転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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ゲーム開発部とG.Bible

 

前回はアリスを見つけたことで中断となったG.Bibleの捜索。それを再び行うため、モルフォ達は先生と共に廃墟に赴いていた。しかし、そこで再びロボットたちに襲われてしまっていた。が、前回とは違い、今回はアリスがいる。頭数が増えているだけではなく、これまで一行にはなかった、ロボットを一撃で、余力を持って撃退できる火力が備わっている。

 

「―――モルフォ!下がって!」

 

先生の指揮と共に、最前線で盾になってロボット達を食い止めていたモルフォがその場から下がる。モモイ、ミドリ、ユズが足止めしていたロボットたちが一ヶ所に集まり、モルフォが下がったことで射線が通る。

 

「今日の私は光属性広域アタッカー……前方のモンスター達を、殲滅します!……光よ!!」

 

それを見て、アリスがレールガンを発射する。閃光がロボットたちを呑み込み、一掃してしまう。

 

「やった、成功!」

「アリスちゃん、凄い!」

「―――待って!」

 

アリスの大戦果を見て、モモイとミドリが歓喜の声を上げる。しかし、まだ気を抜くなと、迫る更なる脅威への警告の声がモルフォから飛び出す。同じく、近づいてくる次なる脅威に気付いたユズも声を上げる。

 

「ま、まだ!敵の第二陣が接近中!」

「立て続けはちょっと……!先生もいるんだし、安全第一で作戦を立て直そう!」

 

この戦闘の騒ぎを聞きつけたのだろう。別の所にいたロボットたちが集まりつつあった。それらを見て、ミドリの脳裏にロボット達から逃げるようにアリスの下へと後退していった記憶が蘇る。しかし、モモイは逆の決断を下す。

 

「ううん、ここで退くわけにはいかない!突破しよう!こんなに騒いじゃった以上、ロボット達だってどんどん集まってくる!このままじゃ状況は悪くなるだけだよ!」

「確かにね……一度戦闘に入った以上は時間の勝負だから、ほとぼりが冷めるまでミレニアムに帰るか、このまま突っ張るかのどっちかしかないかな」

「うん、全部でどれくらいいるかまではわからないけど……一番手薄なのは今しかない。G.Bibleの座標が示していたあの工場に入る最大のチャンスは、今なんだよ」

 

モモイの発言を後押しするようにモルフォも補足を入れる。とはいえ、前回の探索時の記憶があるミドリとしてはいまいち頷ききれない。無論、モモイの言っていることが正しいということはわかる。しかし、その一番手薄な戦力でも後退させられたのが前回だったのではないか。そう考えてしまうミドリの思いもまた、この場では正常だった。

 

「で、でも……」

「……大丈夫です」

「アリスちゃん?」

 

そんなミドリを、アリスが止める。そして静かに語り始める。

 

「私達は今まで一緒に、27回のダンジョン探索と、139回のレイドバトルを成功させてきました。今回もきっと……このパーティなら、勝利できるはずです」

「で、でも、それゲームの話でしょ!?」

「大丈夫……私も頑張るから」

「確かにそれはゲームの話だけどさ、アリスが頼もしいのは事実だよ。アリスの言う通り、今のパーティは安定してるのは間違いないんだから。進むなら今だけだよ」

「そ、それは……そうだけど。でも、先生は?先生はモルフォちゃんみたいに盾を持ってるわけじゃないんだし、攻撃を受けたら……!」

 

アリスだけではなく、ユズとモルフォの言葉を聞いても、やはり不安は残るのだろう。だがアリスはミドリの言葉に、その心配はないと言うかのように首を横に振る。

 

「安心してください」

「えっ?」

「どれだけ危険な状況であっても、アリスが先生を守ります」

 

そう言うと、アリスは先生を見る。

 

「先生……アリスを信じて、私達と一緒に来てくれますか?」

「もちろん。私は先生だからね。アリス達がやりたいって思ってることに協力するよ」

「!!パンパカパーン!先生が改めて、仲間になりました!!」

 

ファンファーレを口にして先生も仲間に加わったことを宣言するアリス。他の五人が腹を括った様子を見て、ミドリも溜息を吐くと覚悟を決めたように銃を構え直す。

 

「ふぅ……分かった、私も覚悟を決める!皆、敵を突破するよ!先生、指揮をお願いします!」

「うん、任せて!モルフォ、お願い!」

「任せて!」

 

先生の指揮を受け、モルフォがシールドを構え直す。ミドリが迷っている間に確認していたため、シールドの消耗はまだまだ問題ないとわかっている。第二陣のロボット達の砲撃や銃撃をシールドで一手に引き受けつつ、仲間たちがロボットを攻撃しないように、時折先生からの指示も受けながら位置取りを調整していく。

 

「モルフォ!盾持ちが!」

「はい!―――ユズ!」

「うん!」

 

少し大きな、盾を持つロボットの脚にハンマーを振り抜き、バランスを崩して倒す。そのまま距離を取り、地面に倒れてバランスが崩れた相手にユズがグレネードを撃ち込み、吹き飛ばす。

 

「……光よ!」

 

アリスのレールガンが、ロボットをまとめて敵を吹き飛ばす。アリスとミドリも、先生の指揮を受けながら着実にロボットを倒していき、それぞれの役割をこなしながら第二陣を突破して遂に工場へとたどり着く。

 

「た、辿りついた……」

「はあ、はあ……何とか成功、かな?」

「さすがにこれ以上はないと信じたいね……」

 

工場に入り、ロボット達が追って来ないか確かめるように少しの間、静かにしながら外の様子を見守る。そしてロボット達が来ないことを知り、五人はほっと胸を撫でおろす。

 

「ふぅ……」

「ねえねえ、私達って、もしかして実は凄く強いんじゃない?この前はアビドスでカイザーとも戦ってたし、C&Cとか、他の学校の戦闘集団と戦っても勝てちゃうかも!」

「それは無理では?C&Cと戦ってもネル先輩に全員蹴散らされて終わりでしょ」

「ふぐっ」

 

ここまでの戦闘で感じた思った以上の手応えに、モモイが調子よさげに言う。さすがにそれは高望みだろうとモルフォに突っ込まれて撃沈させられてしまうが。

 

「これからどう動く?……アリス?」

「アリスちゃん?どうしたの?」

 

と、ここでモルフォが、全く言葉を発しないアリスに目を向ける。他の皆もアリスの方を見ると、アリスは通路の奥を見ていた。

 

「……あ。すみません、ただ、ここが見慣れた光景であるように見えて……こちらの方に行かないといけません」

「えっ?」

 

そう言うと、アリスは突然歩き始める。

 

「アリスの記憶にはありませんが……まるで「セーブデータ」を持っているみたいです。この身体が、反応しています」

「セーブデータ?」

「もしかして、チヒロ先輩が言ってたブラックボックス……?」

 

アリスのその様子を見て、ヴェリタスで解析された時に聞いた、アリスの中の未解析の領域、ブラックボックスの事を思い出す。アリスの中のブラックボックスが反応したのであれば、ここにはアリスに関係する何かがあるのかもしれない。

 

「例えるなら……そう。チュートリアルや説明が無くても進められるような……或いはまるで、何度もプレイしたことのあるゲームを遊んでいるかのような……」

「どういうことだろう?確かにここは。元々アリスがいたところに似ているけど……」

「見て、コンピューターがある……え?」

「電源が、点いてる……?」

 

何かに導かれるかのように引き寄せられるアリス。彼女についていくと、そこには一台のコンピューターがあった。

 

「これは……」

『Divi:Sion Systemへ、ようこそお越しくださいました。お探しの項目を入力してください』

「おっ、親切設計じゃん。G.Bibleについて検索してみる?」

「いや怪しすぎるってば。それに、ようこそお越しくださいましたって……ディビジョンシステムがここの名前なのかな?」

 

こんな廃墟で一台だけ動いているコンピューター。明らかに怪しいなんていう話ではないだろう。しかし、それを見つけたアリスは早速「G.Bible」と入力し始める。

 

『……#$@#$$%#%^&(#@』

「こ、壊れた!?アリス、一体何入力したの!?」

「い、いえ……まだエンターは押してないはずですが……」

『……あなたはAL-1Sですか?』

 

すると、画面に謎の文字列が出現し始める。まさか故障かとその場にいた全員が戸惑っていると、突然画面に、アリスに対する質問が表示される。

 

「?アリスはアリスですが……」

「いやアリスちゃん、待って!?これ、何かおかしい……」

『音声を認識、資格が確認できました。おかえりなさいませ、AL-1S』

「音声認識付き!?」

「……何がどうなってるんだか……先生、わかります?」

「いや、私にも……」

 

状況が分からない。向こうはアリスの事を知っているようだが。アリスの下に辿り着く資格を持っていた先生なら、何か知っているのではと思い、聞いてみるのだが先生も首を傾げるばかり。

 

「アリスの本当の名前……本当の、私……私の中のブラックボックス……あなたはAL-1Sについて知っているのですか?」

『…………そうで……@!#%#@!$%@!!!!』

「え?何これ、どういう意味!?」

 

アリスが問いかけると、ある程度時間が経過してから反応が現れる。このコンピューターもそれだけ限界なのだろうか。不穏な様子に一行が固まっている中、次のメッセージが画面に表示される。

 

『…………緊急事態です。電力限界に達しました、電源が落ちると同時に消失します。残り時間51秒』

「ええ!?だ、ダメ!せめてG.Bibleのことを教えてからにして!」

 

そのメッセージは、ディビジョンシステムの限界を示していた。ここまで来て、残り時間が一分もないというのか。慌ててモモイが、せめてG.Bibleだけでもと懇願する。

 

『あなたが求めているのは、G.Bibleですか?<YES/NO>』

「!?」

「ど、どうしよう皆……!」

「どうしようって―――」

「YES!!」

 

慌ててミドリがYESと宣言する。その音声を聞いたディビジョンシステムがすぐに次のメッセージを表示させる。

 

『G.Bible……確認完了、コード:遊戯……人間、理解、リファレンス、ライブラリ登録ナンバー193、廃棄対象データ第1号。残り時間35秒』

「廃棄!?どうして!?それはゲーム開発者達の、いやこの世界の宝物なのに!」

『G.Bibleが欲しいのであれば、提案します。データを移送するための保存媒体を接続してください』

「え?G.Bibleの在り処を知ってるの?」

 

まさかの、G.Bibleは廃棄対象というメッセージ。それだけはやめてくれと声を上げるモモイに、ディビジョンシステムは保存先を接続しろという。

 

『あなた達も知っています。今、目の前に……正確には、私の中にG.Bibleがあります。しかし私は消失寸前、新しい保存媒体への移行を希望します』

「……希望って……どれくらいの容量があれば入れるかわからないんだけど……スマホ……いやケーブル刺さらないな……」

「そ、そうはいっても急にそんな、保存媒体なんて……あ!「ゲームガールズアドバンスSP」のメモリーカードでも大丈夫!?」

「なんでゲーム機なんて持ってきてんの?っていうかそれに入るの?」

『…………まあ、可能、ではあります』

「な、何だか凄く嫌がってる感じがするんだけど……気のせい?」

 

慌てて、使えそうなゲーム機をモモイが取り出し、ユズがそれを連結しようとする。しかし、ゲーム機の中にデータを送り込むのが嫌なのか、そんなメッセージが表示されていく。G.Bibleを送信する先がゲーム機なのがそんなに嫌なのだろうか。それとも。

 

「……もしかして、G.Bibleってメモリーカードに収まるようなものじゃない?いやでも、それなら無理って最初に言いそうなものだけど……いや、他にいいの持ってる人ないの?」

「うーん……一応シッテムの箱……タブレットはあるけど……ごめん、端子が合わないみたいだ」

「じゃあ本当にゲームガールズアドバンスしかないんだ……」

『……仕方ありません。転送開始……保存領域が不足、既存データを削除します。残り時間9秒』

「え!?嘘!?もしかして私のセーブデータ消してない!?ねえ!?」

「あ……」

 

容量不足か。その懸念も当たっていたようで、ディビジョンシステムはユズが繋げたモモイのゲーム機からセーブデータに飽き足らず、それがゲームガールズアドバンスSP足り得るために必要なプログラムの全てを削除していく。

 

「だ、ダメ!お願いだからセーブデータだけは!そこまで装備揃えるの凄く大変だったから―――!」

『残念、削除』

「ちょっとおおおおおおお!?」

 

モモイの悲鳴も虚しく、彼女のゲーム機はG.Bibleを保存するためだけの機械に成り下がってしまった。不幸中の幸いは、モモイのゲーム機の画面に「転送完了」の文字とG.Bible.exeの実行ファイルが表示されていたことだろう。

 

「こ、これって!?」

「今すぐ実行しよう!本物かどうか確認しなきゃ!……って、パスワード必要なの!?どうすればいいのさ!?」

「どうするって……そりゃヴェリタスに持っていくしかないんじゃない?」

 

無事、G.Bibleを確保できたというのに、まさかここに来て、パスワードが必要になるとは。とはいえ、こういうのはヴェリタスの領分だ。そちらへ持っていけばいいのではないかというモルフォの指摘にモモイ達も頷く。

 

「これがあれば、面白いゲームが……テイルズ・サガ・クロニクル2が……!」

「うん、作れるはず!ヨシッ!待っててね、ミレニアムプライス……いや、キヴォトスゲーム大賞!私達の新作は今度こそ、キヴォトスのゲーム界に良い意味での衝撃を与えてやるんだから!!」

「……ちなみに納期詰まってるからデスマーチだけど大丈夫?行き当たりばったりでできそうには見えないけど」

「ど、どうにかするから……!」

 

冷や汗を流すモモイを見て、溜息を吐くモルフォ。そんなモルフォの様子を何かを考えるように先生は見ていたが、その視線がここまで黙っていたアリスへと向けられる。

 

「アリス、どうかしたの?」

「先生……アリスはこの場所に初めて来た気がしないんです」

 

どうやらアリスはずっと周囲を見たり、モニターを覗き込んだりしながら、なんでこの場所に既視感を覚えているのかを確かめていたようだ。しかし、結局彼女もそれに対する答えは出し切れていなかったようだ。

 

「もしかしたら、このG.Bibleを調べたら何かわかるかもしれないね」

「……はい!アリスも、アリスの内なる力をもっと知りたいです!これは勇者の秘めたる力を覚醒するイベントのフラグです!」

 

先生にも、正直わからないことは多い。だが、この場所がアリスに関係する場所だというのなら、きっとこのデータはアリス、そしてゲーム開発部とモルフォ。皆に関係するものなのかもしれない。そう考えながら、帰る準備を始めるモルフォ達へと視線を戻すのだった。

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