MUV-LUV ALTERNATIVE ACE   作:もち猫

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取り敢えず、ある人を救助します。
一体、誰なんだ(棒)


外伝「9月6日中編」

目の前を行く統一軍と共に撤退を始めた俺達。

風通しが良く、隙間風どころか強風が全身に当たる。

 

刹那、早期レーザー警戒機が鳴る。

 

「各機、高度を下げろ!!」

『光線級!?』

『こんな時に!!』

『各機、高度を下げて光線級を掃討するぞ。』

「『『了解!!』』」

 

光線級の射角からおよその位置を割り出す。

そしてそのデータを各機とリンクする。

 

「各機へ、光線級の予想位置を転送した。無理をせず射角に注意しながら掃討する。」

『『了解。』』

『データを受け取った。各機、散開し任務を果たせ。』

『『『了解。』』』

 

ふと、レーダーに反応が映る。

IFFは……帝国軍……ブレード中隊か!?

 

「レーダーに反応。帝国軍の側面部隊の生き残り確認。」

『どうするの。』

 

どうするかなど、決まっている。

 

「救助する。生き残っている奴を一人でも助けるぞ!」

『『了解。』』

 

すると、李大尉から通信が入る。

 

『中尉、部下を1小隊つける。急いでくれ。』

「感謝します、李大尉。」

 

俺は頷いて返礼する。

流石操縦桿から手を離すことはできない。

 

『何、気にするな。だが本当に急げよ。上層部はこの一帯を核で焼き払う気だ。』

「了解。」

 

制限時間付きだが、問題ない。

これくらい、シュミレーターで慣れている。

実践は初めてだが、どうにかするしかない。

 

「各機、速攻で救助作戦を開始する。統一軍に光線級は任せろ。こちらは生存者の救出を行う。」

『こちら徐少尉です。支援をします、中尉。』

 

今度は李大尉よりは若く、20代前半くらいの徐少尉がバストアップで写る。

 

「協力感謝します、徐少尉。そちらも御武運を。」

 

俺たちは即座に目的の戦場へ向かう。

まだ銃撃音が聞こえるのなら、生存者が居る証拠。

 

「02、03、光線級を優先して倒すぞ。」

『『了解!!』』

 

遠距離から36mmを掃射し、光線級を優先して撃破していく。

案の定、こちらの方を光線級が向く。

 

「反転跳躍回避後、反転して掃討。後ろに通すなよ。」

『もちろん。』『任せて。』

 

反転跳躍で光線級たちを空撃ちさせた後、120mmと36mmで殲滅していく。

しかし俺の戦術機は片腕状態だから命中率は高くない。

だが、ばら撒いても命中するのは俺の腕だろうと自画自賛する。

ふと、戦車級が迫る比較的損傷の少ない撃震を発見する。

もしかして。

 

「徐少尉、あの撃震を回収してください。我々は周囲のBETAを掃討します。」

『了解です。各機、急いで作業開始せよ。』

 

すると不意に機体が傾く。

 

「くっ。」

 

テンキーを押し、ステータスを確認する。

 

【WARNING:左脚部関節部損傷。警戒せよ。】

 

脚部駆動系が限界を向かえて、悲鳴を上げているらしい。

ステータスはレッドアラート。限界ギリギリだった。

だが、まだ墜ちることは出来ない。

ここで墜ちれば死ぬだけだと自分に言い聞かせる。

 

「ん?」

 

ふと、背中が溶解し倒れている撃震を発見する。

俺は倒れている撃震の跳躍ユニットに36mmを撃ち込む。

直後、機体が爆散し周囲に居たBETAを消滅させ、他のBETAにもダメージを与えた。

 

『こちら徐少尉、生存者1人救助。他は全滅です。』

「了解。」

 

俺は無意識に撃ち抜いた撃震の残骸に敬礼をする。

 

「名も知らぬ戦士よ。貴殿の挺身に感謝する。」

 

そして設定していたタイマーが鳴る。

活動限界か。

 

「全機、戦域より離脱。……ここまでだ。」

『02、了解。』

『03、了解。』

『こちら徐少尉、了解です。』

 

俺達は反転し、急いで戦域から離脱する。

しかし、助けられたのは一人だけか。

 

「ままならん物だな。」

 

そして李大尉と合流後、一路ハルピンを目指す。

 

 

 

後方で巨大な光と共に上空に大きなキノコ雲が浮かんだ。

核か。正直、胸糞悪い光景でしかない。

元はと言えば中国の自信過剰からこんな事になった。

落ちて来たのと同時に飽和攻撃で消滅させてれば、こんな地獄を見ないで済んだのにな。

 

『生き残りも全滅ね。』

 

大咲の顔が若干青い。

流石にあれが原因なのは明らかだな。

俺自身、動揺を隠すのに精一杯だ。

 

『どれだけ生き残ったのかな?』

 

八神も暗い。

……ったく、これじゃ葬式だな。

 

「0はない。ここに一人、救った奴が居るからな。」

 

そうだ、俺たちは誰かの命を守ったんだ。

こんな地獄でも、救えたんだ。

そのことは、事実だから。

 

『そうだね。』『うん。』

『しかし君たちは凄いな。』

 

唐突に李大尉が会話に入ってくる。

なんだろう。

 

「どうしてですが、李大尉?」

『普通の人間なら錯乱しているはずなのにどうしてそこまで冷静なんだ?』

「……本当はそこまで冷静じゃなかったんですよ、大尉。

実際、気が狂いそうでしたよ。」

 

仲間が死に、友軍が死んでいき、自分が死にかける中、狂いそうだったのは確かだ。

けれどその中で正気を保てたのは教官の教えだろう。

 

「教官の教えです。曰く、

『戦場で死ぬ奴で一番多いのは冷静さを欠かした奴。

二番目に多いのは運のない奴、三番目は能力の低い奴だ』って。」

『なるほど。』

 

李大尉もうなずく。どこか思うところがあるんだろうか?

 

『でも、トイレパックは?』

「溢れてる。」

 

周囲から笑い声が聞こえる。

大咲、テメェ、後で覚えてろよ。

 

「悪かったですね。」

『いや、新人には当たり前のことだ、気にするな。』

 

そう言いながら李大尉、まだ笑ってるじゃないですか。

 

「ありがとうございます、李大尉。」

『では、ハルピンまで撤退しよう。』

『『『「了解。」』』』

 

俺はキノコ雲が上がった方に意識を向け、心の中で死んだ西島に謝る。

 

「偽善だよな。」

 

本当、ままならないよな。

 




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