転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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小鳥遊ホシノとPERSONA3 RELOAD

『これからは……てめえの為に……生きろ……』

『そんな……僕……は……』

 

血だまりの中に沈む、一人の青年。その周囲に駆け寄る、仲間たちに看取られながら、青年は、小さな少年と、そして親友だった青年に後を託してその命を散らす。そのムービーを見たホシノの頭は、バス停で殴りつけられたようなショックを受けていた。

 

「……」

 

そのムービーを見終え、セーブができるようになるとそこでセーブをして、ゲームを終了し、ホシノはベッドへと逃げ込むように潜り込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PERSONA3RELOAD。ペルソナシリーズの三作目、ペルソナ3のリメイク作品であり、モルフォからホシノが借り受けていたゲームだった。なんだかんだでモルフォが生み出したものに興味を持つようになったこと、そして遊戯王5D'sの視聴経験で気持ちが前向きになってきたという成功体験から、少し際どいオーダーを不安に思いながらも恐る恐る提案してみたところ、これを渡されたのだ。先生がペルソナ4という作品が面白かったと言っていたのもあるが、4の方はまだプレイ中ということでこちらを借りていた。

 

「……うへ~~~」

「ホシノ先輩、今日はなんか落ち込んでない?」

「昨日は残りボス三体とか言って楽しそうにしてたのに」

「ボスが強すぎて詰んじゃったとか……?」

「そういうものではなさそうな気もするんですが……」

 

ペルソナ3。私立月光館学園へ転校してきた高校二年生の主人公の少年は影時間という、一日と一日の狭間にある隠された時間に遭遇する。適性のある者しか動けないその特別な時間でシャドウと呼ばれる怪物の襲撃を受けた主人公は、ペルソナという特殊な力に覚醒。ペルソナ使いで構成された特別課外活動部へと引き入れられ、影時間の真相を追う……というのが大まかなストーリーである。

 

ゲーム中では、タルタロスと呼ばれる影時間にのみ出現する、月光館学園が変化した巨大な塔を登りながら、一ヶ月に一度、満月の日に襲ってくる、合計12体存在していると言われる巨大なシャドウを討伐していくことになる。昼間や夜は街や学校の人々、仲間とコミュやイベント、リンクエピソードという形で交流を重ねながら、ベルベットルームと呼ばれる異空間の住人達に新たなペルソナを生み出してもらったり召喚してもらいながら、影時間ではシャドウと戦っていくというのが主なゲームの流れだ。

 

その中で、何故タルタロスや影時間が生まれたのかの理由。大型シャドウを全て倒すことで影時間が消えることが判明し、それと前後して現れた、影時間の消滅とそれに伴って起こるペルソナ能力の消滅を望まないペルソナ集団、リーダーのタカヤ、仲間のジンとチドリの三人によって成り立つストレガとの対立、そして特別課外活動部の面々それぞれの戦う理由が交錯していき、最終的に世界の存亡を賭けた戦いにまでそのスケールは広がっていく。

 

「ボスは何とかなったんだけどねぇ……その後が、ね……」

 

そしてストーリーには個性豊かな仲間たちが登場する。お調子者のムードメーカーだが主人公に劣等感を抱えていた、非日常に憧れていた少年、伊織順平。研究者だった父を十年前の事故で失い、その真相を求め戦う少女、岳羽ゆかり。ペルソナ使い達をバックアップする巨大企業、桐条グループのご令嬢にして特別課外活動部の部長も務める少女、桐条美鶴。体育会系で好戦的な性格をしており、ボクシング部の主将も務める頼れる青年、真田明彦。

 

探索や戦闘時にナビとして後方で活躍する物静かな少女、山岸風花。桐条グループが開発した、ペルソナを使える人型兵器にして、主人公を守る事を目的としてシャドウたちと戦う女性型ロボット、アイギス。二年前に母を事故で失った、ペルソナ使いの素質を見出され自分から特別課外活動部へ参加した小学生、天田乾。神社をシャドウに襲われ、神社を守るためにペルソナ能力に目覚めるも重傷を負い、その手当てをしてくれた恩返しに特別課外活動部へ参加した犬、コロマル。

 

そして、かつて明彦、美鶴と共に戦っていた、主人公の先輩にあたる青年。一見不良のようにも見えるが実際は可愛い物好きで心優しいギャップに溢れた、そして人格面実力共に頼れる荒垣真次郎。

 

この十人のキャラを使い、状況に応じてそれぞれの武器種やスキル、ペルソナの耐性などを考慮しながらパーティを組んでいく。その中でも、荒垣というキャラは弱点属性も存在しない、火力も一級品と、プレイヤーから見てもかなり使い勝手がよく、便利なキャラだった……のだが。

 

「……仲間が永久離脱しちゃったんだよね……」

「あー……」

「永久離脱するキャラを結構育てちゃってたんですね……」

 

そんな中、ホシノが意気消沈している理由を聞いてセリカとアヤネが苦笑いを浮かべる。ホシノが落ち込んでる理由は、便利に使ってるうちに愛着が湧いたり段々お気に入りのキャラになりつつあった荒垣が死亡してしまったことにある。とはいえ、皆の前で死んでしまった、とは口が裂けても言えないし、そもそも死んだシチュエーションがシチュエーションすぎて余計に心にキていた。

 

というのも、荒垣は一時戦線を離脱しており、一番最後に加入するメンバーでありながら、三年生組である真田、美鶴と共に二年前はペルソナ使いとして戦いに明け暮れていたという古参メンバーなのだ。が、そもそも荒垣が課外活動部を止め、学校に通うことすら止めるに至ったのは、二年前、ペルソナの暴走で天田の母を殺してしまったという取り返しのつかない罪を背負ってしまったからだった。

 

その後悔から、ストレガと通じペルソナの制御薬という寿命すら削る体へ大きな負担をかける薬を服用して二年間生きていた荒垣は、自分が殺してしまった女性の息子である天田がシャドウとの戦いに身を投じたという話を聞かされ、彼を見守るために復帰することを決意するのだが、その天田が荒垣が母の仇であることを知ってしまう。

 

母の命日であり、満月の日である10月4日の影時間、主人公たちが大型シャドウと戦う最中、荒垣は母の敵討ちをしようとしている天田の誘いに応じ、二人だけになる。しかし、その場にストレガのリーダーであるタカヤが出現、タカヤはペルソナの制御剤の副作用によって荒垣の寿命が残り僅かであることを指摘したことで、天田は自分が手を下さずとも勝手に復讐しようとした相手は死んでしまうという事実を知り、今まで復讐の為に動いてきたのは何だったのかと、自暴自棄になってしまった結果、仲間の身代わりに死のうとしてしまう。だが、天田を庇った荒垣はタカヤに撃たれ、致命傷を負ってしまう。

 

そして仲間たちが現場へ駆けつけるも時すでに遅く、荒垣は友であった真田に天田を託し、仲間たちに看取られる中、死んでしまったのだ。

 

「……色々、思うところがあるけど、選んじゃったのおじさんだったからなぁ……」

「え、そんなにきついんですか?」

「……まあ、そんなところかな……モルフォちゃんに私から頼んで貸してもらっちゃった以上は……中途半端は、駄目だもんね……なんだかんだで、あれも最後まで見てたし……」

「ん、気分が暗い時は柴関ラーメンに限る」

「ラーメン、ラーメンかぁ~そうだねぇ~ラーメンがいいなあ……」

 

シロコは知らないのでただの偶然だろうが、そういえば荒垣に関するエピソードはやたらラーメン屋が出てきたなぁと、ゲームの中とはいえかなりの衝撃を受けた彼の死を頭の中で整理しながら、ホシノはぼーっと窓の外を見つめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ペルソナ3をプレイしていてホシノが気付いたのは、このゲームは死と、それへの向き合い方について様々な人の視点や感情が描かれているということだ。戦友が、友が、家族が、そしてまだ先のイベントではあるが愛する者の死、その負い目を、後悔を受け止め、乗り越えて前を向こうとする課外活動部の面々だけにとどまらない。

 

他にも、コミュニティという形で息子を事故で失った老夫婦、優秀でよく比べられていた弟を失ったものの、その死を悲しめずに安心し、弟にはなれない劣等感とトラウマから過食症を患った男子生徒、持病によって余命幾ばくも無い青年、神木秋成が主人公と交流を進める中、死の間際にあるものを遺そうとする終活。他にも、学生らしく大人の先生に恋心を持つクラスメイトや甥っ子のために運動部を頑張る同級生、はたまたネットゲームで知り合った謎の女性アバターに通販会社の社長まで、多種多様な登場人物が現れ、主人公の日々を彩ってくれていた。

 

「……これで終わりかぁ……」

 

荒垣が死んだ後にゲームを起動したときは正直かなり億劫だったが、それを精神的に乗り越えていき、ペルソナを新たな姿へと覚醒させていくキャラ達の姿を見ていると、ちゃんと死を乗り越えられたようでほっとしてくるし、精神的にもかなり落ち着けるし、段々こっちもやる気になってくる。そして、残る満月の最後のボス。これを倒されては影時間もペルソナも消滅するとあって、チドリを捕らえられてしまっているタカヤとジン達ストレガも最後の戦いを挑んでくる。その二人を撃破し、二人が自分達は人工的にペルソナ使いになったことを告白しながら戦いの舞台となっていた橋から転落。その後、最後の大型シャドウを遂に撃破した翌日。

 

「あれ?」

 

影時間が消えた記念のパーティで盛り上がり、課外活動部のスポンサーでもあった桐条グループの会長でもある美鶴の父から感謝の言葉を受け取る中、時間は0時になろうとしていた。もう来ないとわかっていても身構えてしまう。そう言うかのように順平が呟いた直後、なんと来ないはずの影時間が到来。一行は鐘の音を聞き、タルタロスへと向かう。そこでは月光館学園の理事も務めていたペルソナ使いのサポートを行ってきていたはずの幾月と、彼の手によって兵器として調整されたアイギスによって磔にされてしまう。そこで、十二体のシャドウを倒すことでデスが復活し世界に滅びをもたらすという情報が明らかとなり、幾月は全てが滅んだあとの世界で皇子となり世界を導くという真の目的を明らかにする。

 

そしてペルソナ使い達を始末しようとする幾月だったが、なんと幾月と美鶴の父は相討ちになってしまう。幾月は最後の抵抗とばかりに仲間たちの始末をアイギスへ命じるが、仲間たちと過ごした日々を思い出して正気に戻り、仲間たちの拘束を解く。そして、幾月、美鶴の父は死亡してしまう。

 

「……ふぅー……」

 

改めて考えると、そもそも今はまだゲーム中では11月である。もし一年全体を使うなら3月までまだ時間が残っているのだ。これで終わるわけがないといえるだろう。だからといってここでまたこういうのを入れるかぁ……と思えてしまっているあたり、だいぶ慣れてきてしまったようだ。恐ろしいことに。

 

「……お?」

 

美鶴の父の死によって桐条グループが慌ただしくなり、ペルソナ使い達が身動きが取れずにいる中、桐条グループの研究者としてシャドウの研究を行い、十二体のシャドウを倒せという遺言を残していたゆかりの父が遺していた本当の遺言が入った映像が復旧される。そこには、これまで行っていた十二体のシャドウを倒すという行動。それを真っ向から否定する言葉。十二体のシャドウを倒してはいけないという言葉、そして家族の身を案じる言葉を聞いて、涙を流すゆかりの姿を画面越しに見ながら、ホシノもついもらい泣きするように目頭を押さえる。

 

「……全く違う内容じゃん……しかもちょっと改竄してるだけって……」

 

だが、よくよく改竄された方の言葉を思い出してみると、不自然な切れ方のようなものがあったりしていて、確かにこちらの受け取り方の問題じゃないのかと思うところも出てきてしまう。とすると、案外身近な人が遺した言葉など、受け取り方や捉え方次第でどうとでもなるのかもしれない。

 

「……うへ、これじゃただのゲーム脳だよ……まあ、それでもいいかもしれないけど……」

 

父の真意を知り、精神的に成長したゆかりもまたペルソナを新たな姿へと覚醒させる。そして、美鶴もまたそんなゆかりに影響されるように、父の死を乗り越え、新たなペルソナを会得する。それぞれの仲間たちがそれぞれの辛い出来事、離別を乗り越えて強くなっていく中、12月の満月が訪れる。そこで行われたのは、まるでファルロスの消滅と共に転入してきたかのような青年、望月綾時とアイギスの戦闘。その中で綾時こそがデスであり、十年前の戦いで偶然その場に居合わせた子供だった主人公に封印されていたことが明らかになる。そして、シャドウ同士が惹かれ合うように彼を導いたのだと。

 

デスとして目覚めた綾時は、その力でアイギスを撃破、大破してしまった彼女は駆けつけてきた主人公たちの前で機能を完全に停止してしまう。そして、綾時によって、この星に死を授けたシャドウの母、ニュクスが目覚め全ての命が消え失せることが明かされる。真実を明かされた主人公たちは、大晦日の日に綾時を殺すことで戦いの記憶を全て忘れ最期の日までを平穏に過ごすか、無謀な存在に最期まで抗うかの二つの選択肢を突きつけられてしまう。

 

(……まあ、忘れてしまった方が気持ちは楽なんだろうけど……きっと。でも、死んだ人を忘れて生きていくのは……駄目だよね)

 

それぞれが選択肢を決める中、プレイヤーの分身である主人公が、ホシノが選んだ答えはニュクスと戦うという道。恐怖はあれど、仲間たちも同じ選択肢を決め、その答えを聞いた綾時は約束の日、1月31日にタルタロスの頂上で待つと告げ、人の姿で皆の前から消えてしまう。そして一ヶ月後。デスとの戦いから復帰し、完全に人と変わらぬ心を得て成長したアイギスを含めたフルメンバーで最後のタルタロス攻略を開始する。世界の滅びを望み、課外活動部のニュクス討伐を阻止しようとするストレガを倒し、遂に辿り着いた頂上。四枚の巨大な黒羽を腰から伸ばし、頭部には謎のオブジェを浮かべる、身長や顔以外はキヴォトスにいてもおかしくなさそうと思わず思ってしまうようなニュクス・アバターへと変貌を遂げた綾時との最終決戦が開始する。

 

「……ん?こいつ……弱点が変わってる?」

 

ニュクス・アバターとの戦闘は激戦となっていた。その中でも特に手こずらせる要因となっていたのは、ニュクス・アバターが一定のダメージを受けるとタロットに準え、耐性と弱点、そして新たなギミックやスキルなどを行使するということだ。そのせいで、用意してきた、各々に役割が与えられた、主人公だけの力、ワイルドによる12体のペルソナの切り替えをフルに総動員し、時に苦手な相手と対峙することになりながらも仲間達をうまく使い、戦闘を進めていく。そして、13番目、最後のアルカナである死神のアルカナへと切り替わったニュクス・アバターは死をもたらすため、真の力を解き放ち襲い掛かる。

 

「死神……13体のシャドウが一つになったのがこれなら、これが最後……」

 

アルカナの進行と共に姿をより禍々しく、強大なものへと変えていったニュクス・アバターとの戦いは苛烈を極めていく。問答無用で味方全員を瀕死に追い込む強力なスキルを始めとした強力無比な技の数々が襲い掛かってくる中、遂にホシノはラスボスであるニュクス・アバターを撃破し、彼の膝をつかせることに成功する。

 

「よし、倒し……?」

 

だが、ニュクス・アバターは何事もなかったかのように空へと浮かび上がる。運命に立ち向かうその意思がもっと多くの人々にあれば滅びは来なかったと惜しむ彼は、ニュクスとしての真の姿、巨大な瞳を浮かばせる月へと吸い込まれていく。そして月は、地球へ、いやタルタロスへと近づいてくる。それはすなわち、月そのものがニュクスであるということ。そしてニュクスの接近と共に適性のない人間たちも影時間の中で動き始め、シャドウへと変質していく。地上が阿鼻叫喚になり、タルタロスの天井ではニュクスの放つ圧倒的なプレッシャーに課外活動部が押し潰されようとする中、遠のいていく意識の中でベルベットルームへ誘われた主人公は、これまでコミュを築いてきた人々の応援する声を聞く。

 

「……」

 

ニュクスと戦う、辛い道を歩もうとする主人公を応援する人々の声。生きている人も、死んでいる人も。絆を胸に、主人公の力にならんとするその声が、一つ一つは僅かな力でも、集まって大きな力を生みだしていく。そして、絆の力の真価が全ての始まりであり、全てを終える力でもあるアルカナ、ユニバースを生み出す。何事の実現も奇跡ではない、そう豪語するベルベットルームの住人達に見送られ、主人公は一人、月へと向かう。奇跡を現実にするその力を手に。

 

「これが、本当の最終決戦なんだね……」

 

ニュクスの中心部へと辿り着いた主人公は、ニュクスが放つ滅びの力に晒されるも、仲間たちの想いを受け、立ち続ける。その声の中には、死んだはずの荒垣からの声もあり、世界が滅ぶかどうかの瀬戸際だというのについホシノは頬を緩めてしまう。そして、ニュクスを討伐するための奇跡、大いなる封印を発動。それによって、戦いは終了し、影時間が、タルタロスが消えていき主人公は仲間達の下へと戻るのだった。

 

 

「……うへ~奇跡も……悪くないものだね……ん?」

 

やっと、全てが終わったことに安堵しながら、ホシノは感慨深そうに元の生活へと戻っていく主人公たちを眺めていく。ニュクスとの戦いが終わり、時間は三月五日。三年生の卒業式まで飛び、そこでは影時間のことも、そして影時間の中で培ってきた記憶を失った課外活動部の姿があった。だが、全てを覚えていた主人公と、影時間の記憶を取り戻したアイギスの二人の姿が学園の屋上に。前日、もしかしたら一ヶ月程前から体調を悪くしていた主人公は襲ってきた眠気に身を任せるように、アイギスに膝枕をしてもらいながら、安らかに瞳を閉じる。そこで、アイギスに膝枕をしてもらっていた主人公の下に、同じく全てを思い出した仲間たちが現れ、課外活動部の全員が揃い、笑い合う。そのシーンを最後にペルソナ3の物語は幕を下ろすのだった。

 

「あー……面白かったなぁ……私も同級生とかいたらよかったのに……まあそんなの望むのが無理だったけど……」

 

ほぼ一年に渡る激しくも重く、そして辛いことも多く起こった戦い。それらから解き放たれたように眠るようになった少年は、これから本当の意味で全てから解放され、一人の学生として、同級生たちと共に三年生へ進級して過ごしていくことになるのだろう。途中で精神的に大変な目に何回か遭ったが、それを乗り越えて最後までプレイしてきたことに凄い満足感を感じつつ、スマホを手に取る。このゲームをクリアしたことをモルフォに報告しつつ感謝のメッセージを送ろうとして……ふと、その指が止まる。

 

「……三年生、かぁ」

 

思い出されるのは作中で三年生同士、同じ孤児院出身で幼馴染の腐れ縁と化している荒垣と真田のコンビだ。喧嘩をすることも多いが根っこではお互いに信頼し合っており、主に真田側から持ち込むことが多いが割とくだらないことでも言い合ったりもする。おそらく普通の同級生同士の関係というとこういうのが自然なのだろう。ちょっと憧れる所はあるし、そう考える余裕が出てきている自分にちょっとだけ驚く。が、

 

(そんな相手いないんだけどね)

 

アビドスに自分以外の三年生などいない。加えて、他に知ってる三年生自体がほとんどいないというそもそもの問題があった。カヨコ、ネル、アスナ、ヒナ、名前だけならアコ。普通の生徒の交友関係でももっと人数がいるであろう貧相なラインナップに思わず笑ってしまう。アコは論外として、カヨコは組織同士での交友こそあるものの、ホシノから絡みにいくような相手でもないだろう。ヒナもゲームはしそうにないので却下。と、これらの面子のことを考えていると、あることを思い出す。そして、ペルソナ3を貸してもらった時にモルフォと交換したモモトークを開き、通話を始める。

 

「もしもしモルフォちゃん、あー、うん。ペルソナ3、クリアしたよー、凄い面白かった、それで……え?シロコちゃんミレニアムに遊びに行ってたの?そこまで走ってたんだねぇ……迷惑かけてない?そっかー、ならいいんだけど……ところでさ。モルフォちゃんに教えてもらいたいことがあるんだけどさ……いいかな?」

 

どこかウキウキした様子で、ホシノはモルフォにある質問を投げかける。ちなみにこの後、タイトルを見ていると後日談であるEpisode Aegisが存在していることに気付くのだが……その結果、ある人物の死によって残された者達の物語に再び殴りつけられることになるのだが、それはまた数日後の話である。

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