転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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Divi:Sionと夢見モルフォ達

「……ん?」

 

C&Cにエンジニア部、ヴェリタス諸共まとめて、今回はちょっとやばいやつだから迂闊に近づくなと説教を喰らったゲーム開発部が解放されたのは、帰宅も躊躇される夜も少し遅い時間だった。詳しいことは明日、ウタハとチヒロが来て調べてから教えてやるとネルに言われて解放され、ここまで来たら部室で寝ればいいやと考えて寝ていたのだが。もぞもぞと何かが動く様子にモルフォは目を覚ましてしまう。

 

(またモモイか)

 

寝相の悪いモモイが寝ている自分に腕を乗せてきたようだ。その衝撃で意識が覚醒してしまったらしい。モモイを引き剥がし、もう一度寝ようとしたその時だった。部屋の中で誰かが起き上がっていることに気付く。

 

(……アリス?)

 

部屋は暗く、うっすら目が慣れた程度ではあるが、髪の長さからアリスだと気付く。だがアリスは部屋の外に出て行ってしまう。

 

「……どうしたんだろ」

 

こんな時間にわざわざ部室の外に行く用事があるとは思えない。気になったモルフォは、一旦皆を起こそうとするが、皆ぐっすり眠ったままだ。わざわざ起こすのも悪いし、外に出て行ったとしても大した用事もないような気がしたので自分だけでアリスを追いかけようとする。

 

「……ここ、タワーの外だけど、いや本当にどこに行こうとしているんだろ」

 

アリスを追いかけると、何故かミレニアムタワーの外にまで出てきてしまった。まさかこのまま学園の外に出ようとしているのだろうか。だとしたらさすがにまずいだろう。こんな時間にアリス一人で外に出すのは心配だ。

 

「アリス、どこへ行こうと―――!?」

 

アリスを引き留めようとした、その時だった。突然エネルギー弾が飛んでくる。それをシールドを展開して受け止めると、着弾したエネルギー弾が爆発し、その衝撃が盾越しに腕を襲う。

 

「……あれって、タワーの中にあった」

 

シールド越しに攻撃してきたのは何者かを確かめる。そこにいたのは、丁度皆と一緒に目撃した謎の球体形のロボット達であった。足や触手のコードを伸ばし動くそのロボット達は、一体や二体ではなく、一部隊とも言うべき数が現れていた。

 

「動いてる!?でも、何で……アリス!?」

 

何でミレニアムの中にこの謎のロボット達がいるのかはわからない。だがまずは孤立しているアリスを助けなければ。そう思い、アリスに向かって声を張り上げる。しかし、その声に立ち止まったアリスがモルフォに振り向くと。

 

「……アリス!?」

 

その瞳は赤くなっており、表情も、これまでアリスが見せたことのない冷たい表情を浮かべていた。アリスの身に起こった変化を目の当たりにし、呆然となってしまう。直後、

 

「モルフォ!!」

 

モルフォの傍に降り立ったトキが彼女を抱えて飛び出す。それによってロボット達の攻撃を回避し、ロボット達が放ったエネルギー弾が地面を抉っていく。

 

「と、トキ!?」

「何をやっているんですか!奴らが……」

「待って、アリスが―――」

 

トキに抱えられながら、アリスに視線を向ける。が、既にアリスは数体のロボット達を伴って、遠くまで移動してしまっていた。完全にアリスは夜の闇に消えてしまい、アリスへ続く道には、先ほどよりも数を増したロボット達が、外部から侵入してきていた。

 

「……まずは奴らを破壊してからです」

「……わかった。でも、この数は……一旦タワーの中に入ろう」

 

モルフォの提案に短く頷くと、エネルギー弾が飛び交う中、二人はそれを避けながらタワーの中へと転がり込む。そして、モルフォは非常ベルのボタンを押して鳴り響かせる。ミレニアムで爆発事故やちょっとした火災は日常茶飯事ではあるため、ちゃんとこういったものも用意はされているのだ。使う機会、使われる機会がほとんどなかったためにちゃんと使えるかどうかは不安であったが、ちゃんと非常ベルはその音を響かせてくれたようだ。

 

「これでよし……こんのぉ!」

 

トキがアサルトライフルで一体一体、確実に敵を仕留めていく中、シールドを構えて前線に立つ。次々と侵入してくるロボット達を吹き飛ばして別の機体にぶつけ、どうにか進行を食い止めようとする。だが、トキが手練れであってもこの防衛戦はたった二人では分が悪い。

 

「っ……」

 

トキがリロードに入ったその一瞬。その一瞬を突き、ロボット達が次々とタワーの内部になだれ込んでくる。

 

「しまっ……!」

「間に合わない……!」

 

瞬時にリロードを終わらせるが、時すでに遅し。圧倒的物量に防衛線は突破されそうになった、その時だった。タワーの中からAMASが次々と現れてロボット達に体当たり、そのまま質量を活かしてタワーの外へと吹き飛ばしていく。

 

「これは……」

「リオ様……!」

「モルフォー!!」

 

鳴り響く非常ベルと銃撃戦の音を聞きつけ、ヴェリタスやエンジニア部が駆けつけてくる。

 

「コタマ、ヒビキ、マキ!」

「え、こいつら増えてない!?」

「とりあえず、やばそうですね……!」

「……彼女は……まあいいや」

「トキは置いといて!トキ、撃ち漏らしをお願い!」

「わかりました」

 

味方が増え、少しずつだが盛り返してくる。コトリやマキがロボット達を薙ぎ払い、ヒビキが迫撃砲を打ち込み、モルフォが吹き飛ばす。撃ち漏らしをトキが潰していく中、上の階のガラスが割れる音と共に、タワーの外に四つの影が落下してくる。

 

「あれは……!」

「C&Cです!」

 

敵のど真ん中に飛び込んだネル達が、その圧倒的な強さでロボット達を蹴散らす。弾丸を叩き込み、次々とロボット達が爆発していく中、タワーへの侵入に注力していたロボット達の陣形にも隙が生じてくる。

 

「……これで終わりです」

 

人数が増えたおかげで、形勢は逆転。外に集まっていた主力をネル達が仕留めたことでモルフォ達も無事、ロボットを一掃することができたのだが。

 

「……ふぅ、なんとかなった?」

「皆、ありがとう。助かったよ……マキ、コタマ先輩達は?」

「あれがどこから来たのかなどを調べてるって……」

 

コタマとハレがここにきていないのは、あの謎のロボット達の侵入ルートを割り出しているからなのだろう。モルフォが奥の通路を見ると、他の学園に残っていた部活動の面々が恐る恐るといった様子で顔を出している光景が見える。と、彼女たちの後ろから血相を変えた様子でモモイ達が走ってくる。

 

「モルフォ!モルフォ!!」

「大変なの!アリスちゃんが!アリスちゃんが!!」

「皆!アリスが……」

 

ゲーム開発部の皆が起きてきてよかった。すぐにアリスのことを伝えなければと、先ほど見たアリスの事をモルフォが伝えようとしたその時だった。モモイがゲーム機をモルフォに見せる。

 

「大変なんだよモルフォ!アリスが……アリスがゲーム機に!!」

「……え!?」

 

モモイが持つゲーム機の画面には、『お願いします!アリスを助けてください!!』と文字が表示されていた。モルフォだけではない、エンジニア部も、マキも、そしてタワーの中に戻ってきたC&Cも、その異様な光景に驚き、唖然となってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間後。セミナー室にはゲーム開発部、ヴェリタス、エンジニア部、C&C、特異現象捜査部の姿があった。謎のロボットの襲撃から一時間の時間が経過してから集められたのは、周辺の警戒や、ヴェリタスの映像などの解析などを行う時間が必要だったこと、そしてトキやモルフォからリオ達セミナーが事前に情報を共有する必要があったからだ。そして、ある程度落ち着いてきたところでやっと、これらの面々が集められたといえる。

 

「……で、だ。色々聞きたいことはあるが……まず、そいつは誰だ?」

 

ロボットやアリスに起こった異変などについて話す前に、ネルがリオの隣にいるトキに目を向ける。トキの服装やモルフォやAMASと共闘していたところなどから、大体察してはいるが、改めてその確認をする。リオも、ネルがその正体に薄々気付いているだろうと言うことを察しながらも、彼女について説明を始める。

 

「彼女は飛鳥馬トキ。C&Cのコールサイン04よ。今回の一件が終わったら改めて紹介する予定だったのだけれど……」

「よろしくお願いします、先輩方」

「初めて聞いた……」

 

ぽつりとモモイが零す。五人目のC&Cの存在など、この場で知っていた人物は限られている。正体に至ってはモルフォとリオ、ヒマリしか知らない有様だ。正直個人的にツッコミたい部分はいくらかあるが、後で紹介する気だとリオが言っているならちゃんとするつもりだったのだろう。こちらは本題ではないのもあって一旦置いて、本題に入ることにする。

 

「……まあそっちはわかった。で?今何が起こってるんだ?」

「ええ……その前に、アリスの様子は?」

「一応急造でしたが……」

『うぅ……アリスの体が奪われてしまいました……!』

 

コタマが、ウタハから渡された端末を取り出す。そこから、音程には少しだけ違和感を感じてしまうもののアリスの声が聞こえてくる。

 

「エンジニア部から端末を提供してもらい、モモイのゲーム機からこちらに移動させました」

「頑丈には作っているから、この中にいる限りアリスについては問題ないはずだ」

「アリスの声については音声ソフトを入れて調整しました……もう少し時間があれば完璧にチューニングできたのですが」

『そこはしょうがないよ。アリスも今は我慢してくれるかな』

『わ、わかりました……』

 

電話越しにチヒロの声が聞こえてくる。彼女もまだ、ミレニアムに戻れてないためこうして電話での参加になっていた。

 

「……いや、あの、そもそもの話、なんでアリスさんがそこにいるんです?」

「……そういえばコユキは知らなかったわね」

「アリスの体はロボットで彼女の意思はAIなのよ」

「初耳なんですが!?」

「そりゃ説明されてねーからな……」

 

ここで、唯一アリスの事を知らなかったコユキに衝撃の事実が告げられる。ゴールデンフリース号の一件の後、ゲーム開発部と交流を持つようになってからは割と大人しくなったこともあり、彼女の悪癖さえなければ目に見える所に置いたほうがいいというユウカの判断もあってセミナーとしての席を復帰させていたのだ。その結果、この事態に巻き込まれたわけだが。

 

「いや、全然そうは見えなかったんですけども」

「でも彼女もれっきとしたミレニアムの生徒ですよ、コユキ」

「それはまぁそうですけど」

「……また脱線してしまったけれど、そろそろいいかしら」

 

ノアに言われ、そしてリオからの発言にコユキも頷く。

 

「今回ミレニアムを襲ってきた謎のロボット達……奴らは不可解な軍隊……Divi:Sionよ」

「Divi:Sionって……」

「廃墟にあった……でも、あれもうなくなったんじゃ」

「Divi:Sionはあれだけじゃなかった。そして、あれはアリスの体を狙っていたのよ」

 

リオの言葉に、コタマが持っている端末に視線が向けられる。

 

「なんでアリスちゃんが狙われるの?」

『……彼女は、名も無き神々の王女と言っていました』

「「っ!!」」

 

アスナの質問にアリスが答える。その言葉を聞いて、リオとヒマリの表情が強張ったのを見て、ネルやウタハが表情を少し険しくする中、アリスの言葉が続けられる。

 

『気付けばアリスは、廃墟でモルフォ達と出会ったあの部屋にいたんです。そこで、彼女に出会いました。彼女は自分を、名も無き神々の王女と名乗り、世界を滅ぼす役目を担う者と言っていました。彼女からアリスはあの部屋から追い出されて……気付いたらモモイのゲーム機に入っていたんです』

「ゲームガールズアドバンスからはアリスのAIのデータとG.Bibleのテキスト以外のデータが完全に消えていました。おそらくですが、あのジャンクデータと思われていたものがアリスの体を奪い取ったAI、名も無き神々の王女であり、これまで時間をかけてジャンクデータから修復してきたと思われます」

「……そして、自身と入れ替わる形でアリスを幽閉した、と……ふぅ。これはどうやら、考察していた内容を根本から覆す事実のようです」

「……考察?」

 

アリスからもたらされた情報とコタマの解析結果を聞いたヒマリが、苦々しい表情を浮かべながら口を開く。

 

「まず前提として、これまで解析されていた結果から、リオと私はアリスの体が名も無き神々の王女のものであると結論を下していました」

「おい」

「ですが、迂闊に伝えれば混乱になると考え、リオと私はこの事を一旦伏せることにし、調査をトキに続けてもらっていました」

 

ネルのツッコミには反応せず、トキを含めた三人でこの件に当たっていたと語るヒマリ。トキが裏で色々動いていたのはこれだったのかとモルフォも納得しながらヒマリの次の言葉を待つ。

 

「しかしこの時、リオと私はアリスの体と意思、その両方を合わせて名も無き神々の王女となり得るか否かを考えていました。が、実際は違います。今回、アリスの人格を追い出したうえで体を乗っ取ったと考えると、むしろアリスはそのストッパーだったと言えるでしょう」

『……その、名も無き神々の王女の人格が修復されていて、例のロボット達が私兵だということ?』

「状況から察するにそういうことになるわ。おそらく、あのロボット達をミレニアムに差し向ける準備ができたからアリスの乗っ取りを開始したとみて間違いないわ」

 

ヒマリ、チヒロ、リオの言葉に、納得したように頷く上級生たち。一方、その話を聞いて、チンプンカンプンな表情をモモイは浮かべてしまった。

 

「えっと、つまり……?」

「あの時、私達が手に入れてきたG.Bibleの中には世界を滅ぼすかもしれない名も無き神々の王女が入っていて、それが復活した。あのロボット達はその兵隊で、アリスを乗っ取った名も無き神々の王女はどこかに消えてしまった……」

「……じゃあやばいじゃん!?しかもアリスの体なのに勝手に使って悪いことするって!?」

「世界を滅ぼすって悪いことのレベルじゃないと思うけど……でも、やっちゃいけないことなのは確かだよね」

 

要約して伝えられたモルフォの説明にゲーム開発部と、少し理解が追いついていなかったトキ以外の一年生達もやっと事態を呑み込み始める。自分達の想像以上に事態は悪くなっていると。

 

「じゃ、じゃあアリスの体は今どこにあるの!?すぐに取り戻さないと!」

「……ここよ」

 

少しだけ躊躇う様子を見せ、リオがある画面を表示する。それは、都市のような場所であったが、そこを赤目のアリスとロボット達が歩いている映像があった。彼女たちは、中央にある巨大なタワーに向かって移動しているのだが、そもそもの前提としてここはどこなのかという疑問がヒマリとトキ以外の全員に浮かぶ。

 

「ここは一体……?」

「……エリドゥ。このキヴォトスに危機が迫った時のために建造した都市よ」

「……えっと、色々聞きたいことがあるんですが、どこからその資金を?」

「……」

 

リオが建造した。その言葉を聞き、真っ先にユウカがリオにその建造資金の出所を問いかける。ポケットマネーでやったんだろうと期待するようなその質問は、リオが気まずそうに視線を逸らしたことで否定されてしまった。

 

「ま、まさか横領して作ったんですか!?」

「スケールがでっかいねー」

「そ、そういう問題じゃない気がしますよアスナ先輩」

「……全く気付かなかった」

 

セミナーの予算を横領して作ったという可能性に思い至るユウカ。そして、リオがそれに対し無言を貫いてしまったことでそれが事実だと明らかになってしまい、ユウカは頭を抱えてしまう。

 

「……今回の横領の責任は取るわ。この一件が解決次第、私はセミナーの会長の座を退いて、退学も視野に―――」

「いやいやいや!?そこまでする必要ありませんって!」

「でも、責任を取ることは大事よ」

「また話が脱線し始めましたね……どうします?」

 

緊急事態の最中に行われている会議のせいなのもあるが、アリスの問題から脱線し始めてしまった。エリドゥについての話を聞くならともかく。その制作事情を今聞きたいわけではないのだ。コトリから話を振られたモルフォは、他人事のようにジュースを飲みながらユウカとリオの様子を見ているコユキを見る。

 

「まあ、リオ会長が辞めたらまずいことになると思いますよ」

「「え?」」

「少なくとも横領してやったのがこのエリドゥってのを作っただけで迷惑自体はかかってないじゃないですか。それでリオ会長が辞める程の罰なら、それ以上にやらかして一時期セミナーをクビにすらなってるコユキなんて打ち首からの晒し首待ったなしでしょうから」

「ぶっ!?なんで――!?」

 

まさか話を振られるとは思わなかったのか、しかも事実上の死刑宣告にジュースを噴き出しながら立ち上がるコユキ。一方、リオとユウカはモルフォの言葉を聞いて完全に黙ったままコユキを見ていた。言われてみればそうなる……と納得すらしている様子だ。

 

「いやいやいや、そこまで酷くないでしょ!?そうですよね!?そうですよね皆さん!?」

 

さすがにモルフォの言葉はオーバーすぎると、コユキがその場にいた全員の顔を見る。しかし、コユキと目を合わせた瞬間に次から次へと皆視線を逸らし始めてしまう。瞬く間に味方を失ったコユキは震えながらリオを見ると涙目で縋り始める。

 

「リオ会長!セミナーなんか辞める必要ありませんよ!リオ会長はずっと会長のままがいいです!!横領なんて大したことありませんよ!」

「大した事あるわよ!?」

「……変ね、辞める必要なんかないって言われて普通は嬉しいはずなのに全く嬉しくないわ」

「あたしは初めて見たぞ、ここまで保身全振りで会長辞めるなとか言い出す奴」

「あはは……」

 

思わずノアも苦笑するしかない中、ひとまず横領については一旦解決したところで、やっと本題に戻る。

 

「名も無き神々の王女がアリスの体を奪ったということは、ハッキング能力があると見ていいわ。おそらく彼女はエリドゥを手中に収めて行動を始めるはず。それまでの間にこちらも準備をして仕掛けるしかないわ」

「エリドゥってのはどれくらい持つんだ?」

「先程、向こうに配置してあったAMASを使ってエリドゥの電源を全て落としたうえで外部からの電力供給を断ったわ。そこから予備電源に向こうも切り替えるでしょうけれど、時間は稼げるはずよ。おそらく……持って24時間。その間に、彼女を取り押さえてアリスの意思を戻す方法を見つけなければならない」

 

タイムリミットは24時間。現在の時計を見ると、朝の四時になっていた。実質、明日の朝四時までが制限時間と言えるだろう。

 

「あちらがアリスの体に入り込んだのならアリスも同じことはできないのかい?」

『理論上はできるだろうけど、向こうもそれが負け筋になるって理解してるはず。間違いなく対策はしていると思う』

「……安全性を十分に確保しきれていなかったのであまり使いたくなかったのですが、ダイブ装置を使う必要がありますね」

「ダイブ装置?」

「ダイブ装置は簡単に言えばお互いの精神を接続するものと考えてください」

 

それまでにアリスを取り戻す方法として、ヒマリがダイブ装置を提案する。聞きなれない言葉にモルフォ達が首を傾げていると、説明を開始する。

 

「しかし、これは意識の混線も起こり得る可能性がありますし、人同士では間違いなく使えない。今回で言えば、アリスの体が機械であるから使える手段といえるでしょう。ただ……今のまま使うには、まず相手を拘束する必要があるという欠点もありますし、向こうから逆に干渉されてこちらが精神崩壊させられる危険性、そもそも接続自体を拒否する可能性などが考えられます。改良しなければ現状のダイブ装置では使い物にならないでしょう」

「ふむ……我々の出番のようだね」

 

説明後、ダイブ装置の問題点を口にするヒマリに、ウタハがそう告げる。コトリとヒビキも頷き、これでアリスを救出する方法の目処は立ったことになる。次の問題は、

 

「じゃあ、次はアリスを助けるためにあのロボット達をなぎ倒していけばいいってこと?」

 

エリドゥに向かい、アリスを助けるためにどう戦力で突破するのかということだ。しかし、ここにも大きな問題が立ちはだかっていた。

 

「……ダイブ装置の改造がいつ終わるかはわからないけれど……正直、エリドゥそのものは予備電源を使って復旧、ある程度以上は掌握されているとみて間違いないわ。そうなった場合……エリドゥの都市構造を変化させられる機能でいくらでも分断できるし、時間も稼げるとみていいわ。そうなると……単純に突入する戦力が足りない」

「おめーは何と戦う気だったんだよ!?」

「本当に申し訳ないわ」

 

ガンと机を叩きながら怒りの言葉を吐くネル。本来防衛用の設備が牙を剥いてしまうとは思わなかったという意味での謝罪だが、ネルからは違うそうじゃない、と言いたげな不満な視線が突き刺さる。

 

「わ、私達も行きます!アリスちゃんの体を取り戻すために!」

「……となると、動かせる戦力はC&C、ゲーム開発部、ですか」

「いや、私達も行った方がいいだろう。ダイブ装置を現地で調整したりする必要があるかもしれないし、向こうの設備を逆に利用できる可能性もあるからね」

「私達は……」

「マキ、私達は裏方ですよ」

 

突入できる戦力はC&C、ゲーム開発部、エンジニア部の三つ。トキはC&Cとして動いてもらうことになるが、この戦力で変幻自在のエリドゥの地形を攻略するのは大分骨だろう。

 

「……欲を言えばもっと突入部隊が欲しいわ。とはいえ……」

「それなら先生を呼ぼうよ!」

「……確かに!先生に来てもらえば……」

 

だが、先生がいれば。その可能性に気付いたモモイが進言すると、エンジニア部とヴェリタスも妙案だと言わんばかりに明るい表情を見せる。が、

 

「おそらく無理よ」

「なんで!?」

「そうですよ!アリスちゃんを助けるためになんで先生を呼んじゃいけないんですか!?」

「……駄目な理由があるんですか?」

「……もしかして」

 

リオのまさかの発言に、モモイとミドリが声を張り上げる。だが、リオの苦々しい表情を見たユズとモルフォは、何か別の理由があるのかという考えに思い至る。その考えを肯定するかのように、リオはその理由を口にするのだった。

 

「……今、先生はトリニティに出張しているわ。名も無き神々の王女のことを……トリニティ、いえティーパーティーに知られてはいけないの」

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