転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする   作:popoponpon

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ゲーム開発部達とロスト・パラダイス・リゾート(前編)

 

「お釣り621円となりまーす」

「ありがとうございます!」

 

市街のスーパーで買い物をしていたアリス。基本的にミレニアムの学生はエナドリなどは通販を使って箱買いするのが基本なのだが、だからといってスーパーなどに足を運ぶことがないわけではない。この日、買い物に来ていたアリスは総菜などを買いに来ていた。通販を使わずに店に買いに行く理由の一つもこういう、その場で作られた総菜や弁当にある。

 

『色々売っていましたね』

『はい、モルフォもたまに来ていると言っていました!ケイも美味しそうなものがいっぱいあってよかったですね!』

『……別に私だけのものではありませんから……』

「あ、こちら福引券です」

「!ガチャチケットを手に入れました!」

 

少しバツが悪そうな声音を漏らすケイ。と、中の人と話をしているアリスに福引券が差し出される。それを見たアリスは嬉しそうにそれを受け取ると、早速購入した商品を袋にまとめて福引会場へと向かう。そこでは他にも買い物終わりに福引券を手に入れてガラガラを引いている人達の姿があった。

 

「アリスはここで紫を引いてみせます!」

『頑張ってください、アリス』

 

アリスの順番が来て、福引券を渡すとガラガラを回し始める。中でガラガラと玉が動き混ざり合う音が鳴る中、黄色い玉が出てくる。それを見て福引を担当していた店員が無言になってしまう。アリスもこれは何がもらえたかと確かめるように掲示されている張り紙を見ようとしたその時だった。

 

「おっ、大当たり~!特賞でーす!!」

『「!?」』

 

店員がベルを鳴らしながら祝福の声を上げる。その声にアリスとケイが驚いていると、店員は封筒をアリスに渡す。

 

「どうぞ、景品のリゾート使用権です!!」

『……リゾート?』

「使用券?そんなものがもらえるんですか?」

「ああ、それ、店長がこの前、ヘルメット団にパンクしてた車を直してもらった時にお礼に食事を奢った時に行って現地で楽しむお金がないからってもらったのを景品にしてるんだ」

「ヘルメット団にも親切な方がいるんですね」

「お腹が減ってたからだろうね」

 

まさか特賞を貰えるとは思わず、フリーズしていたアリス達。店員に言われた景品の名前を復唱しながら、二人は封筒を見て首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「リゾート使用権?」」」」

 

部室に戻ってきたアリスから封筒を見せられ、中を開封してみるとそこにはロスト・パラダイス・リゾートを利用できる権利が与えられたチケットが入っていた。

 

「あー、これ百鬼夜行のお祭り運営委員会の」

「あそこの人達の……」

 

お祭り委員会と言えばシズコ達が所属している委員会のはずだ。彼女達ならば、海辺でのお祭りとかもやるだろうし、こうやってリゾート運営に手を貸していても不思議ではない。

 

「凄いねアリスちゃん……まさか福引で当ててくるなんて」

「でも、リゾートかぁ……」

「随分ウケが悪いようですが」

「あ、いや……そういうわけじゃないんだけどね……ケイは知らないだろうけど、海って私達前一回行ったんだよ」

「そうなんですか?」

「コユキをしばきに……」

 

実のところ、ゲーム開発部は海に行ったことはある。コユキが横領し、ゴールデンフリース号に乗り込んでギャンブル三昧をしようとした時の話だ。しかし、その時は海を楽しむとかそういう問題では全くない。が、海自体は行っていたため、海は楽しむものではなくバニーガールを着て用事を片付けるという印象に完全に塗り替えられてしまっていた。

 

「し、しかし、ゲームでは海でのイベントは大事です!ほのぼのとしたイベントが多くて、恋人同士のあれやこれやなイベントもあって……少なくとも、あれが基本的なイベントではないと思います!」

「それはそう。恋人なんて誰もいないけど」

「モルフォちゃんが男装して用意しよう」

「嫌です」

「……でも、これどうしようか?」

「うーん、アリスちゃんは行ってみたい?」

「……えっと、皆さんは行きたくないんですか?」

 

アリスに見つめられ、四人も申し訳なさそうな表情を浮かべる。やはり、クーラーの効いた部屋から用事もなしに外に出るのはハードルが高いのかもしれない。が、アリスにこのように見つめられると、その思いも揺らぐというもの。

 

「うーん……まあ、行くことは別にいいけど……」

「暑いけど……でもこんな機会はないもんね……」

「そうそう、タダで行けるなら行ってみたくはあるよね!」

「シズコさん達が関わってるなら色々お店とかもあって賑わってそうだし……確かに悪くはないのかも?」

 

その顔を見て、そして頭の片隅ではあったであろう興味が段々大きくなってくる。思えば、夏だというのにまだ大きなイベントなどは何もしてないのだ。折角の機会を活かしてみるのも悪くない。そう思ったのか、四人は顔を見合わせる。

 

「よーし、リゾートに行こう!」

「私達だけで行っちゃう?他の人はどうしようか?」

「声かけてみる?誰か来るかも」

「いいですね!皆で行ったら凄く楽しそうです!!」

 

そして、ゲーム開発部はリゾートに行く計画を立てたり、他の人にもこの話をしたりしながら準備をし始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここがリゾート地のある島だけど……」

「それにしても、結局誰も来れなかったね」

 

その後、モルフォ達はリゾート使用権のチケットを手にその島へと赴いていた。しかしリゾート地は海に囲まれた島々であったために、近くで船で運んでもらっていた。今回、来るにあたって他の皆にもリゾートの話をしてみたのだが、残念ながら皆用事があったり、時間が取れなかったりで同行することができず、結局ゲーム開発部だけで向かうこととなっていた。

 

「まあ、しょうがないよ。コトリ達がワニがどうって言ってたのは気になるけど」

「……それにしても、リゾート……リゾート?」

「……何にもありませんが?」

 

が、五人が降り立ったリゾート地には砂浜と青い海が広がっていた。それはまだいい、綺麗な海の光景が見えているだけでも楽しくなるのだから。だが、海には人気が全く存在しておらず、本当にリゾート地なのかと言われると疑問が湧いてきてしまう。

 

「……そういえば、全く気にしてなかったけど、ケイは体大丈夫なの?」

「問題ありません。アリスのボディは海水程度では何ともならないので」

 

嫌な予感から現実逃避するようにケイの体の事を聞く。ケイは問題がないと言うが、問題があったらそもそもケイもリゾート地に行こうとは言わないだろう。考えてみればわかりそうなものだが、こうして問いかけて現実逃避したくなってしまいそうな状況が広がっていた。

 

「……それで、その……ここどうみてもリゾート地じゃないよね……?」

 

そこは、リゾート地と言うにはあまりにも放置されていた。遠くを見れば海の家だろうか、小さな小屋みたいな場所が確認できたが、それだけだ。

 

「……とりあえず行ってみる?」

「なんか、海で遊ぶとかどうとかじゃなくなってきた気がしてきたなあ……」

「リゾートは諦めてちょっと泳いでもう日帰りにしちゃう?その後でシズコさんにこれについて聞いてみようよ。なんかおかしいって」

 

小屋に行ってみるしかないだろうと考え、ゲーム開発部はとりあえず行ってみることにする。だが小屋に近づいてみると話し声が聞こえてくる。よかった、どうやらちゃんと人がいるみたいだと安心してゲーム開発部がそちらに行くとそこには、

 

「……イズナちゃんとアヤネちゃん?あれ、先生も?なんで?」

「モルフォちゃん!?なんでここに!?」

「おお!?モルフォ殿!」

「あれ……なんでゲーム開発部の皆が?」

 

シズコだけでなく、イズナやミモリ、そして水色の髪に赤い角を生やした少女や薄灰色の髪の少女の姿があった。しかし、それだけではない。先生の姿は勿論、何故かアヤネの姿もあったのだ。

 

「なんでって……これを……」

「あーっ!?」

 

モルフォがリゾートの使用券を見せると、シズコが血相を変えたようにそれを指差してくる。その様子にゲーム開発部の面々が驚いたように跳ね上がる中、モルフォから利用権を奪い取ったシズコがその中身を確認し始める。そして、

 

「くっそぉおお……こんなところにまで……!」

「……ど、どういうこと?」

「全くわけがわからないんだけど……」

 

その場に崩れ落ちたシズコを見ながら、困惑した様子で先生を見つめるゲーム開発部の皆。その様子を見て、先生も困ったように頬を掻きながら、

 

「実は……」

 

と、海の家にゲーム開発部を座らせると、互いに自己紹介をした後に今回のリゾート使用権に纏わる一連の事件について説明し始める。そして話を一通り聞き終えたモルフォ達は、はぁと溜息を吐く。

 

「お祭り運営委員会がリゾート使用権を正式に購入したけれど……他にも使用権を持っている人達がいて、島だけに限られた権利書ではなく、実際にはこのロスト・パラダイス・リゾートという群島全体の権利を含めていると……そして、この島を手に入れるために権利書を持っている人達が、その契約書の不備に気付いたことでお互いに権利を主張するためのリゾート狩りと言う名の争奪戦が起こっていると……」

「うわぁ……なぁにそれぇ」

 

モルフォだけではなくモモイ達も呆れた様子を見せることしかできない。改めてモモイが使用権について読んでいく。

 

「本契約書の契約者は、「ロスト・パラダイス・リゾート」の「使用権限」を得る。上記の「使用権限」とはリゾート内全ての土地、備品及び設備にする権限及びそれにより得た全ての収益と資源もまた所有できるものとして、契約書の所有者はその全ての権利を保障されるものとする……いやまぁ、嘘は言ってないけどさ……改めて言われるとこれ利用者じゃなくて大元の人達の契約書だよね……というかばら撒いたらバトルロイヤルになるに決まってるじゃんこれ……」

「おぉ……」

「え?先生?」

 

感心した声を漏らす先生に、思わずモモイが困惑してしまう。その様子をモルフォは一目見てからシズコ達に視線を移す。シズコ、イズナと一緒にこの場を訪れた同じお祭り運営委員会の薄灰色の髪の少女、里浜ウミカと、今回の一件を知ってミモリと共に駆け付けた陰陽部に所属する水色の髪の少女、和楽チセを見る。その後、アヤネの方を見る。

 

「そういえば……アヤネがいるということはホシノさん達も?」

「あ、はい。先輩達もいて……先生を送った後にまた戻ってくる予定だったんですが」

 

そう言いながら、遠くに着陸させた軍用ヘリを見るアヤネ。あれもアビドスが購入できた備品なのだろう。しかし、アヤネだけがいるとは考えにくいことを考えると、他の対策委員会のメンバーはどこにいるのだろうか。そう思っていると、突然銃撃音が響いてくる。

 

「なっ、なんだあっ」

「今度は誰!?これで六回目よ!?」

「えっ」

「六回も襲われてるの!?ど、どうしようお姉ちゃん!」

「どうするって……と、とりあえず迎え撃とうよ、モルフォ!」

「よし、そうしよう」

 

既に不良だのヘルメット団だのの襲撃を五回も受けていると聞いてまたしても表情が引き攣ってしまうも、手慣れた動きで素早く得物を手に取り、五人はイズナと共に砂浜へと飛び出す。そこにいたのは、水着と覆面を付けた謎の四人組。

 

『「「「「「……?????」」」」」』

「あ、ああ……」

「やっと見つけたわよ元凶!百鬼夜行連合学院のお祭り委員会はあんた達でしょ!?私達を騙したツケ、ここで払ってもらうわよ!覚悟しな……え?」

 

ゲーム開発部の後ろでアヤネが引き攣った表情を浮かべる中、4の数字が刻まれた赤い覆面を被ったツインテールの少女が海の家の前に立つゲーム開発部を見て、言葉の勢いが失速していく。

 

「……おっとぉ?」

「なんでゲーム開発部が?」

「……まさか、騙されているんじゃ……災厄の狐もヘルメット団に雇われてたし」

「ん、それなら……お祭り運営委員会を倒すために犠牲になってもらう」

「なんか反応がおかし……!?」

 

だが、覆面の集団は何かに納得しようとしたその時だった。ケイが表に出てきてガトリングを覆面の集団へと撃ち込み始めたのは。

 

「ちょっ、何いきなり撃ってきてるのよ!?」

「こちらに宣戦を布告してきたんですよ?黙って見ている理由もありません」

「え、えっと……ケイちゃん?だよね?その、あの人たちは……」

「ん、容赦しない」

「撃ち合いなら負けませんよ~」

「しょうがないわ、覚悟しなさい!」

「っ、散開!」

 

それを皮切りとして弾幕が次々と襲い掛かる。モルフォの声を合図として四人が散り、モルフォもケイを守るように砂浜に飛び出してシールドを構えながら相手の攻撃に対応していく。

 

「砂場なら足が取られやすいから機動力も削がれる……なら」

「はい、アリスの出番です!」

 

レールガンの機能を切り替え、威力をチャージしていく。その間も散っていったモモイ達が自分達の被弾率を減らすことを最優先にしつつ弾をばら撒いていく。しかし、

 

「……向こうは足全然取られないね」

「動くのに慣れている気がしますね」

 

ガトリングを受け止めながら相手の足に注目する。まるで砂地を動くのに慣れているかのような動き方だ、影響が出ないとまでは言わないが、ゲーム開発部よりもその影響が出ていない気がする。やはり、アリスの一撃で着実に戦闘不能に追い込んでいくのが一番だろう。

 

「……今です!」

 

そして、チャージを完了したアリスがレールガンを放つ。それはガトリングを撃っていた覆面の少女に向かって放たれた、その時だった。その間に割り込んできた小柄な少女が見覚えのある盾を手に、それを受け止めてしまう。

 

「えっ!?」

「おっとぉ、それはダメだよぉ」

「っ、作戦変更!向こうのタンクを抑えるからお願い!」

「!わかりました!」

 

アリスとケイが入れ替わり、撃ち合いを始める。モルフォはショットガンを構えて盾を持つ少女に肉薄した、その時だった。

 

「……んん?」

 

はっきりと盾を見たことでモルフォの動きが止まる。この見覚えのある盾は、そう思ったのも束の間、覆面の少女は身動きを止めたモルフォにショットガンを撃つ。それをモルフォがシールドで受け止めると、素早い動きで背後に回り込もうとする。

 

「っ!?」

 

咄嗟に銃で薙ぎ払うように後ろに振り抜く。しかし少女はそれを飛び越えながらショットガンを連射。モルフォも銃を振り抜いたままの姿勢で体を回転させながらシールドを背後に移動させて弾を受けながら、シールド越しにその衝撃に耐えるのではなくわざと受けるように横に跳んでいく。そして、

 

「ミドリ!!」

「うん!」

 

モルフォがシールドを少女の視界から外すと同時に、ミドリの放った弾が少女に命中、したかと思われたがそれは少女が構えた盾で受け止められてしまう。

 

「おっとぉ」

 

が、空中にいる少女に向かってモルフォがシールドを構えて突進する。それを察知した少女がモルフォの足元を撃つと、砂が吹き上がり小さな穴が空く。そこにモルフォの右足がはまってしまい、前のめりに倒れそうになった、その瞬間。

 

「っらぁ!」

「うへっ」

 

モルフォは勢いよく足を振り上げて砂を宙へ蹴り上げ、少女を攻撃する。広範囲に向かってばら撒かれた砂を前に少女はショットガンで軽く自分の目の前で横に振って自分の目にかかるであろう砂だけを弾く。

 

「!」

 

そのまま、モルフォの左半身部分を一回射撃。それをシールドで受け止めた直後に右半身に向けて放たれた一撃を、モルフォがショットガンで受け止めると、さらにもう一発打ち込んで銃身に命中させる。その衝撃に耐えるように手が震えていたが、衝撃を完全に殺したところでショットガンが手放されてしまう。が、

 

「うおっ!?」

 

素早く防御姿勢に入り、少女から放たれた弾を全て受け止めながら後退、そのまま近くにいたユズのカバーに入ると、

 

「ユズ、着地をお願い!」

「わ、わかった!」

 

少女が着地する場所に合わせてグレネードを発射。しかし、その前にグレネードをショットガンで撃ち抜かれて爆破されてしまったため、ダメージは与えられなかった。しかし、視界が塞がっている間に運よく地面に突き刺さったハンマーを回収して構え直す。

 

「うへっ、やるねぇ……いやぁネルちゃんが見込むだけのことはあるよ」

「……その盾、喋り方……やっぱりホシノさんですよね……なんで覆面なんかつけてるのかさっぱりわからないんですが……」

「「「え!?」」」

 

途中でミドリとユズの手を貸してもらったとはいえ一撃も入れることができなかった相手だったが、装備とその覚えのある動き方などから完全に相手がホシノだと気付く。その言葉を聞いてモモイ達も手を止めると、戦闘が止まったタイミングを見計らい、両者の間にアヤネが割り込み、両腕を広げて制止をかける。

 

「ストップ!ストップです!!」

「おや、アヤネちゃん?」

「先輩達は誤解しています!シズコさん達も被害者なんです!!」

「んん?なんか変な事になってきたね?」

 

アヤネの必死の言葉にホシノも首を傾げながら覆面を外す。それに伴い、他の三人も覆面を外すとその下からシロコ、ノノミ、セリカの顔が露わとなる。

 

「あー!?」

「た、対策委員会……」

「なんで戦ってたんだろ……」

「ん……まあ、それは運が悪かったとしか。でも、正直ここまで粘られるとは思わなかった。砂浜は砂漠と違うとはいえ砂地。慣れないと中々動きにくいだろうに」

「ふふ、ゲーム開発部もお強いですね~、ケイちゃんもアビ・エシュフがなくても全然戦えてるみたいですし」

「……当然です」

 

アヤネが海の家の方から出てきたことで、シロコ達も矛を収める。モモイ達もほっとしたように銃を降ろしていたが、

 

「……いや、どういうことよ!?」

 

海の家の中からシズコと、彼女と海の家を守るために奥の方に残っていたイズナとミモリが飛び出し、シズコの声が響き渡る。その声を聞き、その場にいた全員が視線を向けると、奥にいる先生の姿が目に入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うへ~そういうことだったんだねぇ……いやごめんねぇ、百鬼夜行のお祭り運営委員会ってカイザー並にあくどいことする奴らだと思っちゃって」

『そうなんですよ~、シズコさんが架空の商品を購入しちゃいまして』

 

その後、ホシノ達も交えて話をすることになったところで、ホログラムを使って、片方の角が折れた黒髪の少女、天地ニヤが現れ、話をし始める。そこで裏で色々調べていたという百鬼夜行陰陽部の部長ニヤから、事の真相が明らかにされる。ロスト・パラダイス・リゾートとは20年ほど前に倒産した会社の名前であり、それを購入したお祭り運営委員会の名の下に使用権がばら撒かれ、不当条項と解釈せざるを得ない文章により、使用権の奪い合いが起こってしまったのだ。そして、シズコがその契約を行った相手が大問題だった。

 

「シズコちゃんが契約したオクトパスバンクってね~カイザーローンのダミー会社の一つなんだよねぇ。多分、シズコちゃん達の持ってる権利が欲しかったんじゃない?」

『でしょうね。お祭り運営委員会が持っている学園祭開催権限が狙いでしょう……さて、シズコさん。ひとまず学院に戻ってきてください。これは外部勢力からの明確な攻撃ですからね。ここからは私達陰陽部が引き継いで対処するべきでしょうし。ミレニアムとアビドスの皆さんには迷惑をかけた分の補填は後程行わせて……』

「……それはできない」

 

ホシノの指摘に同意するようにニヤがその後の動きを説明していく。しかし、その話を聞いたシズコは首を横に振る。

 

『はい?』

「いや、アビドスとゲーム開発部の皆には迷惑かけちゃったし、その分の補填についてはちゃんとするべきだしそこはいいけど……ここから離れることはできないわ。確かにここを離れれば問題は回避できるかもしれないけれど、学院に帰ったところで契約書には百夜堂の名が残っているのだから、どんどん百鬼夜行の名前が、ブランド価値が下がってしまうわ」

「た、確かにそれは深刻だね……」

「そうなんです!この件は、学院は勿論、百鬼夜行の観光事業に対する信頼にも直結する問題なんです!だからこのまま引き下がるわけにはいきません!私が直接解決します!」

 

百鬼夜行の、お祭り運営委員会のプライドとブランドを守るため、帰るわけにはいかないというシズコ。その言葉を聞きながら、考えるようにニヤがシズコを見る。

 

『やれやれ、なんでまたそんな苦労して回りくどいことを』

「そんなの私がそうしたいからよ……まあ、理由は色々あるけども、今回の件はあくまで私のミスで起きたことだから……だから私一人でどうにかするわ」

「私達も手伝うよ、シズコ」

「えっ……」

 

今回の責任は自分にあると言うシズコに、先生が声をかける。それに続くようにミモリらも声を上げる。

 

「何を言ってるんですか、シズコちゃん。私達はシズコちゃんを手伝うためにここに来たんですよ」

「そうだよ~部長はケチだから、代わりに手伝ってあげる」

『ちょっ、チセ!?』

「皆さん……!」

「もちろん、イズナもお手伝いしますよ!主殿が一緒なら、百人力です!」

 

この場に集った百鬼夜行の面々がシズコに協力すると意思表示する。それを受け、二ヤも皆を戻すことについてはどこか諦めたような様子でシズコに問いかける。

 

『仕方ありませんね、ちなみに策は?』

「オクトパスバンクは問い詰めても無駄、でも泣き寝入りしたところでリゾート狩りが続くだけなら……私達が使用権を逆に狩り尽くすだけよ!」

「おぉ、大胆だねぇ」

「いやまぁ、全ての権利書を奪い取れば確かにこのバトルロワイヤルも終わるけど……」

 

シズコが口にした案は、まさかの権利書の総取り。これにはホシノも思わず苦笑してしまい、モモイもそう呟きながらモルフォと顔を見合わせて苦笑する。

 

「あ、もちろんただ奪おうってわけじゃないですよ!権利者が私達の名前になっているということは、他の契約者達は私達の権利を一部譲り受ける形で契約しているんです。これが、リゾート施設の運営責任者に該当しているということ。今群島にいる問題児たちは各々何らかの形でオクトパスバンクと契約を結んでいると考えてもいいでしょうが、あくまで運営責任者は私。つまり、彼女たちはこのリゾートを不法占拠していると言ってもいい。なので、私達がリゾート狩りを敢行するんです!このまま退けば私の沽券にも関わりますし、こうなったらロスト・パラダイス・リゾートの全てを吸収して、百夜堂楽園リゾートに変えてやりますよ!」

「その意気だよ、シズコ」

 

そしてシズコが腕を突き上げてそう宣言する。それを聞き、ホシノ達とモルフォ達は互いに顔を見合わせると、

 

「うへ~、それならおじさん達もちょっと手を貸そうか~」

「確かにここまで来たら見て見ぬふりはできないよね」

「はい。折角皆で楽しめると思っていたのに、このようなことを……許せません。徹底的にやってやりましょう」

「……まあ、そうね。相手はあのカイザーなんだから、きっちりやり返さないと!」

 

皆、シズコ達に協力する意思を示す。それを受け、シズコも嬉しそうに言うのだった。

 

「皆、ありがとう!それじゃあ、まずは情報を共有していきましょう!」

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