転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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夢見モルフォと遊戯王VRAINS

 

「……ねえ、モモイ」

『ご、ごめん……!』

 

窓の外に広がる夜の景色を見ながら、モルフォはスマホ越しに呆れた声を上げる。その電話の先からはモモイの申し訳ない声が聞こえていた。

 

『持ち帰るの、間違えた……!』

「……まあいいけど……モモイが持ってるならまだ……」

 

モルフォの目の前にあったのは、switch……ではなくゲームガールズアドバンスSP。switchに酷似したゲーム機であった。今日、モモイと部屋で遊んでいたのだが、帰る時に自分のゲーム機ではなくドックから外していたswitchを間違って持ち帰ってしまったらしい。とはいえ、所在が分かっているのなら不幸中の幸いである。

 

『明日持ってくから!』

「いや、明日大雨っぽいしいいよ……それに丁度明日はバイトも休みだし、部屋でゆっくりしてるから」

『うぅ……後で何か奢るから……!』

「オッケー」

 

モモイとの電話を終えた後、ゲームガールズを見る。中のデータを抹消された後も何だかんだで持っていたはずなのだが、それでも扱いに関してはもう使えない、G.Bibleしか入っていないというのもあってか雑に扱われることも多くなっている。だからといってこれは無いだろうと、床の上に置かれたままのゲーム機をタオルで拭いて汚れを落とし、充電を始めると、適当なドックに立てかける。

 

「自分で持っておくなら少しは掃除とかしてあげなよ……もうゲームできないからって。大事にしてるんだかしてないんだか。このゲーム機だって可哀想じゃない」

 

呆れた様子で、テレビ画面を画面に反射するゲームガールズを見ながら呟くと、これからどうしようかと考える。ふと壁を見ると、ポスターが目に入る。遊戯王VRAINS。遊戯王OCGを題材としたアニメの六シリーズ目であり、リンク召喚と呼ばれる新たな召喚法をメインとした、複雑なソリティアを中心としたデュエル展開を見せるアニメだ。話もまた、人とAIにまつわる重めのストーリーが展開されており、遊戯王シリーズはどれも好きではあるがVRAINSも好きな作品の一つだ。

 

ちなみに先生に過去にこれを渡さなかった最大の理由は、デュエル内容が複雑すぎて初心者に見せても確実にわからないからである。

 

「よーし、一人だし見ていこうっと。とりあえず……見たい話から見ていこうか」

 

遊戯王VRAINSは120話あり、今日明日ではとても見れない。だが、その話の内容は大体知っているため、あくまで主役である、電脳世界でPlaymakerとして戦う藤木遊作とそのパートナーのAI、Aiの話に主軸をおいてそれ以外の話は飛ばし飛ばしにしながら見ていくことにする。

 

「そういえば舞台はDen Cityだっけ」

 

Den Cityというネットワークが発達した都市に住む遊作と草薙翔一。彼らは、SOLテクノロジー社が管理するVR空間LINK VRAINSで活動するハノイの騎士を打倒するために戦っていた。PlaymakerとなってVR空間で戦う中、SOLテクノロジー社及びハノイの騎士が、サイバース世界と呼ばれる世界を隠し、逃亡している謎のAIを探していることに気付き、それを捕獲する。後にAiと名付けられるそのAIを人質にする形でハノイの騎士とデュエルを開始。その中で、ストーム・アクセスと呼ばれるスキルによって遊作はエースモンスターであるデコード・トーカーを手に入れる。

 

「やっぱりコード・トーカー系は皆格好いいなあ」

 

紺色を基調としたアーマーに身を包み、大剣を構えるデコード・トーカー。コード・トーカー系はどれも格好良くて好きなモンスターである。

 

「えーと、ここから暫くはカリスマデュエリストとのデュエルが続くから……」

 

その後、Aiを奪い取るため、SOLテクノロジー社からの刺客としてカリスマデュエリストであるGo鬼塚やブルーエンジェルとのデュエルが始まるのだが、今回は惜しみながらもそこは飛ばして次の話に。ハノイの騎士のウイルスによってブルーエンジェルが昏睡状態にされてしまい、それを除去するプログラムと、イグニスと呼ばれたAiを賭けた、ハノイの騎士のリーダー、リボルバーとPlaymakerのデュエルが始まる。スピードデュエルと呼ばれるモンスターゾーン、魔法&罠ゾーンが三つずつ、手札四枚、メインフェイズ2が存在せず、スキルが使えるなどの特殊なルールが存在するデュエルで引き分けとなった二人は、マスターデュエルと呼ばれる、デュエリストたちにとっては馴れ親しんだルールによるデュエルを開始する。

 

「やっぱ殺意やばいよなぁこの効果」

 

天火の牢獄と呼ばれる、リボルバーが使用するサイバース族のメタカードによって、AiもまたPlaymakerの下から消えてしまう。そんな中、リボルバーからイグニスはただのAiではない。生命と呼ぶに決定的なもの、意思を持つそのAiを、神話の火に準えてイグニスと名付けられたのだと告げられる。イグニスはネットワークの支配を目論んでおり、それを止めるためにイグニスの抹殺をしようとしているのだと。そして遂に大型リンクモンスターであるリンク4のヴァレルロード・ドラゴンをリンク召喚。その攻撃によってPlaymakerは大きなダメージを負うのだが、薄れゆく意識の中で過去を思い出す。

 

施設のような場所でデュエルで敗北した記憶。そこで、声が幼い遊作にかけられる。三つの事だけを考えることで生きられるという、救いの声。それを思い出した遊作は、このデュエルに勝たなければならない三つの理由を語る。あの時の記憶を取り戻すこと、その時の真相を突き止め、自分の時間を全て繋げること、そして、自分に考えることを教えてくれた人物を見つけ、まだ囚われているなら助け出すこと。再び立ち上がり、Aiを自身の能力、リンクセンスを使って語り掛け、天火の牢獄の強力なロック効果を突破しながらファイアウォール・ドラゴンというリンク4のモンスターを呼び出す。

 

「来たなぁ、ファイアウォール・ドラゴン……ファイアウォール・ドラゴン……」

 

Aiを復活させ反撃するも、リボルバーもまた主力であるヴァレット達を呼び出していく。その中でPlaymakerが口にした、十年前の事件の真実を突き止めること、失った時間を取り戻すこと、自分を助けてくれた人物を助けるという発言を聞いたリボルバーは、彼の正体に気付くも、デュエルはPlaymakerが勝利する。リボルバーは撤退し、ウイルスは除去されたことでブルーエンジェルは目覚める。そしてAiはリボルバーの一部のデータを取り込み、プログラムを取り戻したことで本来の姿である人型の姿を取り戻すのだった。

 

「……次にファイアウォール・ドラゴンが出たのいつだったっけな……」

 

話は進み、事件の真相を知るため、SOLテクノロジー社へ侵入するPlaymaker。そこでSOLテクノロジー社の財前晃とのデュエルが始まる。リバースという裏から表になることで効果を発動する能力を持つティンダングルを前にファイアウォールを呼び出すPlaymaker。そして財前は、その場に現れたブルーエンジェルに語る。十年前に何が起こったのかを。

 

六人の子供がある組織に誘拐されたロスト事件、Playmakerこそがその被害者であると。その先の話はPlaymakerが引き継ぐ。一人ずつ、別の場所に監禁された自分達は、何もないその部屋でVR装置を使ってひたすらデュエルを強要されていた。負ければ電撃によるダメージを受けるその場所にあったのは食事と睡眠、デュエルだけ。やがて、生活すらもデュエルに管理されるようになり、負ければ満足に食事も得られない。いつここを出られるか、いつまで生きれるのか、何もわからない不安の中でデュエルを続けていたPlaymaker達は、半年後、突然救出された。

 

犯人はわからず、事件自体が隠蔽された。だが、Playmakerは俺達はまだ何も救われていないと叫ぶ。事件が何の目的で行われたのか知りたいと。被害者と、その家族の中には事件のショックで立ち直れない者もいると。まだ十年前の事件は何一つ終わってないと。

 

事件の後、心の傷を癒すため、何年も治療し、心の傷を癒そうとしても、忌まわしい記憶は忘れることができず、自分の血肉になっていたと。それを自覚した時に覚悟を決めた。そして調べた末にロスト事件がハノイプロジェクトと呼ばれていたことを知る。

 

「やっぱりロスト事件やっばいよなぁ……しかもこれでイグニスが生まれるんだから中々……ん?」

 

エンディングに入り、何気なく視線をゲーム機に向けると、調子が悪そうに画面が点滅していた。充電器の差し方がまずかったかと抜き差ししてから次の話を見る。ティンダングル・アキュート・ケルベロスの効果を攻略したファイアウォールがトドメを刺し、財前は敗北すると、財前達に光のある場所にいてくれとPlaymakerは言い、去っていく。そして、遊作達は、ロスト事件の首謀者が鴻上博士であり、元SOLテクノロジー社の研究者であること、七年前に死亡していることを知る。が、その鴻上博士は電脳空間で生きており、新たな戦いが始まろうとしていた。

 

「……思ったより一年目ってファイアウォールの出番あるな」

 

そして、ハノイの塔と呼ばれる兵器が出現。幾度かのデュエルを経てリボルバーとの二度目のスピードデュエルに挑む。その最中、鴻上博士が現れ、リボルバーを息子と呼ぶと、本当は巻き込みたくなかった、しかしお前を巻き込むしか世界を救う方法はなかったと語る。そして、最期の力を与え、息を引き取ると、自分の代わりに人類を守れと言い残す。そして、二人のデュエルは引き分けとなる。

 

その後、現実空間でリボルバーこと鴻上了見と初めて出会う遊作に、了見は真実を話す。来るべき未来のために人類の後継種を作ろうとしてイグニスは生まれたと。デュエルこそが最適だという結論に達した鴻上博士は、ロスト事件を引き起こし、遊作達六人を監禁した。だが、それに耐えきれなかった了見は匿名で通報、その結果SOLテクノロジー社に鴻上博士は監禁され、三年後に電脳ウイルスを仕込まれ昏睡状態で戻ってくることになった。

 

だが、鴻上博士はイグニスを作り上げていた。六体のイグニスを作り上げ、イグニスたちはサイバース世界を作り上げた。が、イグニスの成長は予想を超えており、人類の排除を目論むと語る。真実を知った遊作は十年前に縛られる必要はないと了見を説得しようとするが、譲らない了見を前に、二人は最後のデュエルを開始する。死闘の末、遂にリボルバーは倒れ、ハノイの塔が消滅、世界は救われるのだった。

 

「ふぅ……これでハノイ編も終わりか」

 

戦いが終わり、Aiもサイバース世界へと帰っていく。了見も姿を消し、遊作はやっと区切りがついたことに、どこか感慨深く、星空を見上げる。これで、ハノイの騎士との戦いが終わりを告げ、リンク召喚以外の召喚法も登場するイグニス編に入っていく。

 

ロスト事件の被害者であり、遊作の協力者であった翔一の弟である仁が謎の人物に襲われてしまう。その人物を、合流したAiと共に追いかけデュエルを行う。アップデートしてきたというAiから強化カードを受け取ってデッキを強化し、その人物を追い詰める。

 

「出たなボーマン……そして、裁きの矢はいつになったら出るのか……いや無理だろうなぁ」

 

だが、謎の人物、ボーマンの正体が明らかになる。が、記憶を失っており、何故戦っているのかも、何をしたのかもわかっていない。そこに、弟のハルと名乗る人物から、記憶を取り戻すために戦っているのだと言われる。このデュエルには自分達の記憶がかかっていると言い、リンクマジック「裁きの矢」を用いた戦術でPlaymakerを追い詰めるも、スキルで入手したシューティング・コード・トーカーを使い、ボーマンを撃破する。そしてAiがボーマンのデータを取り込もうとするのだが、対イグニス用のプログラムによって失敗してしまう。

 

「ソウルバーナーも良いキャラだけども……ちょっとデュエルは今回は」

 

そして、Soulburnerと名乗る、炎のイグニス、不霊夢と共に戦うデュエリストが出現。その本名は穂村尊と言い、彼もまたロスト事件の被害者であった。彼らと出会った遊作達は、Aiがサイバース世界を隠した後、様々な議論を行ったことを知る。どのような道を模索するべきか議論が続く中、新たな敵が出現。イグニスの弱点を知っているその敵はサイバース世界を破壊してしまったという。命からがら脱出したイグニス達を探す不霊夢は、遊作達が戦った相手と、サイバース世界を襲った存在は、同じリンクマジックを使用していたため、繋がりがあると言う。

 

「……この先、だよなぁ。とはいえここの展開は時間ないから今回飛ばしちゃうんだけど」

 

バウンティハンターとなったGo鬼塚達とのデュエルを制し、PlaymakerとSoulburnerは別のワールドへと辿り着く。そこで風のイグニス、ウィンディから、他のイグニスが来るのと、敵をおびき寄せて戦うためにこのワールドを作った話を聞く。彼の協力を得てボーマンの下に辿り着いたPlaymakerは二度目のボーマンとのデュエルを行い、以前より強敵になった彼に勝利するも、情報は得られず逃げられてしまう。

 

「ここら辺はボーマン教育期間……AIの教育とはいえ過酷な事するよなぁ……それも全部、あいつのせいなんだけど……」

 

話が進み、地のイグニス、アースとPlaymakerは出会い、デュエルすることになる。水のイグニス、アクアがサイバース世界の分裂を示唆していたことを告げたアースは人間を見極めるため、Gゴーレムを使い、堅牢な盤面を構築していくが、Playmakerを追い詰めるも、サイバース・クロック・ドラゴンを融合召喚しアースに勝利する。しかしボーマンについて知らないという情報を伝えるといい、ボーマンの捜索は振り出しに戻ってしまうのだった。

 

「クリスタルハートはいいカードなんだよね……トランスコード・トーカーと組ませるといい感じで」

 

その後、突然姿を消したAiはウィンディと光のイグニス、ライトニングと再会する。サイバース世界の再建を目指す二人は、人の脅威から完全に隔離された安全な場所を作り、人間を支配下に置くと言い出す。人間たちはハードの生産の管理のために暫く必要だが、いずれ不要となれば、人間次第とはいえ抹殺すら視野に入れると。ライトニング、ウィンディは、人類との共存を考えるAi、不霊夢とは異なり、人類を支配し、いずれ滅亡させるという正反対の立場を取っていた。

 

そして二人は、その場に駆け付けたPlaymakerとAiを殺そうとする。が、リボルバーが二人の窮地を救うと、ウィンディとデュエルを開始。シンクロ召喚によって呼び出したヴァレルロード・S・ドラゴンで勝利を収めると、ウィンディを抹殺しようとする。

 

ウイルスに侵されたウィンディをライトニングが辛うじて救うが、ハノイの騎士の襲撃を受けたことで宣戦布告。奪った草薙仁の意識データこそが自身のパートナーであることを明かしたうえで、自分がサイバース世界を滅ぼした上にボーマンらは自分達の仲間だと明かし、姿を消す。

 

「……この後だっけ、アースのあれは……」

 

この話は見ておこうと考え、再生する。幽閉されていたアクアを救出したアース。そこでアースはサイバース世界が滅んだ真相を知るのだが、アースはイグニスを狙うGo鬼塚に確保されてしまう。SOLテクノロジーに囚われたアースは、彼らの手によって解体されてしまう。

 

『やめてくれ、私には意志がある!私は、生きているのだ!記憶が、消える、ああ、君の名前も、君の顔も、思い出せない……』

 

アースとして生きていたその全てが、バラバラになって消えていく。その悲痛な叫びが届くわけもなく、消滅してしまう。そのデータはGo鬼塚に取り込まれる形で再利用されてしまい、変わり果てたGo鬼塚を倒しても、アースはもう戻らなかった。

 

そして、遂に敵の居城が出現。リボルバー達と共闘することになった遊作達はライトニング達との決戦を開始する。互いに勝ち、負け、消滅していく中、最後に残ったのは、ボーマン、ライトニング、Playmaker、Ai、リボルバーだけだった。

 

(いややっぱ当時も思ったけどここの勝ち星実質ボーマンだけだよね!?)

 

そしてリボルバーはライトニングとのデュエルで、ライトニングが行ったシミュレーションを見たと発言する。そこではイグニスが人間と関わった場合、ライトニングが関わった場合だけ、全ての未来において人間もイグニスも滅亡の未来を辿ると。存在するだけで人類を滅亡させる最悪のAI。それがライトニングの罪であり、諸悪の根源であると明らかにする。

 

そのコンプレックスを解消するために、ボーマンを生み出したとライトニングは明かす。サイバース世界を我儘で壊したとAiが糾弾するも、開き直るライトニングは最後には皆一つに統合されて生まれ変わると言いだす。

 

「いややっぱエクストラライフはなぁ……ほんまライトニングは」

 

デュエル自体はリボルバーの勝利であったものの、ここでライトニングは仁の意識を人質に取って攻撃を止めさせ、さらにはライフが0になった際に人質の仁からライフを得るという卑怯な手段で引き分けだった場面を勝利する。だが満身創痍の彼をボーマンは吸収、Ai以外の全てのイグニスを取り込んだボーマンとの最終決戦が開始される。

 

「……遂に始まっちゃったかぁ……このデュエルが」

 

儀式、融合、シンクロ、エクシーズ、リンク召喚を駆使するも、追い詰められていくPlaymaker。ボーマンはパーフェクトロン・ハイドライブ・ドラゴンという最強の切り札でデュエルを進める中、Aiはボーマンの中にいる仲間たちを助けようとする。だが、もう仲間たちはボーマンと完全に融合しており、助けられなくなっていた。それでも必死に助けようとするAiに、アクアと不霊夢が五体のイグニスの力を抜き出してAiに託す。その力は、新たなる切り札、ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルードを作り出す。

 

儀式、融合、シンクロ、エクシーズ、四つの力を得たダークフルードの力でボーマンを倒したことでイグニス達との戦いは、終幕を迎える。仲間たちの意識は戻っていくが、ボーマンは死に際にAiに自らイグニスの未来を閉ざしたのだと言い、完全に融合したイグニス達と共に消滅。戦いが終わった後、Aiも姿を消してしまうのだった。

 

「……ふぅ、こっからか」

 

イグニスの結末はここからが本番だ。人間態を得たAiは、SOLテクノロジー社を襲撃、人類への反旗を翻す。イグニスの力で進化したAi達を前に、仲間たちは負けていき、意識を奪われてしまう。そしてAiに呼ばれ、遊作は彼の下へ赴く。そこで自身のコピーを作り始めていたAi。彼らにはAiをベースとした意思が組み込まれており、経験によってちょっとずつ変化。好き勝手に自分を再構築し、良いやつになるかもしれないし、悪いやつになるかもしれない。結束するかもしれないし仲間割れするかもしれないと語る。

 

「……イグニスターとサイバースデッキか」

 

二人は最初で最後のデュエルを開始する。@イグニスターと呼ばれるカテゴリを操るAiにこれまで手に入れた力で渡り合う遊作。その中で、Aiが遊作を戦いに誘導していたことや、自身の悲しみや苦しみを語っていく。そして、このデュエルにAiが勝ち、コピーが目覚めた場合、Aiの意思は分割され、バラバラになって消滅する。遊作が勝てば倒された仲間たちは目覚めるが代わりに自分は死ぬと。それを聞き、遊作は死に様を委ねるのかと問いかける。しかしAiはのらりくらりと躱していく。

 

Aiもまた、合計五つの召喚法を駆使する。各属性のモンスター達にイグニス達の姿を重ね、リンク6のジ・アライバル・サイバース@イグニスターが降臨。無敵とも言うべき力を前に追い詰められていく遊作に、Aiは隠してきた真実を話す。ボーマンの発言を確かめて知ったのは、イグニスでAiだけが生き残った場合の未来。それは、Aiだけが生き残った場合、Aiの存在が人類を滅ぼすという衝撃的な未来だった。防ぐために何としても、仲間たちを助けなければならなかったのだが、その方法はなかった。だからこそ、Aiもまた、人類を、世界を滅ぼすAiとして確立されてしまったのだと。

 

『よくできたシミュレーションは、まるでリアルな人生を生きるようなものさ……』

 

何千、何万と、シミュレーションの世界を生き抜いてきたAi。人間はただのデータとして処理できるそれは、同じデータであるイグニスにとってはもう一つの現実。仲間を失うということは、心が壊れることだと知ってしまった、タガが外れてしまったのだと語る。既に自分は、人間からその気持ちが離れていることを悟ったAiは、自分がいずれボーマン達のようになりかねないと危惧し、そうなる前に自分を消し去りたいと言う。もう、後戻りはしないと宣言するAiに、遊作もまたダークフルードを呼び出し、アライバルに対峙する。

 

(やっぱAi周りは悲しいよなぁ……)

 

Aiは遊作に別の選択肢を提示する。遊作の意思をデータ化して自らに融合する。寿命も関係ない、二人ならボーマンたちとは違う未来が切り拓けると。だが、遊作は命は、意思は一つしかない。融合したら俺でもお前でもないと語る。

 

『Ai、生きるということに答えはない。誰もが苦しくなると、楽になるための答えを求める。簡潔で、絶対的な答えを。だが、もし答えがあるとしたら、「答えはない」だ。絶対的なものなど、この世界にはない。そういうものがあったと思い込んでも、それは一時的な慰めにすぎないんだ』

『じゃあ、絶対的なものがないなら何が残るんだ?』

『繋がりだ。誰かと誰かの繋がり、何かと何かとの繋がり、あるのはそれだけだ。それも時間と共に変わっていく……何かがきっかけで大きく変化することもある。繋がりが切れることもある……だが、新しい繋がりができることもある。生きていくというのは、その繋がりの連続だ。それが命なんだ』

 

自身の死生観を告げ、生きることに答えは無いと諭すが、その答えを探すことに疲弊していたAiは、勝負を再開。遊作はアクセス・コード・トーカーを呼び出し、アライバルとの相討ちに持ち込む。その後にデコード・トーカーと、ダークナイト@イグニスター。鏡映しのような二体のモンスターが相対する中、これまでの戦いを思い出したAiは、自分はいい相棒だったかと問いかける。遊作が、最高の相棒だったと答えると、Aiは笑みを浮かべ、最後の攻撃を宣言。そこで速攻魔法、Ai打ちを発動するも、その発動を逆手に取られて敗北する。

 

そしてAiが敗北し、倒れた彼は遊作の腕の中で語る。自らの存在によって招かれる絶望の未来。シミュレーションの未来で、Aiは見てしまった。滅んだ都市の中で、自分を守ろうとした遊作が巻き込まれ死亡する未来を。それを選べるわけがなかったと言い、遊作が生きることのできる未来のため、Aiは消滅を選んだと。だが、消滅する間際になって、怖くなり、いずれ皆俺の事は忘れてしまうんだなと呟くAi。だがここで気付く。

 

『そうか……なるほどな。繋がっていれば、皆から忘れられないのか……』

 

最後に問いかける。Aiという名前に意味があるとしたらそれは何か。それを聞かれた遊作は答える。「Aiは……人を愛するのAiだ」と。それを聞き、愛してたぜ遊作……と最期の言葉を告げ、完全に消滅。現実空間に戻った遊作は、地面に倒れるコピー達の中に囲まれる中、Aiの亡骸を抱え、涙を流すのだった。

 

そして三か月後。日常が戻る中、遊作の姿は町になかった。だが、LINK VRAINSの奥に彼の姿があった。どこかへ向かう彼の姿。そして、どこかで目覚めたかのような、Aiの目玉の姿と共に、遊戯王VARINSの物語は幕を下ろす。

 

「……いやぁ、やっぱ重いね」

 

飛ばし飛ばしでもこの満足感はやはり遊戯王シリーズの中でもトップクラスに重いだけの事はあるだろう。しかし、その分の満足感もよく、今日は良い感じに眠れそうだなと時計を確認すると、既に遅い時間になっていた。次はちゃんと全部の話を観たいものだ。

 

「やっば、もう寝よう」

 

慌てて寝る準備をして電気を消してベッドにもぐりこむ。その間、まるでバグを引き起こしたかのように砂嵐を表示させていたモモイのゲーム機の画面に、モルフォが気付くことは最後までなかったのだった。

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