転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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名も無き神々の王女とアビ・エシュフ(中編)

 

「……駄目だね。完全に通信を妨害されている」

「となると……エリドゥの方に接続してそっちから通信の回路を開くしかないわ」

「随分なことを言いますね。本格的に頭でもおかしくなりましたか?」

「私は正常よ。それ以外に方法はないわ」

 

場所は変わってミレニアム。そこでは、突然遮断した通信を回復させようと、ヴェリタスとヒマリ、リオが忙しなく動いていた。

 

「うーむ、随分強烈なジャミングですね。名も無き神々の王女にここまでの力があるとは……」

「……その可能性もあるけど、この感じは多分エリドゥの方ね……」

「本当に敵に回すと厄介……」

 

どうにかして通信を回復させ、皆の様子を確認しなければ。ましてや、C&Cと対策委員会はアビ・エシュフを奪った王女と戦う寸前だったのだ。現在進行形で戦闘を行っていると言っていいだろう。

 

「でもさ、あのアビ・エシュフってやつが凄くてもこう……あるんじゃないですか!?なんか弱点みたいなの!あの……アヴァンギャルド君」

「アバンギャルド君よ」

「……アバンギャルド君にも自爆装置はあったんですよね?じゃあアビ・エシュフにも」

「ないわよ」

「え?」

 

マキがリオなら敵に鹵獲された場合の可能性も考慮して、何かしらの対策を用意しているはずだ。それこそ、アバンギャルド君にだって、アズサが代わりに爆破したことで不要となったものの自爆機能自体はついていたのだ。王女側が頭部をもぎ取って乗っ取るという反則技をしたから潰されただけで、アビ・エシュフにも。そう思って口を開くのだが、リオはそんなものはないと首を横に振る。

 

「あれはトキが使う兵装で他の人物が使用することは想定していないわ。そんなものに自爆機能なんて取り付けない」

「「「「……」」」」

「……何その反応、変なことでも言った?」

 

が、リオの発言を聞いた瞬間にその場にいた全員が作業の手を止めてリオを見る。その視線を見て、思わず困惑してしまうリオ。そんな中、動き出したのはヒマリだった。

 

「いえ……なんでもありません。ええ、まあ、いいでしょう……そういうことにしておいてあげます」

「?」

「……こほん、一つ気になることがるんだけど、いい?」

 

チヒロも咳ばらいをして誤魔化しつつ、ずっと気になってた事に触れる。リオとヒマリも手は止めずに耳を傾けると、チヒロは口を開いていく。

 

「今、アリスがいないということは彼女はブラックボックスを完全に掌握して、名も無き神々の王女の力を万全に使えるということになるんだよね?」

「ええ、そのはずよ」

「……それでやってることが、Divi:Sionの操作とエリドゥの支配だけって……ちょっと、地味すぎない?」

「地味!?結構やばくない?アリスちゃん達だってピンチだったし、今ネル先輩達だって……」

 

チヒロの指摘にマキが全然地味でも何でもないとリアクションを返す。しかし、それはこちらから見た話であり、本当にアリスの体が名も無き神々の王女の、世界を滅ぼしうる力を持っているのであれば、そのような存在がたかが一都市を掌握しただけで満足しているかのような現状はさすがにおかしいのではないかと言うのだ。

 

「……可能性としては、世界を滅ぼすために必要な手段を講じるには時間が必要だということだけど……」

「その線もあるけど……そうなると違和感の方が強い。そもそも彼女はなんでエリドゥに向かったの?無人とはいえ整備されている都市に向かうなんて、こっちに居場所を教えるようなもの……時間が必要だっていうのなら、それこそ廃墟の中に潜んでいればいい。物資が必要なら廃墟にある生きている設備を使えば事足りるはずだ」

 

チヒロの発言を聞きながら、リオとヒマリは考える。そうだ、今回の王女の行動にはそれ以外にもいくつも不審点がある。何故、Divi:Sionはアリスを前にした時だけ攻撃を躊躇するのか。何故、王女はアリスの意思を消すのではなく、体から追い出すだけに留めたのか。いや、そもそもの話―――

 

「何故、アリスが最初、あの体に宿った状態で封印されていたか」

「……名も無き神々は、アリスを兵器として運用しようとしていたはず。で、あれば、いつ起動してもそれが可能なようにしておく必要があったはず。そこにストッパーの人格を取り付ける必要はない……そう、考えると……!?」

 

ヒマリがぽつりと呟く。その意図を自分なりに解釈して説明し、息を呑む。これではそもそもの前提が違ってくる。そう言わんばかりに二人は目を見開く。

 

「確かに、それなら名も無き神々の王女がこの程度の行動しかとらない理由にも説明がつきます……」

「でも、もしそうだとしたら、何故彼女は自分が名も無き神々の王女と?それも悪戯に私達を煽ってくるだけ。アリスを助けるためにこちらが行動するだろうとわかりきってやっているとした……ら……」

「……まさか」

 

リオの言葉が途中で失われる。ヒマリも、チヒロも、開いた口を閉じることができない。一歩遅れて、話を理解したコタマやハレも驚愕の表情を浮かべる中、忙しなく手を動かしていて話をあまり聞けずにいたマキが、急に静かになった皆を見る。

 

「え、な、何かあった?」

「すぐに通信を回復させなさい!!」

「え?ぶ、部長!?」

「急いで!彼女の目的がわかりました!このままじゃ皆が……取り返しのつかないことになります!!」

「で、でも、エリドゥのセキュリティが硬すぎて……!」

「……このセキュリティ……既存のものからいくつか書き換えられているわ。一から破ることは困難……でも、あの子なら……!」

 

急いで通信を回復させるように、語気を強め、冷や汗を浮かべながら指示するヒマリ。その有無を言わせない姿勢に慌ててまた手を動かし始めるが、エリドゥのセキュリティはやはり硬い。しかし、今は一刻を争う状況だ。それならばと、ミレニアムにDivi:Sionが侵入しないように見張りをしているユウカとノアに連絡を取る。そしてリオは、この状況を打開してくれるであろう人物を呼びつけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!」

 

落ちていくトキに向かって走る。そして彼女の体を抱きかかえると、

 

「ホシノ、少し外れるぞ!お前らはサポートをやれ!」

「オッケー、なんとかしておくよ」

「了解!」

 

ネルはそのまま戦線を離脱し、アヤネの下へとトキを連れていく。そこでは既に包帯などを準備していたアヤネの姿があった。

 

「ネルさん、トキちゃんは!?」

「結構やばいな……これ以上の戦闘は難しいはずだ」

「っ……」

 

アヤネの傍に横たわらせたネルは、大まかに彼女の様子を確認する。ギリギリ意識は残しているようだが、全身に火傷や傷が見えており、メイド服もボロボロの状態だ。これ以上、無理して戦わせたら王女が相手では死すら見えてくるだろう。

 

「ったく、無茶しやがって……」

「……何故、アビ・エシュフに自爆装置が……」

「あ?」

 

ぽつりとトキが呟く。成功すれば一瞬で決着が付くであろう奇策が最初から存在せず、結果として自分が真っ先に戦線を離脱せざるを得なくなったことに対する申し訳なさか。それとも、リオがどうしてアビ・エシュフに自爆装置を付けなかったか、理解できない困惑か。どう感じればいいかもわからない感情のまま、零した言葉にネルが呆れたような声を出す。

 

「リオ様なら必ずつけていたはずです。アビ・エシュフに……」

「お前な……あいつがどういう理由でつけると思ってたんだよ」

「それは……万が一私が裏切った時、すぐに始末できるようにです」

「アホか」

「っ」

 

軽く、できるだけ傷に触らないように軽く銃でトキの頭を小突く。そう思われるような振る舞いを普段からしているリオは本当に相変わらずだな……と内心ぼやきながらも、トキに背を向け、今も戦う仲間達を見ながら言う。

 

「リオがお前が裏切るなんて思ってすらいないぐらい信じてただけだろ」

「……リオ様が……」

 

ネルの背中を見ながら、呟く。その言葉を聞いた時、どこか納得したような気がした。

 

「ったく……無茶するわ付き人やってるくせに誤解しまくってるわ……まあこれに関してはある程度マシになったとはいえリオも悪いか……やれやれ、新入りは随分手を焼かせるな……」

「……すみません」

「新入りがミスすんのは当たり前の事だ。そんぐらいどうにもできねえで先輩なんかやれっかよ。お前こそくたばんじゃねえぞ?教えることはたくさんあるんだからな」

「……ありがとうございます」

 

トキからお礼を言われ、軽く手を振ると、ネルもまた戦場に戻っていく。アヤネに包帯やガーゼなどを付けてもらいながら、トキはタワーへと視線を向ける。

 

「……アヤネ、少し協力してもらいたいことがあります」

「え?でも、無茶をするのは……」

「いえ、今の私ではアビ・エシュフを操る名も無き神々の王女を相手にしても足手まといになるだけでしょう。ですが……戦わずともやれることはあります。戦いとは目の前の相手と対峙することだけではありません」

「それって……」

「奴のステータスを下げれば、ネル先輩達も有利に戦えるようになるでしょう」

 

そう言いながら、トキは今度こそと言わんばかりに、やる気に満ちた表情を浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラオラオラァ!」

 

王女を射程に捉え、すぐさまサブマシンガンを連射する。しかし、それを察知していた王女はその場から背後へと跳ぶことで回避する。

 

「案外早かったね」

「怪我人運ぶだけだろ、んな時間かけねえよ」

 

ホシノの隣に立ち、仲間たちの様子を確認しながらネルは口を開く。ホシノは未だダメージを受けていないようだが、ホシノとネル、二人が揃ったうえで他のメンバーも健在という状態でやっと膠着状態に持ち込める戦力差だったのだ。そこからネルが抜けた穴はやはり大きく、ホシノ以外の面々は軽傷ではあったものの多少被弾している状態だった。

 

「皆、まだまだやれそう?」

「ん、大丈夫」

「全然いけますよ~」

「っ、これぐらいなんてことないわ!」

「アスナ!」

「私達はまだまだ余裕だよ!」

 

念のため、仲間たちの容態を確認し、戦闘続行が可能であることを改めて確かめる。そして、王女を再び見据えると、

 

「そろそろ、茶番は終わりにしましょうか」

「……何?」

 

王女から突然、茶番と口にされる。その言葉にネル達の表情が強張っていく中、王女は口元に笑みを浮かべる。

 

「おめでとうございます、あなた達は第二形態を拝むことができました」

 

そう告げると同時に、王女が走り出す。だが、相手が攻撃してくるならそれはチャンスだ。

 

「……」

 

カリンがライフルを構える。王女は攻撃と防御を同時に行えない。もし向こうが攻めに転じた瞬間にカウンターの要領で狙撃を当てる。そしてホシノが盾を構え、ガトリングを受ける。それを合図としたようにカリンが引き金を引いた、その時だった。

 

「―――な!?」

 

その場から跳びあがり、カリンの放った弾丸を紙一重で躱しながら全員の頭上を取ったその動きに、その場にいた全員が、驚愕と共に口を開く。完璧な回避だった。それこそ、彼女が防御行動にリソースを割いているときと同じぐらいの。

 

「この!」

 

咄嗟にシロコとアスナが空中の王女を狙い撃つ。しかし、その弾丸はまるで当たらない。その全てが紙一重で回避、いや、紙一重の位置に弾丸が置かれているかのような軌道で王女は宙を舞う。と、その両肩のレーザーキャノンが砲門を開く。

 

「まずい!皆、逃げて!!」

 

それに気付いたホシノが声を張り上げる。が、王女の放ったレーザーと、同時に放たれた計六丁のガトリングガンは無情にも次々と生徒達を襲っていく。

 

「こんのぉおおおお!!」

 

次々と焼かれ、撃たれ、吹き飛んでいく後輩達。その攻撃が止み、王女が着地したその時に立っていたのは、

 

「「……」」

「残ったのは二人だけ、ですか」

 

ホシノとネルだけであった。それ以外の面々は傷だらけで横たわってしまう。ヘイローこそ消滅し、意識を失っているものの、胸が上下している様子から幸いにも命には別条はないようだ。しかし、それ以上に二人は王女の言う第二形態が、以前まであった弱点を完全に消しているという事実を認識していた。

 

「お前……今、攻撃と防御を同時に……」

「確かに、片方しかシミュレーションできなかったのはアビ・エシュフの欠点でしたね。ですが……それだけなら解決方法は簡単です。演算装置をもう一つ用意すればいい」

「……演算装置?」

「……気付きませんか?目の前にいるじゃないですか。その演算装置が」

「「!!」」

 

それを可能としていたのは、アリスのボディだ。アリス自身がロボットであるからこそ、その演算機能を応用できる。それにより、リソースの問題で不可能であった攻撃と防御、その両方を兼ねた完璧なシミュレーション能力を、王女は手にしていた。

 

「さあ……どこまで持ちますか?」

 

そう言い、王女はガトリングを二人に向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「急に通信が途絶えてしまった……嫌な予感しかしないな」

「ネル先輩達なら大丈夫だと思いますが……心配ですね」

「……待って!」

 

タワーへ向けて進軍していた先生達。遂にタワーが近くに見える所まで来たのはいいものの、アズサの声で立ち止まる。そして視線を動かすと、そこには、

 

「嘘、C&Cが!?」

「!シロコさん達も……!?」

 

倒れたC&Cと対策委員会の姿があった。全員の頭にヘイローが浮かんでおり、意識を回復するところまでは来たらしい。そこから、どうにか這う這うの体で戦線を離脱したようである。そのことを裏付けるように戦闘の音はまだまだ続いている。少し離れたところでは、王女とボロボロになりながらも戦うホシノとネルの姿があった。

 

「ネル先輩!?」

「ホシノさん!?」

「アリス!?」

「あれが、アリスちゃんの体を奪ったという名も無き神々の王女……」

「目は見えませんが……確かに雰囲気が違いますね」

「……というか、何なのよあの強さは!?」

『あ、アリスの体があそこに……!』

 

王女の周囲を縦横無尽に、素早く走り回る二人。ガトリングで、レーザーキャノンで狙われないように足を止めず、放たれた攻撃は盾で受け止め、体をよじって掠りながら回避し、懐に潜り込んでどうにか弾丸を叩き込もうとする。しかし、王女は完全に見切った様子で回避しながらカウンターの要領でガトリングを二人に叩きこもうとする。が、その時にはホシノがネルのカバーをするように前に立ち、盾を地面に突き刺して壁にし、重い弾丸を次々と受け止める。

 

「……ふっ」

 

それも見た王女は、レーザーキャノンを地面に向けて発射。地面を抉るように放たれた一撃は、地面に深い亀裂を生み出し、盾が突き刺さっていたその下に空洞を生み出す。

 

「しまっ……」

 

突き刺していた盾から、その感覚が失われたことでホシノが目を見開く。その時には既にガトリングによって不安定になった盾を吹き飛ばされてしまい、二人の姿が露わとなってしまう。

 

「ホシノさん!ネルさん!逃げて!!」

 

ヒフミが声を張り上げる。しかし、もう二人に逃げることはできない。必死に、王女の次の攻撃を潰すためにサブマシンガンとショットガンを叩き込む。が、それをガトリングを盾にして防御した王女は、このチャンスで二人を仕留めるべく、まだ撃っていないもう片方のレーザーキャノンから光を放とうとした、その時だった。

 

「モルフォ!シールドを!!」

「ホシノさん!!!」

「っ!!」

 

先生の叫びと共にモルフォがシールドをぶん投げる。それは、レーザーが着弾するまさにその直前にホシノの目の前に投げ込まれ、ホシノがそれを掴む。直後、大爆発と共にその衝撃で二人の体が宙を舞い、勢いよく壁へと叩きつけられる。

 

「うぐっ!?」

「がっ!?」

「……着きましたか」

 

ホシノとネルを吹き飛ばした王女が先生達の方に視線を向ける。そしてアリスの入っているAMASを一瞥すると、

 

「ですがあなた達の相手はこれで十分です。この二人はしぶとかったですが……これ以上は私が相手する価値もありません」

 

そう告げる。次の瞬間、わらわらと通路から次々とDivi:Sionが現れる。

 

「なっ……」

「まだ、こんなに……!?」

「……ホシノもネルもこれ以上は戦えないのに……」

「……誰が、戦えないって……?」

「……正直寝たいところだけど……そうも言ってられないよね……」

 

その数だけでも脅威的なのに、まだ王女も残っているのだ。この絶望的な戦力差でどうすれば。その不安をかき消そうとするかのように、ホシノとネルが立ち上がる。全身が傷だらけのままだが、それでもまだ、その目から闘志が消えてはいなかった。

 

「まだ立ち上がりますか……しかし理解しかねます。ネルと呼ばれていたあなたはまだ納得できますが……ホシノ、あなたは今回の件と無関係のはず。それなのにこんなに傷ついてまで戦う価値があるのですか?」

「……へえ。今になってそんなこと聞くんだ……まあ、そんなこと、わかりきってるけどさ」

 

王女の目を掻い潜り、いや、攻撃する意思を見せなかったことで王女もわざと見逃した雷ちゃんが回収してきた盾を受け取り、代わりに傷だらけで少し凹んだモルフォの盾を雷ちゃんに乗せながら、ホシノは笑う。

 

「友達がピンチだから助けてくれって言われたらさ。応えないわけにはいかないじゃん?」

「へっ、言うじゃねえか。まだやれんだろ?」

「もちろん、ネルちゃんこそおじさんより傷が酷いんじゃない?」

「こんぐらい丁度いいハンデだ」

 

ホシノの回答に気を良くしたのか、ネルも笑いながらリロードし直す。その反応を見て、つまらなさそうに溜息を吐いていたが、バイザーの奥で目を見開くことになる。

 

「……なっ」

「へっ、やっと起きたか」

「今日は皆がお寝坊さんだね……ちゃんと寝れた?」

「ん、もう大丈夫」

「もうバッチリだよ!少なくともあいつら相手なら全然!」

 

立ち上がってきたのは、ホシノとネルだけではない。倒したはずのC&Cも、対策委員会も再び立ち上がってきたのだ。万全とはいいがたいが、体力の回復を許すほどに二人との戦闘で時間を消費していたという事実に、王女は思わず舌打ちをする。

 

「となると……ネル、彼女の方は任せていいんだね?」

「ああ、雑魚はそっちで何とかしてくれ、アスナ、お前らもそっちに入れ」

「シロコちゃん達も、モルフォちゃん達の手伝いをやってくれないかな?」

 

二人の指示を受け、両組織もDivi:Sionと相対する構えを見せる。これで、王女との戦いに水を差す者はいない。しかし、戦況そのものはむしろさっきより悪化している。

 

「話し合いは終わったようですね。そろそろ、再開といきましょうか……尤も、どちらが勝つかは目に見えていますが……」

 

何せ、ホシノとネルは気丈に振る舞ってこそいるものの、既に大ダメージを受けているのだ。先生が二人の指揮をしたとしても、果たしてどれだけ戦えるか。どうすればこの状況を打開できるか、それを考えたその時だった。

 

「……アヤネちゃんとトキちゃんは?」

 

ふと、ハナコの声が聞こえてくる。そうだ、先ほどから二人の姿が見えない。そのことに気付いた先生は慌ててシッテムの箱を確認し、周辺の生徒を確認する。そこで見た。いつの間にか、タワーの内部に侵入していたアヤネとトキの姿を。そして、

 

「……ッ!?これは!?」

 

王女の口から驚愕の声が漏れたのと同時に、エリドゥから全ての明かりが消え、暗闇に包まれるのだった。

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