転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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名も無き神々の王女とアビ・エシュフ(後編)

 

「明かりが……!?」

「一体、何が……?」

 

突如、エリドゥから消えた明かり。不幸中の幸いなのは月の明かりだけでも十分視界が確保できているところか。しかし、明かりの消えた空間の中に突然放り込まれた全員が困惑してしまう。そしてそれは、王女も同様のようだ。

 

「……演算装置との接続が、切れた……!?」

 

だが、王女が困惑していたのは、その理由がわかったからだった。エリドゥの電源が一旦落とされたことで、アビ・エシュフの高い戦闘力を支えていた要素が消滅したのだ。直後、再び電源が点いたのか、また明かりが戻るも、王女の表情は晴れない。

 

「……一体、何が……?」

『皆さん、大丈夫ですか!?』

 

直後、アヤネから通信が入る。ミレニアムとの通信はまだ回復できていないが、タワーの中にいるアヤネとトキが何かをしたということか。その内容をトキが説明し始める。

 

『エリドゥを演算装置として使用できなくしました。これで、アビ・エシュフの能力は大きく下がるはずです』

「本当に!?」

 

そう、トキが王女とネル達の戦闘の隙を突いてアヤネと共にタワーの内部に潜入し、そこから施設を無力化してきたのだ。

 

「く……」

「つまり、今のお前はインチキもできなくなってるってわけか。いい仕事するじゃねえか後輩」

「アヤネちゃんもありがとうねえ、おかげで何とかなるかも」

『こちらから他にも何かできないか試してみます、気を付けてください!』

 

ネルとホシノも理解したようで、王女を見据える。王女は舌打ちしつつも、ガトリングガンを構える。

 

「攻撃を開始してください」

 

そして王女の指示と共に、Divi:Sion達が動き始める。ここまで余裕を見せていたが、さすがにエリドゥとの繋がりを断たれたとあってはその余裕も崩さざるを得ないということか。

 

「先生、こっちは任せてください!」

「名も無き神々の王女の方を!」

「こいつらは近づけさせないんだから!!」

 

迫りくるDivi:Sionを相手に、ダメージが少ない補習授業部、ゲーム開発部、エンジニア部が中心になって迎撃していく。そして先生がネルとホシノを指揮する形で、先生にとっては初めての、だがネルとホシノからすれば三ラウンド目に入る王女との戦いが始まる。

 

「―――おっと!」

 

ガトリングの連射を盾で受け止める。エリドゥのバックアップがなくとも威力は健在であり、さすがに消耗も大きいためか、盾が弾丸を受ける度に少しずつぶれ始め、ホシノの体も少しずつだが後ろに下がってくる。しかし、しっかりと盾を強く握りしめて弾かれないように細心の注意を払う。その脇から跳び出したネルがサブマシンガンを連射すると、片腕を使って防御すると、レーザーキャノンの砲門を開く。

 

『ネル先輩!』

「っ、バカ!?出てくるな!!」

「ちょっと!?」

 

しかし、ネルと王女の間になんと、アリスが割って入ってくる。今のアリスがレーザーキャノンなんて受けてしまえば、完全にAMASのボディが破壊されてもおかしくない。ネルとホシノの焦るような声が上がる。だが、王女は舌打ちをしながら砲門を閉じて一旦後ろへ跳ぶ。

 

『やっぱり、アリスには攻撃できないんですね……』

「……」

「このバカ!危険な事するんじゃねえ!」

「……なんか攻撃されなかったみたいだけど、本当に攻撃されてたら何が起こってたかわからないんだよ?」

『すみません。でも……ここに来るまでに考えて……知りたかったんです。名も無き神々の王女……あなたは何をしようとしているのかを。何故、アリスを追い出したのに、アリスだけは攻撃しようとしないのかを』

 

ネルとホシノから怒気を含んだ声が聞こえ、それに謝罪しながらも、王女の狙いと意図が何なのか問いかけるアリス。その発言については、二人も気になっていた。先ほどの場面、本当なら絶好のチャンスだったはずだ。何せ、防御の姿勢を見て反撃に転じようとしたホシノの行動をアリスが潰す形になってしまっていたため、一気に三人を仕留められたのだから。それぐらい、シミュレーションせずともわかるだろうに、しなかったということは間違いなく、アリスを攻撃できないと見ていいだろう。しかも、今の攻防でわかった情報はそれだけではない。

 

「今の防御、さっきまでと比べるとちょっと動きが雑だったな」

「確かにね……ということは、シミュレーションも片方しかできなくなってる?」

「成程……アリス……」

『先生。アリスにも戦わせてください。これは、アリスの体を取り戻すための戦いなんです!アリスも、皆と一緒にできるだけのことをしたいんです!』

 

二人の発言から、アビ・エシュフの弱体化は予想以上に大きいと考える先生。同時に、先生からもアリスの行動を窘めるのだが、アリスの強い言葉と覚悟を汲み、彼女も王女との戦いに参加させることを決める。

 

「わかった。皆、一度彼女を取り押さえるんだ!この戦いを終わらせよう!モルフォ!アズサ!協力して!」

「はい!」

「何をすればいい!?」

 

で、あれば、アリスのサポートをしつつ、より戦いを有利に進めるにはどうしたらいいか。そのメンバーを瞬時に選定し、モルフォとアズサに声をかける。Divi:Sion Systemとの戦いは比較的優位に進められている。ネルとホシノの実力は信用しているが、アリスを守りつつ皆のサポートや補佐に回れる人間としてモルフォを、そしてある作戦のためにアズサに声をかけ、前線へと参加させる。

 

「はっ、奴を倒すメンバーはこの五人ってわけか」

「……そうか、五人、か……」

「どうしたの?アズサちゃん」

「……いや、何でもない。あまり意識してなかっただけだったから」

「……無駄なことを……人数が増え、アビ・エシュフの性能を下げたところで、私の優位は揺るがない。意味などありません」

「そんなことないんじゃない?」

 

盾とハンマーを構えながら、王女の言葉に笑みを浮かべて言葉を返すモルフォ。確かに、ネルやホシノがここまでやられた相手だ。それが弱体化されたといってもまだまだ脅威なのだろう。だが、

 

「意味がないかどうかは他人が決めることじゃない。自分で決めることだよ」

「……そうだな。どれだけ虚しくても、今を、最善を諦める理由にはならない」

「そういうことです!」

「皆、いこう!」

 

アズサの言葉に頷くモルフォと、その横顔を見ながら笑顔を浮かべるアズサ。そして先生の言葉を合図にホシノとネルが攻撃を始め、王女もその攻撃を片腕で防御しつつもう片方の腕で攻撃し始める。しかし、それをモルフォが間に入り、事前に雷ちゃんから受け取っていたシールドを構えてガトリングを受け止める。かなりの重みに顔を顰めるもしっかりとその場に踏みとどまって攻撃を受けている中、先生の指示を受けて即座にスモークグレネードをアズサは放つ。王女を中心として煙がばら撒かれるが、王女は視界が封じられる前にアリスが煙の中に入る位置に入ってきたことを確認する。

 

「……く……」

 

苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、周囲の音声を聞き取ろうとする。アリスの位置を確認するためだ。アリスはAMASのボディに入っており、その脚部は車輪だ。そしてそれ以外の人間は足。ならば近づいてくればその音でわかるし、煙の中では向こうだって近づかねば撃つこともできないはずだ。何せ居場所を教えているようなものなのだから。

 

「……!」

 

車輪が激しく動く音が聞こえてくる。そこにアリスがいると気付く。アリスからは攻撃が可能だが、それを受け止める必要もないと、後方へと交代しようとした、その時だった。

 

「っ!?」

 

アビ・エシュフのボディにガトリングの弾が逆方向から突き刺さる。だがそれはあり得ないはずである。が、アリスがいるはずの方角から、モルフォが眼前に現れ、アビ・エシュフを飛び越えるようにジャンプする。

 

「彼女は!?ですが!」

 

そのまま、足音を鳴る方角へとレーザーキャノンを構える。が、さらに煙を突き抜けてネルとホシノが突っ込んでくる。ネルの飛び蹴りとホシノのシールドバッシュを咄嗟に両腕で受け止めるが、

 

「まずい……!?」

 

シミュレーションが、最悪の結果を導き出す。それを回避しようと飛ぼうとしたその時。前方にアリスに乗せられたままモルフォもシールドバッシュの形で突っ込んでくる。それを見た王女は最後の逃走経路である背後を選択。が、そちらへ飛ぼうとしたその瞬間。

 

「……今だ」

「!?」

 

背後で大爆発が起こり、装甲が大きく揺れる。それによって煙が吹き飛ぶ中、王女は理解する。こちらを指差し、指揮を出す先生、彼の采配によって王女の逃走経路へと仕掛けられたアズサの罠が作動したことを。同時に、致命的な情報収集能力の欠如について、知らないのは自分だけだと思い知らされる。

 

エリドゥが使えなくなった今、王女がシミュレーションに必要とする情報を収集するには、自分の五感しかないのだ。アビ・エシュフのセンサーなども稼働させる方法こそあるが、攻撃、もしくは防御だけでも完璧なシミュレーションを行うには、機能をオフにしようがない自分の感覚以外をオフにするしかない。その上で、防御は基本的に自己判断で行い、完璧な攻撃で一人でも多く仕留めなければ勝機はない。既にエリドゥを押さえられた今、時間が経てば不利になるのは自分であるから当然の考えではあったのだ。それを彼女たちはすぐに理解し、王女をハメたのだ。

 

「―――やっと掴んだチャンスだ、覚悟しろよ!」

「まずは……これをもらおうかな!」

 

王女の注意が背後に逸れた一瞬。レーザーキャノンの砲門に、サブマシンガンとショットガンの銃口が突っ込まれ、装填されていた全ての弾丸が吐き出される。その衝撃と威力に砲門が悲鳴を上げ始め、内側で凹み、傷つき、破壊されていく。慌ててレーザーキャノンの機能をオフにし、自爆を阻止することしかできない王女のバイザーに向かって、モルフォがハンマーを叩きつける。だが、バイザーからレンズが割れる嫌な音は鳴らず、先程王女が聞いた、アリスが走る音が聞こえてくる。

 

(!?音、が……変えられ……!?)

 

アリスと思っていたのにモルフォが現れた理由はこれだったのかと、理解する。しかしその時には、大事な武装であるレーザーキャノンの消失、さらにバイザーが破壊されたことでアビ・エシュフから受け取れる情報が減ってしまう。あくまでシミュレーションに必要な演算装置の代わりとして自分を使っていただけで、実際にそれを反映するのはアビ・エシュフ本体、そしてその情報をディスプレイするのはバイザーだ。その出力部を破壊されたせいで、今のアビ・エシュフはただのパワードスーツに成り下がったといっていい。

 

「……さあ、これでもう勝ち目はないぜ?」

「それにしてもアズサちゃんもやるねぇ。随分トラップのかけ方が年期入ってるじゃない。で、もういいんじゃないの君も」

「ああ、トラップの設置はずっとやっていたことだったから。それよりも……アリスに体を返してやれ」

「……もう、世界を滅ぼすとか、そういうのは諦めて降参してよ」

 

距離を取り、警戒心を緩めることなく王女を見ながら、降参しろと暗に告げるネル。他の三人もそのように告げる。王女は使い物にならなくなったバイザーを外し、その下にある赤い瞳を見せながら、渋い表情を浮かべる。しかし、まだ戦う意思を捨てない彼女を見て、それぞれ銃と盾を握る力が強くなっていく。

 

「……私は名も無き神々の王女。世界を滅ぼすAIにして終焉をもたらすもの。その役割を果たすために……」

『嘘はおやめなさい。名も無き神々の王女を騙る偽物』

「!?」

「この声は……ヒマリ?」

 

ふと、戦場にヒマリの声が聞こえてくる。エリドゥの設備を用いて流されたその音声に、王女の体があからさまにビクッと反応する。

 

「ヒマリ先輩!通信が急に切れてびっくりしたんですよ?大丈夫ですか?」

『ええ、こちらは襲撃などを受けたわけではありませんので』

『彼女がエリドゥを使ってジャミングを仕掛けていたの。トキが再起動してくれたおかげでジャミングは消えたけど、エリドゥの書き換えられたセキュリティをコユキにこじ開けてもらってエリドゥをこちらで押さえたのよ』

「……コユキが?」

『にはは、なんか人手足りないからとりあえずこれやってくれってリオ会長に言われたのでやっただけですよー。とりあえず皆さん大丈夫そうでよかったです!』

 

リオから、通信が途絶えた後、どうやってそれを復旧させたのか語る。リオは助っ人としてコユキを呼び出し、彼女にエリドゥのセキュリティを破壊させたのだ。その結果、こうしてエリドゥの設備を使って王女にも聞こえる形で通信を流せるようになっている。

 

「……それで?こいつが偽物ってのはどういうことだ?」

『それは……』

「何を言うかと思えば……人間とは随分、愚かなものですね。言うに事欠いて私を偽物呼ばわりとは……」

 

ヒマリの発言を遮るように、王女が怒りの声を張り上げる。だがその発言はまるで、真実を知られたくない、そう言っているかのような必死さがあった。

 

『……KEY?』

「っ!?やめなさい!!その名は……私の名前ではない!私は……名も無き神々の王女!!私が、名も無き神々の王女なんだ!!」

 

そんな彼女の様子を見て、アリスがぽつりと呟いた言葉。それを聞いた瞬間、激高したように、ガトリングガンを撃ち始める。その勢いは止まることがなく、モルフォとホシノが構えた盾の後ろにアズサとネルがそれぞれ入って隙を伺うも、全くそのチャンスが見えない。

 

『……今のあなたを見ていたら、アリスにあったセーブデータから、そのような用語が出てきたんです。もしかして、あなたは……』

「黙ってください!」

『……アリスは全てを知ります!だから……もう止まって―――!?』

 

狙われていないためにそのまま棒立ちとなっていたアリスがガトリングを構え、アリスが撃とうとする。しかし、そこでアリスは気付く。もう弾が入ってないことに。

 

「そんな、弾切れ……!?」

『いえ、まだです!!』

『先生、今から、レールガンを落としますよー!』

「この声は……ノノミ!?いつの間に中に!?」

『私が呼んだんです!アリスちゃんの銃があって……レールガンの火力なら、必要になるはずだと、運ぶためにノノミ先輩に声をかけて、気付かれないように上がってきてもらったんです!』

『ちなみに私がタイミングは見てたよ!』

 

そこに、アヤネ、ノノミ、アスナの声が聞こえてくる。ノノミがタワーの方に必要だと判断したアスナがいつの間にか彼女と共に抜け出してそちらに移動し、トキ、アヤネと共にアリスのレールガンを運んできたのだ。そして運ばれたレールガンは。

 

『アリス!これを使ってください!!』

 

トキの声と共に窓ガラスが割れる。それと共に、黒い影が空中に投げ出されたのを見たアリスは全てを理解すると、スプリングなどを駆使し、その場から跳躍する。そして、月をバックにスーパーノヴァをアリスは掴み取る。

 

『これが……ここまで皆が繋げてくれた、勝利の鍵です!』

「っ―――!」

 

それを、王女へと構える。銃口に光が集まっていき、エネルギーが充填される。その間、王女はガトリングを四人に撃ち続けるものの、もう動くことはできないでいた。それは、ちょっとでも攻撃を緩めればそこを突かれると思っているからか。それとも―――

 

『KEYよ!光になれ―――!』

 

スーパーノヴァから放たれた光が、王女へと迫る。その光を目前にした王女は、そこで初めて、心の底から安らいだような、笑みを浮かべる。

 

「……王女よ、それでよいのです―――」

 

そして光が王女を呑み込み、Divi:Sion達は全て、その動きを停止するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よし。ここはこうして……」

 

王女、いやKEYが意識を失い、Divi:Sionが全て機能を停止したことで、戦いは終わった。すぐにタワーの中に入り、電力が集中している部屋に王女を移動、そしてエンジニア部がダイブ装置を接続していく。

 

「よし、アリス。これでダイブできるはずだ」

「アリス……私達も一緒に行くよ」

『いえ、大丈夫です』

 

エンジニア部が作業している様子を見ながら、モモイがアリスに同行すると告げる。しかしアリスは首を横に振り、その必要はないと言う。

 

「いいの?普通に攻撃されたり……」

「確かに今は意識を失ってるとはいえ、あまりに無防備すぎない?」

 

何度か、アリスがDivi:SionやKEYから攻撃されないところを見ているモルフォ達はアリスが一人で行く根拠として掲げているものを知っているが、その光景をまともに見ていないC&Cや対策委員会としては危険な行動にしか見えなかったのだろう。唯一、その瞬間や、アリスの発言を聞いて動揺するKEYの姿を見ているホシノとネル以外は不安しか感じ取れない。

 

『大丈夫です。アリスは、真実を知りたいんです。それを彼女に……KEYに聞きにいきます』

『KEY……つまり、それが本来の関係性ってこと……?』

『……アリス。これはあくまで仮説でしかないけど……』

『リオ会長、チヒロ先輩、大丈夫です。皆さんがアリスのために色々考えてくれたと思います。ですが、こればっかりはアリスが自分で確かめたいんです。アリスの言葉で、何でこんなことをしたのか、アリスに何をしたかったのか、全部聞きたいんです』

『……わかりました。ただ、何かあればすぐにこちらから援護します』

『それで充分ですよ』

 

向こうにいる三人に礼を言い、次にアリスは先生を見る。

 

『先生、ここまで来てもらってありがとうございます。でも、ここからはアリス一人に行かせてください』

「名も無き神々の王女……ううん、KEYって子を助けに行くんだね?」

『はい。彼女は必死になってアリスの代わりに何かをしようとしていました。その理由を知って、もしそれで苦しんでいるなら助けないといけない……アリスの代わりをやる必要はないんだって。居場所は、あり方は自分で決められるって。それを、先生が示してくれましたから。今度はアリスから伝えようと思います』

「そうだね。アリスの言葉をちゃんと伝えてあげて。そして……アリスを助けようとしていたその子を、助けよう」

『はい!』

 

そして、先生から視線を外し、モルフォを一度見る。アリスから見れば、モルフォもまた、居場所、そしてゲーム開発部というあり方を自らの意思で選んだ人間なのだ。そして、彼女を導いたのは先生だと。

 

『ヒフミさん達も、アリスのために力を貸してくれてありがとうございます』

「当然ですよ、友達なんですから!」

「ここまで来たんだから、ちゃんとそのKEYって子、助けてきなさいよ!……アリスだけは攻撃しようとしてなかったり、正直悪い子には見えないのよね……改めて考えると……」

「……ああ。それに、アリス。君が言ったように、居場所やあり方は、決められるものだと、私も思う。そして、所属も、場所も関係なく、こうして手を取り合えるって……そう思えたから。だから、彼女だって、その道はあると思う」

「きっと、アリスちゃんなら大丈夫ですよ。変に飾らず、仮面を被らず、本当の気持ちをずっと伝え続けてきていますから」

 

そして、補習授業部の面々も、アリスの選択を尊重し、エールを送ってくれる。続けて、対策委員会の皆を見る。

 

『ホシノさん達も、ありがとうございます。皆さんが来てくれなかったら、アリスはここまで来れませんでした』

「うへへ、気にしなくていいよぉ~。それに、私達もゲーム開発部には助けられちゃったしねぇ」

「ん、もしモルフォ達が来なかったら、土地の事全然気付けなかった」

「翌日が凄いことになりましたが……まあ、裏を返せばカイザーに悪手を踏ませられたと考えると悪くありませんからね」

「それに、色々楽しいゲームとかもやらせてもらったし?ちゃんとお返しはしないとでしょ?」

「私達も、モルフォちゃんやアリスちゃん達の力になりたくて来たんだよ。だから、気にしないでね」

 

ここまで一緒に来て、KEYと戦ってくれた。もし彼女たちがいなければ、ネル達だけではおそらく王女に敗北していただろうし、自分達が駆けつけるまでの時間を稼ぐこともできなかっただろう。全員で力を合わせて掴み取った、ギリギリの勝利だった。そして、その勝利を最後に飾るためにも、このダイブは一番重要なのだ。

 

「アリス、準備ができたよ」

『……では皆さん、行ってきます』

「頑張ってね、アリス!」

「待ってるからね」

「帰ったら、またゲームしよう!本当のアリスちゃんの体で!」

「アリス……行ってらっしゃい」

 

ウタハが準備ができたと告げる。C&Cが無言で頷き送り出し、ゲーム開発部の皆から声援を受け、アリスはもう一度、KEYと話すために、自分の体へと戻っていくのだった。

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