、それは……」

「……そうですね。ひとまず、そういうことにしましょうか」

「ノア……」

 

どこか嬉しそうにリオの言葉を聞いていたノアが、ユウカを諭す。リオの言い分とノアが賛成したことを受け、ユウカもどこか不安な様子は見せつつも、とりあえず受け入れることにする。

 

「まずエンジニア部の方に向かってくれるかしら。ヴェリタスは準備があるってチヒロが言っていたから」

「つーわけだ。早速行くぞ」

「チビなメイドとエンカウントしました!!」

「あぁ!?」

「アリス!?」

「ネル先輩、落ち着いてください!アリスに悪気はないんです!!」

 

待っていたかのようにネルが入ってくる。それを見て開幕とんでもない暴言を吐き出すアリス。当然のようにキレるネルを慌ててモルフォが宥め、モモイ達三人がアリスを慌てて注意する。その様子を見て、ユウカは頭が痛そうに手を当てて溜息を吐き、ノアは微笑みを浮かべ、リオはその様子を見つめていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、よく来たね。モルフォ、ゲーム開発部の皆」

「ウタハ先輩、よろしくお願いします」

「ああ、話はリオ会長から聞いてるよ」

 

エンジニア部を訪れたモルフォ達は、そこでウタハ達に出迎えられる。モルフォたちが来たことでコトリとヒビキも手を止めて、互いに自己紹介をし合う。

 

「君がアリスか。ふむ……廃墟から来たそうだが……」

「……ぱっと見はガキだがな」

「チビにガキと言われました」

「転入生ならちったぁ上下関係ぐらい覚えやがれ!あたしはてめえの先輩だぞ!このウタハもだ!……お前ら本当に教育したんだろうな……!?」

「そ、それにつきましては一夜漬けで何とか仕上げたような感じでぇ……」

 

「これ以上ネル先輩を刺激しないで~!」と叫びたそうな表情でアリスに懇願するようにモモイが説明する。しかし、まだアリスにはまだそういったニュアンスは伝わらなかったようで首を傾げるばかり。

 

「まあまあ、だけどアリス、君は一年生として入るんだろう?それなら二年生、三年生に対しては先輩と呼ばないといけないよ。後は……セミナーの人だったら役職もあるからそれも合わせて呼ぶべきだ」

「役職……つまりジョブですね!アリスは理解しました!ウタハ先輩!」

「……なんだ、ロボットなだけあって理解は早―――」

「そしてチビメイド先輩!」

「表出ろこの野郎!?」

「落ち着いてください!アリスも煽らないでネル先輩って呼んで!!」

 

アリス、お前は狙ってやってるのか?そう声を出したかった。いやでもこの顔は本人は無邪気そのものだ。悪意なしでやっている。それが一番恐ろしいとモルフォも冷や汗を流しながらネルに飛びついて抑えようとする。とはいえ、顔こそ完全にブチギレてはいるものの、だからといって手を出してはいけないということも理解してはいるのか、モルフォを振り払う様子はない。その点だけがモルフォ達にとって救いだった。尤も、この場にいるアリス以外のゲーム開発部とウタハ以外のエンジニア部はネルの怒りの形相を見て抱き合って震え始めていたが。

 

「さて、すぐに検査を始めようか」

 

ウタハもさすがにネルの理性を案じてアリスの検査を開始する。コトリとヒビキもネルの威圧感から逃げるようにアリスの体を調べ始める。少しすると、コトリとヒビキにその後の検査を任せてモルフォ達の下に近づいてくる。

 

「彼女……廃墟で見つけたんだよね?」

「ああ、そういう話だ。で、どうだって?」

「検査はまだ続けるけど……ちょっと検査しただけでもわかったことがある。結論から言うと……彼女は凄い存在だよ。今のキヴォトスの技術力で、アリスのような存在を作ることは不可能だ」

「マジかよ?」

 

ウタハの言葉に驚いたような表情を浮かべるネル。ネルの反応を見てウタハは頷くと説明を開始する。

 

「性能だけならアリスに匹敵するロボットを作れる可能性はあるけど、あのサイズで、ってなると現状は不可能だ。身体能力に関しては……ネル、君にも匹敵し得るかもしれないね。特に腕力やパワーに関しては君よりずっと上だ」

「……ほぉ?」

「正直……リオ会長じゃないが、あの子の力の使い方次第で危険が他の生徒より起きやすい、って言う懸念自体は理解できる、かな……だから君がついているんだろうけど」

 

少し驚きつつも感心したような言葉を漏らすネルに対し、先程の無邪気なアリスとネルのやり取りを思い出しながらウタハは複雑そうな表情を浮かべる。今のアリスの心、即ちAIはまだ教育されきっておらず、善悪について学びきれていない。純粋無垢、と言えば聞こえはいいが、裏を返せばいくらでも染めやすいということ。実際、ネルの虎の尾を何度も踏みつけるような行動を知らない内にやっているのだ。そういった行動が元となってトラブルが起こってしまい、その高いポテンシャルで予想以上の被害を出す恐れも考えられた。

 

爆発の絶えないミレニアムとはいえ、まだ全容のわからない廃墟から見つかったオーバーテクノロジーのロボットが問題を起こしたらどうなるのか。自分達の手で調べれば調べるほど、強い興味を惹かれると共に、その危険性を嫌でも突きつけられている気がする。だからこそ。

 

「……知る必要があるんだろうね。血でマニュアルを作る気はないが、彼女が危険ではない、危険ではなくなることを証明するためにね。尤も、一夜で何も知らない状態からあそこまで成長するなら……きっと大丈夫だと思うけどね」

 

そう結論付ける。それを聞いたモモイ達はほっとしたように顔を見合わせる。と、ここでモモイがある大事な事に気付く。

 

「……あ、そういえば……アリスの銃、どうしよう?」

「あー……すっかり忘れてたね……」

「モルフォ、どうしよう?」

「どうって言われても……一回ハンドガンでも使わせてみるとか……?」

 

その言葉に他の三人もすっかり忘れていたような顔を見せる。ウタハとネルもアリスがまだ丸腰だったことにここで気付く。このキヴォトスで銃など持っていて当たり前という前提があったせいかすっかり抜け落ちていたようだ。

 

「ふむ……銃か。そうだね、であればエンジニア部から見繕ってもらっても……」

「コトリ!これは乗り物ユニットですか!!」

「説明しましょう!これはサイクロンマグナム!F1マシンにも近いボディを持つミニ四駆であり、加速と最高速に優れた素晴らしいマシンです!しかもこれはマグナムトルネードという―――」

 

と、いつの間にか検査が全部終わったのか、エンジニア部が作ったものについて目を輝かせているアリスとコトリ達の話が聞こえてくる。

 

「この遠距離武器は!」

「これはトライピオ!!プラスチックだったクソザコ時代は終わりを告げ、金属によって生まれ変わったクソツヨベイブレードです!改造に改造を重ね、アタックリングに搭載された3枚羽が回転に伴ってダウンフォースを生み出し、ベイブレードを下に押さえつけ、弾かれにくくなりました!!こちらはトライグル―――」

「……ちょっといいかな?アリスに銃を選んでもらおうと思うんだけど」

「……そういえば、持ってなかったっけ……」

「ほ、本当ですね……」

 

ウタハから銃の事を振られ、二人も気付く。アリスは銃が手に入ると聞いて、目を輝かせる。見れば、検査のため、サイズの大きい迫撃砲とガトリング砲を下ろしていた二人を除き、全員がそれぞれ違った銃を持っている。

 

「固有武器ですね!勇者には武器が必要です!」

「ふふ、折角だ。好きなものを選ぶといいよ……ここにあるものなら何かあってもネルなら大丈夫だろう?」

「んだそりゃ。まあ、どうとでもなるけどよ」

「はい!アリスは勇者の剣を見つけます!」

「……ビームの剣、セイバーとかあったりするんですか?」

「いや……それは作ってないね……残念だけど」

「……つってもあんま変なもん持たせるなよ……?自爆装置とか」

 

となれば、自分だけの銃が欲しくなってくるのも当然だろう。その様子を見守っていた面々だったが、アリスの視線が、ある一つのオブジェに向けられる。

 

「これはなんですか!?」

「うわ、でかくない?これ銃なの?」

「いや、銃と呼ぶにはでかすぎない?」

「ふ……それは我がエンジニア部の成果、宇宙戦艦に搭載する主砲、その名を……光の剣:スーパーノヴァ!」

「「「「スーパーノヴァ!?」」」」

 

まさかエンジニア部にそんなものがあるとは思わず、モルフォ達が驚愕の表情を浮かべる。エンジニア部の三人は誇らしげな表情を見せているが、ネルが呆れたように口を開く。

 

「お前ら……それ作るだけで予算の七割吹っ飛ばしたって聞いたぞ。明らかに予算切れしか見えねえのになんで作ったんだよ……」

「ビーム砲はロマンだからだよ!」

「バカだ!頭良いのにバカの集団がいる!!」

 

迷うことなくそう宣言するエンジニア部にモモイが思わず声を張り上げる。ぐうの音も出ない正論だったが、エンジニア部はやり切ったかのような迷いのない表情を浮かべている。と、それを聞いていたアリスがはっとなる。

 

「光の剣……!勇者には剣が必要です!アリスは、このスーパーノヴァを使いたいです!!」

「え!?」

「それは……ちょっと」

「そ、そうだよアリスちゃん……エンジニア部が予算の七割も使って作ったものだし、そんなものをもらうのは……しかも宇宙戦艦の主砲って」

「……いや、そういうわけじゃないんだ。いやまぁ威力があれなのはそうなんだけど、そこはリミッターなりなんなりかければ済む話だし……それ以前の問題がね」

 

それを聞いたウタハ達が渋い顔をする。銃を見繕ってくれるといっても、さすがにこれは……となるエンジニア部の意見も尤もである。ただのオブジェと化しているとはいえ、予算の七割もつぎ込んだものをそう簡単に手放すわけにはいかない……と思いきや。

 

「……重いんだ。単純に持てるようなサイズじゃないんだ……」

「アリスの腕力が常人より高いのはわかっていますが、さすがにこれは……」

「扱えるなら渡してもいいんだけど、ね。持ち上げることもできないんじゃさすがにね……まあ、そういうわけで別のものを……いや、待てよ?」

 

ふと、ウタハの脳裏に先ほど検査によって得られたアリスの身体データが思い出される。ついつい、見た目から少女並の力しかないとも考えてしまうが、アリスのスペックから考えると―――

 

「―――この武器を抜く者……此の地の覇者になるであろう!」

「「「!?」」」

 

そして。アリスは、さも当然のようにスーパーノヴァを持ち上げる。その様子にその場にいた全員が言葉を失い、唖然となってしまう。ネルすらも、まさか本当に持ち上げるとは思わず、開いた口が塞がらなくなってしまうのだった。

 

「パンパカパーン!アリスは勇者の剣を入手しました!!」

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