転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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幕間3
便利屋68とスクライド


シャーレの一室。今日の分の手伝いが終わり、空いた時間で、今日の当番であったアルは、シャーレの仕事を共に手伝っていたモルフォと共にあるアニメを見ていた。

 

「か……恰好いい……!」

 

そこにいた青年は普段は甲斐性無しのろくでなし、ついでにクズでウスノロだ。しかし決めるときはバッチリ決める。そんな二面性、そして戦いとなれば容赦なく、だが迷いすらしないその姿に、アルはすっかり夢中になっていた。

 

「このカズマという男……凄いわ!まさにアウトローよ!」

「アウトロー……まあ、アウトローですね」

 

カズマ。そう呼ばれる青年が戦っていた。アルとモルフォが見ていたアニメの名はスクライド。ロストグラウンドと呼ばれる島を舞台とした、アルターと呼ばれる能力を持つ者達の物語である。主人公の一人、カズマは、親友の君島と共になんでも屋を営んでいた。普段は情けない青年を演じ、かなみと呼ばれる少女に尻に敷かれる生活を送りつつも、裏では危険な仕事を請け負う彼はある日、もう一人の主人公、劉鳳と呼ばれるHOLYに所属するアルター使いに敗北してしまう。しかし、その敗北をきっかけとし、劉鳳との因縁が始まることになる。

 

「というかこの劉鳳という男も一々動きが恰好いいわね……!凄くスマートで……まあ治安維持組織だからそっちよりなのはあれだけど……」

「ま、まあ……でも、恰好いいですよね」

「それに、他のアルター使いも大分濃いわね……」

 

アルター能力は多岐に渡る。右腕を変化させ、背中の三枚の羽を一枚ずつ消費することでブーストし、高い威力の攻撃を放つカズマのシェルブリット、遠隔操作される人型のアルター、絶影を生成する劉鳳。それ以外にも、車を改造し、その性能を高めるラディカル・グッドスピードを操るストレイト・クーガーを始め、様々なアルター使いが登場する。

 

『太いんだよ!硬いんだよ!!暴れっぱなしなんだよ!!!』

『僕の……僕の大事なタマをぉおおおおおお!!』

『一言一句変えることのない完璧なドラマ!そう!!この私こそ、偉大なる脚本家であるこの雲慶こそが物語の神なのである!!!』

『助けて!僕の!!スーパーピンチクラッシャー!!!』

 

HOLYに所属する、巨大なビッグマグナムの立浪ジョージ。タマを操るエタニティ・エイトの橘あすか。相手を脚本通りに動かし、洗脳に近い能力を発揮するマッド・スクリプトの雲慶。巨大ロボ、スーパーピンチクラッシャーのエマージー・マクフェル。そして味方側には、周囲の無機物を水に変換するアルター能力使い、寺田あやせなどが登場し、様々なキャラと信念が入り乱れる。

 

HOLYとの戦いの果てに、カズマが住むインナーの能力者達、ネイティブアルターの仲間たちはカズマを残して本土と呼ばれる島の外へ連れていかれてしまう。だがカズマもまた、アルターの森と呼ばれる場所で劉鳳と因縁のある雷を操る謎のアルター使いと遭遇。彼との戦いを経てシェルブリットを進化させるのだが、そんなカズマにある避けられない悲劇が訪れてしまう。

 

「!?」

『意地があんだろ、男の子には!!』

 

HOLYによる、ネイティブアルター狩りの被害は、遂にカズマとかなみが住んでいた場所にまで及ぶ。攻防の最中、君島はかなみと共に拘束されてしまう。だが、同時に拘束されていた他の住人たちの助けを受けてどうにか脱し、かなみを安全な所へ移動させ、カズマの元へ向かおうとするのだが、君島の体を凶弾が貫いてしまう。

 

「君島……!」

 

アルが生唾を呑み込む。アルター使いのカズマは銃を連射されようがお構いなしに突っ込む男だ。君島だって大丈夫なはず。何せ車を運転しながら、痛みに顔を顰めながら銃を撃っているのだから。そして、君島は力を振り絞り、カズマの元へ向かうと、カズマの力と自身の作戦で戦況を打開する。

 

『もっと!』

『もっと!』

『もっと!』

『『輝けええええええ!!』』

 

シェルブリットを進化させ、君島の作戦によって戦闘に勝利する。カズマと君島のコンビの強力さを見せつけるのだが、トドメの一撃を放つカズマの姿を見届けようとする君島の姿は、まるで自分の最期を悟っているかのような―――

 

『カズ君!カズ君!!』

 

そして、戻った二人を見て、笑顔でカズマに駆け寄るかなみ。だが、かなみは気付いてしまう。既に背中に背負われている君島が死亡していることに。そして、泣きだす彼女の姿を見て、カズマは初めて、気付く。

 

『君島……?おい……起きろよ、君島……?』

 

相棒が、友が死んでいることに。

 

「え?待って?え?これ本当に死……?」

「……」

 

アルに問われるも、モルフォは無言のまま。その無言こそが、君島の死亡を肯定するものとなってしまう。それを証明するかのように、次回の冒頭では、君島とカズマの初めての出会いが回想される。彼との思い出を回想しながら、HOLYの部隊を潰しにかかるカズマ。怒りのままに暴れた目的は君島の車。銃撃によって穴だらけとなったその車を前に、カズマは泣き叫ぶ。その後、カズマの家の前まで車と君島の遺体を運んだカズマは、彼の遺品である銃を手に、別れを告げる。涙を流すかなみに優しい声で語り掛けるが、HOLYを見つけたカズマは再び彼らを叩き潰すために戦いに向かう。だが、入れ替わるように劉鳳たちがかなみの下に現れてしまう。

 

「あっ……」

 

仲間達を襲ったカズマに怒りを燃やす劉鳳の暴挙によって破壊されるカズマとかなみの暮らす家。お互いがお互いの大切な仲間を傷つけられ、遂に二人は怒りのままに激突することになる。

 

『……故に!』

『……だから!』

『貴様を裁く!』

『仇を取る!』

『貴様が!!』

『てめえが!!』

『『貴様(てめえ)が俺の敵だああああああ!!!』』

 

シェルブリットと絶影のぶつかり合いは尚も激しくなる。絶影を真・絶影へと変化させ、一回り大きく素早く、力強くなったアルター能力でシェルブリットを打ち破る劉鳳。右腕を砕かれながらも吹き飛ばされたカズマを消し飛ばすべく、全力を叩きつける劉鳳。カズマと、お互いに咆哮を張り上げ激突すると、その余波が周囲一帯にまで広がっていく。

 

「……凄い……でも。悲しいわね……」

「ですね……」

 

かなみが、夢でカズマへと語り掛ける。激しさが落ち着く中、ゆっくりと立ち上がったカズマめがけて、真・絶影が迫る。

 

『負けないで……!』

『ああわかってる……いこうぜ君島ァァアァアア!!』

 

そこでカズマが取り出したのは君島の遺品である銃。それを放り投げ、自らのアルターとしてそれを取り込み、一回り巨大な拳となり、背中がプロペラ型となった新たなシェルブリットを生み出す。

 

『君島……この光は、俺とお前の輝きだぁあああああ!!シェルブリットォオオオオオ!!!』

 

シェルブリットの力が増していくと同時に、大地が割れ、岩が立ち上り隆起していく。暴走するシェルブリットが砕けると同時に、カズマと劉鳳は、謎の異空間へと飛ばされてしまう。決着をつけるために生み出したシェルブリットが消滅し、謎の異空間に飛ばされ、失意に沈むカズマ。背負うものも友人も。全て失ってしまったカズマは、それでもと劉鳳を睨みつける。だが、その劉鳳は、カズマの背後に見た。自分にとって因縁のあるアルター使い。過去に母を殺した張本人であるアルター使いを。

 

『貴様ぁぁぁ!!』

 

二人のアルターの暴走が、完全な再隆起現象を引き起こす。海が荒れ、大地が砕かれ、天変地異がロストグラウンドで発生する。異空間の中で、謎のアルター使いを攻撃しようとする劉鳳の前に、背後にいるその存在を認識していないカズマが立ちはだかり、殴りかかる。そして二人の拳が交わった次の瞬間、激しい光と共に場面が移り変わり、変わり果てたロストグラウンドが広がる。

 

「……こ、これ、この先どうなっちゃうの?」

「ここから後半って感じですね。どうでした?ここまで見て」

「いやもうほんと……アウトローよね……とにかく熱くて、まっすぐで、そして躊躇しない……!何より、人質すら気にせず攻撃するその胆力も本当に恰好よくて……あ、劉鳳の方も格好悪いわけじゃなくてね……いや格好良さで言えば全然負けてないしむしろ正統派みたいな感じもあるんだけど……やっぱり秩序側なのはね……」

 

判断基準そこなんだ……と思うが、元よりアウトローに憧れを抱いている彼女だ。やはり何でも屋を営み、平気でグレーな事をやり出すカズマの方が惹かれるものなのだろう。

 

「……あれ、二人ともまだ帰ってなかったんだ。時間は大丈夫?」

 

と、ここで部屋の扉が開かれて、先生が姿を現す。モルフォとアルは互いに顔を見合わせてから時計を見ると、そろそろ出ないとまずい時間帯になっていることに気付く。

 

「ほ、本当だわ……すっかり夢中になってしまってたわね。でも、まだ前半なのよねこれ……」

「残り持って帰って観ます?」

「え?いいの?」

 

モルフォからBDを差し出され、思わず戸惑うアル。そんな簡単に渡していいものなのかと不安そうに考える彼女にモルフォは笑いながら答える。

 

「大丈夫ですよ、アルさんや便利屋の皆さんも知ってるでしょうし。これを外にさえ出してくれなければ」

「じゃ、じゃあ借りさせてもらうわ。このアウトローの物語……その結末までバッチリ観させてもらうわよ!」

 

モルフォの厚意に甘え、BDを受け取ったアルもまた、笑顔を浮かべながら大事そうにそれを抱きしめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、借りてきたってこと?」

「ええ!凄いアニメだと思わない!?」

「まあ、確かに面白いけど……」

「そ、そうですね……」

 

便利屋68の事務所に戻ったアルは、早速皆にスクライドの事を話し、第二部にあたる再隆起後の話に入る前にまた一度、最初から見直していた。

 

「まあ、確かにアルちゃんはこういうセリフ回しとか好きそうだよねえ」

「当たり前よ!言葉一つ一つ取っても痺れるものがあるわ……敵だって一話限りの登場の人もそこそこいるのに皆キャラ立ってるし……」

「明らかに治安維持組織側がきな臭いのは色々気になるけども……で、こっからは社長も見てないんでしょ」

「ええ、そうよ!ここからは未知のステージってやつよ!」

 

そして、二人の対決によって生じた再隆起現象から八ヶ月が経過したロストグラウンドを舞台に第二部が始まる。劉鳳やかなみを探すクーガーと、HOLYから除隊されたあすかと、幼い頃劉鳳と出会い、今も彼を想う幼馴染、桐生水守。HOLY部隊として劉鳳を探す瓜核とシェリス。山奥でならず共達に捕まり、無理矢理労働させられていたかなみと、彼女の下に現れた記憶喪失の劉鳳。賭け試合という危険な戦いの中で、背負うものを全て失い、己の命すらも背負うことを止めたカズマに、本土から現れ、ロストグラウンドの全権を握り、HOLYを実質掌握したアルター使い、無常矜侍。八ヶ月という時間は、あまりに多くのものを変えてしまっていた。

 

「……な、なんか凄いことになってるけど……カズマは早くかなみの所に行きなさいよ……!」

「……劉鳳の方もエラいことになってるけど……」

 

記憶を失った劉鳳は、ならず者からかなみ達を救い、新たな生活の拠点を守っていた。そこに、シェリス達が現れるも、記憶喪失の劉鳳はHOLYに戻らないことを決める。雲慶のマッド・スクリプトと、来夏月爽のアルター能力である三人の少女達、常夏三姉妹が記憶喪失の劉鳳に新たな記憶を刷り込み洗脳しようとするも、カズマの姿と声を思い出したことでマッド・スクリプトの呪縛から目覚め、全ての記憶を取り戻した劉鳳は常夏三姉妹達こそ逃がすものの、雲慶を再起不能に追い込む。だが、この強引な作戦の結果、シェリスもHOLYから離反。今回の不明な情報を知るために瓜核だけがHOLYへと戻ることになる。

 

「……すっかり変わっちゃいましたね。少し前の話では全員一つの組織だったのに」

 

ハルカが少し寂しそうに呟く。だが、危機が迫っていたのは劉鳳だけではない。賭けバトルから出て行ったカズマの下にも、本土で精製を受け、アルター能力を強化されたあやせが同じネイティブアルターの仲間であったビフ君と共に強襲。周囲を海水へと変化させ、相手を呑み込むノーブル・テンペストで戦意を向けないカズマに襲い掛かる。そんな中、洞窟の中にカズマが逃げ込んだことで監視の目が解かれたことを利用し、あやせは再会を喜ぶようにカズマに抱き着くと真実を告げる。

 

本土へ送られたアルター使いは能力解明の材料となることを。アルター使いは、大隆起現象によって別の世界の扉を開いてしまったと。その世界にアクセスすることで物質を変換し、己のエゴを具現化させる。そして本土で精製を受けパワーアップしたあやせは、カズマに向こう側を見ているであろうことを告げ、一緒に本土に来てほしいと懇願する。

 

「……このあやせって人……カズマのことを」

「あ、やっぱりカヨコっちもそう思う?」

 

あやせからは隠せないカズマへの好意が感じ取れた。だが、カズマはその頼みは聞けないというとあやせは、病気に倒れた弟の治療のために協力していると言い、かつてカズマに言われた台詞を告げる。目の前に壁があるならそれを叩き潰すと。お互いに、相手が目の前の壁だと告げたあやせは、再びアルター能力を解放し、カズマを倒そうとする。そしてカズマが遂に力尽きようとしたその時だった。

 

『おい!何してんだ、ボケっとしてんじゃねえよ。らしくねえぞカズマ』

 

聞こえたのは、君島の声だった。しかしカズマはもう命を手放そうとするかのように彼から顔を背ける。しかし、

 

『こんなところで愚痴って何になる?決めつけんな、やるんだよ。ふっ、そういうお前のダチだったんだぞ、俺は』

『……なんだよ卑怯じゃねえか。俺ばっかり苦しい思いさせてよぉ、たまんねぇよ君島……たまんねえ……』

 

その声に突き動かされるように立ち上がる。そして、ノーブル・テンペストの海を裂いて、カズマは復活。まだ、君島を背負っていると。そう気付き立ち上がったカズマをあやせは攻撃しようとするも、ここで弟が治療の甲斐も虚しく死亡してしまったことを知り、戦意を喪失すると同時にアルターにひびが入っていく。

 

『そうだ……死ぬのが怖いわけじゃない。何もせずに死ぬのが……怖い。何の証も立てないまま、朽ち果てるのは……それだけは……死んでもごめんだぁああああ!!』

 

闘志を漲らせ、あやせへ攻撃するカズマ。だが、戦う理由を失ったあやせのアルターが崩壊し、涙を流す彼女を見て攻撃を中断し、抱きかかえるカズマ。しかし、精製の影響で肉体も限界を迎えた彼女は、カズマの腕の中で最期を迎えてしまう。その姿を見て、悲しみの声を上げるカズマ。だが、そこに敵、無常が現れ、衝突することになる。あやせらを精製した黒幕である無常との衝突の最中、アルターをより強力に発揮するカズマ。その姿が向こう側と繋がる光の中へと消えてしまう。そして、その光は、ロストグラウンド中から見ることができ、新たなうねりを生み出そうとしていた。

 

「……うわぁ、こいつは酷いや」

「こ、こんなのってないわよぉ……!なんでカズマの方ばっかり人が死んでいくのよぉ……」

「……となると、揺り戻しが来そうなものだけど……」

 

光の柱を目指すかなみを劉鳳が追い、水守、あすかと再会を果たした頃、カズマの下にもクーガーが現れる。彼から、劉鳳とかなみが一緒にいる事を聞かされ、カズマはかなみの下に戻ることを選ぶ。だが、劉鳳がかなみと共に発ったことで残された人々を守るために残っていたシェリスの下に、HOLYが強襲。常夏三姉妹とダース部隊と呼ばれる仮面をつけたアルター使い、ビフ君達によって人々は眠らされ、人質にされてしまったことで戻ってきた劉鳳も迂闊に手を出せなくなってしまう。そして、本土から身柄を求められていた水守を手に入れると、ビフ君に命令を下し、人質を纏めて殺そうとする。それを見て、涙を流し懇願するかなみ。すると、まるでその声に呼応するかのように、カズマが現れ、ビフ君の強化されていたアルターを一撃で打ち砕いたのだ。

 

「おぉ……!」

 

迷い、逃げていた自分を捨て、前に進むことを、欲しいものを奪い取ることを決めたカズマ。完全に復活したカズマの乱入によって完全に形勢は逆転。劉鳳達の反撃を受け、水守も奪還されてしまう。追い詰められた来夏月は三姉妹の真の姿、バーニングサマーを解放。醜い化け物になったバーニングサマーは熱量を操り、人質を使ってカズマと劉鳳を追い詰める。だが、カズマが人質を気にせずに攻撃し、バーニングサマーを粉砕する。

 

『人の話を聞かないのですかああああああ!?』

『輝け……!もっとだ、もっと!もっと輝けええええ!!』

 

戦闘が終わり、カズマに駆け寄るかなみ。その姿を微笑ましく水守達が見守る中、来夏月はビフと共に撤退する。だが、ダース部隊は残っており、仮面を剥がしてその正体に気付く。それは、本土に送られたネイティブアルター達。精製によって精神を歪められ、アルター能力すら捻じ曲げられたのだという。そして真なる敵の名、無常の名を遂に劉鳳もまた知ることとなるのだった。

 

「……やっと再会できたわね……」

「でも……無常にかなみも狙われてますよね……?」

「まだまだ終わらなさそうだねー、しかもこの二人相変わらず喧嘩ばっかりだし」

「でも……いつものカズマが戻ってきた感じよ!こうよこう!一度決めたらまっすぐに、人質すら気にせず突っ込む!これぞザ・アウトロー!」

「まあ、あそこまでやられればいっそ清々しいか……」

 

束の間の平穏が訪れるも、ビフの襲撃によって、かなみが連れ去られてしまう。さらに無常は、劉鳳の父が自殺したことや、かなみの居場所などを告げて煽りながら、衛星ホーリーアイによって宇宙空間からアルター使いを攻撃しようとする。それを阻止するため、カズマと劉鳳がアルター能力を発動し、それを破壊する。だが、それこそが無常の向こう側への扉を開かんとする策略。それによって、無常は扉の中にいた、劉鳳にとって身内の仇であるアルター使いを掌握してしまう。そして、ホーリーアイを破壊したカズマと劉鳳はそのまま無常が待つ敵の本拠地へと突撃する。

 

「……全く、本当に仲悪いな……口喧嘩は止まらないし、二手に分かれるわ……」

「でも信頼しちゃってるんだから面白いよねぇ、仲良しじゃん」

 

水守やシェリス、クーガーらも二人を追いかけて移動を始める中、カズマは本土によって精製され意識すら失っていたビフを撃破。ビフは最後に自らの意識を取り戻し、共に襲っていたダース部隊を道連れに死んでしまう。一方劉鳳は、HOLY隊長であるマーティン・ジグマールと交戦。強力なアルター能力、アルター・エイリアスで自らを老化させながら劉鳳を追い詰めるジグマール。だが、ジグマールは劉鳳の母を襲った謎のアルター使いは、結晶体であると言い、向こう側から劉鳳を求め現れたと告げ、劉鳳を激昂させるために敢えて悪を演じる。その振る舞いは、実を結び、劉鳳は絶影の最終形態、融合装着型へと進化し、その全身に絶影を纏った姿を手に入れる。

 

『いらない……命さえ……』

 

無常に掌握され、深層心理にアクセスするアルター能力を自由に使われているかなみが、劉鳳の想いを口にする。抱き続けた信念と理想を極限まで渇望して得た力は、遂にジグマールを凌駕し、撃破する。しかし、アルター能力の副作用で老化したジグマールは、劉鳳、そしてその場に駆け付けた瓜核と、彼といた息子、イーリャンに自らの思いを託し、息を引き取ってしまう。

 

「……み、自ら敵役を担うなんて……」

「……こうなるか……」

「え?カヨコ、それってどういう……」

「……続き見るよ」

 

隊長として、部下を、そして父として子を想う彼の気持ちは本物だった。その別れに嫌な予感を既に感じつつ、続きを見ていく。内部に突入したクーガーは無常と交戦し敗北。一方、結晶体と遭遇した劉鳳はもう一度あの姿になろうとするも、アルターを吸収されてしまい、腹部に穴を開けられ、力尽きてしまう。だが、劉鳳は生き返ることになる。彼の下に駆け付けた、シェリスの命を代償として発動されたアルター能力、エターナル・デボーテによって。

 

「わ……あぁ……」

「命も全てを賭けて……!」

「は、ハルカちゃん?あんまここまでのは影響されない方がいいんじゃないかなぁ?」

 

生き返った劉鳳は、シェリスが身に着けていた衣服だけがその場に残っているのを見て、何が起きたのかを察してしまう。そこに合流してきたカズマも、シェリスが死亡したことに気付く。そして、涙を堪え、我慢しようとしている劉鳳の胸倉を掴む。

 

『おい……何を我慢している……!お前は今、泣いていい!』

『っ!』

『泣いて……いいんだ……』

 

カズマの言葉が引き金となったかのように、劉鳳の目から涙が溢れ出す。そして彼の泣き叫ぶ声が響き渡る中、カズマもまた、君島を、あやせを、ビフの姿を思い出し、その瞳から静かに涙を流していた。

 

「……さ、さすがにこれ以上はないわよね?いやもう、さっさとあの無常とかいうイカれ野郎をぶちのめしてもらわないと嫌よ!」

「まあー……これはちょっとねぇ……いい加減さっさとぼこぼこにされて欲しいよね」

 

遂に、かなみと無常の下に辿り着くカズマと劉鳳。ここまでの連戦で限界を迎えているが、それでも闘志を絶やさず、二人は無常、そして無常が呼び出した結晶体とそれぞれ最後の決戦を始める。お互い、追い詰められ、消耗し、苦しみ、命すら潰えようとしたその時。限界を超え、壁を打ち破ったカズマは、左腕をシェルブリットに変化させる。

 

『意地があんだよ、男の子にはなぁ!!』

 

そのアルター能力を、無常は吸収しようとする。だが、それすらも超える力を、カズマは発揮する。

 

『いらねぇ……俺は他に、何もいらねえ……!』

 

その思いは、ただ目の前の敵を叩き潰す、それだけの感情は、かなみの力を通じ、劉鳳にも伝えられていた。それを聞き、劉鳳もまた笑う。自分は愚かだったと言わんばかりに。

 

『そうか……そうだったな……この期に及んでも、俺はまだどこかで俺自身を守ろうと……だが!もう何もいらない!シェリス……君も、そう想うだろう……』

 

シェリスが身に着けていたアクセサリー。彼女の遺品を取り出した劉鳳は、それを用いた再構築によって、全身に絶影を纏う。時を同じくして、その想いはカズマにも伝播する。

 

『倒す!』

『そうだ!』

『『貴様(てめえ)を倒す!!ただそれだけだああああああ!!!』』

 

そして、カズマもまた、全身にシェルブリットを纏った、新たな姿へと変質。無常の力を凌駕。向こう側へと放り込まれ、怪物となって這い出ても尚、カズマには敵わず一蹴され、完全に消滅。劉鳳もまた、結晶体を向こう側へと還すことで、遂に戦いは決着するのだった。

 

「……終わったのね……」

「いやぁ、最期が無様だったね。あそこまで落ちぶれてそれを思いっきりぶん殴る!あはは、スカっとしたよ!」

「……でも、ここから後二話残ってるわけでしょ?何するの?」

 

無常が消え、ロストグラウンドは少しずつだが復興の兆しを見せ始める中、劉鳳とカズマは、それぞれ水守とかなみと再会する。そして、言葉を交わすと、彼女たちの下から離れ、向かう。戦いの場へ。本土からロストグラウンドに向かう、大量のアルター能力者達を前に、二人は圧倒的な力で蹂躙を開始する。たった二人で、戦い続けるその雄姿を、アルター能力で感じ取り、自分もまた、前に進もうとするかなみ。そして、三ヶ月の月日が流れ……再びカズマと劉鳳は対峙していた。

 

「こ、これは……決闘、いや、喧嘩……!!」

 

やり残していたこと。全身全霊をかけた、喧嘩。いつ果てるともなく続く、激しい死闘。ロストグラウンド中の面々がその死闘を見守る中、互いにアルター能力すら発動できなくなる程に消耗し、最早意地だけで立ち続け、泥臭く戦い合う二人。そして、死力を尽くし、お互いの手にアルター能力が生み出され、それをぶつけ合うと同時に二人は倒れてしまう。だが、一本の手が、勝者を告げるかのように、土煙の中、上空に突き出され、エンディングと共に場面が切り替わっていく。まるで、勝者がどちらなのかを見る人物に委ねるかのように。

 

『この毒虫共が……!信念無き行いは悪以外の何物でもない!その悪を俺は憎む!』

『どうした……意地を見せてみろ!そんでもって喧嘩だ!喧嘩をやってやらあああああ!!』

 

そして、二人が戦い続ける姿と共に、スクライドの物語は幕を閉じる。そして、スクライドを見終えたアルは、手に汗を握りながら、大興奮した表情を浮かべていた。

 

「ああ……これが、真のアウトローなのね……!」

「まあ……アウトローというかチンピラというか……チンピラも突き詰めればこうもなるというか」

「あはは、でも面白かったしいいんじゃない?」

「そ、そうですね……この前アビドスで見たアニメも面白かったですけど、これも……」

 

すっかり夢中になって目を輝かせるアルを見ながら、楽しそうに笑うムツキ。その様子を見ながら、やれやれと言った様子で、だが満更ではなさそうなカヨコに、過去に見た遊戯王5D'sの事を思い出していたハルカ。ともあれ、面白いアニメを見せてくれたのは事実であり、アニメの感想について四人は話し始めるのだった。

 

その後、便利屋68がある依頼を受けた際にアルが人質を一切気にせずにターゲットを仕留めた結果、人質が入院する騒ぎになってしまい、依頼主にブチギレられて報酬から治療費代と称して大量の減額を喰らい、「なっ、何ですって――――!?」と叫ぶことになるのだがそれはまた別の話である。

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