MUV-LUV ALTERNATIVE ACE   作:もち猫

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始めましての方、お久しぶりの方もどうも、旧姓犬こともち猫です。

とりあえず改定はしましたがまだ抜けているかもしれません。
では、本編です。


第1話「相馬原防衛戦」

―――それは別の世界の物語。

 

―――それはありえないはずの物語。

 

―――だが在りえない事で在りえる、限りなく近く、限りなく遠い世界。

 

―――そこで運命に抵抗しようとする男が居た。

 

 

 

 

 

 

2001年2月11日午前11時20分、防衛基準体勢(デフコン)2が発令。

それに伴い帝国陸軍総司令部は本土防衛軍第12師団所属、神田少佐以下『鋼の槍』連隊の出撃を決定。

そして複数の部隊も出撃命令が出る中に相馬原仮想敵中隊も出撃を命じられる。

BETAの攻勢は激しく、徐々に押され帝国軍は追い込まれていく。

だがMRLSや艦砲射撃による面制圧後に攻勢に打って出ると、BETAを殲滅したはずだった。

その直後にセンサーが振り切れ、大量のBETAが再び出現した。

 

 

そして、我々とBETAの決戦が始まった。

 

 

2001年2月11日、相馬原基地近郊

 

side・黒川

 

「落ちろ。」

 

俺、黒川敏行大尉は92式試作戦術歩行戦闘機・改修型『翼竜』の右腕の87式突撃砲の36mm突撃機関砲を乱射する。

高速で射出されるHVAP弾(劣化ウラン貫通芯入り高速徹甲弾)が要撃級に食い込む。

息絶えたのか、その場に崩れるように倒れる。

 

「ハルバート01よりハウンド01、そちらの戦力の損耗率は?」

 

俺は親友であり、帝都本土防衛軍第12師団『鋼の槍(スティルランス)』連隊の三席に当たる七瀬幹也(大尉)に状況を尋ねる。

 

『こちらの機体の損耗率は15%らしい、そっちは?』

「俺の部隊はさっきの奇襲で最後の5機が食われた。」

 

俺は戦車級を36mmで掃討し、左腕の74式近接戦闘長刀で要撃級を斬り殺す。

しかし耐久限界が来たのか、長刀が根元から折れる。

 

『他の部隊は?』

 

長刀を戦車級の群れに投げつけて圧死させ、新しい長刀を抜く。

 

「情報が錯綜している。」

『いよいよ手詰まりだな。』

 

言いながら幹也の77式戦術歩行戦闘機『撃震』が87式突撃砲2丁の36mmが小型種を挽肉にし、要撃級を蜂の巣にしていく。

 

「あぁって、チェックシックス!!」

 

俺は幹也の背後に居た要撃級を120mm滑空砲で正確に狙い撃つ。

APCBCHE弾(劣化ウラン貫通芯入り仮帽付被帽徹甲榴弾)により一撃で撃破する。

 

「ミス1。」

 

その瞬間、幹也の87式の銃口がこちらを向き。

 

「おう?」

 

120mm滑空砲が火を噴く。

弾は俺の翼竜の横を通り抜け、後ろに居た要撃級に命中する。

 

『チェックシックス。』

 

幹也が不敵に笑う。

 

「言ってろ。」

 

などと言いあっていると周りをBETAが囲み始める。

 

『ハルバート01より各機へ、現在戦闘可能な機体は何機だ?』

『全機、戦闘続行可能です。ですが機体の損耗率が徐々に上がり始めています。』

 

副官の中尉が真面目に答える。流石全員百戦錬磨の強兵。

だが何機かの撃震の腕は無くなり装甲も損失し頭部も欠けている。

 

「お話中御免だけど、正面から団体様。要撃級と戦車級とその他諸々。」

『全機、鶴翼の陣にて対処。』

「了解。じゃあ、一通り掃討するか。」

『そうだな。全機、攻撃開始。』

『『『了解!!』』』

 

合計13丁の36mm突撃機関砲の一斉掃射により肉塊に変わっていくBETA。

突撃級がいないのが幸いだが、それでも掃射しても減らないBETAの物量作戦に疲労が蓄積し始める。

 

『ハルバート01よりハウンド01、これが最後の弾倉だ。』

「そうか。こっちもとうとう長刀の予備も折れた。120mmは弾切れ。36mmも残弾僅かだ。」

 

それと同時に機体の疲労も限界に達し始めていた。

他の隊員たちもエレメントを組んで対応しているが、厳しいようだ。

 

『くろっち、それと七瀬大尉、無事?』

『生きてる、二人とも?』

「亜矢とあきらか。」

 

突然、大咲亜矢の94式戦術歩行戦闘機『不知火』全12機と八神あきらの撃震全10機がこちらに向かって来る。

両隊の戦術機は少しばかり損傷しているが、元気そうだ。

だが、一部戦術機が運んでいるコンテナが気になるが。

 

「部下は?」

『あっきーの方がさっきの奇襲で2機ほどやられたわ。ところで、そっちの状況は?』

 

何故かしつこく尋ねてくる大咲。

だが昔を思い出すやり取りに少しばかり気持ちに余裕が出来てきた。

 

「生きているし無事だが、弾不足だ。

87式の残弾は36mmが500を切って120mmは0。長刀はこの折れた1本だけ、と言った状態だ。」

『こちらも大して変わらない。お前たちは?』

『こちらも殆ど一緒です。』

 

幹也も部隊も同様で、かなりギリギリらしい。

 

『これお土産ね。』

 

そう言って亜矢達が置いたのは、コンテナだ。

 

「これは?」

『補給物資よ。』

 

その瞬間、幹也の部隊から歓声が上がる。

 

「地獄に仏とは正にこの事だな。」

『そうだな。』

 

幹也と二人、しみじみという。

 

『この大咲お姉さんに感謝しなさい。』

「するさ。ところで亜矢、盾(92式多目的追加装甲)は?」

『要撃級にあげたわ。彼、欲しがってたみたいだし。』

「豪快だな。」

『全くだ。』

『そうね。』

 

他愛も無い会話をしながら長刀1本と87式の弾倉を、幹也は87式の全弾倉と予備弾倉をそれぞれ補給する。

ほかの戦術機も装備の差こそあるが、大体同じように補給していく。

 

『状況は?』

「不利だな。」

 

あきらの問いに簡潔に答える。

 

『ま、確かにね。地下からの突発的な奇襲とそれによる混乱。まるで戦術ね。』

 

亜矢が相変わらず鋭いことを言う。

 

『で、どうするんだ?』

 

幹也の問いに少し考える。

 

「陣形は鶴翼の陣、先頭を幹也、左翼に亜矢、右翼にあきらを当てる。俺は数の少ない八神中隊に入る。」

『『『了解!!』』』

『全機、敵の足を止めろ。弾はまだあるから気にするな。』

『『『了解!!』』』

 

幹也の部隊が弾幕を張り始める。12丁の36mmから発射されるウラン弾がBETAを肉塊に変えていく。

 

『大咲隊全機へ、こちらも弾幕を張れ。奴らの死体で壁を作り足止めをしろ。』

『『『イエス、マム。』』』

 

亜矢の部隊も攻撃を開始する。

 

『八神隊は七瀬隊や大咲隊の掃射後の弾倉交換の援護をします。』

『『『了解。』』』

 

あきらは慎重に状況を見ている。

 

『黒川大尉もよろしいですね。』

「委細承知。」

 

ほぼ状況に合わせた戦術を取ったつもりだが、不安も残る。

終わりの見えない戦場に隊員たちの体力がどこまで持つか。

 

 

『ハルバート04、弾薬残り僅か!!』

『ハルバート06、弾切れ。補給します。』

 

徐々に弾薬が心許なくなってくる。

終わりの見えない戦闘に徐々に焦りが生まれてくる。

 

『きりがないわ。』

『そうね。殺しても殺しても湧いてくる。』

 

亜矢とあきらが焦りだす。どうやら本当に切羽詰っているようだ。

すると俺たちは戦場で最も目にしたくない存在を見る。

それは見るだけでもおぞましい巨体。

蜂を連想させる戦場で最も出会いたくない存在。

 

「要塞級が4!?」

『く、このタイミングでか!?』

『この糞忙しいときに!!』

『邪魔なのが来た。』

 

口々に皮肉や文句を垂れる。

 

「全機、120mmに弾がある奴は優先して要塞級を狙え!!」

 

俺たちは突撃砲を構え。

そして別方向から120mmが飛んでくる。

 

「えっ?」

『生きているか、七瀬、黒川!!』

 

直後に神田少佐と日高大尉のバストアップが映る。

 

『神田少佐、日高大尉。』

「神田少佐、日高姐さん!!」

『どう、いいタイミングだったでしょ?』

「姐さん、惚れました。あまりにもにくい演出です。」

 

俺は戦術機の親指を立てて答える。

 

『ありがとう。』

 

俺は即座にCPに通信を取る。

 

「ハウンド01よりCPへ報告、提示した座標に支援砲撃を行ってくれ。」

『CPよりハウンド01、それは越権行為になります。』

「構わない。ここが勝負所なんだ。頼む。」

『……CP、了解。』

 

CPの神谷少尉の通信を確認すると、神田少佐と日高大尉に回線を開く。

 

『どうした?』

『どうしたの?』

 

神田少佐と日高大尉のバストアップが映る。

 

「現在、BETAが密集しているこのポイントに支援砲撃をし、時間を稼ぎます。」

『『…………。』』

 

二人が黙る。そのポイントは確かにBETAの数が多いが、先ほどまで光線級が居た所。それを理解しているのか苦い顔をしている。

 

「日高大尉!!神田少佐!!」

 

俺は声を荒らげる。自分でも珍しく激昂しているのが解る。

 

「この作戦は博打と言える作戦です。しかし、ここを抜かれれば帝都まで目と鼻の先です!」

『『『…………。』』』

 

幹也、亜矢、あきらの三人が不安そうに俺を見ている。

 

「我々は本土防衛軍として、これ以上奴らの跳梁を許してはならないはずです!!」

 

少しの間の後、神田少佐の苦虫を潰した様な顔が出る。

 

『……各機、支援砲撃開始までこのラインを絶対防衛線とする!!……本土防衛軍の意地を見せろ……全機、この戦線を死守するぞ!!』

『『『『『『了解!!』』』』』』

 

 

 

支援砲撃が行われて数分後、BETAの勢いは衰えて始めていた。

結果、この地区は俺と七瀬中隊、八神中隊、大咲中隊、神田中隊、日高中隊のみで受け持っていた。

 

「幹也、お前の中隊は日高大尉の所に援護しに行け。俺はギリギリまで遊撃を行う。」

『分かった。七瀬中隊全機、ついて来い。』

『『『了解!!』』』

「大咲中隊は神田中隊の援護を頼む。だか、機動力では不知火が上なのを忘れるなよ。」

『分かってるって。大咲中隊、神田中隊の援護に行くよ。』

『『『イエス、マム。』』』

 

すると、地下から激しい揺れが襲う。

 

「全機、緊急跳躍!下からだ!」

 

そして多くはないBETAが現れる。

 

「目視1000。早急に潰せ!」

 

だがあきらの撃震だけが動かない。

 

「あきら、どうした!?」

『敏行、御免。』

「あきら?」

 

一瞬、なぜ謝っているのか分からなかった。

 

『跳躍ユニットが作動しないわ。』

「な!?」

 

その瞬間、八神の撃震が要撃級からの攻撃を受けて後ろに吹き飛ぶ。

 

「あきら!!」

『あっきー!!』

「ハウンド01、フォックス03。」

『クーガー01、フォックス03。』

 

俺は全弾使い切る気持ちで36mmのトリガーを引き、八神の周辺に居る要撃級や戦車級を肉塊に変えていく。

大咲が援護をする。

 

『ハルバート各機、フォックス03。』

『『『了解。』』』

 

刹那、七瀬の部隊からも支援を貰い、掃討に成功する。

撃震は大破こそしてないものの、関節部からスパークが発生している。

跳躍ユニットへの引火も見られないから、問題なさそうだ。

 

「あきら、大丈夫か!?」

 

通信を送ると一拍してバストアップが映る。

そこには左眉から出血している八神が映った。

 

『問題ないわ。破片で眉毛を切ったくらいよ。大袈裟過ぎるわ。』

『素直じゃないんだから。』

「確かにな。だが、あいつなりの照れ隠しだろう。」

『そうだよね~、照れ隠し照れ隠し。』

『聞こえてる。』

 

大咲と二人で口々に八神を弄る。

 

『お喋りはそこまでだ、三人とも。周囲を警戒しろ。』

『『「了解。」』』

 

神田少佐に釘を刺されたので真面目に周囲警戒を始める。

 

『……静か、ですね。』

『神田少佐、帝国参謀本部は何か言ってませんか?』

『現状維持だそうだ。』

 

対策か何かを会議中なのだろうと考えたい。

 

『現状、ねぇ。現状がどんなものなのか上層部の人たちは見ないのかしら?』

「大尉、現在の発言は上官侮辱罪に当たる可能性がありますので自重してください。」

 

日高大尉に進言する。

 

『あら、ごめんなさい。』

 

だが全く謝る気のなさそうな様子の日高大尉に少し呆れる。

 

『でもさ、無能は嫌だよねぇ~、あっきー。』

『そうね。無能の下に就く位なら何処かに左遷された方がマシね。』

「なぁ、二人とも。本当に頼むからその危険な会話を俺の近くでしないでくれ。飛び火は嫌だぞ。」

 

少し泣きそうな声で二人に釘を刺す。

 

『『了解(了解♪)』』

 

瞬時に悟った。

絶対、口だけだと。

 

『帝国参謀本部より入電。』

 

唐突に神谷少尉が映ったので表情を引き締める。

 

『本日16:49を以ってBETA掃討を宣言。デフコン01より02へ移行。なお、鋼の槍連隊は引き続き警戒を続けよ、との事。』

 

理不尽な命令だが、任務と割り切る。

 

『神田隊、了解。』

『日高隊、了解。』

『七瀬隊、了解。』

「黒川隊、了解。」

『大咲隊、了解。じゃあ皆さん、基地でまた会いましょう。』

『八神隊、了解。では、失礼します。』

 

亜矢とあきらの部隊が撤退していく。

 

『敏行、どうして俺たちだけが残されたと思う?』

「相馬原の守備隊は壊滅したらしい。その埋め合わせだろう。」

『なるほど。』

 

答えると、何処か納得した顔をする幹也。

 

『迷惑ね。』

「そうですね。」

 

日高大尉の言葉に心底同意する。

 

 

 

数分後、交替の部隊の到着と同時に俺達も後退するのであった。

そして、この戦いが全ての始まりの序章になるとは思わなかった。




とりあえず、在庫が切れるまでは適当にあげて行きます。
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