転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
(……どうしてこうなったのかしら……?)
リオの目の前でパソコンの準備を進めるトキ。その様子を見ながら、どうしてこのような状況になってしまったのかとリオは思わず首を傾げてしまう。確か発端は、トキが一台のノートパソコンを持ち込んだ事だった。
『リオ様のために、モルフォと協力して用意しました』
そう言われ、偶然、見計らっていたであろう暇な時間ができたリオを連れて、セーフハウスへ移動してきたトキ。とはいえセミナーの仕事が……と渋ったリオだったが、示し合わせたかのようにユウカやノアから今日は休んでほしいとモモトークで連絡を受けてしまった。
(……ユウカとノアはトキの事を知らないわ。共謀することは不可能のはずだけれど……モルフォが頑張ったのかしら……?)
ユウカ達がリオにゲームをやらせたいから休ませてほしい、と言っても受け入れてくれそうにないと思うが、モルフォがどうにかしたのだろうか。実際は働き詰めのリオを休ませた方がいいということで主にノアがモルフォにノリノリで便乗する形でユウカと協力していたのだが。そんなことを知らないリオだったが、厚意を無下にするわけにもいかず、準備が終わったトキからコントローラーを受け取る。
「えっと、トキ……これを渡されても、私にゲームは無理よ」
「大丈夫です。難易度が低いもので、リオ様も楽しめるものを選んでもらいましたので」
「そう……なら、いいのだけど……」
楽しめるものを選んだとはいうが、肝心のゲームの腕前は期待しないでほしい、それが正直な感想であった。少し不安になりながらもゲームを起動させると。
「……メグとばけもの?」
「私も内容は知りません」
ドット絵の金髪の少女が、夜空の赤い星を見上げる画面と、「メグとばけもの」と書かれたタイトル。不穏なワードがあるが、これだけではどういう話なのか見当もつかない。本編を開始すると、廃墟となった、母が勤めていたという研究所に一人の金髪の女性が現れる。その夜空には赤い星が輝いており、研究所に入った女性は、動く通信機を見つけると、そこの通信記録で二言の会話を聞く。それを聞いた瞬間に彼女は過去を思い出すのだった。
「……この子がメグ、ってことでいいのかしら……?」
「おそらく……?」
一転して禍々しい森の風景に変わった画面。そこに倒れていた金髪の少女は起き上がると母親を探し、森を歩く。そこで右手がハサミになっている、マジックタールと呼ばれる謎の食べ物を食べる巨人ロイと、糸目の緑色の魔物、ゴランと遭遇する。だが二人の少女への反応は決して友好的とは言い難く、そればかりか人間は食べ物だとまで言ってしまう。
「え……」
「その……私にこんな嗜好はないのだけれど……」
いきなり人を食べる魔物というとんでもない絵面が出てきてやばいと思ったが、ゴランが大きな口を開けたその時。少女が泣き出すことで異変が起こる。画面が点滅し始め、ロイが熱さを感じる。何かに気付いたゴランが慌てて少女を宥めると、異変が収まる。少女はロイの方に懐き始めるのだが、危害を加えていないロイに懐くのはある意味当然といえるだろう。
「何とかなった、ということでいいのかしら……」
「そうかと……さすがに、人が本当に食べられるなんて話にはならないと思いますが……ただ、そうしようとする存在は出てきそうな気がします」
(大丈夫かしら)
先行きが不安しか感じられない。そんな中、新たな魔物が現れる。人間の美味しそうな臭いを嗅ぎつけてきたと笑えない台詞を口にした魔物とロイの戦闘が始まるのだが、
「……これは体力としては普通の数値なのかしら?」
「いえ……バカみたいに高いです。普通にカンストしているかと」
HP99999というやけくそみたいな体力をしたロイの姿があった。相手のダメージも精々二桁いくかどうかという有様だったり、相手もロイの耐久力に驚愕している所を見るに、元からこういう存在なのだろう。
(……確かにこれは簡単だけど)
いくら何でも歯ごたえが無さすぎるし、ロイが苦戦するところが想像できない。これで大丈夫なのかとゲームの難易度について疑問を持ち始める中、倒された魔物が逃げ出す。その後、ロイはゴランに説得される形で一緒に魔界を歩き、家に連れていくことに。ここで一人別れたゴランは突然どこかに通信し始める。
(相手は、人間のようだけど……)
ゴランの主人だろうか。彼は少女が泣いたことで臨界反応が起こったと告げる。少女をロイから離すと臨界反応が起こりかねない上に魔界では魔物が人間を敵視している。故に守ってほしいと。だが、ゴランはそもそも泣き出す暇すら与えず殺せばいいんじゃないかと言い出す。
(……合理的、ではあるわね……)
害を成そうとするならそもそも事を起こす前に始末すればいい。簡単で、人を敵視している魔界の住人だからこそ、平然と行える選択肢だ。だが、通信相手は、泣き声が引き金の可能性はまだ推測でしかない、それ以外が原因かもしれないと制する。今はどんな形であっても少女を刺激するのは得策ではないと言われ、ゴランも仕方なく受け入れる。
場所は変わり、ロイの家。そこは食べ物であるマジックタールしか存在しない洞穴となっており、少女、メグと自己紹介をしたロイはゴランから彼女が崩壊を呼ぶ少女であることを伝えられる。そして、母親を探しているメグに協力することになったロイ達は、メグの母親を探すべく集落へ行くことになる。
「……?」
しかし、家の前には先程倒した魔物と一緒に誰かがいた。先ほど倒した魔物が親分を引き連れてきたようで、二回目の戦闘が始まる。だが、そこにはロイの後ろで守られているメグの姿があった。が、行動できるのはロイのみ。その圧倒的なパワーで攻撃し、蚊に刺された痛みにもならない攻撃を受けて……と、ロイに攻撃が当たると何故か連動してメグのHPも少し減っていくことに気付く。
「メグの方もHPが減っています」
「え、ええ……どうしてなのかしら……それに、HPの横にある笑顔のアイコンも説明がないし……」
メグのHPは僅か30。ロイのHPだけなら圧倒的だが、これでは事実上のこちらのHPはメグの30。そして、ロイは倒せないことに気付いた敵はメグの方を精神的に追い詰め始める。攻撃はロイが受け止めるが、メグの心へのダメージまでは防げない、ということだ。
「心への、ダメージ……精神力ということなのね」
HPが減ることで、アイコンも徐々に泣きそうなものへと変わっていく。これはメグの心境を表しているらしい。無事に戦闘を終えたものの、このままではメグの精神力が持たない。そこで、ロイに提案される形でメグのためにおもちゃを探すことになる。
と、ここで場面が変わり、評議会と呼ばれる四人組の会議が始まる。明かりが消えた中、不可侵条約と人間について語っているグスタフという男とそれ以外の不真面目な三人の下に、ロイという魔物が人間をペットにしているという情報が入り、その危険性について調査をすることで会議が終わる。のだが、
「……真面目にやってるのかやってないのかわからないわね」
「ですが、雰囲気は大事かと」
「雰囲気はともかく二人は話を聞くつもりがないし、残る一人もずっと寝ているだけなのだけれど……」
これではグスタフのワンマンみたいなものだろう。他の面々も気が向いたら協力などもするのだろうが、普段はグスタフに一任されているような雰囲気も感じられた。彼は苦労しているのでしょうね、と内心呟いていると、再び場面はロイたちに移る。無事におもちゃのロケットを回収したのも束の間、おもちゃを探しに来た漁り場を縄張りと言い張る魔物との戦闘になる。戦闘中におもちゃを使うことでメグのHPを回復させることが可能となるのだが、
「……戦闘中にこんなことをしている余裕があるのかしら……?」
「こういうゲームなのでしょう」
それを使うと、敵の目の前でおもちゃで遊び始めるシーンが入る。そんなことをやっていたら普通にメグの方が直接攻撃されてしまいそうなものだが、ゲームのシステムというのもあってか相手はちゃんと待ってくれているようだ。敵が目の前にいるのに遊んでHPを回復するこの少女は精神がかなりタフな気がしてきた。
「敵も少しずつ強くなっているようね……ゲームというと自由に戦闘ができるイメージだけれど……それがないということは全部必ず勝てるようになっているということかしら」
その後、家に戻るとそこには漁り場から見つけてきたであろうサッカーボールが置いてあり、それで遊んでいると、突然グスタフが現れる。いきなりボス戦かと思わず身構えていたのだが、
「……ちょっと待って?」
思わずツッコミの声が飛び出す。グスタフはロイの思惑を確かめるために来たはずだ。だが、ボールで遊んでいるから後にしろというロイの発言を素直に聞くわ、ボールをうまく蹴れないロイにアドバイスをするわ、挙句の果てには本来の目的について何も言わず、ボールを回収しようと画面外へ行こうとするメグを、車が飛び出すから駄目だと、いや魔界に車あるの!?とリオ達にとって衝撃の発言をして、何故かそのまま帰ってしまう。
「……車、あるの?」
「しかし、グスタフ本人はなんで車なんて言ったかわからない様子ですが」
「これも伏線かしら……」
戦闘の方は難易度が高くないのもあって、シナリオの方に没入しやすいのは、ある意味都合がよかったのかもしれない。モルフォの能力の事は把握しており、それもあるかもしれないがここまで入り込めるとは。
「ここが集落……」
集落にメグの母親を探しに来たロイたち。情報収集をしていると、話に夢中な二人を見て段々飽きてきたのか、メグが蝶々を見つけて一人どこかへ消えてしまう。
「リオ様、まずいですよ」
「え、ええ……他の魔物に見つかったらあの子……」
情報の方は評議会に聞けばポールと言う人間についてわかるかもしれないと判明したものの、ここでメグがいないことに気付いた二人がメグを探し始める。すぐにメグを見つけることには成功するのだが、そこにはグスタフ達を前に泣きそうになっているメグの姿が。慌ててロイがメグが泣かないように宥めたことでどうにか世界崩壊の危機を防ぐ。
「どうにか難を逃れたわね……世界が滅びなくてよかったわ」
そこでグスタフがその評議会の魔物だとゴランが伝えたことで、ポールについて教えてもらおうとする。だが、グスタフは自分に勝てば教えると伝えたことで何故か戦闘が始まってしまう。しかし、途中でグスタフはロイの実力を見誤っていたと言い、本気でやり合えばどうなるかわからないとポールの情報を伝え、妙な動きをするなと釘を刺して去っていく。
「不穏な動きをしますね。評議会も……実質一人ですが」
「とはいえ、話は動きそうね。ポールに会ってみましょう」
ポールの住まう場所に向かう。彼にメグの事を伝えると、半信半疑ながらも信じてくれたが、メグの体に不調が起こる。ポールは魔界は人間には辛い環境なのだと説明し、メグを預けてくれないかと聞いてみるも、メグはロイと一緒にいると言う。
(この家にいれば環境的には最善で合理的なはず……だけれど、この子は感情で人よりも魔物と一緒にいることを選んでしまったのね……それが、どう影響するのかしら……)
結局、メグはロイ達と共に行くことになり、その場から去っていく。そしてロイたちがいなくなった後、彼女の母親と思われるハンナの名前を口にし、魔物と一緒にいる今伝えるわけにはいかないと呟く。
「この人はやっぱり知っているようですね。言っては不都合なことでもあるのでしょうか」
「あるのでしょうね……どういう事情かはまだわからないけれど……」
その結果、もしもメグが泣き出して世界が滅んだら目も当てられないため、ポールも言うに言えなくなっているのだろう。そして、話は再び評議会の会議に。だが、グスタフはそこでロイの事について何故かキック力を賞賛するという報告内容に他の面々も呆れてしまう。
「この四人はただの良い魔物じゃないのかしら……」
「最初は敵かと一瞬思いましたが今のところやっているのはロイ達へのアドバイスだけですからね……ところでこのセバスというおじいさん、週三回もロイの所に行っていると言っていますが嘘ですよね」
「ええ……会議中寝ているもの……」
話は進んでいき、ロイ達はメグと一緒に魔界に落ちてきた、母親と共に写った写真を持ち去った魔物から写真を取り戻していた。そこには白衣を着た金髪の女性の姿があり、ポールの部屋にも白衣があることに気付いたロイ達は再びポールの下に向かうことになる。
(とはいえ、白衣を着ているからハンナとポールが繋がるとは……魔物たちにとってみれば数少ない共通点ということなのだろう。とはいえ実際はポールはハンナのことを知っているわけだけれど……)
家でロイとメグが遊んでいると、度々現れてはアドバイスなどをしていく評議会の面々。今回現れたのは、その内の一人、レン。レンは手品でメグを喜ばせるのだが、それに嫉妬したのかロイとメグは喧嘩してしまう。翌朝、早く目を覚ましてしまったメグは、同じく早く起きてしまったゴランから花畑の場所を聞き出すと、危険な花畑に行ってしまう。その様子を見て、メグとロイが分断されたタイミングで、今ならメグを殺せるチャンスだと気付くゴラン。だが、悩んだ末に、どうせメグは長くないだろうと結論を下す。
「ゴランも、手をかけるのは嫌なようですね。情が移ってきたのではないでしょうか」
「最初とは大違いね」
起きたロイにゴランが花畑の事を伝えるが、花畑は人は誰も近づかない危険な所。急いでメグを探しに来たロイは、仲直りのために花を取ろうとしたメグの行動を知り、仲直りすることになる。メグとの交流で、心境が変わっていったロイ、二人を心配するゴランの様子にほっこりしている中、グスタフ達にメグをロイたちが人間の世界に連れて行こうとしていることがばれてしまう。
「遂にバレてしまいましたね……これまでは気の良い親戚みたいな状態でしたが、変わってしまうのでしょうか」
「不可侵条約……その内容から察するに許されざることをしようとしているとなれば、それなりの措置を取らざるを得ないはずよ。評議会がこの魔界の平和を守ろうとしているのなら……」
場面は再びロイの家に。評議会の老人、セバスからロイが茶の入れ方を教えられたりしながら、再びポールの下へ。そこで、彼から部屋に置いてある白衣はハンナのものであることが明かされることになる。
「!彼のものかと思ってたけど……母親のものだったのね……」
予想とは少し違った事実に驚いていると、研究所の職員だったハンナは既に元の世界に返したと言われる。そのことを魔物たちに知られたら生きてはいけない。だからこそ、ロイ達のいる所ではメグに伝えることができなかったのだと。改めてメグを預けてほしいと言われ、メグを預けようとするロイ。が、メグの方はロイと一緒がいいとわがままを言う。
その頃、ゴランは通信越しに今メグを送られるとまずいと伝えられる。既に臨界点が近く、子供は関係なくなっていると。こちらで管理するためにロイも連れてきてほしいと言われるのだが、ここでリオの中にある疑問が浮かんでくる。
(世界を滅ぼす少女という話だったけど、ロイを?これじゃあ、世界を滅ぼすのは実はロイの方ということじゃ……)
ここにきて示された事実に不穏な雰囲気が広がっていく。夜、共に星を見る、おそらく最後のイベントを経て、遂に運命の朝が来る。三人はポールの下に行き、自分達も向かうと伝えるのだが、ここで魔界がどういう場所か明らかになる。
(魔界は人間たちの廃棄場……そこに落とされた人間も廃棄された扱い……つまり、このままメグを戻しても万事解決とはならない……大変な世界観ね……そして、捨てられてしまった子、か……)
断るならポールのやってきたことを白日の下に晒すと脅されたことで、ロイ達の同行を許可せざるを得なかったポールは、直通の廃棄ルートを使うと伝える。遂に脱出となるのだが、それに気付いたグスタフに阻まれてしまい、脱出ルートを潰されてしまう。そんな中、メグ達を迎えになんとヘリが現れる。
「え!?」
「へ、ヘリ……?人間からの接触はしてはいけないんじゃ……」
ヘリから武装した人物達が現れ、メグに来てほしいという。さすがに怪しいと言うロイだったが、研究所に行く方法はこれしかないと、ロイとゴランも同行することになる。人間たちもあっさり承諾することに怪しさを覚えるも、他に方法はなかった。
研究所に辿り着いたメグは警備隊員によって攫われ、囲まれたロイ達は、ゴランと通信していた研究所の所長から、ロイこそが滅びを呼ぶ存在であり、この研究所で作られ廃棄した存在だと明かされる。そして警備隊員たちとの戦闘になるのだが、
「つ、強いわね……魔物たちが三桁すら届かないダメージだったのに、四桁は当たり前、下手をすると五桁まで受けるようになったわ」
「インフレが凄まじいですね。或いはそれだけ魔物が近代兵器に弱すぎるのか」
ゲーム的な都合なら前者だが、設定的には後者なのだろう。なんとか警備隊員を蹴散らしたロイは、裏切ったことに負い目を感じるゴランを制し、研究所の内部へと向かう。
道中、回想シーンが挟まり、デブリを喰らい、濃縮する被験体の存在や、その被験体を魔界に放逐する計画、その際に被験体を監視する存在としてゴランが共に魔界に廃棄されたことが明らかとなる。そして、ロイが普段食べてるマジックタールもデブリ、即ち危険な廃棄物であり、それを食べ続けたロイの臨界点が近いという発言も―――
(既に、限界が近いのね……)
所長の下へ辿り着くも、所長はロイを拘束し電流を流して抑えようとする。さすがに近代兵器の前ではロイと言えど形無しのようだったが、それを見ていたゴランは男を裏切って拳をぶつけると、ロイの拘束を外してしまう。
「!裏切りました……主従関係よりも友情を……」
(……それだけ、多くの事を経験したのね……任務よりも、友情を……)
任務が完了すれば再び研究所で保護されることになっていたゴラン。だが、魔界で暮らし始める中でそれを楽しいと思うようになっていたのだろう。ロイを見殺しにすれば自分も死んだも同然だと言い、所長を再び攻撃しようとする。だが、所長は逆にゴランを吹き飛ばす身体能力の高さを見せると、ゴランの腕輪に隠された機能を使い、ゴランを化け物へと変えてしまう。最後に残った正気でどうにかしてロイに逃げてもらおうとするゴランだったが、それは叶わず友達同士だった二人は戦うことになってしまう。
「どうにかして元に戻す方法はないのかしら……」
「しかし、先ほどの説明からすると……」
所長はゴランと共にロイを追い詰めようとするが、戦闘中、ロイの攻撃によって肉体の制御権を取り戻したゴランが所長に反撃。大ダメージを与えることに成功するも、所長は腕輪から薬をさらに投与。完全な化け物になり果ててしまったゴランをロイは介錯することになってしまう。
「……そんな……」
「……酷いことをするわ……しかも、こんな状態にされても命令を聞くしかないなんて……」
友を手にかけることへの罪悪感を感じながらも、これはゲームだと割り切りながら戦闘を進める。強化されたゴランによって攻撃が激しくなる中、遂にゴランのHPが0になる。するとゴランは感謝を述べて動かなくなり、残った所長も撃破することに成功する。だが、ゴランは戻らない。
「……」
ゴランは今まで騙していたことを謝り、嘘を吐かなくても済むと安心した様子でこと切れてしまう。このゲーム初めての死者の登場にリオとトキも言葉を失ってしまう。無事にメグを助けることこそできたものの、ゴランについてはふらっと消えてしまったと誤魔化すことしかできないでいた。そしてロイは、ポールに自分の体が限界を迎えていることを無線で伝え、メグを迎えに研究所へ来てほしいという。そして、ロイは自分が爆発することで世界が滅ぶことを防ぐため、ロケットに乗り込む。
「ロケット……まさか、ロイは……」
「……地上で爆発したら被害は免れない。だけど、宇宙でなら……」
ロイがいなくなればメグが悲しむとポールは説得しようとするも、もうこれしか方法はないと言い、ロイはロケットへと乗り込む。無線を使い、起きたメグを敢えて酷い嘘を吐き、突き放そうとする。幼い彼女はその言葉の真意を理解できず、大泣きしてしまうが、もう彼女が泣いても世界は滅ばない。そして、宇宙で一際大きな爆発が起こり、巨大な赤い星が生まれる。
「!この星は最初の……」
「何十年もずっと残っているのなら、その威力は確かに、世界を滅ぼしうるのでしょうね……」
ポールと共に研究所を出たメグは、空を見上げる。そして母と再会するのだが、最後のロイの言葉を聞いて彼を嫌いになってしまったメグの気持ちと、母がそれらは全部夢だと言い聞かせ、大人になればわかると言い聞かせたこと。そして、時間も相まって魔界の出来事を徐々に忘れるようになっていき、そして……大人になって再び、心残りを解消するためにこの廃墟となった研究所に戻ってくる。二十年が経過しても覚えてる不思議な感覚、その違和感を確かめるために。
記憶を辿るように、研究所の中を進んでいく。そして遂にロイの事を思い出したメグは、何故ロイが姿を消してしまったのか、何故自分を突き放したのか、その理由を知ることになる。そして、ロケットから勝手に送信され記録されていたであろう、ロイの遺言が残っていた。その遺言の中で、メグと出会ってから変わってしまったと。全てが初めてだったと。そして、今になって死が怖くなってきてしまったと。まだ、死にたくない。そう、話すロイの言葉と、最後まで言い切ることもできずに爆発し、彼が宇宙の星となっていく映像が記録されていた。
「……うっ」
「リオ様……」
真実を前に涙を流しながら、二十年その姿を保ち続けていた花を手にした彼女を背景に、エンディングが始まってしまう。これで終わってしまったと思った瞬間に目頭が熱くなってきたのか、目を抑えようとした、その時だった。突然花が光を放ち、エンディングが中断。そのまま花が一人でに浮き上がり、メグを不思議な空間へと誘ってしまう。
「どういう……状況なの……?」
困惑していると、メグは二十年前の自分と遭遇してしまう。思わずロイの事を聞くと、小さい自分はロイとの楽しい日々を語る。それを聞いたメグは、過去の自分にこれからの事を伝えることにする。それを過去の自分が受け入れると、未来の自分は姿を消してしまう。まるで、タイムパラドックスが起きてしまい、存在が消滅してしまったかのように。
「……これって、戻ってきている……!?」
「まさか、ここから……やり直すということ?」
再び時間は、過去に花畑にロイが自分を迎えに来たシーンに戻る。未来を変えるため、ロイを死なせず、ゴランが行方を晦ませることもない未来を掴むため。それが、このゲームの本当の目的なのだと、ここにきてようやく、リオは理解する。
「……ここから全部、救えるのかしら」
やり直す機会が生まれた。そして、未来からの警告があるのなら、それを活かすことができれば。とはいえ、ロイの体が限界に近いのは紛れもない事実。ここからが本番であることを悟りながら、リオは呟くのだった。