転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
すまんかった
初めての大乱闘。その一戦目は、最強ジャッジと伝説のポケモンを引き当てたアスナが場を支配することとなったことで一気に有利となり、ネルの使っていた速度が遅いクッパが一番先に全てのストックを失う形で脱落。次点で一番最初にストックを失っていたアカネのサムスが落とされ、カリンもファルコで抵抗はしていたものの、ストックの差は大きく逆転することはできなかった。
「いえーい、私の勝ちー!」
「な……納得いかねえ……!」
「いやー……凄いもの見ましたね……あんなにジャッジ当たるんだ……」
「ジャッジって、あのハンマーのことだよね……当たるって、あれ本来どういう技なの……?」
「本来は9段階で威力がぶれる技と思ってもらえれば……」
台パンしかねない勢いをモルフォの私物を壊さないようにとどうにか怒りを抑えるネル。そうしている間にモルフォからゲーム&ウォッチの技のカラクリが解説されると、アカネが苦笑する。
「確かにそれは……アスナ先輩にはぴったりというか……」
「こ、こいつは重すぎて駄目だ!他の……こいつならどうだ!」
「ネル先輩、ガノンは重量級でめっちゃ重いですよ。パワーはありますけど」
「ああ?じゃあ速くてパワーがあってタフな奴はいないのかよ?」
「いたらゲームバランス壊れるので……いや、近いやつはいる?復帰力弱かったはずだけど」
クッパを一度触ってみた感想として、こいつはきついと結論付けたネルが次のキャラを探し始める。三人も、他のキャラがどんな性能をしているのかが気になるのか、とりあえずネルが候補として選んだキャラに対するモルフォの評価を聞いていく。
「マリオはスタンダードな奴ですね……リンクは速いわけじゃないですけどパワーはそれなりで遠距離攻撃の手段が豊富です。マルスは速いけど一発一発は火力は低めだったはずです」
そういった感じでとりあえず全キャラを総当たりしてモルフォの説明を聞き終えたネルはどのキャラを使うか少し考えていたが、
「多分こいつだ!こいつは使いやすいはずだ!」
ネルが選んだのはキャプテンファルコンだった。確かにCFならばパワーとスピードを兼ね備えている。ガンガン攻めていくこのキャラはネルに合っていると言えるだろう。
「じゃあ私はゼルダを試してみましょうか」
「私は……もう一度ファルコを使ってみようかな……」
「ルイージでいこうっと!」
再び四人がキャラを選び直す。ふと、その中でルイージを選んだアスナがちょっとだけ首を傾げる。
(このルイージってキャラとマリオってキャラ、ちょっとだけ既視感があるような……ま、いっか!)
そして二回目の大乱闘が始まる。大まかな操作感自体は最初の一戦で慣れたことや、クッパよりもずっとネルにとって使いやすいCFになったことで、先ほどとは見違えるほどの動きでネルは他のキャラを攻撃し始める。
「っ、部長……近すぎ!?」
「さっきはいきなり襲い掛かってきてくれたなカリン!お返しだ!!」
「速い……!」
クッパのスピードを見ていたカリンからすれば、クッパの数倍は速いCFは全く別の対処が求められる相手だ。一瞬ファルコからCFを引き剥がした隙を見てステージ全体を見るも、今回はアカネの横やり、といったことも期待できそうにない。アカネは先ほどの試合からアスナを警戒しているようで、アスナの操るルイージを狙って戦っている。奇しくも一対一と一対一という形になってしまった以上、CFをまずは一人で対処しないといけなくなったカリンは、近くに落ちていたスターロッドを掴むとそのままCFに投げつける。
「っと!?」
その場で緊急回避してそれを避けたCFをファルコのダッシュ攻撃で狙い撃つ。しかしすぐにネルも横必殺技で応戦しファルコを地面に沈めていく。それぞれの戦いが苛烈になっていく中、モルフォだけが、勝手に動き出していたそれに気付いていた。
「……あ?」
「……え?」
ネルとカリンの口から同時に呆然とした声が漏れる。突如として発生した大爆発。それはCFとファルコを一瞬で吹き飛ばし、空の星へと変えてしまった。突然の光景に驚きと共にアカネとアスナは互いの距離を離し、モルフォに説明を求めるような視線を送るネルとカリンと共に今起こった現象への説明を待つ。
「あれはボム兵ですね……時間が経つと勝手に動いて触れると爆発します」
「なんだそりゃ!?残機が消し飛んだぞ!?」
「威力が高くない……?」
「アイテムの爆弾系はパーセンテージにもよりますけど当たれば基本的にアウトですので……」
ここにきて明らかとなったまさかのアイテムの仕様にまた驚かされるC&C。しかしそういうことならばと気を取り直して四人は再び乱闘を開始する。今度は積極的にアイテムを使用するようになっていき、アスナもルイージの必殺技の暴発を確実に成功させて命中させたりと順調にゼルダを追い詰めていくも、ゼルダがその近くにハンマーが落ちてきたのでそれを掴む。すると急にBGMが変わったかと思えばハンマーがルイージにヒットし、一撃でルイージが撃墜されてしまう。
「あら?」
「おい待て!このハンマーなんでこんな威力高いんだ!?」
「ハンマーはくっそ強いアイテムなので。ただちゃんと時間制限ありますよ」
「ではお次は……」
「馬鹿!来るな!!」
「ちょっと困る……!」
ルイージを仕留めたゼルダがCFとファルコをターゲットに近づいてくる。慌てて逃げ出す二人だったが、ここでさりげなくCFがファルコを掴むとそのままゼルダの方へと放り投げる。
「え!?」
「へっ、初戦の借りだ!」
「あっ……!」
CFとの戦いで再び蓄積していたダメージではハンマーに耐えきれず、めでたく二回目の星になってしまうファルコ。しかし、ゼルダの勢いは止まらない。しかしCFは既に画面端に追い詰められており、もう逃げられない。
「追い詰めましたよ?」
「だったら一か八かだ畜生!」
ここでネルはBボタンを押し、CFがファルコンパンチの発射体勢に入る。そしてハンマーが触れようとしたその時。ちょうどBGMが切れてハンマーが消滅した。
「あら?」
『ファルコン!パァンチ!!』
「いけええええ!」
ネルの叫びと共にファルコンパンチがゼルダにクリーンヒット。ステージの端まで吹き飛んだゼルダの残機が消滅し、ネルはガッツポーズを見せる。
「しゃー!」
「おー、よく当てましたねファルコンパンチ」
脳裏に馬鹿の一つ覚えみたいに脳死アイムールをやってた師を一瞬思い出すも、実際この手の大技はうまく当てれば凄く気持ちいいのだ。何はともあれ、現状はカリンが残り残機一つ。ネルは二つ残っているもののダメージがそこそこ蓄積されており、撃墜されてからは無敵時間を利用してハンマーから逃れていたアスナとアカネは無傷で二基残っている状態。出てくるアイテムの事を考えればまだまだ誰が勝ってもおかしくないところだ。そして結果は―――
「いよっしゃああああ!!」
ネルが勝者となった。やはり勝敗を分けたのはネルが途中で出現したモンスターボール二つを手にしたことだろう。その中でも特にアンノーンの群れの制圧能力はかなり高く、他のアイテムを投げつけるなどの組み合わせで効率よく相手を撃破していったのだ。
「あっちゃあ、負けたー!」
「悔しい……でも、楽しかったな」
「別の世界のゲームと聞いて最初はどう受け取ったらいいのかという感じでしたが……実際にやってみるとこんなにも楽しいものだとは」
「……こいつなら、お前にも勝てるんじゃねえか?」
満面の笑みでネルが後ろを振り向き、自前で持ってきたジュースを飲んでいるモルフォを見る。
「え?どうしたんですか?」
「リーダーはモルフォちゃんと対戦したいんじゃない?やっぱり持ち主なら強いでしょ?」
「まあ……それなりにやってはいますが」
どうやらモルフォとも対戦がしたいようだ。しかし、モルフォが参加すると誰か一人が抜けなければならない。元々C&Cに楽しんでもらうために持ってきたゲームだったので、自分はずっと観戦する予定だったのだ。
「なら話が早え」
「でも誰が抜けるんです?」
「あ?タイマンだろ」
だが、ネルが何を言うのか既に分かっていたというようにカリンとアカネは距離を取り、アスナが自分のコントローラーをモルフォに渡してくる。どうやら1on1がお望みのようだ。
「本気で来いよ」
「わかりました。全力でいかせてもらいます」
流れるような動きでリンクを選択。ついでにカラーリングをデフォルトの緑から一番好きなゾーラの服である青色に選択し、ネルのCFを迎え撃つ。選ばれたステージは戦場。と、開幕ネルが仕掛けてくる。
「オラオラオラァ!」
その攻撃を冷静にガード。そのままフックショットでCFを拘束すると二発程度ダメージを入れてから横に投げる。そのままブーメランを放ち逆側へと逃げたかと思うと、復帰したCFが追いかけてくる。
「逃げるな―――うお!?」
しかし、そのCFの背後からブーメランが戻ってきて、それがCFに命中してしまう。それによって喰らいモーションに入ったCFへ向けてリンクが横スマッシュを発動、CFを吹き飛ばしてしまう。さらにブーメランを放って追撃、さすがに二回目は喰らうものかと緊急回避で戻ってくるブーメランを避けるも前もって溜めていた弓矢が命中してしまう。
「こ、この……!」
さらに弓とブーメランだけではない、爆弾も追加され、ネルは徹底的にリンクに近づくという行為を禁止されていた。カリンが二人の顔を見ると、うまく攻められずにいるネルの表情が段々強張っていく中、顔色一つ変えずに迷いなくコントローラーを動かしていくモルフォの表情から感じ取れる強者感に息を呑んでしまう。
「ここだ!」
どうにか攻撃を掻い潜り、ファルコンキックの無敵時間で強引に弾幕を突破しようとする。しかしモルフォはちょっとだけ移動するとおもむろにスマッシュを溜め始める。そしてCFは、ちょうどリンクの目の前で必殺技を止めてしまう。そこに向かって、チャージされたスマッシュ攻撃が命中し、CFはステージ端まで吹き飛んでいき、撃墜されてしまう。
「……嘘だろ……」
「うわぁ、リーダーがあっさり……」
「これが上級者……」
「ちょっと、レベルが違いますね……」
(これでもユズには負けるんだよなぁ)
最新作であるSPの話にはなってしまうが、ユズを相手にした場合はモルフォの持ちキャラであるリンク系列の三キャラを使用している状態かつアイテムありルールで十戦やって一勝か二勝するレベルである。UZQueenは格が違いすぎるよ。
「この……この銃の最大チャージなら―――なんで無効化されてるんだよ!?」
「ハイリアの盾なので」
気付けば残機も残り一機、ダメージもかなり蓄積されているという危機的な状況に追い込まれたネルが最後の望みを託したスーパースコープの最大チャージを放つ。しかしそれは、リンクが持つハイリアの盾にあっさりと無力化されたうえ、必殺の回転斬りをまともに喰らい、最後の残機を消し飛ばされてしまうのだった。
「あのフォックスとか使ってた時と全然違えじゃねえか!?」
「持ちキャラじゃないと練度なんてあんなもんですよ。そこまでキャラ研究やってるわけじゃないですし」
「ぐ……ぐぐぐ……くそ、リベンジだ!もう一回だ!」
「それは……またの機会の方がいいんじゃないです?今日は皆で遊ぶために来てるわけですし……」
こんなん納得できるか!と言わんばかりにリベンジを申し込むネルに、今日はパーティゲームをやりに来ているはずだと釘を刺すモルフォ。青筋をこめかみに浮かばせながらモルフォを睨み付けるネルの表情を見せられ、モルフォも一瞬息を呑むも、真剣にネルの顔を見つめ返す。
「……モルフォちゃんって結構図太いところありますね」
「確かに!」
「部長、落ち着いて。モルフォがいるしこれモルフォの私物だから……」
「……わーってるよ……」
うっかり自身の愛銃に手を伸ばしかけていたネルの手が止まる。同時にモルフォもまた、左手をシールドへと伸ばしかけていたがそれを止める。とはいえ彼女が守ろうとしていたのは自分ではなくゲームキューブだが。
「……いつか、絶対てめーをぶっ倒してやる……!」
ゲームはゲームで借りを返す。だが、今日の所はまだ無理だ。まずはC&Cの面子で確実に勝てるようになってからだ。しかし、上まで上るとどうなるのかを見ることができたこと自体は嬉しかったのか、少しだけ嬉しそうな笑みを浮かべるネル。コントローラーをアスナに渡したモルフォは、再び観戦を楽しむことにするのだった。
★
C&Cのスマブラ観戦をしたり、時折コーチングを挟んだり、最後に一回、また本気の対戦を要求したネルをこどもリンクで倒したりして楽しんだ休日が終わり、翌日。
『見てください!これは先週と比較した、キヴォトス全体の犯罪数であり、今週に入ってから急激に増加しています!この件について連邦生徒会は何の声明も未だ発表しておらず、また、噂によれば連邦生徒会長は失踪しているのではないかとも―――』
「ほーん……どこまで本当なのやら……」
天気を確認するために点けたテレビから流れてきた、クロノススクールの報道。話半分にそれを見ながら、モルフォは天気予報の時間が来るのを待つのだった。