MUV-LUV ALTERNATIVE ACE   作:もち猫

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次回から原作組と絡みます~。
その次は過去編を投稿します。


第11話「整備と謀略」

2001年3月24日

 

side・榊

 

中隊の戦術機が1日遅れて帰ってきたが、関節部は磨耗し、装甲も所々に傷を負っている。

電装品は点検しないと分からないが、久々に良い壊れ方で帰ってきやがった。

 

「久々のC整備だ!!装甲を外し伝送系のチェックをしろ!!もたもたしてる奴は海に叩き込むぞ!!」

『了解!!』

 

若い連中はきびきびと作業に取り掛かっていく。

しかし、中々壮観だな。

昔はこんな玩具を弄れるとは思っても見なかったな。

全く、人生何があるか分からねぇもんだな。

 

「榊さん。」

「さ~か~き~さ~ん。」

 

遠くから俺を呼ぶ声が聞こえる。

声がした方を見るとリアちゃんはパソコンを、イーニァちゃんは熊のぬいぐるみを持って歩いてくる。

 

「おう、嬢ちゃんたちか。お前らの親父はどこだ?」

「書類と戦ってる。」

「たたかってる。」

 

ついついイーニァちゃんの頭を撫でる。

どうやらあいつの病気が移ったらしいな。

 

「えへへ。さかきさんのてってやわらかい。」

「そりゃ嬉しいな。で、どうかしたのか?今から整備で忙しくなるんだが。」

「えっと、全部の戦術機から今回のデータを抽出して、本土防衛軍仕様の対AH用の仮想敵を作るの。」

 

なるほど、あいつらしい考え方だ。

確かに今回のデータがあれば対AH戦のデータも充実するだろう

 

「イーニァちゃんはどうしたんだい?」

「りあのおてつだい。」

「そうかい。なら、ミーシャくんはそこの椅子にでも座らせとけ。」

 

俺専用の席だが当分座らないし問題ないだろう。

 

「うん。」

 

イーニァちゃんがミーシャを椅子に座らせ、整備班の帽子をかぶせる。

俺の椅子に整備班の帽子を装備したミーシャが座る。

随分と可愛らしくなったな。

 

「それじゃ、榊さん、また。」

「またね~。」

「おう、怪我するなよ。」

「「は~い。」」

 

デッキアップした翼竜に向かって走っていく2人。

あいつとの間に子供ができなかったが、孫を持つとこんな気分になるのかねぇ。

 

「いい子達だな、シゲ。」

「そうっすね。実際、整備班内じゃアイドルですからね。」

「そうかい。」

 

後ろで若い奴らが騒いでるからそうなんだろうが、如何せん俺には孫みたいな感情しか沸かない。

まぁ、あいつが早くに死んでから子供もいないから、どうしても愛着が湧いちまうな。

 

「おやっさん、どうしたんですか?」

「いやなに、俺もあんな風に弟と仲が良かったらな、と思ってな。」

「へぇ、おやっさんの家族の話、初めて聞きましたよ。」

「そこそこ有名人だからな、あいつは。俺が話しにくいだけさ。」

 

そう言えば、兄弟喧嘩した後に仲直りもしないまま今日まで来ちまったなぁ。

いい加減に謝りたいが、どうもいけねぇな。

 

「ま、死ぬ前には仲直りするさ。」

「その方がいいですよ。」

「ところでシゲ、YF-23以外の戦術機はB整備にするぞ。もうすぐ出撃だろうしな。」

「了解です。あ、これが今回のスケジュールです。確認しておいてください。」

「おう。」

 

シゲから渡されたボードに張られているシフトを計算する。

3交代制で2週間……。微妙に詰めているな。

 

「余裕がねぇな。」

 

どう計算しても他の作業に支障が出てきそうだな。

こりゃもう少し余裕を持たせるべきか?

 

「おやじさん。」

 

呼ばれたほうを見ると建物の陰から後藤さんが手招きをしている。

何かありそうな雰囲気だ。

 

「どうしたんだい、後藤さんよ。」

「明日に国連経由で中隊支援砲が3丁ほど届きますんで、よろしくお願いします。」

 

重要な情報を耳打ちされる。

明日ってのは偉い急だな。何かあるのか?

 

「そりゃあ構わないが、戦術機の方と併せて最低でも1ヶ月は待ってもらうぜ。」

 

とは言え、流石に全機整備の最中に重火器の整備はスケジュールが間に合わない。

幾ら若い連中でもいつかは限界が来る。

そうなれば効率も落ち、事故も発生する。

 

「なら戦術機を優先してください。特に未亡人を最優先でお願いします。」

「何か意味ありげだな、後藤さんよ。」

「横浜との約束でしてね。」

 

横浜ってぇと、魔女関連か。

どうやら裏でいろいろ動いてるみたいだな。

まぁ、命令なら仕方がないな。

 

「分かった。優先して作業させよう。」

「ありがとうございます。あと、YF-23の戦術機の処理システムにこれを噛ましてください。」

 

後藤さんが懐から取り出したのはCPU付きのマザーボードだった。

こりゃ……。

 

「ハードか?」

「処理機能を向上させたプロトタイプモデルです。

試験的に採用して、データが集まったところで他のにも装備させようと思ってます。」

「なるほどな。取り付け式か?」

「えぇ。」

 

意図は分からんが、後藤さんのやることだ、何か意味があるんだろう。

そう自分を納得させてハードを受け取る。

 

「分かった。シゲにでも渡しておく。」

「お願いします。」

 

そう言うと後藤さんは出口に向かう。

 

「どこかへ行くのか?」

「ちょっと横浜まで。」

 

その一言で納得した。

どうやら、黒川はババを引いたみたいだな。

 

 

side・後藤

 

深夜。

日帰りで横浜から帰った俺はパソコンを起動し、ある相手と対話していた。

 

『ミスターゴトウ、あの一件はありがとうございます。お陰でシロアリの駆除がはかどりました。』

 

ソ連軍の高官の服を着た男が表情を変えずに結果を言う。

しかしソ連軍人は表情が硬いのがデフォルトなのかねぇ。

 

「それはそれは。しかし、あれは利害の一致からの物で感謝されるのは少々……。」

『無論これは、独り言、ですのでお気になさらず。』

 

なるほど、独り言なら仕方がない。

とりあえず、早々に話を切り出しますか。

 

「なるほど。ところで、例の一件はどうなりましたか?」

『もう少しで提供可能になります。』

「ほう、随分と早いですね。てっきり【彼ら】がごねると思ったのですが。」

 

実際、国益を損ねると言うかと思ったが。

お土産でも使ったのかね。

 

『えぇ。確かに少々【彼ら】がごねましたが例の【お土産】のお陰で随分と静かになりました。』

 

やっぱりね。

まぁ、そのためのお土産だったんだし、問題ないか。

 

「それはそれは。提供した甲斐がありますな。」

『それと例の資料の提供、感謝します。』

「墨で汚れてしまってすみませんね。」

 

機密は教えられないんですよ、と遠回りに言う。

 

『いえいえ、十二分に理解できましたので問題ありません。』

「それはそれは。」

 

まぁ、あちらも想定内だろうし、どっちもどっちか。

条件としてはイーブンだろうな。

 

『では、今宵はこれで。』

「えぇ、またお願いしますね。」

『こちらこそ。では、失礼。』

 

通信画面を切り、電源を落とす。

しかし、横浜から帰ってすぐに仕事とは勤労の鏡だね、私も。

 

「ふ~、忙しいねぇ。」

「それより書類の処理をしろ。副司令官の判子待ちがあるんですよ。」

 

敏行が人が殺せそうなほど厚い資料を俺の目の前に置く。

こりゃ、骨が折れそうだ。

 

「手厳しいね。で、データの収集はどれくらい終わった?」

「部隊全員でハイヴ攻略が10回、防衛線を10回ずつ行いました。」

 

短時間の間に収集したとは思えないほどのデータ量だな。

これは予想外だな。

 

「上々だな。」

「おかげで全員死んだようにシュミレータールームで寝てますよ。」

「許可する。戦士の休息だ。」

 

今の俺の権限で出来る、数少ない事だがな。

どうせこいつが毛布くらいかけてるだろうし。

明日は休暇でも与えるかな。

 

「で、ご用件の程は?それとも、無駄話の為に呼んだのですか?」

「黒川少佐、特命を与える。」

「何なりと。」

 

敬礼する黒川少佐にバインダーを渡す。

黒川少佐はじっくりと見ている。

 

「1週間後の1600にYF-23を使用して横浜基地に赴いてくれ。」

「期間は?」

「1週間で十分だ。」

「拝命します。」

 

バインダーを脇に挟み、敬礼して答える黒川少佐。

どうでもいいが、書類はやっぱり俺がするのかな?

 

「なお、この期間中の指揮を引き継いでおけよ。」

「了解です、後藤大佐。では、失礼します。」

 

そう言うと書類を置いて退出する黒川を見ながら、パソコンにパスワードを入力する。

そしてあるファイルを起動し、今後の計画を更新する。

 

「さて、そろそろ世界を動かそうかね。」

 




なお、後藤副司令のスケジュールは
午前10時、横浜へ出発。
午後0時、横浜基地に到着。
この頃に黒川、後藤副司令の失踪に気づく。
午後5時、相馬原へ出発。
午後8時、相馬原に到着。
午後10時、電話会談。

こんな感じです。
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