転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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百合園セイアとKLASK

 

「……バタフライエフェクト」

 

そこは、セイアにとっては見慣れたテラス。トリニティに存在する、ティーパーティーが利用していたお茶会の席だった。だが、そこに座っているのはセイアだけ。他にいるのは、トリニティの重要な場所には相応しくない、機能性の感じられるミレニアムの制服を纏い、蝶の刻印がついたヘッドフォンを首にかけたモルフォの姿だけだった。

 

「1匹の蝶の羽ばたきは遠く離れた地で竜巻を引き起こすか……だが、君のそれはまさに竜巻に匹敵し得るものなのかもしれない」

「え、えっと……?」

 

突然のセイアの言葉に困惑しているモルフォの姿を見つめるセイア。彼女の起こした行動は、セイアの予知の中にも確かな変化が起こっていた。

 

「君がミレニアムで起こる騒動の中にいる姿は確かに見たことがある。だが、私の知る限り、君はアビドスへ行くことはなかったはず、なんだがね……私が君と接触したことで運命が歪んだのか、或いは……」

 

どこか楽しそうに呟きながらティーカップに口をつける。モルフォはというとセイアの言いたいことこそ何となく掴めたものの、今まで彼女と一緒に過ごしていたはずの空間が変わったことが慣れないようにどこか落ち着かない様子を見せていた。

 

「えっと、私ってそんなに滅茶苦茶やってるんですか?正直自覚がないんですが」

「ふふ、それはどんな未来が来るかその時になってみなければわからないさ」

 

落ち着かない風景についての感想を思考の隅に追いやり、セイアに質問してみる。しかしセイアから返ってきたのは、どうとでも取れる他愛ない返事。彼女自身わからない、ということなのだろう。だが、その表情や様子を見るにネガティブな意味合いではないということは確かなようだ。

 

(だが……これはあくまで私の考えでしかないが、君は未来を詳しく知らない方がより、良い方向に転がしてくれる。そんな気がするな)

 

ティーカップを手に取るモルフォの姿を見ながら、セイアは心の中で呟く。

 

(私がかつて見た未来、いや今となっては過去か。もし君が、私が見たその運命を知っていたとしたら、果たして同じ行動は取れただろうか?同じような反応を、受け取り方を他の者達はしただろうか?確かに、もっと良い結果に持っていくことは可能だったかもしれない。だが……)

 

その負担は、未来を知るモルフォに大きく圧し掛かってくるだろう。協力者を募ることはできるかもしれないが、最終的な負担や責任は、それを知らされたモルフォ自身に、そしてモルフォに未来を伝えた自分に来るだろう。それで運命に介入した際、運命が悪い方向に転がったら、その時自分達は責任を取れるのか。もしかしたら責任を取る、なんて状況ですらないのかもしれない。

 

(……君は、何も知らないからこそ、君らしく動ける。君らしく、色んな人と交流し、絆を繋げ、その繋がりで新たな世界を、道を切り拓いている……未来のため、なんて大それた目的などではなく、今を、そして未来も楽しく過ごしたいから、それだけの純粋な思いで。当然、それだけではどうにもならない問題もあるだろう。だが……そんな君だからこそ、私も、抗ってみたくなったし……少し、手を出したくなってきた)

「そういえばセイアさんって体調とかは大丈夫なんですか?未来予知をするのって結構不安定になりがちって前言ってましたが」

「ん?ああ……最近は落ち着いているよ。気の持ちようによるものもあるのか……今を見る覚悟ができたのはそれだけの効果を生んだようだ。とはいえ精神的なものであって、現実の肉体がどうかはわからんがね」

 

だからこそ、今のままでいいのだろう。とはいえ、未来を知れること自体は悪いことではない。その結果、モルフォと知り合ったのだから。

 

「それよりも、新たな友ができたのだから良いことだと私は思っているとも。とはいえ、トリニティの景色は少々お気に召さなかったようだが」

「いや、そういうわけでは……ただ、今までいた部屋とは別の景色だったので違和感が」

「わかっているとも、ちょっとした冗談さ……ありがとう、私の頼みを聞いてくれて」

「えっと……ハナコさんのことですか?それは別に構いませんよ。ただ……水着を着て出歩く人だとは思いませんでしたが」

「それが彼女というものさ、君は受け入れているようだね」

 

そして、トリニティに向かうことを知り、モルフォがハナコと出会うことも知ったセイアは、モルフォを通じてハナコにメッセージを頼んでいた。モルフォはそれを誰からのものとは伝えなかったが、ハナコならばその点は心配ないだろうし、彼女なら自分の存在に気付いてくれるだろうという確信があった。

 

(この接触が、運命にどのような影響をもたらすのか。だが、きっと……)

「そういえば……セイアさん、現実はわからないって言ってたんですけど、本当に体の方は大丈夫なんですか?寝たきりの状態ですよね?」

「ふ……今はまだ私が動く時ではないよ」

 

優雅に紅茶を飲みながら、返答するセイアの姿を見ながら、モルフォもティーカップを置く。作法なんてなんちゃって作法しか知らないが、ぱっと見でできればミレニアム生としては及第点だろう。

 

(……それにしても、ここがセイアさんの夢の中……)

 

ここまで全く触れてこなかったが、自分の知らないトリニティの景色でセイアが特に疑問を呈することなく寛いでいるということは、ここはセイアの夢ということで間違いないのだろう。

 

「さて……君を招いたのは初めてだが、ずっと君の所にいたのもあって、これはこれで少々寂しいものがあるな」

「そうですね……」

 

そして、長く居続けたのもあってかセイア自身も自分の夢だというのに寂しさを感じていたようだ。とはいえ、ここでやれるのが優雅なティータイムだけとなればある意味仕方ないのかもしれない。

 

「ちなみにモルフォ。君は、ミルクティーは紅茶とミルク、どちらが先だと思うかい?」

「え?に、鶏と卵?」

 

突然の質問に困惑した様子でセイアの顔と紅茶を見る。これにはミルクを入れているわけではないので普通の紅茶だが、こんな時に突然何を言い出したのだろうか。そもそもモルフォはミルクティーなどペットボトルに入ってる既製品を飲む程度のものでしかない。それでこんなことを振られても困る。困るので、正直に答えることにする。

 

「そんなの個人が一番美味しい組み合わせでいいんじゃないですか?市販品のミルクティー以外碌に飲んだことないので味なんてわかりませんけど」

「……ふふ、皆が皆、そう思っていたのなら、争いは起こらないのかもしれないね」

「はあ……」

 

何かを思い出したのか、遠い目をするセイア。その様子がいたたまれなくなり、せめて何かを用意できないかと思いながら、自分の手に目を向ける。すると、モルフォの椅子の横に何かが落ちてきた。

 

「む?それは何だい?」

「え?これは……KLASK?」

「くらすく?」

 

夢に形を与える能力。それは夢の中であれば作り出す、生み出すといった工程を無視して出現することはこれまでの例で知っていたが、他人の夢の中でも有効だとは思わなかった。これゲーム以外に使っていたら他人の夢を食いつぶすみたいな魔王ムーブもできたのではと一瞬嫌な考えが過り、絶対やらないと心に誓って出現させたKLASKを机の上に置く。

 

「……随分大きいね」

「ええ、結構サイズがあります」

 

机の上に置かれた小さな机型の盤上。中央には三つの小さな白い円があり、そこに小さな白い磁石を一つずつ置いていく。左右を見れば、円形に凹んだ小さな穴があり、その上には二つの黒いピンと黄色いボールが存在していた。モルフォは磁石の黒い棒を盤上の下に通すと、ピンの一つと連結させる。反対側も同じようにすることで、盤上の下に手を入れて磁石を操作し、盤上の上のピンも連動して動くようになる。その様子を見て、セイアもピンを動かしてボールを相手の穴に落とせばいいのだろうということを理解する。

 

「ふむ……大体ルールは見てわかったが、どういうものなんだい?」

「基本的には黄色いボールを相手のゴールに入れれば得点ですね。それ以外にも、白いマグネットが二個くっつくか、自分のピンが自分のゴールに落ちると相手に一点、後はピンが相手の陣地にとんでいって回収できなくなったら相手に一点という感じです」

 

盤上の下には真ん中の部分に仕切りが入っており、プレイヤーが手を相手の陣地に入れることができなくなっている。そして、盤上を挟んで磁石でピンをくっつけているため、ちょっとしたことでピンが吹っ跳んでしまうことも往々にしてあるだろう。そういった際のためのルールもちゃんと用意しているようだ。

 

「こういうシンプルなゲームも面白そうじゃないか。君は本当に色々な知識を持っているね、いや、湧いてくると言うべきかな?」

「まあ、そんなところです。どっちから始めますか?」

「君からでいいよ。何となくはわかっているがどういう感じかはやはり一回やってみないとわからないからね」

「わかりました」

 

セイアから許可を受け取り、ボールをピンで弾く。ピン自体が円形をしているため、ちゃんと中央に当てないと狙った方向に跳んでいかないため、操作している側も狙った場所に行かないことが時折発生する。その偶然を活かして点を取るか、手堅くボールを打ち出していくかでもプレイスタイルに差が出てくるところだろう。

 

「……ふむ」

 

穴に向かって打ち出されたボールをしっかり受け止めると、セイアもまた、勢いよくボールを打ち出す。と、その時だった。

 

「……おっと?」

 

セイアが操作するピンに白いマグネットが一つ付いてしまう。勢いよく打ち出したボールはモルフォに止められるが、ここでモルフォはボールの位置を調整していく。

 

「……おい、その動きは……」

「そういうことです!」

 

そしてボールをマグネットに向かって当てていく。すると、マグネットが相手の陣地の中央に跳んでいく。ボールは盤面の端に存在する壁に反射して穴には入らなかったものの、マグネットが陣地に入ってきたせいで、これ以上マグネットを付けるわけにはいかないセイアは身動きを大きく封じられてしまう。

 

「これは……厄介だね……!」

「どんどん攻めさせてもらいますよ!それ!」

「む、むぅ……!」

 

どうにか抵抗はしてみせるものの分が悪く、モルフォの放ったボールがセイアの陣地の穴に落とされてしまう。それによってポイントが一つモルフォの方に入る。このゲームは先に五ポイント手に入れた方が勝利するため、そのスタートダッシュを切れた形だ。だが、この一回はセイアにとってもゲームを慣れるうえでとても大きかった。点を入れられたことで三つのマグネットを初期位置に戻し、セイアがボールを打ち出してゲームが再開される。

 

「こういうのはどうかな!?」

「む……マグネットをこちらに……なら反射で……!」

「!」

 

KLASKはボールが盤面の上から出ないようにするため、四方を壁で囲まれている。そのため、ボールを壁に反射させて得点を狙うのも大事なテクニックだ。壁を二回反射させてゴールを狙おうとするのだが、それを読んでいたセイアに防がれてしまう。

 

「ふふ、そうはいかないよ」

「やりますね」

「さっきは後れを取ったが……二回目は好きにはさせないよ。そらっ!」

 

セイアは先ほどモルフォがやったように全てのマグネットをこちらの陣地に移動させて動きを封じようとする。しかし、モルフォもそうはいかないとボールをマグネットに当て、別のマグネットにぶつけてくっつけてしまう。

 

「む!」

「これで、陣地が広がりましたね」

「……やるね。だがいいのかい?それは二つマグネットがついた、当たればアウトの爆弾になってしまったんだよ?」

「なのでそちらにあげますね……」

「そんなものはいらない」

 

送り込まれたマグネット爆弾をボールで弾きつつの攻撃を行う。対してモルフォも同様の手段でボールを送り込んでいく。弾速はどんどん上がっていくも、どうにか反応しつつ互いにゴールに弾が入っていくのを阻止する。しかし、

 

「あっ」

「ふ……磁石がくっついてしまったようだね。これで私も一点……同点だね」

 

そこそこ打ち合いが続いたところでモルフォのピンにマグネットがくっついてしまう。マグネットへの警戒はずっとしてはいたのだが、避けようのない攻撃を受けてしまったせいでマグネットがくっつかない可能性に賭けて打ち返さざるを得なくなったのだ。

 

「むぅ、やりますね」

「ふふ、何となくだがこうすればいい、というのがわかってきた感じがしたよ」

「私も負けませんよ」

 

今度はモルフォがボールを打ち出してゲームを再開する。互いに一進一退の勝負が続き、時折うっかりミスで失点したりといった流れが続く中、得点はどちらも四点に。次のポイントを取った方が勝利という状況にもつれ込んでいく。

 

「どうやら次が最後のようだね」

「はい、でもここまで来たら勝たせてもらいますよ」

「それはどうかな?悪いが私が勝たせてもらうよ」

 

挑発するように不敵な笑みを浮かべ、セイアがボールを打ち出す。かなりの速度で放たれた一撃を反射的に動かしたピンでどうにか反射すると、それが奇跡的に垂直反射し、自分の陣地で上下に反射していく。それを見てボールをいい感じに保持するように勢いを殺しながらキープしていく。

 

「む……奪われたか……」

「これで仕切り直しですね」

「狙ってやったのかい?」

「最初に弾いたのはほぼ偶然ですよ」

 

キヴォトス人特有の反射神経の速さで攻撃に対応することができても、受ける角度まで調節はモルフォにはできない。しかし、折角のチャンスを無駄にできるほど下手くそというわけでもない。ここで手に入れたボールは大切だ。絶対に決めなければならない。しかし、セイアの裏を掻きながらボールを叩き込むにはどうすればいいか。軽く上下に振りながらセイアの反応を窺うが、じっとボールから目を外さない。これではどこへ打っても反応してくるだろう。今のセイアからはそんな気配が感じられた。

 

(と、なれば……)

 

一つ、奇策を思い付く。しかしこの一手はモルフォ自身もリスクを負う危険な一手だ。だが、この状況でセイアを出し抜くにはこれしかないと判断し、モルフォは慎重にボールを動かしていく。

 

(……仕掛ける気か)

 

当然、セイアもモルフォが何かを仕掛けようとしていることはすぐに理解し、警戒心を強めていく。上か、下か。それとも真正面か。様々な可能性を考えながらモルフォの一挙一動に注目している中、遂にモルフォが動く。

 

「―――ふっ!」

「なっ!?」

 

セイアの予想を超えた動きがモルフォのピンから繰り出される。なんとモルフォは、後ろの方にボールを打ち出したのだ。当然そんなことをすれば、ボールは逆側へと跳んでいき、壁に二回ほど当たって反射する。するとボールは逆にセイアの陣地の方へと跳んでいき、一回、また一回と反射してセイアのゴールへ向かってボールが入ろうとする。

 

「くっ!?」

 

遅れてそれに気付いたセイアが慌ててボールをセーブする。最初にいきなりボールを後ろに打ち出すという予想外の行動を取られたせいで固まってしまっていたが、よくぞ反応できたものだと冷や汗を流しながらボールを受け止める。一方モルフォも、今のを取られたかと悔しさを顔に浮かべる。

 

「ふふ、やられるところだったよモルフォ。まさかこんな隠し玉を用意していたなんてね」

「思い付きですけどね。でも、そこそこ手応えを感じていたんですが止められちゃいますか……」

「いや、危なかったよ。冗談抜きでね。やっぱり君は侮れないな、色んな意味で」

 

楽しそうに呟きながら、今度はこちらの番と言わんばかりにボールを動かしながらベストポジションを探るセイア。一転して受けの側に回ったモルフォも、セイアがどんな一手を繰り出すのかわくわくした様子でそれを待つ。

 

「……いや、ここは……シンプルにいこうか!」

「!」

 

そしてセイアは、壁を狙わず、真正面からボールを打ち込む。正面からは来ないと踏んでいたモルフォは上の方にピンを動かしてしまっており、がら空きになった空間をボールが素通りしようとする。が、モルフォもただでは転ばない。

 

「この!」

 

盤面の下でわざと磁石とピンを分離させ、その衝撃でピンを倒し、ギリギリボールにピンの先端を触れさせる。それによって軌道が逸れたボールはゴールを逃し、後ろの壁に反射してセイアの陣地へと戻っていく。

 

「……それありなのか!?」

「たまたまピンが外れただけで相手の陣地に行ってないのでセーフです!」

 

すぐにピンを磁石で回収すると、ピンが再び立ち上がる。いくら何でもその挙動は反則ギリギリではないのかと思わずセイアがツッコむも、実際ピンが回収できないというわけではないからルール上は確かに問題ないのだろう。モルフォ自身大分グレーな行為をしている気分にはなるが、致し方ないというものだ。

 

「く……しかし狙ってそれをやるとはね……」

「いやまぁ本当に止められたのもたまたまですが……」

「だが、二回目はどうかな?」

「今度は読み切ります」

 

さながらサッカーのPK戦のようなじりじりとした雰囲気の中、セイアは改めて、今度こそ決めるという強い意思を込めてピンを勢いよく動かす。今度はさっきのような小細工すら間に合わない程の速度でボールを打ち出してやろうと手を動かしたセイアの放ったボールは、凄まじい速度で跳んでいき、モルフォのピンに衝突して弾かれる。だが、同時に何かがぶつかる音と共にセイアのピンが吹き飛び、それがモルフォの陣地に転がってくる。

 

「~~~!?」

 

ぶつかった音は、勢い余って下の仕切りにセイアが手をぶつけた音だった。声にならない悲鳴に悶絶するセイアだったが、その目の前に完全に制御権を失ったピンが転がっている様を見て、自分が致命的なミスをしてしまったことに気付く。

 

「えっと……ピンがこちら側に来て元に戻せなくなったので私の得点ですね」

「そ、そんな……!くぅ……ま、負けてしまった……!」

 

最後のポイントがモルフォの方に加算された所を見て、悔しそうに突っ伏すセイア。悔しそうにはしていながらも、よほど楽しかったのか耳や尻尾が揺れている様子を見ると、モルフォも思わず苦笑してしまう。

 

「……あ。セイアさん、そろそろ時間みたいなので……」

「……む、そうか……このまま負けっぱなしなのは少々心残りだが仕方ないな……今度は君の方でリベンジさせてもらうとしよう」

「あはは、ではまた今夜」

 

そろそろ目を覚ます時間になったことに気付いたモルフォがセイアにそう伝え、光と共に消えていく。そしてその場に残されたセイアは、KLASKを少し見ていたが、名残惜しそうに視線を外すと、すっかり冷めてしまったティーカップを手に取る。

 

「もし君が、トリニティの生徒だったらどんな人生を送っていたのだろうか?その時も、こうやって私と交流を持つに至ったのだろうか?それとも……トリニティの環境に君は……潰され、歪み、蝶はその姿を変えてしまい、元の自由な舞をすることが叶わぬのだろうか?あるいは、そんな状況でも、変わらず夢見モルフォとして過ごし続けるのだろうか?」

 

その呟きに答える人は誰もいない。この場に誰もいないからではない、いくら考えても答えの出ないイフの話なのだから。だが一つだけ言えるとするならば。

 

モルフォはミレニアムサイエンススクールの生徒であるべきであり、他の学園の生徒でなくてよかったのだろうと。そうセイアは、ある人物の姿を思い浮かべながら結論付けるのだった。

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