転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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聖園ミカとダンボール戦機WARS

「そろそろ、君には明かしてもいいだろう」

 

ティーパーティーのテラスを再現した風景。モルフォとセイアは向かい合って座っていたが、紅茶を嗜んでいたセイアが真剣な視線をモルフォに向ける。

 

「補習授業部というのは生徒を退学させないためのものじゃない。成績が悪いのは事実なんだが……実態は、エデン条約を妨害し得る裏切り者を閉じ込めておくための檻さ。ナギサは、その裏切り者を排除しようとしている」

「エデン条約を妨害?なんでですか?」

 

困惑するモルフォ。エデン条約、ゲヘナとトリニティがこの条約を結ぶことで、両学園で協力して紛争などに対応できるようになる。全面戦争を防止し、学園の垣根を越えて協力し合えるのだ。上の人間が、ピリつくのは確かにわかる。とはいえ悪いことなどあるわけがないはずだが。

 

「まずはアリウス分校について話す必要があるな……トリニティは複数の派閥や組織が組み合わさった学園。だが、それに与さない派閥があった。それがアリウス分校……遥か昔、トリニティが現在の形を成していなかった頃、トリニティは一つになった際に最後まで与さなかったアリウスを弾圧し、事実上の追放。以来、どこかへ消え、ひっそりと、だが現代に至るまでにその牙を研ぎ続けていた」

「じゃあ、あの四人の内の一人がアリウスだって言うんですか?」

「ああ」

 

その言葉に、モルフォは考え込む。ヒフミ、ハナコ、コハル、アズサの四人のうち、誰がアリウスだというのか。だが、その結論はすぐに出た。その相手は、

 

「アズサさんですか?」

「よくわかったね」

「三人と比べて知識量の傾向が違いすぎましたからね。花火からサーモバリックが連想されるのは……アリスが花火と聞いて花火が出てくるゲームをすぐに連想して出してくるようなものと考えれば、どことなく似ているので」

 

アズサであった。アリスの事を見ていたのもあるが、やはり彼女の知識がミリタリーに偏っており、例えや連想先として真っ先にそちらに流れる点は気になっていた。だが、知識が偏っているからこそ、その引き出しにゲームを用いるアリスを考えれば決してありえない話ではない。

 

「ああ、大丈夫だ。君も見ている通り、今の彼女はおそらく問題ないはずだ。それよりも……私を死んだと思っているミカだな。まあ、ミネの判断は間違ってはいなかったのだろうが……」

 

セイアの目が細められ、その視線がセイアの座る席の隣に置いてあった一つの箱に向けられる。自分は、モルフォらが定めているルールの範疇で随分悪いことをしているなと自嘲しながら、その箱を取り出す。

 

「もしかして、それでミカさんへのメッセージを私を通じて先生に?」

「ああ、宛名はある程度ぼかしているが、気付くはずだ。私からのメッセージだということに……そのために、君にも選んでもらったんだ」

「……戦争を扱ったアニメかゲーム、ですか。その人はそんなのに興味があるんです?確かにこれは話は面白いですけど」

「ああ。お世辞にも、私とミカの仲は良いと言われるものではないのかもしれないが……その結果がこれだとしたら。彼女が見ようとしていた夢物語も、もう少し考えてみるべきだったのかもしれないな」

 

はぁ、と深く溜息を吐くセイア。どこか羨ましそうに、いっぺんに情報をぶつけられてそれを整理するように紅茶を飲むモルフォを見る。

 

「何せ君は……様々な縁を紡いでみせているのだからね。トリニティ、アビドス、百鬼夜行……ゲヘナに至ってはかの有名なゲヘナのテロリストまでいるときた」

 

そして、セイアは箱を開ける。その中にあったのは、黒いブースターを背中に背負った、青と黒の二色を基調とした侍と戦闘機を掛け合わせたようなスタイリッシュなフォルムをした人型のプラモデル。一振りの刀が握られたそれを、セイアは口元に笑みを浮かべて見つめる。

 

「決まってしまったものは変えられない。大きく、裏で、根深く……前から進行していたそれを止めることは。だが、細かいところでそれを書き換えることはできる。そして、その積み重ねはいつか、大きな蝶の羽ばたきにも変えられる……私は今回も、それを信じようと思うよ」

 

そう言いながら、セイアは取り出したプラモデル、バル・ダイバーを撫でる。モルフォは興味があって、セイアが言うならばとよかれと用意したであろうそれ。だがセイアにとっては目的を、ある意味で個人的な多少の悪意を込めたかのようなもの。定めたルールの範囲内で、彼女の力を悪用しようとしている自分の姿に自嘲するように笑いながら、こういうのはこれっきりにしてあげないといけないなと内心呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サンクトゥス派の知人から?セイアちゃんはそうだけど……だとしたら、誰が先生に?」

 

白い翼と桃色の髪を持つ生徒、聖園ミカの自室。補習授業部の先生の下に訪れたミカは、それを受け取っていた。その後、ミカは先生にセイアはヘイローを破壊され、死亡したこと。アズサはアリウスから転入した生徒であり、ミカが転入させたこと。それは、今も自分達を憎んでいるであろうアリウスと和解したかったからだったが、ナギサとセイアは政治的な理由からアリウスとの和解に否定的だったこと。しかしミカはアズサに和解の象徴になってほしかったということ。そして、おそらくナギサはアズサの素性は知らないであろうということ。

 

トリニティ以上に憎んでいるであろうゲヘナとの間にエデン条約が結ばれれば、アリウスとの和解は不可能になることを。そして補習授業部に集められた生徒自体が、ナギサが疑って入れた面々であることを伝えていた。

 

「ま、いいか……で、これは……BD?って、アニメ?」

 

戻ってきたミカは先生がモルフォから言伝と共に託されたそれを開いていた。中にはディスクの入ったケースが入っており、付箋で「キヴォトスの外のアニメです。扱いには気を付けてください」と書かれていた。しかし、トリニティの生徒がキヴォトスの外のアニメなど知っているのか。疑問に思いながらも再生すると、オープニングと共に白と赤、灰と青、緑、それぞれのカラーを基調とした三機のロボットが、敵の集団と戦う映像が入ってくる。

 

「お、おお?」

 

ロボットに乗る子供達が、見事な連携を見せる。緑色の機体が砲撃を行い、灰と青の機体が素早い動きで翻弄し切り込んでいき、白と赤の機体がローラーを使った高速移動で縦横無尽に駆け回る。

 

「へー……?中々恰好いいじゃん?」

 

それらはLBXと呼ばれる掌にも乗るほどの小さなロボット達。世界最高のホビーとして不動の地位を築く程の広まりを見せたそれを用いて戦う生徒達の物語が、このダンボール戦機WARSである。神威島に存在する神威大門統合学園に転校した主人公、瀬名アラタは、セカンドワールドと呼ばれる超巨大ジオラマで行われるウォータイムと呼ばれる疑似戦争に参加することになる。

 

神威大門統合学園では生徒達は仮想国の兵士としてウォータイムへ参加し、所属国によって教室や制服の色が分けられる。ジェノックに所属したアラタは、共に転校してきた星原ヒカルと共に、小隊長である出雲ハルキ、メカニックの細野サクヤが所属する第1小隊に配属、コントロールポッドと呼ばれるコクピットに入り、LBXに乗り込んで操縦しているかのように機体を駆ることになる。

 

だが、ウォータイムには機体をロスト、即ち完全に破壊された生徒は退学になるというルールが存在する。世界中の軍事力や生産力等を反映させられたこの世界で、LBXとは兵士。即ち、セカンドワールドで完全に破壊されるということは、兵士の死亡に他ならない。故に、退学という措置を取られるのだ。

 

「……な、中々洒落にならないね?強制退学って。それにしても……一つの巨大な学園の中に国がいくつもって、なんかキヴォトスをぎゅっと圧縮した感じ?いや、それよりは……派閥を国って言ってる感じだからトリニティに近い?」

 

退学という洒落にならない点を外のアニメとはいえ平然とやるのかと思いながら、神威大門統合学園について考えていく。話は進み、ドットフェイサー、バル・スパロス、オーヴェインと呼ばれる、一番最初に見たそれぞれの機体を手に入れ、戦果を挙げていく第1小隊。

 

時に衝突し合い、悩み、協力し合う。勢力図を塗り替え合う中で、退学になっていく生徒も出てくる。だが、退学された生徒は島から船で去っていくため、学籍を失うというだけで、ミカはまだウォータイムの重要性を認識していなかった。が、遂にその真実が明らかになる。

 

「代理戦争……うわぁお、こりゃ強烈だね」

 

バンデットと呼ばれるどこの仮想国にも所属しない、無差別にLBXを破壊する謎の集団が登場し、不穏な気配が見え隠れする中。ガウンタ・イゼルファーを駆る好敵手、法条ムラクとの交戦中、戦場で謎の飛行する青いLBXの乱入を受け、ムラクと共に崖下へと落下するアラタ。電波も届かず、操縦不能に陥った二人は回収されるのを待っていたのだが、ムラクから回線を繋げられ、このセカンドワールドで行われている疑似戦争は、現実に反映されているという衝撃の事実を聞かされる。

 

領地を占領されれば、現実でも領土が相手のものとなる。LBXを用いて戦争を行う、血の流れない平和で静かな代理戦争。それをアラタから第1小隊、ジェノックや、ジェノックが同盟を組んだハーネスの司令官からも事実であると証明されたうえでジェノック全体に伝えられる。そして、ジェノックの生徒の一人が、実際にその代理戦争によって国土を分割され、二つの国になったが争いが消えたことを話す。それによって、人々は喜んだとも。

 

「……本当に国を分割されて争いが消えて……か。ふーん……?まぁ、アニメって言われたらそれまでだけど、随分簡単なものだねぇ。これを見せたかった人は一体何の意図があるのやら……」

 

世界の平和を守るためにも、戦争を無くすために、皆で話した結果、アラタ達は再び戦う覚悟を決める。そして迎えたジェノック・ハーネス同盟とロシウスの決戦。デスフォレストと呼ばれるロシウスの巨大要塞で行われたその戦いは、バンデットの乱入により大混乱に陥る。

 

そんな中、ロストエリアへの入り口がデスフォレストにあることが判明し、第1小隊とムラクは期せずしてバンデットの機体、グルゼオンに対して共闘することに。が、性能差は圧倒的であり、次々と仲間をやられていくアラタ。ロストこそ回避しているものの、ドットフェイサーも左目をやられ、視界が半分消えかかる。敗北が目前に迫り、限界状態に陥ったその時。アラタの青い目に赤い色が現れ、突然ドットフェイサーの動きが変わる。

 

「……おや?」

 

これまで以上のスピード、パワーを見せつけ、グルゼオンを追い詰めていく。圧倒的な動きでグルゼオンを仕留めたアラタだったが、代償は大きかった。機体の右腕が吹き飛ぶだけでなく、アラタ自身もあまりの疲労に倒れてしまう。オーバーロードと称されるその力は、脳を活性化させることによってLBXを異常な操作で動かし、まさにLBXと一体になったかのように動かせるようになる。が、使用者の体、脳に大きすぎる負担を強いており、アラタは当初はこの力の使用を拒むも、その後、いくつかの経験を経て、オーバーロードの力を受け入れる選択をする。しかし、どうにもこういう力は好きじゃないとミカは感じていた。

 

「うーん、こういうリスクありの力ってあんま好きじゃないなぁ。どうせ使うなら後遺症とかそういうののない方が遠慮なく振り回せるのに」

 

そんな中、新たな仮想国、エゼルダームが誕生、その教師であり、司令官を兼ねた人物、セレディ・クライスラーという少年が現れる。だが、その少年は作中人物からは明らかにはなっていないもののバンデットとして活動していた、アラタ達と交戦した人物、伊丹キョウジをエゼルダームに所属させており、彼の素性を怪しんだ校長が差し向けた監視用のロボット達を次々と停止させていき、追及を避けていく。

 

変化をみせる仮想国家情勢の中で、第1小隊は後継機であるドットブラスライザー、バル・ダイバー、トライヴァインに乗り換えていき、戦果を挙げていく。そんな中、疑惑を向けられていたセレディの授業が始まる。セカンドワールドではあらゆるものが再現されている。だが、そこには足りないものがあると。ヒカルは過去に聞いた話からそれが人の感情なのかと聞くも、それは違うという。

 

『セカンドワールドでシミュレーションできるのは、あくまで兵士の感情だけ。日常を生きている多くの人のそれとは程遠いものです』

「……日常を生きている多くの人……」

 

気付けば、ミカもその言葉を復唱していた。セカンドワールドでの戦いが現実に反映される。だがそれは静かな、平和な戦争だと。そして、その結果に皆が従ったりと都合がよく進んでいるようにも思えた。だが、それはまさに絵空事であり、丁度、セレディが生徒達を殴りつけているように、このウォーゲームに現実を持ち込もうとしているようにも見えた。

 

『兵士たちが戦う後ろには普通の人々の生活があります。銃声に怯え、経済は混乱し、貧困や犯罪に晒される。それが、現実の戦争に巻き込まれた人々の生活です。さらに、戦争状態故の犯罪の多発、歴史認識の違いによる民族レベルの軋轢など、戦争をシミュレーションするなら、これら全てを対象にしなければ意味がありません』

「っ……」

 

言っていることは、一理ある。が、思いっきりセカンドワールドを批判している内容だ。どう受け止めるべきかは別として、こんな授業やってて大丈夫なのかと思わずアラタも訝しんでしまう。最後にセレディは、最も重要な内容として、こう告げる。

 

『戦争は常に一握りの支配者層によって生み出され、操られているのです。支配する者は権力と財力を独占し、常に普通の人に犠牲を強いている。当然この事も、シミュレーションでは考慮されていません。現実を直視しないことは罪です!皆さんは、セカンドワールドを疑わなければなりません!』

 

セカンドワールドの批判自体は、果たしてここでやるべきことなのか。生徒から指摘されるとセレディはそれを肯定したうえで、否定している所にこそ反動となる力が宿ること。自身の願いは世界を一つにまとめることだという。そのために支配者をなくし、格差をなくす必要があるという。同時に、バンデットはテロリストであり、暴力であると。が、否定すべきものであっても、このセカンドワールドに持ち込まれた現実であると。

 

「……」

 

セレディの怪しさを深める結果となったものの、その話自体は色々考える部分があまりに多かった。ジェノックの生徒達も戸惑うばかり。そして、戸惑っていたのはそれを視聴していたミカも同様だ。

 

「……これを伝えたかったってこと?」

 

戦争とは、直接戦う兵士たちだけで完結する話ではない。当然、その背後にはセレディが指摘したように一般人も多くいるわけだ。いかに銃の引き金が軽いこのキヴォトスでも、戦争が起こればその影響はその人たちにも及ぶだろう。

 

「っ……いや、これはただのアニメじゃんね……全く、変な気持ちにさせてくれちゃうよ」

 

どうせアニメらしく、難しいことは言っても肝心な所はなぁなぁにされるのだろう。そう決めつけるように視聴を続ける。バンデットがロシウスの本拠地に現れ、生徒達が次々とロスト。少し前に、バンデットが出現した際には各国家間の作戦を中止し、協力して対応に当たるようにという特例が出されたことを受け、ジェノックも救援に向かうのだが奮戦虚しく本拠地は制圧。が、そこでエゼルダームが本拠地を制圧したというアナウンスが出てくる。それにより、バンデットとエゼルダームが作中の人物達も繋がるようになる。

 

「遂にバレちゃったけど……ここからどうなるんだろ」

 

ロシウスが縮小され、兵力が減少。その結果、ムラクが率いる小隊がジェノックの第6小隊として転属されることになる。エゼルダームとの戦いを乗り越えるため、ムラクの新たな機体、マグナオルタスが誕生する中、遂にセレディの正体が明らかになる。実年齢が90近いと称される謎の少年、その正体はワールドセイバーと呼ばれるテロリスト集団。世界中で爆発事件や誘拐事件を引き起こしている集団であり、セカンドワールドの運営、ひいてはエゼルダームがワールドセイバーの手にあるということの証明でありエゼルダームはロストエリアに向かい、セカンドワールドを、世界を手中に収めようとする。

 

加えてセレディがセカンドワールドの真実を全校生徒に伝えてしまう。自分達が本当の代理戦争をしていたこと、セカンドワールドを制御するため、ジェノックの司令官、玲奈の父を生体コンピューターにしていたこと。それらの情報が明らかとなる中、ワールドセイバーは人々の解放を宣言する。

 

「……まーじ?」

 

セカンドワールドを守るために、ワールドセイバーに世界を好きにさせないために。全仮想国が団結し、エゼルダームを討伐するようにと校長に言われるジェノック。しかし、あんな話を聞いて、何を信じていいのかわからない。だが、ムラクが自分達の判断で生徒だけの判断でエゼルダームを倒そうという。その言葉に吹っ切れたジェノックの面々は、自分達を利用してきた教師達に従わない道を取り、全ての仮想国に声をかけ、遂に世界連合を作り上げる。

 

『世界を守るために、仮想国が一つになった……!』

『世界連合の結成ね……!』

「……こうも、うまくなんていかないよね。トリニティですらバラバラなのに……」

 

世界連合は準備を終え、エゼルダームの空中母艦を叩く。激闘の末、世界連合は遂にエゼルダームを撃破。ワールドセイバーのメンバーも拘束され、遂に事件は解決……したかと思われたその瞬間。ワールドセイバーの兵士たちが次々と現れ、神威島を占拠してしまう。

 

『これから始まるんだ。本当の戦争が……!』

 

制圧された学園の新たな学園長になったセレディは、過ちを正すと言い、セカンドワールドの二十四時間稼働、ウォータイムも時間無制限となり、セレディの機嫌次第でいつでも、戦争を開始することができるようにしてしまう。それは、生体コンピューターになっている人物の命をも脅かす危険な行為でもあった。

 

そしてアラタは、セレディの本当の思想を知ることになる。支配者を打倒し、望む平和な世界を作るには、支配者を越えた存在になることだと。オーバーロードを持つアラタを選ばれた者だと言って勧誘するセレディ。それを真っ向から否定したアラタは、仲間たちと共に、世界連合と共に再びエゼルダームもといワールドセイバーと戦う。

 

世界中に学園の、ウォータイムの光景が中継される中、戦場となったロストエリアへと向かう生徒達。ここまで戦い抜いてきた世界連合は、本物のテロリスト相手でも引けを取らない。むしろLBXバトルであればこちらに分があると言わんばかりに、ロストもせずに有利に戦いを進めてみせる。だが、ワールドセイバーの用意したラージドロイドという強力な兵器によって遂にリクヤ率いる第3小隊はロストしてしまう。その直後だった。彼らのいるコントロールポッドを謎のガスが満たし、三人は意識を失ってしまう。

 

「……え?」

『あれは毒ガスです。ロストするとコントロールポッド内の生徒は、ガスを浴びて死ぬことになるのです』

 

子供仕掛けの戦争に用意したリアリズムだと平然と言い放つセレディ。しかし、機体の死が本物の死に変わったことで、そこにいた生徒達は阿鼻叫喚の渦に巻き込まれる。

 

『死と隣り合わせこそ本当の戦場だ。君達が今までやっていたことは単なる遊び、よくわかっただろ?』

『……死んでるんだ。人が死んでるんだぞ……!』

『それが戦争だ』

 

友達の死に怒り、オーバーロードを発動させて攻勢に出るアラタ。だが、その前にセレディの本当のLBX、ディ・エゼルディが現れたところで一旦話が終わり、エンディングへと入っていく。

 

「……いや、アニメだから、アニメだから……」

 

頭を振って、落ち着こうとするミカ。銃で撃たれたり、爆発に巻き込まれたり。これなら例外こそいつつも、基本的にはそれが死因になる方が稀なレベルであり、ある意味フィクションに近いと言い訳もできたかもしれない。しかし、毒ガスは別だ。それは普通にキヴォトスの住人でも通用する。本来、毒ガスであれば可能な限り穏便に死を演出、描けるというその手法は、最悪の形で噛み合いを見せていた。

 

「……あ……」

 

次の話が始まり、ディ・エゼルディはソードビットを飛ばし、次々とLBXを破壊していく。LBXが破壊されれば、当然犠牲者も増え、毒ガスで死んでいく。知人が、仲間が、次々と、死亡していく中、その悲鳴が、絶叫が飛び交う。本物の虐殺は、世界連合の心を折るには十分すぎるもの。それでもアラタはドットブラスライザーを駆り、ディ・エゼルディに挑むが全く歯が立たない。そんな中、ウォータイムが終了。この虐殺を世界中に放送したセレディは、問いかける。戦争とは何か?何の為に起こるのか?と。

 

「……戦争って、本当にこんな感じなの?」

 

思わず、ぽつりと呟くミカ。コントロールポッドに乗らないという選択肢も、島を脱出することも生徒達は考えるが、監視のせいで不可能だった。で、あれば、この戦いを終わらせるしかない。オーバーロードの多用と、生死を賭けた戦いにより、心身共に限界を迎えていたアラタは、それでも戦うことを決意する。もしかしたら死亡するかもしれない。最早そんなリスクなど言ってはいられないというように。

 

そんな中、ロストエリアで生体コンピューターとなっている父の下に向かうため、セカンドワールドに侵入した玲奈を攻撃するため、ウォータイムが再開される。だが、戦闘の中で生徒達は、一人でも死者を減らすため、恐怖を乗り越え、本物の兵士となって戦う。そして勝負は最終局面を迎える。生体コンピューターとなっていた玲奈の父が解放されたことでセカンドワールドが崩壊。閉じていたコントロールポッドが開かれたことで、生徒達は、本来毒ガスを仕込んでいた人物がワールドセイバーに反抗し、睡眠ガスにすり替えたことで眠っていただけで死んでいないことが判明する。

 

「……」

 

誰も死んでいないことにほっとするミカ。正直ご都合主義でも何でもいいからこうなってくれて本当に良かったと心底思っていた。だが、まだセレディは健在のまま。ディ・エゼルディとドットブラスライザーの最終決戦が始まり、その圧倒的な性能差に押されるも、特別な力であるオーバーロードよりも仲間との絆を選んだアラタの救援に駆け付けた仲間たちと共に遂にセレディを打ち破ってみせるのだった。

 

そして、戦いに敗れたセレディは、老人の姿に戻っていた。彼は人工臓器によって若さを維持しており、世界が一つになった姿を、穏やかな海を見たかったと、憑き物が取れたように語る。その言葉を聞いたアラタは、気持ちはわかるとしつつも、方法が間違っていたと断じるのだった。

 

「……これで本当に終わり、かぁ」

 

ワールドセイバーは逮捕され、怪我人も島の外へ移送される中、正しい形で、LBXプレイヤーとして上位を目指す本当の学校として神威大門統合学園を、生徒と教師が手を合わせて作り直していくことが決まる。生徒達もまた、島に残る者と、離れる者で別れることになる。その中には、アラタもいた。敵として戦ったセレディ。でも、彼の伝えた言葉は、アラタに影響を与えていた。新たな未来のため、世界を巡ることに決めたアラタの、ダンボール戦機WARSの物語はここで幕を下ろすのだった。

 

「……よかったな……正直、途中でなんてものを見せてくれたんだって思ったけど……でも。やっぱり、そういうことになるんだよね」

 

気付けばとっくに日付が変わっており、うっすら朝が見えていた。それすら気にならない程に感慨深く呟くミカ。達成感や充実感、そして感動が強かったが、それよりも、これを最後まで見たことで、ある仮説に辿り着いていた。これは、自分の目的や思考などを知ったうえで渡されていると。そして、その正体を分析する最大の要因は一つ。サンクトゥス派の人間という、ある意味名指しのヒント。

 

「まさ、か……セイアちゃんが、生き……てる……?いや、だとしたら……ミネちゃんも同じ時期から行方不明になってるのって……?いや待って?じゃあこれどこから手に入れて渡してきたの?というか誰から先生はもらったの?というか先生はセイアちゃんが生きてるって知ってるって事?え?私がセイアちゃんがヘイローを壊されたって言ってた時完全に驚いてたから……んん???」

 

セイアが生きているという事実を知ったのは良いが、新たな謎が色々浮かび上がり、ミカは困惑したように頭を抱えるのだった。

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