転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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援軍と準備(後編)

 

「さて……こんなものかな」

 

時は少し巻き戻る。トリニティの補習授業部の次のテストの調整をしていた先生。モルフォとアリスが来て、皆で一緒に遊んだことがきっかけになったのもあり、補習授業部内のチームワークも次のテストへのモチベーションも上がってきており、昨日やった摸擬テストでは遂に全員が合格点を取るという素晴らしい成果も出てきたのだ。そして二次試験も翌日に迫る中、着信が入る。

 

「……?これは、モモイ?」

 

その着信はモモイからであった。一体どうしたのだろうか。ゲーム開発部の皆も、自分がトリニティに出張していることは知っているはずだ。となれば、この電話はそれなりの問題なのだろうと、すぐにスマホを手に取る。

 

「もしもし、モモイ?」

『!よかった先生、繋がった!』

「モモイ、何かあったの?」

 

聞こえてきたモモイの声は焦っていた。一体どうしたのかと、モモイを落ち着かせるように、先生も落ち着いた声音で優しく語り掛ける。

 

『えっと……アリスが大変なことになってて、でも、先生には頼れないってリオ会長が言ってて……』

「落ち着いて。最初からゆっくりでいいから話してもらっていいかな?」

『……うん』

 

アリスの身に何かが起こったのだろう。それに対し、SOSを先生に伝えているのだろうが、何故先生に、もといシャーレに頼れないという選択が出てくるのか。一体どんな事情があるのか。そこも含めて概要を知らないことには先生としても動きようがない。モモイを優しく宥めて落ち着かせると、モモイも昨日の夜からの出来事を先生に伝え始める。

 

「……そっか。ありがとう」

 

話を聞いた先生は、額に手を当て、溜息を吐きそうになるのを我慢する。この話を聞いたのがシャーレのオフィスであれば迷うことなくミレニアムに向かっていたのかもしれない。だが、トリニティにいる今、迂闊に動くことができないのは事実。ミレニアムに行かなければならない、それも数時間、という話ではなく、今回の案件の内容となれば一日二日、下手をすると数日もかかるかもしれない。となれば当然、ティーパーティーのホストであるナギサに話を通す必要がある。そうなれば、セイアの暗殺、調印式の近づくエデン条約と精神的に追い込まれ、先生から見ても疑心暗鬼のような状態に陥っている彼女がどのように受け止めるかはわからない。どうやって彼女を説得すればいいか、そして補習授業部の皆にどう説明すればいいか。この話を聞いて挙動不審になってあわあわするアロナを見つつ先生は悩みながら、

 

「モモイ、少し時間はかかるかもしれないけど、必ずそっちに行くから。だから待ってて」

『うん、わかった!先生が来てくれるなら百人力だよ!……正直、リオ会長やヒマリ先輩も言ってたからもしかしたら駄目かなって思っちゃったけど……』

「そんなことないよ。アリスだって、モモイだって大切な私の生徒なんだから。きっと、全部何とかしてみせるから安心してね」

 

モモイとの通話を切る。まずはどう補習授業部の皆に伝えてトリニティから出ていくか。そう考えた時だった。部屋の扉をノックされ、ヒフミが顔を出す。

 

「せ、先生……」

「ヒフミ?何かあったの?」

「え、えっと……一応用事はあったんですが……その、それよりも。今、モモイちゃんとアリスちゃんって」

「あ……聞かれちゃったか……」

 

モルフォやアリスと知り合いだった所から何となくは考えていたが、やはりゲーム開発部全員と交流があったようだ。先生は少し考えていたが、ヒフミならばそういった込み入った事情を話しても大丈夫だろうと判断して、今回の事情について伝えることにする。

 

「……そんなことが」

「うん、だから私はミレニアムに行くことにするよ。だから、最低でも今日と明日はこっちにいないけど……その間、テストの事はヒフミに任せてもいいかな?」

「それは、構わないんですが……ナギサ様は大丈夫なんですか?突然ミレニアムに急用ができてそちらに、って言っても……」

「どうにかするよ」

 

ヒフミにばれてしまったのは迂闊ではあったが、そのおかげで補習授業部に対する手回しができるようになったのは不幸中の幸いであった。後はティーパーティー、主にナギサへの説得さえどうにかすればいいと思っていたのだが。

 

「……え、嘘!?」

「ヒフミ?どうかしたの?」

 

スマホを取り出し、予定などを再確認しようとしていたのだろう。トリニティの掲示板に張り出された次の試験の日や、それに向けての範囲も再確認したところで、ヒフミの表情が青ざめていく。

 

「み、見てください……て、テストの範囲が、三倍に……しかも、合格点数もこれまで60点以上だったのが90点に上がっていますし、次のテストの会場がゲヘナに変更されています!なんで今日になって急に!?」

「え!?」

 

先生も驚いたようにヒフミのスマホを見て、唖然となる。そこには、ついさっき更新されたばかりの掲示板の内容が。確かにナギサはこの四人を退学させるために補習授業部を作り出していた。だが、まさかその後にここまで露骨な手を打つとは思わなかった。

 

「……一旦、この事を皆に話そう」

「でも、ミレニアムが……」

「そっちは大丈夫。どのみち準備の時間とかもあるから、今すぐ行っても動けるわけじゃないからね」

 

すぐに優先順位を付けると、先生はヒフミと共に三人の下へと移動する。そして、今回のテストに関する変更の件について共有された三人もまた、それぞれ困惑や驚愕の表情を浮かべていた。

 

「……こ、こんなの……無理に決まってるわよ!大体、なにこれ!?会場がゲヘナ!?前回は普通にトリニティでやってたんだから、今回もそっちでやればいいじゃない!」

「確かにこれはおかしい」

「……テスト範囲の拡大、合格点数の引き上げ……そしてゲヘナでテストを実施……彼女は、そこまで……」

 

さすがにこれは横暴が過ぎると騒ぎ立てるコハル。いまいちピンと来ていない部分こそあれど、さすがにこの判断はおかしいことはアズサも理解しており、そしてハナコもまた、この変更の裏に隠されたナギサの思惑を察したようだ。

 

「……ひとまず、皆さんも色々言いたいことはあると思いますが、私達はどうにかしてこの試験を合格しなければなりません。後二回しかない試験を全員で合格しなければ退学です。先生も少しいなくなってしまいますが、その間―――」

「いやなんでよ!?なんで先生がいなくなっちゃうの!?というか退学ってどういうこと!?全く聞いてないんだけど!?」

「そうだ。一体何が?」

「……先生、ナギサさんに何か言われましたか?」

 

その流れで、ヒフミが先生がいなくなることを口にしたせいもあってか、ハナコはこれもナギサのせいかと勘ぐってしまう。実際、状況としては補習授業部を退学させるための更なる一手として先生を引き離そうとしていると考えられても不思議ではない。

 

「そういうわけじゃないんだけどね……ただ、急用が……いや」

 

そこの部分は勘違いだと訂正しようとする。とはいえどう説明したものかと考えながらハナコを見て先生の言葉が止まる。そういえばハナコはモルフォとも仲が良かったし、アリスとは親交を深めた仲だ。二人と交流を深めているのは補習授業部全体が同じ。そのアリスに何かが起こっているのなら、ある程度内容はぼかしつつも情報を共有するべきだと判断する。

 

「実は、ある緊急の用事ができたんだ。他言無用にしてほしいんだけど……」

 

モモイから伝えられた、名も無き神々の王女等の話についてはぼかしつつ、話をしていく。それと合わせて、この補習授業部は三回ある特別学力テストで全員で一回でも合格しなければまとめて退学するという事実も明らかにする。それらを聞いて、コハルたちは黙り込んでしまう。自分達も大変ではあるが、それ以上に大変な目に遭っている生徒がいるならそちらに注力してほしいというのが本音だ。しかし、それ以上に歯痒いのは、友達が大変な目に遭っているのに自分達が何もできそうにないということだ。

 

「……で、あれば、いい方法がありますよ、先生」

「?」

 

そんな、やりきれないといった表情のコハル達を見ていて、ハナコが妙案を思い付いたような、不敵な笑みを浮かべる。一体何を考えたのか。

 

「……残念ですが、今回の試験は捨ててしまった方がいいでしょう」

「なんでそんなことをいうの!?試験を受けなきゃ……」

「場所を見てください。明日の深夜三時に、ゲヘナ自治区第15エリア77番街、廃墟の1階……前回がトリニティのちゃんとした教室で受けていたことを踏まえれば雲泥の差です。ナギサさんの意図が私達を退学させることにあるのなら……仮に障害などを突破したとしても試験をまともに受けさせる気はないでしょうね。おそらくは不良なりテロリストなりを扇動して台無しにしようとしてもおかしくありません」

「確かに。トリニティからゲヘナに移動するだけでもリスクがあるのに、守りも警備も碌にない施設での試験。しかも試験中は私達は無防備だ。狙ってくれと言っているようなもの」

 

その前に、ハナコの口から、今回の二次試験はもう意味がないと断言される。横暴なレベルの難易度の増加を踏まえれば理屈としてはわからなくもない。しかし、それ以上に、そもそも試験すらまともに受けさせる気がないだろうとハナコに断言され、アズサからも補足されるとコハルも押し黙るしかない。

 

「はっきり言って、今の私達でまともに復習もできていない範囲のテストは無理です。それよりも、今回のテストを捨てれば……」

「!アリスちゃんを助けに行けます!それに、ゲヘナに会場があるなら、会場に前もって行くという名目でここを出れます!」

「そう、ゲヘナには実際に行きます。その後、そこからミレニアムに移動するんです。ティーパーティーも監視の目は光らせているでしょうが……私達がゲヘナに入れば、その後は監視の目も緩まり、撒くのも容易になるでしょう。少なくとも、行動としておかしいことはまだやっていませんからね。どうですか?先生」

「ハナコ、皆……ありがとう。でも、もしばれたらそれこそ退学に……」

「ふふ、友達を見捨ててまでトリニティに残るぐらいなら私は自主的に退学しますよ」

「……そっか。それじゃあ、ハナコを退学させるわけにはいかないね」

 

そしてテストを諦めるだけで友人を助けられる。そう言われれば首を縦に振るしかない。ハナコの導き出した光明に、先生の顔にも笑顔が浮かぶ。これなら、ナギサにも怪しまれずに出ることができる。そう、思ったその時だった。

 

「……?」

「先生?どうしました?」

「ごめん、少しだけ出るね。でもすぐに戻ってくるから、皆出発の準備だけはしておいて」

 

再び、何者かから呼び出すようなメッセージが入ってくる。それを見た先生が出ていき、補習授業部が合宿に利用している建物に併設されたプールの方に移動する。

 

「やっほ、先生」

「ごめんね、ミカ。待たせちゃったかな?」

 

そこにはミカの姿があった。先日、ミカがアニメを受け取ったのもこの場所であった。しかし、一体今度は何の用なのかと思っていると、ミカから袋を渡される。

 

「これ、返すよ。私がその子に返せたらいいんだけど、誰かわからないからさ」

「うん、わかったよ。ちゃんと返しておく」

「それと先生、掲示板はちゃんと見た?私も気付いたの今日の朝なんだけど、テスト範囲とか変わってたからさ。先生ならわかってると思ってたけど、ついでだし言っておこうかなって……ん?」

 

ここに来訪した目的を語っていたミカだったが、テスト範囲について触れると先生があからさまに目を泳がせ始めたのを見て、逆にミカの方が戸惑ってしまう。

 

「……まさか、本当に?」

「あ、はは……」

「えー……」

 

補習授業部を合格させるために頑張ってる先生ならそれくらい把握しているはずだろうと思い込んでいたために、呆れた声が零れてしまう。

 

「え、えっと、なんか中バタバタしてるっぽいけど、出発の準備?」

「うん……とりあえずできることはやろうと思ってね」

「そっか……テストも大事だけど、こっちも伝えておきたくてね。先生……これは誰にも言っちゃ駄目なことなんだけど」

「どうしたの?」

「……多分、セイアちゃんは生きてる」

「!?」

「先生が渡してくれたこれに、セイアちゃんが生きてる証拠が入ってた」

「え……!?」

 

ミカから渡された袋の中を慌てて確認する。そこにはディスクが入っており、そこにセイアが生きている証拠が入っているという。だが、だとすれば何故モルフォはそのことを知っているのか。またしても色々な疑問が湧いてくる。

 

「多分、ミネちゃんがセイアちゃんを匿ってるんだろうね……」

「ミカはどうしてそのことを?」

「……まだ戻れるって、安心したから、かな。それと……戦争はろくでもないってちょっと思うようにもなってさ……まあ正直、ゲヘナが気に入らないのは今も変わってないけど。ただ、セイアちゃんが先生に頼ったのなら、まだ。私だけしかいなかった時と違って何かできることがあるのかなって」

「……ミカ。協力してくれないかな」

「え?」

 

このディスクの中に一体何が入っているのか。アリスの件が終わったら後でモルフォにセイアの事と合わせて聞いてみることを決意した先生は、先日の密会の時とは明らかに雰囲気などが変わっている今のミカなら、自分達のやろうとしている事にも協力してくれるかもしれないと考える。当然、リスクはある。これでミカがナギサに伝えたら何が起こるかわからない。だが、もしミカが協力してくれるならば、ナギサへの手回しはほぼクリアできたも同然だ。

 

「……成程ね。シャーレのお仕事は大変だね?補習授業部だけでも政治的な問題で振り回されて大変なのに、ミレニアムの生徒から助けを求められてすぐに行かなきゃいけないんだから……いいよ、ナギちゃんがなんか言ってきたら私が誤魔化しといてあげる。それに多分……ナギちゃんからしたら今回のテストに失敗さえすれば大事にならない限りはそこまで気が回らないんじゃないかな?」

「ミカ……ありがとう」

「気にしないで。そのアリスって子が大変なんでしょ?なら行ってあげないと。その代わり……帰ってきたら、私にも協力してもらっていいかな?アリウスのこと……先生には隠してたこと、全部話すから」

「うん、わかった」

 

だが、ミカは快く承諾してくれた。ナギサと同じティーパーティーのミカがこの件に全面的に協力してくれるならこれ程心強い存在もいないだろう。

 

「じゃあ、私は一旦帰るね。あんまり長くいるとナギちゃんも気にするだろうから。頑張ってね、先生」

「うん、きっと何とかしてみせるよ。アリスも、補習授業部も、そしてもちろん、ミカも」

「……うん、待ってるから」

 

そしてミカに送り出される形で、先生はシャーレの部員として補習授業部を伴い、ミレニアムへと向かうことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……全く……何をやってるのよモモイ……!?」

「……やっぱり、私の説明はわかりにくかったのかしら……」

「さすがに今回についてはリオ会長は悪くないと思いますが……」

 

そして時は戻り。ミレニアムの入り口でヒフミは再会した対策委員会を見て驚く一幕がありつつも、十人はセミナー室へ移動する。先生と補習授業部、そしてミレニアムで合流した対策委員会から事情を聴いたユウカ達が呆れたような声を漏らす。

 

「私は悪いことはしてないよ!先生がいればアリスを助けられる!そう思ったから呼んだだけだもん!政治がどうとか、そんなの関係ないでしょ!」

「ふふ、面白いことを言いますね。政治なんてどうでもいいとは……」

「いや、どうでもいいわけがないのでは……!?」

 

モモイの言葉にハナコが笑顔で同意する。その様子を思わずジト目になって見つめるアヤネの視線が突き刺さる中、リオは対策委員会と補習授業部を交互に見ていたが、先生に促されたことで現状を先生達に伝える。そして、実際に見てもらうため、アリスが皆の前に出てくる。

 

「え!?これが、アリスちゃん!?」

「ほ、本当にロボットだったんだ……」

「凄いな。アリスがこんな姿になるなんて」

「……なんかもう想像を超えてきたわね」

「まぁ……現実でいるとは思わなかったけど、ロボットの生徒がいてもいいんじゃない?」

 

各々が反応を見せ、受け入れてもらったところで、リオが切り出す。

 

「正直、私は今回の件でトリニティの、もっと言えばティーパーティーの動向を気にしていたわ。今回の件には、色々な要素からトリニティからの関与をしてほしくないと思っていたし、後で尾を引くことになってほしくなかった。だから、先生に助けを求めることはできず、私達だけで解決しなければと思い込んでいた……」

「だから私達を呼んだんだね」

「ええ。先生を頼ることができないこの状況で、頼ることができて一定の信頼を持つ外部の学園は、アビドスしかいなかったから」

 

実際、話を聞けば先生を呼びづらい条件がかなり揃っていることは明白であり、これには先生らも納得するしかない。

 

「いやぁ、嬉しいなぁ、アビドスのことをこんなに買ってくれるなんて。報酬に色付けてもらっちゃおうかなぁ」

「一億でも十億でも出すわよ」

「いや、それはちょっと……」

 

報酬についてはホシノからすれば冗談でしかないのだが、まさかの本気としか思えない発言に、この子冗談通じないな?と冷や汗を流しながら慌ててその申し出を拒否する。本当に十億を貰えるならとちょっとだけ揺れたのは内緒だ。

 

「けど、実際に先生、あなたは来てくれた。だとしたら……私が選択肢を間違えたのでしょうね」

「ううん、そんなことはないと思うよ」

「……そうかしら」

「確かに、モモイから連絡が来なかったらこの事に気付くことはなかったかもしれない。だけど、最初から私が連絡を受けてたら、多分補習授業部の皆だけがここに来たと思う。だけど、リオや皆は自分達にできることを考えて、対策委員会の皆に協力を申し出て、ホシノ達もそれを受けてくれた。そのおかげで、一緒にアリスを助けに来てくれる人たちが増えたんだ。だから、皆の判断は何も間違ってはないんだよ」

「何も……」

 

先生の言葉にぽつりと返しながらその場にいた皆の顔を見る。リオや皆の決断は決して間違ってはないし、皆ができる限りの選択を採ってきたからこそ今に繋がっているのだと。

 

「ミレニアムとして気になること。そういうのも全部、どうにかしてきたよ。だからシャーレではなく一個人の人間としてモモイの事を責めないであげてほしいんだ。ただ友達を助けてあげたい、そう思っていただけだし、その気持ち自体はちゃんと応えるべきだからね……ただ、モモイの方も私に連絡する前に、皆に一言でも伝えてあげた方がよかったかな。今回はこうして間に合ったけど、もしかしたら私達が来る前に皆が出発してたかもしれないし、それこそ、リオや皆が考えていたようにナギサ達もいらない警戒をするかもしれなかったんだから。そこはモモイが悪いよ」

「先生……」

「う……ごめんなさい……」

「だから、この話はここまでにしよう。それよりも今はやることがあるんだよね?」

「……はあ、わかりました。そういうことなら、今は!!何も言いません……確かにそういう状況でもありませんし……ただし!全部終わったら覚悟しておきなさい!」

「は、はい……本当にごめんなさい……」

 

先生の説得が効いたのか、ユウカも呆れたように呟きながらも一旦は矛を収める。ひとまずは落ち着いてくれたのを見て、先生もリオへと視線を再び移す。

 

「リオ、私達は何をすればいいのかな」

「……!え、ええ……あなた達にはC&C、ゲーム開発部、エンジニア部と共にエリドゥに突入してもらうわ。エリドゥは変化する地形で侵入を阻み、迷わせる。その間に奴らは無限に近いDivi:Sionを使ってこちらを消耗させてくるでしょう。それを乗り越え、名も無き神々の王女を取り押さえる。そして、エンジニア部とゲーム開発部が合流次第、アリスを元の体に戻すため、ダイブ装置を接続する」

 

作戦内容は単純だ。この五部隊でエリドゥを攻略。突破し、名も無き神々の王女の下に辿り着き次第、彼女を取り押さえる。そしてアリスの意識を戻し、体を取り戻す。リオの説明を聞いて、対策委員会と補習授業部は頷く。そして、

 

「やあ皆……ダイブ装置の改良が終わったよ……って、おや?なんか随分人数が増えてるみたいだけど……それに先生?来れないんじゃなかったのかい?」

「やあ、ウタハ」

 

セミナー室に入ってきたウタハの言葉によって、準備が終わったことが告げられる。その後、ゲーム開発部がセミナー室から出ていき、エリドゥの情報を先生達に伝えられている間、外から「ハ抜きイ・ロ・ハ地獄巡りをくらえ!」「ごめん待って待って痛い痛い!ごめんなさーい!!」というモルフォの声とモモイの悲鳴が上がるのだが、それを先生達は聞かなかったことにするのだった。

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