転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「……そういえば、これもあまりやっていなかったわね」
エデン条約の調印式も近づく中、一度シャーレの当番に来てみたらどうかと言われたヒナ。そのように先生に言われたのならば受けない理由もないし、一度シャーレには実際に足を運んでみたいと思っていたため、その提案を受けることにした。なお、その裏では他の風紀委員会の面々と先生が協力して最近過労気味のヒナをどうにか休ませてあげようとしているのだが、その事実をまだ彼女は知らない。
「……ほんと、いつぶりかしら。最後にやったゲームは……テイルズ・サガ・クロニクル2ぐらいだし……」
ヒナが手に取ったのは、ゲームガールズアドバンスSPだった。ゲームは基本的に積んでいるヒナであるが、帰宅して偶然目に入ったのがこれだったのもあり、思わず手に取ってしまっていた。そして一度手に取って電源を入れてしまえば、久しぶりにやってみるのも悪くないかと思ってしまい、起動してみる。入っていたのは2Dの格闘ゲームであり、久しぶりにオンラインに接続してみると、あまりに長くランクマをやっていなかったせいか最低ランクにまで落ちてしまっていた。
「……まあ、しょうがないか……」
やるのは随分久しぶりでキャラの動きはぎこちないものの、それでも覚えてはいたのもあり、ブランクを徐々に解消しながらランクを上げていく。最初はちょっとした暇つぶしのつもりだったが、次第にゲームをすることに夢中になってきており、気付けば中間ぐらいのランクまで戻り、次のランクへの昇格が見えてきていた。
「……ここで区切ろうかしら」
昇格したら終わろう。そう思ったところでマッチングした対戦相手の名前が出てくる。その名前を見て随分物騒な名前だと思いながら対戦を開始する。
「……つ、強いわね……え、何これ?っ、ちょ、この動き……は!?」
対戦相手はパワーと速度に優れたキャラを使っており、コンボを繋げて戦うキャラというよりは単発の大きめの火力を複数回叩き込んでいくスタイルだ。ヒナが使っているのは復帰勢ということもあって初心者でも使いやすいお勧めのクセのないバランスのいいキャラであり、ひたすら強みを押し付けてくる対戦相手のやり方は正直苦しい。刺しどころも良いとくれば、相手はそこそこの経験者であると見える。
「……仕方ない。遠距離で近づけさせないように……」
相手の間合いに入れられると勝ち目が薄いと判断し、飛び道具で相手を近づけさせないように戦略を切り替えるヒナ。直後、相手はするっと手慣れた動きでその飛び道具を抜けて懐に飛び込んでくると、そのまま必殺技を叩き込み、こちらの残る体力を全て削り取ってしまう。
「……え?」
画面に表示されたLOSEの文字に、呆然となってしまう。
「……まあ、ここまでほとんど勝ち続けていたのだから、むしろこういうこともあるでしょうし……」
今回戦った相手が一際強かっただけなのだろう。すぐに気持ちを切り替えて下がったポイントを稼ぎ直し、再び昇格戦に漕ぎつける。そして運命の二回目の昇格戦の相手が現れ、スピードこそ遅いものの防御力と火力に優れるキャラが対戦相手として出現する。
「……か、硬い……」
守りが固く、迂闊に踏み込むとジャスガで反撃を喰らう。そのため、遠距離からちまちまと削っていく作戦に早々に切り替えるのだが、それならばと相手は一歩、また一歩と近づいて距離を詰めてくる。そのせいで遠距離に頼れる間合いではなくなってしまったため、どうにか相手を怯ませて戦局を仕切り直そうとする。だがこのキャラの動きを知っているかのように相手は完璧なカウンターを決めてしまう。それによって怯ませたところに、飛び道具を連続でジャスガしたことで溜めたゲージを全て吐き出し、ヒナを仕留めてしまう。
「……」
ま、まあ今日が久しぶりなのだ。むしろ腕が鈍りまくってる中でここまでやれたのだから全然大健闘だろう。普段からやってる層に後れを取るのは当然なのだ。そう言い訳をしながら三度目の正直と言わんばかりにヒナはまた昇格戦まで漕ぎつける。
「こ、今度こそ……三度目の正直が……」
『UZQueen_subがマッチングしました』
その後、1ドットも相手の体力を削れず、全ての攻撃をジャスガされた上で完全にぼこぼこにされたヒナは心が折れてそのままベッドに倒れ込むのだった。
★
(さすがに一日じゃ無理だったか……始めた時間遅かったせいでユズも物理的に時間足りてなかったし元から無理か)
翌日のシャーレ。そこではモルフォとアヤネが普段のオフィスとは別の教室でシャーレの手伝いを行っていた。少し早めの時間から今日の当番としてシャーレを訪れた二人は、事前に先生からある話を聞いて快くそれを承諾していた。
(……そういえばネル先輩がホシノさんも同じゲームをやってるって言ってたけど、二人とも遭遇しなかったな……まあしょうがないか。そもそも潜ってる時間が一緒かどうかもわからないし)
仕事を進めながら、昨日の夜にゲーム開発部の皆とやっていたサブアカで一日でどこまで上がれるかというチャレンジを思い出す。夜に始めたせいでユズの実力を以てしても最高ランクまでは上がり切れなかったという結果に終わってしまったのだが。
「……それにしても、大変そうだね空崎ヒナさん」
「あー、ゲヘナの方でエデン条約の調印をメインで進めてるのがあの人なんだっけ?」
今日、ヒナはシャーレの手伝いに来ているが、その実態は別にある。先生の計らいで風紀委員会に提案し、ヒナに少しでも休んでもらおうと企画されたのだ。最初はちゃんと手伝いをやってもらうのだが、その量はかなり少ない。今日はたまたま仕事が少ない日だった、という体で余った時間を使い、思いっきり遊んでもらおう、というのが先生の考えた内容である。ちなみにその分の仕事は事前に根回しをしておいたモルフォ達が処理するということになる。
「でも、こっちも仕事が早く終わりそうだね」
「時間余るし、この後ドーナツでも食べにいかない?マスタードーナッツがあったし」
「あ、それいいかも。折角だし皆にも買っていこうかな……」
仕事を進めながら、おそらく時間が空くであろう午後の予定を話し合う。裏でそんな、ほのぼのとした話が続く中、オフィスでは先生とヒナ、そしてもう一人が作業をしていた。
「「「……」」」
無言のまま、書類を集中して片づけるヒナ。その様子をちらちらと見つつ、自分も仕事を進めていたのは、なんとミカであった。何故この場にミカがいるのか。それもまた、先生の思惑の一つである。
本人は全くそんなことは思っていなかったとはいえリオに瀕死の状態に追い込まれ、ミカにトドメを刺されたせいで一度倒れたナギサ。各陣営のトップだけが実情を把握しているだけで、原因としては過労が祟って倒れたという、ありそうな内容として処理されてはいるが、無理矢理復活して通常の業務へと戻ってみせたナギサから改めて先生に向けて依頼が出されたのだ。
『ミカさんは……感情としてはやはり、ゲヘナの事を嫌いなのでしょう。そこに理由があるわけではない、ただゲヘナだから嫌い、そんな感じです。おそらく、その感情がアリウスと手を組んでのセイアさんへの襲撃と、クーデター計画に繋がった一因ではあるのでしょう。このまま、エデン条約の調印式を迎えれば……彼女もクーデターを、とまではいかないでしょうが快く思わないであろうことは事実ですし、後に尾を引くかもしれません。好き嫌いを完全になくせ、までは言えませんが……先生、どうにかならないでしょうか……?』
それは、ミカのゲヘナ嫌いについて改善できないかというもの。ナギサとしてはエデン条約の調印に成功した後も何かが起こって解消、みたいなケースも考慮しなければならず、アリウスの事も含めて難しい状態なのだろう。ナギサの依頼を快く受けた先生だったが、ミカがゲヘナを嫌うことに理由がない以上、ある程度改善させることはできても根本から、というのは今すぐには難しいと考えていた。しかし、ゲヘナとゲヘナにいる人は違う。そう考えた矢先に風紀委員会から最近特に過労気味であるヒナを休ませられないかという打診を受けたこともあり、こうして彼女とヒナを引き合わせたのだ。
「……」
無言で作業を進めながらも時折ヒナを見るミカ。ミカとて、ヒナがゲヘナの風紀委員長であり、テロリストなどの存在が目立つゲヘナの中ではトップクラスに話が通じる相手だということぐらいは当然知っている。ゲヘナの中では、と頭につくが印象がいい相手なのは事実だ。ヒナとしても、相手がティーパーティーの重鎮とくれば、特に失礼な真似をするわけもなく、ゲヘナとトリニティの生徒がいる空間とは思えない程静かにシャーレの事務作業は進んでいた。
「……先生、これで最後だけど……」
「そっか。ありがとうヒナ。今日はもう仕事がなくなっちゃったね……」
「そうみたい。この後は戻った方がいいのかしら」
「あー、いや、急に仕事が入るかもしれないから……」
「わかったわ。シャーレだもの、そういうものもあるわね」
予定通り、仕事も早々に終わってしまったことでヒナとミカは手持無沙汰になってしまう。やることがなくなってしまったヒナは急に入ってきた案件に対応できるように待機することになる。
「先生……でも、やれることないとさすがに暇じゃない?」
助けを求めるような視線がミカから向けられる。その発言を受けて先生は少し考えるように顎に手を当てていたが、やがてあることを思い付いたと言ったように手を叩く。
「そうだ。それじゃあ二人にちょっとやってもらいたいことがあるんだけど、いいかな?」
「「?」」
先生にそう告げられ、ミカとヒナは疑問の表情を浮かべるのだった。
★
「えっと、これってゲーム?」
「……シャーレにはゲーム機なんておいてたのね」
シャーレの別の部屋に移動したミカとヒナ。そこにはテレビやゲーム機などが置いてあり、一通りの娯楽が揃っているようにも見えた。
「ちょっとした休憩スペースではあるんだけどね。ミレニアムのゲーム開発部って……聞いたことない?」
「いやあんまり……そういうところもあるんだ」
「あの子達がどうかしたの?」
「ゲーム開発部が開発した新作ゲームの体験版とかを置いてるんだ。時間があったらシャーレの当番にプレイしてもらって、意見とか要望とかを募れるようにしようってことでね」
「へー……しっかりしてるんだね」
(やっぱりあの子も関わってるのかしらこれ……)
確かに、ヒナが見てみるとまだ販売はされていない名前だけは聞いたことのあるゲームなどもある。だが、あくまで体験版が置いてあると考えれば納得である。
「まあ、体験版もいいけど……これとかもどうかな。二人でやってみない?」
「え、ええ……でも……」
「どうかしたの?」
「ちょ、ちょっと……えっと、対戦系のゲームはあんまり……」
そう言い、先生が差し出したのは一つのゲームカセットであった。しかし、それを見たヒナの表情が強張っていく。昨日の夜、昇格戦に三回落ちた心の傷はまだ癒えていなかったようだ。が、先生が差し出したゲームはそういった対戦要素を薄くできるゲームであった。
「大丈夫、これは協力もできるゲームだから」
「えーと……私、ゲームなんて縁がないよ?それに……」
「まあまあ、ミカもとりあえずやってみなよ。キヴォトスの外のゲームだよ?」
「「キヴォトスの外……」」
ミカも疎いが、それでもキヴォトスの外にあるゲームと聞くと興味が湧いてくる。改めてゲームを見てみると、そこには「スーパードンキーコング」と書かれていた。このゲームはドンキーコングというゴリラとディディーコングというチンパンジーの二人が、大切なバナナを奪い取ったクレムリン軍団からバナナを取り戻すために彼らに戦いを挑むという簡単なストーリーとなっており、ドンキーコングアイランドと呼ばれる島を舞台に進むアクションゲームとなっている。
「……でも、そもそも私達はシャーレの手伝いに……」
「まあそうだけど。やることもないんじゃ仕方ないよ。それに、少しは息抜きをしてもいいんじゃない?二人とも色々あったんだしさ」
「「……」」
先生に言われて互いに顔を見合わせる。そして多少考えていたが、先生がこういうならとお互い納得したのか、
「まあ、私はいいけど……」
「うーん、まあ先生がそう言うなら?」
その言葉に頷いてみせる。それを受けて先生が楽しそうにソフトを入れて電源を起動する。16bit時代とは思えない3Dチックな背景と書き込まれたドットが広がっていく。
「……へえー、なんか凄そう」
「初めて見るゲームね……」
スーパードンキーコングには三つのモードがある。一つは一人プレイ用のモード、二つ目はお互いに交互にキャラを操作し、先にどちらがゲームをクリアするかどうかを競う対戦モード。そして三つ目は、お互いにドンキーとディディーを担当して操作し、ステージを協力して操作していくことになる。先生に言われるがままコントローラーを握ったヒナとミカだったが、ゲームをスタートするとドンキーだけの状態で始まることになり、ミカが操作することになる。
「お、おお?」
一番最初のワールドはコンゴジャングルと呼ばれるジャングル。その一番最初のステージであるバナナジャングルを選択して始めると共に家と思われる場所から飛び出したドンキー。その動きに戸惑いながら歩いていると、DKと描かれた樽が出現する。それを掴んで放り投げると、樽が割れる音と共にディディーが出現する。
「成程、こうやって相方を連れていくのね……でも、操作はできないのね」
「……あー、交代しないといけないのか。だから最初はドンキーだけと……」
しかし、ディディーはドンキーの後ろに随伴するような形となっている。プレイヤーはハンドスラップと呼ばれる地面を叩く行動ができ、さらに攻撃と移動を兼ねたローリングという技で威力のあるドンキーと、速度に秀でたディディーを使い分けていくことになる。だが、二人協力プレイモードの場合は、それぞれ操作するキャラが異なっており、今回の場合はミカはドンキーしか、ヒナはディディーしか操作できないことになる。道中でプレイヤーはキャラを交代することもできるが、被弾するとその時点でキャラが脱落し、控えているキャラが操作可能キャラになるため、二通りの交代方法が存在することになる。
「……やってみる?」
「任せるわ。今は私もよくわかってないし……」
遠慮がちにヒナに聞いてみたが、帰ってきた答えはミカに任せるというもの。まあアクションゲームなら自分の腕ではどこかで被弾してその内順番も変わるだろうと考えながら進めることにする。
「……これはサイ?」
道中、謎の箱を開けるとサイが出現する。一瞬敵かと思い距離を取って警戒するのだが、特に何もない。もしや味方かと思い近づいてジャンプしてみるとサイに乗ることに成功する。
「お、おお!?」
「スピードもあるし、攻撃も勝手にしてくれるみたいね」
このサイの名前はランビといい、ステージ攻略を手助けしてくれるアニマルフレンドの一体である。ランビは敵が近づくとボタンを押さずとも勝手にパワーのある攻撃をしてくれる上に、移動スピードもある、加えてアニマルフレンドに乗っている間に被弾してもコングはやられず、アニマルフレンドがプレイヤーの手から離れて走り出すというものになっている。その場合は、再度乗り直すことも可能となる。
そしてアニマルフレンドにも種類があり、今ミカが使用しているランビ以外にも、水中で使用でき、高い移動能力と水中での唯一の攻撃手段となるカジキのエンガード。ランビを超える高いジャンプ力と機動力を持ち、空中で羽ばたくことで滞空時間を延ばすことのできるダチョウのエクスプレッソ。エクスプレッソを超えるジャンプ力を持ち、他のキャラでは踏むことのできないトゲを持つ相手でも踏むことが可能なカエルのウィンキー。暗い洞窟をサーチライトで照らしてくれるオウムのスコークスと様々な種類のアニマルフレンドが冒険を支えてくれるのだ。
「……結構簡単かも?まあ……次は……えっと、ヒナちゃんがやりなよ」
「……いいの?」
「いやまぁ連続でってのも何か違うし……まあ、一応は一緒にやってるわけだし?」
無事、コンゴジャングルをクリアしたところで、次のステージであるロープジャングルに入る。そこは雷雨が降るせいで薄暗いジャングルとなっており、そこでミカがヒナと交代したことでディディーを操作してのステージ攻略となる。とはいえ、ヒナ自身ゲームそのものは未経験というわけでもないことと、まだまだ序盤ということもあり、ローリング同士でぶつかると互いに相殺され弾かれてしまうアルマジロのような敵に注意しながら、ステージから落下しないように慎重にロープからロープへ移りながらステージをクリアしていく。
「うわ、速……え?もしかしてヒナちゃん、ゲームに慣れてる?」
「まあ、多少は……でも、そこまでうまいわけじゃないわ」
「いやいや、めっちゃうまくない?私全然たどたどしい感じだったのに」
「そ、そうかしら……」
その後、洞窟ステージや水中ステージを進めていき、一通りのチュートリアルも兼ねた攻略を進めていく。そして、タル大砲の谷と呼ばれる1面最後のステージに差し掛かる。ここではタル大砲を用いてコングを発射することでステージを進めていくのだが、これまでと比べると難易度が高いのもあり、
「……あ」
「落ちちゃったわね」
誤ってステージから落下してミスしてしまい、ステージ選択画面に戻されてしまう。初めてのミスにミカが呆然となっていたが、
「……大丈夫?聖園ミカ」
「……だ、大丈夫。というかヒナちゃんフルネームで呼ぶんだ……」
「……嫌だったかしら、ごめんなさい」
「あー、いや別に気にはしてないけどね……」
ヒナから声をかけられたことで我に戻り、次の手番をヒナに交代して見守ることになる。とはいえヒナもこれまでと比べて難易度が一段階上がっているステージに少々苦しんでいるようで、それでも少しずつ攻略していく。
「……あっ」
「ありゃ」
ステージの後半では、ジンガーと呼ばれるハチのような敵が現れ、障害物となる。この障害物に触れないように、次のタルへ向かって発射していくことになるのだが、まだ操作にはなれていないのもあり、途中でジンガーに激突してしまい、ディディーが退場。チームプレイのため、プレイヤーが変わるため強制的にポーズ画面になる。
「……ごめんなさい、被弾してしまったわ」
「まあしょうがないんじゃない?結構難しそうだったし。でも、案外ヒナちゃんもミスとかするんだね」
「……それはそうよ、私だって、普通に強い人が相手ならゲームに負けるし、時間が空けば腕前だって落ちるわ」
「ふーん……そんなもんか。案外どこも変わらないものだね」
「?」
「ああ、気にしないで、こっちの話」
まさかあんなところで被弾するとは考えていなかったのか、昨日ぼこぼこにされたことを思い出したのか少し気分が落ち込んでいるヒナに対して笑いかけながら、ミカはポーズ画面を解除する。そして、樽に入り直すとちゃんとタイミングを見極めて次の樽へと入っていく。それを一度、二度と続けていく内に、確かにヒナが苦戦した理由もわかってくる。
「うーん……じわじわタイミングを調整していくのが辛い……」
「ええ、発射にタイムラグがないからそこは素直なんだけど……もう少し待った方がいいタイミングが見つかるんじゃないかしら」
「そうかな?あ、本当だ」
樽、そしてジンガー両方が動いているのだ。そのため、意外とタイミングが掴みづらい。しかし、自分がプレイヤーになっていないのもあり、第三者の目線で見ることができていたヒナがアドバイスをする。そのアドバイスの結果、どうにかミカもヒナから引き継いでステージをクリアすることに成功する。
「ふー、よかったぁ。ありがとうねヒナちゃん」
「ふふ、気にしないで。それより、次はボス戦じゃないかしら」
「あ、そっか。じゃあ順番を……」
「今は私のキャラいないけど……」
「ああ、そういえばそっか……」
一緒にステージをクリアした、ということもあってか段々ヒナに対してはよそよそしさは薄れてきたようで、話し合いながら1面のボスであるノーティに挑むことになる。正直ボス相手ならその内被弾するだろうと高を括っていたのだが、
「よ、弱くない?」
「……ステージに対して随分ボスが弱いのね……」
出てきたボスは、攻撃する毎に移動速度が少しずつ上がるだけで、コングに向かって跳んでくるだけのボスであった。五回ほど踏んでしまえば簡単にボスは沈んでしまい、結局被弾することなく2面へと向かうことになる。
「まあでも、苦労するのはステージだけってわかったのは良いことかも?それに一面であんま時間かからなかったし、クリアまでもそうかからなかったかも?じゃあ次は交代しようか」
「ええ、わかったわ」
既に二人とも打ち解けている様子を見て、先生も楽しそうに笑う。と、アロナから緊急の仕事が入ってきたという報せを受け、改めて協力してくれたことに礼を言うためにもモルフォとアヤネの下に向かうことにする。その後、戻ってきた先生は、段々と難易度が上り、クリアすら容易でなくなるスーパードンキーコングのステージに四苦八苦することになる二人を見ながら苦笑を漏らすのだった。